JP2017003722A - 摺動部材、及び、その製造方法 - Google Patents

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Teruo Kanai
照夫 金井
山口 健一
Kenichi Yamaguchi
健一 山口
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Naoki Nishiura
直樹 西浦
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Abstract

【課題】端部(切断面)の繊維のほつれが発生しにくく、繊維織布による層構造を有する摺動部材の層間の位置ずれが生じにくい、摺動部材、及び、その製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなり、前記表経糸及び表緯糸が、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸であり、前記表組織が、摺動面である、摺動部材。【選択図】なし

Description

本発明は、摺動部材、及び、その製造方法に関する。具体的には、端部の繊維ほつれが発生しにくく、繊維層間の位置ずれが生じにくい、電子写真画像形成装置の定着器に用いられる摺動部材、及び、その製造方法に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、まず、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像し、現像されたトナー像を直接、あるいは中間転写ベルト等を介して記録媒体上に転写し、さらに、当該記録媒体上の未定着のトナー像を、定着ベルトやローラを用いて、加熱、加圧して画像を当該記録媒体に定着させるものである。定着方法においては、定着ベルト内にヒーターなどの熱源を持っている従来の方式のほか、近年、コイル及び高周波電源を備える電磁誘導加熱方式の導入が進んでいる。電磁誘導加熱方式では、定着ベルトに金属発熱層が設けられており、コイルに高周波電流を流すことで渦電流が発生し、定着ベルト自体が発熱する。
これらのようなベルト方式を採用した定着器においては、回転可能な回転部材からなる加圧部材(例えば加圧ローラ)と樹脂フィルム管状体(例えば樹脂製の定着ベルトで、以下定着ベルトと称す)とでニップ領域を形成するために、定着ベルトの内側に押圧部材が配置されている。この押圧部材には、通常、加圧部材と同等の圧力で定着ベルト内面との間にニップ領域を形成し、かつニップ幅を確保するために、弾性体からなる押圧パッドが設けられている。ここで、押圧パッドと定着ベルト内面との摺動性を向上させるために、押圧パッドと定着ベルト内面との間に摺動部材をはさむ提案がなされてきた。摺動部材は、その摺動面に潤滑剤が供給されており、定着ベルトが円滑に回転できる役割を担っている。
このような摺動部材としては、これまで様々なものが知られている。
例えば、特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)の乳化重合により得られるディスパージョンを含浸させたガラス繊維シート(PTFE含浸ガラスクロス)を用いた摺動部材が開示されている。しかしながら、このようなPTFE含浸ガラスクロスからなる摺動部材を用いた場合、長時間の使用によりPTFEが摩耗してガラスクロスが露出し、定着ベルト内側の摺動面を荒らして摩擦抵抗が急激に増大する問題があった。
また、特許文献2には、単一の樹脂シートからなり、摺動部材面内の位置に応じて単位面積当たりの樹脂量を変化させて厚い部分と薄い部分との繰り返しパターンを形成し、摺動面に凹部と凸部が設けられた摺動部材が開示されている。しかしながら、このような摺動部材では、摺動部材の凹凸面を定着ベルトが摺動するので摺動部材の摩耗が促進されてしまい、耐久性に欠けるという問題がある。さらには、凹凸部に塗布された潤滑剤が記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に移動し、幅方向の端部から漏れ出して比較的早い時期に潤滑剤が枯渇してしまうという問題があった。
特許文献3には、潤滑剤の保持性を向上させる等の目的で、摺動部材が、少なくとも、定着ベルト内面に接触する第1の繊維層と、押圧パッド側に接触しかつ前記第1の繊維層よりも低い繊維密度からなる第2の繊維層とを有する構成になっているものが開示されている。この摺動部材では、第1の繊維層は、定着ベルトとの摺動抵抗を下げるためPTFE繊維からなる織布によって構成され、第2の繊維層は、高強度で耐熱性の高いポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維からなる織布によって構成されている。
特開平8−262903号公報 特開2009−15227号公報 特開2014−186303号公報
しかしながら、特許文献3に開示される摺動部材の構成では、第1及び第2の繊維層は各々を構成する糸の一部を絡ませて一体化して成るだけなので、第1及び第2の繊維層の間で位置ずれを発生しやすいという問題があった。位置ずれが発生すると、定着ベルト回転時にトルクの変動が生じ、定着画像が乱れてしまう場合がある。
また製造面においては、織布から摺動部材を切り抜く際、切断面の繊維がほつれを発生し、使用中にほつれた繊維が脱落して摺動面などへ噛みこむことで、定着ベルトの動きを阻害するなどの不具合に発展する。この対策として、切断面を焼きながらカットするレーザーカットを用いることが考えられているが、レーザーカットは著しくコストが高いという欠点があった。
このような状況下、本発明は、端部(切断面)の繊維のほつれが抑制され、繊維織布による層構造を有する摺動部材の層間の位置ずれが抑制された、摺動部材、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、電子写真画像形成装置の定着器に用いられる摺動部材について、表組織と裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなり、表組織がフッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸で織成され、当該表組織を摺動面とすることで、高温下での摺動性を確保し、かつ、端部(切断面)の繊維ほつれが発生しにくく、表組織と裏組織の繊維層間の位置ずれが生じにくいことを見出した。また、本発明者は、前述の摺動部材を安価に製造することができる方法を見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなり、
前記表経糸及び表緯糸が、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸であり、
前記表組織が、摺動面である、摺動部材。
項2.前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及び、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種である、項1に記載の摺動部材。
項3.前記裏経糸及び裏緯糸が、熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる糸である、項1又は2に記載の摺動部材。
項4.前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、及び、液晶ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種である、項3に記載の摺動部材。
