以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としてのスタビライザブッシュ10が、車両への装着状態で示されている。このスタビライザブッシュ10は、車両への非装着状態が図5〜10に示されており、図5〜10に示されるスタビライザブッシュ10に対してスタビライザバー12が挿通されるとともに、外側からブラケット14が外嵌されて、当該ブラケット14が車両ボデー16に固定されることにより、車両へ装着されるようになっている。そして、かかるスタビライザブッシュ10の車両への装着状態では、スタビライザブッシュ10により、スタビライザバー12が車両ボデー16に防振支持せしめられるようになっている。なお、以下の説明において、軸方向または長さ方向とはスタビライザバー12の中心軸方向となる図1中の上下方向をいう。また、上下方向とは、図2中の上下方向をいうとともに、幅方向とは、図1中の左右方向をいう。
より詳細には、スタビライザブッシュ10は、ゴムブッシュ本体18と、当該ゴムブッシュ本体18と車両ボデー16との間に設けられる取付用台座20とを含んで構成されている。
ゴムブッシュ本体18は、図5〜10にも示されるように、全体として、略長円の断面形状を有する厚肉の筒形状とされており、軸方向(図6中の左右方向)に延びている。すなわち、ゴムブッシュ本体18は、周壁部22と、当該周壁部22の内周側に位置する内孔24を備えている。この周壁部22の上下両側部分26a,26bは、それぞれ略半円形状とされているとともに、幅方向両側部分26c,26cが上下方向に延びて上下両側部分26a,26bの周方向両端部に接続されており、これら上下両側部分26a,26bと幅方向両側部分26c,26cをもって略長円形状の断面を有する周壁部22が構成されている。一方、内孔24は、円形断面でストレートに延びており、当該内孔24が、ゴムブッシュ本体18の略中央部分を軸方向に貫通している。
また、ゴムブッシュ本体18の軸方向中間部分には、軸方向両端部分より外径寸法の大きい大径部28が形成されている。この大径部28は、所定の軸方向寸法を有しており、周方向の全周に亘って形成されている。すなわち、ゴムブッシュ本体18の外周面30が、大径部28の外周面30aを含んで構成されており、当該大径部28の外周面30aが、全体として周方向の全周に亘って広がる円環形状の湾曲面とされている。
そして、かかる大径部28の外周面30aにおける軸方向両端部分には、更に外径寸法が大きくされた嵌合凸部32,32が、周方向の全周に亘って外周側に突出して形成されている。それ故、大径部28の外周面30aにおける軸方向中間部分には、嵌合凸部32,32に対して相対的に凹となる凹溝34が、周方向の全周に亘って形成されている。かかる凹溝34は所定の軸方向寸法を有しており、凹溝34の溝底面が全周に連続して延びている。なお、本実施形態では、大径部28における凹溝34の形成部分の外径寸法(凹溝34の溝底面における外径寸法)が、大径部28の軸方向両端面から突出したゴムブッシュ本体18の軸方向両端部分における外径寸法よりも大きくされている。
また、大径部28の軸方向中央部分には、凹溝34の溝幅方向の略中央に位置して、幅方向両側部分26c,26cの外周面30aから、下方に突出する位置決め突部36,36が設けられている。本実施形態では、かかる位置決め突部36,36が、側面視と底面視で何れも略矩形状となるブロック状とされており、当該位置決め突部36,36の下面は、幅方向外方になるにつれて下方に傾斜する緩やかな湾曲面とされている。
さらに、大径部28の軸方向中央部分には、位置決め突部36,36の間に位置して、下側部分26bの外周面30aから下方に突出する係止突部38が形成されている。この係止突部38は、突出基端(上方)側の柄部40と突出先端(下方)側の笠部42を備えており、笠部42の方が柄部40よりも外径寸法が大きくされている。
