JP2019049067A - セルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法、及び、ほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが生地の裁断端縁や開口部の裁断端縁のほつれ止め機能付与処理の作業は、かなりの縫製手間がかかり、下着のヘムラインが凸条等になって外衣に現れたり、着用感を損なったりする等の問題となっている。
しかしながら、特許文献1の方法では、低融点ポリウレタン弾性糸等のセルロース系以外の異種の素材の併用が必須であることから、得られるセルロース系繊維製品の着用感や風合いが損なわれてしまうことがある。また、セルロース系以外の異種の素材を併用し、複雑な工程を要することから、製造コストが上昇してしまうという問題もあった。
以下に本発明を詳述する。
また、本明細書においてセルロース系繊維製品とは、肌着、上着、靴下、手袋、帽子、ヘアバンド等の衣類の他、ハンカチ、タオル、フェイスマスク、マフラー、シーツ、枕カバー、ふとん、クッション、おむつ、おむつカバー等のセルロース系繊維が用いられる全てのものが含まれる。
なお、本明細書におけるセルロース系樹脂には、綿、麻、バクテリアセルロース等の天然セルロースや、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生セルロースや、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロースが含まれる。
上記低温アルカリ尿素溶液は、0℃以下の低温下において、セルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維を溶解することができる。
ただし、セルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維間が自己接合されている場合において、セルロース系繊維製品がセルロース系樹脂以外の異種の素材を一部に含んでいてもよい。
セルロース系繊維間が自己接合されたセルロース系繊維製品を説明する模式図を図1に示した。図1(a)は、ループ接点が自己接合されたセルロース系繊維製品を、図1(b)は、ウェール方向接点が自己接合されたセルロース系繊維製品を示す。図1において、実線で囲んだ箇所が、セルロース系繊維間が接合された部位である。
得られたほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品では、セルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維間が自己接合されている。生地の裁断端縁や開口部の裁断端縁であってもほつれの発生することがない。
セルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維間が自己接合されているほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品もまた、本発明の1つである。
(1)ほつれ止め機能の付与
原料セルロース系繊維製品として、40番手の綿糸を120g/m2の密度で緯編みしたフライスニットを準備した。
水酸化リチウム(LiOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)を蒸留水に溶解して表1に示した濃度のアルカリ溶液を調製した。また、CO(NH2)2又はCS(NH2)2を蒸留水に溶解して表1に示した濃度の尿素化合物溶液を調製した。得られたアルカリ溶液と尿素化合物溶液とを3:1の重量比で混合した後、−15℃に冷却して低温アルカリ尿素溶液を得た。
原料セルロース系繊維製品を低温アルカリ尿素溶液中に1:20の浴比で表1に示した条件で浸漬して溶解工程を行った。
自己接合工程後のセルロース系繊維製品を、1%硫酸水溶液中に1:50の浴比で表1に示した条件で浸漬して再生工程を行った。
再生工程後のセルロース系繊維製品を水洗い(5分間×2回)した後、乾燥させ、ほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品を得た。
得られたほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品について、タテ5cm×ヨコ40cmのサンプルを取り、編地のウェール方向に対して40°の切り込みを5箇所入れて、タテ方向の裁断面を合わせて筒状に縫製した後、家庭用2槽式洗濯機(東芝社製、商品名「GINGA4.5」)を使用して下記条件にて洗濯を行った。
洗濯(300分)→遠心脱水(5分)→注水すすぎ(10分)→遠心脱水(5分)
液温:常温(25℃),水流:強水流
洗剤:ライオン(株)製、商品名:トップ,水量:30リットル
洗濯水1リットルに対して洗剤1.3g使用
負荷布:綿100%フライス編地1.0kg分
洗濯後のサンプルについて、編地のコース方向カット部の編地端のほつれ程度を観察し、下記の4段階で評価した。ここで、△と×は衣料として着用をためらう程度の傷みであり、◎又は○が洗濯耐久性の点で好ましい。
◎:傷みが認められない
○:やや傷みが認められる
△:傷みが認められる
×:傷みが激しい
なお、比較対象として、ほつれ止め機能付与処理を行わなかった、原料セルロース系繊維製品についても同様の評価を行った。
結果を表1に示した。
原料セルロース系繊維製品として、40番手の綿糸を120g/m2の密度で緯編みしたフライスニットを準備した。
塩化亜鉛を蒸留水に溶解して70%塩化亜鉛溶液を調製した。
原料セルロース系繊維製品を70%塩化亜鉛溶液中に1:5の浴比で表2に示した条件で浸漬して溶解工程を行った。
自己接合工程後のセルロース系繊維製品を水洗い(5分間×2回)した後、乾燥させ、ほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品を得た。
結果を表2に示した。
原料セルロース系繊維製品として、40番手の綿糸を120g/m2の密度で緯編みしたフライスニットを準備した。
水酸化銅(Cu(OH)2)をイオン交換で蒸留水に混合した水酸化銅溶液に、冷却しながらエチレンジアミン又は28重量%アンモニア水を加えることにより、表3に示した濃度の銅エチレンジアミン溶液又は銅アンモニア溶液を得た。
原料セルロース系繊維製品を銅エチレンジアミン溶液又は銅アンモニア溶液中に1:20の浴比で表3に示した条件で浸漬して溶解工程を行った。
自己接合工程後のセルロース系繊維製品を、1%硫酸水溶液中に1:50の浴比で表3に示した条件で浸漬して再生工程を行った。
再生工程後のセルロース系繊維製品を水洗い(5分間×2回)した後、乾燥させ、ほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品を得た。
結果を表3に示した。
Claims (8)
- 溶解溶液を用いてセルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維の表面を溶解する溶解工程と、前記溶解工程後のセルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維間を自己接合させる自己接合工程とを有することを特徴とするセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- 溶解溶液は、低温アルカリ尿素溶液、バルカン化溶液、重金属アミン系溶液、又は、セルロース可溶性有機溶剤溶液であることを特徴とする請求項1記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- バルカン化溶液は、塩化亜鉛溶液又はチオシアン酸カルシウム溶液であることを特徴とする請求項2記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- 重金属アミン系溶液は、銅エチレンジアミン溶液又は銅アンモニア溶液であることを特徴とする請求項2記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- セルロース可溶性有機溶剤溶液は、N−メチルモルホリン−N−オキシド水溶液又はイオン性液体であることを特徴とする請求項2記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- 自己接合工程後に、溶解工程において表面が溶解したセルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維を、再生液を用いて再生する再生工程を有することを特徴とする請求項1記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- 再生液は、硫酸水溶液であることを特徴とする請求項6記載のセルロース系繊維製品のほつれ止め機能付与方法。
- セルロース系繊維製品を構成するセルロース系繊維間が自己接合されていることを特徴とするほつれ止め機能が付与されたセルロース系繊維製品。
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