以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能であろう。尚、各図において同一の符号を付されたものは同様の要素を示しており、適宜、説明が省略される。
実施の形態1.
本実施の形態にかかる観察装置の主要部の構成について、図1、及び図2を用いて説明する。図1は、観察装置100の主要部の構成を示す斜視図である。具体的には、図1は、観察装置100の光学系ユニット110と対物レンズ120とを回転可能に保持する保持装置10の構成を模式的に示している。保持装置10は、サンプルを動かさずに、様々な方向からサンプルを観察するために、光学系の一部を回転移動可能に保持している。図2は保持装置10の構成を示すXY平面図である。なお、図1、図2では一部の構成が適宜省略されている。例えば、観察装置100に設けられた照明光源等は省略されている。
観察装置100は、回転軸11と、アーム12と、第1のウェイト13と、第2のウェイト14と、ガイド機構15と、軸受け16と、台座17と、光学系ユニット110と、対物レンズ120と、を備えている。以下、適宜XYZ3次元直交座標系を用いて説明する。Z軸は、回転軸11の中心軸であり、ここでは水平方向となっている。また、X方向は水平方向となり、Y方向は鉛直方向となっている。もちろん、X軸、Y軸、Z軸は相対的なものであり、観察装置100の設置方向に応じて変化する。対物レンズ120の光軸OXとZ軸と交差する点を観察中心点Oとする。観察中心点Oにはサンプル(図1、図2では不図示)が配置される。なお、サンプルは図示しないサンプルステージに載置されている。
回転軸11は、Z方向に沿って設けられている。回転軸11は円柱又は円筒状になっている。具体的には、Z軸が回転軸11の回転中心と一致している。そして、回転軸11は軸受け16を介して台座17(図1では省略)に固定されている。すなわち、台座17、及び軸受け16は、回転軸11を回転可能に保持している。回転軸11は、Z軸周りに回転する。図1に示すように、Z軸周りの回転方向をφ方向とする。また、φ方向の回転をφ軸回転とも称する。
回転軸11の一端には、アーム12が取り付けられている。アーム12は、回転軸11の先端に連結されている。アーム12は、回転軸11から2方向の延びる馬蹄状のプレートとなっている。アーム12の中央部が回転軸11に固定され、両端が−Z方向に延在している。なお、アーム12の形状は特に限定されるものではなく、C字状、又はU字状であってもよい。アーム12は、回転軸11とともにφ方向に回転する。すなわち、回転軸11をモータなどの駆動機構で回転させるとアーム12がφ方向に回転する。
図1、図2に示すように、アーム12がXY平面と平行になっている角度をφ軸回転の基準角度とする。基準角度において、アーム12の一端は回転軸11の上方(+Y側)に配置され、他端はZ軸の下方(−Y側)に配置されている。回転軸11は、例えば、φ方向に±30°回転することができる。よって、基準角度を0°とすると、アーム12が、φ方向に−30°〜+30°の範囲で回転することができる。もちろん、φ方向の回転可能な範囲は±30°に限られるものではない。
アーム12は、第1のガイド機構となるガイド機構15を有している。ガイド機構15は、アーム12の中央部から一端までの間に配置されている。例えば、アーム12の一方の面にガイド溝を形成することで、アーム12にガイド機構15が設けられる。なお、アーム12において、ガイド機構15が形成された面をガイド形成面12aとする。例えば、基準角度において、ガイド形成面12aは、YZ平面に平行な平面となっている。もちろん、ガイド形成面12aは平面に限られるものではない。なお、ガイド形成面12aにガイドレール等を取り付けることで、ガイド機構15が形成されていてもよい。
ガイド機構15は、光学系ユニット110の移動をガイドする。光学系ユニット110は、ガイド機構に沿って移動可能に設けられている。例えば、ガイド形成面12aにおいて、ガイド機構15は、円弧状に形成されている。ガイド機構15の円弧は、例えば、観察中心点Oの近傍を中心とした円弧である。したがって、ガイド形成面12a上を、光学系ユニット110は、円弧に沿って移動する。
図2に示すように、基準角度においてガイド形成面12aは、Z軸から−X方向にずれている。すなわち、基準角度において、ガイド形成面12aを含む平面とZ軸とは交差しないように配置されている。具体的には、光学系ユニット110や対物レンズ120等の大きさに応じて、アーム12のガイド形成面12aは、Z軸からずれて配置されている。
光学系ユニット110のサンプル側には、対物レンズ120が取り付けられている。基準角度において、対物レンズ120の光軸OXはZ軸と交差するように配置されている。対物レンズ120の光軸OXが観察中心点Oを通るように、ガイド形成面12aは観察中心点Oから−X方向にずれて配置されている。対物レンズ120は、光学系ユニット110の観察中心点O側に配置されている。光学系ユニット110が、ガイド機構15に沿って回転移動すると、対物レンズ120が光学系ユニット110とともにθ方向へ回転移動する。また、回転軸11が回転すると、アーム12に取り付けられた光学系ユニット110、及び対物レンズ120もφ方向へ回転する。従って、光学系ユニット110、及び対物レンズ120は、観察中心点Oを回転中心点としてθ、及びφの両方向へ回転移動する。
光学系ユニット110は、例えば、複数の光学素子と、筐体と、を有している。筐体は複数の光学素子を収容する。よって、光学系ユニット110の移動にともなって、筐体内に配置された複数の光学素子は一体に移動する。光学系ユニット110は、サンプルに向かう照射光(照明光)を伝搬する光学系、及びサンプルからの観察光を光検出器に伝搬する光学系の少なくとも一部を備えている。具体的には、光学系ユニット110は、サンプルに照射される照射光を走査するスキャナ等を含んでいる。例えば、光学系ユニット110は、スキャナとして、ガルバノミラー等を有している。もちろん、光学系ユニット110はスキャナ以外の光学素子、例えば、ミラー、ダイクロイックミラー、光検出器等を有していてもよい。光学系ユニット110内に設けられた光学系の具体例については後述する。
光学系ユニット110で走査された照射光は、対物レンズ120に入射する。対物レンズ120は、光学系ユニット110で走査された照射光を集光する。対物レンズ120に観察中心点Oにあるサンプルに向けて照射光を集光する。対物レンズ120による照射光の焦点は、観察中心点Oとすることができる。対物レンズ120のみをY方向に移動させれば、観察中心点Oを中心とする球面上を焦点とすることも可能である。また、サンプルからの観察光が対物レンズ120に入射すると、対物レンズ120は観察光を屈折する。そして、サンプルからの観察光は、対物レンズ120を介して、光学系ユニット110に入射する。観察光は、光学系ユニット110に設けられた光検出器で検出される。
