JP3759115B2 - 導電性中間転写ゴムベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真印刷装置の中間転写体に使用される導電性中間転写ゴムベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知の如く、複写機、プリンター、ファクシミリ等のカラーの電子写真印刷装置としては、図5に示す構成のものが知られている。こうした装置においては、現像装置の感光体1からのトナーを感光ドラム2、導電性中間転写ベルト3に順次静電転写し、静電転写したトナーを用紙4に静電転写する手法が採られている。なお、図中の符番5a,5b,5cは前記ベルト3を支持する支持ロール、符番6は前記ドラム2と共にベルト3を挟持する一次転写ロール、符番7は前記支持ロール5aと共にベルト3を挟持する二次転写ロールを示す。ところで、前記ベルト3としては、現在、樹脂フィルム、糸巻のゴムベルト、織物入りのゴムベルトが使用されている。
【0003】
樹脂フィルムを使用したベルトとしては、特に低伸び時の応力が高く永久伸び率(クリープ性)の小さいポリイミド樹脂の無端ベルトが使用されている。しかし、樹脂フィルムを使用したベルトの場合、ポリイミドの樹脂組成の問題から、N−メチルピロリドンの様な有害な溶剤に樹脂を溶解し、被膜化する際、その溶剤をとばし、且つ高温で樹脂を処理する必要がある。従って、多大な設備とともに、成形に費やす時間が大きくかかるとともに、溶剤に対する環境汚染対策を要するという欠点があった。
【0004】
ゴムを使用したベルトの例としては、ベルトの伸び止めとして糸を使用し、糸を巻く手法で成型する方法が知られている(特許文献1)。このベルトは、エラストマーあるいは樹脂等からなる基層内部に、織物状にした繊維を螺旋状等にした芯体を埋め込んで中間転写体とした構成を有している。しかし、糸を使用したベルトは、ドラムに糸を巻くのに非常に時間がかかり、コスト高となるので、量産に不向きである。
【0005】
更に、ベルトの伸び止めとして織物を使用し、織物にゴムを塗布して無端ベルトを成型して得られるゴムベルトが知られている(特許文献2、3)。特許文献2には、1層以上の繊維層と、この繊維層の片面叉は両面に積層された弾性層とを有する中間転写部材について開示されている。特許文献3には、内部に芯体層を有し、繊維相互の間隔が50〜3000μmである弾性層及び被覆層を含む2層以上の層構成である中間転写ベルトについて開示されている。しかし、特許文献2,3の場合、織物を無端状にするため、袋織りにする必要があるが、その際、織密度を一定にするのが非常に困難である。その結果、中間転写ベルトとして使用し画像出しをした時に、画像ムラが発生する欠点がある。
【0006】
これらの成形方法の欠点を解消する方法として、特許文献4が挙げられる。即ち、この方法は、アクリルゴムをトルエン等の溶剤で糊状にしたゴム糊にカーボンブラックや、短繊維を混入させて成型後溶剤をとばす方法である。しかし、この方法では、ゴムを糊状にし、成形する際、短繊維の不均一分散が起こり、画像出しをした時に画像ムラを発生する欠点がある。また、ゴムを糊上にしたトルエン等の溶剤を飛ばすのに時間がかかり、コスト高となり、量産に不向きである。更に、ゴムをトルエン等の溶剤で糊状にすることにより、火災防止等の処置をする必要があり、設備費がかかる等の問題があった。
【0007】
更に、特許文献5には、ゴムに短繊維を混入した例が開示されている。この例は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物の針状生成物からなる導電性の短繊維長さ0.03〜5.0mmにカットした導電性物質を10〜40部ゴムコンパウンドに混入したものである。しかし、この場合、導電性物質の混合比率が大きいと、加工性に問題が生じ、伸び止め効果が期待される短繊維の混合比率が上げられない。その結果、ベルトとした時の永久伸びが大きくなり、使用時に問題が生じる。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−251246(段落[0015]及び図1)
【0009】
【特許文献2】
特開昭平10−232572号(段落[0010]及び図1等)
【0010】
【特許文献3】
特開平11−84901号(特許請求の範囲参照)
【0011】
【特許文献4】
特開平10−48963号(段落[0034]等)
【0012】
【特許文献5】
