JP2018036557A - 定着器用摺動部材 - Google Patents

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Teruo Kanai
照夫 金井
隆 飯森
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隆 飯森
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Abstract

【課題】長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制された、定着器用摺動部材を提供する。【解決手段】支持体と、前記支持体の上に設けられた耐熱性ゴム部材と、前記耐熱性ゴム部材の上に設けられた二重織構造の繊維織布と、を備える、定着器用摺動部材。【選択図】なし

Description

本発明は、定着器用摺動部材、その製造方法、及び電子写真画像形成装置に関する。具体的には、長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制された、電子写真画像形成装置の定着器に用いられる定着器用摺動部材、その製造方法、及び当該定着器用摺動部材を用いた電子写真画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、まず、像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像し、現像されたトナー像を直接、あるいは中間転写ベルト等を介して記録媒体上に転写し、さらに、当該記録媒体上の未定着のトナー像を、定着ベルトやローラを用いて、加熱、加圧して画像を当該記録媒体に定着させるものである。定着方法においては、定着ベルト内にヒーターなどの熱源を持っている従来の方式のほか、近年、コイル及び高周波電源を備える電磁誘導加熱方式の導入が進んでいる。電磁誘導加熱方式では、定着ベルトに金属発熱層が設けられており、コイルに高周波電流を流すことで渦電流が発生し、定着ベルト自体が発熱する。
これらに代表されるようなベルトニップ方式を採用した定着器においては、回転可能な回転部材からなる加圧部材(例えば加圧ローラ)とフィルム管状体(例えば金属製または樹脂製の定着ベルトで、以下定着ベルトと称す)とでニップ領域を形成するために、定着ベルトの内側に押圧部材が配置されている。この押圧部材には、通常、加圧部材と同等の圧力で定着ベルト内面との間にニップ領域を形成し、かつニップ幅を確保するために、弾性体などからなる押圧パッドが設けられている。ここで、押圧パッドと定着ベルト内面との摺動性を向上させるために、押圧パッドと定着ベルト内面との間に摺動部材をはさむ提案がなされてきた。摺動部材は、その摺動面に潤滑剤が供給されており、定着ベルトが円滑に回転できる役割を担っている。
このような摺動部材としては、これまで様々なものが知られている。例えば、特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)の乳化重合により得られるディスパージョンを含浸させたガラス繊維シート(PTFE含浸ガラスクロス)を用いた摺動部材が開示されている。特許文献1の摺動部材を用いた場合、長時間の使用によりPTFEが摩耗してガラスクロスが露出し、定着ベルト内側の摺動面を荒らして摩擦抵抗が急激に増大する問題がある。
また、例えば特許文献2には、単一の樹脂シートからなり、摺動部材面内の位置に応じて単位面積当たりの樹脂量を変化させて厚い部分と薄い部分との繰り返しパターンを形成し、摺動面に凹部と凸部が設けられた摺動部材が開示されている。しかしながら、このような摺動部材では、摺動部材の凹凸面上を定着ベルトが摺動するので、摺動部材の摩耗が促進されてしまい、耐久性に欠けるという問題がある。さらには、凹凸部に塗布された潤滑剤が記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に移動し、幅方向の端部から漏れ出して、比較的早い時期に潤滑剤が枯渇してしまうという問題がある。
また、例えば特許文献3には、エンボス加工により表面側が凸部となり裏面側が凹部となるように形成し、表面側を摺動面とし、裏面側の凹部にシリコーンゴムなどからなる樹脂材が填装されたシートである摺動部材が開示されている。これによれば、裏面から樹脂材が填装されていることで柔軟性が増すため、エンボス形状が保持されるとしているが、より長期間の耐久が必要とされるオンデマンド印刷などの電子写真画像形成装置においては、やはり摺動部材は磨耗してしまう。この寿命を延ばすために潤滑剤を使用するとしても、特許文献2の場合と同様、シート形状であるために、潤滑剤の保持は困難である。なお、摺動部材表面に対する凹凸付与の方法には、凹凸を加工した金型や金属メッシュから転写させるなどの他の方法も種々考えられるが、いずれも上記と同じ問題がある(例えば、特許文献4)。
また、例えば特許文献5には、潤滑剤の保持性を向上させる等の目的で、摺動部材が、少なくとも、定着ベルト内面に接触する第1の繊維層と、押圧パッド側に接触しかつ前記第1の繊維層よりも低い繊維密度からなる第2の繊維層とを有する構成になっているものが開示されている。この摺動部材では、第1の繊維層は、定着ベルトとの摺動抵抗を下げるためPTFE繊維からなる織布によって構成され、第2の繊維層は、高強度で耐熱性の高いポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維からなる織布によって構成されている。しかしながら、特許文献5に開示される摺動部材の構成では、第1及び第2の繊維層の間で位置ずれを発生しやすいという問題がある。位置ずれが発生すると、定着ベルト回転時にトルクの変動が生じ、定着画像が乱れてしまう場合や記録媒体に紙しわが発生する場合がある。
また製造面においては、織布から摺動部材を切り抜く際、切断面の繊維がほつれを発生し、使用中にほつれた繊維が脱落して摺動面などへ噛みこむことで、定着ベルトの動きを阻害するなどの不具合に発展する。この対策として、切断面を焼きながらカットするレーザーカットを用いることが考えられているが、レーザーカットは著しくコストが高いという欠点がある。
さらに、織布から切り抜かれる摺動部材は、潤滑剤を保持する役割から、一定の体積が必要であり、長期に亘る潤滑剤の安定供給を望む場合、摺動部材の大きさは大きく、厚みは厚くなってしまう。また、前記摺動部材は、支持体と結合あるいは勘合させる為の穴空き部や切りかき溝等の、本来の摺動機能に関係ない余計な部分が必要である為、織布の無駄が多い。
特開平8−262903号公報 特開2009−15227号公報 特開2010−271656号公報 特開2013−218175号公報 特開2014−186303号公報
このような状況下、本発明は、長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制された、定着器用摺動部材を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該定着器用摺動部材の製造方法、及び当該当該定着器用摺動部材を用いた電子写真画像形成装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、支持体と、当該支持体の上に設けられた耐熱性ゴム部材と、当該耐熱性ゴム部材の上に設けられた二重織構造の繊維織布とを備える定着器用摺動部材によれば、長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 支持体と、
前記支持体の上に設けられた耐熱性ゴム部材と、
前記耐熱性ゴム部材の上に設けられた二重織構造の繊維織布と、
を備える、定着器用摺動部材。
項2. 前記繊維織布は、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有し、
前記表経糸及び前記表緯糸の少なくとも一方が、フッ素樹脂の溶融紡糸糸であり、
前記表組織が、摺動面である、項1に記載の定着器用摺動部材。
項3. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体の少なくとも一方である、項2に記載の定着器用摺動部材。
項4. 前記裏経糸及び前記裏緯糸が、熱可塑性樹脂の溶融紡糸糸である、項2又は3に記載の定着器用摺動部材。
項5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、及び液晶ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、項4に記載の定着器用摺動部材。
項6. 前記繊維織布が、平織りの二重織り又は綾織りの二重織りにより形成されている、項1〜5のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項7. 前記繊維織布の少なくとも一部の熱溶融部分によって、前記表組織と前記裏組織とが一体化されている、項1〜6のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項8. 表経糸、表緯糸、裏経糸、及び裏緯糸のうち少なくとも1つが、フィラーを含む、項1〜7のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項9. 前記耐熱性ゴム部材が、シリコーンゴムにより形成されている、項1〜8のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項10. 前記耐熱性ゴム部材が、潤滑剤を含有する、項1〜9のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項11. 前記潤滑剤が、シリコーン系オイルである、項10に記載の定着器用摺動部材。
項12. 前記支持体が、金属または耐熱性樹脂により構成されている、項1〜11のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項13. 前記繊維織布と前記支持体とが、前記耐熱性ゴム部材の加硫接着により一体化されている、項1〜12のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
項14. 項1〜13のいずれかに記載の定着器用摺動部材の製造方法であって、
前記繊維織布と前記支持体とを金型内に配置し、前記繊維織布と前記支持体との間に、前記耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物を供給する工程と、
前記未硬化ゴム組成物を硬化させて、前記繊維織布と前記支持体とを、前記耐熱性ゴム部材を介した積層構成とする工程と、
を備える、定着器用摺動部材の製造方法。
本発明によれば、長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制された、定着器用摺動部材を提供することができる。さらに、本発明の定着器用摺動部材は、摺動部材を定着器へ組み付ける際に、シート、押圧パッド、支持体などをアッセンブリーする必要がなく、潤滑剤の供給工程も省略できる。このため、定着器の製造コストの低減が可能となる。
