JP2003202053A - 防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程の簡略化と、防振性能の更なる向上
とが有利に図り得る防振装置を提供する。 【解決手段】 防振されるべき二つの部材のうちの一方
に取り付けられる第一の取付部材１２が、基部２２に二
つの肩部２６，２６が設けられ、且つ基部２２からの延
出部位２４に肉抜空所３０と括れ部３２が設けられたゴ
ム弾性体１６の延出部位２４に加硫接着されて、ゴム弾
性体１６に連結される一方、前記二つの部材のうちの他
方に取り付けられる第二の取付部材１４が、ゴム弾性体
１６の延出部位２４を包囲可能な包囲部材３６を有して
構成されて、包囲部材３６が、ゴム弾性体１６の延出部
位２４の左右両側側面と先端面に対して所定の距離を隔
てて対向して、延出部位２４を包囲しつつ、ゴム弾性体
１６の二つの肩部２６，２６に対応する段部４６，４６
において、それら二つの肩部２６，２６を前記防振され
るべき部材との間で挟圧、保持することにより、第二の
取付部材１４がゴム弾性体１６に連結されるように構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、防振装置に係り、特に防振され
るべき二つの部材にそれぞれ取り付けられる第一及び第
二の取付部材と、かかる第一及び第二の取付部材の間に
介装されて、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを
有する防振装置の改良された構造に関するものである。

【０００２】

【背景技術】従来から、この種の防振装置の一種とし
て、防振されるべき二つ部材にそれぞれ取り付けられた
状態下で、径方向に離隔配置された内筒金具と外筒金具
とをゴム弾性体にて連結してなる、所謂筒型マウントが
知られており、これは、自動車のエンジンマウント等と
して、多く使用されてきている。

【０００３】ところで、このような筒型マウントにおい
ては、一般に、ゴム弾性体が、内筒金具と外筒金具とに
対して、それぞれ加硫接着せしめられるようになってい
るところから、内筒金具と外筒金具とを連結したゴム弾
性体に、加硫後の収縮による引っ張り歪みが生じ、それ
が、ゴム弾性体の耐久性に悪影響を及ぼすことが避けら
れなかったのであり、それ故、かかるゴム弾性体の引っ
張り歪みを解消して、耐久性の向上を図るために、自動
車のエンジンとボデーとの間等に介装せしめる際に、先
ず、外筒金具を絞り加工し、その後、ボデー等に固定さ
れるリング状ブラケットに外筒金具を圧入するといっ
た、面倒で、手間の掛かる作業を行なう必要があったの
である。

【０００４】かかる状況下、特開平８−２９６６８１号
公報には、ゴム弾性体が、エンジン等に取り付けられ
る、剛性を有する内側部材の外周面のみに対して加硫接
着されることにより、内側部材に連結される一方、その
ような内側部材が加硫接着されたゴム弾性体が、自動車
のボデー等に取り付けられる、剛性を有する外側部材に
設けられた凹部内に嵌入せしめられた状態下において、
かかる外側部材の凹部の底面とボデー等との間で挟持さ
れることにより、外側部材に対して連結され、以て、内
側部材と外側部材とが、それらの間に介装されたゴム弾
性体により、弾性的に連結されるように構成された防振
装置が、明らかにされている。

【０００５】このような構造を有する防振装置にあって
は、内側部材を取り囲むように位置して、内周面におい
てゴム弾性体に加硫接着される外筒部材が省略されてい
るために、ゴム弾性体の加硫後の自由な収縮が可能とな
って、ゴム弾性体に引っ張り歪みが生ずるようなことが
有利に回避され得、以て、かかる引っ張り歪みを除去す
るために従来行なわれていた外筒部材に対する絞り加工
や、外筒部材のリング状ブラケットへの圧入作業を行な
う必要が皆無ならしめられ得て、製造工程の簡略化が効
果的に図られ得ることとなる。

【０００６】しかしながら、本発明者等が、前記公報に
開示されている如き構造の防振装置について、種々検討
を加えたところ、かかる従来の防振装置の構造では、内
側部材の外周面に加硫接着されて、内側部材への入力振
動に対するばね部として機能するゴム弾性体部分が、外
側部材とボデー等との間で挟持されて、かかるゴム弾性
体部分に対して、所定の圧縮力が作用せしめられるよう
になっているため、ばね部として機能するゴム弾性体部
分のばね特性を十分に柔らかく為すことが難しく、それ
故に、防振性能の更なる向上を図ることが、極めて困難
であることが、判明したのである。

【０００７】

【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、防振されるべき二つの部材にそれぞれ取
り付けられる第一及び第二の取付部材が、それらの間に
介装されるゴム弾性体にて弾性的に連結されてなる防振
装置において、その製造工程を有利に簡略化することが
出来、しかも、入力振動に対するばね部として機能する
ゴム弾性体部分のばね特性をより十分に柔らかく為し
て、防振性能の更なる向上を効果的に図り得るようにし
た新規な構造を提供することにある。

【０００８】

【解決手段】そして、本発明にあっては、かかる課題の
解決のために、防振されるべき二つの部材のうちの一方
に取り付けられる第一の取付部材と、それらのうちの他
方に取り付けられる第二の取付部材と、該第一の取付部
材と該第二の取付部材との間に介装され、それらを弾性
的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置において、
前記ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の
高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主た
る振動入力方向に対して直角な左右方向の両側において
それぞれ膨出する二つの肩部が設けられると共に、該基
部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高
さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向におい
て該基部側部分を貫通して延びる肉抜空所と、該基部側
部分の両側部にそれぞれ位置するように、該基部側部分
における左右方向の寸法を該基部からの延出部位の先端
側部分よりも小さく為す括れ部とが設けられてなり、前
記第一の取付部材が、その一部において、前記ゴム弾性
体の基部からの延出部位の先端側部分に、前記肉抜空所
の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、該
ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結される一
方、前記第二の取付部材が、前記ゴム弾性体の基部底面
を除く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されて
なる、剛性を有する包囲部材を有し、且つかかる包囲部
材が、該ゴム弾性体の前記基部に設けられた肩部に対応
した屈曲形状の段部を有するように構成され、そして、
該包囲部材が、前記ゴム弾性体の前記基部からの延出部
位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔てて
それぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、該包
囲部材の段部において、該ゴム弾性体の前記二つの肩部
を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振される
べき部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめることによ
り、該第二の取付部材が、該ゴム弾性体に連結されるよ
うに構成したことを特徴とする防振装置を、その要旨と
するものである。