なお、かかるゴムブッシュ本体18には、周上の一部(本実施形態では、図5中の左方)において肉厚方向に貫通するスリット状の切割り44が設けられている。かかる切割り44は、ゴムブッシュ本体18の軸方向全長に亘って延びており、ゴムブッシュ本体18において切割り44を挟んだ両側を周方向で離隔させる方向に引っ張ることにより、ゴムブッシュ本体18を切割り44の形成部位で拡開する方向に弾性変形させることが可能となっている。このような切割り44は、例えばゴムブッシュ本体18の成形後、カッターナイフなどで切り裂くことにより設けられ得る。
以上の如き形状とされたゴムブッシュ本体18に対して取付用台座20が組み付けられている。取付用台座20は、全体として略矩形断面を有するブロック状とされており、幅方向寸法(図5中の左右方向)よりも長さ方向寸法(図6中の左右方向)の方が大きくされた略直方体状とされている。本実施形態では、図6や図9に示されるように、ゴムブッシュ本体18に外力が及ぼされていない状態では、取付用台座20の長さ寸法が、ゴムブッシュ本体18の長さ寸法と同じか僅かに大きくされている。かかる取付用台座20は、例えば硬質の合成樹脂や金属などにより好適に形成され得る。
この取付用台座20の上面46は、ゴムブッシュ本体18における周壁部22のうちの下側部分26bにおける大径部28の外周面30aと略対応する形状とされている。すなわち、取付用台座20の上面46では、幅方向中央部分に比べて幅方向両側縁部が上方に突出する形状とされている。要するに、取付用台座20の上面46において、幅方向両側縁部には、上方に突出する肩部48,48が設けられている一方、幅方向中央部分は、これら肩部48,48よりも相対的に凹となり上方に開口する湾曲凹面50,50が設けられている。本実施形態では、肩部48,48の角部がアール状に面取りされており、これら面取りされた肩部48,48により湾曲角部が構成されている。また、湾曲凹面50は、ゴムブッシュ本体18における下側部分26bに設けられた大径部28の外周面30aと略対応した曲率で形成されており、取付用台座20の幅方向に延びている。
さらに、取付用台座20の長さ方向両側部分において、長さ方向端面から所定位置だけ長さ方向内方に離隔した位置の幅方向中央部分には、湾曲凹面50,50よりも更に凹となる嵌合凹部52,52が形成されている。すなわち、これら嵌合凹部52,52の長さ方向間には、上面が湾曲凹面50とされて、嵌合凹部52,52に比べて相対的に凸となる(深さ寸法が小さくなる)中央凸部53が形成されている。この嵌合凹部52および中央凸部53は、それぞれゴムブッシュ本体18における嵌合凸部32,32および凹溝34と略対応する凹部および凸部とされており、取付用台座20の幅方向に延びている。なお、図7にも示されているように、取付用台座20の幅寸法は、嵌合凹部52,52の形成位置で部分的に大きくされている。また、本実施形態では、上面46のうち、これら嵌合凹部52,52から長さ方向端部へと延びる面は、長さ方向外方になるにつれて上方に傾斜する傾斜面54,54とされている。
更にまた、取付用台座の幅方向両端縁部に設けられた肩部48,48において、長さ方向中央部分には、上方に開口する位置決め凹部56,56が形成されている。これら位置決め凹部56,56は、ゴムブッシュ本体18の外周面30aに設けられた位置決め突部36,36と対応する形状とされており、肩部48,48を幅方向で貫通している。なお、かかる位置決め凹部56,56の底面は、位置決め突部36,36の下面と対応して、幅方向外方になるにつれて下方に傾斜する緩やかな湾曲面とされている。