光学系ユニット110がガイド機構15に沿って回転移動すると、対物レンズ120も回転移動する(図1中の矢印θ)。すなわち、対物レンズ120と、光学系ユニット110とは一体となって回転移動する。ガイド機構15によって、光学系ユニット110と対物レンズ120とが移動可能にアーム12に取り付けられている。ここで、ガイド機構15に沿った光学系ユニット110の移動方向を図1に示すように、θ方向とする。
φ方向の基準角度において、θ方向は、X軸と平行な回転軸周りの回転方向となる。なお、θ方向は、回転軸11のφ方向の回転角度に応じて変化する。光学系ユニット110は、θ方向に±30°だけ移動する。すなわち、ガイド機構15は、60°の円弧となっている。もちろん、θ方向の移動範囲を±30°に限られるものではない。なお、ガイド機構15に沿ったθ方向の回転をθ軸回転とも称する。
さらに、アーム12には、第1のウェイト14が取り付けられている。第1のウェイト14は、アーム12のガイド形成面12aに固定されている。第1のウェイト14は、φ回転の変動を減らすために設けられたカウンタウェイトである。第1のウェイト14は、光学系ユニット110と対物レンズ120との重量の合計値以上の重量を有していることが好ましい。第1のウェイト14は、例えば、観察中心点Oを挟んで、光学系ユニット110と対称な位置に配置されている。具体的には、基準位置において、光学系ユニット110と第1のウェイト14とが観察中心点Oに対して対称な位置に配置されている。
さらに、回転軸11の他端側には、第2のウェイト13が取り付けられている。回転軸11は、第2のウェイト13の内部を通過している。第2のウェイト13は回転軸11に固定されており、台座17には固定されていない。第2のウェイト13は回転軸11の先端側(アーム12側)が下方に傾斜しないように設けられている。例えば、第2のウェイト13は、アーム12、第1のウェイト14、光学系ユニット110、対物レンズ120の合計重量以上の重量を有していることが好ましい。
ここで、φ軸が基準角度になっている場合において、対物レンズ120の光軸OXがY軸と平行になっている状態をθ方向の基準位置とする。すなわち、回転軸11が基準角度になっており、かつ、ガイド機構15において光学系ユニット110が基準位置にある場合、観察中心点Oの真上に対物レンズ120が配置される。
ここで、ガイド機構15に沿って光学系ユニット110が回転移動する動作について、図3を用いて説明する。図3は、ガイド機構15に沿った動作を説明するための構成を模式的に示すYZ平面図である。図3は、φ軸回転の基準角度における光学系ユニット110、及び対物レンズ120の動作を示している。
さらに、図3では、基準位置での光学系ユニット110、及び対物レンズ120を光学系ユニット110b、及び対物レンズ120bとして示している。そして、基準位置から+θ方向(図3の時計回り)に回転移動した状態を光学系ユニット110a、対物レンズ120aとし、−θ方向(図3の反時計回り)に回転移動した状態を光学系ユニット110c、対物レンズ120cとして示している。
ガイド機構15が観察中心点Oを中心とする円弧状に設けられている。このため、光学系ユニット110、及び対物レンズ120がθ方向に回転移動した場合でも、対物レンズ120の光軸OXが観察中心点Oを通っている。θ角度に応じて、光学系ユニット110、及び対物レンズ120の位置だけでなく、角度も変化する。例えば、対物レンズ120bの光軸OXbは、Y軸と平行となっているが、対物レンズ120aの光軸OXaはY軸から+θ方向に傾いている。また、対物レンズ120cの光軸OXcはY軸から−θ方向に傾いている。
従って、光学系ユニット110のθ角度によらず、対物レンズ120の光軸OXは、観察中心点Oを通過する。θ方向における光学系ユニット110の回転移動の中心は、観察中心点Oとなっている。よって、観察中心点O、又はその近傍にあるサンプルSを様々な方向から観察することができる。また、対物レンズ120のみをY方向に移動させれば、観察中心点Oを中心とする球面上を焦点とすることも可能である。
上記のように、回転軸11が回転すると、アーム12がφ方向に回転する。よって、アーム12とともに、光学系ユニット110、対物レンズ120もφ方向に回転する。これにより、2軸周りの対物レンズ120、光学系ユニット110を回転させることができる。よって、φ方向、及びθ方向の2軸方向において、様々な方向からの観察が可能になる。φ方向における光学系ユニット110の回転移動の中心は、観察中心点Oとなっている。
さらに、対物レンズ120が光学系ユニット110に固定されている。従って、光学系のアライメントを容易に行うことができる。すなわち、光学系ユニット110に適切な方向から入射光を導入すれば,サンプルSを照明することができる。よって、光学系の調整などが容易になる。
例えば、図3では光ファイバ26によって、光学系ユニット110に照明光を導入している。すなわち、光ファイバ26の一端を光学系ユニット110の入口に対して固定すればよい。なお、光ファイバ26は、光学系ユニット110がφ方向、及びθ方向に回転移動した場合でも張力が加わらないように、たわませておけばよい。これにより、簡便な構成で様々な方向からの観察が可能となる。さらに、サンプルSを動かさずに、様々な方向からの観察が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる観察装置100について、図4を用いて説明する。図4は、観察装置100の主要部の構成を示す斜視図である。本実施の形態では光学系ユニット110へ照射光を導入する構成が実施の形態1と異なっている。実施の形態1では、光ファイバによって光学系ユニット110に光を導入したが、本実施の形態では、ミラー103,回転ミラー104、及び可動ミラー105を用いて、照射光を光学系ユニット110に導入している。なお、保持装置10の基本的な構成については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。例えば、アーム12や回転軸11の構成、及び動作は実施の形態1と同様である。
ミラー103、及び回転ミラー104はZ軸上に配置されている。ミラー103は、例えば、図2で示した台座17(図4では不図示)に固定されている。回転ミラー104は、アーム12に固定されている。また、回転軸11はミラー103と回転ミラー104との間に配置されている。照射光が回転軸11の内部を通過することができるよう、回転軸11は中空になっている。
ミラー103で反射した照射光は回転軸11の内部を通過して、回転ミラー104に入射する。ミラー103で反射した光は、Z軸に沿って伝搬している。回転ミラー104は、ミラー103からの照射光を可動ミラー105の方向に反射する。回転ミラー104で反射された照射光は、可動ミラー105で反射する。可動ミラー105で反射した照射光は、光学系ユニット110に入射する。そして、実施の形態1と同様に、照射光L1は光学系ユニット110、対物レンズ120を介して、サンプルを照明する。なお、光学系ユニット110の内部には、角度補正ミラー111が設けられている。