【０００９】すなわち、かかる本発明に従う防振装置に
あっては、防振されるべき二つ部材にそれぞれ取り付け
られる第一及び第二の取付部材のうち、第一の取付部材
だけが、その外周面において、ゴム弾性体に加硫接着さ
れることにより、ゴム弾性体に対して一体的に連結され
る一方、第二の取付部材は、それを構成する包囲部材に
設けられた段部において、ゴム弾性体に形成された二つ
の肩部を、第二の取付部材が取り付けられる防振される
べき部材との間でそれぞれ挟圧、保持することにより、
ゴム弾性体に対して連結されるようになっていることに
よって、筒型マウント等の従来装置とは異なって、二つ
の取付部材のうちの一方たる内筒部材の径方向外側に位
置して、内周面においてゴム弾性体に加硫接着される、
二つの取付部材のうちの他方としての外筒部材が、有利
に省略されているのである。

【００１０】それ故、このような本発明に係る防振装置
においては、ゴム弾性体の加硫後の自由な収縮が可能と
なって、ゴム弾性体に引っ張り歪みが生ずるようなこと
が有利に回避され得、それによって、かかる引っ張り歪
みを除去して、ゴム弾性体の耐久性を確保するために従
来行なわれていた外筒部材に対する絞り加工や、外筒部
材のリング状ブラケットへの圧入作業を行なう必要が、
効果的に皆無ならしめられ得るのである。

【００１１】また、本発明に従う防振装置にあっては、
ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さ
を有するブロック形状を呈し、その基部に、かかる主た
る振動入力方向に対して直角な左右方向の両側において
それぞれ膨出する二つの肩部が設けられ、そして、上述
せるように、この二つの肩部が、第二の取付部材を構成
する包囲部材の段部において、第二の取付部材が取り付
けられる、防振されるべき部材との間でそれぞれ挟圧、
保持されることにより、第二の取付部材がゴム弾性体に
取り付けられている一方、第一の取付部材が、ゴム弾性
体の基部から延び出す延出部位の先端側部分に埋設され
る状態で、ゴム弾性体に一体的に連結されているところ
から、ゴム弾性体において、第二の取付部材が取り付け
られる基部に対しては、包囲部材の段部と防振されるべ
き部材との間にて及ぼされる挟圧力に基づく圧縮力が作
用せしめられるものの、かかる基部から延び出す延出部
位には、そのような圧縮力が、何等作用せしめられるこ
とがなく、従って、第一の取付部材が加硫接着されて、
第一の取付部材と第二の取付部材間への入力振動に対す
るばね部として機能する延出部位のばね特性を十分に柔
らかく為すことが出来るのである。

【００１２】しかも、かかる本発明に従う防振装置にお
いては、十分に柔らかいばね特性を発揮するゴム弾性体
の延出部位の基部側部分に、高さ方向と左右方向の両方
に対して直角となる方向において該基部側部分を貫通し
て延びる肉抜空所が設けられているため、例えば、自動
車等への装着時に入力される初期荷重により、第一の取
付部材がゴム弾性体の基部側方向に変位せしめられて
も、かかる変位量が肉抜空所にて有利に吸収され得、そ
れによって、ゴム弾性体の上下方向における柔らかいば
ね特性が、有利に確保され得るのであり、また、そのよ
うな肉抜空所が設けられたゴム弾性体の延出部位の基部
側部分に、該基部側部分の両側部にそれぞれ位置するよ
うに、該基部側部分における左右方向の寸法を延出部位
の先端側部分よりも小さく為す括れ部が更に設けられて
いるところから、自動車等への装着状態下において、ゴ
ム弾性体の延出部位における左右方向のばね特性も、十
分に柔らかく為され得るのである。

【００１３】さらに、本発明に従う防振装置にあって
は、第二の取付部材を構成する包囲部材が、剛性を有
し、ゴム弾性体の二つの肩部に対応した屈曲形状の段部
において、それら二つの肩部を、防振されるべき部材と
の間で挟圧、保持する一方で、ゴム弾性体の基部からの
延出部位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を
隔ててそれぞれ対向して、かかる延出部位を包囲するよ
うに位置せしめられているため、例えば、自動車等への
装着状態下で、第一の取付部材のリバウンド方向（ゴム
弾性体の延出部位の延出方向）への第二の取付部材に対
する相対的変位量を、包囲部材における、ゴム弾性体の
延出部位の先端面との対向部位において、かかる先端面
との当接により規制することが出来、また、左右方向へ
の振動入力に伴う第一の取付部材の第二の取付部材に対
する左右方向への相対的変位量も、包囲部材における、
ゴム弾性体の延出部位の左右両側面との対向部位におい
て、それら両側面との当接により規制することが出来の
である。それ故、かかる防振装置では、ゴム弾性体の基
部からの延出部位の左右両側面及び先端面と包囲部材と
の間の距離を最適に設計すれば、第一の取付部材の第二
の取付部材に対するリバウンド方向と左右方向への過剰
な相対変位、ひいてはゴム弾性体の過大な弾性変形を阻
止することが、可能となるのである。

