JP4923525B2 - 半導電性ベルトおよび画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置で用いられる半導電性ベルトに関し、特に、弾性材からなる半導電性ベルト及びこれを用いた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、感光体ドラム等の像担持体上に画像を形成し、この画像を半導電性ベルト(中間転写ベルト)を介して記録材に間接的に転写するものや、半導電性ベルト(用紙搬送ベルト)上の記録材に直接転写するものが既に提供されている。特に近年、高品質の転写画質を得るために、トナーとして小径の球状トナーを用いる傾向がある。このように小径化、球状化されたトナーは移動し易いために、転写電界によって飛び散ってしまう問題が発生し易い。
中間転写ベルト(あるいは用紙搬送ベルト)において、像担持体からの画像の転写性能を良好に保つという観点からすれば、第1の課題として、中間転写ベルト(あるいは用紙搬送ベルト)と像担持体とのニップ域や、中間転写ベルト(あるいは用紙搬送ベルト)と転写部材とのニップ域に十分な圧力をかけ、且つ密着性を上げることが必要である。また、第2の課題として、中間転写ベルト(あるいは用紙搬送ベルト)の体積抵抗率を1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲の半導電性領域に制御し、且つそのバラツキを抑えることが必要である。
上記第1の課題を解決するため、半導電性ベルトのベルト基材自体を柔軟なゴムなどの弾性材料で形成したものが既に提供されている。しかし、柔軟なゴムを用いる場合には、低伸び時の応力が小さく、永久伸び率(クリープ性)が大きいためにベルトテンションによりゴムが伸びて(変形して)しまい、経時で色ずれなどの問題が発生し、ベルト寿命が短くなる問題がある。また、柔軟なゴムを用いたベルトは、対向する部材(像担持体等)と接する際に、部材との摩擦やベルト表面の粘着性により表面に沿った方向に変形し、元に戻ろうとする応力が発生するために、半導電性ベルト表面と対向する部材との間で微小な滑りが生じ(以下、「マイクロスリップ」と呼ぶ)、カラーレジずれが発生する問題がある。
ゴムを使用したベルトの伸びを抑制する例としては、ベルトの伸び止めとして糸を使用し、糸を巻いて成型する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。このベルトは、エラストマーあるいは樹脂等からなる基層内部に、織物状にした繊維を螺旋状等にした芯体を埋め込んで中間転写体とした構成を有している。しかし、糸を使用したベルトは、ドラムに糸を巻くのに非常に時間がかかりコスト高となるので、量産には不向きである。
更に、ベルトの伸び止めとして織物を使用し、織物にゴムを塗布して無端ベルトを成型する方法が知られており、具体的には1層以上の繊維層と、この繊維層の片面又は両面に積層された弾性層とを有する中間転写部材が提案されている(例えば特許文献2参照)。また、内部に芯体層を有し、繊維相互の間隔が50μm以上3000μm以下である弾性層及び被覆層を含む2層以上の層構成を有する中間転写ベルトが提案されている(例えば特許文献3参照)。しかし、いずれの場合も、織物を無端状にするため、袋織りにする必要があるが、その際、織密度を一定にするのが非常に困難である。その結果、中間転写ベルトとして使用した時に織密度の不均一性により画像ムラが発生する欠点がある。
これらの成形方法の欠点を解消する方法として、アクリルゴムをトルエン等の溶剤で糊状にしたゴム糊に、カーボンブラックや繊維形状の充填剤を混入させて成型後溶剤を飛ばす方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、この方法では、ゴムを糊状にして成形する際、繊維形状の充填剤の分散が不均一となり、中間転写ベルトとして使用した時に画像ムラを発生する欠点がある。またトルエン等の溶剤を飛ばすのに時間がかかるため、コスト高となり量産には不向きである。更に、ゴムをトルエン等の溶剤で糊状にすることにより、火災防止等の処置をする必要があり、そのための設備費が別途掛かるなどの問題がある。
次に、上記第2の課題を解決する方法としては、ゴムにカーボンブラックや酸化錫等の導電性金属酸化物など導電剤を添加する方法が知られているが、体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲の半導電性領域は抵抗制御の難しい領域であり、所望の抵抗値を安定して得ることができない場合がある。これはカーボンブラックなどの導電剤をゴム中に均一に分散させることが難しく、分散不良が生じてしまうためである。
例えば、カーボンブラック等を分散したクロロプレンゴム等の弾性体を用いた転写搬送ベルトがすでに知られているが、通常のゴムに通常の導電性カーボンブラックを添加しても、所望の抵抗値を安定して得ることがほとんどできない。すなわち、弾性ベルトの抵抗のバラツキを1桁(logΩcm値)以内に安定させて製造することが難しく、抵抗の面内バラツキが1桁以上大きい場合には、転写電圧が均一に印加できないため転写画質が安定しないという問題がある。更に、トナー画像を転写材に転写するためには1kVから5kVの転写電圧を印加しなければならないが、この印加電圧によってベルトの抵抗値が変化してしまい、転写材のある部位と転写材のない部位とで抵抗値にバラツキを生じるという問題が発生する。
また、半導電性ベルトのベルト基材としてクロロプレンゴムとエチレンプロピレンジエンゴムとの混合基材を用いるようにすれば、優れた耐オゾン性と難燃性を発揮できると共に、前記ブリード現象を有効に回避できる技術が既に提供されている(例えば特許文献5参照)。またこの特許文献5には、ベルト基材中にアセチレンブラック、ファーネスブラックとアセチレンブラック、又は、アセチレンブラックとケッチェンブラックとを分散させることにより、経時での電気抵抗の変動を抑えることができる点も開示されている。
しかしながら、このようにカーボンブラックや金属化合物などのフィラーをベルト中に分散させた場合は、フィラーの分散状態に起因するベルト内の抵抗バラツキが約1桁以上と大きいこと、フィラーとフィラーとの間における微小な絶縁破壊や通電によるフィラーの再配列などによるベルトの低抵抗化が経時で発生することなど、従来の半導電性ベルト同様の問題があった。このように、プリントアウトを行うと経時におけるベルトの体積抵抗率が部分的に、あるいは全体的に良好な体積抵抗率の幅から外れてしまい、画像品質を低下させるという問題があった。
一方で、半導電性領域での抵抗値を制御する方法として、イオン伝導性を有するゴム、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やエピクロルヒドリンゴム(ECO)等を単独で用い、導電剤を添加する方法が知られている。
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)は、アクリロニトリル含有量が15質量%以上50質量%以下の範囲の間で使用されているのが一般的である。アクリロニトリル含有量が前記割合であった場合、その体積抵抗率は高抵抗領域(10Ωcm程度以上1012Ωcm程度以下の範囲)で安定してしまい、単独で使用した場合には、電気抵抗の調整幅が狭い、電気抵抗の環境依存性が大きい(高温高湿環境での抵抗値と低温低湿環境での抵抗値との差が大きい)などの問題がある。
そこで、NBRに、カーボンブラック及びイオン導電剤(第四級アンモニウム塩等)を配合させる技術が提案されている(例えば特許文献6参照)。この方法では、カーボンブラックによる電子伝導と、イオン導電剤によるイオン伝導とにより、抵抗値を所定の中抵抗領域(10Ωcm程度以上1012Ωcm程度以下の範囲)に制御することが可能である。しかしながらこの場合、マトリックスとなるNBRは前述のように高抵抗領域で体積抵抗が安定してしまうためカーボンブラック及びイオン導電剤を多量配合しなければならず、イオン導電に依存した導電態様とすると、イオン導電剤の添加量が過大となりブルーミング(滲出)等の問題が生じる。また、カーボンブラックによる電子伝導に依存した導電態様とすると、カーボンブラックの添加量や分散状態の影響で電気抵抗のばらつきが大きくなってしまうという問題が生じる。さらに、カーボンブラックによる電子伝導に依存した導電態様は、電気抵抗の電圧依存性も大きいため、電圧の変化によって抵抗値が変動しやすいといった問題が生じる。
またエピクロルヒドリンゴム(ECO)は、エピクロルヒドリンの単独重合体若しくはエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドの共重合体等が挙げられ、エチレンオキサイドを共重合させたものは、その組成中のエチレンオキサイド含有量が高いものほど抵抗値が低くなる。ECOは、エチレンオキサイド含有量が20モル%以上65モル%以下の範囲の間で使用されているのが一般的である。エチレンオキサイド含有量が前記割合であった場合、体積抵抗率は低抵抗領域(10Ωcm程度以上10Ωcm程度以下の範囲)で安定するが、高温高湿の環境及び低温低湿の環境での抵抗率の常用対数の差が2以上もあり、環境依存性が大きいという問題点がある。
そこで、ECOにイオン導電剤(第四級アンモニウム塩等)を配合させる方法が知られている(例えば特許文献7〜10参照)。この方法では、イオン伝導性が高いECOの性質に加え、イオン導電剤の効果により抵抗値を所定の抵抗領域に制御することが可能である。この場合ECO自体のイオン導電性が高いため、電気抵抗のばらつきや電圧依存性といった問題は起こりにくい。しかしながら、やはり電気抵抗の環境依存性が大きいため、温度や湿度の変化によって電気抵抗が変動しやすいといった問題が生じる。