回転ミラー104は、アーム12又は回転軸11に対して固定されている。ここでは、回転ミラー104は、Z軸上においてアーム12に取り付けられている。よって、回転軸11が回転すると、回転ミラー104の角度が変わる。すなわち、回転ミラー104は、回転軸11とともに回転するように、回転可能に設けられている。なお、回転ミラー104は、Z軸上に配置されているため、φ軸回転によって、回転ミラー104の位置は変化せず、向きが変化する。すなわち、回転ミラー104はφ軸周りにその場で回転する。
可動ミラー105は、アーム12に対して移動可能に取り付けられている。具体的には、θ方向における光学系ユニット110の位置に応じて、可動ミラー105は、移動する。可動ミラー105で反射した照射光L1は、光学系ユニット110に入射する。光学系ユニット110には、角度補正ミラー111が設けられている。角度補正ミラー111の動作については後述する。
角度補正ミラー111に対する照射光L1の入射位置が一定になるように、可動ミラー105が追従動作する。これにより、θ方向における光学系ユニット110の位置が変わった場合でも、適切に照射光L1を光学系ユニット110に導入することができる。さらに、回転ミラー104、及び可動ミラー105は、アーム12とともにφ方向に回転する。よって、φ方向、及びθ方向の2軸方向において観察方向を変えることができる。
図5を用いて、θ方向における光学系ユニット110の回転移動に連動した可動ミラー105に動作について説明する。図5は、光学系ユニット110に連動した可動ミラー105の動作を模式的に示すYZ平面図である。
図3と同様に、基準位置での光学系ユニット110、及び対物レンズ120を光学系ユニット110b、及び対物レンズ120bとして示している。そして、光学系ユニット110bに対応する可動ミラー105を可動ミラー105bとして示している。基準位置から+θ方向に回転移動した状態を光学系ユニット110a、対物レンズ120aとし、−θ方向に回転移動した状態を光学系ユニット110c、対物レンズ120cとして示している。光学系ユニット110aに対応する可動ミラー105を可動ミラー105aとし、光学系ユニット110cに対応する可動ミラー105を可動ミラー105cとして示している。
アーム12には、第2のガイド機構であるリニアガイド機構19が設けられている。具体的には、アーム12にリニアガイド機構19が設けられたガイドプレート18が固定されている。可動ミラー105は、リニアガイド機構19に対して、移動可能に取り付けられている。リニアガイド機構19は、可動ミラー105の直進移動をガイドしている。具体的には、リニアガイド機構19は、回転ミラー104と可動ミラー105との間の光軸方向OX1と平行に設けられている。よって、可動ミラー105は光軸OX1と平行な方向に移動する。従って、可動ミラー105がリニアガイド機構19に沿って移動することで、回転ミラー104と可動ミラー105との間の距離が変化する。
光学系ユニット110のθ角度に応じて、可動ミラー105に位置が変化する。例えば、図5では、光学系ユニット110bに対応する可動ミラー105bが、光学系ユニット110a、110cに対応する可動ミラー105a、105cよりも高い位置にある。すなわち、可動ミラー105の動作は、θ方向における光学系ユニット110の動作に連動している。したがって、光学系ユニット110がθ方向に回転移動した場合でも、可動ミラー105で反射した照射光L1は、光学系ユニット110に入射する。
なお、θ角度に応じて、光学系ユニット110に対する照射光L1の入射角度が変化する。すなわち、可動ミラー105で反射した照射光L1はZ軸と平行に伝搬するが、θ方向における光学系ユニット110の位置に応じて、光学系ユニット110の傾斜角度が変わる。例えば、対物レンズ120bは、Y軸と平行になっているが、対物レンズ120a、対物レンズ120cがY軸から傾斜している。そこで、光学系ユニット110は角度補正ミラー111を有している。角度補正ミラー111はθ角度に応じて、傾きが変化する。これにより、照射光L1は、光学系ユニット110内を適切に伝搬することができる。なお、角度補正ミラー111の動作については後述する。
本実施の形態では、ミラー103、回転ミラー104、可動ミラー105を用いて、光学系ユニット110に光を入射させている。本実施の形態では、ミラー103、回転ミラー104、可動ミラー105を用いて空間を光が伝搬している。すなわち、光が空気中を伝搬して、光学系ユニット110に入射する。
例えば、実施の形態1のように、光ファイバ26内をパルスレーザ光が伝搬すると、光ファイバ31内の伝搬光路長に応じて、パルス長が長くなってしまう。これに対して、本実施の形態では、ミラー103、回転ミラー104、及び可動ミラー105を用いているため、照射光が空気中を伝搬することができる。これにより、照射光のパルス長が長くなるのを防ぐことができる。よって、実施の形態2では、パルスレーザ光を照射光とすることが好ましい。特に、本実施の形態にかかる観察装置100は、フェムト秒レーザ光等の短パルス光を励起光として用いた2光子励起顕微鏡や多光子励起顕微鏡に好適である。
(光学系の構成)
次に、観察装置100の光学系の構成について図6を用いて説明する。図6は、観察装置100の光学系の構成を示す図である。本実施の形態では、観察装置100が2光子励起顕微鏡であるとして説明するが、観察装置100は2光子励起顕微鏡に限定されるものではない。例えば、観察装置100は、走査型顕微鏡やコンフォーカル顕微鏡であってもよい。
観察装置100は、光源101と、ビームエキスパンダ102と、ミラー103と、回転ミラー104と、可動ミラー105と、光学系ユニット110と、対物レンズ120とを備えている。光学系ユニット110は、角度補正ミラー111と、ミラー112と、ミラー113と、第1のスキャナ114と、第2のスキャナ115と、スキャンレンズ116と、チューブレンズ117と、ダイクロイックミラー118と、リレーレンズ131と、赤外カットフィルタ132と、ダイクロイックミラー133と、光検出器134と、光検出器135とを備えている。角度補正ミラー111と、ミラー112と、ミラー113と、第1のスキャナ114と、第2のスキャナ115と、スキャンレンズ116と、チューブレンズ117と、ダイクロイックミラー118と、リレーレンズ131と、赤外カットフィルタ132と、ダイクロイックミラー133と、光検出器134と、光検出器135が光学系ユニット110の筐体内に収容されている。