本発明の定着器用摺動部材を備えた定着器の概略断面図の一例である。 本発明における二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例である。 本発明の定着器用摺動部材の模式図の一例である。 本発明の定着器用摺動部材の模式図の一例である。 本発明の定着器用摺動部材の模式図の一例である。 本発明の定着器用摺動部材の模式図の一例である。
I.定着器用摺動部材
本発明の定着器用摺動部材は、電子写真画像形成装置の定着器に用いるための摺動部材である。図1に、本発明の定着器用摺動部材(以下、単に摺動部材ということがある)を備えた定着器の概略断面図の一例を示す。本発明の摺動部材1は、定着器において、定着ベルト2の内面側に配置され、回転する定着ベルト2との摺動性を有する重要な機能部品である。本発明の摺動部材は、繊維織布の表面が定着ベルト内面と接し、支持部側が押圧部材と接するように、定着器に設置される。
本発明の摺動部材1は、例えば図3に示されるように、少なくとも、支持体13と、支持体13の上に設けられた耐熱性ゴム部材12と、耐熱性ゴム部材12の上に設けられた二重織構造の繊維織布11とを備えている。以下、本発明の摺動部材を構成するこれらの部材の詳細について、各部材毎に説明する。
繊維織布11
本発明の摺動部材において、繊維織布は最外表面に位置し、前記繊維織布の内側には、耐熱性ゴム部材が設けられている。繊維織布は、織物であり、通常、反物形状で製造された後、加工工程内で1つの摺動部材に必要な所定の形状に切り取られたものである。
繊維織布は、二重織構造を有している。より具体的には、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する二重織構造を備えていることが好ましい。本発明の摺動部材において、表組織が、摺動面であることが好ましい。表組織を摺動面とする場合、後述の通り、表組織には、フッ素樹脂の溶融紡糸糸などの摺動性に優れた糸(フィラメント)を使用することが好ましい。
図2に、二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例を示す。図2に示すように、表経糸7と表緯糸9とで織成された表組織と、裏経糸8と裏緯糸10とで織成された裏組織とが、一体化して二重織構造が形成される。
本発明の摺動部材において、表組織を摺動面とする場合、繊維織布の表経糸及び表緯糸の少なくとも一方に、フッ素樹脂の溶融紡糸糸などの摺動性に優れた糸を使用することが好ましい。これにより、本発明の摺動部材は、フッ素樹脂の特性の一つである優れた摺動性を発揮することが可能となる。
繊維織布は、後述の耐熱性ゴム部材と一体化される際、所定の形状となるように、打ち抜きなどの方法で切り取ることにより得られる。その後、繊維織布は、耐熱性ゴム部材と接着により一体化される。このとき、繊維織布の繊維がゴムによって固定されるため、打ち抜きなどの方法で切り取られた場合であっても、切断面の繊維にほつれが発生しにくく、長時間の使用による繊維層間の位置ずれも生じにくい。繊維織布は、耐熱性ゴム部材と接着により一体化する前に、熱圧着しておいてもよい。熱圧着により、溶融した糸同士の一部が溶着されるため、ほつれや位置ずれをさらに抑制できる。
(表経糸及び表緯糸)
繊維織布の表組織を構成する表経糸と表緯糸は、少なくとも一方、さらには両方がフッ素樹脂の溶融紡糸糸であることが好ましい。本発明の摺動部材において、繊維織布が、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有し、表経糸及び表緯糸の少なくとも一方が、フッ素樹脂の溶融紡糸糸であり、さらに、表組織が摺動面であることにより、より優れた摺動性を発揮することができる。
フッ素樹脂の溶融紡糸糸は、フッ素樹脂を溶融紡糸することより得られる糸であり、より具体的には、フッ素樹脂を溶融紡糸して得られたフッ素樹脂フィラメントを撚糸したものである。溶融紡糸とは、化学繊維の原料を熱で溶かした状態にして、紡糸口金(ノズル)から押し出しして繊維状にした後、冷やして固めて繊維(フィラメント)を得る方法である。溶融紡糸の具体的な方法は、特に限定されず、原料に応じて、公知の方法で行うことができる。
フッ素樹脂の溶融紡糸糸を構成するフッ素樹脂としては、溶融紡糸が可能なフッ素樹脂であれば、特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAともいう)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(フッ化エチレンプロピレン、以下、FEPともいう)、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVDFともいう)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(以下、ETFEともいう)などが挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一方、溶融紡糸ができないフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。PTFEは、溶融粘度が高く、熱流動性が悪いため、溶融成形加工が不可能である。PTFEからなる糸は、通常、溶融紡糸法以外の方法、例えば、マトリックス物質を利用して紡糸した後に焼成工程を経るマトリックス紡糸法等の特殊な方法で製造される。このように、PTFEからなる糸は、本発明における「フッ素樹脂の溶融紡糸糸」には含まれない。
フッ素樹脂の溶融粘度としては、380℃において105Pa・s以下であることが好ましく、102〜104Pa・sであることがより好ましい。フッ素樹脂の溶融粘度が上記の範囲にあると、溶融紡糸等の溶融成形加工が可能になると同時に、熱圧着した際に、繊維が溶融して表組織と裏組織が一体化し、端部の繊維ほつれや層間の位置ずれがより発生しにくくなる。なお、本明細書におけるフッ素樹脂の溶融粘度は、JIS K7199規格に準拠した方法により測定して得られる値である。
フッ素樹脂としては、高温下での低摩擦性により優れ、繊維ほつれや繊維層間の位置ずれをよりよく抑制し得る点で、PFA及びFEPの少なくとも一方が好ましく、PFAがさらに好ましい。
繊維織布は、通常、織布の反物から、所定の形状に打ち抜かれて製造される。この場合、打ち抜かれた部分(切断面)の糸ほつれを防ぐ必要がある。後述の通り、本発明の摺動部材の糸ほつれの発生をより一層抑制する点から、繊維織布の少なくとも一部の熱溶融部分によって、表組織と裏組織とが一体化されていることが好ましい。なお、PTFEは、溶融しても流動化しにくいため、繊維を溶かして繊維同士を絡みやすくすることが困難である。
繊維織布を構成している糸は、必要に応じて、樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、防曇剤、スリップ剤、表面調整剤等を含んでいてもよい。
また、繊維織布を構成しているフィラメントは、フィラーを含んでいてもよい。例えば、表経糸、表緯糸、裏経糸、及び裏緯糸のうち少なくとも1つが、フィラーを含むことにより、繊維織布の耐クリープ性、熱伝導性、電気伝導性、その他諸性質が向上する。フィラーを配合する場合、フィラメントの成形性、強度等の物理的、化学的物性を著しく損なわないようにすることが望ましい。例えば、フィラメント中、フィラーを0.5〜5質量%程度含有すると、フィラメントの特性を損なうことなく、その諸性質を向上させることができる。
フィラーとしては、例えば、導電剤、熱伝導剤等が挙げられる。なかでも、導電剤が好ましい。フィラーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
導電剤としては、例えば、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質などが挙げられる。電子導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT、酸化処理等を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等の導電性炭素系物質、アンチモンドープの酸化錫、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム、アルミニウム、銅合金等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。
イオン導電性物質としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質、トリデシルメチルジヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、ラウリルトリメチルアンモニウムパークロレート、変性脂肪族・ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3’−ドデシロキシ−2’−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムエトサルフェート、3−ラウルアミドプロピル−トエイメチルアンモニウムメチルサルフェート、ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチル−アンモニウム−ジハイドロジェンフォスフェート、テトラブチルアンモニウムホウフッ酸塩、ステアリルアンモニウムアセテート、ラウリルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウムの過塩素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、メチルサルフェート塩、リン酸塩、ホウフッ化水素酸塩、アセテート等の有機イオン性導電物質、あるいは電荷移動錯体等が挙げられる。
導電剤の中でも、特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、具体的には、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
フィラメントが導電剤を含む場合、その含有量は、通常、フィラメント総質量に対して5〜20質量%程度であればよい。これによりフィラメントに、摺動部材に適した導電性が付与される。
熱伝導剤としては、例えば、金属窒化物、シリカ、スズ等を挙げることができる。金属窒化物としては、具体的には、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
フィラメントは、モノフィラメントでもマルチフィラメントであってもよい。1本のフィラメントの繊度は、通常、10〜300dtex、好ましくは、15〜180dtexである。
フィラメントは、撚糸を施されて織布の原糸に加工される。撚糸されるフィラメントは、一種類の繊度のもののみを使用してもよく、二種類以上の繊度が異なるものを混合で使用しても良い。撚糸は、撚糸機を用いる等、一般に公知の方法により行うことができる。
フィラメントは撚糸されることで、収束性が増す為、使用において万一糸切れが発生してもほつれに発展しにくい。また、撚糸を実施しないものと比較した場合、撚糸して繊維を丸めることで、摺動部材にしたとき、定着ベルト内面との接触面積を減らすことができ、摺動抵抗を減少させる効果がある。撚糸回数は、特に制限はないが、通常、単位長さ1m当たり500回以下の甘撚で行なわれる。撚りの方向も左右の制限はない。例としては、S撚り100〜350回/mが好ましい。