特許第2996684号(第2頁右欄20〜33行目)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、上述した問題点であるベルト製造での工程を簡素化し、短時間で製造できること、及び製品の要求特性である低伸び時の応力を大きくし、永久伸び率を小さくして色ズレや中ヌケのない安定した導電性中間転写ゴムベルトを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、加工性の良い弾性ゴム材料を使用して低伸び時の応力を大きくし、永久伸び率(クリープ性)を小さくすることで樹脂に近い特性を維持し、製造工程を簡素化して短時間で製造でき、量産性の良い導電性中間転写ゴムベルトを作るものである。
【0015】
ところで、低伸び時の応力を向上させる為には、多量のフィラーを充填することが必要であり、更に応力を向上させるには短繊維を充填することが必要となる。しかし、これらのフィラーや短繊維の充填剤は混練り加工性やプレス成型加工性を著しく悪くするという課題を有している。一方、本発明において、主題である加工性例えば混練り加工性やプレス成型加工性については樹脂を配合することによって、混練り時の熱によって混練り加工性が改良できる。また、プレス成型加工性においては、プレス熱(例えば150℃)でのプレス時の流れ特性が良くなり、カーボンブラックや短繊維の高充填配合の欠点を補うとともに、樹脂の硬化後の低伸び時の応力向上にも良好な結果を示す。その結果、ゴム材料を使用しても中間転写ベルトに必要な低伸び時の高応力と永久伸び率の必要特性を満足させることができる。
【0016】
即ち、本発明に係る導電性中間転写ゴムベルトは、ゴムを100重量部とするゴム配合物に、フェノール樹脂を30〜100重量部、10〜50番手で長さ0.3〜0.6mmのアラミド短繊維を10〜30重量部、導電性材料としてのカーボンブラックを50〜100重量部を配合してなり、永久伸び率が7%以下であり、かつ1%伸び時の応力が20kgf/cm 2 以上で、5%伸び時の応力が150kgf/cm 2 以上であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明において、中間転写ゴムベルトは、請求項3記載のように、1%伸び時の応力が20kgf/cm2以上であり、5%伸び時の応力が150kgf/cm2以上であることが好ましく、23℃−65%(室温)、荷重5kg/cm,96時間放置後の永久伸び率が7%以下であることが最良である。ここで、上記応力の範囲を維持することにより、良好な加工性を保持しつつ十分な応力を得ることができる。
【0018】
本発明において、請求項4記載のように体積抵抗値は102〜1013Ω・cmであることが好ましい。ここで、体積抵抗値が102Ω・cm未満では導電性物質を多量に配合しなければならず物性特にワレ現象が起こり、1013Ω・cmを越えると静電作用が不足しトナーの静電移転が不可能になるからである。
【0019】
本発明において、前記ゴム配合物に含まれるゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、フッ素ゴム(FR)、シリコーンゴム(SiR)、ウレタンゴム(UR)、及びそれらのアロイが挙げられる。
【0020】
本発明において、ゴムの配合剤としては、例えば加硫剤、加硫促進剤、共架橋剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、充填剤が挙げられる。
前記加硫剤としては、例えばイオウ、有機含イオウ化合物、有機過酸化物が使用可能である。加硫剤のゴムに対する添加量は、通常、ゴム100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0021】
前記加硫促進剤としては、例えば、マグネシア(MgO)、テトラメチルチウラムジスルフィード、テトラエチレンチウラムジスルフィド等のチウラム類、ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛等のジチオカーバメート類、2−メチルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフィンアミド等のチアゾール類、その他のチオウレア類が挙げられる。
【0022】
加硫助剤としては、例えば、亜鉛華、金属酸化物ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸が公知として挙げられる。