特開平9−251246号公報 特開平10−232572号公報 特開平11−84901号公報 特開平10−48963号公報 特開平9−179414号公報 特開平06−264918号公報 特開平06−264919号公報 特開平10−045953号公報 特開平10−221927号公報 特開2000−274427号公報
本発明は以上の技術的課題を解決するためになされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、弾性ベルトの低伸び時の応力を大きくし、永久伸び率を小さくし、更に、マイクロスリップの発生を少なくし、長期にわたり安定で良好な均一転写性と画像品質とを得ることのできる半導電性ベルトおよびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の本発明により達成される。
即ち、本発明は、
<1> 基材と表面層とを有する半導電性ベルトにおいて、前記基材は、イオン伝導性を有するゴムと、成形の際に加えられる温度の熱によって軟化する非繊維形状の樹脂と、成形の際に加えられる温度の熱でも形状が維持されて成形の際に外力が加えられる方向に配向し且つ前記ゴムと架橋してなる繊維形状の樹脂とが含有されてなり、導電剤が含有されず、前記基材のデュロメータ硬さがA50/S以上A85/S以下の範囲であり、且つ前記半導電性ベルトの3%伸び時の引張応力が4Mpa以上25MPa以下の範囲、3%伸び時の永久伸び率が2%以下の範囲である半導電性ベルトである。
<2> 前記基材は、ゴム100質量部に対し、非繊維形状の樹脂が25質量部以上50質量部以下の範囲、繊維形状の樹脂が20質量部以上30質量部以下の範囲で含有されてなる前記<1>に記載の半導電性ベルトである。
<3> 前記ゴムがエピクロルヒドリンゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムとを含んでなる前記<1>または<2>に記載の半導電性ベルトである。
<4> 前記基材の体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲である前記<1>から<3>のいずれか1項に記載の半導電性ベルトである。
<5> 前記表面層としてフッ素樹脂を含有してなる樹脂層を設けてなる前記<1>から<4>のいずれか1項に記載の半導電性ベルトである。
<6> 体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲である前記<1>から<5>のいずれか1項に記載の半導電性ベルトである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれか1項に記載の半導電性ベルトを備える画像形成装置である。
<8> 前記半導電性ベルトが複数の張架ロールに張架され、ドラム状の像担持体の形状に沿って接触配置されてなる前記<7>に記載の画像形成装置である。
<9> 前記半導電性ベルトを、中間転写ベルトおよび/または用紙搬送ベルトとして具備する前記<7>または<8>に記載の画像形成装置である。
<10> 下記式(1)で規定される形状係数SFが、140から100の範囲である球状トナーを用いる前記<7>から<9>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
式(1)
SF=[(トナー粒子の最大長)/(トナー粒子の投影面積)]×π/4×100
本発明によれば、転写部でのニップ形状の形成に優れ、像担持体と常時接触していても、半導電性ベルトの伸び(変形)に起因する転写画質の欠陥が著しく少なく、ゴムを用いた場合に発生するマイクロスリップの発生が少ないためカラーレジの悪化を抑制でき、更に経時での電気抵抗の変化の少ない半導電性ベルトを提供することができる。また、この半導電性ベルトは、電子写真装置等の画像形成装置の中間転写ベルト、用紙搬送ベルトとして好適に使用でき、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
<半導電性ベルト>
本発明の半導電性ベルトを、図1を用いて説明する。図1は、本発明の半導電性ベルトの1例を示す断面図であり、この場合の半導電性ベルト1は、表面層2と基材3とからなる2層構造の無端ベルトである。基材3は、イオン伝導性を有するゴムと、成形の際に加えられる温度の熱によって軟化する非繊維形状の樹脂と、成形の際に加えられる温度の熱でも形状が維持されて成形の際に外力が加えられる方向に配向し且つ前記ゴムと架橋してなる繊維形状の樹脂とが含有されてなり、導電剤が含有されず、そのデュロメータ硬さはA50/S以上A85/S以下の範囲である。表面層2はフッ素樹脂を含有する樹脂などの表面エネルギーの小さい材料からなる。また、本発明の半導電性ベルト1は3%伸び時の引張応力が4MPa以上25MPa以下の範囲であり、3%伸び時の永久伸び率が2%以下であり、従来の弾性ベルトに比べて伸びが小さいものである。
なお、本発明で言う「半導電性ベルト」とは、体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であるベルトを意味する。
基材3をゴムと非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂とが含有されてなる構成とすることで、低伸び時の引張応力を大きくすることができ、且つ永久伸び率を小さくすることができる。また、非繊維形状の樹脂は製造時の加工性を改善することができ、半導電性ベルト1を量産性良く製造することができる。
また、基材3には導電性を付与するためのカーボンブラック、金属酸化物等の固体を含有せず、前述の引張応力及び永久伸び率を有しながらもある程度の柔軟性を持つ半導電性ベルトが得られる。従って、電子写真装置等の画像形成装置の中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとして好適に使用することができる。
なお、本発明の半導電性ベルト1は、基材3と表面層2に加えて弾性層、表面保護層やその他の層を設け、本発明の効果を損なわない範囲でさらに多層化することもできる。以下、本発明の半導電性ベルトの各構成について詳細に説明する。
(基材)
本発明の半導電性ベルト基材はイオン伝導性を有するゴムと、成形の際に加えられる温度の熱によって軟化する非繊維形状樹脂と、成形の際に加えられる温度の熱でも形状が維持されて成形の際に外力が加えられる方向に配向し且つ前記ゴムと架橋してなる繊維形状の樹脂とが含有されてなり、導電剤が含有されず、そのデュロメータ硬さはA50/S以上A85/S以下の範囲である。一般に、ゴムの低伸び時の引張応力を向上させる為には、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、酸化チタン等の絶縁性の無機系充填剤を多量に充填することが知られており、更に引張応力を向上させる為には繊維形状の無機系充填材を添加することが知られている。しかし、これらの無機系充填剤および繊維形状の充填剤の使用は、充填量が多くなるとベルト物性、混練り加工性や成型加工性を著しく悪化させてしまう。
そこで本発明では、これら無機系充填剤に替わり、後述する非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂をゴムに含有させる。非繊維形状の樹脂は、混練り時の熱によって軟化して低粘度化するため混練り加工性が改良でき、ゴムの硬化後には低伸び時の引張応力の向上も良好な結果を示す。その結果、ゴムを使用しても中間転写ベルトとして必要な低伸び時の高い引張応力と永久伸び率の両特性を満足させることができる。
また、繊維形状の樹脂を、その長軸がベルト表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向させることで、基材の変形を抑制することができ、基材として単純に弾性材料を用いた場合に発生してしまうマイクロスリップの問題が生じなくなる。
−ゴム−
基材を構成するゴムは、単独で導電性を有するゴムであり、例えばエピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、多硫化ゴム(T)、ウレタンゴム(U)等が、抵抗値の制御性、ベルト加工性の観点からも好ましい。これらのゴムを使用することで、カーボンブラックなどの導電剤を配合する事無く、目的とする半導電性領域の体積抵抗を得ることができる。そのため、本発明により得られる基材はゴム特有の柔軟性を犠牲にする事無く、面内抵抗ムラの少ない基材となる。
これらのゴムは、単独で使用することもできるが、混合して使用することが好ましい。混合して使用する場合は、相対的に導電性の高いゴムが他のゴムよりも大きい質量比となるように混合することが好ましい。例えばECOとNBRとを混合して使用する場合、その質量比(ECO/NBR)は50/50から90/10の範囲が好ましく、60/40から80/20の範囲がより好ましい。質量比が50/50未満の場合には所望の体積抵抗値が得られない場合があり、90/10を超える場合には加工性に問題が発生する場合がある。
−非繊維形状の樹脂−
非繊維形状の樹脂は、ベルト成形加工時には軟化剤として作用し、混練り加工性を改善することができる。さらに、ベルト成型加工後は不定形となり、ゴムと架橋して硬度・耐摩耗性を改善するとともに引張応力と永久伸び率を改善することができる。非繊維形状の樹脂はゴムと相溶しないので、成形された基材には海島構造が形成され、ゴムの海部中に、樹脂が不定形の島部として存在する。