項5.前記繊維織布が、平織りの二重織り、又は、綾織りの二重織りである、項1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
項6.前記繊維織布の少なくとも一部の端部が熱融着している、項1〜5のいずれかに記載の摺動部材。
項7.表経糸及び表緯糸と、裏経糸及び裏緯糸の少なくとも一方が、フィラーを含む、項1〜6のいずれかに記載の摺動部材。
項8.摺動方向に直行する方向のすくなくとも片方の端部で、かつ、摺動相手部材に接しない部分が溶融によって表裏組織が一体化され、前記部分に固定用の穴を有する、項1〜7のいずれかに記載の摺動部材。
項9.項1〜8のいずれかに記載の摺動部材の製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする、摺動部材の製造方法。
(1)フッ素樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸する工程、
(2)裏経糸及び裏緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する工程、
(3)(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る工程、
(4)(3)で得られた原糸をそれぞれ経糸と緯糸に分け、フッ素樹脂の原糸で織られた表組織と、裏組織とを有する二重織構造の織布を織り上げる工程、及び
(6)得られた織布から製品の形状を打ち抜き、摺動部材を得る工程
項10.下記の工程(5)を工程(4)と(6)の間に有する、項9に記載の摺動部材の製造方法。
(5)(4)で織り上げられた織布の一部を、熱プレスにより溶融圧着して表裏組織を一体化する工程
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明によれば、端部の繊維ほつれが発生しにくく、繊維層間の位置ずれが生じにくい、摺動部材を安価に提供することができる。
本発明の摺動部材を備えた定着器の概略断面図の一例である。 本発明における二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例である。 定寸幅にスリットされ左右両側端部が溶融された織布から、摺動部材を打ち抜く箇所を示す図の一例である。
I.摺動部材
本発明の摺動部材は、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなり、前記表経糸及び表緯糸が、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸であり、前記表組織が摺動面である、ことを特徴とする。
本発明の摺動部材は、電子写真画像形成用の定着器に用いられるものである。図1に、本発明の摺動部材を備えた定着器の概略断面図の一例を示す。本発明の摺動部材1は、定着器において、押圧パッド2と定着ベルト3内面との間に挟まれ、これらの間の摺動性を向上させるためのものである。本発明の摺動部材は、表組織が定着ベルト内面と接し、裏組織が押圧パッドと接するように、定着器に設置される。すなわち、本発明の摺動部材では、表組織が定着ベルトとの摺動面となる。
本発明の摺動部材は、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなる。本発明における繊維織布は、経糸と緯糸を、表面に配されるものと裏面に配されるものと各々2種の糸を用いて織られる二重織構造を有する。図2に、本発明における二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例を示す。図2に示すように、表経糸7と表緯糸9とで織成された表組織と、裏経糸8と裏緯糸10とで織成された裏組織とが、一体化して二重織物が形成される。
更に、本発明の摺動部材は、表経糸及び表緯糸として、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸が使用され、この糸で織成された表組織を有する。このため、本発明の摺動部材は、表組織が定着ベルトとの摺動面となるように、定着器に設置されることにより、優れた摺動性を発揮する。
また、摺動部材は、織布を、所定の形状となるように、打ち抜いて切断することにより、製造される。また、定着器への固定用の穴が打ち抜きにより付与される。そのような打ち抜きがなされた場合であっても、本発明の摺動部材は、端部となる切断面の繊維ほつれが発生しにくく、繊維層間の位置ずれも生じにくい。また、摺動部材の長時間の使用による繊維層間の位置ずれも生じにくい。
(表経糸及び表緯糸)
本発明の摺動部材の表組織を構成する表経糸と表緯糸は、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸である。このように、本発明の摺動部材は、特定の樹脂からなる糸を織成した表組織を有する二重織構造の繊維織布からなるため、表組織が定着ベルトとの摺動面となるよう定着器に設置されることにより、定着ベルト内側との固着が抑制され、離形性に優れ、摺動性が確保される。また、端部の繊維ほつれが発生しにくく、繊維層間の位置ずれも生じにくい。
フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸は、フッ素樹脂を溶融紡糸して得たフッ素樹脂フィラメントを撚糸したものである。溶融紡糸は、化学繊維の原料を熱で溶かした状態にして、紡糸口金(ノズル)から押し出しして繊維状にした後、冷やして固めて繊維(フィラメント)を得る方法である。溶融紡糸は、特に限定されず、原料に応じて、一般に公知の方法で行うことができる。
フッ素樹脂としては、溶融紡糸が可能なフッ素樹脂であれば、特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAともいう)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(フッ化エチレンプロピレン、以下、FEPともいう)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFともいう)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(以下、ETFEともいう)等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一方、溶融紡糸ができないフッ素樹脂は、本発明では適用されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、溶融粘度が高く、熱流動性が悪いため、溶融成形加工が不可能である。PTFEからなる糸は、通常、溶融紡糸法以外の方法、例えば、マトリックス物質を利用して紡糸した後に焼成工程を経るマトリックス紡糸法等の特殊な方法で製造される。このように、PTFEからなる糸は、本発明における「フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸」には含まれない。
フッ素樹脂の溶融粘度としては、380℃において105Pa・s以下であることが好ましく、102〜104Pa・sであることがより好ましい。フッ素樹脂の溶融粘度が上述の範囲であると、溶融紡糸等の溶融成形加工が可能になると同時に、熱圧着した際に、繊維が溶融して表組織と裏組織が一体化し、端部の繊維ほつれや層間の位置ずれがより発生しにくくなる。なお、本明細書におけるフッ素樹脂の溶融粘度は、JIS K7199規格に準拠した方法により測定して得られる値である。