一方、取付用台座20の下面において、長さ方向および幅方向の中央部分には、下方に開口する中央凹所58が形成されている。この中央凹所58は、逆向きの有底円形凹所とされており、上底壁部の中央部分には、上下方向で貫通する挿通孔60が形成されている。これにより、当該挿通孔60が、取付用台座20の上面46に開口している。なお、中央凹所58の内径寸法は、ゴムブッシュ本体18における係止突部38の笠部42の外径寸法よりも大きくされている。一方、挿通孔60の内径寸法は、係止突部38の笠部42の外径寸法よりも小さく、且つ柄部40の外径寸法よりも大きくされている。
以上の如き形状とされた取付用台座20に上方からゴムブッシュ本体18が重ね合わされて相互に係止固定されることで、本実施形態のスタビライザブッシュ10が構成されている。すなわち、ゴムブッシュ本体18の幅方向両側から下方に突出する位置決め突部36,36が、取付用台座20の幅方向両側に設けられた位置決め凹部56,56に嵌め入れられるとともに、ゴムブッシュ本体18から下方に突出する係止突部38が、取付用台座20に設けられた挿通孔60に挿通されている。なお、係止突部38が挿通孔60に挿通される場合には、係止突部38の突出先端の笠部42が弾性変形して挿通孔60の内径寸法より小さくされるとともに、挿通孔60の通過後は、弾性的に復元変形することで、挿通孔60から係止突部38が上方に抜けることが防止される。
このように、ゴムブッシュ本体18に設けられた位置決め突部36,36が取付用台座20に設けられた位置決め凹部56,56に嵌め入れられるとともに、係止突部38が挿通孔60に挿通されることで、取付用台座20に対してゴムブッシュ本体18が中心軸回りに回転することが防止される。また、係止突部38が挿通孔60に挿通されて上方への抜けが防止されることから、これら係止突部38および挿通孔60により、相互の離脱を阻止して組付状態に保持する係止部が構成されている。
また、かかるゴムブッシュ本体18と取付用台座20との組付状態では、ゴムブッシュ本体18の嵌合凸部32,32が、取付用台座20の嵌合凹部52,52に嵌め入れられるとともに、ゴムブッシュ本体18の凹溝34に対して、取付用台座20の中央凸部53が嵌め入れられて、ゴムブッシュ本体18と取付用台座20とが相互に重ね合わされている。すなわち、ゴムブッシュ本体18の周壁部22のうち、下側部分26bにおける大径部28の外周面30aと取付用台座20の上面46とが、相互に重ね合わされる重ね合わせ面とされている。そして、これら嵌合凸部32,32および嵌合凹部52,52により、スタビライザブッシュ10の長さ方向両側において、重ね合わせ面間を幅方向に延びて相互に嵌合する凹凸嵌合部が構成されている。
ここにおいて、図5にも示されているように、ゴムブッシュ本体18に外力が及ぼされていない状態では、取付用台座20におけるゴムブッシュ本体18に重ね合わされる部分(上端部分)の幅寸法A(図5参照)は、ゴムブッシュ本体18の最大幅寸法B(図5参照)以下(A≦B)とされていることが好適であり、より好ましくは取付用台座20の上端部分の幅寸法Aが、ゴムブッシュ本体18の最大幅寸法Bより小さく(A<B)されている。本実施形態では、ゴムブッシュ本体18における嵌合凸部32,32のうち、上下方向中央部分が最も幅寸法が大きくされており、取付用台座20において嵌合凹部52,52が形成されて部分的に幅寸法が大きくされている部分の幅寸法Aよりも僅かに大きくされている。なお、本実施形態では、取付用台座20の幅方向両端面が上下方向に延びており、取付用台座20の最大幅寸法が上端部分の幅寸法と等しくされているが、例えば取付用台座が下方に向かって幅寸法が大きくされている場合などには、取付用台座の最大幅寸法はゴムブッシュ本体18の最大幅寸法より大きくされていてもよい。