なお、ここで言う「不定形」とは、半導電性ベルト中に含有されるどの非繊維形状の樹脂についても形状が一定ではなく、多様な形状を有していることを意味する。また、前記海島構造の形成は、成形された基材表面から薄片を切り出し、顕微鏡によって観察することで確認することができる。
非繊維形状の樹脂としては、例えばフェノール樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、反応性モノマー等の熱硬化性樹脂、あるいはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、熱可塑性ウレタン等の熱可塑性樹脂等が挙げられ、ベルト成形加工時の加熱温度である100℃以上160℃以下の温度範囲で低粘度化するものが好ましく使用できる。具体的には、ヘキサミンで表面処理されたフェノール樹脂である住友ベークライト社製のPR−12686、PR−13349、PR−13355などが好ましく用いられる。これらは1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
半導電性ベルト作製時に使用する非繊維形状の樹脂の体積平均粒径は、1μm以上2000μm以下の範囲であることが好ましく、5μm以上1000μm以下の範囲であることがより好ましい。体積平均粒径が1μm未満の場合、加工性が悪化する場合があり、2000μmを超えると分散不良が発生する場合がある。
非繊維形状の樹脂のゴムに対する添加量は、ゴム100質量部に対して20質量部以上60質量部以下の範囲であることが好ましく、25質量部以上50質量部以下の範囲であることが更に好ましい。添加量が20質量部未満の場合には、加工性は良好になるが、得られる半導電性ベルトの引張応力及び永久伸び率が悪化する場合がある。一方、添加量が60質量部を越えると、非繊維形状の樹脂の特性が支配的になりゴムの特性が生かされず、半導電性ベルト表面に割れなどが生じる場合がある。
−繊維形状の樹脂−
繊維形状の樹脂は、長さが0.1mm以上20mm以下の範囲であることが好ましく、0.5mm以上10mm以下の範囲であることがより好ましい。長さが0.1mm未満であると、ベルト表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に長軸を配向させることが困難となり、20mmを超えると、長軸がベルト厚み方向への屈曲を生じる場合があるため好ましくない。
繊維形状の樹脂は、繊度が10tex以上60tex以下(1tex=1×10−6kg/m)の範囲であることが好ましく、繊度が20tex以上50tex以下の範囲であることがより好ましい。繊度が10tex未満であると、マイクロスリップを防止するためには基材中に多量配合しなければならず、その結果成形溶液が高粘度となり、成形加工時の加工性が低下してしまう場合があり、繊度が60tex以上であると、ベルト表面の平滑性が損なわれる場合があり、また、基材の加工性が悪くなり成形できなくなる場合がある。
繊維形状の樹脂としては、例えば綿、麻、絹、レーヨン、アセテート、ナイロン、アクリル、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、アラミドなどの樹脂系繊維を挙げることができる。中でも、ベルト成形加工時の加熱温度である100℃以上160℃以下の温度範囲で繊維形状を維持できることから、アラミド繊維が好ましく用いられる。例えば、帝人テクノプロダクト(株)製のテクノーラのような繊維長さ1mm以上6mm以下の範囲のチョプドファイバーなどが好ましく用いられる。
繊維形状の樹脂の添加量は、ゴム100質量部に対して10質量部以上40質量部以下の範囲であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下の範囲が更に好ましい。添加量が10質量部未満の場合には他の補強剤と組み合わせても十分な強度が得られず、40質量部を越えると加工性が悪くなり成型できない。
繊維形状の樹脂を、前述のように、その長軸がベルト表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向させるには、繊維形状の樹脂が成形方向に配向することを利用すればよい。例えば、前記繊維形状の樹脂を含有する液を、円筒形状の金型の外側または内側に形成した層上に回転させながら塗布する方法(遠心成形法)、外側に層を形成した円筒形状の金型を上記繊維形状の樹脂を含有する液に浸漬し引き抜くことで、円筒形状の金型の最外面に塗布する方法(ディップ成形法)などを用いることで、その長軸を基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向させることができる。
このようにして繊維形状の樹脂を、その長軸がベルト表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向させることで、基材の変形を抑制することができ、基材としてゴムのみを用いた場合に発生してしまうマイクロスリップの問題が生じなくなる。
基材の体積抵抗率は、体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲の半導電性領域であることが好ましく、より好ましくは1×10Ωcm以上1×1011Ωcm以下の範囲である。体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であれば、トナー同士の静電的反発力や画像エッジ付近のフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまう問題(ブラー)が発生することが少なくなる。また、上記領域の範囲であれば、半導電性ベルト(特に、中間転写体に適用した場合)の体積抵抗率は、帯電電荷が適当に減衰する範囲に有るので、除電部材を使用せずに連続して画像形成を行うことができる。
本発明では、半導電性領域に体積抵抗値を制御し、環境の変化による電気抵抗のばらつきや電圧依存性が小さくする観点から、前述のイオン伝導性を有するアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とエピクロルヒドリンゴム(ECO)を組み合わせて用いることが好ましい。これにより、カーボンブラックなどの導電剤を配合する事無く、質量比を前述の範囲に制御することで所定の半導電性領域に体積抵抗率を制御することができる。
また、基材には、上記非繊維形状の樹脂、繊維形状の樹脂の他に慣用の添加剤、例えば加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、共架橋剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤等をゴム中に含有させてもよい。これら添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物が使用可能である。加硫剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1質量部以上10質量部以下の範囲である。
前記加硫促進剤としては、例えば、マグネシア(MgO)、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチレンチウラムジスルフィド等のチウラム類、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバメート類、2−メチルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフィンアミド等のチアゾール類、その他のチオウレア類が挙げられる。加硫促進剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5質量部以上3質量部以下の範囲である。
加硫助剤としては、例えば、亜鉛華、酸化亜鉛、金属酸化物ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸が挙げられる。加硫助剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは1質量部以上5質量部以下の範囲である。
前記共架橋剤としては、有機過酸化物による共架橋剤としての、エチレングリコール・ジメタクリレート、トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、多官能性メタクリレートモノマー、トリアリルイソシアヌレート、含金属モノマー等従来から使用されているものが挙げられる。共架橋剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは3質量部以下の範囲である。
前記老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N、N−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン等のアミン類、スチレン化フェノール等のフェノール類、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体等のキノリン類が挙げられる。老化防止剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5質量部以上3質量部以下の範囲である。
