JP6648485B2 - 接着性樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂組成物及び当該接着性樹脂組成物からなる接着層を含む積層体、並びに当該積層体を成形してなる成形体に関する。本発明の積層体は、食品包装材に好適である。
プロピレン系樹脂等の熱可塑性樹脂層と、エチレン・ビニルアルコール共重合体等に代表される極性基を有する樹脂層とを積層、接着してなる積層体は、ガスバリア性、保香性、耐油性、透明性、成形加工性等の特性に優れ、食品用包装材として用いられている。
このような積層体の製造に当たり、熱可塑性樹脂層と極性基を有する樹脂層との接着には、通常、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂が用いられている。
特許文献1には、変性ポリプロピレン樹脂の製造方法として、ポリプロピレン鎖の著しい切断を伴うことなく、分子量の低下を抑えて高いグラフト量でポリプロピレン樹脂に極性基を導入する方法が提案されている。また、特許文献2には、エチレン−プロピレン系共重合エラストマーに不飽和カルボン酸又はその誘導体を溶融混練によりグラフト重合された変性エチレン−プロピレン系共重合エラストマーを含む接着性樹脂組成物が開示されている。
特開2009−179665号公報 特開2014−208784号公報
熱可塑性樹脂層と極性基を有する樹脂層との積層体を食品包装材に適用する場合、通常、用途に応じて、固相圧空成形(「SPPF成形」と称することがある)や真空成形等により、カップ、トレー等の製品形状に成形される。このため、熱可塑性樹脂層と極性基を有する樹脂層との接着に用いる樹脂には、SPPF成形や真空成形等の延伸工程を伴う成形を行っても高い層間接着性を維持できることが要求される。
しかし、特許文献1に記載されているように、グラフト量の多い変性ポリプロピレン樹脂を用いただけでは、延伸時の変形に追随できず、例えば、SPPF成形や真空成形等で容器等を成形した場合、層間接着性が大きく低下し、接着層と極性基を有する樹脂層とが剥離して、外観を損なうなど、必ずしも十分に満足できる接着性能を示す容器が得られないという問題があることがわかった。また、特許文献2に記載されている接着性樹脂組成物では、底の深い容器等を成形した場合、接着層と極性基を有する樹脂等からなる層との層間接着力が十分に満足できないことがわかった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その課題は、SPPF成形、真空成形等により底の深い容器等に2次加工した後であっても良好な層間接着性を維持することができる接着性樹脂組成物と、この接着性樹脂組成物を用いた層間接着性に優れる積層体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、接着層に用いる樹脂を特定のものとすることにより、上記課題を解決し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 下記の成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、これらの各成分の合計量に対し、成分(A)の含有量が1〜30重量%、成分(B)の含有量が40〜90重量%、成分(C)の含有量が1〜30重量%である接着性樹脂組成物。
成分(A):プロピレンに基づく単量体単位と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位とを、重量比80:20〜95:5で含有するプロピレン系共重合体を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):プロピレンに基づく単量体単位と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位とを、重量比80:20〜97:3で含有するプロピレン系共重合体
成分(C):エチレンに基づく単量体単位と、α−オレフィンに基づく単量体単位とを、重量比60:40〜90:10で含有するエチレン・α−オレフィン共重合体
[2] 更に、下記成分(D)を含有し、かつその含有量が成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量に対し、1〜30重量%である、[1]に記載の接着性樹脂組成物。
成分(D):ポリエチレン系樹脂
[3] 更に、下記成分(E)を含有し、かつその含有量が成分(A)、(B)及び(C)の合計或いは成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部である、[1]又は[2]に記載の接着性樹脂組成物。
成分(E):ハイドロタルサイト系化合物
[4] 成分(A)のプロピレン系共重合体がプロピレン・エチレン共重合体であり、かつそのエチレンに基づく単量体単位の含有量が5〜20重量%である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[5] 成分(A)の曲げ弾性率が1〜100MPaである、[1]乃至[4]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[6] 成分(B)の曲げ弾性率が1〜700MPaである、[1]乃至[5]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[7] 成分(C)においてα−オレフィンの炭素数が3〜8である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[8] 成分(D)が直鎖状低密度ポリエチレンである、[1]乃至[7]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[9] 接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有量が0.01〜5重量%である[1]乃至[8]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[10] [1]乃至[9]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物からなる層を含むポリプロピレン系樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層とを有する積層体。
[11] その他の熱可塑性樹脂がエチレン・ビニルアルコール共重合体及び/又はポリアミド系樹脂である、[10]に記載の積層体。
[12] [10]又は[11]に記載の積層体を成形してなる成形体。
[13] 固相圧空成形してなる、[12]に記載の成形体。
[14] [12]又は[13]に記載の成形体からなる食品用包装材。
本発明の接着性樹脂組成物は、SPPF成形、真空成形等による2次加工後も良好な層間接着性を維持するものであるため、本発明の接着性樹脂組成物を用いて、層間接着強度に優れる多層シート等の積層体、並びにこの積層体をSPPF成形等によりカップ形状等に成形してなる食品用包装材を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、樹脂のメルトフローレート(MFR)、密度、曲げ弾性率等は、以下のようにして測定された値である。
<MFR>
成分(A)の変性ポリプロピレンのMFRは、JIS−K7210に準拠し、180℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
成分(B)のプロピレン系共重合体(プロピレン系樹脂)、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体、積層体のポリプロピレン系樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS−K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
成分(D)のポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS−K7210に従い、温度190℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