以上の如き構造とされたスタビライザブッシュ10のゴムブッシュ本体18における内孔24にスタビライザバー12が挿通されるとともに、ゴムブッシュ本体18の上方からブラケット14が外嵌されて、当該ブラケット14が車両ボデー16に固定されることにより、スタビライザブッシュ10が車両に装着される。すなわち、ゴムブッシュ本体18が取付用台座20を介して車両ボデー16上に取り付けられるようになっており、ゴムブッシュ本体18における取付用台座20への重ね合わせ面、要するに下側部分26bにおける大径部28の外周面30aが、車両ボデー16への取付面とされている。そして、ゴムブッシュ本体18における当該取付面に対して、取付用台座20が重ね合わされて装着されるようになっている。
なお、本実施形態では、ゴムブッシュ本体18に切割り44が設けられていることから、ゴムブッシュ本体18を切割り44の形成部分で拡開変形せしめて、スタビライザバー12の側方から挟み込むことで、ゴムブッシュ本体18にスタビライザバー12が挿通される。また、内孔24とスタビライザバー12との間において自己潤滑性を有する合成樹脂や潤滑剤などを介在又は塗布させるなどして、ゴムブッシュ本体18とスタビライザバー12との滑り性を向上させるなどしてもよい。尤も、ゴムブッシュ本体18とスタビライザバー12とは相互に接着されてもよく、本発明のスタビライザブッシュ10は、スタビライザバー12に対して接着するタイプのスタビライザブッシュであってもよい。
ここで、ブラケット14は、スタビライザブッシュ10を構成するものでなく、本発明においては何等限定されるものではないが、本実施形態のブラケット14は、図2などにも示されるように、逆向きの略U字状とされた門形部材62を含んで構成されており、当該門形部材62の開口両端部から一対の取付部64,64が外方に延び出している。なお、門形部材62の長さ方向(図1中の上下方向)両側部分には、長さ方向中間部分よりも内径寸法が大きくされて内周側に開口する嵌合凹部66,66が周方向に延びて形成されている。これにより、長さ方向中間部分が長さ方向両側部分よりも内径寸法が小さくされており、これら嵌合凹部66,66の長さ方向中間部分には、嵌合凹部66,66よりも内周側に突出する中央凸部67が設けられている。これら嵌合凹部66,66および中央凸部67は、それぞれゴムブッシュ本体18における嵌合凸部32,32および凹溝34と略対応する形状とされている。また、本実施形態では、これら嵌合凹部66,66から長さ方向端部へと延びる内面は、長さ方向外方になるにつれて内周側に傾斜する傾斜面68,68とされている。
さらに、かかる門形部材62の内周面の最大上下方向寸法(門形部材62の内周面から取付部64,64と車両ボデー16との重ね合わせ面までの寸法)は、ブラケット14の非装着状態であるスタビライザブッシュ10の上下方向寸法(即ち、図5〜図10の状態における上下方向寸法)より小さくされている。すなわち、門形部材62の長さ方向中間部分(中央凸部67の形成部分)における内周面の最大上下方向寸法C1 (図3参照)が、スタビライザブッシュ10の長さ方向中間部分(凹溝34の形成部分)における上下方向寸法D1 (図6参照)よりも小さくされている。それとともに、門形部材62の嵌合凹部66,66の形成部分における内周面の最大上下方向寸法C2 (図3参照)が、スタビライザブッシュ10の嵌合凸部32,32の形成部分における上下方向寸法D2 (図6参照)よりも小さくされている。