【００１４】従って、かくの如き本発明に従う防振装置
にあっては、第一及び第二の取付部材の絞り加工や圧入
作業を行なわない分だけ、製造工程が有利に簡略化され
得るばかりでなく、入力振動に対するばね部として機能
するゴム弾性体部分のばね特性がより一層十分に柔らか
く為され得て、防振性能が飛躍的に高められ得るのであ
り、しかも、ゴム弾性体における引っ張り歪みの発生や
第一の取付部材の第二の取付部材に対する過剰な相対変
位が阻止され得ることにより、第一及び第二の取付部材
の間に介装されて、それらを弾性的に連結するゴム弾性
体、ひいては装置全体の使用耐久性の向上が、極めて効
果的に図られ得ることとなるのである。

【００１５】また、かかる本発明に従う防振装置におい
ては、ゴム弾性体の基部からの延出部位における左右方
向のばね特性が十分に柔らかく為され得ているところか
ら、例えば、自動車のエンジンマウント等として使用す
る場合、ゴム弾性体の左右方向が自動車の前後方向とな
るようにして、自動車の装着すれば、エンジンのアイド
リング振動等に対する防振効果が、より一層有利に発揮
され得るといった利点が得られるのである。

【００１６】ところで、本発明にあっては、防振される
べき二つの部材のうちの一方に取り付けられる第一の取
付部材と、それらのうちの他方に取り付けられる第二の
取付部材と、該第一の取付部材と該第二の取付部材との
間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体と
を有する防振装置において、前記ゴム弾性体が、主たる
振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状
を呈し、その基部に、該主たる振動入力に対して直角な
方向左右方向の両側においてそれぞれ膨出する二つの肩
部が設けられると共に、該基部から高さ方向に延び出す
延出部位の基部側部分に、高さ方向と左右方向の両方に
対して直角となる方向において該基部側部分を貫通して
延びる肉抜空所と、該基部側部分の両側部にそれぞれ位
置するように、該基部側部分における左右方向の寸法を
該基部からの延出部位の先端側部分よりも小さく為す括
れ部とが設けられてなり、前記第一の取付部材が、その
一部において、前記ゴム弾性体の基部からの延出部位の
先端側部分に、前記肉抜空所の貫通方向に沿って延びる
ように埋設された状態で、該ゴム弾性体に加硫接着され
て、一体的に連結される一方、前記第二の取付部材が、
前記ゴム弾性体の基部底面を除く側面及び先端面を取り
囲むように屈曲形成されてなる、剛性を有する包囲部材
と、該ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少な
くとも有し、該包囲部材と協働して該ゴム弾性体を全周
に亘って取り囲む底壁部材とを有し、且つかかる包囲部
材が、該ゴム弾性体の前記基部に設けられた肩部に対応
した屈曲形状の段部を有するように構成され、そして、
前記ゴム弾性体がそれら包囲部材と底壁部材とによって
取り囲まれた状態下において、該包囲部材が、該ゴム弾
性体の前記基部からの延出部位の左右両側面と先端面と
に対して所定の距離を隔ててそれぞれ対向して、かかる
延出部位を包囲しつつ、該包囲部材の段部において、該
ゴム弾性体の前記二つの肩部を、該底壁部材との間でそ
れぞれ挟圧、保持せしめることにより、該第二の取付部
材が、該ゴム弾性体に連結されるようになっていること
を特徴とする防振装置をも、また、その要旨とするもの
である。

【００１７】要するに、この本発明に従う防振装置にお
いては、第一の取付部材のみが、その外周面において、
ゴム弾性体の基部からの延出部位の先端側部分に加硫接
着されている一方、ゴム弾性体が、基部において、第二
の取付部材を与える包囲部材と底壁部材との間で挟圧、
保持されており、また、かかるゴム弾性体の延出部位の
基部側部分に、肉抜空所と括れ部とが設けられ、しか
も、包囲部材が、ゴム弾性体の延出部位を、その左右両
側面と先端面とに対して所定の距離を隔てて対向する状
態で包囲するように位置せしめられているのである。

【００１８】従って、本発明に従う防振装置にあって
も、製造工程が有利に簡略化され得ると共に、入力振動
に対するばね部として機能するゴム弾性体部分のばね特
性がより一層十分に柔らかく為され得て、防振性能が飛
躍的に高められ得るのであり、更に、ゴム弾性体におけ
る引っ張り歪みの発生や第一の取付部材の第二の取付部
材に対する過剰な相対変位が阻止され得て、ゴム弾性
体、ひいては装置全体の使用耐久性の向上が、極めて効
果的に図られ得ることとなるのである。

【００１９】そして、かかる本発明に従う防振装置にお
いては、特に、第二の取付部材が、包囲部材の他に、ゴ
ム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有
し、包囲部材と協働して、ゴム弾性体を全周に亘って取
り囲む底壁部材を含んで構成され、ゴム弾性体が、それ
ら包囲部材と底壁部材とによって取り囲まれた状態下に
おいて、ゴム弾性体の二つの肩部が、包囲部材と底壁部
材との間でそれぞれ挟圧、保持されることにより、第二
の取付部材が、ゴム弾性体に連結されるようになってい
るところから、第一の取付部材と第二の取付部材とがゴ
ム弾性体にて連結せしめられて組み付けられた一体的な
組付品として取り扱われ得るのであり、それによって、
より優れた取扱性が発揮され得て、例えば、自動車等へ
の組付性が飛躍的に高められ得ることとなるのである。

【００２０】なお、このような本発明に従う防振装置の
好ましい態様の一つによれば、前記ゴム弾性体の基部底
面に、嵌合凹所が設けられる一方、前記底壁部材に、該
嵌合凹所内に突入して、嵌合可能な嵌合凸部が設けら
れ、該ゴム弾性体が全周に亘って前記包囲部材と該底壁
部材とによって取り囲まれた状態下で、該ゴム弾性体の
嵌合凹所内に、該底壁部材に設けられた前記嵌合凸部が
突入して、嵌合せしめられるように構成される。