撚糸本数としては、撚糸されたフッ素樹脂原糸の繊度が100〜1000dtex、好ましくは200〜800dtexとなるよう設定すると良い。原糸の繊度が100dtexよりも細いと、織布にしたときのメッシュ数が多くなって、空隙率は小さくなるので、摺動部材として使用したとき、定着ベルト内面との接触抵抗が大きくなって、摺動部材と定着ベルトが磨耗しやすく、磨耗粉などが装置や画像に悪影響を及ぼすおそれがある。逆に1000dtexよりも太いと、織布の目は粗くなり、織布の空隙率は大きくなる為、摺動部材として使用したとき、潤滑剤を保持し続けることができず、定着ベルトを長時間円滑に回転させることができなくなるおそれがある。
(裏経糸及び裏緯糸)
二重織構造の繊維織布は、前述の表組織に加えて、裏組織を有する。裏組織は、裏経糸及び裏緯糸が織成されたものである。裏組織は、表組織の裏側に位置し、本発明の摺動部材においては、耐熱性ゴム部材と接着する面となる。裏組織を構成する裏経糸及び裏緯糸は、熱可塑性樹脂の溶融紡糸糸であることが好ましい。より具体的には、熱可塑性樹脂の溶融紡糸糸の撚糸であることが好ましい。当該撚糸は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得た熱可塑性樹脂フィラメントを撚糸したものである。熱可塑性樹脂の溶融紡糸の方法としては、特に限定されず、使用する樹脂に応じて、公知の方法から適宜選択して行うことができる。
熱可塑性樹脂は、結晶性の場合、融点が250℃以上であることが好ましく、270〜350℃であることがより好ましい。なお、融点は、DSC法により測定して得られる値である。
熱可塑性樹脂としては、耐熱性と強度を兼ね備えた熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKともいう)、ポリフェニルスルホン(以下、PPSUともいう)、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSともいう)、アラミドやナイロンなどのポリアミド(以下、PAともいう)、及び液晶ポリマー(以下、LCPともいう)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、PEEK、PPSU、及びPPSからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂がより好ましい。
熱可塑性樹脂は、これらのうちの1種類であってもよく、これらの中から選択して2種類以上をブレンドしたものであってもよい。繊維織布の裏組織が、熱可塑性樹脂の溶融紡糸糸を用いて織成されることにより、本発明の摺動部材は、高温下での機械的強度に優れたものとなる。また、前述のフッ素樹脂を溶融紡糸してなる糸で織成された表組織と二重織構造を形成することにより、優れた摺動性を確保し、耐熱性ゴム部材との接着によって繊維の動きは規制され、繊維ほつれや繊維層間の位置ずれが生じにくい摺動部材とすることができる。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、下記式(1)で示される繰り返し単位を含むポリマーである。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar′−O− (1)
(式中、Ar及びAr′は、同一又は異なって、置換又は無置換のフェニレン基を表す。)
Ar及びAr′におけるフェニル環上の置換基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。Ar及びAr′は、無置換のp−フェニレン基を表すことが好ましい。
PEEKは、1種類の繰り返し単位から構成される単独重合体であってもよいし、2種類以上の繰り返し単位から構成される共重合体であってもよい。好ましくは、前記式(1)で表される繰り返し単位1種類から構成される単独重合体である。
また、前記式(1)で表される繰り返し単位と、これ以外の繰り返し単位との共重合体であってもよい。前記他の繰り返し単位としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−O−
−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−O−
−Ar−SO2−Ar−O−Ar−A−Ar−O−
(ここで、Arは前記と同じであり、Aは、直接結合、酸素原子、硫黄原子、−SO2−、−CO−、又は2価の炭化水素基を表す。)
PEEKは、通常、ヒドロキノンと、ハロゲンを置換体として両端に結合させたベンゾフェノンとを、公知の求核置換反応により結合させて製造される。例えば、ジフェニルスルホン(DPS)中で、炭酸アルカリ金属、例えば、炭酸カリウム及び/又は炭酸ナトリウムの存在下で、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとヒドロキノンを反応させる方法等により調製することができる。また、ベンゾフェノンと、両端に求電子剤として塩素を結合させたケトン基を持つベンゼン環を、塩化アルミニウム等を触媒として、公知の求電子置換反応で結合させる製造方法もある。原料たるモノマーの構成比を調整することによって、前記重合体の末端を、フッ素原子等のハロゲン原子とすることもできるし、水酸基とすることもできる。一般にはフッ素原子が重合体末端にあることが好ましい。また、重合体末端に末端封止剤を反応させることにより、ハロゲン末端や水酸基末端を、フェニル基等の不活性置換基に置き換えたものでもよい。
PEEKの市販品としては、例えば、ビクトレックス(Victrex)社製の商品名「ビクトレックスPEEK」シリーズが挙げられ、ビクトレックス社PEEK 450G、381G、151G、90G(商品名)等が挙げられる。また、ダイセル・デグサ社のVESTAKEEP(商品名)等が挙げられる。ほかにソルベイ社からも上市されている。
ポリフェニルスルホン(PPSU)は、分子中に複数のスルホニル基(−SO2−)と複数の芳香族炭化水素を有するポリマーである。通常、ポリハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤とを、公知の方法により重合して製造される。
具体的なPPSUとしては、下記繰り返し単位を含むポリマーが好ましく使用される。
Figure 2018036557
このPPSUは、4,4′−ジヒドロキシビフェニル及び4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンから求核置換により製造できる。
PPSUの市販品としては、例えば、「レーデル」(登録商標)の商品名で、ソルベイスペシャルティポリマーズ社から市販されているものが挙げられる。具体的には、「Radel R−5000」、「Radel R−5100」、「Radel R−5500」、「Radel R−5600」、「Radel R−5800」等が挙げられる。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、下記繰り返し単位を含むポリマーである。
Figure 2018036557
(ただし、前記式中nは、重合度を表し、100以上が好ましく、100〜500がより好ましい。)
PPSの市販品としては、例えば、E1380(リニアー型PPS、東レ株式会社製)、FZ−6600(リニアー型PPS、DIC株式会社製)、等が挙げられ、他に東洋紡株式会社からも上市されている。
ポリアミド(PA)としては、アラミドやナイロン等の一般に公知のものが挙げられる。アラミドの市販品としては、例えば、帝人株式会社製「コーネックス」、東レ・デュポン株式会社製「ケブラー」等が挙げられる。ナイロンの市販品としては、例えば、東レ株式会社製「アミラン」、三井化学株式会社製「アーレン」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「レニー」等が挙げられる。
液晶ポリマー(LCP)は、公知のものを用いればよく、多くの市販品が上市されている。液晶ポリマー(LCP)の市販品として代表的なものは例えば、株式会社クラレ製「ベクトラン」などが挙げられる。
裏組織を構成するフィラメントは、必要に応じて、フィラーを含んでいてもよく、好ましくは導電剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができる。フィラー及び導電剤としては、具体的には、前述の表組織を構成するフィラメントで例示したものと同じものが挙げられる。
裏組織を構成するフィラメントが導電剤を含む場合、その使用量は、通常、フィラメント総質量に対して5〜20質量%程度であればよい。これによりフィラメントに、摺動部材に適した導電性が付与される。
裏組織を構成するフィラメントは、必要に応じて、樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、熱伝導剤、可塑剤、光安定剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、接着剤、難燃剤、分散剤等を適宜含んでいてもよい。熱伝導剤としては、金属窒化物(窒化ホウ素、窒化アルミニウム)、シリコン、スズ等が挙げられる。
裏組織を構成するフィラメントは、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。1本のフィラメントの繊度は、通常、5〜150dtex、好ましくは、7〜100dtexである。
裏組織を構成するフィラメントは撚糸されて織布の原糸に加工される。撚糸を行なうことで原糸の強度が増す為、摺動部材としたときに、撚糸しない場合と比較して引張強度が増す。撚糸回数は特に制限はないが、通常、単位長さ1m当たり500回以下の甘撚で行なわれる。撚りの方向も左右の制限はない。例えば、S撚り130〜250回/mが好ましい。
撚糸本数としては、撚糸された熱可塑性樹脂原糸の繊度が50〜400dtex、好ましくは100〜300dtexとなるよう設定すると良い。原糸の繊度が50dtexよりも細いと織布にしたときの強度が不足するので、摺動部材として使用したとき、摺動によるせん断応力に耐えられないため、繊維が切断したり、織布の目が曲がったり開いたりするなどの悪影響を及ぼすおそれがある。逆に400dtexよりも太いと、織布の目は粗くなり、織布の空隙率は大きくなる為、摺動部材として使用したとき、潤滑剤を保持し続けることができず、潤滑剤は定着ベルト側に移動せずに摺動部材端部方向へ流れて漏れ出してしまうおそれがある。
(織布)
繊維織布は、前述の表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有する、二重織構造の繊維織布により構成することができる。図2は、本発明における二重織構造の繊維織布の平面概念図の一例である。図2に示すように、表経糸7と表緯糸9とを平織りで織成して表組織が形成され、裏経糸8と裏緯糸10を平織りで織成して裏組織が形成されており、これら表組織と裏組織とで二重織構造の繊維織布が形成される。