更にまた、門形部材62の内周面における幅方向寸法は、取付用台座20の幅方向寸法より大きくされており、スタビライザブッシュ10に対してブラケット14を装着する作業が容易とされている。なお、門形部材62の内周面における幅方向寸法は、少なくとも取付用台座20が挿入される門形部材62の開口部分(図2中の下方)において、取付用台座20の幅方向寸法より大きくされていればよい。本実施形態では、門形部材62の開口部分における内周形状が、取付用台座20の外周形状と略対応する形状とされて、且つ幅寸法が所定寸法だけ大きくされた形状とされており、門形部材62の開口部分における内周面と取付用台座20の外周面との幅方向間に隙間70,70が形成されている。この隙間70,70は、取付用台座20および門形部材62の長さ方向略全長において略一定の幅寸法E(図4参照)とされており、本実施形態では、隙間70,70の幅寸法Eが0.5mm〜1.5mmの範囲内に設定されることが望ましい。なお、隙間70の幅寸法E等を含むブラケット14の寸法は、車両へ固定した装着状態で達成されていれば良く、装着前の状態ではブラケット14の寸法は限定されない。即ち、ブラケット14を多少の変形を加えつつ、装着するようにしても良い。
また、門形部材62の閉塞側(図2中の上方)における内周形状は、ブラケット14の非装着状態であるゴムブッシュ本体18の外周形状より一回り小さい形状とされている。すなわち、例えば門形部材62の長さ方向中間部分における内周面の内径寸法F(図4参照)が、ブラケット14の非装着状態であるゴムブッシュ本体18の長さ方向中間部分における幅方向寸法G(図8参照)より小さくされている。なお、門形部材62の内周形状は、ゴムブッシュ本体18の外周形状に略対応するものであることから、ゴムブッシュ本体18と門形部材62の長さ方向略全長において、門形部材62の内周面の内径寸法が、ブラケット14の非装着状態であるゴムブッシュ本体18の幅方向寸法より小さくされている。
以上の如き形状とされたブラケット14が、スタビライザブッシュ10に外嵌されて、取付部64,64に設けられたボルト挿通孔72,72にボルト74,74が螺着されることにより、ブラケット14が車両ボデー16に固定される。その際、ゴムブッシュ本体18の周壁部22のうち、上側部分26aと幅方向両側部分26c,26cの外周面30aにブラケット14の内周面が重ね合わされて、ゴムブッシュ本体18の嵌合凸部32,32が、ブラケット14の嵌合凹部66,66に嵌め入れられるとともに、ゴムブッシュ本体18の凹溝34に対して、ブラケット14の中央凸部67が嵌め入れられるようになっている。
ここにおいて、ブラケット14の内周面における上下方向寸法および幅方向寸法は、ブラケット14の非装着状態におけるスタビライザブッシュ10の上下方向寸法およびゴムブッシュ本体18の幅方向寸法より小さくされていることから、ブラケット14を車両ボデー16に固定することにより、ゴムブッシュ本体18がブラケット14と車両ボデー16(取付用台座20)間で圧縮される。これにより、ゴムブッシュ本体18の外周面30のうち、車両ボデー16への取付面となる下側部分26bにおける大径部28の外周面30aが、取付用台座20を介して車両ボデー16側に押し付けられるようになっている。
そして、このようにゴムブッシュ本体18が車両ボデー16側に押し付けられて上下方向および幅方向で圧縮されることにより、かかる圧縮力に基づいて、ゴムブッシュ本体18の特に長さ方向中間部分において、取付用台座20への重ね合わせ部分の幅方向両端部分が、取付用台座20に向けて下方に押し潰されるようにして、且つ自由表面とされた取付用台座20よりの幅方向両側の外方において下方に膨らむように弾性変形せしめられて、取付用台座20とブラケット14との隙間70,70に入り込むようになっている。すなわち、かかるゴムブッシュ本体18には、当該ゴムブッシュ本体18の圧縮に伴い、取付用台座20とブラケット14との間に入り込む緩衝ゴム部76,76が設けられている。
かかる緩衝ゴム部76,76は、取付用台座20の肩部48,48の幅方向外面に沿って下方へ延びており、本実施形態では、緩衝ゴム部76,76の延出寸法(肩部48,48の上端から緩衝ゴム部76,76の下端までの上下方向寸法)H(図4参照)が、隙間70の高さ方向寸法の全体に達しない大きさで、好適には0.5mm〜2.5mmの範囲内に設定されている。なお、緩衝ゴム部76,76は、ゴムブッシュ本体18の外周面においてアンダーカット形状とならないようにされており、ゴムブッシュ本体18の外径寸法を単に周方向で変化させることによって形成されている。