前記共架橋剤としては、有機過酸化物による共架橋剤としての、エチレングリコール・ジメタクリレート、トリメチロールプロパン・トリメタクリレート、多官能性メタクリレートモノマー、トリアリルイソシアヌレート、含金属モノマー等従来から使用されているものが挙げられる。
【0023】
前記老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、NN−ジ−β−ナフチル−P-フェニレンジアミン等のアミン類、スチレン化フェノール等のフェノール類が挙げられる。
【0024】
前記軟化剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、パラフィンワックスが挙げられる。
前記可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、プロセスオイルが挙げられる。
【0025】
前記補強剤としては、例えばカーボンブラック、ホワイトカーボンが挙げられ、その他短繊維も有力である。ここで、短繊維としては、例えば、10〜50番手で長さ0.1〜10.0mm位、好ましくは0.3〜0.6mmの長さが混練り、プレス成形の加工性と物性のバランスがとれている。前記補強剤のゴムに対する配合量は、ゴム100重量部に対して10〜150重量部が好ましく、30〜100重量部が更に好ましい。ここで、補強剤が10重量部未満では物性値が出ず、150重量部を越えると加工性が悪く成型ができない。
【0026】
本発明において、前記樹脂としては、例えばフェノール樹脂、熱硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、反応性モノマー等の熱硬化性樹脂、あるいはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、熱可塑性性ウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。前記樹脂のゴムに対する配合量は、ゴム100重量部に対して10〜150重量部が好ましく、30〜100重量部が更に好ましい。ここで、樹脂の配合量が10重量部未満の場合、樹脂の量が少なすぎるので、加工性が良くなるが、物性値が悪くなる。一方、樹脂の配合量が150重量部を越えると、樹脂の特性が出すぎてゴムの特性が生かされず、割れなどが生じる。
【0027】
本発明において、前記短繊維としては、例えば綿、麻、絹、レーヨン、アセテート、ナイロン、アクリル、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、アラミド、セラミック繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維が挙げられる。前記短繊維のゴムに対する配合量は、ゴム100重量部に対して5〜50重量部が好ましく、10〜30重量部が更に好ましい。ここで、短繊維が5重量部未満では他の補強剤と組み合わせても十分な物性がでず、50重量部を越えると加工性が悪くなり成型できない。
【0028】
本発明において、前記導電性材料としては、例えば電子系導電剤としてのカーボンブラック、金属酸化物叉は導電処理した金属酸化物が挙げられる。前記導電性材料のゴムに対する配合量は、ゴム100重量部に対して30〜100重量部が好ましく、30〜70重量部が更に好ましい。ここで、導電性材料が30重量部未満では抵抗値が高くなるとともに補強効果も小さく、100重量部を超えると加工性が悪くなり成型できない。
【0029】
本発明において、請求項5記載のように転写ベルトの表面にトナー離型層を設けることが好ましい。この理由は、トナー離型層を設けないと、例えばゴム表面だけではトナーが付着して画像形成に障害が及ぶからである。前記トナー離型層は、例えばトナー離型材料を吹き付け法で塗布する事により形成できるが、これに限定されない。
前記トナー離型層の材料としては、例えば、FEUA変性フッ素樹脂塗料(旭硝子製)、含フッ素ポリオール変性フッ素樹脂塗料(住友精化製)、PUDF変性フッ素樹脂塗料(関西ペイント製)、ポリウレタン変性フッ素樹脂塗料(日本ミラクトラン製、日本ビーケミカル製)、アクリル変性フッ素樹脂塗料(日本アチソン製)、フェノール変性フッ素樹脂塗料(日本アチソン製)、アルキット変性フッソシリコーン塗料(信越化学製)、アクリル変性シリコーン塗料(信越化学製)、水溶性ナイロン(帝国化学製、日本ビーケミカル製)Nメチルメトキシ化ナイロン(帝国化学製、日本ビーケミカル製)が挙げられる。
【0030】