【００２１】かかる構成を有する防振装置においては、
嵌合凹所を嵌合凸部とを、ゴム弾性体の基部底面と底壁
部材とに対して、それぞれ一定の位置に設けるようにす
れば、ゴム弾性体を、包囲部材と底壁部材とによって取
り囲んだ際に、常に一定の位置に位置せしめることが出
来、以てその位置決めが容易となるのである。

【００２２】また、本発明に従う防振装置の別の有利な
態様の一つによれば、前記ゴム弾性体が前記包囲部材と
前記底壁部材とによって取り囲まれた状態下で、該ゴム
弾性体の前記基部の左右方向とは直角な方向における二
つの側面にそれぞれ接触して、該ゴム弾性体の左右方向
とは直角な方向への移動を規制する規制壁部が、該ゴム
弾性体の基部を挟むようにして、該底壁部材に設けられ
ることとなる。

【００２３】このような構成を有する防振装置にあって
は、例えば、自動車等に装着された状態下において、振
動入力に伴う第一の取付部材の第二の取付部材に対する
左右方向とは直角な方向への相対変位が阻止されて、か
かる方向への相対変位に起因するゴム弾性体の包囲部材
と底壁部材との間からの離脱が効果的に防止され得るの
であり、それによって、防振性能が安定的に確保され得
ると共に、装置全体の使用耐久性が、より有利に高めら
れ得ることとなるのである。

【００２４】さらに、本発明に従う防振装置の望ましい
他の態様の一つによれば、前記第一の取付部材が、前記
ゴム弾性体への埋設部位において、左右方向の両側に向
かってそれぞれ延出する突出部を有して構成される。

【００２５】このような構成を有する防振装置において
は、例えば、自動車等への装着状態下における、第一の
取付部材のリバウンド方向（ゴム弾性体の延出部位の延
出方向）への第二の取付部材に対する相対変位時に、包
囲部材におけるゴム弾性体の延出部位の先端面との対向
部位が、ゴム弾性体の延出部位の先端側部分を介して、
剛性を有する第一の取付部材の突出部に当接せしめられ
ることとなり、それによって、第一の取付部材のリバウ
ンド方向への過剰な相対変位が、より確実に阻止され得
るのである。

【００２６】また、本発明に従う防振装置の別の有利な
態様の一つによれば、前記包囲部材が、前記ゴム弾性体
の前記基部からの延出部位の先端面に対向する、前記左
右方向に延びる平坦な天井壁部と、該天井壁部の左右方
向両端部から前記高さ方向にそれぞれ垂下する、前記ゴ
ム弾性体の前記基部からの延出部位の左右両側面にそれ
ぞれ対向した側壁部の二つとを有して、構成される。

【００２７】このような構成を有する防振装置にあって
は、第一の取付部材の第二の取付部材に対するリバウン
ド方向と左右方向への過剰な相対変位を阻止するストッ
パとしての機能が、包囲部材において、比較的な簡略な
構造により、更に一層確実に発揮され得ることとなるの
である。

【００２８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明に係る防振装置の構成につい
て、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。

【００２９】先ず、図１乃至図３には、本発明に従う構
造を有する防振装置の一実施形態として、主たる振動が
上下方向に入力せしめられるＦＦ型自動車用のエンジン
マウントが、その正面形態と上面形態と縦断面形態とに
おいて、それぞれ、概略的に示されている。それらの図
から明らかなように、本実施形態のエンジンマウント１
０は、第一の取付部材としての内側金具１２と第二の取
付部材としての外側金具１４が、所定距離を隔てて配設
されて、それら両金具１２，１４間に介装されたゴム弾
性体１６によって弾性的に連結されており、内側金具１
２と外側金具１４とが、図示しないパワーユニットとボ
デーとに対して固定的に取り付けられることにより、パ
ワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるように
なっている。

【００３０】より詳細には、内側金具１２は、全体とし
て、厚肉の略小径円筒形状を有している。また、この内
側金具１２にあっては、その軸方向の中間部に、筒壁部
が径方向外方に膨らみ出すようにして、左右方向に向か
ってそれぞれ延出せしめられてなる突出部１８が、設け
られており、この突出部１８の上面と下面とが、それぞ
れ平面形態を有する平面部２０とされている。

【００３１】一方、このような内側金具１２と前記外側
金具１４との間に介装されるゴム弾性体１６は、エンジ
ンマウント１０の自動車への装着状態下で、主たる振動
入力方向となる上下方向において所定の高さを有し、且
つかかる主たる振動入力方向に対して直角な左右方向た
る幅方向（図１における左右方向に相当する方向）の寸
法が、高さ方向（上下方向）と幅方向の両方に対して直
角な方向となる厚さ方向（図１における紙面に垂直な方
向に相当する方向）の寸法よりも十分に大きくされた、
全体として、略矩形のブロック形状を有して、構成され
ている。

【００３２】そして、かかるゴム弾性体１６にあって
は、その下側端部となる基部２２に、幅方向（左右方
向）の両側においてそれぞれ膨出して、該基部２２の幅
を、基部２２から上方に延び出す延出部位２４の幅より
も大きく為す二つの肩部２６，２６が、それぞれ形成さ
れている。また、このゴム弾性体１６の基部２２の底面
には、その略中央に、矩形穴形態を呈する嵌合凹所２８
が、基部２２に設けられた各肩部２６の高さと略同一の
深さをもって、形成されている。

【００３３】さらに、ゴム弾性体１６の高さ方向の中間
部分、つまり基部２２からの延出部位２４の基部２２側
部分における幅方向の中央部には、肉抜空所３０が、設
けられている。この肉抜空所３０は、略三角形状の内周
面形状を有し、ゴム弾性体１６の高さ方向と幅方向の両
方に対して直角となる方向、つまり厚さ方向において、
該延出部位２４の基部２２側部分を貫通して延びる形態
をもって構成されている。つまり、ここでは、かかる肉
抜空所３０の存在によって、ゴム弾性体１６の基部２２
からの延出部位２４の基部２２側部分における幅方向の
中央部が、略三角形状をもって、ゴム弾性体１６の厚さ
方向に連続的に刳り抜かれているのである。