<密度>
JIS−K7112に従い、水中置換法で測定される。
<曲げ弾性率>
JIS−K7171に従い、測定される。
<グラフト率(変性量)>
成分(A)の変性ポリプロピレンのグラフト率(変性量)は、赤外分光測定装置で測定した際の、プロピレン系共重合体にグラフトした不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(以下、「不飽和カルボン酸成分」と称す場合がある。)の含有率を意味する。例えば、変性ポリプロピレンを厚さ100μm程度のシート状にプレス成形したサンプル中の不飽和カルボン酸成分特有の吸収、具体的には1,900〜1,600cm−1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。
<不飽和カルボン酸成分の含有量>
接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸成分の含有量は、接着性樹脂組成物について上記と同様にして測定した値であり、変性ポリプロピレンにグラフトされて接着性樹脂組成物中に含有される不飽和カルボン酸成分と、変性ポリプロピレンにグラフトされず、未反応不飽和カルボン酸成分として変性ポリプロピレンに含有されて接着性樹脂組成物に含まれる不飽和カルボン酸成分との合計をさす。
以下において、共重合体(共重合樹脂)に含まれる単量体単位を単に「単位」と称し、その含有量を単に「含量」と称す場合がある。例えば、プロピレンに基づく単量体単位を「プロピレン単位」と称し、その含有量を「プロピレン含量」と称す場合がある。また、エチレンに基づく単量体単位、α−オレフィンに基づく単量体単位をそれぞれ「エチレン単位」、「α−オレフィン単位」と称し、その含有量をそれぞれ「エチレン含量」、「α−オレフィン含量」と称す場合がある。
[接着性樹脂組成物]
本発明の接着性樹脂組成物は、下記の成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、これらの各成分の合計量に対し、成分(A)の含有量が1〜30重量%、成分(B)の含有量が40〜90重量%、成分(C)の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする。
成分(A):プロピレンに基づく単量体単位(プロピレン単位)と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位(エチレン/α−オレフィン単位)とを、重量比80:20〜95:5で含有するプロピレン系共重合体を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(不飽和カルボン酸成分)で変性した変性ポリプロピレン
成分(B):プロピレンに基づく単量体単位(プロピレン単位)と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位(エチレン/α−オレフィン単位)とを、重量比80:20〜97:3で含有するプロピレン系共重合体
成分(C):エチレンに基づく単量体単位(エチレン単位)と、α−オレフィンに基づく単量体単位(α−オレフィン単位)とを、重量比60:40〜90:10で含有するエチレン・α−オレフィン共重合体
<成分(A)>
成分(A)の変性ポリプロピレンは、プロピレン単位と、エチレン単位及びプロピレン以外のα−オレフィン単位のうち少なくとも一方とを含有するプロピレン系共重合体を不飽和カルボン酸成分で変性したものであり、不飽和カルボン酸成分で変性されるプロピレン系共重合体には、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・プロピレン以外のα−オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・プロピレン以外のα−オレフィン共重合体が含まれる。ここで、プロピレン以外のα−オレフィンは限定されないが、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数4〜10程度のα−オレフィンの1種又は2種以上が挙げられる。
なお、プロピレン系共重合体は、プロピレン単位、エチレン/α−オレフィン単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよく、プロピレン系共重合体が含有し得るその他の単量体単位としては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、スチレン誘導体等のビニルモノマーに基づく単量体単位が挙げられる(ここで「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は双方を示す。)。
変性ポリプロピレンに用いられるプロピレン系共重合体は、プロピレン単位とエチレン/α−オレフィン単位とを、重量比で、プロピレン単位:エチレン/α−オレフィン単位=80:20〜95:5の割合で含む。すなわち、プロピレン単位の含有量とエチレン/α−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%としたときに、プロピレン単位の含有量が80〜95重量%、エチレン/α−オレフィン単位の含有量が20〜5重量%である。
プロピレン系共重合体の各単位の含有量は好ましくはプロピレン単位:エチレン/α−オレフィン単位=83:17〜94:6(重量比)、より好ましくは88:12〜93:7(重量比)である。すなわちプロピレン単位とエチレン/α−オレフィン単位との合計を100重量%として、好ましくは、プロピレン単位83〜94重量%、エチレン/α−オレフィン単位17〜6重量%であり、より好ましくはプロピレン単位88〜93重量%、エチレン/α−オレフィン単位12〜7重量%である。
プロピレン系共重合体のプロピレン単位の割合が上記上限を超える場合は、常温時の基材に対する接着強度が低くなるため好ましくない。また、プロピレン単位の割合が上記下限未満の場合は、高温時における接着強度が低くなるため好ましくない。
なお、プロピレン系共重合体が、前述のその他の単量体単位を含有する場合、プロピレン系共重合体中のその他の単量体単位の含有量は、30重量%以下、特に0〜10重量%であることが好ましい。
成分(A)の変性ポリプロピレンに用いるプロピレン系共重合体としては、特にエチレン含量が5〜20重量%、更には6〜17重量%のプロピレン・エチレン共重合体であることが、変性ポリプロピレンの柔軟性の観点から好ましい。
プロピレン系共重合体の変性ポリプロピレンに用いる不飽和カルボン酸としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの不飽和カルボン酸の酸無水物、カルボン酸エステル等が例示され、更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどの誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、特にマレイン酸及び/又はその無水物が好適である。
これらの不飽和カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更には、ビニルトリメトキシシランなどのいわゆるビニルシラン類などを不飽和カルボン酸成分とともに併用することもできる。
変性ポリプロピレンを得るための変性には如何なる方法を用いてもよく、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられ、更には、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。
溶融変性法としては、プロピレン系共重合体と不飽和カルボン酸成分、及び必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で、混練機中で溶融混練して反応させる方法や、混練機中で溶融したプロピレン系共重合体に、ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸成分との混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
