JP2018138639A - 接着性樹脂組成物、及びこれを用いた複合接着体 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱水処理による金属表面への接着性の低下が抑制された接着性樹脂組成物、並びに、これを用いた複合接着体等を提供する。【解決手段】ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するプロピレン・エチレン共重合体(B)と、を少なくとも含有することを特徴とする、接着性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンを含有し接着性が改善された接着性樹脂組成物、及びこれを用いた複合接着体等に関する。
耐薬品性、耐熱性、消音性、制振動性、電気絶縁性、表面保護、作業環境性、生産性等の各種機能の付加或いは向上や、各種部品の軽量化を目的として、銅、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属や各種合金からなる金属部材の表面や合金部材の表面(以下、これらを総称して「金属表面」と称する。)に樹脂層を設けた複合材料が各種用途で用いられている。例えば建築部材、内外装建材、電動工具、医療機器、自転車や自動車や電気自動車や鉄道車両や農業車両等の車両部品、船舶部品、燃料電池セパレータ等の電池部品、パソコンやカメラや携帯電話やスマートフォン等の情報機器端末、家電製品、プリント配線板等の電子部品、各種包装材料、暖房機器、雑貨等において、銅、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属表面に、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂層が設けられた複合材料が用いられている。近年、金属インサート成形、オーバーモールディング、粉体コーティング等の適用の広がりも相まって、上述した複合材料の用途はさらに拡大し、その使用量が増加する傾向にある。かかる背景の下、金属表面と樹脂材料との接着性の向上が求められている。
一方、ポリオレフィン系樹脂は、比較的に軽量安価であることから、様々な用途に用いられている。特に各種車両の軽量化や薄型化には有用で、近年、かかる用途への使用量が増加している。しかしながら、ポリオレフィンそのものは、表面エネルギーが低く、金属或いは他の樹脂への接着性に劣る難接着性樹脂であり、このことから金属表面或いは他の樹脂に対するポリオレフィンの接着性の向上が検討されている。
従来、接着性を改善したポリオレフィンとして、ポリオレフィンをマレイン酸やアクリル酸等の不飽和酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン(カップリング剤、付着促進剤)及びその製造方法が提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
例えば自動車部品では、金属部分を樹脂被覆することにより、部品の軽量化や、耐水性、耐久性、消音性、制振動性等を向上させることが検討されている。また、スマートフォン等の情報機器端末や家電製品等においては、金属部分を樹脂被覆したりする等して、部品の軽量化や、防水性或いは耐水性、耐久性等を向上させることが検討されている。一方、食品や医薬等の包装材料、例えばアルミニウム蒸着膜を有する積層フィルムにおいても、耐水性や耐久性等が求められており、さらにこれを用いたガスバリア性積層体等において熱水処理やレトルト処理等が施される用途においては、より高い耐水性や耐熱水性が要求される。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されたカップリング剤や付着促進剤は、熱水処理後に金属表面への接着性が著しく劣化することが判明した。これはすなわち、上記特許文献1及び2に記載されたカップリング剤や付着促進剤を用いた場合、熱水処理やレトルト処理を行う用途において金属表面への接着性が不十分であり、水や水蒸気等が付着する可能性のある用途において長期に亘り良好な接着性を維持することができないことを意味する。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱水処理による金属表面への接着性の低下が抑制された接着性樹脂組成物、並びに、これを用いた複合接着体等を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と特定のプロピレン・エチレン共重合体(B)とを併用した接着性樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1] ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するプロピレン・エチレン共重合体(B)と、を少なくとも含有することを特徴とする、接着性樹脂組成物。
[1] ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するプロピレン・エチレン共重合体(B)と、を少なくとも含有することを特徴とする、接着性樹脂組成物。
[2] 前記ポリプロピレン系(共)重合体が、ポリプロピレン系(共)重合体をアクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した、0.1〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するアクリル酸変性ポリプロピレンを含む[1]に記載の接着性樹脂組成物。
[3] 前記ポリプロピレン系(共)重合体が、ポリプロピレン系(共)重合体をメタクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した、50〜200g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するメタクリル酸変性ポリプロピレンを含む[1]又は[2]に記載の接着性樹脂組成物。
[4] 前記成分(A)の(メタ)アクリル酸変性率が、前記成分(A)の総質量に対して0.1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[5] 前記成分(A)及び前記成分(B)の質量割合が、20:70〜70:20である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[3] 前記ポリプロピレン系(共)重合体が、ポリプロピレン系(共)重合体をメタクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した、50〜200g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するメタクリル酸変性ポリプロピレンを含む[1]又は[2]に記載の接着性樹脂組成物。
[4] 前記成分(A)の(メタ)アクリル酸変性率が、前記成分(A)の総質量に対して0.1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[5] 前記成分(A)及び前記成分(B)の質量割合が、20:70〜70:20である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[6] 0.01〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をさらに含有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[7] 前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の含有量が、これらの総量に対する質量割合で以下の関係;