織布の織り方は、二重織りであれば、平織りをはじめ、綾織り、朱子織りからなる三原組織のいずれでもよい。ここで、「平織り」とは、経糸と緯糸を一本ずつ交互に組み合わせた組織をいう。また、「綾織り」とは、織り目が斜めになった組織をいい、経糸や緯糸の太さや密度を変えたり、糸の飛ばし方でいろいろな角度の綾が形成されるものをいう。「朱子織り」とは、サテンとも呼ばれ、経糸もしくは緯糸を長く表面に出した織り方をいう。
織り方の選択としては、朱子織りは糸同士の拘束力が弱く目曲がりが生じやすいため、平織り又は綾織りが好ましい。これらは、簡易であり、工業的にも適した織り方である。表組織と裏組織で異なる織り方を選択しても良い。
表経糸と表緯糸は同じ糸種同士、裏経糸と裏緯糸も同じ糸種同士(表とは違う糸種)とすることで、織布における表組織と裏組織とで異なる性質を付与することができる。織布の表組織と裏組織とは、各々の原糸の一部を互いに織り合わせることで一体構造になっている。
繊維織布の経糸密度としては、20〜200本/インチが好ましく、50〜180本/インチがより好ましい。また、緯糸密度としては、20〜200本/インチが好ましく、50〜180本/インチがより好ましい。
繊維織布の厚みとしては、0.15〜1.00mmが好ましく、0.2〜0.7mmがより好ましい。繊維織布の目付量としては、100〜850g/m2が好ましく、200〜400g/m2がより好ましい。
また、繊維織布の少なくとも一部の熱溶融部分によって、表組織と裏組織とが一体化されていることが好ましい。熱溶着されていると、繊維ほつれがより発生しにくく、表組織と裏組織との繊維層間の位置ずれもより生じにくくなる。さらに後述の耐熱性ゴム部材の形成に液状シリコーンゴムを使用する場合、液状シリコーンゴムの成形時に繊維織布における繊維のメッシュの隙間から液状シリコーンゴムが繊維織布の表面側に必要以上に流れ出すことを防止できる。
なお、繊維織布を溶融するに際しては、溶融加熱温度と時間の制御によって、裏組織だけを溶融して繊維のメッシュを潰すことが可能である。例えば、表組織を構成するフッ素樹脂よりも裏組織を構成する熱可塑性樹脂の方が、融点が低い場合など、繊維織布を徐々に加熱した際、裏組織のほうが先に溶け出すことを利用することができる。表組織の繊維のメッシュが残ることで摺動面に必要な摺動性を変えずに、裏組織の繊維のメッシュをある程度潰すことによって、繊維ほつれや位置ずれ、液状シリコーンゴムの流れ出しを防止するなどの効果をより向上できる。
例えば、繊維織布を打ち抜く為の反物状織布の一定幅が、連続溶融されていることが好ましい。一定幅としては、打ち抜く繊維織布の大きさに応じて適宜選択できる。また、溶融した部分の一部に少なくとも1個の穴を有することもできる。この穴は、耐熱性ゴム部材と一体化するために、成形工程でセットされる金型等への位置決め固定用の穴である。穴の大きさ、形状は、設置する金型等の取り付け箇所の大きさ、形状に合わせて適宜選択される。
溶融の方法は、プレス機によって加熱プレスする方法、金属板等に挟んで恒温炉に一定時間投入する方法などが挙げられる。反物状織布の一定幅を連続溶融する観点からは、反物状織布を一対の熱ローラで挟んで一定速度で送る方法がよい。溶融温度は、表組織の融点以下(例えば、フッ素樹脂であれば、330℃以下程度)に設定される。なかでも裏組織を構成する樹脂のガラス転移点温度以上、融点近傍以下の範囲に設定され、具体的には、200〜320℃が好ましく、220〜300℃がより好ましい。上記のように、ここで言う溶融とは、繊維を構成する樹脂が軟化して繊維同士が絡み合えば、上記効果を得られる為、必ずしも樹脂の融点以上に加熱して液状にする必要はない。なお、織布から打ち抜かれる繊維織布の形状は、設置する定着器の摺動部材形状に合わせて、適宜決定するとよい。
耐熱性ゴム部材12
本発明の摺動部材において、耐熱性ゴム部材は、後述の支持体の上に設けられている。また、耐熱性ゴム部材は、前述の繊維織布の裏組織側、すなわち、当該繊維織布と後述の支持体との間に設けられている。耐熱性ゴム部材を構成する素材としては、耐熱性能とコストのバランスの観点から、好ましくはシリコーンゴムが挙げられる。
耐熱性ゴム部材の機能としては、後述する潤滑剤の備蓄特性や使用方法によって、従来技術で押圧パッドに求められているような断熱あるいは熱伝導特性が求められると同時に、定着ベルト内面との間でニップを形成するための形状特性が求められる。耐熱性ゴム部材の形状は、定着ベルトと記録媒体間での用紙分離性などを考慮するため、摺動部材表面の形状、定着器の設計によって決定される。例えば、ニップ幅を大きく取りたい場合は、耐熱性ゴム部材の厚みを大きくするのが好ましく、逆に耐熱性ゴム部材の変形により、蛇行や速度変化など定着ベルトの挙動が不安定になるのを嫌う場合には、耐熱性ゴム部材の厚みを小さくするのが好ましい。このような観点から、ニップ形成部における繊維織布と支持体に挟まれた耐熱性ゴム部材の厚さは、0.2〜8mmが好ましく、0.5〜3mmがより好ましい。
耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物としては、液状シリコーンゴムなどの未硬化シリコーンゴム(硬化前のシリコーンゴム)が好ましい。未硬化シリコーンゴムの素材としては、特に制限されないが、ビニル基を含有したポリオルガノシロキサン組成物が一般に使用される。未硬化シリコーンゴムとしては、液状シリコーンゴムの他、ミラブルタイプと称される熱加硫型シリコーンゴムなども使用できる。加工性の高さから、好ましくは、液状シリコーンゴムを選択する。
液状シリコーンゴムとしては、付加反応触媒により硬化可能な2液性の液状のものが用いられる。また熱加硫型シリコーンゴムとしては、過酸化物からなる加硫剤により加硫(硬化)可能な熱硬化型オルガノポリシロキサンなどが用いられる。
また、耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物には、摺動部材の使用目的、設計目的等に応じて、充填剤、増量充填剤、着色剤、導電性物質、耐熱剤、顔料等の種々の添加剤が含まれていてもよい。
未硬化ゴム組成物に対する充填剤の配合処方としては、特に制限されないが、通常、ベースとなる未硬化ゴム組成物100質量部に対して、補強性充填剤及び増量充填剤が、それぞれ10〜300質量部程度配合される。補強性充填剤としては、カーボンブラック、湿式シリカ、乾式シリカ(煙霧状シリカ)などが一般的である。なお、ここでいう湿式シリカとは、二酸化ケイ素(SiO2)からなる補強性シリカである。補強性シリカの製造方法としては、ケイ酸ナトリウムを直接硫酸で分解する直接法や、ケイ酸ナトリウムを塩類と反応させてケイ酸塩を生成させ、次に硫酸または炭酸ガスで分解する間接法など種々の方法が挙げられる。
代表的な湿式シリカの市販品としては、ニップシル(Nipsil)VN3(日本シリカ工業株式会社の商品名)、カープレックスCS−5(シオノギ製薬株式会社の商品名)、スターシルS(神島化学工業株式会社の商品名)、トクシールUS(株式会社トクヤマの商品名)、シルトンR−2(水沢化学工業株式会社の商品名)、ハイシル(Hisil)223(PPG社(米国)製商品名)、ウルトラシル(Ultrasil)VN3(デグッザ社の商品名)、バルカシル(Vulkasil)S(バイエル社の商品名)などが挙げられる。これらの市販の湿式シリカとしては、平均粒径が30μm以下、好ましくは5μm以下のグレードのものが好ましく使用できる。
乾式シリカは、ハロゲン化ケイ素の熱分解法や、ケイ砂を加熱還元、気化したSiOの空気酸化法、有機ケイ素化合物の熱分解法等により製造される二酸化ケイ素からなる補強性シリカである。乾式シリカの市販品としては、アエロジル200やアエロジルR972(日本アエロジル株式会社の商品名)、キャボシル(Cab−O−Sil)MS−5(キャボット社の商品名)、レオロシールQS102(株式会社トクヤマの商品名)などが挙げられる。
耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物においては、必要に応じて、湿式シリカと乾式シリカとを適時併用して使用してもよい。さらに、シリカ表面の活性による二次結合の防止を目的として、離型助剤を添加してもよい。離型助剤としては、シリコーンレジン類、アルコキシシラン及びシロキサン類、ヒドロキシシラン及びシロキサン類、シラザン類、有機酸エステル類、多価アルコール類などが挙げられる。
また、増量充填剤は、ゴムの機械特性、すなわち物理強度、ゴム硬度、圧縮永久歪みなど耐熱性ゴム部材としての機能上特性を向上させる成分であり、例えば、炭酸カルシウム、石英粉、けいそう土、ケイ酸ジルコニウム、クレー(ケイ酸アルミニウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、ウォラストナイト(メタケイ酸カルシウム)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化クロム、ベンガラ(酸化鉄)、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、二硫化モリブデン、マイカ(雲母粉)、グラファイトなどが挙げられる。
また、耐熱性ゴム部材においては、酸化セリウムのような耐熱剤を付加型シリコーンゴムに添加して用いてもよい。摺動部材に限らず、定着器に使用されるゴム組成物(硬化後の未硬化ゴム組成物)は、定着器が高温であることを目視で感じられるよう、赤色系に着色して供給されることが多く、この場合には着色剤としてベンガラを使用するのが一般的である。ベンガラの種類としては、SRIS1108(日本ゴム協会標準規格)に規定されたゴム用ベンガラが適用できる。加工時のゴム内における配向性に留意する必要がある場合には、バイフェロックス130M(バイエル社の商品名)のような平均粒径が0.3μm以下の球状のグレードを未硬化ゴム組成物中0.2〜2質量%程度添加すればよい。
耐熱性ゴム部材を形成するゴム組成物(硬化後の未硬化ゴム組成物)の硬さは、摺動部材の弾性部分に求められる適正なものである必要がある。摺動部材において、弾性部分を設ける目的の一つは、記録媒体である紙に対してトナーを過度な圧力を与えることなく定着させることで、画像の鮮明度が向上することにある。このため、耐熱性ゴム部材には、適度な軟らかさが要求される。また別の目的としては、定着ニップ形成圧力を受け止めながら、定着ベルトの回転走行を安定させる必要がある。このため、耐熱性ゴム部材には、比較的高い剛性が要求される。このような観点からは、耐熱性ゴム部材を形成するゴム組成物の硬度としては、一般的にはタイプA硬度で10〜70度、好ましくは15〜50度、より好ましくは20〜40度が挙げられる。さらには、ゴム組成物は、多孔質のスポンジ体でもよく、当該スポンジ体は、ゴム原料に発泡剤やマイクロバルーンを添加することで、発泡倍率を制御しながら所望の硬度を得ることができる。またスポンジ体のような多孔質にすることによって、後述の耐熱性ゴム部材への潤滑剤貯留量を多くでき、摺動部材からの潤滑剤の分泌供給量と供給寿命を制御することも可能である。