溶液変性法としては、プロピレン系共重合体を有機溶媒等に溶解して、これにラジカル発生剤と不飽和カルボン酸成分とを添加してグラフト共重合させる方法を使用することができる。有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えばアルキル基置換芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を使用することができる。
変性反応を行う際のプロピレン系共重合体と不飽和カルボン酸成分との配合割合は限定されないが、プロピレン系共重合体100重量部に対し、不飽和カルボン酸成分を通常0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で配合することが望ましい。
ラジカル発生剤は限定されないが、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエ−ト)ヘキシン−3、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエ−ト、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペルピバレ−ト、及びクミルペルピバレ−ト等の有機ペルオキシドや有機ペルエステル、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ−ト等のアゾ化合物等を使用することができる。
これらのラジカル発生剤は、原料のプロピレン系共重合体の種類やMFR、不飽和カルボン酸成分の種類及び反応条件等に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤の配合量は限定されないが、プロピレン系共重合体100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜3重量部である。
成分(A)の変性ポリプロピレンにおける不飽和カルボン酸成分による変性量、即ちグラフト率は限定されないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、一方、通常10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。グラフト率が上記下限値より低いと、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能が低下する傾向にある。また、グラフト率が上記上限値より高いと熱安定性が低下するほか、他の成分との相溶性が低下する傾向にある。
成分(A)の変性ポリプロピレンには、上記の変性反応後、未反応の不飽和カルボン酸成分を除く処理を行うことができる。この処理方法は限定されないが、具体的な例としては、装置下部より気体が吹き込める構造を有する貯蔵タンクに変性ポリプロピレンを入れて、ヒーターあるいは熱媒油で装置を100℃程度に加熱し、装置下部より窒素などの不活性気体あるいは空気を吹き込み、6〜24時間処理する方法が挙げられる。
成分(A)の変性ポリプロピレンのMFR(180℃、荷重2.16kg)は限定されないが、その下限は、通常0.1g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは5g/10分以上であり、その上限は、通常100,000g/10分以下、好ましくは50,000g/10分以下、より好ましくは30,000g/10分以下、更に好ましくは10,000g/10分以下である。
MFRが上記下限以上であるとその他樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物を発生させることなく、成形した際に外観が良好な接着性樹脂組成物が得られ、上記上限以下であると極性基を有する樹脂層との層関接着力を十分保つことができるために好ましい。
また、成分(A)の変性ポリプロピレンの曲げ弾性率は、限定されないが、その下限は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは30MPa以上であり、その上限は、好ましくは100MPa以下、より好ましくは90MPa以下、更に好ましくは80MPa以下、特に好ましくは70MPa以下である。
曲げ弾性率が上記下限以上であると製造時のカッティング性が良く、ペレット状で生産することが可能であり、上記上限以下であるとその柔軟性により極性基を有する樹脂層との層関接着力が良好となるために好ましい。
これらの成分(A)は、1種のみを用いてもよく、変性ポリプロピレンに供したプロピレン系共重合体の単量体組成や不飽和カルボン酸成分の種類、グラフト率、物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明の接着性樹脂組成物において、成分(A)の含有量は、成分(A)と後述の成分(B)及び成分(C)との合計量に対して1〜30重量%である。成分(A)はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能発現に寄与するが、その含有量が少な過ぎるとこの効果を十分に得ることができず、多過ぎるとエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂層に対し過剰に反応した部分を起点として外観不良を引き起こすことがあり、また、相対的に他の成分の含有量が少なくなって、他の樹脂との相溶性、成形性(流動性)等が損なわれる。以上の観点から、成分(A)の含有量は、成分(A)と後述の成分(B)及び成分(C)との合計量に対して好ましくは4重量%以上、より好ましくは7重量%以上であり、また、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
<成分(B)>
成分(B)のプロピレン系共重合体は、プロピレン単位と、エチレン単位及びプロピレン以外のα−オレフィン単位のうち少なくとも一方とを含有する共重合体であり、プロピレン系共重合体には、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・プロピレン以外のα−オレフィン共重合体、及びプロピレン・エチレン・プロピレン以外のα−オレフィン共重合体が含まれる。ここで、プロピレン以外のα−オレフィンは限定されないが、例えば、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数4〜10程度のα−オレフィンの1種又は2種以上が挙げられる。
なお、プロピレン系共重合体は、プロピレン単位、エチレン/α−オレフィン単位以外のその他の単量体単位を含有していてもよく、プロピレン系共重合体が含有し得るその他の単量体単位としては、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、スチレン誘導体等のビニルモノマーに基づく単量体単位等が挙げられる。なお、成分(B)と解され得るもののうち、成分(A)に該当するものは成分(B)とはみなさず、成分(A)とみなすこととする。
成分(B)のプロピレン系共重合体は、プロピレン単位とエチレン/α−オレフィン単位とを、重量比で、プロピレン単位:エチレン/α−オレフィン単位=80:20〜97:3の割合で含む。すなわち、プロピレン単位の含有量とエチレン/α−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%としたときに、プロピレン単位の含有量が80〜97重量%、エチレン/α−オレフィン単位の含有量が20〜3重量%である。
プロピレン系共重合体の各単位の含有量は好ましくはプロピレン単位:エチレン/α−オレフィン単位=84:16〜96:4(重量比)、より好ましくは88:12〜95:5(重量比)である。すなわちプロピレン単位とエチレン/α−オレフィン単位との合計を100重量%として、好ましくは、プロピレン単位84〜96重量%、エチレン/α−オレフィン単位16〜4重量%であり、より好ましくは、プロピレン単位88〜95重量%、エチレン/α−オレフィン単位12〜5重量%である。
プロピレン系共重合体のプロピレン単位の割合が前記上限を超える場合は、常温時接着強度が低くなる。また、プロピレン単位の割合が前記下限未満の場合は、高温時における接着強度が低くなる。