前記成分(A) 20〜70質量%
前記成分(B) 20〜70質量%
前記成分(C) 1〜20質量%
を満たす[1]〜[6]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[8] 0.1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[7] 前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の含有量が、これらの総量に対する質量割合で以下の関係;
前記成分(A) 20〜70質量%
前記成分(B) 20〜70質量%
前記成分(C) 1〜20質量%
を満たす[1]〜[6]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[8] 0.1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有する[1]〜[7]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
[9] 金属部材と、前記金属部材の少なくとも一方の面に設けられた、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物を含有する接着性樹脂層と、を少なくとも備えることを特徴とする、複合接着体。
[10] 95℃100時間の熱水処理後の前記接着性樹脂層の前記金属部材に対する剥離力が、5〜150N/cm)である[9]に記載の複合接着体。
[10] 95℃100時間の熱水処理後の前記接着性樹脂層の前記金属部材に対する剥離力が、5〜150N/cm)である[9]に記載の複合接着体。
本発明によれば、長期に亘り十分な接着性を維持可能であり、高い耐久性を有する接着性樹脂組成物及び複合接着体等が実現される。また、本発明によれば、耐水性、防水性、耐熱水性、耐久性等が高められた、或いはさらに軽量化が図られた、各種部品の軽量化を目的商品価値の高い複合接着体等を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明の実施態様の例(代表例)であり、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。さらに、本明細書中において、(共)重合体は、1のみ重合成分からなる単独重合体、2以上の共重合成分からなる共重合体の双方を包含する意味で用いる。
[接着性樹脂組成物]
本実施形態の接着性樹脂組成物は、ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有する特定のプロピレン・エチレン共重合体(B)とを少なくとも含有する。
本実施形態の接着性樹脂組成物は、ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有する特定のプロピレン・エチレン共重合体(B)とを少なくとも含有する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸を包含する用語として用いる。さらに、「ポリプロピレン系(共)重合体」は、(共)重合成分としてプロピレン単位を50mol%以上、好ましくは60mol%以上含む(共)重合体を意味する。また、「(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン」は、ポリプロピレン系(共)重合体をアクリル酸或いはその誘導体又はメタアクリル酸或いはその誘導体でグラフト変性したものを意味する。ここで、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の結合位置は、特に限定されず、ポリプロピレン系(共)重合体の主鎖末端及び側鎖の少なくとも一方に導入されていればよい。
<成分(A)>
成分(A)のポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンは、本実施形態の接着性樹脂組成物において、金属表面等の被着面に対する接着性を向上させる接着性向上剤として機能する。
成分(A)のポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンは、本実施形態の接着性樹脂組成物において、金属表面等の被着面に対する接着性を向上させる接着性向上剤として機能する。
成分(A)の原料として用いるポリプロピレン系(共)重合体としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他の共重合成分との共重合体が挙げられる。他の共重合成分としては、エチレン、炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、これらに特に限定されない。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの他の共重合成分は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。すなわち、ポリプロピレン系(共)重合体は、単独重合体であっても、2元系又は3元系以上の共重合体であってもよい。
ポリプロピレン系(共)重合体の具体例としては、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、及び、これらに酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等をさらに共重合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリプロピレン系(共)重合体は、1種のみを単独で用いることができ、又は2種以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。
これらの中でも、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体が比較的に安価で容易に入手することができるため好ましく、熱水処理後の金属表面への接着性の低下抑制の観点から、プロピレン単独重合体がより好ましい。
成分(A)の原料として用いるポリプロピレン系(共)重合体の密度(JIS K6922−1,2:1997準拠)は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.96g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm3以下である。
また、成分(A)の原料として用いるポリプロピレン系(共)重合体のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)は、特に限定されないが、成形性の点から、0.01〜100g/10分が好ましく、より好ましくは0.1〜80/10分である。
上記の物性を満たすプロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等のプロピレン共重合体は、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、成分(A)の原料として用いるポリプロピレン系(共)重合体として、各種グレードの市販品を用いることができる。
本実施形態で用いる(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンは、上述したポリプロピレン系(共)重合体を、(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性したものである。(メタ)アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸或いはメタクリル酸のエステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられる。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