まず、光源101からの照射光L1をサンプルSに照射するための照明光学系の構成について説明する。光源101は、照射光を生成する。光源101は、例えば、パルスレーザ光源である。具体的には、光源101はフェムト秒モードロックチタンサファイアレーザであり、短パルスの近赤外光を生成する。ここでは、照射光のパルス幅は100fsec、繰り返し周波数は80MHz、平均パワーは3Wである。短パルスレーザ光を用いることで、ピークパワーを高めると同時に平均パワーを低減することができる。このため、サンプルSへのダメージを低減することができ、生体試料の観察に好適である。また、光源101は、波長可変となっており、可変波長域は690〜1040nmとなっている。光源101からの照射光は平行光束となっている。もちろん、光源101は、チタンサファイヤレーザに限定されるものではない。
光源101からの照射光は、ビームエキスパンダ102に入射する。ビームエキスパンダ102は、一対のレンズを有しており、照射光のスポット径を拡大する。具体的には、ビームエキスパンダ102は、第1のスキャナ114、及び第2のスキャナ115の面積に応じたビーム径になるよう、照射光のビーム径を拡大する。ビームエキスパンダ102からの照射光は、ミラー103、回転ミラー104、及び可動ミラー105で反射する。上記の通り、回転ミラー104は、回転軸11の回転により、φ軸周りに回転する。可動ミラー105は、θ軸周りの回転角度に応じて移動する。
可動ミラー105で反射した照射光は、光学系ユニット110に導入される。光学系ユニット110に入射した照射光L1は、角度補正ミラー111に入射する。角度補正ミラー111で反射した照射光L1は、ミラー112に入射する。角度補正ミラー111は、
光学系ユニット110に設けられた第1の角度可変ミラーとなる。角度補正ミラー111は、光の反射角度を変えるように回転可能に設けられた回転ミラーである。角度補正ミラー111は、θ角度に応じて傾きが変化する。角度補正ミラー111の回転角度が、ガイド機構15における光学系ユニット110の位置に応じて変化する。すなわち、ミラー112に対する照射光l1の入射位置が一定になるように、角度補正ミラー111は追従動作する。これにより、光学系ユニット110がθ方向に回転移動した場合でも、ミラー112に対する照射光L1の傾き及び入射位置を一定にすることができる。
角度補正ミラー111で反射した入射光L1はミラー112、113で反射して、第1のスキャナ114に入射する。第1のスキャナ114で走査された照射光L1は、第2のスキャナ115に入射する。第1のスキャナ114、第2のスキャナ115は、MEMS(Micro Electro Mechanical systems)やガルバノミラーなどを用いた光スキャナである。第1のスキャナ114には、共振型走査ミラーを用いることができる。第2のスキャナ115には、サーボ制御により動作する、MEMSミラーなどのサーボ型走査ミラーを用いることができる。
サンプルS上において、第1のスキャナ114は照射光L1をXs方向(不図示)に偏向し、第2のスキャナ115は照射光L1をYs方向(不図示)に偏向する。ここで、Xs方向とYs方向は、サンプルSにおいて直交する方向である。すなわち、対物レンズ120の光軸OXと直交する平面においてXs方向とYs方向とは直交している。よって、サンプルS上では、Xs方向及びYs方向の2次元走査が行われる。これにより、サンプルSにおいて、所定の領域を観察することができる。なお、照射光を走査する光スキャナの構成については特に限定されるものではなく、公知の光スキャナを用いることができる。例えば、2軸タイプの走査ミラーを用いてもよい。
第1のスキャナ114、第2のスキャナ115によって走査された照射光は、スキャンレンズ116に入射する。スキャンレンズ116は対物レンズ120の一次像面に照射光を集光する。一次像面では、第1のスキャナ114、及び第2のスキャナ115の偏向角によって、照射光の位置が走査される。
スキャンレンズ116を通過した照射光は、一次像面を通過した後、チューブレンズ117に入射する。チューブレンズ117は、スキャンレンズ116から対物レンズ120までの間に配置されている。チューブレンズ117は、照射光を屈折して、平行光束とする。チューブレンズ117からの照射光は、ダイクロイックミラー118に入射する。ダイクロイックミラー118は、赤外光を透過して、可視光を反射する。よって、照射光はダイクロイックミラー118を透過して、対物レンズ120に入射する。このように、チューブレンズ117からの照射光L1は、ダイクロイックミラー118を介して、対物レンズ120に入射する。
対物レンズ120は、照射光を集光して、サンプルSを照明する。すなわち、対物レンズ120を通過した照射光が、微小スポットとなってサンプルSに照射される。サンプルSの微小スポットに照射光が入射することで、サンプルS中の蛍光物質を励起する。照射光を赤外光として、2光子励起による蛍光のみを観察しているため、照射光の集光スポットの蛍光物質のみから蛍光が発生する。換言すると、照射光の焦点面以外からの蛍光がほとんど発生しない。対物レンズ120の焦点が観察点となる。これにより、高い解像度(分解能)での観察が可能となる。
また、第1のスキャナ114、及び第2のスキャナ115によって照射光L1の照射位置が2次元走査されているので、サンプルの所定の領域を照明することができる。照射光L1を走査した時の蛍光を検出することで、二次元画像を構築することができる
なお、サンプルSは図示しないサンプルステージ上に載置されている。サンプルステージはアーム12等に干渉しないように配置されている。また、サンプルステージ上のサンプルSと対物レンズ120との距離を変化させることで、サンプルSに対する照射光の焦点位置を光軸方向に移動させることができる。光軸方向に沿って、対物レンズ120がサンプルSに相対移動することで、異なる深さでの観察が可能になる。サンプルSの深部を焦点とすることで、サンプルSの深部を観察することが可能になる。例えば、光学系ユニット110に対して対物レンズ120を移動可能に設けてもよい。あるいは、サンプルステージを駆動ステージとしてもよい。また、サンプルステージを3次元駆動ステージとすることで、サンプルSにおける観察位置を任意の位置に移動させることが可能になる。さらに、
対物レンズ120によって集光された照射光は、サンプルSに入射する。そして、対物レンズ120の焦点において、2光子励起によって蛍光が発生する。すなわち、サンプルSの1つの蛍光分子が2光子をほぼ同時に吸収して、励起状態となると、安定状態に戻る際に蛍光が放出される。このような2光子励起によって生じた蛍光を観察光とする。蛍光の波長は、蛍光物質によって異なっている。