なお、プロピレン系共重合体が、前述のその他の単量体単位を含有する場合、プロピレン系共重合体中のその他の単量体単位の含有量は、30重量%以下、特に0〜10重量%であることが好ましい。
本発明において、成分(B)のプロピレン系共重合体のMFR(230℃,荷重2.16kg)は限定されないが、通常0.5g/10分以上、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であることが望ましく、一方、通常50g/10分以下、好ましくは35g/10分以下、より好ましくは25g/10分以下であることが望ましい。プロピレン系共重合体のMFRが上記上限を超える場合は、他の成分との相溶性が低下し、本発明の接着性樹脂組成物の流動性が高くなり高速成形性の指標であるネックインが低下する傾向にある。また、MFRが上記下限未満の場合は、単独での凝集力が強くなり他の成分との均一混合性が不十分になる傾向にある。
また、プロピレン系共重合体の密度は限定されないが、通常0.91g/cm以下、好ましくは0.90g/cm以下であることが望ましい。プロピレン系共重合体の密度が上記上限を超える場合は、常温時の接着強度が低くなる傾向にある。また、密度の下限は限定されないが、通常、0.88g/cm以上である。
また、成分(B)のプロピレン系共重合体の曲げ弾性率は、限定されないが、その下限は、好ましくは1MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは200MPa以上であり、その上限は、好ましくは700MPa以下、より好ましくは680MPa以下、更に好ましくは650MPa以下、特に好ましくは600MPa以下である。
曲げ弾性率が上記下限以上であると成形品の耐熱性の観点から好ましく、上記上限以下であるとその柔軟性により加工時における極性基を有する樹脂層との層関接着力の低下を抑制できる点で好ましい。
このような本発明に好適なプロピレン系共重合体(B)としては市販品を用いることもでき、例えば、日本ポリプロ社製「ニューコン(登録商標)」シリーズやダウ・ケミカル社製「VERSIFY(登録商標)」シリーズ、エクソンモービル・ケミカル社製「Vistamaxx(登録商標)」シリーズ等の中から前記の特性に該当するものを適宜選択することができる。
これらの成分(B)は、1種を用いてもよく、エチレン含量や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。特に、流動性の異なるものを混合して用いることで、接着性樹脂組成物を所望の流動性に設計することができるために好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物において、成分(B)の含有量は、前述の成分(A)と成分(B)及び後述の成分(C)との合計量に対して40〜90重量%である。成分(B)は後述のポリプロピレン系樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物層/エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂層の積層構成において、ポリプロピレン系樹脂との相溶性、成形性、流動性の確保に寄与するが、その含有量が少な過ぎるとこの効果を十分に得ることができず、多過ぎると成形品の耐熱性が損われ、また、相対的に他の成分の含有量が少なくなって層間接着性等が損なわれる。以上の観点から、成分(B)の含有量は、前述の成分(A)と成分(B)及び後述の成分(C)との合計量に対して、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上であり、また、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
本発明の接着性樹脂組成物において、成分(A)は前述の通り、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能発現に寄与し、成分(B)は、上記の通り、例えばポリプロピレン系樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物よりなる接着層/エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂層の積層構成において、ポリプロピレン系樹脂との相溶性に寄与すると共に、成形性、流動性を十分なものとする成分であり、また、成分(C)は、後述の通り、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能の補強効果を発現すると共に、成形時の歪を緩和し、層間接着性を高める成分であるが、これらの成分が相互に十分相溶化し、均一あるいは微分散相を形成しないと、各々の成分の性能を十分に発揮することができない。ここで、本発明で用いる成分(B)は成分(A)と化学構造的に極めて類似した樹脂であると同時に、物理構造(結晶構造)において成分(C)に類似している。従って、成分(B)を含有することで、各成分間の親和性が増加し、接着性能や高速成形性などに対する向上効果が発現するものと考えられる。
<成分(C)>
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレン単位とα−オレフィン単位とを、重量比で、エチレン単位:α−オレフィン単位=60:40〜90:10で含有するものである。すなわち、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%としたときに、エチレン単位の含有量が60〜90重量%、α−オレフィン単位の含有量が10〜40重量%である。
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体におけるエチレンとα−オレフィンとの共重合比率は、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量との合計を100重量%として、好ましくは、エチレン含量70〜80重量%、α−オレフィン含量20〜30重量%である。
エチレン含量が上記上限値を超える場合は、成分(A)又は成分(B)に基づくポリプロピレン系樹脂との親和性が低くなることで樹脂組成物の微分散性が不十分になるため好ましくない。また、エチレン含量が上記下限値未満の場合は、後述の成分(D)との親和性が低下し、同様に樹脂組成物の微分散性が不十分になるため好ましくない。
エチレン・α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンは限定されないが、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンとしては炭素数が3〜8であるものが好ましい。
更に、エチレン・α−オレフィン共重合体には、エチレンと上記のα−オレフィン以外の他の単量体単位が含まれていてもよい。これらの単量体単位を含有する場合の含有量は限定されないが、他の単量体単位とα−オレフィン単位との合計の含有量が、前記のα−オレフィン含量の範囲内となることが好ましい。他の単量体としては、具体的には、前記の成分(A)のプロピレン系共重合体における「その他のビニルモノマー」が挙げられる。
成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体のMFR(230℃、荷重2.16kg)は限定されないが、その下限は、通常0.1g/10分以上、好ましくは0.3g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上であり、その上限は、通常10g/10分以下、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは6g/10分以下、更に好ましくは4g/10分以下である。
MFRが上記下限以上であるとその他の樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物の発生がなく、成形した際に外観良好な接着性樹脂組成物を得易く、また、上記上限以下であると、成分(C)が配向することなく微分散性が保たれるために好ましい。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は限定されないが、通常0.88g/cm以下、好ましくは0.87g/cm以下であることが望ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記上限を超えると成形時の歪緩和効果が不十分となり層関接着強度が低下するおそれがある。また、密度の下限は限定されないが、通常、0.85g/cm以上である。