前記軟化剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、パラフィンワックスが挙げられる。軟化剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは3質量部以下の範囲である。
前記可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、プロセスオイル等が挙げられる。可塑剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましく、更に好ましくは3質量部以下の範囲である。
本発明の基材は、前記各成分をタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ローラ、押出機等の如き混合機により混合して製造することができる。本発明における基材の製造においては、各成分の混合方法、混合の順序は特に限定されることはない。一般的な方法としては、全成分をあらかじめタンブラー、Vブレンダーなどで混合し、押出機によって均一に溶融混合する方法があるが、成分の形状に応じて、これら成分中の2種以上の溶融混合物に残りの成分を溶融混合する方法を用いることもできる。
基材のデュロメータ硬さは、JIS K6253に準拠した硬さで、A50/S以上A85/S以下の範囲であることを必須の要件とし、より好ましくは、A60/S以上A80/S以下の範囲である。基材のデュロメータ硬さがA50/S未満では、ニップ圧による表面の伸びが大きくなりすぎて転写画質が悪くなるなどの問題が発生する。一方、A85/Sを超えた場合には、柔軟性に乏しくなりニップ形状が確保できないため、転写画質が悪くなるなどの問題が発生する。基材のデュロメータ硬さを上記範囲に調整するには、ゴムの種類を適宜選択し、ゴムに添加する非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂の添加量を上記範囲内で適宜調整すればよく、非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂の添加量を増やすほど、また、繊維形状の樹脂については繊度を大きくするほど、基材のデュロメータ硬さを大きくすることができる。
なお、基材のデュロメータ硬さは、JIS K6253(1997年)に準拠し、シート形状の基材を積層して6mmの厚みとして、タイプAデュロメータを用いてその標準硬さを測定する。
(表面層)
本発明においては、前述の基材の表面にトナー離型性を有する表面層を設ける。表面層に用いる材料としては、フッ素樹脂を含有する樹脂などの表面エネルギーの小さい材料が好適に用いられる。半導電性ベルト表面の表面エネルギーを小さくすることで、該半導電性ベルト表面に汚れが付着しにくくなり、半導電性ベルト表面の汚染を効果的に防止することができる。なお、表面層中には、導電性を発現するためのカーボンブラック等、フッ素樹脂以外の他の成分を含有してもよい。
−樹脂−
樹脂としては、基材との密着性、基材の変形に対する追随性、トナー離型性に優れる材料であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂に、フッ素樹脂などの表面エネルギーの小さい材料や抵抗制御剤(粒子)を分散して形成される。これらの樹脂の中でも、基材との密着性、基材の変形に対する追随性からポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。ポリウレタン樹脂は、長鎖ポリオールを主成分とするソフトセグメントと、イソシアネート化合物を含んでなるハードセグメントとの構成からなるので、基材の変形に容易に追随することができる。更に硬化剤としてブロックイソシアネート化合物を用いることで、基材に含まれる低分子成分の表面層への染み出し(ブリード)を抑制することができる。表面層の形成時には、溶媒に水を用いた材料を用いることが、通常の溶剤系材料と比較して基材の材料に耐溶剤性などの特性を必要とせず、溶剤の空気中への蒸発がないので環境性に優れるなどの優位性がある点から好ましい。
−フッ素樹脂−
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体及びフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体などの樹脂を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面層中に含まれるフッ素樹脂の含有量は特に限定されないが、樹脂100質量部に対して、30質量部以上70質量部以下の範囲であることが好ましく、40質量部以上60質量部以下の範囲であることがより好ましい。表面層中に含まれるフッ素樹脂の含有量が30質量部よりも少ない場合には、半導電性ベルト部材表面の表面エネルギーが大きくなるために、トナーの固着等の汚れが付着しやすくなる場合がある。また70質量部よりも多い場合には、フッ素樹脂以外の成分を表面層中に必要量含有させることができなくなる場合がある。
表面層の厚みは、5μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、15μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましい。表面層の厚みが5μmよりも小さい場合には、半導電性ベルト部材表面の汚染防止効果が得られなくなる場合がある。一方、100μmよりも大きい場合には、半導電性ベルト部材の表面の硬度が必要以上に大きくなるために、像担持体表面との十分な密着性が得られなくなる場合がある。
なお、前記表面層の厚みが前記基材の厚みの1/10以下である場合、表面層による半導電性ベルト物性への影響が無視できるようになり、基材の引張応力及び永久伸び率を半導電性ベルト全体の引張応力及び永久伸び率とみなすことができる。
本発明の半導電性ベルトにおける表面層の十点平均表面粗さRzは、1.5μm以上9.0μm以下の範囲であることが好ましく、3.0μm以上6.0μm以下の範囲であることがより好ましい。十点平均表面粗さRzが、1.5μm未満であると、接触部材と密着する懸念があり、十点平均表面粗さRzが、9μmよりも大きい場合には、凹凸部分にトナー及び紙粉等が溜まり易くなり、また、凹凸によって微小な放電ムラが生じたりすることにより、時間の経過と共に均一な転写性や画像品質が低下する場合がある。表面粗さRzは、樹脂の種類とフッ素樹脂の添加量によって制御することができ、フッ素樹脂の添加量を増やすことによって表面層の十点平均表面粗さRzは大きくなる。
なお、当該十点平均表面粗さRzとは、JIS B0601(2001年)に規定された表面粗さのことである。
半導電性ベルト表面の汚染を効果的に防止することができる観点から、表面層の水に対する接触角(以下、「接触角」と略す)は、90度以上130度以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは、95度以上125度以下の範囲であり、更に好ましくは、110度以上120度以下の範囲である。表面層の水に対する接触角が90度未満の場合には、半導電性ベルト部材の表面に、トナーの固着等、汚れが次第に付着・蓄積するため、時間の経過と共に均一な転写性や画像品質が低下する場合がある。130度を超える場合には、半導電性ベルト表面に転写したトナーが保持されづらくなり、均一な転写性が低下する場合がある。接触角は、樹脂の種類とフッ素樹脂の添加量によって制御することができ、フッ素樹脂の添加量を増やすことによって水に対する接触角を大きくすることができる。
なお、表面層の接触角はゴニオメーター等を用いて測定することが出来る。
以上説明した構成を有する本発明の半導電性ベルトは、3%伸び時の引張応力が4Mpa以上25MPa以下の範囲であることを必須の要件とし、5MPa以上20MPa以下の範囲であることがより好ましい。
3%伸び時の引張応力が4MPaに満たないと、ベルト走行時に、ベルト自体にかかるテンションによってベルトが伸びる問題等が発生し、25MPaを超えると、ベルトテンションを得るための荷重が大きくなるため、その荷重に耐え切れずに装置が壊れ、荷重に耐え得るようにすると装置が大型化してしまう問題等が発生する。
また、本発明の半導電性ベルトは、保管時におけるベルトの周長変化を抑制する観点から、上記3%伸び時の引張応力に加えて1%伸び時の引張応力が2MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることがより好ましい。1%伸び時の引張応力が2MPaに満たないと、ベルト保管時にベルトが伸びてしまう問題等が発生する場合がある。
さらに、本発明の半導電性ベルトは、3%伸び時の永久伸び率が2%以下であることを必須の要件とし、1%以下であることがより好ましい。3%伸び時の永久伸び率が2%を超えると、ベルト走行時にベルトテンションによってベルトが伸びる問題等が発生する。
半導電性ベルトの3%伸び時の引張応力及び永久伸び率、1%伸び時の引張応力は、ゴムの種類を適宜選択し、ゴムに添加する非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂を前述の範囲内で適宜調整することで制御することができ、非繊維形状の樹脂と繊維形状の樹脂の添加量を多くするほど、半導電性ベルトの3%伸び時の引張応力及び1%伸び時の引張応力を大きくすることができ、かつ、3%伸び時の永久伸び率を小さくすることができる。
本発明の半導電性ベルトの形状は無端状であればよく、フィルム端に接着剤等を介した接着方式など、適宜な接続方式にて形成してシームレス無端ベルトとすることもできる。シームレス無端ベルトは、接合部の厚さ変化がなく任意な部分を回転の開始位置とすることができるため、回転開始位置の制御機構を省略できる利点を有している。