【００３４】また、このような肉抜空所３０が設けられ
たゴム弾性体１６の延出部位２４の基部２２側部分にお
ける幅方向の両側側面には、それぞれ凹み部分が形成さ
れており、この凹み部分が、該基部２２側部分の幅を、
ゴム弾性体１６の延出部位２４の先端側部分の幅よりも
小さく為す括れ部３２とされているのである。

【００３５】さらに、ゴム弾性体１６においては、基部
２２からの延出部位２４の先端面における幅方向の中央
部に、該先端面を二つの平面に分割する溝部３４が、ゴ
ム弾性体１６の厚さ方向における二つの側面のうちの一
方から他方に向かって連続して延びるように、形成され
ている。

【００３６】そして、前記内側金具１２が、かくの如き
構成とされたゴム弾性体１６における基部２２からの延
出部位２４の先端側部分に、該延出部位２４に設けられ
た肉抜空所３０の貫通方向となる厚さ方向に沿って延出
しつつ、軸方向の中間部に設けられた突出部１８におい
て埋設され、且つ軸方向の両端部を外方に突出させた状
態で、かかるゴム弾性体１６に加硫接着されて、一体的
に連結されている。つまり、ここでは、ゴム弾性体１６
が、基部２２からの延出部位２４の先端側部分に対し
て、内側金具１２が、その軸方向の中間部の外周面にお
いて加硫接着された一体加硫成形品とされているのであ
る。

【００３７】一方、外側金具１４は、包囲部材としての
包囲金具３６と、底壁部材としての底壁金具３８とを、
更に有している。そして、それら両金具３６，３８のう
ち、包囲金具３６は、長手矩形の金属板材を、長手方向
の中間部分において、厚さ方向にコ字状に屈曲せしめて
なる如き形態を有しており、その長手方向の中間部分
が、天井壁部４３と、該天井壁部４３の左右方向両端部
からそれぞれ垂直な方向延びる二つの側壁部４４，４４
とを有するコ字状部４０とされている一方、その両端部
が、取付フランジ部４２とされている。また、この包囲
金具３６においては、コ字状部４０が、ゴム弾性体１６
の基部２２からの延出部位２４における幅方向の両側側
面と先端面を、非接触下で取り囲み得る大きさとされて
いると共に、各側壁部４４，４４の天井壁部４３とは反
対側の端部に、ゴム弾性体１６の基部２２に設けられた
二つの肩部２６に対応した屈曲形状を呈する段部４６，
４６が、それぞれ設けられて、構成されている。

【００３８】さらに、かかる包囲金具３６と共に外側金
具１４を構成する底壁金具３８は、全体として、略長手
矩形の平板形状を有しており、その長手方向の両端部
が、包囲金具３６の取付フランジ部４２に対応した取付
片部４８とされている一方、長手方向の中間部が、ゴム
弾性体１６の基部２２の底面に対応した形状と、包囲金
具３６のコ字状部４０の開口部分を閉塞可能な大きさと
を有する底壁部５０とされている。また、この底壁金具
３８の底壁部５０の中央部分には、ゴム弾性体１６の基
部２２の底面に設けられた前記嵌合凹所２８に突入し
て、嵌合可能な嵌合凸部５２が、突出形成されている。

【００３９】更にまた、底壁金具３８にあっては、その
幅方向（図３における左右方向）の両側に、後述する如
き底壁金具３８のゴム弾性体１６との組付け状態下にお
いて、ゴム弾性体１６の基部２２における厚さ方向（図
３における左右方向）の二つの側面にそれぞれ接触する
竪壁部５４，５４が、ゴム弾性体１６の基部２２と略同
様な高さと、該基部２２の幅よりも大きな長さとをもっ
て、一体的に立設されている。

【００４０】そして、ここでは、このような外側金具１
４の包囲金具３６が、ゴム弾性体１６をコ字状部４０内
に収容せしめた状態下で、かかるコ字状部４０の天井壁
部４３と二つの側壁部４４，４４とにおいて、ゴム弾性
体１６における、内側金具１２が加硫接着された延出部
位２４の先端面と幅方向の両側側面とに対して、所定距
離を隔てて、それぞれ対向しつつ、かかる延出部位２４
を包囲すると共に、二つの段部４６，４６において、ゴ
ム弾性体１６における基部２２に設けられた二つの肩部
２６，２６に接触して、位置せしめられている。また、
外側金具１４の底壁金具３８は、底壁部５０において、
包囲金具３６のコ字状部４０の開口部を閉塞し、且つコ
字状部４０内に収容位置せしめられたゴム弾性体１６の
基部２２の底面に接触すると共に、かかる底壁部５０の
二つの竪壁部５４，５４の間に、ゴム弾性体１６の基部
２２が、各竪壁部５４，５４に接触して、挟まれるよう
に位置せしめられている。

【００４１】かくして、外側金具１４の包囲金具３６と
底壁金具３８とが、協働して、ゴム弾性体１６を全周に
亘って取り囲んだ状態下で、包囲金具３６の各段部２
６，２６と底壁金具３８の底壁部５０との間で、ゴム弾
性体１６の基部２２における二つの肩部２６，２６をそ
れぞれ挟圧、保持せしめると共に、底壁金具３８の各竪
壁部５４，５４に対するゴム弾性体１６の基部２２の接
触により、ゴム弾性体１６の厚さ方向への移動を阻止せ
しめるように配置され、そして、そのような配置状態下
において、包囲金具３６の各取付フランジ部４２，４２
と底壁金具３８の各取付片部４８，４８とが、互い重ね
合わされて、リベット止めされている。このことから明
らかなように、本実施形態では、竪壁部５４，５４に
て、規制壁部が構成されている。