次に、観察光が伝搬する検出光学系について説明する。観察光は、照明された微小スポットから全方位に向けて発生する。したがって、サンプルSで生じた観察光の一部は、対物レンズ120に戻る戻り光となる。戻り光となった観察光は、対物レンズ120に入射する。対物レンズ120は、入射した観察光を屈折する。ここでは、対物レンズ120は、サンプルSからの戻り光(観察光)を平行光束となるように、屈折する。対物レンズ120を通過した観察光は、ダイクロイックミラー118に入射する。上記のように、ダイクロイックミラー118は赤外光を透過して、可視光を反射する。よって、2光子励起によって発生した蛍光(観察光)は可視光となっている。このため、観察光は、ダイクロイックミラー118でリレーレンズ131の方向に反射される。なお、サンプルSに入射してそのまま反射した照射光も対物レンズ120を介して、ダイクロイックミラー118に入射する。しかしながら、照射光は赤外光であるため、ダイクロイックミラー118を透過する。これにより、ノイズとなる照射光が検出されるのを防ぐことができる。
このように、ダイクロイックミラー118は、波長に応じて、対物レンズ120からの照射光と観察光を分離する光分離手段となる。また、ダイクロイックミラー118は、対物レンズ120とチューブレンズ117との間に配置されている。したがって、ダイクロイックミラー118は、第1のスキャナ114、及び第2のスキャナ115によって観察光がデスキャンされる前に、対物レンズ120からの観察光を照射光から分離する。このように、2光子顕微鏡となる観察装置100は、ノンデスキャン検出器を構成することになる。
ダイクロイックミラー118で反射した観察光は、リレーレンズ131に入射する。リレーレンズ131は、観察光を集光する。赤外カットフィルタ132は、赤外光をカットして、可視光を透過するフィルタである。赤外カットフィルタ132を光路中に配置することで、ノイズとなる赤外光(照射光)が光検出器134、135で検出されるのを防ぐことができる。
赤外カットフィルタ132を通過した観察光は、ダイクロイックミラー133に入射する。ダイクロイックミラー133は、波長に応じて観察光を分岐する。ダイクロイックミラー133は、緑色光を反射し、赤色光を透過する。ダイクロイックミラー133を反射した緑色の観察光は、光検出器134で検出される。ダイクロイックミラー133を透過した赤色の観察光は、光検出器135で検出される。
光検出器134、135は、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライア)であり、検出光量に応じた検出信号を出力する。例えば、光検出器134、135は大面積の1受光画素から構成されている。具体的には、検出信号は、後述する制御装置に入力される。制御装置は、照射光の走査位置と検出信号とを対応付けて記憶する。さらに、制御装置は、検出光量をθ角度、及びφ角度に対応付けられて記憶する。すなわち、サンプルS中における位置と、観察方向と、検出光量とが対応付けられている。
なお、上記の説明では、蛍光波長の異なる蛍光物質(蛍光色素)を1波長で同時に励起する多重同時染色を行っているために2系統の光検出器134、135を用いている。すなわち、異なる蛍光物質を同時観察するために2系統の検出光学系を設けている。しかしながら、検出光学系は1系統のみであってもよい。すなわち、観察対象の蛍光物質の蛍光波長に応じた系統の検出光学系を設ければよい。この場合、ダイクロイックミラー133光検出器134等が不要となる。さらには、検出光学系は3系統以上であってもよい。
観察装置100では、照射光として赤外光を用いている。このため、照射光L1がサンプルSの深部にまで到達する。したがって、サンプルSの深部を観察する3次元観察に適している。特にサンプルSが生体である場合、生体組織では、赤外光の吸収が少ないため、サンプルSの深部の観察に好適である。
ここで、可動ミラー105、及び角度補正ミラー111の動作について、図7を用いて説明する。図7は、観察装置100の光学系の構成を示す図である。図7は、θ角度が図6と異なっている。なお、光学系の基本的な構成は図6と同様であるため、説明を省略する。
θ角度が変化すると、可動ミラー105の位置が変化する。すなわち、回転ミラー104と可動ミラー105の距離がθ角度に応じて変化する。これにより、光学系ユニット110がθ方向に回転移動した場合でも、照射光L1が光学系ユニット110に入射する。
さらに、θ角度が変化すると、角度補正ミラー111の角度が変化する。これにより、θ方向の回転移動により、光学系ユニット110の傾きが変わった場合でも、照射光L1が光学系の光軸に沿って適切に伝搬する。よって、θ角度が変化した場合でも、アライメントの保証された照射光L1で照明することができる。
図8は、光学系ユニット110のθ角度と、可動ミラー105の位置と、角度補正ミラー111の傾斜角度との関係を説明するための図である。なお、図8では光学系ユニット110の内部構成を簡略化して示している。例えば、ダイクロイックミラー118等の一部の光学素子が省略されている。
図8は、回転軸11が基準角度にある場合の構成を示している。また、対物レンズ120の光軸OXがY軸と平行な場合のθ角度=0°としている。θ角度=0°の場合、光学系ユニット110が基準位置となっている。θ角度=0°の場合、角度補正ミラー111の反射面の角度はY軸に対して45°傾いている。θ角度=0°の場合、Z軸(φ軸)と可動ミラー105との間の距離がLとなる。
図8のように、光学系ユニット110をθ軸周りに回転移動させたときのθ角度をθaとする。θaの場合の光学素子については、符号にaを付して図示している。例えば、図8では、θ角度が基準位置(0°)の場合の対物レンズを対物レンズ120とし、θ角度=θaの場合の対物レンズを対物レンズ120aとして示している。θ角度がθaの場合、角度補正ミラー111aの反射面の角度が45°+θa/2となる。θ角度がθaの場合の可動ミラー105の移動量をδとすると、δ=L(1−cosθa)となる。このように、角度補正ミラー111をθ角度に応じて駆動することで、サンプルSを適切に照明することができる。
なお、実施の形態1の観察装置100は、ビームエキスパンダ102、ミラー103、回転ミラー104、可動ミラー105を光ファイバ26に置き換えた構成を有している。光ファイバ26から角度補正ミラー111に入射する照射光L1の入射角を一定とすれば、角度補正ミラー111の回転動作は不要となる。
(観察装置100の制御系)
次に、観察装置100の制御系の構成について図9を用いて説明する。観察装置100は、ミラー駆動モータ141、θ軸モータ145、θ軸センサ146、φ軸モータ147、φ軸センサ148、チラー151、レーザ電源152、電流電圧変換器161、保護回路162、高圧電源163、A/Dコンバータ164、電流電圧変換器166、保護回路167、高圧電源168、A/Dコンバータ169、インターフェース(I/F)171、及び制御装置172を備えている。なお、図9では、観察装置100の一部の光学素子を省略している。