本発明に好適なエチレン・α−オレフィン共重合体としては市販品を用いることもでき、例えば、三井化学社製「タフマー(登録商標)」シリーズ等の中から前記の特性に該当するものを適宜選択することができる。
これらの成分(C)は、1種のみを用いてもよく、エチレン含量や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
本発明の接着性樹脂組成物において、成分(C)の含有量は、前述の成分(A)及び成分(B)と成分(C)との合計量に対して1〜30重量%である。
成分(C)はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能を補強すると共に成形時の歪を緩和し、層間接着力を向上させる効果を発現する成分であるが、その含有量が少な過ぎると上記効果を十分に得ることができず、多過ぎると成形品の耐熱性が損なわれ、また、相対的に他の成分の含有量が少なくなって、他の樹脂との相溶性等が損なわれる。以上の観点から、成分(C)の含有量は、前述の成分(A)及び成分(B)と成分(C)との合計量に対して好ましくは5重量%以上、より好ましくは8重量%以上であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
<成分(D)>
本発明の接着性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(C)に加えて、更に成分(D)としてポリエチレン系樹脂を含有してもよい。本発明において成分(D)のポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体又はエチレン以外の単量体単位が10重量%未満であるエチレン系共重合体である。
ポリエチレン系樹脂は、上記に該当するものであれば特に限定されず、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等の、分岐状又は直鎖状のエチレン単独重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂などが挙げられる。更に上記重合体を単独で用いるのみならず、2種類以上の重合体をブレンドして用いることも可能である。なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも成分(D)のポリエチレン系樹脂としては、耐熱性と強度のバランスに優れた高圧法で製造された低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン以外の単量体単位が10重量%未満であるエチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、特に衝撃強度の観点から直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂の物性については特に制限はないが、MFR(190℃、荷重2.16kg)は通常1g/10分以上、好ましくは3g/10分以上であり、また、通常150g/10分以下、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは60g/10分以下、更に好ましくは30g/10分以下である。ポリエチレン系樹脂のMFRが前記下限値より低い場合、あるいは前記上限値より高い場合は、何れも接着性樹脂組成物中での微分散性が不十分で、高速成形性が低下する傾向にある。
また、ポリエチレン系樹脂の密度については、0.87g/cm以上であることが好ましく、0.88g/cm以上であることが好ましく、一方、0.94g/cm以下であることが好ましく、0.93g/cm以下であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が上記下限以上であると耐熱性の点から好ましく、上記上限以下であると接着性樹脂組成物の透明性が良好となる傾向にあるために好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物が成分(D)のポリエチレン系樹脂を含有する場合、その含有量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計量に対して1〜30重量%であることが好ましい。成分(D)のポリエチレン系樹脂は、接着性樹脂組成物としての材料強度を補強して接着強度の向上に寄与するが、その含有量が上記下限以上であると、成分(D)による補強効果を得る観点から好ましい。また、成分(D)の含有量が上記上限以下であると成形時の流動性、柔軟性の観点から好ましい。以上の観点から、成分(D)のポリエチレン系樹脂の含有量は、成分(A)〜(D)の合計量に対して5〜25重量%であることがより好ましく、8〜20重量%であることが更に好ましい。
<成分(E)>
本発明の接着性樹脂組成物は、更に成分(E)としてハイドロタルサイト系化合物を含有してもよい。
本発明の接着性樹脂組成物に含まれるハイドロタルサイト系化合物としては、天然鉱物であるハイドロタルサイトでも、工業的に合成したハイドロタルサイト系化合物でもよく、これらの混合物であってもよい。
ハイドロタルサイト系化合物としては、代表的には下記一般式(I)で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
2+ 1−XAl(OH)(An−X/n・mHO ・・・(I)
一般式(I)中、M2+は、アルカリ土類金属、又は亜鉛族(Zn、Cd、Hg)の二価金属イオンであるが、これらの中でもMg、Ca、Znが望ましい。An−はn価アニオンであり、Xは、0<X<0.5の条件を満足する数値であり、mは、0≦m≦4の条件を満足する数値である。
一般式(I)中のAとしては、例えばCl、Br、I、NO 、ClO 、SO 2−、CO 2−、SiO 2−、Si 2−、HPO 2−、HBO 2−、PO 3−、Fe(CN) 3−、Fe(CN) 4−、CHCOO、C(OH)COO、(OCOCOO) 、(OCOCCOO) などの1種又は2種以上を例示することができる。Aとしては、特にCO 2−、SiO 2−、Si 2−などが好ましい。
合成ハイドロタルサイト系化合物としては市販品も入手可能であり、例えば、MgAl(OH)16CO・4HOが、協和化学工業社製「DHT−4A」として入手可能である。
本発明の接着性樹脂組成物が成分(E)のハイドロタルサイト系化合物を含有する場合、その含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計、或いは、成分(D)を含む場合は成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、0.03〜4重量部であることがより好ましく、0.05〜3重量部であることが更に好ましい。
成分(E)のハイドロタルサイト系化合物は、成分(A)の変性ポリプロピレンに含まれる未反応不飽和カルボン酸成分を捕捉して、未反応不飽和カルボン酸成分による積層体の外観悪化を防止する効果を奏するが、ハイドロタルサイト系化合物の含有量が上記下限以上であると、この効果を十分に得る観点から好ましく、上記上限以下であると、本発明の成分(A)の変性ポリプロピレンにグラフトされた不飽和カルボン酸成分との反応による接着性低下を防ぐ観点から好ましい。
<その他の成分>
本発明の接着性樹脂組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の添加剤や樹脂等(以下、これらを「その他の成分」と称す。)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
添加剤としては、具体的には、プロセス油、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填材、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。