【００４２】これによって、本実施形態では、外側金具
１４が、内側金具１２が加硫接着されたゴム弾性体１６
に連結され、以て、内側金具１２と外側金具１４とが、
それらの間に介装されたゴム弾性体１６にて、弾性的に
連結されるようになっているのである。そして、それら
ゴム弾性体１６を介して連結された筒状の内側金具１２
の内孔内に、パワーユニットに固定された所定の軸部材
（図示せず）が挿入、固定される一方、外側金具１４に
おける包囲金具３６の各取付フランジ部４２，４２と底
壁金具３８の各取付片部４８，４８とに、それぞれ対応
位置して設けられた各取付孔５６，５８に、図示しない
取付ボルトが挿通されて、この取付ボルトが、ボデー側
に固定されることによって、本実施形態のエンジンマウ
ント１０が、自動車に装着されるようになっているので
ある。

【００４３】このように、本実施形態のエンジンマウン
ト１０においては、ゴム弾性体１６に対して、内側金具
１２だけが、その外周面において加硫接着されるように
なっているところから、ゴム弾性体１６の加硫後の自由
な収縮が可能となって、ゴム弾性体１６に引っ張り歪み
が生ずるようなことが有利に回避され得、それによっ
て、そのような引っ張り歪みを除去して、ゴム弾性体１
６の耐久性を確保するために従来行なわれていた外筒部
材の絞り加工や圧入作業を行なう必要が、効果的に皆無
ならしめられ得るのである。そして、その結果として、
それらの面倒な作業を行なわない分だけ、製造工程の簡
略化が極めて有利に図られ得るのである。

【００４４】また、本実施形態のエンジンマウント１０
にあっては、ゴム弾性体１６が、その基部２２におい
て、外側金具１４における包囲金具３６の各段部４６，
４６と、底壁金具３８の底壁部５０との間で挟圧、保持
されることにより、外側金具１４がゴム弾性体１６に連
結される一方、内側金具１２が、ゴム弾性体１６の基部
２２からの延出部位２４の先端側部分に埋設される状態
で、加硫接着されることにより、ゴム弾性体１６に連結
されるようになっているため、外側金具１４が連結され
るゴム弾性体１６の基部２２に対しては、包囲金具３６
の各段部４６，４６と底壁金具３８の底壁部５０との間
において及ぼされる挟圧力に基づく圧縮力が作用せしめ
られるものの、ゴム弾性体１６の基部２２からの延出部
位２４には、そのような圧縮力が、何等作用せしめられ
ることがないのである。

【００４５】それ故、このようなエンジンマウント１０
においては、内側金具１２が加硫接着されて、内側金具
１２と外側金具１４間への入力振動に対するばね部とし
て機能する、ゴム弾性体１６の延出部位のばね特性が、
十分に柔らかく為され得るのである。

【００４６】しかも、本実施形態のエンジンマウント１
０においては、ゴム弾性体１６の基部２２からの延出部
位２４に、それを厚さ方向に貫通して延びる肉抜空所３
０と、かかる延出部位２４の幅を小さく為す括れ部３２
とが設けられているところから、自動車への装着によ
り、初期荷重が入力せしめられた状態下でも、ゴム弾性
体１６の上下方向におけるばね特性と、幅方向における
ばね特性とが、何れも、十分に柔らかく為され得るので
ある。

【００４７】従って、かくの如き本実施形態に係るエン
ジンマウント１０にあっては、入力振動に対するばね部
として機能するゴム弾性体１６の基部２２からの延出部
位２４のばね特性が、更に一層十分に柔らかく為され得
て、より優れた防振性能が、極めて効果的に発揮され得
ることとなるのである。そして、この本実施形態のエン
ジンマウント１０を、ゴム弾性体１６の幅方向とボデー
の前後方向とが一致するように自動車に装着した場合、
ゴム弾性体１６の幅方向におけるばね特性が十分に柔ら
かく為され得ていることによって、エンジンのアイドリ
ング振動等に対する防振効果が、より一層有利に高めら
れ得るのである。

【００４８】また、本実施形態のエンジンマウント１０
では、上述の如き柔らかいばね特性を発揮するゴム弾性
体１６の延出部位２４における先端面と幅方向の両側側
面とが、外側金具１４の包囲金具３６におけるコ字状部
４０の天井壁部４３と側壁部４４，４４とに対して、所
定の距離を隔てて対向しつつ、包囲されるようになって
いるところから、入力振動によって、内側金具１２が、
外側金具１４に対して、上下方向や左右方向（ゴム弾性
体１６の幅方向）に相対変位せしめられる際にも、かか
る包囲金具３６の天井壁部４３と側壁部４４，４４とに
対する延出部位２４の当接により、過剰な相対変位が惹
起されるようなことが、有利に防止され得るのであり、
その結果として、ゴム弾性体１６、ひいてはエンジンマ
ウント１０全体の使用耐久性の向上が、効果的に図られ
得ることとなるのである。

【００４９】さらに、本実施形態のエンジンマウント１
０においては、ゴム弾性体１６が、その基部２２におい
て、外側金具１４の包囲金具３６と底壁金具３８との間
で挟圧、保持されることにより、外側金具１４がゴム弾
性体１６に連結される一方、内側金具１２が、ゴム弾性
体１６の基部２２からの延出部位２４の先端側部分に埋
設される状態で、加硫接着されることにより、ゴム弾性
体１６に連結されるようになっているため、自動車への
装着前の状態下で、内側金具１２と外側金具１４とがゴ
ム弾性体１６にて連結せしめられてなる一体的な組付品
として取り扱われ得るのであり、それによって、より優
れた取扱性が発揮され得て、自動車への組付性が、飛躍
的に高められ得ることとなるのである。

【００５０】また、本実施形態のエンジンマウント１０
にあっては、ゴム弾性体１６の基部２２の底面に、嵌合
凹所２８が設けられる一方、外側金具１４の底壁金具３
８における底壁部５０に、かかる嵌合凹所２８に突入し
て、嵌合する嵌合凸部５２が設けられているため、それ
ら嵌合凹所２８と嵌合凸部５２との凹凸嵌合により、ゴ
ム弾性体１６を、底壁金具３８に対して、常に一定の位
置で組み付けることが可能となり、以て、外側金具１４
のゴム弾性体１６への連結時における位置決めが、容易
となるのである。