I/F171は、各機器と制御装置172との間の入出力を担っている。制御装置172は、モータや電源等の各機器を制御する。なお、各モータは、例えば、ステッピングモータやサーボモータを駆動機構である。制御装置172は各モータを制御するための制御信号を出力する。したがって、制御装置172は、各モータの動作を適切に制御することができる。もちろん、駆動機構は,モータ以外のものであってもよい。制御装置172は、例えば,ワークステーションやパーソナルコンピュータなどの処理装置である。例えば、制御装置172は、プロセッサやメモリなどを備えている。メモリに格納されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することで、各機器を制御することができる。
チラー151は、光源101を冷却する。レーザ電源152は、光源101に電源を供給する。レーザ電源152の供給電力は、制御装置172により制御される。また、制御装置172は、第1のスキャナ114、及び第2のスキャナ115を制御する。
φ軸モータ147は、回転軸11をφ軸周りに回転駆動するための回転軸駆動機構である。φ軸モータ147は、制御装置172によって制御される。例えば、ユーザが観察したい方向を入力すると、φ軸センサ148は、φ軸モータ147による回転軸11の回転角度(φ角度)を検出する角度センサである。φ軸センサ148は例えば、モータエンコーダなどである。φ軸センサ148は、検出したφ角度に応じたセンサ信号を制御装置172に出力する。
θ軸モータ145は、光学系ユニット110を観察中心点O周りに回転移動するためのユニット駆動機構である。θ軸モータ145は、光学系ユニット110をガイド機構15に沿って回転移動させる。θ軸モータ145は、制御装置172によって制御される。例えば、ユーザが観察したい方向を入力すると、制御装置172は、θ軸モータ145、φ軸モータ147を駆動するための駆動信号を生成する。
θ軸センサ146は、θ軸モータ145による光学系ユニット110の位置又はθ角度を検出するセンサである。θ軸センサ146は例えば、モータエンコーダなどである。θ軸センサ146は検出した位置又は角度に応じたセンサ信号を制御装置172に出力する。なお、制御装置172は、ユーザからの指令によって、θ角度及びφ角度が所望の角度になるように、θ軸モータ145、φ軸モータ147を制御する。
ミラー駆動モータ141は、可動ミラー105を移動させるミラー駆動機構である。ミラー駆動モータ141は、ガイド機構15における光学系ユニット110の位置に応じて、回転ミラー104と可動ミラー105との間隔を変化させる。ミラー駆動モータ141が可動ミラー105をリニアガイド機構19に沿って移動させる。制御装置172は、θ軸センサ146からの検出信号に基づいて、ミラー駆動モータ141を制御する。これにより、光学系ユニット110と連動して可動ミラー105が動作する。照射光L1を光学系ユニット110に導入することができる。
さらに、制御装置172は、θ軸センサ146からの検出信号に基づいて、角度補正ミラー111を制御する。光学系ユニット110と連動して角度補正ミラー111が動作する。照射光L1を適切な方向に伝搬させることができる。このように、制御装置172は、θ角度に応じて、ミラー駆動モータ141、角度補正ミラー111を制御する。
光検出器134から出力された検出信号は、電流電圧変換器161で電流電圧変換される。電流電圧変換器161は負荷抵抗により、電流を電圧に変換する。これにより、検出信号の電圧が検出光量を示すようになる。電流電圧変換器161は電流電圧変換した検出信号をA/Dコンバータ164に出力する。そして、A/D(Analog to Digital)コンバータ164は、検出信号をA/D変換する。そして、デジタル信号となった検出信号が制御装置172に入力される。制御装置172は、検出信号、すなわち、検出信号を格納する。光検出器134には、高圧電源163で発生した電源が供給されている。また、高圧電源163と電流電圧変換器161との間には保護回路162が設けられている。
光検出器135から出力された検出信号は、電流電圧変換器166で電流電圧変換される。これにより、検出信号の電圧が検出光量を示すようになる。電流電圧変換器166は電流電圧変換した検出信号をA/Dコンバータ169に出力する。そして、A/D(Analog to Digital)コンバータ169は、検出信号をA/D変換する。そして、デジタル信号となった検出信号が制御装置172に入力される。制御装置172は、検出信号、すなわち、検出光量を格納する。光検出器135には、高圧電源168で発生した電源が供給されている。また、高圧電源168と電流電圧変換器166との間には保護回路167が設けられている。
そして、制御装置172は、第1のスキャナ114と第2のスキャナ115による照射光L1の走査位置と、検出光量とを対応付けて記憶する。また、制御装置172は、検出光量は、θ角度、及びφ角度に対応付けて、記憶する。このようにすることで、様々な方向からサンプルSを観察することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3にかかる観察装置における光学系ユニット110の動作について、図10を用いて説明する。本実施の形態では、観察装置が、θ軸センサ146によってθ角を測定することを必要とせずに、光学系ユニットが動作する構成を有している。具体的には、観察装置は、θ軸センサ146を有しておらず、かつ、可動ミラー105がサーボミラー205に置き換わっている。また、光学系ユニット110の内部に設けられた角度補正ミラー111、及びミラー112が、第1の位置センサミラー211、及び第2の位置センサミラー212に置き換わっている。その他の構成につては、実施の形態1、2と同様であるため、説明を省略する。
サーボガルバノミラー205は、θ角度に応じて、照射光L1の反射角度を変化させる。すなわち、サーボガルバノミラー205は、アーム12に設けられた第2の角度可変ミラーとなる。サーボガルバノミラー205は、例えば、光の反射角度を変えるように回転可能に設けられた回転ミラーである。サーボガルバノミラー205は、回転ミラー104からの照射光L1を光学系ユニット110に向けて反射する。
第1の位置センサミラー211は、θ角度に応じて、照射光L1の反射角度を変化させる。第1の位置センサミラー211は、光学系ユニット110に設けられた第3の角度可変ミラーである。第1の位置センサミラー211は、光の反射角度を変えるように回転可能に設けられた回転ミラーである。第1の位置センサミラー211は、サーボガルバノミラー205で反射した照射光L1を反射する。第2の位置センサミラー212は光学系ユニット110内に固定された固定ミラーである。第2の位置センサミラー212は、第1の位置センサミラー211で反射した照射光L1を反射する。
第1の位置センサミラー211、及び第2の位置センサミラー212は、照射光の入射位置を検出するセンサを有している。具体的には、第2の位置センサミラー212に対する照射光の入射位置を検出する位置センサを第2の位置センサミラー212は有している。そして、第2の位置センサミラー212は、検出した位置に応じた位置検出信号を第1の位置センサミラー211に出力する。第1の位置センサミラー211に対する照射光L1の入射位置に応じて、サーボガルバノミラー205が回転する。第2の位置センサミラー212に対する照射光L1の入射位置に応じて、第1の位置センサミラー211が回転する。