なかでも、フッ素樹脂としては、高温下での低摩擦性により優れ、繊維ほつれや繊維層間の位置ずれをよりよく抑制し得る点で、PFA、及び、FEPからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂が好ましく、PFAが更に好ましい。
本発明の摺動部材は、例えば、織布から打ち抜いて製造される。この場合、打ち抜かれた部分(切断面)の糸ほつれを防ぐ必要がある。本発明では、後段で説明するように、糸ほつれの発生をよりよく抑制する点から、本発明の摺動部材を製造する際、打ち抜く部分を予め溶融し、抜き型で切断し、別の樹脂とフィルム状に一体化させる場合がある。PTFEは、溶融しても流動化しにくいため、フィルム状にするのが困難であり、使用に適さない。
フッ素樹脂フィラメントは、必要に応じて、樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、防曇剤、スリップ剤、表面調整剤等を含んでいてもよい。
フッ素樹脂フィラメントはまた、フィラーを含んでいてもよい。フッ素樹脂にフィラーを配合することにより、フッ素樹脂フィラメントの耐クリープ性、熱伝導性、電気伝導性、その他諸性質が向上する。フィラーを配合する場合、フィラメントの成形性、強度等の物理的、化学的物性を著しく損なわないようにすることが望ましい。例えば、フィラメント中、フィラーを0.5〜5質量%程度含有すると、フィラメントの特性を損なうことなく、その諸性質を向上させることができる。
フィラーとしては、例えば、導電剤、及び、熱伝導剤等が挙げられる。なかでも、導電剤が好ましい。
導電剤としては、例えば、公知の電子導電性物質、及び、イオン導電性物質等が挙げられる。
電子導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT、酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等の導電性炭素系物質、アンチモンドープの酸化錫、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム、アルミニウム、銅合金等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。
イオン導電性物質としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、トリデシルメチルジヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、ラウリルトリメチルアンモニウムパークロレート、変性脂肪族・ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3’−ドデシロキシ−2’−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムエトサルフェート、3−ラウルアミドプロピル−トエイメチルアンモニウムメチルサルフェート、ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチル−アンモニウム−ジハイドロジェンフォスフェート、テトラブチルアンモニウムホウフッ酸塩、ステアリルアンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウムの過塩素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、メチルサルフェート塩、リン酸塩、ホウフッ化水素酸塩、アセテート等の有機イオン性導電物質、あるいは電荷移動錯体等が挙げられる。
これらの導電剤は、1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
なかでも、前記導電剤のうち、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、具体的には、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
フッ素樹脂フィラメントが導電剤を含む場合、その含有量は、通常、フィラメント総質量に対して5〜20質量%程度であればよい。これによりフィラメントに、摺動部材に適した導電性が付与される。
熱伝導剤としては、例えば、金属窒化物、シリカ、スズ等を挙げることができる。金属窒化物としては、具体的には、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
フッ素樹脂フィラメントは、モノフィラメントでもマルチフィラメントであってもよい。1本のフィラメントの繊度は、通常、10〜300dtex、好ましくは、15〜180dtexである。
フッ素樹脂フィラメントは、撚糸を施されて織布の原糸に加工される。撚糸されるフィラメントは、一種類の繊度のもののみを使用してもよく、二種類以上の繊度が異なるものを混合で使用しても良い。撚糸は、撚糸機を用いる等、一般に公知の方法により行うことができる。
フィラメントは撚糸されることで、収束性が増す為、使用において万一糸切れが発生してもほつれに発展しにくい。また撚糸を実施しないものと比較した場合、撚糸して繊維を丸めることで、摺動部材にしたとき、定着ベルト内面との接触面積を減らすことができ、摺動抵抗を減少させる効果がある。撚糸回数は特に制限はないが、通常、単位長さ1m当たり500回以下の甘撚で行なわれる。撚りの方向も左右の制限はない。例としては、S撚り100〜250回/mが好ましい。
撚糸本数としては、撚糸されたフッ素樹脂原糸の繊度が100〜1000dtex、好ましくは200〜800dtexとなるよう設定すると良い。原糸の繊度が100dtexよりも細いと織布にしたときのメッシュ数が多くなって空隙率は小さくなるので、摺動部材として使用したとき、定着ベルト内面との接触抵抗が大きくなって、摺動部材と定着ベルトが磨耗し、磨耗粉などが装置や画像に悪影響を及ぼすおそれがある。逆に1000dtexよりも太いと、織布の目は粗くなり、織布の空隙率は大きくなる為、摺動部材として使用したとき、潤滑剤を保持し続けることができず、定着ベルトを長時間円滑に回転させることができなくなるおそれがある。
(裏経糸及び裏緯糸)
本発明の摺動部材は、裏経糸及び裏緯糸で織成された裏組織を有する。裏組織は、前述のフッ素樹脂が溶融紡糸してなる糸により織成された表組織の裏側に位置し、本発明の摺動部材を定着器に設置する際、押圧パッドと接する面となる。
裏組織を構成する裏経糸及び裏緯糸は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる糸であることが好ましい。熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる糸は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得た熱可塑性樹脂フィラメントを撚糸したものである。熱可塑性樹脂の溶融紡糸は、特に限定されず、使用する樹脂に応じて、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
熱可塑性樹脂は、結晶性の場合、融点が250℃以上であることが好ましく、270〜350℃であることがより好ましい。なお、融点は、DSC法により測定して得られる値である。