(メタ)アクリル酸又はその誘導体は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジルである。
上述したグラフト変性は、従来公知の種々の方法で行うことができる。変性方法としては、溶融させたポリプロピレン系(共)重合体に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶融変性法、溶媒に溶解させた上記共重合体に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶液変性法、個体のポリプロピレン系(共)重合体に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる固相重合法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。溶融変性法としては、ポリプロピレン系(共)重合体と(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを、押出機などを使用して当該(共)重合体の融点以上(例えば170〜290℃)で溶融し、通常0.5〜10分間反応させる方法が挙げられる。また、溶液変性法としては、有機溶剤中に、ポリプロピレン系(共)重合体と(メタ)アクリル酸又はその誘導体と必要に応じてラジカル開始剤等を投入し、当該共重合体の融点以上(例えば170〜290℃)の温度で、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法が好ましい。また、固相重合法としては、固体のポリプロピレン系(共)重合体と(メタ)アクリル酸又はその誘導体と必要に応じてラジカル開始剤等を投入し、当該共重合体の融点未満(例えば20〜150℃)の温度で、通常1〜24時間、好ましくは1〜10時間反応させる方法が好ましい。これらの中でも、衛生性の観点から、溶媒を使用しなくてもよい溶融変性法や固相重合法が好ましい。なお、効率よくグラフト変性するためには、ラジカル開始剤の存在下に変性することが好ましい。
ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物又はアゾ化合物が好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類;ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ラジカル開始剤は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、半減期が1分となる分解温度が100℃以上であるラジカル開始剤がグラフト変性効率の観点から好ましい。具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、又は、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類が好ましい。ラジカル開始剤の使用量は、特に限定されないが、原料となるポリプロピレン系(共)重合体100質量部に対して、0.001質量部以上1質量部以下の割合が好ましい。
(メタ)アクリル酸変性プロピレン中の(メタ)アクリル酸又はその誘導体の含有割合(以下、「(メタ)アクリル酸変性率」と称する場合がある。)は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンの総量に対して、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは0.7質量%以上であり、一方、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。原料として使用するポリプロピレン系(共)重合体によっても変動するが、(メタ)アクリル酸変性率が前記好ましい含有割合の範囲を外れる場合には、接着性及び耐水処理後の接着性が劣る傾向にあり、或いは溶融粘度が増大又は低下して成形した際の外観不良が生じ易くなる傾向にある。
ここで、グラフト率の測定は、例えば以下の方法で行うことができる。すなわち、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンをオルトジクロルベンゼンやパラジクロルベンゼン等の溶媒に溶解し、13C−核磁気共鳴(NMR)を測定することにより、ポリプロピレン骨格に含まれる炭素原子と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体骨格に含まれる炭素原子とを区別、定量し、それらの面積比から、グラフト率を測定することができる。なお、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンのグラフト変性においては、未反応の(メタ)アクリル酸又はその誘導も残留し得るが、本明細書におけるグラフト率とは、上記の通り、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンを13C−NMRで測定した際の値を意味するものとする。
(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンの密度は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.96g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm3以下である。また、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、0.01〜3000g/10分が好ましく、より好ましくは0.1〜2500g/10分である。ここで、(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレンのMFRは、JIS K7210:1999に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値を意味する。
上述した成分(A)としては、ポリプロピレン系(共)重合体をアクリル酸又はその誘導体でグラフト変性したMFRが0.1〜10g/10分(JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)のアクリル酸変性ポリプロピレン、ポリプロピレン系(共)重合体をメタクリル酸又はその誘導体でグラフト変性したMFRが50〜200g/10分(JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)のメタクリル酸変性ポリプロピレンが特に好ましく、ポリプロピレン単独重合体をアクリル酸でグラフト変性したMFRが1.0〜8.0g/10分(JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)のアクリル酸変性ホモポリプロピレン、ポリプロピレン単独重合体をメタクリル酸エステルでグラフト変性したMFRが70〜150g/10分(JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)のメタクリル酸変性ホモポリプロピレンが最も好ましい。