本発明において、中間転写ゴムベルトの表面には、請求項6記載のように転写ベルトの表面に硬度がJISA硬度計で10°〜95°のゴム弾性層を設け、体積抵抗値が106〜1013であることが好ましい。ここで、ゴム弾性層の硬度を上述の様に規定したのは、硬度が10°未満ではニップ圧による表面の伸びが大きくなるためトナー層のヒビ割れが発生し、95°を超えるとゴム弾性が悪くなるため画像形成に障害を及ぼすからである。また、体積抵抗値を上述の様に規定したのは、抵抗値が106未満では電流が流れすぎて他部位の影響を与え画像形成に障害が生じるからであり、抵抗値が1013を越えると静電作用が不足し、静電移転が不可能になるからである。
【0031】
前記ゴム弾性層の上には、請求項7記載のようにトナー離型層を設けることが好ましい。この理由は、トナーによる汚染を防止するためである。
【0032】
本発明において、中間転写ゴムベルトの裏面には、請求8記載のように耐磨耗性ゴム層を設けることが好ましい。これは、ゴムベルトがロール等により回転する際に磨耗するのを減少させるためである。
【0033】
本発明において、請求項9記載のように、中間転写ベルト自体がプレス成型により形成することができる。これは、ベルトの組成の加工性がよいためである。ここで、プレス成型とは、金型を用いて成型加工するものであり、通常のプレス成型、トランスファ成型、射出成型等が挙げられる。
【0034】
本発明において、例えば図4に示すように、ゴム層11の裏面(内側)でかつ該ゴム層11の周方向に沿う片側叉は両端に蛇行防止用突起19を設けることが好ましい。ここで、図4は導電性中間転写ベルトが単層構造の場合であるが、2層構造でも3層構造でも差し支えない。図4のような構成にすることにより、前記ベルトを図5のようなカラー電子写真印刷装置に組み込んで駆動させる際、ベルトの蛇行を防止できる。なお、図4のベルトをプレス金型に組みこむ場合は、図7(A)、(B)に示すように、蛇行防止用突起19に対応するドラム芯金13の表面に蛇行防止用突起19と嵌合する蛇行防止溝21が環状に形成されている。但し、図7(B)は図7(A)の要部の拡大図を示す。
【0035】
本発明において、前記導電性転写ベルトはプレス成型で形成できるが、前記蛇行防止用突起19を備えた導電性転写ベルトも、前記ゴム層11の組成であるゴム材と一体成型で形成することができる。この場合、蛇行防止用突起19の組成は、例えば下記表1に示すような組成となっている。このように、一体成型で形成できるのは、導電性転写ベルトを構成するゴム層や蛇行防止用突起となる層の材料の加工性がよいからである。
【0036】
【表1】
【0037】
本発明において、前記導電性転写ベルトは、請求項10記載のようにプレス成型を溶剤を用いることなく行うことができる。これは、上述したように、導電性転写ベルトを構成するゴム層の加工性が良いからである。
【0038】
以下、本発明に係るエンドレス状の導電性中間転写ベルトの構造及び製造方法について説明する。
1)図1に示すように単層構造の導電性中間転写ベルトの場合:
図1の中間転写ベルト10は、ゴムに樹脂、短繊維及び導電性材料等を配合してなるゴムコンパウンドを所定の厚さ、寸法にして得られるエンドレス状(環状)のゴム層11のみからなるベルトを示す。この中間転写ベルトは、図6(A),(B)のプレス金型12を用いて製造される。プレス金型12は、ドラム芯金13と、このドラム芯金13の内側でかつ幅方向に夫々配置されて該ドラム芯金13を支持するドラム芯金受け14と、前記ドラム芯金13及びドラム芯金受け14の外側に配置された一対の上部用割型15a,下部用割型15bとから構成されている。但し、図6(A)はプレス金型の断面図、図6(B)は図6(A)のX矢視図を示す。
【0039】
まず、混練り後のゴムコンパウンドをカレンダーロールで所定の厚さにゴムシートに分出しする。次に、分出ししたゴムシートを所定の寸法に切断する。つづいて、図6のプレス金型12の一構成であるドラム芯金13に所定の寸法に切断した前記ゴムシートを巻きつける。
【0040】
次に、プレス金型12のドラム芯金受け14を図6(A)のようにセットした後、ドラム芯金13の上下に夫々上部用割型15a,下部用割型15bを配置する。つづいて、プレス金型12を例えば150℃で10分間、50kg/cm2の圧力でプレス成型する。
【0041】
次に、プレス後、脱型してエンドレスのゴムベルト16を作成する。つづいて、このゴムベルト16を研磨機で0.3mm厚さまで研磨する。更に、研磨したゴムベルト16の両端を所定の寸法にカットして導電性中間転写ベルト10を製造する。
【0042】
2)図2に示すように2層構造の導電性中間転写ベルトの場合:
図1の中間転写ベルト20は、ゴム層11の表面にゴム弾性層17を形成した2層構造のエンドレス状のベルト構造となっている。
【0043】
まず、下記表2に示す組成のゴム混合物を混練りし、所定の厚さにカレンダーロールで分出してシートを準備する。次に、上記1)で得られた研磨後のゴムベルトの上に前記シートを巻き、さらにセットする。つづいて、図6のプレス金型12を150℃で10分間、50kg/cm2の圧力でプレス成型する。
【0044】
次に、プレス後、脱型してゴム層11とゴム弾性層17からなる2層構成のエンドレスベルトを作成する。つづいて、このエンドレスベルトを研磨機で0.5mm厚さまで研磨する。更に、研磨したエンドレスベルトの両端を所定の寸法にカットして体積抵抗値3×1011Ω・cmの導電性中間転写ベルト20を製造する。
【0045】
【表2】
【0046】
3)図3に示すように3層構造の導電性中間転写ベルトの場合:
図3の中間転写ベルト30は、ゴム層11の表面にゴム弾性層17、トナー離型層18を順次形成した3層構造のエンドレス状のベルト構造となっている。
この中間転写ベルト30は、上記2)で得られた2層構造のエンドレスベルトにトナー離型剤として、水溶性ナイロン(日本ピーケミカル製)をスプレーガンを使用して8μmの厚さにコートし、乾燥した後、150℃で30分間オーブン中で焼結硬化させることにより、製造する。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の各実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例について説明する。各実施例1〜4、比較例1〜6及び参考例における各組成は下記表3に示すとおりである。下記表3には、混練り加工性、プレス成型性、伸び1%,5%時の応力、永久伸び、印刷画像評価についても示した。なお、永久伸びのテスト条件は、表3の下欄に開示したように、テストピース厚さ0.3mm、幅10mmとし、条件を23℃−55%(室温),重り5kg,96時間とした。
【0048】
また、原料ゴム材としては、NBR(商品名:ゼオン230S、日本ゼオン製)、加硫助剤として酸化亜鉛2種、加硫剤として硫黄、加硫促進剤として商品名:ノクセラーDM−P(大内新興製)、老化防止剤として商品名:ノクラック224S(川口化学製)、加工助剤としてステアリン酸、可塑剤として商品名:DOP(大八化学製)を使用し、補強剤の比較試験を行った。
【0049】
【表3】
【0050】
比較例1の場合、混練り、プレス成型の加工性は良好であったが、物性値として応力、永久伸び率が悪く、当然印刷画像評価も悪かった。なお、比較例1では、導電性材料としてカーボンブラック(商品名:HAF(シースト3)、東海カーボン製)を混練り限界の100重量部用いた。
【0051】
比較例2の場合、混練り、プレス成型の加工性は良好であったが、物性値として応力、永久伸び率が悪く、当然印刷画像評価も悪かった。なお、比較例2では、樹脂として、住友ベークライト製の商品名:スミライトレジン12687を混練り限界の100重量部用いた。
【0052】
比較例3の場合、混練り、プレス成型の加工性は良好であったが、物性値として応力、永久伸び率が悪く、当然印刷画像評価も悪かった。なお、比較例3では、短繊維として、コーネックス繊維の15番手を長さ0.6mmにカットした短繊維を混練り限界の30重量部用いた。
【0053】
比較例4、5の場合、混練り、プレス成型の加工性は良好であったが、物性値として応力、永久伸び率が悪く、当然印刷画像評価も悪かった。なお、比較例4では、カーボンブラックとしての上記HAF、樹脂としての上記スミライトレジン12687、短繊維としての上記コーネックス繊維を用いた。
【0054】
比較例6の場合、混練り、プレス成型の加工性は良好であったが、物性値として応力、永久伸び率が悪く、当然印刷画像評価も悪かった。特に、伸び5%時の応力は3%で破断した。なお、比較例6では、カーボンブラックとしての上記HAF、樹脂としての上記スミライトレジン12687、短繊維としての上記コーネックス繊維を用いた。
【0055】
実施例1の場合、加工性は良好であり、物性値の応力、永久伸び率も良好で印刷画像評価でも色ズレ、中ヌケ等がなく良好な画像が得られた。なお、実施例1及び下記実施例2〜4における上記HAF、スミライトレジン12687、コーネックス繊維の配合量は表1の通りである。
【0056】
また、実施例2〜4の場合も、加工性は良好であり、物性値の応力、永久伸び率も良好で印刷画像評価でも色ズレ、中ヌケ等がなく良好な画像が得られた。