【００５１】さらに、かかるエンジンマウント１０で
は、外側金具１４の底壁金具３８に、竪壁部５４，５４
が設けられ、外側金具１４をゴム弾性体１６に組み付け
た状態下において、ゴム弾性体１６の厚さ方向への移動
が、かかる竪壁部５４，５４にて阻止されるようになっ
ているところから、自動車に装着された状態下で、内側
金具１２の外側金具１４に対するゴム弾性体１６の厚さ
方向への相対移動が規制され、それによって、内側金具
１２が加硫接着され、且つ外側金具１４における包囲金
具３６と底壁金具３８とにて取り囲まれたゴム弾性体１
６が、内側金具１２の外側金具１４に対する相対移動に
起因して、それら包囲金具３６と底壁金具３８との間か
ら離脱せしめられるようなことが有利に防止され得るの
であり、その結果、防振性能が安定的に確保され得ると
共に、装置全体の使用耐久性が有利に高められ得ること
となるのである。

【００５２】更にまた、本実施形態のエンジンマウント
１０にあっては、ゴム弾性体１６の基部２２からの延出
部位２４の先端側部位に埋設されるようにして、加硫接
着される内側金具１２において、ゴム弾性体１６に対す
る接着部分（埋設部分）に、ゴム弾性体１６の幅方向に
延出し、上面が平坦面部２０とされた突出部１８が設け
られているため、自動車への装着下で、内側金具１２の
外側金具１４に対するリバウンド方向への相対変位が生
ぜしめられた際に、外側金具１４の包囲金具３６におけ
るコ字状部４０の天井壁部４３が、ゴム弾性体１６の延
出部位２４の先端側部分を介して、内側金具１２の突出
部１８の平坦面部２０に当接せしめられることとなり、
それによって、内側部材１２のリバウンド方向への過剰
な相対変位が、より確実に阻止され得るのである。

【００５３】また、本実施形態に係るエンジンマウント
１０においては、ゴム弾性体１６の延出部位２４の先端
面に溝部３４が設けられて、かかる先端面が、二つの平
面に分割されるようになっているため、上述の如く、内
側金具１２の外側金具１４に対するリバウンド方向への
相対変位が生ぜしめられた際に、ゴム弾性体１６の延出
部位２４の先端面が、それに対向する包囲金具３６のコ
字状部４０の天井壁部４３に対して、より安定的に接触
せしめられ得、これによっても、内側部材１２のリバウ
ンド方向への過剰な相対変位が、より確実に阻止され得
ることとなるのである。

【００５４】さらに、本実施形態のエンジンマウント１
０にあっては、溶接による接合部位が何等存在しないた
め、溶接時の熱歪みの発生に伴う強度の低下が有利に皆
無ならしめられ得て、装置全体の耐久性が、効果的に高
められ得るのである。

【００５５】以上、本発明の具体的な構成について詳述
してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであ
って、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも
受けるものではない。

【００５６】例えば、前記実施形態では、内側金具１２
が、略円筒状の全体形状を有していたが、パワーユニッ
トやボデー等の防振されるべき部材に取り付けられ得る
ものであり、且つゴム弾性体に埋設されるように加硫接
着され得るものであれば、その形状が、何等これに限定
されるものではないのである。

【００５７】また、外側金具１４の包囲金具３６と底壁
金具３８のそれぞれの形状も、前記実施形態に示される
ものに、特に限定されるものではないことは、言うまで
もないところである。

【００５８】さらに、前記実施形態では、外側金具１４
が、包囲金具３６と底壁金具３８とから構成され、それ
らが協働して、ゴム弾性体１６を取り囲んだ状態で、そ
れら包囲金具３６と底壁金具３８との間で、ゴム弾性体
１６の二つの肩部２６，２６がそれぞれ挟圧、保持され
るようになっていたが、外側金具１４を包囲金具３６の
みにて構成して、ゴム弾性体１６を、かかる包囲金具３
６のコ字状部４０にて包囲しつつ、各肩部２６，２６
を、包囲金具３６の段部４６，４６と、包囲金具３６が
取り付けられるボデー等との間で挟圧、保持せしめるよ
うにすることも、可能である。これによって、エンジン
マウント１０の部品点数を有利に削減することが出来、
以て、コストの低下と製造工程の更なる簡略化とが、効
果的に実現され得るのである。

【００５９】加えて、前記実施形態では、本発明を、主
たる振動が上下方向に入力せしめられるＦＦ型自動車用
のエンジンマウントに適用したものの具体例を示した
が、本発明は、その他、ＦＦ型以外の自動車用エンジン
マウントや、エンジンマウント以外の自動車用防振装
置、或いは自動車以外の防振装置の何れに対しても、有
利に適用され得ることは、勿論である。

【００６０】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。

【００６１】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従う防振装置にあっては、製造工程が有利に簡略化
され得るばかりでなく、入力振動に対するばね部として
機能するゴム弾性体部分のばね特性がより一層十分に柔
らかく為され得て、防振性能が飛躍的に高められ得るの
であり、しかも、ゴム弾性体、ひいては装置全体の使用
耐久性の向上が、極めて効果的に図られ得ることとなる
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に従う構造を有するエンジンマウントの
一例を示す正面説明図である。

【図２】図１における上面説明図である。

【図３】図１におけるIII−III断面説明図である。

【符号の説明】

１０ エンジンマウント １２ 内側金具 １４ 外側金具 １６ ゴム弾性
体 １８ 突出部 ２２ 基部 ２４ 延出部位 ２６ 肩部 ２８ 嵌合凹所 ３０ 肉抜空所 ３２ 括れ部 ３６ 包囲金具 ３８ 底壁金具 ４０ コ字状部 ４３ 天井壁部 ４４ 側壁部 ４６ 段部 ５０ 底壁部 ５２ 嵌合凸部 ５４ 竪壁部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3D035 CA05 3J048 AA01 BA02 BD05 BD07 DA05 EA01 3J059 AA04 AD05 BA74 BD07 CB09 DA14 EA06 GA09