<画像形成装置>
本発明は、上述の半導電性ベルト(例えば、転写搬送ベルト及び中間転写ベルト)を用いた画像形成装置を対象とする。
この場合、本発明は、例えば図2に示すように、像担持体6a及びこれに対向する用紙搬送ベルト5aを有し、像担持体6a上に形成されたトナー像を用紙搬送ベルト5a上の記録材7aに転写する画像形成装置において、前記用紙搬送ベルト5aとして上述した半導電性ベルトを使用することを特徴とするものである。また、本発明の別の態様としては、例えば図3に示すように、像担持体6b及びこれに対向する中間転写ベルト5bを有し、像担持体6b上に形成されたトナー像を中間転写ベルト5bに転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルト5bとして上述した半導電性ベルトを使用することを特徴とするものである。
ここで、半導電性ベルト5aを用紙搬送ベルト(記録材保持ベルト)として使用する態様にあっては、図2に示すように、用紙搬送ベルト(記録材保持ベルト)5a上に記録材7aを保持した後、像担持体6a上のトナー像を転写装置8aにて用紙搬送ベルト(記録材保持ベルト)5a上の記録材7aに転写する。
一方、半導電性ベルト5bを中間転写ベルトとして使用する態様にあっては、図3に示すように、像担持体6b上のトナー像を一次転写装置8bにて半導電性ベルト(中間転写ベルト)5bに一次転写した後、半導電性ベルト(中間転写ベルト)5b上のトナー像を二次転写装置4bにて記録材7bに二次転写する。
また、図2(又は図3)に示す画像形成装置において、半導電性ベルト5a(又は5b)は複数の張架ロール9a(又は9b)に張架され、ドラム状の像担持体6a(又は6b)の形状に沿って接触配置されている態様が好ましい。本態様によれば、半導電性ベルト5a(又は5b)を出来るだけ像担持体6a(又は6b)の形状に沿わせる事で、転写の際のニップ域前後での無駄な空隙による放電をなくし、トナー像の飛び散りを防止することができる。
更に、図2(又は図3)に示す画像形成装置において、像担持体6a(又は6b)並びに半導電性ベルト5a(又は5b)のいずれか一方を駆動源とし、他方を従動回転させるようにする態様が好ましい。本態様によれば、このような駆動構成にすることで、一方の駆動機構を省略することができ、その分、駆動コストを抑制できるほか、半導電性ベルト5a(又は5b)と像担持体6a(又は6b)との駆動干渉からくる半導電性ベルト5a(又は5b)の厚み変動や、プロセス方向の送り変動などの変動要因を除外することができる。
図4は本発明が適用された画像形成装置の別の実施形態を示す。同図において、画像形成装置は、感光体ドラム10と、この感光体ドラム(像担持体)10からトナー像を転写させるために前記感光体ドラム10に一定領域にて感光体ドラム10形状に沿うように接触する中間転写ベルト20とを有する。
本実施の形態において、感光体ドラム10は光の照射によって抵抗値が低下する感光層を備えたものであり、この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10を帯電する帯電装置11と、帯電された感光体ドラム10上に各色成分(本例ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の静電潜像を書込む露光装置12と、感光体ドラム10上に形成された各色成分潜像を各色成分トナーにて可視像化するロータリ型現像装置13と、前記中間転写ベルト20と、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するクリーニング装置17とが配設されている。
ここで、帯電装置11としては、例えば帯電ロールが用いられるが、コロトロンなどの帯電器を用いてもよい。また、露光装置12は感光体ドラム10上に光によって像を書込めるものであればよく、本例では、例えばLEDを用いたプリントヘッドが用いられるが、これに限られるものではなく、ELを用いたプリントヘッドでも、レーザビームをポリゴンミラーでスキャンするスキャナなど適宜選定して差し支えない。更に、ロータリ型現像装置13は各色成分トナーが収容された現像器13aから13dを回転可能に搭載したものであり、例えば感光体ドラム10上で露光によって電位が低下した部分に各色成分トナーを付着させるものであれば適宜選定して差し支えなく、使用するトナーも形状、粒径など特に制限はなく、感光体ドラム10上の静電潜像上に正確に載るものであればよい。尚、本例では、ロータリ型現像装置13が用いられているが、4台の現像装置を用いるようにしてもよい。更にまた、クリーニング装置17については、感光体ドラム10上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式を採用したもの等適宜選定して差し支えない。但し、転写率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング装置17を使用しない態様もあり得る。
また、中間転写ベルト20は、図4に示すように、4つの張架ロール21から24に掛け渡されるものであって、ロータリ型現像装置13とクリーニング装置17との間に位置する感光体ドラム10面に沿う形で所定の接触領域だけ密着配置されている。ここで、この中間転写ベルト20と感光体ドラム10とは夫々別駆動系で駆動されていてもよいが、本実施の形態では、中間転写ベルト20が前述のような構成の半導電性ベルトであり、しかも、感光体ドラム10の周面に沿って接触配置されていることから、中間転写ベルト20は、例えば感光体ドラム10を駆動源として、従動回転するようになっている。
そして、中間転写ベルト20が感光体ドラム10に密着した接触領域の一部には中間転写ベルト20の裏側から一次転写装置としての一次転写ロール25が接触配置されており、所定の一次転写バイアスが印加されている。更に、中間転写ベルト20の張架ロール22に対向した部位には、二次転写装置としての二次転写ロール30が張架ロール22をバックアップロールとして対向配置されており、例えば二次転写ロール30に所定の二次転写バイアスが印加され、バックアップロールを兼用する張架ロール22が接地されている。
更にまた、中間転写ベルト20の張架ロール23に対向した部位には、ベルトクリーニング装置としてのクリーニング部材26が配設されており、このクリーニングロール26には所定のクリーニングバイアスが印加され、張架ロール23が接地されている。また、用紙などの記録材40は、供給トレイ41に収容されており、ピックアップロール42にて供給された後、レジストロール43を経て二次転写部位に導かれ、搬送ベルト44を通じて定着装置45へ搬送され、搬送ロール46及び排出ロール47を経て排出トレイ等の機外へと排出されるようになっている。
次に、この画像形成装置の作動について説明する。図4において、画像形成装置が作像動作を開始すると、感光体ドラム10上の各色成分トナー像が順次形成され、一次転写ロール25の転写電界により中間転写ベルト20上に順次一次転写される。しかる後、この中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は二次転写ロール30の転写電界により記録材40に二次転写され、定着工程へと運ばれる。
感光体ドラム10と中間転写ベルト20とを常時接触配置したとしても、前記ブリード現象を防止することができるため、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とを離間させるリトラクト機構が不要になり、ベルト基材3として安価な弾性材を使用できることに合わせて、リトラクト機構を設けなくて済む分コストダウンを図ることが可能になる。
更に、本実施の形態モデルにあっては、感光体ドラム10の駆動により、中間転写ベルト20を従動回転させるようにしたため、中間転写ベルト20の駆動制御コストを大幅に削減できる。更にまた、一次転写での中間転写ベルト20の感光体ドラム10への接触幅が例えば50mm以上と非常に広く設定されるため、中間転写ベルト20に対し安定した従動が実現でき、しかも、転写ニップ域前後での無駄な空隙がない分、放電によるトナーの飛び散りがない状態で一次転写される。特に、本実施の形態では、感光体ドラム10と中間転写ベルト20との転写ニップ域を広く確保するようにしているため、転写ニップ域の圧力を低減することが可能になり、その分、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とが完全に密着する事態はより確実に回避される。
尚、本実施の形態においては、感光体ドラム10と中間転写ベルト20とはオーバーラップした状態で接触配置されており、しかも、中間転写ベルト20が感光体ドラム10からの駆動力に基づいて従動回転するようになっているが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム10、中間転写ベルト20が別々の駆動系を持ち、しかも、感光体ドラム10に対して中間転写ベルト20を線接触させるようにした態様にも本件発明を適用できることは勿論である。
更に、本発明の半導電性ベルトを、画像形成装置内の中間転写ベルトや転写搬送ベルトとして組み込んで利用する場合には、トナーとして球状トナーを用いることが好ましい。トナーとして球状トナーを用いることにより、転写面を構成する材料が、表面硬度が低く、かつ高体積抵抗であることによって、画質欠陥(ホロキャラクター、ブラー、カラーレジ)ない高品質の転写画質を得ることができる。