このうち、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填材は、有機充填材と無機充填材に大別される。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
これらの添加剤を用いる場合、その含有量は限定されないが、本発明の接着性樹脂組成物中の含有量として、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上であり、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下であることが望ましい。なおこれらの添加剤は、本発明の接着性樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2〜50倍、好ましくは3〜30倍の濃度で含有させることもできる。
その他の成分として用いる樹脂としては、具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
本発明の接着性樹脂組成物がこれらのその他の樹脂を含有する場合、その含有量は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計、或いは、成分(D)を含む場合は成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)の合計100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。
<不飽和カルボン酸成分の含有量>
本発明の接着性樹脂組成物は、樹脂組成物中の不飽和カルボン酸成分(不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体)の含有量が、0.01重量%以上、特に0.05重量%以上、とりわけ0.07重量%以上で、一方、5重量%以下、特に4重量%以下、とりわけ3重量%以下であることが好ましい。樹脂組成物中の不飽和カルボン酸の含有量が前記下限値より少ないと、接着性能が低下する傾向にある。また、該含有量が前記上限値より多いと熱安定性が低下するほか、他の材料との相溶性が低下する傾向にある。
接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸成分の含有量の測定方法は前述の通りであるが、成分(A)のグラフト率と樹脂組成物中の成分(A)の含有量とから計算により求めることもできる。
<製造方法>
本発明の接着性樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)と、必要に応じて用いられる成分(D)、成分(E)、及びその他の成分を、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等により溶融混練することにより製造することができる。
[積層体]
本発明の積層体は、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層を含むポリプロピレン系樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層とを有するものであり、その他の熱可塑性樹脂としてはエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂等が挙げられる。
<接着層>
本発明の積層体における本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層の厚みとしては限定されるものではなく、用途や被接着層の種類等に応じて適宜決定されるが、通常1〜100μmの範囲であることが好ましく、更には2〜50μmの範囲であることが好ましく、特に3〜20μmの範囲であることが好ましい。
<ポリプロピレン系樹脂層>
ポリプロピレン系樹脂層は、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層のみからなるものであってもよく、その他のポリプロピレン系樹脂層との積層構造であってもよい。
その他のポリプロピレン系樹脂層を構成するプロピレン系樹脂とは、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン系樹脂である。具体的には、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体を挙げることができ、中でもMFR(230℃,2.16kg)0.1〜30g/10分の、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、特にプロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体が好ましく用いられる。
その他のポリプロピレン系樹脂層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常20〜5,000μm、好ましくは30〜4,000μmである。
<極性基を有する樹脂層>
極性基を有する樹脂とは、分子内に1価又は2価の極性基を有する樹脂である。1価又は2価の極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基、イソシアネート基、グリシジル基等の1価の官能基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、カルボニル結合等を形成する2価の官能基等が挙げられる。
このような極性基を有する樹脂としては、例えば、極性基を有するオレフィン系ポリマー、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体などが好適に用いられ、これらの樹脂はガスバリア性を付与することもできる。これらの中でもエチレン・ビニルアルコール共重合体が好ましい。
極性基を有するオレフィン系ポリマーとしては、具体的には、変性エチレン−プロピレン系共重合体、シラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体などが好ましく用いられる。中でも融点、剛性などが優れるナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66が好ましい。
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、好ましくはエチレン含量が15〜65モル%、さらに好ましくは25〜48モル%である共重合体が望ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより製造することができ、その鹸化度が好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上になるように鹸化したものが用いられる。なお、鹸化度の上限は100%である。エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量が少な過ぎると熱分解し易く、溶融成形が困難で、また延伸性にも劣り、かつ吸水し膨潤し易く耐水性が劣るものとなる。一方、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量が多過ぎると、耐ガス透過性が低下する傾向がある。また、鹸化度が低過ぎる場合には、耐ガス透過性が低下する傾向がある。
エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常2〜200μm、好ましくは3〜100μmである。
なお、上記のポリプロピレン系樹脂層、及び極性基を有する樹脂層には、その目的を損なわない範囲において、本発明の接着性樹脂組成物或いはその成分を含んでいてもよく、また、前述の本発明の接着性樹脂組成物が含有していてもよいその他の成分や添加剤を含有していてもよい。
<その他の層>
本発明の積層体は、少なくとも熱可塑性樹脂層と本発明の接着性樹脂組成物からなる層を含む積層構造を有するものであるが、更にその他の層が積層されていてもよい。
その他の層としては特に制限されることはない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂等からなる樹脂層や、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂などのその他の熱可塑性樹脂層などが挙げられる。