熱可塑性樹脂としては、耐熱性と強度を兼ね備えた熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKともいう)、ポリフェニルスルホン(以下、PPSUともいう)、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSともいう)、アラミドやナイロンなどのポリアミド(以下、PAともいう)、及び、液晶ポリマー(以下、LCPともいう)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。なかでも、PEEK、PPSU、及び、PPSからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂は、これらのうちの一種類であってもよく、これらの中から選択して二種類以上をブレンドしたものであってもよい。摺動部材の押圧パッドに接する面として適用される裏組織が、前記熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる糸を用いて織成されることにより、本発明の摺動部材は、高温下での機械的強度に耐え得るものとなる。また、前述のフッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸で織成された表組織と二重織構造を形成することにより、優れた摺動性を確保し、繊維ほつれや繊維層間の位置ずれが生じにくい摺動部材とすることができる。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、下記式(1)で示される繰り返し単位を含むポリマーである。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar′−O− (1)
(式中、Ar及びAr′は、同一又は異なって、置換又は無置換のフェニレン基を表す。)
Ar及びAr′におけるフェニル環上の置換基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。Ar及びAr′は、無置換のp−フェニレン基を表すことが好ましい。
PEEKは、1種類の繰り返し単位から構成される単独重合体であってもよいし、2種類以上の繰り返し単位から構成される共重合体であってもよい。好ましくは、前記式(1)で表される繰り返し単位1種類から構成される単独重合体である。
また、前記式(1)で表される繰り返し単位と、これ以外の繰り返し単位との共重合体であってもよい。前記他の繰り返し単位としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
(ここで、Arは前記と同じであり、Aは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−CO−、又は2価の炭化水素基を表す。)
PEEKは、通常、ヒドロキノンと、ハロゲンを置換体として両端に結合させたベンゾフェノンとを、公知の求核置換反応により結合させて製造される。例えば、ジフェニルスルホン(DPS)中で、炭酸アルカリ金属、例えば、炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムの存在下で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとヒドロキノンを反応させる方法等により調製することができる。また、ベンゾフェノンと、両端に求電子剤として塩素を結合させたケトン基を持つベンゼン環を、塩化アルミニウム等を触媒として、公知の求電子置換反応で結合させる製造方法もある。原料たるモノマーの構成比を調整することによって、前記重合体の末端を、フッ素原子等のハロゲン原子とすることもできるし、水酸基とすることもできる。一般にはフッ素原子が重合体末端にあることが好ましい。また、重合体末端に末端封止剤を反応させることにより、ハロゲン末端や水酸基末端を、フェニル基等の不活性置換基に置き換えたものでもよい。
PEEKの市販品としては、例えば、ビクトレックス(Victrex)社製の商品名「ビクトレックスPEEK」シリーズが挙げられ、ビクトレックス社PEEK 450G、381G、151G、90G(商品名)等が挙げられる。また、ダイセル・デグサ社のVESTAKEEP(商品名)等が挙げられる。ほかにソルベイ社からも上市されている。
ポリフェニルスルホン(PPSU)は、分子中に複数のスルホニル基(−SO2−)と複数の芳香族炭化水素を有するポリマーである。通常、ポリハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤とを、公知の方法により重合して製造される。
具体的なPPSUとしては、下記繰り返し単位を含むポリマーが好ましく使用される。
このPPSUは、4,4′−ジヒドロキシビフェニル及び4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンから求核置換により製造できる。
PPSUの市販品としては、例えば、「レーデル」(登録商標)の商品名で、ソルベイスペシャルティポリマーズ社から市販されているものが挙げられる。具体的には、「Radel R−5000」、「Radel R−5100」、「Radel R−5500」、「Radel R−5600」、「Radel R−5800」等が挙げられる。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、下記繰り返し単位を含むポリマーである。
(ただし、前記式中nは、重合度を表し、100以上が好ましく、100〜500がより好ましい。)
PPSの市販品としては、例えば、E1380(リニアー型PPS、東レ株式会社製)、FZ−6600(リニアー型PPS、DIC株式会社製)、等が挙げられ、他に東洋紡株式会社からも上市されている。
ポリアミド(PA)としては、アラミドやナイロン等の一般に公知のものが挙げられる。アラミドの市販品としては、例えば、帝人株式会社製「コーネックス」、東レ・デュポン株式会社製「ケブラー」等が挙げられる。ナイロンの市販品としては、例えば、東レ株式会社製「アミラン」、三井化学株式会社製「アーレン」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「レニー」等が挙げられる。
液晶ポリマー(LCP)は、公知のものを用いればよく、多くの市販品が上市されている。液晶ポリマー(LCP)の市販品として代表的なものは例えば、株式会社クラレ製「ベクトラン」などが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィラメントは、必要に応じて、フィラーを含んでいてもよく、好ましくは導電剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができる。フィラー及び導電剤としては、具体的には、前段のフッ素樹脂フィラメントの項で述べたものと同じ物質が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィラメントが導電剤を含む場合、その使用量は、通常、熱可塑性樹脂フィラメント総質量に対して5〜20質量%程度であればよい。これによりフィラメントに、摺動部材に適した導電性が付与される。