ただし、当該球状トナーとは、その形状係数SFが、140から100であることを意味する。該形状係数としては、130から100であることが好ましく、120から100であることがより好ましい。この平均形状係数SFが140より大きくなると転写効率が低下してしまい、プリントサンプルの画質の低下が目視で確認できてしまう。
ここで、前記形状係数SFは、下記の式で規定される係数である。
SF=[(トナー粒子の最大長)/(トナー粒子の投影面積)]×(π/4)×100
なお、トナー粒子の最大長、および、トナー粒子の投影面積の測定は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いてスライドガラス上に散布した100個のトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、画像処理することにより実施できる。
球状トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる。この球状トナーは、体積平均粒径が好ましくは2μm以上12μm以下の範囲の粒子、画質の点で、より好ましくは3μm以上9μm以下の範囲の粒子を用いることができる。
結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
球状トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機微粒子等、公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては公知のものを使用することができ、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。
他の無機微粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均1次粒径が40nm以下の小径無機微粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機あるいは有機微粒子を併用してもよい。これらの他の無機微粒子は公知のものを使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、メタチタン酸、酸化亜鉛、ジルコニア、マグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
球状トナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、公知の方法により得ることができる。具体的には、例えば結着樹脂及び着色剤と、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、球状トナーを得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂及び着色剤と必要に応じて離型剤及び帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が挙げられる。また上記方法で得られた球状トナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。外添剤を添加する場合、球状トナー及び外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、球状トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
(基材の形成)
=ゴム配合1=
・ゴム:エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン(株)製:Gechron3103):70質量部
・ゴム:アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製、ニポールDN−219):30質量部
・加硫剤:硫黄(鶴見化学工業(株)製:200メッシュ):5質量部
・加硫促進剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興化学工業(株)製、ノクセラ−M):1.5質量部
・加硫助剤:酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:R末、体積平均粒径5μm):5質量部
・老化防止剤:2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノリン重合体(大内新興化学工業(株)製:ノクラック224S):1質量部
・加工助剤:ステアリン酸:1質量部
・可塑剤:ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(大八化学(株)製:DOP):10質量部
・非繊維形状の樹脂:フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製:PR−13349、体積平均粒径200μm):20質量部
・繊維形状の樹脂:長さ1.0mm(繊度:39tex)のアラミド繊維のチョップドストランド(帝人テクノプロダクト(株)製:テクノーラ):20質量部
ここで、前記エピクロルヒドリンゴム中のエチレンオキサイド含有量は35モル%、前記アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリル含有量は33.5質量%である。
上記ゴム配合1の組成物をバンバリーミキサーに投入し、初期温度50℃で2分間混練した後、ゴム組成物を2本ロールにて混練した。得られた混練物をチューブクロスヘッド押出成形機によりチューブ状に成形した。次いで、成形されたブレンドゴムを加硫缶内で温度126℃,圧力1.5kg/cmGの加圧蒸気により加熱し加硫して、基材を形成した。得られた基材を金属製チューブの外側に被せ、表面を研磨加工して基材を作製した。得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。得られた基材は、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率3×10Ωcm、デュロメータ硬さはA65/Sであった。
−体積抵抗率−
体積抵抗率は、円形電極(例えば、ダイヤインスツルメント(株)製、ハイレスタUPMCP−450型URプローブ)を用い、JIS K6911(1995)に従って測定した。前記体積抵抗率の測定方法を、図5を用いて説明する。図5は、円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図5に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと第二電圧印加電極Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極Bとの間に基材Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、基材Tの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式中、tは基材Tの厚さを示す。
式:ρv=19.6×(V/I)×t
計測は、22℃/55%RH環境下にて、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧100(V)を印加し、10秒後の電流値より求めた。作成した基材の長さ方向に3点、周方向に8点の合計24点について計測した平均値を基材の体積抵抗率とした。
−デュロメータ硬さ−
デュロメータ硬さは、JIS K6253(1997)に準拠し、デュロメータタイプA(高分子計器(株)製:ASKER A型)を用いて、その標準硬さを測定した。また、測定には基材のみを積み重ねて6mmの厚さにしたものを用いた。
(表面層の形成)
基材の形成に引き続き表面層を形成する。まず、フッ素樹脂粒子とカーボンブラックとを含有する2液硬化型の水系ウレタン系樹脂混合液を作製する。カーボンブラック(ケッチェンブラックEC:ライオンアグゾ(株)製、体積平均粒径30nm)10質量部を含有する2液硬化型の水系ウレタン系樹脂塗料(エムラロン345:日本アチソン(株)製)と、硬化剤としてのブロックイソシアネート(WH−2:日本アチソン(株)製)を100:10の配合比で混合した溶液に、ウレタン樹脂成分100質量部に対して30質量部となるようにPTFE樹脂粒子(テフロン(登録商標):三井デュポンフロロケミカル(株)製、体積平均粒径0.3μm)を混合した。得られた混合溶液を基材表面にスプレー塗布した後、120℃で15分間加熱・乾燥してフッ素樹脂粒子とカーボンブラックとウレタン樹脂からなる膜厚20μmの表面層を形成した。以上のようにして作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は8×10Ωcmであり、ベルト表面の水の接触角は92度であり、十点平均表面粗さRzは3μmであった。
−水の接触角−
23℃・55%RHの環境下において半導電性ベルト表面に水を滴下し、10秒間放置後の接触角を接触角測定装置(CA−Xロール型:協和界面科学(株)製)を用いて測定した。なお、場所を変えて3回繰り返し測定した平均値をベルトの接触角とした。
−十点平均表面粗さRz−