なお、上述した(メタ)アクリル酸変性プロピレンには、単独使用した場合には、金属表面に対して難接着なものが含まれている。しかしながら、成分(A)が単独使用で金属表面に対して難接着なものであっても、本実施形態の接着性樹脂組成物においては、成分(A)と成分(B)の併用により、金属表面に対する優れた接着性能が発揮される。また、例えば無水マレイン酸変性プロピレンとポリプロピレン系樹脂とを混合した接着性樹脂組成物においては、熱水処理により金属表面への接着性が著しく劣化する傾向にある。これに対し、成分(A)と成分(B)を併用した本実施形態の接着性樹脂組成物においては、熱水処理後においても、金属表面に対して比較的に良好な接着性能が維持される。
<成分(B)>
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体は、本実施形態の接着性樹脂組成物においてベース樹脂となるものである。かかる成分(B)は、上述したとおり、成分(A)の金属表面に対する接着性能を顕在化させる顕接着性剤、或いは成分(A)の接着性能を増強させる又は接着性増強剤として機能し、さらに熱水処理に対しては、接着性樹脂組成物(接着性樹脂層)と金属表面との界面や接着性樹脂組成物(接着性樹脂層)内部への水の浸入を阻害するマトリックス樹脂或いはバルク材料として機能していると考えられる。
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体は、本実施形態の接着性樹脂組成物においてベース樹脂となるものである。かかる成分(B)は、上述したとおり、成分(A)の金属表面に対する接着性能を顕在化させる顕接着性剤、或いは成分(A)の接着性能を増強させる又は接着性増強剤として機能し、さらに熱水処理に対しては、接着性樹脂組成物(接着性樹脂層)と金属表面との界面や接着性樹脂組成物(接着性樹脂層)内部への水の浸入を阻害するマトリックス樹脂或いはバルク材料として機能していると考えられる。
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体である。ここで、プロピレン・エチレン共重合体は、(共)重合成分としてプロピレン単位を50mol%以上、好ましくは60mol%以上含む共重合体を意味する。
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体は、第3の共重合成分を含んでいてもよい。第3の共重合成分としては、炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、これらに特に限定されない。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これら第3の共重合成分は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。すなわち、プロピレン・エチレン共重合体は、3元系又は4元系以上の共重合体であってもよい。
プロピレン・エチレン共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、及び、これらに酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等をさらに共重合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。プロピレン・エチレン共重合体は、1種のみを単独で用いることができ、又は2類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。
これらの中でも、上述した成分(A)との併用効果の観点から、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。また、成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体は、上述した成分(A)とは異なり、アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性されていない未変性のものが好ましく、未変性のプロピレン・エチレンランダム共重合体、未変性のプロピレン・エチレンブロック共重合体がより好ましい。
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体としては、1〜20g/10分、好ましくは2〜15g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するものが用いられる。併用する成分(A)の種類や配合割合等によっても異なるが、一般的には、MFRが小さいと、本実施形態の接着性樹脂組成物の機械強度が高くなるものの、流動性が低くなり、金属表面への接着性や成型加工性が低下する傾向にある。また、MFRが大きいと、流動性が高くなり金属表面への接着性や成型加工性が向上する傾向にあるものの、熱水処理後の金属表面への接着性や耐久性が低下する傾向にある。成分(B)のMFRは、これらを考慮した上で、要求性能に応じて、上記数値範囲内で適宜調整すればよい。
成分(B)のプロピレン・エチレン共重合体の密度(JIS K6922−1,2:1997準拠)は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.96g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm3以下である。
上記の物性を満たすプロピレン・エチレン共重合体は、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、成分(B)として、各種グレードの市販品を用いることができる。
<その他の成分>
本実施形態の接着性樹脂組成物は、上述した成分(A)及び(B)以外のポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。かかるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1等の炭素数2の又は炭素数4以上のα−オレフィンの単独重合体;これら2種類以上のモノマーのランダム共重合体又はブロック共重合体;炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とし、他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体;エチレン・α−オレフィン共重合体;上述した成分(A)及び(B)以外のプロピレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン・アクリル酸エチル共重合体;エチレン・アクリル酸共重合体;アイオノマー樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本実施形態の接着性樹脂組成物は、上述した成分(A)及び(B)以外のポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。かかるポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1等の炭素数2の又は炭素数4以上のα−オレフィンの単独重合体;これら2種類以上のモノマーのランダム共重合体又はブロック共重合体;炭素数4以上のα−オレフィンを主成分とし、他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体;エチレン・α−オレフィン共重合体;上述した成分(A)及び(B)以外のプロピレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン・アクリル酸エチル共重合体;エチレン・アクリル酸共重合体;アイオノマー樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
(成分C)