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 防振されるべき二つの部材のうちの一方
   に取り付けられる第一の取付部材と、それらのうちの他
   方に取り付けられる第二の取付部材と、該第一の取付部
   材と該第二の取付部材との間に介装され、それらを弾性
   的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置にして、 前記ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の
   高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主た
   る振動入力方向に対して直角な左右方向の両側において
   それぞれ膨出する二つの肩部が設けられると共に、該基
   部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高
   さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向におい
   て該基部側部分を貫通して延びる肉抜空所と、該基部側
   部分の両側部にそれぞれ位置するように、該基部側部分
   における左右方向の寸法を該基部からの延出部位の先端
   側部分よりも小さく為す括れ部とが設けられてなり、 前記第一の取付部材が、その一部において、前記ゴム弾
   性体の基部からの延出部位の先端側部分に、前記肉抜空
   所の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、
   該ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結される一
   方、 前記第二の取付部材が、前記ゴム弾性体の基部底面を除
   く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されてな
   る、剛性を有する包囲部材を有し、且つかかる包囲部材
   が、該ゴム弾性体の前記基部に設けられた肩部に対応し
   た屈曲形状の段部を有するように構成され、そして、該
   包囲部材が、前記ゴム弾性体の前記基部からの延出部位
   の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔ててそ
   れぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、該包囲
   部材の段部において、該ゴム弾性体の前記二つの肩部
   を、該第二の取付部材が取り付けられる前記防振される
   べき部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめることによ
   り、該第二の取付部材が、該ゴム弾性体に連結されるよ
   うに構成したことを特徴とする防振装置。
2. 【請求項２】 防振されるべき二つの部材のうちの一方
   に取り付けられる第一の取付部材と、それらのうちの他
   方に取り付けられる第二の取付部材と、該第一の取付部
   材と該第二の取付部材との間に介装され、それらを弾性
   的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置にして、 前記ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の
   高さを有するブロック形状を呈し、その基部に、該主た
   る振動入力方向に対して直角な左右方向の両側において
   それぞれ膨出する二つの肩部が設けられると共に、該基
   部から高さ方向に延び出す延出部位の基部側部分に、高
   さ方向と左右方向の両方に対して直角となる方向におい
   て該基部側部分を貫通して延びる肉抜空所と、該基部側
   部分の両側部にそれぞれ位置するように、該基部側部分
   における左右方向の寸法を該基部からの延出部位の先端
   側部分よりも小さく為す括れ部とが設けられてなり、 前記第一の取付部材が、その一部において、前記ゴム弾
   性体の基部からの延出部位の先端側部分に、前記肉抜空
   所の貫通方向に沿って延びるように埋設された状態で、
   該ゴム弾性体に加硫接着されて、一体的に連結される一
   方、 前記第二の取付部材が、前記ゴム弾性体の基部底面を除
   く側面及び先端面を取り囲むように屈曲形成されてな
   る、剛性を有する包囲部材と、該ゴム弾性体の基部底面
   に対応した形状部分を少なくとも有し、該包囲部材と協
   働して該ゴム弾性体を全周に亘って取り囲む底壁部材と
   を有し、且つかかる包囲部材が、該ゴム弾性体の前記基
   部に設けられた肩部に対応した屈曲形状の段部を有する
   ように構成され、そして、前記ゴム弾性体がそれら包囲
   部材と底壁部材とによって取り囲まれた状態下におい
   て、該包囲部材が、該ゴム弾性体の前記基部からの延出
   部位の左右両側面と先端面とに対して所定の距離を隔て
   てそれぞれ対向して、かかる延出部位を包囲しつつ、該
   包囲部材の段部において、該ゴム弾性体の前記二つの肩
   部を、該底壁部材との間でそれぞれ挟圧、保持せしめる
   ことにより、該第二の取付部材が、該ゴム弾性体に連結
   されるようになっていることを特徴とする防振装置。
3. 【請求項３】 前記ゴム弾性体の基部底面に、嵌合凹所
   が設けられる一方、前記底壁部材に、該嵌合凹所内に突
   入して、嵌合可能な嵌合凸部が設けられ、該ゴム弾性体
   が全周に亘って前記包囲部材と該底壁部材とによって取
   り囲まれた状態下で、該ゴム弾性体の嵌合凹所内に、該
   底壁部材に設けられた前記嵌合凸部が突入して、嵌合せ
   しめられるようになっている請求項２に記載の防振装
   置。
4. 【請求項４】 前記ゴム弾性体が前記包囲部材と前記底
   壁部材とによって取り囲まれた状態下で、該ゴム弾性体
   の前記基部の左右方向とは直角な方向における二つの側
   面にそれぞれ接触して、該ゴム弾性体の左右方向とは直
   角な方向への移動を規制する規制壁部が、該ゴム弾性体
   の基部を挟むようにして、該底壁部材に設けられている
   請求項２又は請求項３に記載の防振装置。
5. 【請求項５】 前記第一の取付部材が、前記ゴム弾性体
   への埋設部位において、左右方向の両側に向かってそれ
   ぞれ延出する突出部を有している請求項１乃至請求項４
   の何れかに記載の防振装置。
6. 【請求項６】 前記包囲部材が、前記ゴム弾性体の前記
   基部からの延出部位の先端面に対向する、前記左右方向
   に延びる平坦な天井壁部と、該天井壁部の左右方向両端
   部から前記高さ方向にそれぞれ垂下する、前記ゴム弾性
   体の前記基部からの延出部位の左右両側面にそれぞれ対
   向した側壁部の二つとを有している請求項１乃至５の何
   れかに記載の防振装置。