本発明の摺動部材の熱伝導特性は、断熱性及び高熱伝導性の何れにするかなど、定着器の設計すなわちその使用方法によって決定される。一般的には、定着器の熱源が摺動部材と接しない場合は断熱性が好ましく、熱源の熱が摺動部材を貫いて定着ベルトに供給されるような場合は高熱伝導性が求められる。そのため、摺動部材の熱伝導性の決定因子である耐熱性ゴム部材は、断熱性から高熱伝導性まで幅広く選択ができる。シリコーンゴムは一般的に断熱性とされており、熱伝導率は0.3〜0.5W/m・K程度であるため、耐熱性ゴム部材に断熱性が必要な場合、そのまま使用できる。このような処方としては、信越化学工業株式会社のKE−1388A/B(硬度1A、熱伝導率0.42W/m・K)などの商品が例示できる。さらに耐熱性ゴム部材の断熱性を高める処方としては、シリコーンゴムの比重を低くして熱伝導度を低くすればよく、この代表的な例が、上記シリコーンスポンジである。一方、耐熱性ゴム部材の熱伝導度を高める処方としては、シリコーンゴムの比重を高める配合が知られている。例えば、ベースとなるシリコーンゴム100質量部に対してアルミナ、シリカなどの熱伝導性の良い配合剤を30重量部以上配合して、弾性層の熱伝導率を0.6W/m・K以上とすることができる。原料となる液状シリコーンゴムにおいて、このような処方としては、信越化学工業株式会社のX−34−2826A/B(硬度17A、熱伝導率0.90W/m・K)、X−34−2857A/B(硬度25A、熱伝導率1.1W/m・K)などの商品が例示できる。
また、耐熱性ゴム部材に導電性を付与する方法としては、充填剤として各種の導電性付与剤を使用して体積固有抵抗を1012Ω・cm以下にする方法が挙げられる。導電性付与剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック、グラファイト、銀、銅、ニッケルなどの金属粉、導電性亜鉛華、導電性炭酸カルシウム、カーボン繊維などが挙げられ、これらの中でもカーボンブラックが一般的である。液状シリコーンゴムに導電性を付与した市販品としては、東レ・ダウコーニング株式会社のSCL2600A/B(体積固有抵抗1011Ω・cm)、SCL4900A/B(体積固有抵抗1010Ω・cm)などが挙げられる。
さらに、本発明の摺動部材において、耐熱性ゴム部材には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は摺動部材と定着ベルトの内面の間の摺動抵抗を小さくする目的で添加されるものであり、耐熱性ゴム部材から徐々に繊維織布へ染み出すことで、摺動部材の摺動面に潤滑剤を長期に亘り供給できる。摺動抵抗を小さくすることで、摺動表面の繊維織布が磨耗するのを防止できる。さらに説明すれば、本発明の摺動部材の摺動性は、前述の繊維織布による摺動特性で充分満足されるものであり、潤滑剤は摺動面の磨耗を抑制し、摺動部材の寿命を延ばすためのものである。
潤滑剤としては、耐熱性の観点から、ジメチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル等のシリコーン系オイルや、フッ素系オイルが挙げられ、またその粘度についても特に制限はないが、耐熱性ゴム部材を形成するゴム組成物への含浸性の高さや、粘度の選択性の多さ、及びコストの面などからジメチルシリコーンオイルがもっとも好ましい。ジメチルシリコーンオイルの市販品としては、TSF−451(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社の商品名)、KF−96(信越化学工業株式会社の商品名)などが挙げられる。また、ジメチルシリコーンオイルの粘度としては特に制限はないが、粘度が低いほどゴム組成物からの滲み出しが速いため滲み出る量は多く、逆に粘度が高いほど遅くなるので量は少なくなる。そのため、ジメチルシリコーンオイルの粘度は、定着器の目標寿命と供給したい潤滑剤量の観点から決定することが出来、10cs〜1000csが好ましく、30cs〜300csがより好ましい。さらに、ジメチルシリコーンオイルなどを基油として金属石けんやシリカ微粉末を含有させた、一般にシリコーングリースと呼ばれる潤滑剤を用いてもよい。
耐熱性ゴム部材への潤滑剤の含浸方法は、未硬化ゴム組成物に潤滑剤を一定量混合しておくのもよいし、硬化後の耐熱性ゴム部材に潤滑剤を含浸してもよい。耐熱性ゴム部材への潤滑剤の含浸量としては、前記の観点から1〜20重量%程度含んでいればよく、好ましくは3〜10重量%である。未硬化ゴム組成物に潤滑剤を一定量混合しておく場合、例えば、未硬化ゴム組成物100重量部に対し、潤滑剤を10重量部以下で添加する。この程度の量であれば、耐熱性ゴム部材と繊維織布および支持体との接着性を妨げない。一方、硬化後の耐熱性ゴム部材に潤滑剤を含浸する場合、例えば、耐熱性ゴム部材と、繊維織布および支持体とを一体化させた後、摺動部材の半製品をジメチルシリコーンオイルの槽に沈めて一定時間待てばよい。0.5〜1時間の時間で、ゴム組成物中、ジメチルシリコーンオイル10重量%程度の含浸が可能である。これらの手法によって潤滑剤を含有した耐熱性ゴム部材が形成され、摺動部材連続使用時の潤滑剤貯留部の役割を果たし、逐次潤滑剤が滲み出す(ブリードアウトする)ことで、定着ベルトとの摺動部へ潤滑剤を安定供給することが可能になる。然るに、摺動部材の外に潤滑剤供給装置を備えるよりも、省スペースであり、機械的に潤滑剤を供給した場合の課題になりがちな、過剰供給による記録媒体の汚染などのリスクが避けられる。また定着器を組み立てる工程において、作業者が潤滑油に触れることがないので、手や作業台などが潤滑油に汚染されることがない。
支持体13
本発明の摺動部材において、支持体は、前述の耐熱性ゴム部材と繊維織布とを支持するために設けられ、摺動部材の形状を保つための高剛性部分である。例えば図3に示されるように、支持体13は、通常、細長い板状を有する。支持体の材料は、通常、金属、耐熱性樹脂などである。金属としては、例えば、アルミニウム、耐熱性樹脂としては、液晶ポリマー、PPS、PEEK、PAIなどが例示できる。耐熱性樹脂には、さらにガラス繊維などを充填し、耐熱性や強度などの物性を向上させてもよい。具体的には、液晶ポリマーにガラス繊維を充填したスミカスーパーLCPのE4006グレード(住友化学株式会社の商品名)などが例示され、射出成形によって支持体を製造できる。
摺動部材の適用
本発明の摺動部材において、繊維織布、耐熱性ゴム部材、及び支持体を一体化させる方法としては、例えば、繊維織布と支持体の両接着面に耐熱性ゴム部材を構成する未硬化ゴム組成物を流し込み、未硬化ゴム組成物を硬化させると共に、加硫接着させる方法が挙げられる。すなわち、本発明の摺動部材において、繊維織布と支持体とが、耐熱性ゴム部材の加硫接着により一体化されていることが好ましい。このようにして一体化することにより、耐熱性ゴム部材が繊維織布と耐熱性ゴム部材との間に生成されると同時に、各部材間において加硫接着による強固な接着性を発揮することができる。繊維織布及び支持体の接着面には、それぞれ、DY−39−051A/B(東レ・ダウコーニング株式会社の商品名)やプライマーNo.101A/B、X−33−173A/B(いずれも信越化学工業株式会社の商品名)のようなシリコーンゴム系の接着剤や、DY−39−067(東レ・ダウコーニング株式会社の商品名)やケムロック607(ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド社の商品名)のようなシリコーン系プライマーを予め塗布しておいてもよい。さらに、繊維織布及び支持体の接着面は、それぞれ、接着剤やプライマー塗布前に予めイソプロピルアルコール(以下、IPAという)等で脱脂しておいてもよい。必要に応じて支持体の表面を脱脂前にサンドペーパーやブラストで活性化してもよいし、接着剤やプライマー塗布後の繊維織布及び支持体を110℃〜150℃程度で30分程度加熱して接着剤やプライマーを焼成してもよい。
本発明の摺動部材において、耐熱性ゴム部材を形成する為の未硬化ゴム組成物の硬化の方法は、公知の方法が選択できる。例えば、液状シリコーンゴムであれば、金型を用いずに、液状シリコーンゴムを支持体表面に一定厚みでコーティングした後、加熱して液状シリコーンゴムを硬化してから、繊維織布を被覆して再度加熱して接着させる方法がある。または後述するような金型を使用して、繊維織布及び支持体の接着をゴム組成物の硬化と同時にする加硫接着の方法がある。
耐熱性ゴム部材の加硫成形に射出成形、あるいはトランスファー成形用の金型を使用する場合、該金型は、ハードクロムメッキなどを施して表面を不活性にすることが肝要であり、例えば、モールドスパットMR−K681(旭硝子株式会社の商品名)、ダイフリーGA−3000(ダイキン工業株式会社の商品名)などの離型剤を塗布して用いられる。
本発明の摺動部材の大きさは、使用される定着器の大きさなどに応じて適宜設定することができる。摺動部材の長さとしては、例えば250〜400mm程度が挙げられる。また、摺動部材の幅としては、例えば10〜90mm程度が挙げられる。摺動部材の総厚みとしては、例えば2〜30mm程度が挙げられる。
本発明の摺動部材は、電子写真画像形成装置の定着器に用いられる摺動部材である。電子写真画像形成装置としては、特に限定されず、例えば、デジタル印刷機、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置が挙げられる。本発明の摺動部材は、例えば図1に示されるように定着器において、定着ベルトの内面に配置され、繊維織布の表組織が定着ベルト内面と接し、支持体部側が押圧部材と接するように、定着器に設置される。なお定着器の設計によっては、支持体が押圧部材と一体化していても、或いはどこで分離していてもよい。本発明の摺動部材1は、例えば図3に示されるように、二重織構造の繊維織布11と、潤滑剤を含有する耐熱性ゴム部材12と、支持体13の少なくとも3部材によって構成することができる。また、別の例として、図4のように耐熱性ゴム部材12の厚みを薄くしたい場合、支持体13に穴をあけて潤滑剤の通り道を設けておくこともできる。なお、耐熱性ゴム部材12中に含有させた潤滑油は、自然に放出させてもよく、図5または図6のように板バネ14や押付けガイド15を用いて、支持体に機械的荷重をかけて耐熱性ゴム部材を圧迫することで、強制的に潤滑剤を放出させることも可能である。
II.摺動部材の製造方法
以上のような構成を有する本発明の摺動部材は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって得ることができる。
繊維織布と前記支持体とを金型内に配置し、繊維織布と支持体との間に、耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物を供給する工程
未硬化ゴム組成物を硬化させて、繊維織布と支持体とを、耐熱性ゴム部材を介した積層構成とする工程
さらに、繊維織布を製造する工程を含めた場合、本発明の摺動部材は、以下の工程(1)〜(6)を含む製造方法によって得ることができる。
(1)表組織の原糸となるフィラメントを紡糸する工程
(2)裏組織の原糸となるフィラメントを紡糸する工程
(3)(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る工程
(4)(3)で得られた原糸をそれぞれ経糸と緯糸に分け、表組織及び裏組織を有する二重織構造の織布を織り上げる工程
(5)得られた織布を所定形状に打ち抜き、二重織構造の繊維織布を得る工程
(6)得られた繊維織布及び支持体を金型内に配置し、繊維織布と支持体との間に、耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物を供給し、未硬化ゴム組成物を硬化させて、繊維織布と支持体とを、耐熱性ゴム部材を介した積層構成とする工程