本実施形態の接着性樹脂組成物は、上述した成分(A)及び(B)以外のポリオレフィン系樹脂として、非晶性或いは低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有することが好ましい。かかる非晶性或いは低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有させることで、本実施形態の接着性樹脂組成物を、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーとして機能させることができる。具体的には、0.01〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)が好ましく用いられる。かかる成分(C)の含有により、比較的に高流動性を保ちながらエラストマー性能を発現させることができ、接着性樹脂組成物の金属表面への接着性及び熱水処理後の接着性の低下を抑制する効果が向上される傾向にある。また、成分(C)の含有により、耐衝撃性、対傷付性、耐熱性等が高められる傾向にある。
本実施形態の接着性樹脂組成物は、上述した成分(A)及び(B)以外のポリオレフィン系樹脂として、非晶性或いは低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有することが好ましい。かかる非晶性或いは低結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有させることで、本実施形態の接着性樹脂組成物を、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーとして機能させることができる。具体的には、0.01〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)が好ましく用いられる。かかる成分(C)の含有により、比較的に高流動性を保ちながらエラストマー性能を発現させることができ、接着性樹脂組成物の金属表面への接着性及び熱水処理後の接着性の低下を抑制する効果が向上される傾向にある。また、成分(C)の含有により、耐衝撃性、対傷付性、耐熱性等が高められる傾向にある。
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられるが、これらに特に限定されない。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの他の共重合成分は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。すなわち、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、2元系又は3元系以上の共重合体であってもよい。
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン含有量が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜99モル%のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、その具体例としては、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテンランダム共重合体、エチレン・ヘキセンランダム共重合体、エチレン・オクテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・ブテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・オクテンランダム共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、エチレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、エチレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、及び、これらに酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等をさらに共重合させたもの等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体が比較的に安価で容易に入手することができるため好ましく、より好ましくは非晶性或いは低結晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、非晶性或いは低結晶性のエチレン・プロピレンブロック共重合体がより好ましい。成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、1種のみを単独で用いることができ、又は2種以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体の密度(JIS K6922−1,2:1997準拠)は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.96g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm3以下である。また、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFR(JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)は、0.02〜8g/10分が好ましく、より好ましくは0.02〜6/10分である。
上記の物性を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体は、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、成分(C)の原料として用いるエチレン・α−オレフィン共重合体として、各種グレードの市販品を用いることができる。
(各種添加剤等)
なお、本実施形態の接着性樹脂組成物は、本発明の効果を著しく妨げない範囲において、上述した成分(A)、(B)及び(C)やラジカル開始剤の他に、当業界で公知の各種添加剤やその他の樹脂成分等を含有していてもよい。これらの各種添加剤や他の樹脂成分は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本実施形態の接着性樹脂組成物は、本発明の効果を著しく妨げない範囲において、上述した成分(A)、(B)及び(C)やラジカル開始剤の他に、当業界で公知の各種添加剤やその他の樹脂成分等を含有していてもよい。これらの各種添加剤や他の樹脂成分は、1種のみを単独で用いることができ、また、2種以上を任意の比率で適宜組み合わせて用いることができる。
添加剤としては、具体的には、プロセス油、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等)、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料等)等が挙げられる。これら添加剤を用いる場合のその含有量は限定されないが、接着性樹脂層の総量に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下であることが望ましい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
他の樹脂成分としては、具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
<配合割合>