また、本実施形態では、取付用台座20の長さ方向両端部分に、上方に傾斜する傾斜面54,54が設けられているとともに、門形部材62の長さ方向両端部分に、内周側に傾斜する傾斜面68,68が設けられている。すなわち、これら傾斜面54,54および傾斜面68,68により、門形部材62および取付用台座20間の内径寸法が、長さ方向外方に向かって次第に小さくなるようにされている。したがって、ブラケット14が装着されてゴムブッシュ本体18が圧縮される際には、これら傾斜面54,54および傾斜面68,68がゴムブッシュ本体18における嵌合凸部32,32を長さ方向外方から覆う形状とされている。
そして、ゴムブッシュ本体18が圧縮される際には、ゴムブッシュ本体18の弾性変形により、図3にも示されるように、ゴムブッシュ本体18の長さ寸法が、取付用台座20の長さ寸法より大きくなる。ここにおいて、嵌合凸部32,32を形成する部分のゴムの長さ方向外方への膨出変形が防止されて、効果的に圧縮変形せしめられるようになっている。
以上の如き構造とされたスタビライザブッシュ10では、車両への装着状態において、取付用台座20とブラケット14との隙間70,70内にゴムブッシュ本体18に設けられた緩衝ゴム部76,76が位置している。これにより、スタビライザバー12からの周方向のねじり方向の外力が作用して取付用台座20が周方向に変位せしめられる際にも、取付用台座20とブラケット14とが直接打ち当たることが回避されて、異音の発生が効果的に防止され得る。すなわち、一般に、取付用台座20とブラケット14とを組み付けるために、取付用台座20とブラケット14との間には隙間70,70が設けられるものであるが、当該隙間70,70を設けることに伴う不具合(異音の発生)が緩衝ゴム部76,76により効果的に防止され得る。
また、本実施形態では、ゴムブッシュ本体18から突出する位置決め突部36,36が取付用台座20に設けられた位置決め凹部56,56に嵌め入れられているとともに、ゴムブッシュ本体18から突出する係止突部38が取付用台座20の挿通孔60に挿通されている。これにより、取付用台座20に対してゴムブッシュ本体18が中心軸回りで回転することが防止されて、例えば意図せずスタビライザバー12とゴムブッシュ本体18とが周方向で相対変位し、車両走行性に悪影響を与えることが効果的に防止され得る。
そして、これらの嵌合により、スタビライザバー12のねじり方向の変位に伴い取付用台座20が周方向で回転変位し易くなるが、かかる状態下であっても、取付用台座20とブラケット14の打ち当たりに伴う異音の発生が効果的に防止され得る。すなわち、本実施形態のスタビライザブッシュ10では、ゴムブッシュ本体18の取付用台座20に対する周方向の相対変位を抑えつつ、緩衝ゴム部76,76を設けることで、ゴムブッシュ本体18と取付用台座20とが一体的に変位することに伴う不具合(異音の発生)が解消され得るのである。
また、かかるスタビライザブッシュ10では、ブラケット14の固定に伴う圧縮力によりゴムブッシュ本体18の幅方向両端部が膨出変形して、取付用台座20とブラケット14との隙間70,70に入り込むようになっている。特に、本実施形態では、ゴムブッシュ本体18に外力が及ぼされていない状態で、取付用台座20の上端部分における幅寸法Aに比べてゴムブッシュ本体18の最大幅寸法Bが大きくされている(A<B)ことから、組付時において隙間70,70内に入り込む変形がより生じ易くされている。