熱可塑性樹脂フィラメントはまた、必要に応じて、樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、熱伝導剤、可塑剤、光安定剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、接着剤、難燃剤、分散剤等を適宜含んでいてもよい。熱伝導剤としては、金属窒化物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム)、シリコン、スズ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィラメントは、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。1本のフィラメントの繊度は、通常、5〜150dtex、好ましくは、7〜100dtexである。
熱可塑性樹脂フィラメントは撚糸されて織布の原糸に加工される。撚糸を行なうことで原糸の強度が増す為、摺動部材としたときに、撚糸しない場合と比較して引張強度が増す。撚糸回数は特に制限はないが、通常、単位長さ1m当たり500回以下の甘撚で行なわれる。撚りの方向も左右の制限はない。例えば、S撚り130〜250回/mが好ましい。
撚糸本数としては、撚糸された熱可塑性樹脂原糸の繊度が50〜400dtex、好ましくは100〜300dtexとなるよう設定すると良い。原糸の繊度が50dtexよりも細いと織布にしたときの強度が不足するので、摺動部材として使用したとき、押圧パッドとのせん断応力に耐えられないため、繊維が切断したり、織布の目が曲がったり開いたりするなどの悪影響を及ぼすおそれがある。逆に400dtexよりも太いと、織布の目は粗くなるので、織布の空隙率は大きくなる為、摺動部材として使用したとき、潤滑剤を含む場合、これを保持し続けることができず、潤滑剤は定着ベルト側に移動せず、押圧バッド側で摺動部材端部方向へ流れて漏れ出してしまうおそれがある。
(織布)
本発明の摺動部材は、前述の表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する、二重織構造の繊維織布からなる。図2は、本発明における二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例である。図2に示すように、表経糸7と表緯糸9とを平織りで織成して表組織が形成され、裏経糸8と裏緯糸10を平織りで織成して裏組織が形成されており、これら表組織と裏組織とで二重織構造の繊維織布が形成される。
織布の織り方は、二重織りであれば、平織りをはじめ、綾織り、朱子織りからなる三原組織のいずれでもよい。ここで、「平織り」とは、経糸と緯糸を一本ずつ交互に組み合わせた組織をいう。また、「綾織り」とは、織り目が斜めになった組織をいい、経糸や緯糸の太さや密度を変えたり、糸の飛ばし方でいろいろな角度の綾が形成されるものをいう。「朱子織り」とは、サテンとも呼ばれ、経糸もしくは緯糸を長く表面に出した織り方をいう。
織り方の選択としては、朱子織りは糸同士の拘束力が弱く目曲がりが生じやすいため、平織り、又は、綾織りが好ましく、簡易なので工業的にも適した織り方である。表組織と裏組織で異なる織り方を選択しても良い。
表経糸と表緯糸は同じ糸種同士、裏経糸と裏緯糸も同じ糸種同士(表とは違う糸種)とすることで、織布における表組織と裏組織とで異なる性質を付与することができる。織布の表組織と裏組織とは、各々の原糸の一部を互いに織り合わせることで一体構造になっている。表経糸及び表緯糸と、裏経糸及び裏緯糸は、少なくとも一方がフィラーを含むことが好ましい。
また、本発明の摺動部材は、少なくとも一部の端部が熱融着されていることが好ましい。熱融着されていると、繊維ほつれがより発生しにくく、表組織と裏組織との繊維層間の位置ずれもより生じにくくなる。
本発明の摺動部材は、少なくとも一部の端部が溶融されており、溶融された部分は表裏組織が一体化されていることが好ましい。少なくとも一部の端部が溶融されているとは、例えば、摺動部材を構成する繊維織布の端部の一方又は両端から一定幅のみ連続溶融されていることが好ましい。前記一定幅としては、摺動部材の大きさに応じて適宜選択できるが、定着器等への固定用の穴を熱融着された箇所に形成できる程の幅であることが好ましい。
また、前記溶融した部分の一部に少なくとも1の穴を有することが好ましい。前記穴は、定着器(押圧パッド)等への固定用の穴である。穴の大きさ、形状は、設置する定着器等の取り付け箇所の大きさ、形状に合わせて適宜選択される。
本発明の摺動部材の形状は、設置する定着器の形状に合わせて、適宜選択するとよい。
本発明の摺動部材は、摺動方向に直行する方向の少なくとも片方の端部で、かつ摺動相手部材(押圧パット、又は、定着ベルト)に接しない部分が、溶融によって表裏組織が一体化され、当該部分に、定着器への固定用の穴が形成されていることが好ましい。
熱融着は、250〜330℃でされていることが好ましく、260〜330℃でされていることがより好ましい。
本発明における繊維織布の経糸密度としては、20〜200本/インチが好ましく、50〜180本/インチがより好ましい。また、緯糸密度としては、20〜200本/インチが好ましく、50〜180本/インチがより好ましい。
本発明における繊維織布の厚みとしては、0.15〜1.00mmが好ましく、0.2〜0.7mmがより好ましい。
繊維織布の目付量としては、100〜850g/m2が好ましく、200〜400g/m2がより好ましい。
(摺動部材の適用)
本発明の摺動部材は、電池写真画像形成装置の定着器に用いられる摺動部材である。写真画像形成装置としては、特に限定されず、例えば、デジタル印刷機、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置が挙げられる。
本発明の摺動部材は、定着器の押圧パッドと定着ベルト内面との間に設置されるものであり、表組織が、定着ベルト内面と接し、裏組織が、押圧パッドと接するように設置される。従って、本発明の摺動部材において、表組織が摺動面となる。
II.摺動部材の製造方法
以上のような構成を有する本発明の摺動部材は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって得ることができる。
(1)フッ素樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸する工程
(2)裏経糸及び裏緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する工程
(3)(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る工程
(4)(3)で得られた原糸を経糸と緯糸にそれぞれ分け、フッ素樹脂の原糸で織られた表組織と、裏組織とを有する二重織構造の織布を織り上げる工程、及び、
(6)得られた織布から製品の形状を打ち抜き、摺動部材を得る工程
また、本発明の摺動部材を製造する方法は、工程(4)と(6)の間に、下記工程(5)を有することが好ましい。
(5)(4)で織り上げられた織布の一部を、熱プレスにより溶融圧着して表裏組織を一体化する工程
以下、各工程について説明する。なお、本発明の製造方法において使用する原料やその含有量等は、前述のとおりである。
工程(1)(フッ素樹脂フィラメントaの紡糸)
工程(1)では、フッ素樹脂フィラメントaを溶融押出によって紡糸する。
まず、表組織を構成する表経糸及び表緯糸の原糸となるフッ素樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸する。フッ素樹脂フィラメントaの紡糸は、具体的には、例えば、次のようにして行うことができる。
最初に、前述のフッ素樹脂、及び、必要に応じてフィラー等を混合し、フッ素樹脂フィラメント形成組成物を調製する。混合には、公知の混合手段が適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。