以下、これらの各工程について説明する。なお、本発明の製造方法において使用する原料やその含有量等は、前述のとおりである。
工程(1)(フィラメントの紡糸)
工程(1)では、表組織の原糸となるフィラメントを紡糸する。例えば、フッ素樹脂によりフィラメントを構成する場合には、例えば、フッ素樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸する。より具体的には、表組織を構成する表経糸及び表緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する。フィラメントの紡糸は、具体的には、例えば、次のようにして行うことができる。
表組織の原糸を構成する樹脂に、必要に応じてフィラー等を混合し、フィラメント形成組成物を調製する。混合には、公知の混合手段が適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。
次に、フィラメント形成組成物について、溶融押出成形を行う。溶融押出成形には、公知の押出成形手段が適用可能であり、例えば、単軸押出機と押出成形用の口金ノズルを用いることができる。得られるフィラメントの径は、口金ノズルの孔径及び押出速度などの成形条件を適宜設定して調節することができる。吐出後のモノフィラメントの引張強度を向上させるため加熱延伸することも可能である。温度等の押出成形条件は、フィラメント形成組成物の成分に応じて適宜設定することができる。
工程(2)(フィラメントの紡糸)
工程(2)では、裏組織の原糸となるフィラメントを紡糸する。例えば、熱可塑性樹脂によりフィラメントを構成する場合には、熱可塑性樹脂フィラメントを溶融押出によって紡糸することができる。より具体的には、裏組織を構成する裏経糸及び裏緯糸の原糸となるフィラメントを溶融押出によって紡糸する。裏組織の原糸を構成するフィラメントの紡糸は、具体的には、例えば、次のようにして行うことができる。
裏組織の原糸を構成する樹脂に、必要に応じてフィラー等を混合し、フィラメント形成組成物を調製する。混合には、公知の混合手段が適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。
工程(3)(フィラメントの撚糸)
工程(3)では、工程(1)及び(2)のフィラメントを各々撚糸し、それぞれの原糸を得る。具体的には、工程(1)及び(2)によって得られたフィラメントをそれぞれ撚糸機にセットし、巻き取り速度を設定した後、各フィラメントに応じた撚度を仮撚りで付与し、原糸とする。なお、撚糸の方法や撚度、まとめ本数は、前述の、表経糸及び表緯糸、裏経糸及び裏緯糸の項に記載のとおりである。工程(1)〜(3)の工程の順は特に限定されない。
工程(4)(織り)
工程(4)は、工程(3)で得られた原糸をそれぞれ経糸と緯糸に分け、表組織及び裏組織を有する二重織構造の織布を織り上げる工程である。織布の織り方は、二重織りであれば、平織りをはじめ、綾織り、朱子織りからなる三原組織のいずれでもよい。なかでも、前述のように、平織り又は綾織りが好ましい。さらには、面上の凹凸の均等性を考慮した場合、平織りがより好ましい。例えば、裏組織の糸を表組織表面に出さないようにして、摺動性をより高める場合には、綾織がより好ましい。さらに、表組織と裏組織は別々の織り方をしても良い。
織機としては、ニードル織機、シャトル織機、レピア織機、エアジェット織機等が挙げられるが、織り速度が速いと織口が安定しないのが一般的なので、ニードル織機、シャトル織機、又は、レピア織機が望ましい。織幅は織布の仕上げ幅によるので、その幅が織れる織機を選択すればよく、定着器用摺動部材の用途としては80mm以上程度の幅が織れる織機であればよい。
織布のメッシュ数は、撚糸後の原糸繊度によって自由に決められるが、前述のようなフィラメント繊度であれば、50〜180メッシュ/インチ程度が一般的で、目開きや開口率の設計によって任意に選択することができる。加えて、経糸と緯糸でインチ当たりの本数を変えることも可能である。また表組織と裏組織のメッシュ数を変えることが可能である。織布表裏のメッシュ数を変えることで、摺動部材としたときの定着ベルト側のメッシュ数と耐熱性ゴム部材側のメッシュ数を変えることができる。本発明の摺動部材では、滑り性と強度、潤滑剤保持性の観点から、定着ベルト側のメッシュ数を20〜60、耐熱性ゴム部材側のメッシュ数を30〜120とする事が望ましい。この範囲のメッシュ数以下だと強度や潤滑剤の保持性に懸念があり、この範囲のメッシュ数以上だと滑り性が悪くなったり、織布本来のしなやかさがなくなってしまう恐れがある。
こうして織られた織布は、高温下で使用しても寸法が安定していることが必要な為、工程(5)の前に、ヒートセット加熱工程(4)’をさらに行ってもよい。前記ヒートセット加熱工程としては、例えば、温度は150〜200℃、時間は0.5〜16時間程度で、連続炉や恒温槽にて加熱する方法が挙げられる。
工程(5)(打ち抜き)
工程(5)は、工程(4)で得られた織布を所定形状に打ち抜き、二重織構造の繊維織布を得る工程である。所定の形状とは、最終的に得られる摺動部材の繊維織布の形状である。また、当該形状への打ち抜きと、同時に又は前後に、成形用金型へ固定するための穴を打ち抜いて形成してもよい。
織布の打ち抜きとしては、具体的には、工程(4)で得られた織布を、トムソン型を使ってプレスで打ち抜く方法が挙げられる。
また、工程(4)で織り上げられた織布の少なくとも一部を熱溶着させ、繊維織布の少なくとも一部の熱溶融部分によって、表組織と裏組織とを一体化させてから、織布の打ち抜きを行ってもよい。熱溶着は、例えば、織布を熱プレスすることにより行うことができる。繊維同士が溶融することにより、層間の位置ずれや、端部の繊維ほつれをより一層効果的に防止することができる。また、後述の耐熱性ゴム部材形成時において、未硬化ゴム組成物が織布のメッシュの隙間から必要以上に多量に漏れ出してしまうことも避けられる。
織布の連続溶融の方法としては、例えば、織布を供給側ローラに掛け、巻き取り側のローラへ渡し、その際、供給側ローラと巻取り側ローラ間の工程に一対の加熱ローラを設け、溶融したい部分を挟みながら加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、200〜320℃が好ましく、220〜300℃がより好ましい。加熱時間は織布の送り速度と加熱ローラ間のニップ幅で適宜調整するとよい。なお(4)で織り上がった連続した織布の幅から、繊維織布を2枚以上打ち抜くことができる場合、予めスリットして、織布の幅を摺動部材に用いる繊維織布が1枚分だけ打ち抜ける幅にしておいてから当該工程を行なってもよい。
工程(5)における、打ち抜きは、繊維織布端部の繊維ほつれがより発生しにくくなる点で、溶融された織布から行われることが好ましい。こうして打ち抜かれた繊維織布は、溶融によって表裏組織の繊維が略一体化している。なお、略一体化とは、2種の繊維が完全に溶け合っている必要はなく、概ね熱圧着して糸ほつれがなければよい。
摺動部材の設計上、多少の糸ほつれがあっても使用上問題にならない場合、前記溶融工程は必要なく、溶融工程を省略して打ち抜き工程を行ってもよい。さらに、溶融工程を省略し、かつ後述の耐熱性ゴム部材形成時に、未硬化ゴム組成物が成形時の圧力によって、織布のメッシュの隙間から必要以上に多量に漏れ出してしまう懸念を解消したい場合、繊維織布の裏組織表面に予め未硬化ゴム組成物を薄膜に塗布して硬化させておくことで、裏組織のメッシュの隙間をゴム組成物で埋めておくこともできる。
工程(6)(耐熱性ゴム部材の形成、及び摺動部材形成工程)
工程(6)は、工程(5)で得られた繊維織布、及び支持体を金型内に配置し、繊維織布と支持体との間に、耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物を供給し、未硬化ゴム組成物を硬化させて、繊維織布と支持体とを耐熱性ゴム部材を介した積層構成とする工程である。耐熱性ゴム部材を形成するゴムの種類、配合割合、その他の成分等は、上記の「I.摺動部材」の項目で説明したとおりである。
工程(6)において、具体的には、耐熱性ゴム部材の形成は、例えば、長手方向の中心軸が重なるようにして繊維織布の裏組織側に支持体を対向させた状態で金型内に配置して、金型を組み立てた後、繊維織布の裏組織と支持体との間に、耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴムを注入した後、前記金型を加熱して前記未硬化ゴムを硬化させて耐熱性ゴム部材を成形すると共に、繊維織布の裏組織と耐熱性ゴム部材と支持体とを接着して摺動部材を形成する。なお、繊維織布と支持体の耐熱性ゴム部材形成面には、金型へ配置する前に、前記したプライマーや接着剤を塗布しておくこともできる。
工程(6)で使用される金型は、通常、二枚割り乃至は三枚割りの板状である。すなわち、摺動部材の成形では、割型の金型による射出成形法が採られ、該金型には1個の耐熱性ゴム部材の大きさに相当するキャビティーが1箇所または複数備えられており、金型を閉じた状態でキャビティー内へ未硬化ゴム組成物を注型し、硬化後、金型を開いて脱型して製造することができる。1つの金型中のキャビティー数は、摺動部材の大きさや使用するプレスの装置、設備等から適宜選択される。例えば、4列×4段であれば、16個取りの金型である。
金型の組み立てにおいては、まず、金型内に繊維織布と支持体を位置決めした状態で固定し、型締めする。型締めはプレス装置を用いる方法が一般的である。なお、このとき、繊維織布と支持体の長手方向の中心軸が重なるように金型に配置するために、各キャビティーの端部に軸合わせ用のエンドキャップなどの金型部品を設けてもよい。
次に、金型の一方側の端部から、キャビティー内の繊維織布と支持体との間に、未硬化ゴム組成物を所定の圧力で射出注入する。このとき、未硬化ゴム組成物の注入圧力により、繊維織布の外面(表組織表面)は、注入端部側から順次圧力を受け金型の内面に密着する。すなわち、未硬化ゴム組成物は、繊維織布と支持体との間を順次押し拡げながら一方側端部から他方側端部に進行し、繊維織布と支持体との全ての間隙に充填される。なお、注入する未硬化ゴム組成物には、前述した潤滑剤を混合しておいてもよい。
次に、未硬化ゴム組成物を繊維織布の裏組織と支持体との間に充填した状態で、金型を好ましくは100〜180℃程度の温度で、好ましくは10〜40分間程度の時間、プレスしたまま保持することにより、未硬化ゴム組成物を硬化させて耐熱性ゴム部材を形成するとともに、それぞれ、耐熱性ゴム部材と繊維織布との間、耐熱性ゴム部材と支持体との間の接着を同時に行って、支持体、耐熱性ゴム部材、及び繊維織布の一体化を行う。金型の加熱温度、保持時間などは、使用する未硬化ゴム組成物の種類などに応じて適宜変更することができる。例えば、未硬化ゴム組成物として液体シリコーンゴムを用いる場合には、金型を120〜160℃程度の温度で、15〜30分間程度保持することによって、液体シリコーンゴムの一次加硫(加熱硬化)を行うことができる。
次に、上記の金型の加熱によって未硬化ゴム組成物を硬化させた後、金型を冷却して、金型から摺動部材を取出す。取り出した摺動部材の端部などの余分なバリの部分などをカット除去して、目的寸法の本発明の定着器用摺動部材が得られる。