本実施形態の接着性樹脂組成物において、上述した成分(A)と成分(B)の質量割合は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、20:70〜70:20が好ましく、より好ましくは25:65〜65:25、さらに好ましくは30:60〜60:30である。
本実施形態の接着性樹脂組成物において、上述した成分(A)と成分(B)の質量割合は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、20:70〜70:20が好ましく、より好ましくは25:65〜65:25、さらに好ましくは30:60〜60:30である。
また、本実施形態の接着性樹脂組成物が上述した成分(C)をさらに含む場合、上述した成分(A)、成分(B)及び成分(C)の質量割合は、要求性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、これらの総量に対する質量割合で、以下の関係を満たすことが好ましい。
成分(A):好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%
成分(B):好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%
成分(C):好ましくは 1〜20質量%、より好ましくは 3〜15質量%
成分(A):好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%
成分(B):好ましくは20〜70質量%、より好ましくは25〜65質量%
成分(C):好ましくは 1〜20質量%、より好ましくは 3〜15質量%
なお、接着性樹脂組成物の調製は、従来公知の方法で行うことができる。例えば上述した成分(A)と成分(B)と必要に応じて配合される成分(C)やラジカル開始剤や上記添加剤等とを、混合、混練又は溶融混練等してすればよい。このとき、必要に応じて若干量の溶媒を添加してもよい。混合、混練又は溶融混練の際には、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、ロール、バンバリーミキサー等を用いて行うことができる。そして、接着性樹脂組成物は、上述した各成分の混合物、混練物或いは溶融混練物として、そのまま用いることができる。このとき、必要に応じて造粒したり、樹脂塊を粉砕する等して、マスターバッチとして用いることもできる。
かかる接着性樹脂組成物のMFR(JIS K7210準拠、190℃、荷重2.16kg)。は、ハンドリング性や成形加工性等の観点から、特に限定されないが、0.1〜20g/10分が好ましく、より好ましくは0.2〜17g/10分、さらに好ましくは0.3〜14g/10分である。また、ハンドリング性や成形加工性等の観点から、本実施形態の接着性樹脂組成物の密度(JIS K6922−1,2:1997準拠)は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.96g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.95g/cm3以下である。
[接着性樹脂層]
本実施形態の接着性樹脂層は、上述した成分(A)と成分(B)と必要に応じて配合される成分(C)やラジカル開始剤や上記添加剤等とを含有する接着性樹脂組成物を、シート状或いはフィルム状に加工することにより得ることができる。かかる接着性樹脂層は、金属部材の表面に対して良好な接着性を有する接着層として機能し、とりわけ熱水処理による金属表面への接着性の低下が抑制された高性能な接着層として機能する。なお、本実施形態の接着性樹脂層は、無延伸の樹脂層でもよいが、延伸された樹脂層であってもよい。このとき、延伸方向は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、また逐次延伸であっても、同時延伸であってもよい。
本実施形態の接着性樹脂層は、上述した成分(A)と成分(B)と必要に応じて配合される成分(C)やラジカル開始剤や上記添加剤等とを含有する接着性樹脂組成物を、シート状或いはフィルム状に加工することにより得ることができる。かかる接着性樹脂層は、金属部材の表面に対して良好な接着性を有する接着層として機能し、とりわけ熱水処理による金属表面への接着性の低下が抑制された高性能な接着層として機能する。なお、本実施形態の接着性樹脂層は、無延伸の樹脂層でもよいが、延伸された樹脂層であってもよい。このとき、延伸方向は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、また逐次延伸であっても、同時延伸であってもよい。
[複合接着体]
次に、本実施形態の複合接着体について説明する。
本実施形態の複合接着体は、金属部材と、この金属部材の少なくとも一方の面に設けられた接着性樹脂層とを少なくとも備えるものであり、かかる接着性樹脂層が上述した接着性樹脂組成物を含有するものである。なお、本明細書において、「複合接着体」との用語は、上記の層構成を有する接着体を意味し、複合積層シートや複合積層フィルムや複合積層体等を包含する概念として用いている。
次に、本実施形態の複合接着体について説明する。
本実施形態の複合接着体は、金属部材と、この金属部材の少なくとも一方の面に設けられた接着性樹脂層とを少なくとも備えるものであり、かかる接着性樹脂層が上述した接着性樹脂組成物を含有するものである。なお、本明細書において、「複合接着体」との用語は、上記の層構成を有する接着体を意味し、複合積層シートや複合積層フィルムや複合積層体等を包含する概念として用いている。
また、本明細書において、「金属部材」や「金属表面」との用語中の「金属」は、狭義の金属単体(金属元素)のみならず、異なる金属元素からなる合金や金属元素と非金属元素からなる合金等の、金属様性質を示す合金類を含む概念として用いており、金属、合金、金属間化合物、固溶体、共晶等を包含する。具体的には、かかる「金属」には、例えば金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、鉄合金、鋼、ステンレス、銅合金、アルミニウム合金、ニッケル合金、チタン合金等の金属や各種合金等が含まれる。そして、「金属部材」や「金属表面」との用語は、上記の「金属(金属単体、合金等)」からなる部材や「金属(金属単体、合金等)」の表面を意味する。
上記の複合接着体の製造方法は、常法にしたがって行えばよく、特に限定されない。例えば、金属部材の表面に接着性樹脂組成物を各種塗布法により塗布し乾燥して接着性樹脂層を設ける方法、金属部材の表面に別途作製した接着性樹脂層を必要に応じて熱を印加してラミネートする方法、金属部材の表面に別途作製した接着性樹脂層を積層し必要に応じて圧着或いは熱圧着する方法又は圧縮成形する方法、成形金型内に金属部材を予め配置してインサート成形或いはオーバーモールディングする方法、金属部材の表面に接着性樹脂組成物を押出成形する方法等が適用できる。
本実施形態の複合接着体は、必要に応じて金属部材及び接着性樹脂層以外の層(以降において、単に「他の層」と称する場合がある。)を有していてもよく、この場合は3層以上の積層構造体となる。各種用途及び要求性能に応じて、例えば耐熱層、消音層、制振動層、電気絶縁層、表面保護層、ガスバリア層の各種機能層を接着性樹脂層上(すなわち金属部材が設けられている面とは反対側の面)に設けることができる。