次に、前記フィラメント形成組成物について、溶融押出成形を行う。前記押出成形には、公知の押出成形手段が適用可能であり、例えば、単軸押出機と押出成形用の口金ノズルを用いることができる。得られるフィラメントの径は、口金ノズルの孔径及び押出速度などの成形条件を適宜設定して調節することができる。吐出後のモノフィラメントの引張強度を向上させるため加熱延伸することも可能である。温度等の押出成形条件は、フィラメント形成組成物の成分に応じて適宜設定することができる。
工程(2)(フィラメントbの紡糸)
工程(2)では、裏経糸及び裏緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する。裏組織を構成する裏経糸及び裏緯糸の原糸のフィラメントbは、例えば、次のようにして紡糸することができる。裏経糸及び裏緯糸の原糸のフィラメントとしては、前述のように、熱可塑性樹脂フィラメントが好ましい。
工程(2)では、具体的には、まず、前述の熱可塑性樹脂、及び、必要に応じてフィラー等を混合し、熱可塑性樹脂フィラメント形成組成物を調製する。前記混合には、公知の混合手段が適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。
次に、前記フィラメント形成組成物について、溶融押出成形を行う。押出方法については、工程(1)と同様の方法が採られる。温度等の押出成形条件は、フィラメント形成組成物の成分に応じて適宜設定することができる。
工程(3)(フィラメントの撚糸)
工程(3)では、工程(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る。
具体的には、工程(1)及び(2)によって得られたフッ素樹脂フィラメントaとフィラメントbをそれぞれ撚糸機にセットし、巻き取り速度を設定した後、各フィラメントに応じた撚度を仮撚りで付与し、原糸とする。なお、撚糸の方法や撚度、まとめ本数は、前述の、表経糸及び表緯糸、裏経糸及び裏緯糸の項に記載のとおりである。
工程(1)〜(3)について、最終的に、所定のフッ素樹脂フィラメントを撚糸した糸と、裏経糸及び裏緯糸の原糸が得られるのであれば、工程の順は特に限定されない。
工程(4)(織り)
工程(4)では、工程(3)で撚糸された糸を経糸と緯糸にそれぞれ分け、フッ素樹脂の原糸で織られた表組織と、裏組織とを有する二重織構造の織布を織り上げる。工程(4)は、より好ましくは、工程(3)で得られた原糸を経糸と緯糸にそれぞれ分け、フッ素樹脂の原糸で織られた表組織と、熱可塑性樹脂の原糸で織られた裏組織を有する二重織構造の織布を織り上げる工程である。
本発明の摺動部材の元となる織布の織り方は、二重織りであれば、平織りをはじめ、綾織り、朱子織りからなる三原組織のいずれでもよい。なかでも、前述のように、平織り、又は、綾織りが好ましい。更には、面上の凹凸の均等性を考慮した場合、平織りがより好ましい。例えば、裏組織の糸を表組織表面に出さないようにして、摺動性をより高める場合には、綾織がより好ましい。更に、表組織と裏組織は別々の織り方をしても良い。
織機としては、ニードル織機、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機等が挙げられるが、織り速度が速いと織口が安定しないのが一般的なので、ニードル織機、シャトル織機、又は、レピア織機が望ましい。織幅は織布の仕上げ幅によるので、その幅が織れる織機を選択すればよく、定着器用摺動部材の用途としては100mm以上程度の幅が織れる織機であればよい。
織布のメッシュ数は、撚糸後の原糸繊度によって自由に決められるが、前述のようなフィラメント繊度であれば、50〜180メッシュ/インチ程度が一般的で、目開きや開口率の設計によって任意に選択することができる。加えて、経糸と緯糸でインチ当たりの本数を変えることも可能である。また表組織と裏組織のメッシュ数を変えることが可能である。織布表裏のメッシュ数を変えることで、摺動部材としたときの定着ベルト側のメッシュ数と押圧パッド側のメッシュ数を変えることができる。本発明の摺動部材では、滑り性と強度、オイル保持性の観点から、定着ベルト側のメッシュ数を20〜60、押圧パッド側のメッシュ数を30〜120とする事が望ましい。この範囲のメッシュ数以下だと強度やオイルの保持性に懸念があり、この範囲のメッシュ数以上だと滑り性が悪くなったり、織布本来のしなやかさがなくなってしまう恐れがある。
こうして織られた織布は、高温下で使用しても寸法が安定していることが必要な為、工程(5)の前に、ヒートセット加熱工程(4)’を更に行ってもよい。前記ヒートセット加熱工程としては、例えば、温度は150〜200℃、時間は0.5〜16時間程度で、オーブンにて加熱する方法が挙げられる。
工程(5)(織布溶融)
次に、工程(4)で織り上げられた織布の一部を、熱プレスにより溶融圧着して表裏組織を一体化してもよい。溶融圧着することにより、層間の位置ずれや、端部の繊維ほつれをよりよく防止することができる。
工程(5)では、工程(4)で得られた連続した繊維状構造を有する織布の一部を熱プレスにより溶融圧着することが好ましい。より具体的には、前記織布の端部の一方又は両端を一定幅のみ連続溶融することが好ましい。前記一定幅としては、後段の工程(6)で織布から製品形状の打ち抜きをする際に、少なくとも一部の切断面が溶融圧着された部分と重なるような幅であることが好ましい。
連続溶融の方法としては、例えば、織布を供給側ローラに掛け、巻き取り側のローラへ渡し、その際、供給側ローラと巻取り側ローラ間の工程に一対の加熱ローラを設け、溶融したい部分を挟みながら加熱する方法が挙げられる。加熱温度は200〜350℃が好ましく、250〜330℃がより好ましい。加熱時間は織布の送り速度と加熱ローラ間のニップ幅で適宜調整するとよい。
なお(4)で織り上がった連続した織布の幅から摺動部材を2枚以上打ち抜くことができる場合、スリットして予め、織布基材の幅を摺動部材の1枚分が抜ける幅にしておいてから当該工程を行なってもよい。
工程(6)(打ち抜き)
最後に、工程(4)で得られた織布又は工程(5)で得られた織布から製品の形状に打ち抜き、摺動部材を得る。
製品の形状とは、最終的に得られる摺動部材の外周形状である。また、製品の形状への打ち抜きと、同時に又は前後に、固定用の穴を打ち抜いて形成してもよい。
製品の形状への打ち抜きとしては、具体的には、工程(4)で得られた織布から、又は、工程(5)において一部が溶融圧着された織布から、摺動部材を、トムソン型を使ってプレスで打ち抜く方法が挙げられる。前記打ち抜きは、端部の繊維ほつれがより発生しにくくなる点で、工程(5)で得られた織布から行われることが好ましい。
図3は、工程(5)の定寸幅にスリットされ左右両側端部が溶融された織布から、摺動部材を打ち抜く箇所を示す一例の図である。こうして打ち抜かれた摺動部材は、周囲の少なくとも片側端部が帯状に溶融処理されており、帯状部分は溶融によって表裏組織の繊維が略一体化している。なお、略一体化とは、2種の繊維が完全に溶け合っている必要はなく、概ね熱圧着して糸ほつれがなければよい。このように打ち抜きは、少なくとも一部の切断面が溶融圧着された部分となるよう、行われることが好ましい。打ち抜く際には、摺動部材の外周の切断と同時に、摺動部材を押圧パッドに固定する為の穴等を打ち抜いてもよい。固定用の穴は、(5)において表裏組織が一体化した部分が打ち抜かれて形成されることが好ましい。