なお、金型から取り出した摺動部材に対して何も当接しないフリーの状態で、摺動部材を恒温槽などに投入し、例えば180〜220℃程度で1〜4時間程度の加熱を行うことが好ましい。該加熱により、上記の加熱温度における二次加硫を行うことができる。また、金型内で繊維織布が受けた残留応力を該加熱により消失させることができ、定着器用摺動部材として連続使用する際の形状変化を効果的に抑制することができる。なお、該加熱の温度としては、二次加硫と上記の残留応力の消失を行うことができる温度であり、かつ、摺動部材の使用最高温度以上であることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<摩擦係数の測定>
摺動性の評価として、ASTM D1894に準拠し、摺動部材から得た試験片について、表面性測定機14FW(新東科学株式会社製)を用いてSUS対サンプルの条件で、摺動側表面(フィラメント1で織成された側の表面)の静摩擦係数と動摩擦係数を測定した。
<実施例1>
(1)フィラメント1の紡糸
テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)(451HP−J、三井デュポンフロロケミカル(株)製、融点310℃、溶融粘度(380℃)104Pa・s)の原料ペレットを、単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において320℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたPFAのモノフィラメントの繊度は21dtexであった。
(2)フィラメント2の紡糸
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(VICTREX PEEK 151G、英ビクトレックス社製、融点343℃)の原料ペレットを、(1)とは別の単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において350℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたPEEKのモノフィラメントの繊度は13dtexであった。
(3)撚糸
得られたフィラメント1とフィラメント2についてそれぞれ12本ずつを撚糸機にセットし、巻き取り速度を600M/minに設定後、フィラメント1には撚度S130回/Mの甘撚りを付与、フィラメント2には撚度S240回/Mの甘撚りを付与した。
撚糸後のフィラメント1の繊度は、260dtexであり、撚糸後のフィラメント2の繊度は、160dtexであった。
(4)織り
撚糸後のフィラメント1と撚糸後のフィラメント2を整経機で巻き上げて経糸とし、緯糸にもフィラメント1とフィラメント2を用意した。次にニードル織機を用いて表裏とも経糸密度53本/インチ、表裏とも緯糸密度32本/インチ、幅120mmの狙い値で平織りによる二重織りを行い、長さ100mまで織り続け、二重織り織布を得た。このとき織機回転数は600rpmであった。
得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地は、経糸密度63本/インチ、緯糸密度38本/インチ、幅は110mmであった。
(5)打ち抜き
上記(4)で得られた織布の反物状生地を、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて織布を巻き取った。この際、熱ローラの表面温度は250℃、送り速度は1.2mm/秒で行なった。
その後、幅33mm、長さ347mmの繊維織布をトムソン型にて、織布から3列並べて長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた繊維織布の厚さは366μmであった。なお、切断面における糸のほつれはなかった。
(6)耐熱性ゴム部材の形成工程及び摺動部材形成工程
上記の工程(5)で打ち抜かれた繊維織布の裏組織と、アルミニウム製の支持体の接着面をIPAで表面洗浄した後、プライマーX−33−156−20(信越化学工業株式会社の商品名)を塗布して30分乾燥しておいた。それらを摺動部材成形用の4個取りの二枚割り板状金型(クロムメッキされたS45C)の下型の所定位置にセットし、上型を閉じて100tプレスにて型締めし、金型の組み立てを行なった。プレスの設定温度は、120℃とした。
次に、未硬化の液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製 X−34−2720 A/B、A:B=5:5、熱伝導率0.65W/m・K、硬度5A)と、粘度100csのジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製 KF−96−100cs 末端トリメチルシリル基の線状ジメチルポリシロキサン)を準備し、未硬化の液状シリコーンゴム100重量部に対し、ジメチルシリコーンオイルを8重量部添加し、混合した後、脱泡を行い、冷却チラーにて冷却保温が可能な原料供給用のシリンダーへ投入した。その後、油圧注入機を用いて、シリンダー内の液状シリコーンゴム原料を金型横に設けた注入穴から、繊維織布と支持体の間に射出注入した。液状シリコーンゴム原料が充填されたことを確認してから、注入をやめてシリンダーを金型注入穴から外し、金型内部の圧力が下がらないよう金型注入穴を逆止弁で自動的に閉鎖した。プレス温度を前記設定温度に保ったまま、17分間加熱硬化(液状シリコーンゴムに対する一次加硫)した後、プレス機圧力を解除して、金型を開けて成形品を取り出した。
次に、取出した成形品から、繊維織布や支持体の周囲や端部に形成されたバリ(余分なゴム)を除去し、最終製品長である327mmにカットして半製品の摺動部材を得た。該半製品の摺動部材を、何も当接しない状態で、恒温槽に配置投入して200℃で4時間の加熱をすることで、シリコーンゴムに対する二次加硫と、繊維織布と支持体が成形時に受けた残留応力を取り除くことを同時に行った。その後、室温まで徐冷して目的の摺動部材の完成品を得た。また、摺動表面の動摩擦係数は0.12、静摩擦係数は0.18であった。
<実施例2>
(1)〜(4)の工程において、実施例1におけるフィラメント2として、市販のポリフェニレンサルファイド(PPS)マルチフィラメント(120dtex/72f、融点285℃:グラディオ(商標)KBセーレン株式会社製)を使用した点以外は、実施例1と同様にして、二重織り織布を得た。得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度65本/インチ、緯糸密度41本/インチ、幅は108mmであった。次いで、(5)の工程において、上記で得られた反物の織布の端から、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて巻き取った。この際、熱ローラの表面温度は230℃、送り速度は1.0mm/秒であった。その後、幅33mm、長さ347mmの繊維織布をトムソン型にて、反物の織布から3列並べて長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた繊維織布は、厚さが330μmであり、打ち抜きによる切断面における糸のほつれはなかった。次に、得られた繊維織布を用い、(6)の工程において、実施例1と同様に耐熱性ゴム部材の成形によって、目的の摺動部材を得た。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.12、静摩擦係数は0.19であった。
<実施例3>
実施例2において(6)の未硬化の液状シリコーンゴムには、ジメチルシリコーンオイルは内添せずに、耐熱性ゴム部材を成形した以外は、実施例2と同様にして、半製品の摺動部材を得た。その後、摺動部材の成形後の重量を測定し、予め成形前に測定しておいた繊維織布と支持体の重量を差し引いて、耐熱性ゴム部材の重量を求めたところ、18.6gであった。当該重量のおよそ8%にあたる1.5gのジメチルシリコーンオイル(実施例1及び2で未硬化の液状シリコーンゴムに内添したものと同じ)を、摺動部材の繊維織布側表面から、ディスペンサーで供給して1時間放置して耐熱性ゴム部材に含浸して、目的の摺動部材を完成した。また放置後に摺動部材の繊維織布には、供給したジメチルシリコーンオイルは残っておらず、耐熱性ゴム部材に含浸したことを目視で確認できた。
<実施例4>
(1)フィラメント1の紡糸
フッ化エチレンプロピレン(FEP)(FEP130−J、三井デュポンフロロケミカル(株)製、融点260℃、溶融粘度(380℃)104Pa・s)の原料ペレットを、単軸押出機に投入し、0.1mmの孔径の口金から押出し、口金出口から延伸機において280℃にて加熱延伸しながら、ワインダーで専用ボビンに巻き取った。こうして得られたFEPのモノフィラメントの繊度は26dtexであった。
(2)から(6)の工程においては、実施例2と同じ条件で目的の摺動部材を得た。また、このとき摺動側表面の動摩擦係数は0.16、静摩擦係数は0.21であった。
<実施例5>
(1)から(4)の工程においては、実施例2と同じ条件で織布を得た。
(5)打ち抜き
上記(4)で得られた織布の反物には熱による溶融を行なわずに、幅33mm、長さ347mmの繊維織布をトムソン型にて、織布から3列並べて長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた繊維織布の厚さは366μmであった。なお、この時点では切断面における糸のほつれが発生していた。次に、得られた繊維織布の裏組織表面にをIPAで表面洗浄した後、1200 OS PRIMER(米DOW CORNING社の商品名)を塗布して30分乾燥して、低粘度の液状シリコーンゴムKE−1950−10A/B(信越化学工業株式会社の商品名)を裏組織表面のメッシュの隙間にバーコーターで圧力をかけずに塗布したあと、130℃の恒温槽に12分間投入してシリコーンゴムを硬化した。この時点で、ゴムがメッシュに充填されたことで、繊維織布の裏組織の繊維目はゴムで覆われており、糸のほつれもゴムに埋没した。なお、表組織のPFA繊維の凹凸は、何ら変化がなかった。ゴムはメッシュが埋まる程度に塗布しただけであるため、出来上がりの繊維織布厚みも実施例2と大きく変わらず、367μmであった。
(6)耐熱性ゴム部材の形成、及び摺動部材形成工程
上記で得られた繊維織布の裏組織には、すでにゴム層があり、この上で未硬化の液状シリコーンゴムを加硫させると、ゴム同士は加硫接着するため、ゴム面にはプライマーを塗る必要が無い。そのため、そのまま金型へセットした以外は、実施例2と同じ方法で耐熱性ゴム部材を成形し、目的の摺動部材を得た。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.11、静摩擦係数は0.16であった。なお、実施例5においては、摺動部材の摺動表面へのゴムの浸食はなく、繊維織布の表組織の外観がそのまま摺動部材の外観に反映していた。
<実施例6>
フィラメント1として、マトリックス紡糸法から製造されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維トヨフロン(商標:東レ・ファインケミカル株式会社製、融点327℃、溶融粘度(380℃)109Pa・s)のマルチフィラメント市販品の400dtex/60fを使用した。