参考例では、混練り、プレス成型の加工性が悪く、またゴムベルトの成型ができず、物性試験印刷画像試験ができなかった。
【0057】
以上の実施例より、実施例2,3,4配合の補強剤のブレンド配合が良く、カーボンブラックはHAF 50〜100重量部の範囲、樹脂は住みライトレジン12687 40〜70重量部の範囲、短繊維は25〜30重量部の範囲であれば、混練り加工性、プレス成型加工性を満足させ、物性値の1%伸び時の応力が20kgf/cm2以上となり、5%伸び時の応力が150kgf/cm2以上となる。また、印刷画像に大きな影響を与える永久伸び率が7.0%から1.8%となり、この範囲に入ったゴムベルトは印刷画像テストも色ズレや中ヌケもなく、満足した画像が得られた。なお、印刷画像評価テストは、図5の電子写真印刷装置でテスト評価を行った。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、所定の硬度のゴムに、樹脂、短繊維、及び導電性材料叉は半導電性材料を配合した構成であるため、通常のゴム加工設備を使用でき、新たな設備を必要とせず安定的に安価なベルト成型ができ、ベルト製造での工程を簡素化、製造の短時間をなし得る。また、製品の要求特性である低伸び時の応力を大きくし、永久伸び率を小さくして色ズレや中ヌケのない安定した導電性中間転写ゴムベルトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるエンドレス状の単層構造の導電性中間転写ゴムベルトの断面図。
【図2】 本発明の一実施形態であるエンドレス状の2層構造の導電性中間転写ゴムベルトの断面図。
【図3】 本発明の一実施形態であるエンドレス状の3層構造の導電性中間転写ゴムベルトの断面図。
【図4】 本発明の一実施形態であるエンドレス状の蛇行防止構造の導電性中間転写ゴムベルトの断面図。
【図5】 図5はカラー電子写真印刷装置の説明図。
【図6】 本発明に係る導電性中間転写ゴムベルトを製造するためのプレス金型の説明図。
【図7】 図4の導電性転写ゴムベルトと図6のプレス金型との関係を示す説明図。
【符号の説明】
10,20,30…導電性中間転写ゴムベルト、 11…ゴム層、
12…プレス金型、 13…ドラム芯金、
14…ドラム芯金受け、 15a…上部用割型、
15b…下部用割型、 16…ゴムベルト、
17…ゴム弾性層、 18…トナー離型層、
19…蛇行防止用突起、 21…蛇行防止溝。
Claims (8)
- ゴムを100重量部とするゴム配合物に、フェノール樹脂を30〜100重量部、10〜50番手で長さ0.3〜0.6mmのアラミド短繊維を10〜30重量部、導電性材料としてのカーボンブラックを50〜100重量部を配合してなり、永久伸び率が7%以下であり、かつ1%伸び時の応力が20kgf/cm 2 以上で、5%伸び時の応力が150kgf/cm 2 以上であることを特徴とする導電性中間転写ゴムベルト。
- 体積抵抗値が10 2 〜10 13 Ω・cmであることを特徴とする請求項1記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- 表面にトナー離型層を設けたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- 表面に高度がJISA硬度計で10°〜95°のゴム弾性層を設け、体積抵抗値が10 6 〜10 13 であることを特徴とする請求項1記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- 前記ゴム弾性層の上にトナー離型層を設けたことを特徴とする請求項4記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- ベルト自体がプレス成形により形成されることを特徴とする請求項1若しくは請求項4記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- 裏面に蛇行防止用突起がプレス成形により形成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2若しくは請求項4いずれか記載の導電性中間転写ゴムベルト。
- ベルト自体が無溶剤で形成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2若しくは請求項4いずれか記載の導電性中間転写ゴムベルト。
Priority Applications (1)
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