なお、摺動部材の設計上、多少の糸ほつれがあっても使用上問題にならない場合、(5)の織布溶融工程は必要なく、打ち抜き工程を行ってもよい。
こうして得られた本発明の摺動部材は、端部(切断面)からの繊維ほつれが発生しにくく、繊維層間の位置ずれが生じにくい、定着器用摺動部材として好適に適用される。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<摩擦係数>
摺動性の評価として、ASTM D1894に準拠し、摺動部材から得た試験片について、表面性測定機14FW(新東科学株式会社製)を用いてSUS対サンプルの条件で、摺動側表面(フィラメント1で織成された側の表面)の静摩擦係数と動摩擦係数を測定した。
<実施例1>
(1)フィラメント1の紡糸
テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)(451HP−J、三井デュポンフロロケミカル(株)製、融点310℃、溶融粘度(380℃)104Pa・s)の原料ペレットを、単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において320℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたPFAのモノフィラメントの繊度は21dtexであった。
(2)フィラメント2の紡糸
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(VICTREX PEEK 151G、英ビクトレックス社製、融点343℃)の原料ペレットを、(1)とは別の単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において350℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたPEEKのモノフィラメントの繊度は13dtexであった。
(3)撚糸
得られたフィラメント1とフィラメント2についてそれぞれ12本ずつを撚糸機にセットし、巻き取り速度を600M/minに設定後、フィラメント1には撚度S130回/Mの甘撚りを付与、フィラメント2には撚度S240回/Mの甘撚りを付与した。
撚糸後のフィラメント1の繊度は、260dtexであり、撚糸後のフィラメント2の繊度は、160dtexであった。
(4)織り
撚糸後のフィラメント1と撚糸後のフィラメント2を整経機で巻き上げて経糸とし、緯糸にもフィラメント1とフィラメント2を用意した。次にニードル織機を用いて表裏とも経糸密度53本/インチ、表裏とも緯糸密度32本/インチ、幅120mmの狙い値で平織りによる二重織りを行い、長さ100mまで織り続け、二重織り織布を得た。このとき織機回転数は600rpmであった。
得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地は、経糸密度63本/インチ、緯糸密度38本/インチ、幅は110mmであった。
(5)打ち抜き
上記(4)で得られた織布の幅方向両端の端部から各々30mmを、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて織布を巻き取った。この際、熱ローラの表面温度は320℃、送り速度は10mm/秒で行なった。
その後、幅80mm、長さ360mmの摺動部材をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた摺動部材は、幅80mmのうち、両端15mmは熱によって圧着された状態の為、打ち抜きによる切断面における糸のほつれはなかった。中央部の熱圧着されていない部分の厚さは366μmであった。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.07、静摩擦係数は0.08であった。
<実施例2>
(1)〜(4)の工程において、実施例1におけるフィラメント2として、市販のポリフェニレンサルファイド(PPS)マルチフィラメント(120dtex/72f、融点285℃:グラディオ(商標)KBセーレン株式会社製)を使用した点以外は、実施例1と同様にして、二重織り織布を得た。得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度65本/インチ、緯糸密度41本/インチ、幅は108mmであった。次いで、(5)の工程において、上記で得られた織布の幅方向両端の端部から各々29mmを、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて巻き取った。この際熱ローラの表面温度は290℃、送り速度は10mm/秒であった。その後、幅80mm、長さ360mmの摺動部材をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた摺動部材は、幅80mmのうち、両端15mmは熱によって圧着された状態の為、打ち抜きによる切断面における糸のほつれはなかった。中央部の熱圧着されていない部分の厚さは330μmであった。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.07、静摩擦係数は0.08であった。
<実施例3>
実施例2において(5)の熱ローラの表面温度をPPSの融点以下である270℃とし熱圧着温度のみ変更した。それ以外は実施例2とすべて同じにして、摺動部材を得た。打ち抜きによる切断面における糸のほつれはなかった。
<実施例4>
実施例2において(5)の熱ローラの表面温度をPPSの融点以下である250℃とし熱圧着温度のみ変更した。それ以外は実施例2とすべて同じにして、摺動部材を得た。打ち抜きによる切断面における糸のほつれは多少発生したが、ほつれた糸を手で引っ張ってもそれ以上繊維構造が破壊することはなかった。
<実施例5>
(1)フィラメント1の紡糸
フッ化エチレンプロピレン(FEP)(FEP130−J、三井デュポンフロロケミカル(株)製、融点260℃、溶融粘度(380℃)104Pa・s)の原料ペレットを、単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において280℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたFEPのモノフィラメントの繊度は26dtexであった。
(2)フィラメント2の紡糸
実施例1のフィラメント2と同じものを用いた。
(3)撚糸
得られたフィラメント1とフィラメント2のそれぞれ12本ずつを撚糸機にセットし、巻き取り速度を600M/minに設定後、フィラメント1には撚度S200回/Mの甘撚りを付与、フィラメント2には撚度S240回/Mの甘撚りを付与した。
(4)織り
撚糸後のフィラメント1と撚糸後のフィラメント2を整経機で巻き上げて経糸とし、緯糸にもフィラメント1とフィラメント2を用意した。
次にニードル織機を用いて表裏とも経糸密度50本/インチ、表裏とも緯糸密度50本/インチ、幅120mmの狙い値で平織りで二重織りを行い、長さ100mまで織り続け、二重織り織布を得た。このとき織機回転数は600rpmで実施した。
得られた生地に対して170℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度60本/インチ、緯糸密度58本/インチ、幅は106mmであった。
(5)打ち抜き
上記(4)で得られた織布の幅方向両端の端部から各々28mmを、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて織布を巻き取った。この際熱ローラの表面温度は260℃、送り速度は10mm/秒であった。