十点平均表面粗さRzは、JIS B0601(2001)に準拠し、23℃・55RH%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A:東京精密(株)製)を用いて測定した。半導電性ベルト部材の表面粗さ測定に際しては、基準長さを0.8mm、評価長さを4mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用い、場所を変えて3回繰り返し測定した平均値を半導電性ベルト表面の十点平均表面粗さRzとした。
<実施例2>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり30質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率5×10Ωcm、デュロメータ硬さA68/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
カーボンブラックの含有量を15質量部、フッ素樹脂粒子の含有量を40質量部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は7×10Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は105度であり、十点平均表面粗さRzは6μmであった。
<実施例3>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり30質量部、繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり30質量部に変更した以外は、実施例1に同じゴム配合を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率1×1010Ωcm、デュロメータ硬さA72/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
カーボンブラックの含有量を15質量部、フッ素樹脂粒子の含有量を50質量部に変更した以外は実施例1と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は2×1010Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは8μmであった。
<実施例4>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり40質量部、繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり30質量部に変更した以外は、実施例1に同じゴム配合を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率2×1010Ωcm、デュロメータ硬さA78/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
実施例3と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された半導電性ベルトの体積抵抗率は2.5×1010Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは8μmであった。
<実施例5>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり50質量部、繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり30質量部に変更した以外は、実施例1に同じゴム配合を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率3×1010Ωcm、デュロメータ硬さA80/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
実施例3と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された実施例5の半導電性ベルトの体積抵抗率は3.5×1010Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは8μmであった。
<比較例1>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂および繊維形状の樹脂を添加しない以外は、実施例1に同じゴム配合を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率1×10Ωcm、デュロメータ硬さA47/Sの基材を作製した。
(表面層の形成)
実施例3と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された比較例1の半導電性ベルトの体積抵抗率は3×10Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは8μmであった。
<比較例2>
(基材の形成)
基材の形成には以下に記載のゴム配合2を用いた。
=ゴム配合2=
・ゴム:クロロプレンゴム(昭和電工−デュポン(株)製:ネオプレンWRT):80質量部
・ゴム:エチレンプロピレンジエンゴム(住友ゴム(株)製:エスプレン505A):20質量部
・導電剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製:粒状アセチレンブラック、体積平均粒径35nm):30質量部
・加硫剤:粉末硫黄(軽井沢精錬所製):1質量部
・加硫促進剤:ジ−O−トリルグアジニン(大内新興化学(株)製:ノクセラーDT):1質量部
・加硫促進剤:テトラメチルチウラムモノスルフィド(大内新興化学(株)製:ノクセラーTS):1質量部
・充填剤:銅粉末(正同化学(株)製:アエンカ3銅):5質量部

・充填剤:酸化マグネシウム(協和化学(株)製:マグサラット150ST);4質量部・充填剤:シリカ粉末(日本シリカ(株)製:ニプシルVN−3):5質量部
上記ゴム配合2の組成物を用い実施例1と同様にして基材を形成した。得られた基材を金属製チューブの外側に被せ、表面を研磨加工して、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率5×10Ωcm、デュロメータ硬さA60/Sの基材を作製した。
(表面層の形成)
表面層の形成に際してフッ素樹脂の添加量を15質量部とし、硬化剤としてシランカプリング剤(日本アチソン(株)製:WH−1)を用いた以外は実施例1と同様にして膜厚20μmの表面層を形成し、半導電性ベルトを作製した。このようにして得られた半導電性ベルトの体積抵抗率は9×10Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は85度であり、十点平均表面粗さRzは1.0μmであった。
<比較例3>
(基材の形成)
基材の形成には以下に記載のゴム配合3を用いた。
=ゴム配合3=
・ゴム:アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)製:ニポールDN):100質量部
・導電剤:アセチレンブラック(電気化学工業(株)製:粒状アセチレンブラック、体積平均粒径35nm):30質量部
・加硫剤:硫黄(鶴見化学工業(株)製:200メッシュ):5質量部
・加硫促進剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興化学工業(株)製:ノクセラ−M):1.5質量部
・加硫助剤:酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製:R末、体積平均粒系5μm):5質量部
・老化防止剤:2、2、4−トリメチル−1、2−ジヒドロキノリン重合体(大内新興化学工業(株)製:ノクラック224S):1質量部
・加工助剤:ステアリン酸:1質量部
・可塑剤:ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(大八化学(株)製:DOP):10質量部
・非繊維形状の樹脂:フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製:PR−13349、体積平均粒径200μm):40質量部
・繊維形状の樹脂:長さ1.0mm(繊度:39tex)のアラミド繊維のチョップドストランド(帝人テクノプロダクト(株)製:テクノーラ):30質量部
ここで、前記アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリル含有量は33.5質量%である。
上記ゴム配合3の組成物を実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率4×108Ωcm、デュロメータ硬さA90/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムの海構造中に非繊維形状の樹脂の島構造が形成されていた。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
実施例3と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された比較例3の半導電性ベルトの体積抵抗率は9×108Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは5μmであった。
<比較例4>
(基材の形成)
非繊維形状の樹脂を添加せず、繊維形状の樹脂の添加量をゴム100質量部あたり35質量部に変更した以外は、実施例1に同じゴム配合を用い、実施例1と同様にして、厚さ0.5mm、内径140mm、幅320mm、体積抵抗率3×1010Ωcm、デュロメータ硬さA70/Sの基材を作製した。