第1の位置センサミラー211は、第2の位置センサミラー212からの位置検出信号に基づいて、反射角度を変化させる。第2の位置センサミラー212に対する照射光の入射位置を検出する位置センサを第2の位置センサミラー212は有している。第2の位置センサミラー212に対する照射光L1の入射位置に追従して、第1の位置センサミラー211が回転する。例えば、第1の位置センサミラー211は、第2の位置センサミラー212の所定の位置に照射光が入射するように、照射光を反射する反射角度を変化させる。
同様に、第1の位置センサミラー211に対する照射光の入射位置を検出する位置センサを第1の位置センサミラー211は有している。そして、第1の位置センサミラー211は、検出した位置に応じた位置検出信号をサーボガルバノミラー205に出力する。
サーボガルバノミラー205は、第1の位置センサミラー211からの位置検出信号に基づいて、反射角度を変化させる。第1の位置センサミラー211に対する照射光L1の入射位置に追従して、サーボガルバノミラー205が回転する。例えば、サーボガルバノミラー205は、第1の位置センサミラー211の所定の位置に照射光が入射するように、照射光を反射する反射角度を変化させる。これにより、θ角度によらず、照射光L1が第1の位置センサミラー211、及び第2の位置センサミラー212の中央に入射する。
第1の位置センサミラー211の構成について、図11を用いて説明する。図11は、第1の位置センサミラー211の構成を説明するための図である。なお、第2の位置センサミラー212の構成は第1の位置センサミラー211の構成と同じであるため、説明を省略する。すなわち、第1の位置センサミラー211と第2の位置センサミラー212の構成は同じとなっている。
第1の位置センサミラー211は、基板221と、光検出器222、223と、反射膜224とを備えている。基板221は、透明なガラス基板などである。基板221の前面側(照射光L1の入射側)には反射膜224が形成されている。基板221の背面側には、光検出器222、223が形成されている。
反射膜224は照射光L1の一部を透過する膜である。したがって、照射光L1の一部は、反射膜224と基板221とを透過して、光検出器222、223に入射する。また、反射膜224は、照射光L1の大半を第2の位置検出ミラー212に向けて反射する。
光検出器222、及び光検出器223は、基板221の背面側に設けられている。光検出器222、及び光検出器223は、基板221、反射膜224を透過した照射光L1を受講する。光検出器222、及び光検出器223は、照射光L1の入射位置を検出するための位置センサとなる。具体的には、光検出器222、及び光検出器223は、2分割フォトダイオードを構成している。光検出器222、223はそれぞれフォトダイオードであり、検出光量に応じた電流を検出信号として出力している。例えば、光検出器222と光検出器223との境界線は、第1の位置検出ミラー211の中心を通っている。照射光L1の入射位置の中心が、光検出器222と光検出器223との境界線上になるように、サーボガルバノミラー205が追従制御される。光検出器222と光検出器223との検出光量が等しくなるように、サーボループが形成されている。
具体的には、光学系ユニット110がθ回転すると、光検出器222と光検出器223との境界線と垂直な方向に第1の位置センサミラー211が移動する。光検出器222と光検出器223との境界線上に照射光L1の入射位置が追従するように、サーボガルバノミラー205の回転が制御される。このようなサーボループを用いることで、光学系ユニット110のθ軸センサ146が不要となる。
上記のサーボループを実現するための構成の一例について、図12を用いて説明する。図12に示すように、第1の位置センサミラー211の光検出器222は、電流電圧変換器261に検出信号を出力する。第1の位置センサミラー211の光検出器223は、電流電圧変換器262に検出信号を出力する。電流電圧変換器261は、光検出器222からの検出信号を電流電圧変換する。電流電圧変換器262は、光検出器223からの検出信号を電流電圧変換する。よって、検出信号の電圧が検出光量を示すようになる。
電流電圧変換器261、及び電流電圧変換器262は、検出信号を差動増幅器263に出力する。従って、電流電圧変換器261、及び電流電圧変換器262の検出信号が一致する場合、差動増幅器263の出力は0Vとなる。電流電圧変換器261の検出信号が電流電圧変換器262の検出光量よりも大きい場合、差動増幅器263の出力が正(プラス)となる。電流電圧変換器261の検出信号が電流電圧変換器262の検出光量よりも小さい場合、差動増幅器263の出力が負(マイナス)となる。
サーボガルバノミラー205は、差動増幅器263の出力が0Vになるように、追従制御される。これにより、光学系ユニット110がθ回転した場合でも、照射光L1が第1の位置センサミラー211の中央に入射するように制御される。第1の位置センサミラー211での照射光L1の検出位置に応じて、サーボガルバノミラー205が回転する。
第1の位置センサミラー211、及び第2の位置センサミラー212についても同様のサーボループを形成している。第2の位置センサミラー212の光検出器222は、電流電圧変換器271に検出信号を出力する。第2の位置センサミラー212の光検出器223は、電流電圧変換器272に検出信号を出力する。電流電圧変換器271は、光検出器223からの検出信号を電流電圧変換する。電流電圧変換器272は、光検出器223からの検出信号を電流電圧変換する。よって、検出信号の電圧が検出光量を示すようになる。
電流電圧変換器271、及び電流電圧変換器272は、検出信号を差動増幅器273に出力する。従って、電流電圧変換器271、及び電流電圧変換器272の検出信号が一致する場合、差動増幅器273の出力は0Vとなる。電流電圧変換器271の検出信号が電流電圧変換器272の検出光量よりも大きい場合、差動増幅器273の出力が正(プラス)となる。電流電圧変換器271の検出信号が電流電圧変換器272の検出光量よりも小さい場合、差動増幅器273の出力が負(マイナス)となる。
第1の位置センサミラー211は、差動増幅器273の出力が0Vになるように、追従制御される。これにより、光学系ユニット110がθ回転した場合でも、第2の位置センサミラー212で反射した照射光L1の伝搬方向が一定となる。第2の位置センサミラー212での照射光L1の検出位置に応じて、第1の位置センサミラー211が回転する。すなわち、θ角度によらず、照射光L1が一定の角度で第1のスキャナ114に入射する。これにより、第1のスキャナ114がアライメントの保証された照射光L1を走査することができる。
変形例1.