<層構成>
本発明の積層体としては、例えば、極性基を有する樹脂層の両面に接着性樹脂組成物層を介してポリプロピレン系樹脂層を積層してなる5層の積層体、即ち、ポリプロピレン系樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物層/極性基を有する樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物層/ポリプロピレン系樹脂層の層構造を有するものが挙げられる。この場合、2つのポリプロピレン系樹脂層は同一のポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよく、異なるポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよい。
<積層体の厚み>
本発明の積層体が多層シートである場合、その総厚みは200〜5,000μmであることが好ましい。また、本発明の積層体が多層フィルムである場合、その総厚みは30〜200μmであることが好ましい。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造する方法(以下、「一次加工」と称す場合がある。)としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出し手法によるインフレーション成形、T−ダイ成形によるフィルム成形もしくはシート成形、ブロー成形による容器成形、溶融した個々の樹脂を同一金型内にタイムラグを付けてインジェクションする共インジェクション成形がある。また、被着材に対し単体又は他樹脂との共押出しによる押出しラミネーション、あるいは押出しラミネーションの際、積層前に被着材をコロナ放電処理や火炎処理を行い、積層直前に被着材及び本発明の接着性樹脂組成物の接着面をオゾン処理する手法も用いられる。さらに、単体又は他樹脂との共押出しにより得られた本発明の接着性樹脂組成物フィルムと被着材フィルムとの熱ラミネート、ヒートシール等による積層法を用いることもできる。
これら共押出しによるフィルム、シート、ブロー成形の条件は、特に限定されるものではないが、ダイス温度180〜250℃の範囲で成形されることが好ましい。また、押出しラミネーション成形の条件は、特に限定されるものではないが、ダイス温度280〜320℃の範囲で成形されることが好ましく、熱ラミネートやヒートシールによる積層法は、特に限定されるものではないが、積層温度が160〜220℃の範囲で成形されることが好ましい。
[多層容器等の成形]
本発明の積層体である多層フィルムや多層シートから多層容器等を製造する方法(以下、「二次加工」と称す場合がある。)としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、上記一次加工により製造した積層体である多層フィルムや多層シートを加熱し、金型内で圧縮空気等のみにより成形する圧空成形、上記一次加工により製造した積層体である多層フィルムや多層シートを加熱軟化して型に密着させ、型に設けられた排気口から空気を排出させて、成形体を型に密着させ、その後これを冷却することにより二次加工成形する真空成形、真空引きする面と反対面を圧空で賦形させる真空圧空成形、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形等によるカップ等の容器成形、共インジェクション成形品を更に延伸成形するカップ、ボトル等の容器成形がある。
これら二次加工のうち、真空成形は、特に限定されるものではないが、成形体の表面温度が通常120〜250℃の範囲、好ましくは120〜220℃の温度範囲、より好ましくは120〜200℃の温度範囲で行われる。表面温度が上記範囲にある場合には、ドローダウン性、賦形性が良好となり、肉厚が均一となる。
また、SPPF成形等によるカップ等の容器成形は、特に限定されるものではないが、成形温度は300〜380℃の範囲、更には310〜370℃の範囲、特に320〜360℃の範囲で、成形体の表面温度が130〜180℃の範囲、更には140〜170℃の範囲、特に150〜160℃の範囲で成形されることが好ましい。
SPPF成形では、積層体である多層シートの主層(熱可塑性樹脂層)を構成する樹脂の融解ピーク温度以下で行う際、好ましくは、融解ピーク温度との差が5〜30℃の範囲になるような温度で加熱をすることにより主層を軟化させ、次に、アシストプラグを押し下げることにより、多層シートを容器状に予備賦形し、引き続き、該予備賦形部分に対して、空気圧を付加して該多層シートを金型キャビティ表面に密着させることにより熱成形体を成形することができる。該成形により得られた容器は剛性、衝撃強度に優れたものとなる。
[用途]
本発明の接着性樹脂組成物は、極性基を有する樹脂や、特に、エチレン・ビニルアルコール共重合体に対して優れた接着強度特性を示し、二次加工後においても高い層間接着強度を維持する。このため、このような本発明の接着性樹脂組成物を接着層とする本発明の積層体は、優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性及びガスバリア性等にも優れたものとすることができる。従って、本発明の積層体及びこの積層体から製造される多層容器は、食用油のボトルやハム等の畜肉包装フィルム、ゼリーカップや米飯トレーなどの一般食品包装用材料、意匠包装やラベル等に好適に使用することができる。
特に好ましいのは、低温で二次加工を行うSPPF成形により作製されるゼリーカップや米飯トレーなどの一般食品包装材料に使用される用途である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例では次の原材料を使用した。
<成分(A)>
・A−1:無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
エクソンモービル・ケミカル社製 製品名Vistamaxx(登録商標)3020FL(エチレン含量:11重量%、プロピレン含量:89重量%のプロピレン系共重合体)を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られたもの
グラフト率:0.6重量%
MFR(180℃、荷重2.16kg(直径1mmφ、長さ8mmのオリフィスを使用して測定した値):0.7g/10分(直径2mmφのオリフィスで測定した場合の11.2g/10分に相当)
曲げ弾性率:47MPa
・a−1(比較例用):無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
市販のポリプロピレン単独重合体を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られたもの
グラフト率:2.3重量%
MFR(180℃、荷重2.16kg(直径1mmφ、長さ8mmのオリフィスを使用して測定した値):500g/10分(直径2mmφのオリフィスで測定した場合の8,000g/10分に相当)
曲げ弾性率:1,500MPa
・a−2(比較例用):無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン
市販のポリプロピレン単独重合体を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られたもの
グラフト率:1.5重量%
MFR(180℃、荷重2.16kg(直径1mmφ、長さ8mmのオリフィスを使用して測定した値):150g/10分(直径2mmφのオリフィスで測定した場合の2,400g/10分に相当)
曲げ弾性率:1,500MPa
<成分(B)>
・B−1:ポリプロピレン
日本ポリプロ社製 製品名ニューコン(登録商標)NLE3300P
プロピレン・エチレン・ブテン共重合体
エチレン含量:4.4重量%
ブテン含量:0.6重量%
MFR(230℃、荷重2.16kg):3.5g/10分
密度:0.89g/cm
曲げ弾性率:600MPa
・B−2:ポリプロピレン
日本ポリプロ社製、製品名ニューコン(登録商標)NLB340G
プロピレン・エチレン・ブテン共重合体
エチレン含量:5.3重量%