さらに、本実施形態では、取付用台座20の幅方向両側縁部の肩部48,48が、アール状に面取りされた湾曲角部とされていることから、当該肩部48,48に沿ったゴムブッシュ本体18の膨出変形が一層生じ易くされており、隙間70,70内に緩衝ゴム部76,76がより確実に入り込むようになっている。
更にまた、本実施形態では、ゴムブッシュ本体18において嵌合凸部32,32が設けられている一方、取付用台座20において嵌合凹部52,52が設けられており、ゴムブッシュ本体18と取付用台座20との組付時においてこれらが凹凸嵌合するようになっている。特に、本実施形態では、ブラケット14においても嵌合凹部66,66が設けられており、ゴムブッシュ本体18の嵌合凸部32,32と凹凸嵌合するようになっている。これにより、スタビライザブッシュ10とスタビライザバー12との軸方向の位置決めと、入力時におけるゴムブッシュ本体18の軸方向への膨出変形量の抑制が図られ得る。
特に、取付用台座20の軸方向両端部に傾斜面54,54が設けられるとともに、ブラケット14の軸方向両端部に傾斜面68,68が設けられることで、取付用台座20とブラケット14との間の内径寸法が軸方向外方に向かって小さくなるようになっていることにより、スタビライザブッシュ10とスタビライザバー12との軸方向の位置決めと、入力時におけるゴムブッシュ本体18の軸方向への膨出変形量の抑制の効果の更なる向上が図られ得る。
その結果、ゴムブッシュ本体18の装着時に、ゴムブッシュ本体18において圧縮変形されたゴムが取付用台座20とブラケット14との隙間70,70に一層入り込み易くされ得る。
更にまた、本実施形態では、ゴムブッシュ本体18に係止突部38が設けられて、取付用突部20の挿通孔60に挿通されることで、ゴムブッシュ本体18と取付用突部20が相互に離脱不能に組み付けられるようになっている。これにより、スタビライザブッシュ10に対してブラケット14を外嵌して、当該ブラケット14を車両ボデー16に固定する作業が効率よく行われ得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、ゴムブッシュ本体18に係止突部38が設けられて、取付用台座20の挿通孔60に挿通されることで、ゴムブッシュ本体18と取付用台座20とが組付状態で保持されるようになっていたが、これら係止突部や挿通孔は必須なものでなく、例えばゴムブッシュ本体と取付用台座とが接着剤等によって組付状態に保持されるようになっていてもよい。尤も、ゴムブッシュ本体と取付用台座とは組付状態に保持される必要はなく、ゴムブッシュ本体と取付用台座とが非固着で重ね合わされて、ブラケットの車両ボデー側への押付力によって、取付用台座がゴムブッシュ本体と車両ボデーとの間で挟持されるようになっていてもよい。
また、前記実施形態では、取付用台座20の最大幅寸法Aがゴムブッシュ本体18の最大幅寸法Bより小さく(A<B)されていたが、ゴムブッシュ本体の圧縮に伴いブラケットと取付用台座との隙間に入り込む緩衝ゴム部が設けられるのであれば、取付用台座のゴムブッシュ本体との重ね合わせ部分における幅寸法Aはゴムブッシュ本体の最大幅寸法と等しく(A=B)されてもよいし、取付用台座のゴムブッシュ本体との重ね合わせ部分における幅寸法Aがゴムブッシュ本体の最大幅寸法Bより大きく(B<A)されてもよい。
さらに、前記実施形態では、ゴムブッシュ本体18において、嵌合凸部32,32や凹溝34を有する大径部28が設けられていたが、かかる嵌合凸部や凹溝、大径部は必須なものではなく、ゴムブッシュ本体は、例えば長さ方向の全長に亘って略一定の外径寸法を有する筒状とされてもよいし、下側部分の外周面が水平方向に広がる平坦面とされてもよい。また、取付用台座においても、湾曲凹面や嵌合凹部などは必須なものではなく、ゴムブッシュ本体との重ね合わせ面である上面は、例えば水平方向に広がる平坦面であってもよい。