図13を用いて、実施の形態3の変形例の構成について説明する。図13は、θ角度に対する追従制御を説明するための図である。変形例1では、第1の位置センサミラー211、及び第2の位置センサミラー212のような特殊なミラーを用いずに、θ角度に対する追従制御を行っている。なお、実施の形態1〜3と重複する内容については適宜説明を省略する。
変形例1では、光学系ユニット110に、追従ミラー260と、電流電圧変換器261、電流電圧変換器262、差動増幅器263、第1の位置センサ265、第1のビームサンプラ266と、ミラー270と、電流電圧変換器271、電流電圧変換器272、差動増幅器273、第2の位置センサ275、第2のビームサンプラ276と、が設けられている。
すなわち、第1の位置センサミラー211が追従ミラー260に置き換わり、第2の位置センサミラー212がミラー270に置き換わっている。さらに、追従ミラー260とミラー270との間に、第1のビームサンプラ266が配置されている。ミラー270の後段に、第2のビームサンプラ276が配置されている。
電流電圧変換器261、電流電圧変換器262、差動増幅器263、電流電圧変換器271、電流電圧変換器272、差動増幅器273については、図11と同様であるため説明を省略する。また、第1の位置センサ265、及び第2の位置センサ275のそれぞれが2分割フォトダイオードとなっている。よって、光検出器222、223と同様に、第1の位置センサ265、及び第2の位置センサ275は、それぞれ、照射光L1の入射位置を検出することができる。
追従ミラー260は、サーボガルバノミラー205とミラー270との間に配置されている。追従ミラー260は、光学系ユニット110に設けられた第3の角度可変ミラーとなる。追従ミラー260は、光の反射角度を変えるように回転可能に設けられた回転ミラーである。ミラー270は、光学系ユニット110内に固定された固定ミラーとなる。
第1のビームサンプラ266は、追従ミラー260とミラー270との間の光路中であり、かつ、追従ミラー260に近接した位置に配置されている。第1のビームサンプラ266は、追従ミラー260で反射した照射光L1の一部を取り出す。第1のビームサンプラ266で取り出された照射光L1は第1の位置センサ265に入射する。第1の位置センサ265で検出された入射位置に応じて、サーボガルバノミラー205が回転する。よって、第1の位置センサ265の中央に照射光L1が入射するように追従制御するサーボループを形成することができる。
第2のビームサンプラ276は、ミラー270で反射した照射光L1の一部を取り出す。ミラー270と第1のスキャナ114(図13では不図示)との間の光路中であり、かつ、ミラー270に近接した位置に配置されている。第2のビームサンプラ276で取り出された照射光L1は第2の位置センサ275に入射する。第2の位置センサ275で検出された入射位置に応じて、追従ミラー260が回転する。よって、第2の位置センサ275の中央に照射光L1が入射するように追従制御するサーボループを形成することができる。
このような構成によっても、図11の構成と同様な効果を得ることができる。なお、ビームサンプラによる光の損失は、数%程度であるため、照射光L1の光量が十分であれば特に問題がない。
このように、本実施の形態1〜3にかかる観察装置100によれば、サンプルを様々な方向から観察することができる。また、サンプルを動かさずに、様々な方向から観察することができる。このため、観察装置100は、猿やマウスなどの脳研究に適している。
なお、上記の説明では、第1〜第3の角度可変ミラーが反射面と平行な軸周りに回転する回転ミラーであるとして説明したが、第1〜第3の角度可変ミラーの1つ以上は回転によらず、角度が変わるミラーであってもよい。例えば、角度可変ミラーとして、回転ミラーの代わりに、ステアリングミラーやMEMSミラーなどを用いることができる。すなわち、角度可変ミラーは、反射する光の方向を変えることができるミラーであればよい。例えば、角度可変ミラーは、制御装置172からの制御信号に応じて反射面の角度が変化する。これにより、光の反射角度が変化する。
また、角度可変ミラーと4分割センサ(田の字センサ)を合わせて用いることで、θ角の変化に伴わない他要素(他方向)の偏角も補正することができる。他要素とは例えば、アーム12がφ方向に傾いたときのたわみによる偏角や、レーザ光源をチューニングするときに発生する光軸ずれなどを補正することができる。この場合、角度可変ミラーとして、ステアリングミラーなどの2軸動作可能な角度可変ミラーを用いることが好ましい。そして、4分割センサである4分割フォトダイオードを用いて照射光の位置を検出する。そして、照射光の中心が4分割フォトダイオードの中心に一致するようにフィードバック制御すればよい。4分割センサは、図11、図12にように基板の背面側に配置された光検出器で構成することができる。この場合、反射膜と基板とを透過した照射光が4分割センサに入射する。あるいは、図13のように、光路中にビームサンプラを配置して、ビームサンプラで取り出された照射光L1を4分割センサが検出するように構成してもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。