その後、幅80mm、長さ360mmの摺動部材をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた摺動部材は、幅80mmのうち、両端15mmは熱によって圧着された状態の為、打ち抜きによる切断面における糸のほつれはなかった。中央部の熱圧着されていない部分の厚さは419μmであった。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.11、静摩擦係数は0.14であった。
<比較例1>
フィラメント1として、マトリックス紡糸法から製造されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維トヨフロン(商標:東レ・ファインケミカル株式会社製、融点327℃、溶融粘度(380℃)109Pa・s)のマルチフィラメント市販品の400dtex/60fを使用した。
フィラメント2として溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維トルコン(商標:東レ株式会社製、融点285℃)のマルチフィラメント市販品の220dtex/50fを使用した。
撚糸、織りについては、実施例1と同様な方法で行い、得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度69本/インチ、緯糸密度43本/インチ、幅は100mmであった。
(5)打ち抜き
上記で得られた織布の幅方向両端の端部から各々25mmを、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて巻き取った。この際熱ローラの表面温度は330℃、送り速度は10mm/秒で行なった。
その後、幅80mm、長さ360mmの摺動部材をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた摺動部材は、幅80mmのうち、両端15mmは熱によって圧着された状態ではあったが、打ち抜きによる切断面における糸のほつれが発生していた。ほつれた糸を手で引っ張ったところ、糸抜けが発生してしまった。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.06、静摩擦係数は0.09であった。
(耐久評価)
実施例1〜5および比較例1で各々得られた摺動部材を、定着ユニットのベンチ試験機にて、フィラメント1で織成された側の表面が定着ベルトと接するように設置し、媒体を通紙せずに空回転で1000時間連続運転して、連続運転開始時と後の摺動部材の変化について評価した。なお、摺動部材において、試験機に設置する前に、フィラメント1で織成された側の表面に潤滑剤(ジメチルシリコーンオイルKF−96−300cs、信越化学工業(株)製)を20g/m2含浸塗布した。
いずれの摺動部材とも、摺動性やオイル保持性の点では、連続運転開始時と後で特に変化はなく、問題は生じなかったが、比較例1については、部分的にメッシュの大きさが違う場所が現れ、耐久評価試験中に表裏面繊維層の間で位置ずれが生じているのが確認できた。実施例1〜5については、部分的にメッシュの大きさが異なる場所は現れず、耐久評価試験中に表裏面繊維層の間で位置ずれは生じなかった。
*表中、繊維のほつれについては、下記の基準による評価結果を示す。
◎:切断面における糸のほつれがなかった。
○:切断面における糸のほつれが発生したが、ほつれた糸を手でひっぱってもそれ以上繊維構造が破壊しなかった。
×:切断面における糸のほつれが発生し、ほつれた糸を手で引っ張ると、糸抜けが生じた。
本発明の摺動部材は、デジタル印刷機、複写機、レーザービームプリンター等の電子写真方式を用いた画像形成装置の定着摺動部材に適用できる。また、本発明の摺動部材は、低摩擦で固着しないことを利用して、例えばベアリングシートや自動車ウインドウのスタビライザー、家具など質量物の下においてその移動を補助するなど、各種摺動材として、広く適用できる。
1 摺動部材
2 押圧パッド
3 定着ベルト
4 加熱ロール
5 トナー
6 記録媒体
7 表経糸
8 裏経糸
9 表緯糸
10 裏緯糸
11 溶融箇所
12 摺動部材打ち抜き箇所(点線囲み部分)
a 織布織り方向

Claims (10)

  1. 表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造の繊維織布からなり、
    前記表経糸及び表緯糸が、フッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸であり、
    前記表組織が、摺動面である、摺動部材。
  2. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及び、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記裏経糸及び裏緯糸が、熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる糸である、請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、及び、液晶ポリマーからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項3に記載の摺動部材。
  5. 前記繊維織布が、平織りの二重織り、又は、綾織りの二重織りである、請求項1〜4のいずれかに記載の摺動部材。
  6. 前記繊維織布の少なくとも一部の端部が熱融着している、請求項1〜5のいずれかに記載の摺動部材。
  7. 表経糸及び表緯糸と、裏経糸及び裏緯糸の少なくとも一方が、フィラーを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の摺動部材。
  8. 摺動方向に直行する方向のすくなくとも片方の端部で、かつ、摺動相手部材に接しない部分が溶融によって表裏組織が一体化され、前記部分に固定用の穴を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の摺動部材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の摺動部材の製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする、摺動部材の製造方法。
    (1)フッ素樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸する工程、
    (2)裏経糸及び裏緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する工程、
    (3)(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る工程、
    (4)(3)で得られた原糸をそれぞれ経糸と緯糸に分け、フッ素樹脂の原糸で織られた表組織と、裏組織とを有する二重織構造の織布を織り上げる工程、及び、
    (6)得られた織布から製品の形状を打ち抜き、摺動部材を得る工程
  10. 下記の工程(5)を工程(4)と(6)の間に有する、請求項9に記載の摺動部材の製造方法。
    (5)(4)で織り上げられた織布の一部を、熱プレスにより溶融圧着して表裏組織を一体化する工程
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