フィラメント2として溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維トルコン(商標:東レ株式会社製、融点285℃)のマルチフィラメント市販品の220dtex/50fを使用した。
撚糸、織りについては、実施例1と同様な方法で行い、得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度69本/インチ、緯糸密度43本/インチ、幅は100mmであった。
(5)打ち抜き
上記で得られた織布を、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて巻き取った。この際熱ローラの表面温度は330℃、送り速度は10mm/秒で行なった。その後、幅33mm、長さ347mmの摺動部材をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた摺動部材は、熱によって圧着された状態ではあったが、打ち抜きによる切断面における糸のほつれが発生していた。ほつれた糸は手で引っ張ったところ、糸抜けが発生してしまうレベルであったが、そのまま実施例1の(6)と同じ方法で耐熱性ゴム部材を成型し、摺動部材の完成品を得た。織布のほつれ糸は、成型した耐熱性ゴム部材の中に埋没しており、特に問題なく見えた。また、摺動側表面の動摩擦係数は0.10、静摩擦係数は0.19であった。
<比較例1>
(1)から(5)の工程において、繊維織布は使用せず、フッ素樹脂シート(片面がエッチング処理されたPFA製シート50μm厚み)を使用した。エッチング面をIPAで表面洗浄した後、プライマー(X33−156−20、実施例1と同じ)を塗布して30分乾燥した。次に幅33mm、長さ347mmのサイズに切断した。(6)で使用する金型は実施例と異なり、二枚割の金型のうち上型に、深さ0.3mm、間隔1mm、尖りを緩和した四角錘のエンボス加工を施したものを使用した。得られた樹脂シートを繊維織布の代わりに使用したことと、当該金型を使用したこと以外は、実施例2の(6)と同じ方法で耐熱性ゴム部材を成形し、比較例1の摺動部材を得た。成形品のフッ素樹脂シート側表面、すなわち摺動側表面には、金型のエンボス加工による凹凸が転写していた。当該摺動側表面の動摩擦係数は0.07、静摩擦係数は0.08であった。その後、1.5gのジメチルシリコーンオイル(実施例で使用したものと同じ)を、摺動部材のフッ素樹脂側表面に、ディスペンサーで供給して1時間放置した。なお、放置後の観察では、ジメチルシリコーンオイルはフッ素樹脂シート側表面に含浸されずに液滴状に残っていた為、そのまま後述する耐久試験に投入した。
<比較例2>
比較例2は、織布のみで構成される摺動部材である。フィラメント1として、マトリックス紡糸法から製造されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)繊維トヨフロン(商標:東レ・ファインケミカル株式会社製、融点327℃、溶融粘度(380℃)109Pa・s)のマルチフィラメント市販品の400dtex/60fを使用した。フィラメント2として溶融紡糸により製造されたポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維トルコン(商標:東レ株式会社製、融点285℃)のマルチフィラメント市販品の220dtex/50fを使用した。撚糸、織りについては、実施例1と同様な方法で行い、得られた生地に対して200℃に設定したプレート上を張力800gf、5m/分で通過させることによりヒートセットを施した。このときヒートセット生地の経糸密度69本/インチ、緯糸密度43本/インチ、幅は100mmであった。
(5)打ち抜き
上記で得られた織布を、一対のピンチ熱ローラ間に供給し、出口にて巻き取った。この際熱ローラの表面温度は330℃、送り速度は10mm/秒で行なった。その後、幅63mm、長さ347mmの繊維織布をトムソン型にて、織布から長手方向に連続して打ち抜いていった。こうして得られた繊維織布は、熱によって圧着された状態ではあったが、打ち抜きによる切断面における糸のほつれが発生していた。ほつれた糸を手で引っ張ったところ、糸抜けが発生してしまった。なお、前記打ち抜きにおいては、繊維織布を支持体に固定する為の穴を、幅方向両端部の所定の位置に開けている。その後、繊維織布を支持体に巻きつけて、支持体の裏側に位置するピンに、繊維織布の穴をかけて固定し、比較例2の摺動部材を得た。比較例2の摺動部材の幅は、実施例と同様33mmであるが、支持体の裏に繊維織布を回して固定することが必要だった為、実施例に比較し約2倍の織布量が必要であった。またこのとき、摺動側表面の動摩擦係数は0.11、静摩擦係数は0.18であった。その後、1.5gのジメチルシリコーンオイル(実施例で使用したものと同じ)を、摺動部材の繊維織布側表面から、ディスペンサーで供給して1時間放置して繊維に含浸した。
(耐久評価)
実施例1〜6および比較例1〜2で各々得られた摺動部材を、定着ユニットのベンチ試験機にて、摺動面側の表面が定着ベルトと接するように設置し、媒体を通紙せずに空回転で1000時間連続運転して、連続運転開始時と後の摺動部材の変化について評価した。繊維のほつれについては、連続運転前後において下記の基準により評価した。これらの結果を表1に示す。
<繊維のほつれの評価基準>
◎:連続運転前後において、織布切断面における糸のほつれがなかった。
○:織布切断時に切断面における糸のほつれが発生したが、摺動部材完成体においてはほつれた糸を手でひっぱってもそれ以上繊維構造が破壊しなかった。連続運転後も繊維構造の破壊はなかった。
△:織布切断時に切断面における糸のほつれが発生し、かつ摺動部材完成体においてはほつれた糸を強く手で引くと繊維の一部が破壊したが、連続運転中自然に糸が抜けることは無く、連続運転を完了した。
×:切断面における糸のほつれが発生し、ほつれた糸を手で引っ張ると、糸抜けが生じた。糸のほつれの現象は連続運転の前後両方で見られた。
Figure 2018036557
実施例1−6及び比較例1,2のいずれの摺動部材とも、連続運転開始時しばらくは、摺動性や潤滑剤保持性の点では、問題は生じなかった。しかしながら、比較例1については、試験中にシート表面に設けられた凹凸は次第に平坦になるのが目視で確認され、連続運転後には、凹凸がほぼなくなって、所々シートに穴が開いてしまっていた。比較例2については、試験中に表裏面繊維層の間で位置ずれが生じているのが確認され、部分的にメッシュの大きさが違う場所が現れた。連続運転後には、摺動表面の繊維が摩耗しており,所々擦り切れた状態が確認された。実施例1〜6については、試験中に繊維層の間で位置ずれは生じず、連続運転後においても摺動面には織布が形状を保っており、顕著な磨耗や擦り切れ、メッシュ組織の大きな破壊は発生しなかった。
比較例1では、潤滑剤が保持できないため枯渇が一番早く、比較例2では、繊維構造内に潤滑剤を一定時間保持できるが、連続運転においては、更なる潤滑剤の供給がないため、枯渇の一途をたどり、最終的には摺動表面の磨耗が発生したと考えられる。これらに対し、実施例1〜6においては、連続運転中にも耐熱性ゴム部材内に貯留した潤滑剤が微量に摺動表面に対し常時供給されているために、定着ベルトとの間に発生する摺動負荷を長期間に亘って軽減することができたと考えられる。これらの結果から、支持体と、当該支持体の上に設けられた耐熱性ゴム部材と、当該耐熱性ゴム部材の上に設けられた二重織構造の繊維織布とを備える定着器用摺動部材は、長期間に亘って潤滑剤を安定供給でき、さらに、繊維織布の層構造における層間の位置づれや繊維のほつれが効果的に抑制されることが確認された。
1 摺動部材
2 定着ベルト
3 加熱ロール
4 トナー
5 記録媒体
6 織布
7 表経糸
8 裏経糸
9 表緯糸
10 裏緯糸
11 二重織構造の繊維織布
12 耐熱性ゴム部材
13 支持体
14 板バネ
15 押付けガイド

Claims (14)

  1. 支持体と、
    前記支持体の上に設けられた耐熱性ゴム部材と、
    前記耐熱性ゴム部材の上に設けられた二重織構造の繊維織布と、
    を備える、定着器用摺動部材。
  2. 前記繊維織布は、表経糸と表緯糸で織成された表組織と、裏経糸と裏緯糸で織成された裏組織とを有し、
    前記表経糸及び前記表緯糸の少なくとも一方が、フッ素樹脂の溶融紡糸糸であり、
    前記表組織が、摺動面である、請求項1に記載の定着器用摺動部材。
  3. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体の少なくとも一方である、請求項2に記載の定着器用摺動部材。
  4. 前記裏経糸及び前記裏緯糸が、熱可塑性樹脂の溶融紡糸糸である、請求項2又は3に記載の定着器用摺動部材。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、及び液晶ポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の定着器用摺動部材。
  6. 前記繊維織布が、平織りの二重織り又は綾織りの二重織りにより形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  7. 前記繊維織布の少なくとも一部の熱溶融部分によって、前記表組織と前記裏組織とが一体化されている、請求項1〜6のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  8. 表経糸、表緯糸、裏経糸、及び裏緯糸のうち少なくとも1つが、フィラーを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  9. 前記耐熱性ゴム部材が、シリコーンゴムにより形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  10. 前記耐熱性ゴム部材が、潤滑剤を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  11. 前記潤滑剤が、シリコーン系オイルである、請求項10に記載の定着器用摺動部材。
  12. 前記支持体が、金属または耐熱性樹脂により構成されている、請求項1〜11のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  13. 前記繊維織布と前記支持体とが、前記耐熱性ゴム部材の加硫接着により一体化されている、請求項1〜12のいずれかに記載の定着器用摺動部材。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の定着器用摺動部材の製造方法であって、
    前記繊維織布と前記支持体とを金型内に配置し、前記繊維織布と前記支持体との間に、前記耐熱性ゴム部材を形成する未硬化ゴム組成物を供給する工程と、
    前記未硬化ゴム組成物を硬化させて、前記繊維織布と前記支持体とを、前記耐熱性ゴム部材を介した積層構成とする工程と、
    を備える、定着器用摺動部材の製造方法。
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