上記の各種機能層は、各種用途において公知の素材を用いて構成すればよく、その構成素材は特に限定されない。各機能層において熱可塑性樹脂を用いる場合には、前述した接着性樹脂組成物との接着性に優れる樹脂が好ましく、例えば、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニリデン樹脂などが挙げられ、その中でも、オレフィン系樹脂がより好ましい。例えばエチレン又はプロピレンの単独重合体の他、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン;アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物等を共重合成分としたオレフィン系共重合体等が挙げられる。また、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等も好適に用いることができる。
接着性樹脂層の厚さは、要求性能、例えば層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等に応じて任意に設定することができ、特に限定されない。一例を挙げると例えば5mm以下の積層体(シートやフイルム)用途の場合は、接着性樹脂層の厚さは0.0005〜0.1mmが目安とされる。また、多層成形体の場合、接着性樹脂層の厚さは0.005〜1mmが目安とされる。
接着性樹脂層の金属部材に対する剥離力は、要求性能に応じて適宜設定でき、また使用する金属部材によっても異なり、特に限定されないが、通常1.0〜150N/cm程度が目安とされる。比較的に強い接着性が要求される場合には、例えば、10.0N/cm以上が好ましく、より好ましくは20.0N/cm以上である。また、易剥離性のある接着性が要求される場合には、1.0N/cm以上が好ましく、より好ましくは3.0N/cm以上である。なお、接着性樹脂層の金属部材に対する剥離力は、後述する実施例に記載の条件下で測定される値とする。
また、上記の剥離力は、一般的には熱水処理後に低下する傾向にあり、例えば成分(A)として無水マレイン酸で変性した変性ポリオレフィンを用いた場合には0〜1N/cm程度になる。しかしながら、上述した配合組成を有する本実施形態の接着性樹脂組成物や接着性樹脂層においては、熱水処理による金属表面への接着性の低下が大幅に抑制され、熱水処理後でも十分な接着性を維持可能である。本実施形態において、熱水処理後における金属部材に対する接着性樹脂組成物や接着性樹脂層の剥離力は、要求性能に応じて適宜設定でき、また使用する金属部材によっても異なり、特に限定されないが、5N/cm以上であることが好ましく、より好ましくは10N/cm以上であり、さらに好ましくは15N/cm以上である。なお、かかる熱水処理後の剥離力の上限は、特に限定されないが、熱水処理前と同等すなわち150N/cm程度が目安とされる。
なお、本明細書において、熱水処理とは、95℃に保った熱水中に上記の複合接着体を100時間浸漬する処理を意味する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
ここで使用した各種素材は以下のとおりである。
(A1)アクリル酸グラフト変性ホモポリプロピレン(BYK Kometra社製、商品名:TPPP 2110 FA、アクリル酸変性率:2.0質量%、MFR:3.6g/10分(230℃、荷重2.16kg))
(A2)メタクリル酸グリシジルグラフト変性ホモポリプロピレン(BYK Kometra社製、商品名:TPPP 8104 FA、メタクリル酸変性率:2.3質量%、MFR:107g/10分(230℃、荷重2.16kg))
(AX1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン系共重合体(三菱化学社製、商品名:モディック P948、無水マレイン酸変性率:0.7質量%、MFR:120g/10分(180℃、荷重2.16kg))
(B)プロピレン・エチレンブロック共重合体(サンアロマー社製、商品名:Adflex V109F、MFR:12g/10分(230℃、荷重2.16kg)、密度:0.890g/cm3 )
(C)エチレン・プロピレンブロック共重合体(三井化学社製、商品名:タフマーP0775、MFR:0.5g/10分(190℃、荷重2.16kg)、密度:0.867g/cm3 )
(A1)アクリル酸グラフト変性ホモポリプロピレン(BYK Kometra社製、商品名:TPPP 2110 FA、アクリル酸変性率:2.0質量%、MFR:3.6g/10分(230℃、荷重2.16kg))
(A2)メタクリル酸グリシジルグラフト変性ホモポリプロピレン(BYK Kometra社製、商品名:TPPP 8104 FA、メタクリル酸変性率:2.3質量%、MFR:107g/10分(230℃、荷重2.16kg))
(AX1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン系共重合体(三菱化学社製、商品名:モディック P948、無水マレイン酸変性率:0.7質量%、MFR:120g/10分(180℃、荷重2.16kg))
(B)プロピレン・エチレンブロック共重合体(サンアロマー社製、商品名:Adflex V109F、MFR:12g/10分(230℃、荷重2.16kg)、密度:0.890g/cm3 )
(C)エチレン・プロピレンブロック共重合体(三井化学社製、商品名:タフマーP0775、MFR:0.5g/10分(190℃、荷重2.16kg)、密度:0.867g/cm3 )
(実施例1〜2及び比較例1)
2軸混練押出機を用いて、設定温度190〜200℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、表1に示す配合処方で各成分を混練し、実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂組成物をそれぞれ得た。熱風乾燥器を用いて、得られた各接着性樹脂組成物を70℃4時間乾燥し、その後、アルミ防湿袋に封入した保管した。
次いで、実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂組成物をそれぞれ用いて、接着性樹脂層となる実施例1〜2及び比較例1の原反プレス成形品をそれぞれ作製した。ここではプレス成形機を用いて、大気雰囲気下、成形温度200℃及びプレス圧力100kg/cm2 で2分間の熱プレス成形を行い、その後に冷却することで、サイズ200mm×100mm×2mmtの実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂層をそれぞれ作製した。
次に、表面脱脂処理したSUS304板(JIS G4305、鏡面仕上げ、サイズ150×70×1mmt)と実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂層とを、2.5mmtのスペーサを用いて重ね合わせ、プレス成形機を用いて、大気雰囲気下、成形温度200℃及びプレス圧力20kg/cm2 で2分間の熱プレス接着を行い、その後に冷却することで、SUS304板上に接着性樹脂層が積層された2層構造を有する実施例1〜2及び比較例1の複合接着体をそれぞれ作製した。
2軸混練押出機を用いて、設定温度190〜200℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、表1に示す配合処方で各成分を混練し、実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂組成物をそれぞれ得た。熱風乾燥器を用いて、得られた各接着性樹脂組成物を70℃4時間乾燥し、その後、アルミ防湿袋に封入した保管した。
次いで、実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂組成物をそれぞれ用いて、接着性樹脂層となる実施例1〜2及び比較例1の原反プレス成形品をそれぞれ作製した。ここではプレス成形機を用いて、大気雰囲気下、成形温度200℃及びプレス圧力100kg/cm2 で2分間の熱プレス成形を行い、その後に冷却することで、サイズ200mm×100mm×2mmtの実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂層をそれぞれ作製した。