ブテン含量:0.8重量%
MFR(230℃、荷重2.16kg):3.6g/10分
密度:0.89g/cm
曲げ弾性率:550MPa
・b−1(比較例用):ポリプロピレン
日本ポリプロ社製 製品名ノバテック(登録商標)EG7F
プロピレン・エチレン共重合体
エチレン含量:3.3重量%
MFR(230℃、荷重2.16kg):1.3g/10分
密度:0.90g/cm
曲げ弾性率:1,050MPa
・b−2(比較例用):ポリプロピレン
日本ポリプロ社製 製品名ノバテック(登録商標)FW4B
プロピレン・エチレン・ブテン共重合体
エチレン含量:3.3重量%
ブテン含量:1.3重量%
MFR(230℃、荷重2.16kg):7.0g/10分
密度:0.90g/cm
曲げ弾性率:850MPa
<成分(C)>
・C−1:エチレン・プロピレン共重合体
三井化学社製 製品名タフマー(登録商標)P0775
プロピレン含量:27重量%
MFR(230℃、荷重2.16kg):0.6g/10分
密度:0.86g/cm
<成分(D)>
・D−1:エチレン・ブテン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン)
SABIC社製 製品名QAMAR FD18NJ
ブテン含量:7.2重量%
MFR(190℃、荷重2.16kg):2.0g/10分
密度:0.92g/cm
<成分(E)>
・E−1:ハイドロタルサイト系化合物
共和化学工業社製 製品名DHT−4A(MgAl(OH)16CO・4HO)
[接着性樹脂組成物の製造]
<実施例1>
A−1を12重量部、B−1を20重量部、B−2を38重量部、C−1を10重量部、D−1を20重量部、E−1を0.1重量部として事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機PMS50−32(1V)(D=50mmφ、L/D=32、IKG(株)製)を用い、温度230℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/hで溶融混練し、紐状に押し出し、冷却後カッティングしてペレット状の接着性樹脂組成物を得た。
<比較例1〜3>
原料及びその配合割合を表−1の通りとした以外は実施例1と同様にしてペレット状の接着性樹脂組成物を得た。
[多層積層体の成形]
<多層シートの成形>
上記実施例1及び比較例1〜3で得られたペレットをそれぞれ接着材として用い、株式会社プラ技研製、6種11層共押出多層シート成形機にて、5層構成の多層シート(積層体)を成形した。
この多層シートの層構成は、冷却ロール面に接する側から外側に向かって、ポリプロピレン層/接着材層/エチレン・ビニルアルコール共重合体層/接着材層/ポリプロピレン層であり、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては以下のものを用いた。各層の厚みは、それぞれ540μm/20μm/80μm/20μm/540μmとし、成形温度は230℃、成形速度は0.8m/分に設定した。
(ポリプロピレン)
日本ポリプロ社製 製品名ポリプロピレンEA6A プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kg):1.9g/10分
(エチレン・ビニルアルコール共重合体)
クラレ社製 製品名エバール(登録商標)J171B
エチレン含量:32モル%
<カップの成形>
上記で得られた多層シートを、ILLIG社製カップ成形機RDM−50Kを用い、成形温度は355℃(表面温度150℃)、成形速度は14個/分、L/D=0.75(浅絞り容器を想定)及びL/D=1.03(深絞り容器を想定)に設定し、それぞれ多層カップを成形した。
[接着強度の測定方法]
上記で得られた多層カップをそれぞれ幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃の雰囲気下、速度100mm/分にてT−ピール剥離試験を行った。結果を表−1に示す。浅絞り及び深絞りのいずれの場合でも3.0N/10mm幅以上であることが好ましい。
Figure 0006648485
表−1から明らかなように、本発明の接着性樹脂組成物は、深絞りの場合も浅絞りの場合も十分に高い層間接着強度を示す。
これに対して、成分(A)の変性ポリプロピレンがエチレン単位を含まない比較例1,2や、成分(B)のプロピレン含量が多い比較例3では層間接着強度が実施例1に比べて低い。
なお、比較例1,2は変性ポリプロピレンの配合量が実施例1よりも少ないが、樹脂組成物中の不飽和カルボン酸の含有量としてはほぼ同等となっている。

Claims (12)

  1. 下記の成分(A)、(B)、及び(C)を含有し、これらの各成分の合計量に対し、成分(A)の含有量が1〜30重量%、成分(B)の含有量が40〜90重量%、成分(C)の含有量が1〜30重量%であり、
    成分(A)の曲げ弾性率が1〜100MPaで、成分(B)の曲げ弾性率が1〜700MPaである接着性樹脂組成物。
    成分(A):プロピレンに基づく単量体単位と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位とを、重量比80:20〜95:5で含有するプロピレン系共重合体を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性ポリプロピレン
    成分(B):プロピレンに基づく単量体単位と、エチレン及びプロピレン以外のα−オレフィンのうち少なくとも一方に基づく単量体単位とを、重量比84:16〜95:5で含有するプロピレン系共重合体
    成分(C):エチレンに基づく単量体単位と、α−オレフィンに基づく単量体単位とを、重量比60:40〜90:10で含有するエチレン・α−オレフィン共重合体
  2. 更に、下記成分(D)を含有し、かつその含有量が成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量に対し、1〜30重量%である、請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
    成分(D):ポリエチレン系樹脂
  3. 更に、下記成分(E)を含有し、かつその含有量が成分(A)、(B)及び(C)の合計或いは成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部である、請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。
    成分(E):ハイドロタルサイト系化合物
  4. 成分(A)のプロピレン系共重合体がプロピレン・エチレン共重合体であり、かつそのエチレンに基づく単量体単位の含有量が5〜20重量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
  5. 成分(C)においてα−オレフィンの炭素数が3〜8である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
  6. 成分(D)が直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1乃至のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
  7. 接着性樹脂組成物中の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有量が0.01〜5重量%である請求項1乃至のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物からなる層を含むポリプロピレン系樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層とを有する積層体。
  9. その他の熱可塑性樹脂がエチレン・ビニルアルコール共重合体及び/又はポリアミド系樹脂である、請求項に記載の積層体。
  10. 請求項又はに記載の積層体を成形してなる成形体。
  11. 固相圧空成形してなる、請求項10に記載の成形体。
  12. 請求項10又は11に記載の成形体からなる食品用包装材。
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