得られた基材の表面から、ダイヤモンドナイフを取り付けたマイクロトーム(Reichert(株)製、ウルトラカットN)にて膜厚0.1μmの薄片を切り出し、実体顕微鏡(オリンパス(株)製、SZX7)を用いて拡大倍率50倍で観察したところ、ゴムと非繊維形状の樹脂とによる海島構造の形成は確認されなかった。また、繊維形状の樹脂はその長軸が基材の表面に沿った方向(厚み方向に対して垂直な方向)に配向していた。
(表面層の形成)
実施例3と同様にして膜厚20μmの表面層を形成した。以上のように作製された比較例3の半導電性ベルトの体積抵抗率は5×1010Ωcmであり、半導電性ベルト表面の水の接触角は110度であり、十点平均表面粗さRzは7μmであった。
<評価>
実施例1から5及び比較例1から4で得られた半導電性ベルトについて、1%伸び時の引張応力、3%伸び時の引張応力、3%伸び時の永久伸び率、体積抵抗率のバラツキを求めた。また、半導電性ベルトのブリード性、転写画質(ブラー、ホロキャラクター、カラーレジ)を評価した。前述した基材の硬度、体積抵抗率、及び半導電性ベルト表面の水の接触角、表面粗さと共に、これらの結果を表1に示す。
−1%伸び時の引張応力、3%伸び時の引張応力−
半導電性ベルトの引張応力はJIS K6251(2004)に準拠して、作製した半導電性ベルトから打抜き刃型によりダンベル状3号試験片を3個作製し、引張試験機(ストログラフVE10D:東洋精機製作所(株)製)を用いて、1%伸び時及び3%伸び時の引張応力を測定した中央値を引張応力とした。
−3%伸び時の永久伸び率−
半導電性ベルトの3%伸び時の永久伸び率は、張架前のベルト周長に対する、28℃・85%RHの環境において、半導電性ベルトを3%の伸び量で張架して96時間保管した後のベルト周長の伸び率より求めた。
−体積抵抗率・体積抵抗率のバラツキ−
得られた半導電性ベルトの長さ方向に3点、周方向に8点(合計24点)について、前述の方法により半導電性ベルトの体積抵抗率を測定し、その平均値を体積抵抗率とした。また、体積抵抗率の常用対数値の最大値と最小値との差を半導電性ベルトの体積抵抗率のバラツキとした。
−ブリード性−
得られた半導電性ベルトを高温高湿度環境(48℃、90%RHの環境)下で2週間OPC感光体に当接した後、OPC感光体を用いて以下のように画質を評価した。
○:転写画質に問題なし
×:半導電性ベルトを当接した部位の転写画質に問題あり(白抜けが発生)
−転写画質の評価−
得られた半導電性ベルトを、富士ゼロックス(株)Docu Color1255CPを改造した図3に示す構成の画像形成装置に装着し、連続して10000枚出力した後の転写画質を評価した。尚、感光体にはOPC感光体を使用し、トナーとしては、形状係数(SF)132、体積平均粒径5.5μmの球状トナーを使用した。用紙にはA4サイズのJ紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)を使用した。
なお、トナーの体積平均粒径は、測定装置としてコールターカウンター(TA−II型:ベックマン−コールター社製)を使用し、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を1.0mg加えた。これを前記電解液100ml中に添加して試料を懸濁した電解液を作製した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャーとして100μm径のアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定して体積平均粒径を求めた。なお、測定した粒子数は50000個である。
[ブラー評価]
ブラー(トナーの飛び散り)の発生状況について、以下の基準により評価した。
○:ブラーの発生なし、またはブラーの発生はわずかであり、画質上での問題なし
×:ブラーの発生があり、画質上での問題あり
[ホロキャラクター評価]
ホロキャラクター(ライン画像の中抜け)の発生状況について、以下の基準により評価した。
○:発生がわずかであり、画質上の問題は少ない
×:画質上の問題あり
[カラーレジ評価]
レジずれの発生状況について、以下の基準により評価した。
○:発生がわずかであり、画質上の問題は少ない
×:画質上の問題あり
Figure 0004923525
表1の結果から、本発明の実施例1から5の半導電性ベルトは、画質欠陥がなく、優れた画質を長期に渡り安定して得られたことがわかる。一方、比較例1及び比較例2の半導電性ベルトは、10000枚の連続用紙走行テストにおいて、基材の永久伸びの影響、マイクロスリップの影響によりカラーレジずれが発生した。また比較例2の半導電性ベルトは、ベルト基材中に分散している低分子オイル成分が半導電性ベルト表面に析出するという所謂ブリード現象の発生も見られた。比較例3の半導電性ベルトは、ベルト硬度が硬いために転写ニップの形成が不十分となり、トナーの飛び散り(ブラー)などの画質欠陥が発生した。比較例4の半導電性ベルトは、非繊維形状の樹脂を添加していないため永久伸び率が悪く、3%伸び時の永久伸び率の計測において基材の破断が発生した。また、転写画質は連続用紙走行に対する耐久性がなく、プリント初期の10枚で画質に欠陥が発生した。
本発明の半導電性ベルトの構成を示す断面図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を示す説明図である。 実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。 体積抵抗率の計測方法を示す図である。
符号の説明
1 半導電性ベルト
2 表面層
3 基材
4b 二次転写装置
5a 用紙搬送ベルト
5b 中間転写ベルト
6a,6b 像担持体(感光体)
7a,7b 記録材
8a 転写装置
8b 一次転写装置
9a,9b 張架ロール
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
13 ロータリ型現像装置
13a イエロー現像器
13b マゼンタ現像器
13c シアン現像器
13d ブラック現像器
17 クリーニング装置
20 中間転写ベルト
21〜24 張架ロール
25 一次転写ロール
26 クリーニング部材
30 二次転写ロール
40 記録材
41 供給トレイ
42 ピックアップロール
43 レジストロール
44 搬送ベルト
45 定着装置
46 搬送ロール
47 排出ロール
48 画像形成装置

Claims (10)

  1. 基材と表面層とを有する半導電性ベルトであって、
    前記基材は、イオン伝導性を有するゴムと、成形の際に加えられる温度の熱によって軟化する非繊維形状の樹脂と、成形の際に加えられる温度の熱でも形状が維持されて成形の際に外力が加えられる方向に配向し且つ前記ゴムと架橋してなる繊維形状の樹脂とが含有されてなり、導電剤が含有されず、前記基材のデュロメータ硬さがA50/S以上A85/S以下の範囲であり、
    且つ前記半導電性ベルトの3%伸び時の引張応力が4Mpa以上25MPa以下の範囲、3%伸び時の永久伸び率が2%以下の範囲であることを特徴とする半導電性ベルト。
  2. 前記基材は、ゴム100質量部に対し、非繊維形状の樹脂が25質量部以上50質量部以下の範囲、繊維形状の樹脂が20質量部以上30質量部以下の範囲で含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の半導電性ベルト。
  3. 前記ゴムがエピクロルヒドリンゴムとアクリロニトリル−ブタジエンゴムとを含んでなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導電性ベルト。
  4. 前記基材の体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導電性ベルト。
  5. 前記表面層としてフッ素樹脂を含有してなる樹脂層を設けてなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導電性ベルト。
  6. 体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1012Ωcm以下の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導電性ベルト。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導電性ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記半導電性ベルトが複数の張架ロールに張架され、ドラム状の像担持体の形状に沿って接触配置されてなることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記半導電性ベルトを、中間転写ベルトおよび/または用紙搬送ベルトとして具備することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 下記式(1)で規定される形状係数SFが、140から100の範囲である球状トナーを用いることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
    式(1)
    SF=[(トナー粒子の最大長)/(トナー粒子の投影面積)]×π/4×100
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