次に、表面脱脂処理したSUS304板(JIS G4305、鏡面仕上げ、サイズ150×70×1mmt)と実施例1〜2及び比較例1の接着性樹脂層とを、2.5mmtのスペーサを用いて重ね合わせ、プレス成形機を用いて、大気雰囲気下、成形温度200℃及びプレス圧力20kg/cm2 で2分間の熱プレス接着を行い、その後に冷却することで、SUS304板上に接着性樹脂層が積層された2層構造を有する実施例1〜2及び比較例1の複合接着体をそれぞれ作製した。
(参考例1〜2)
実施例1の接着性樹脂組成物に代えて、変性ホモポリプロピレン(A1)及び変性ホモポリプロピレン(A2)をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に行い、参考例1〜2の原反プレス成形品及び接着性樹脂層をそれぞれ作製した。
得られた参考例1〜2の接着性樹脂層を用いる以外は、実施例1と同様に行い、参考例1〜2の複合接着体をそれぞれ作製した。
実施例1の接着性樹脂組成物に代えて、変性ホモポリプロピレン(A1)及び変性ホモポリプロピレン(A2)をそれぞれ用いる以外は、実施例1と同様に行い、参考例1〜2の原反プレス成形品及び接着性樹脂層をそれぞれ作製した。
得られた参考例1〜2の接着性樹脂層を用いる以外は、実施例1と同様に行い、参考例1〜2の複合接着体をそれぞれ作製した。
<剥離強度>
上記のようにして得られた各複合接着体について、室温23℃雰囲気下で、SUS304板に対する接着性樹脂層の層間剥離強度(N/cm)をそれぞれ測定した。この測定では、各積層フィルムを幅10mm及び長さ150mmにカットし、得られた試験片に対して、テンシロン引張試験機(エーアンドディー社製)を用いて、剥離速度10mm/分の条件下で90°剥離試験をそれぞれ行った。
上記のようにして得られた各複合接着体について、室温23℃雰囲気下で、SUS304板に対する接着性樹脂層の層間剥離強度(N/cm)をそれぞれ測定した。この測定では、各積層フィルムを幅10mm及び長さ150mmにカットし、得られた試験片に対して、テンシロン引張試験機(エーアンドディー社製)を用いて、剥離速度10mm/分の条件下で90°剥離試験をそれぞれ行った。
<熱水処理後の剥離強度>
上記のようにして得られた各複合接着体を、95℃に保った熱水中に100時間浸漬させ、その後に大気中で乾燥することで、熱水処理後の複合接着体をそれぞれ得た。得られた熱水処理後の複合接着体について、上記と同様にして、層間剥離強度(N/cm)をそれぞれ測定した。
上記のようにして得られた各複合接着体を、95℃に保った熱水中に100時間浸漬させ、その後に大気中で乾燥することで、熱水処理後の複合接着体をそれぞれ得た。得られた熱水処理後の複合接着体について、上記と同様にして、層間剥離強度(N/cm)をそれぞれ測定した。
以上詳述したとおり、本発明の接着性樹脂組成物及び複合接着体等は、長期に亘り十分な接着性を維持可能であり、高い耐久性を有する。また、本発明の接着性樹脂組成物及び複合接着体等は、熱水処理による金属表面への接着性の低下が抑制されたものであり、熱水処理後でも金属表面への十分な接着性を維持可能である。そのため、本発明の接着性樹脂組成物及び複合接着体等は、高い接着性、防水性、耐水性、耐熱水性等が要求される各種用途において、広く且つ有効に利用可能であり、例えば建築部材、内外装建材、電動工具、医療機器、自転車や自動車や電気自動車や鉄道車両や農業車両等の車両部品、船舶部品、燃料電池セパレータ等の電池部品、パソコンやカメラや携帯電話やスマートフォン等の情報機器端末、家電製品、プリント配線板等の電子部品、各種包装材料、暖房機器、雑貨等において、殊に有効に利用可能である。
Claims (10)
- ポリプロピレン系(共)重合体を(メタ)アクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した(メタ)アクリル酸変性ポリプロピレン(A)と、
1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するプロピレン・エチレン共重合体(B)と、
を少なくとも含有することを特徴とする、接着性樹脂組成物。 - 前記ポリプロピレン系(共)重合体が、ポリプロピレン系(共)重合体をアクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した、0.1〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するアクリル酸変性ポリプロピレンを含む
請求項1に記載の接着性樹脂組成物。 - 前記ポリプロピレン系(共)重合体が、ポリプロピレン系(共)重合体をメタクリル酸又はその誘導体でグラフト変性した、50〜200g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、230℃、荷重2.16kg)を有するメタクリル酸変性ポリプロピレンを含む
請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。 - 前記成分(A)の(メタ)アクリル酸変性率が、前記成分(A)の総質量に対して0.1〜10質量%である
請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。 - 前記成分(A)及び前記成分(B)の質量割合が、20:70〜70:20である
請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。 - 0.01〜10g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をさらに含有する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。 - 前記成分(A)、前記成分(B)及び前記成分(C)の含有量が、これらの総量に対する質量割合で以下の関係;
前記成分(A) 20〜70質量%
前記成分(B) 20〜70質量%
前記成分(C) 1〜20質量%
を満たす
請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。 - 0.1〜20g/10分のメルトフローレート(MFR、JIS K7210:1999に準拠、190℃、荷重2.16kg)を有する
請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。 - 金属部材と、前記金属部材の少なくとも一方の面に設けられた、請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物を含有する接着性樹脂層と、
を少なくとも備えることを特徴とする、複合接着体。 - 95℃100時間の熱水処理後の前記接着性樹脂層の前記金属部材に対する剥離力が、5〜150N/cm)である
請求項9に記載の複合接着体。
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JP2017033588A JP2018138639A (ja) | 2017-02-24 | 2017-02-24 | 接着性樹脂組成物、及びこれを用いた複合接着体 |
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-
2017
- 2017-02-24 JP JP2017033588A patent/JP2018138639A/ja active Pending
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