JP7073918B2 - 接着性樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、接着性樹脂組成物及び積層体に関する。特に本発明は、良好な接着性と強度を示す接着層を形成し得る接着性樹脂組成物と、該接着性樹脂組成物を用いた積層体に関する。
ポリオレフィン系樹脂は各種分野で幅広く利用されている。ポリオレフィン系樹脂は成形性、耐薬品性には優れるものの、ガスバリア性や耐内容物性に劣る。この欠点の改良方法としてガスバリア性に優れたポリアミド樹脂やエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)層との積層体とすることが広く採用されており、これらのガスバリア層とポリオレフィン系樹脂層とを接着するための接着性樹脂組成物として極性基で変性したポリオレフィンを含む接着性樹脂組成物が提供されている。
この様な積層体は、「主材層/接着層/バリア性を有する樹脂層/接着層/主材層」が基本的な層構成であり、その中でもコストと衛生性の観点から主材にポリオレフィンを用いる構造が主流である。ここでポリオレフィンとしては、使用温度が0℃以下の低温から100℃前後の場合はポリエチレン系樹脂が、レトルト処理などの高温耐熱性を要求される用途や硬度、透明性等を要求される用途ではポリプロピレン系樹脂が一般的に使用されてきた。
通常、ポリエチレン系樹脂を主材とする場合は接着層に用いる材料(接着材)としてポリエチレン系接着材が、ポリプロピレン系樹脂を主材とする場合は接着材としてポリプロピレン系接着材が使用される。しかしながら、ポリプロピレン系接着材は耐熱性は十分であり、剛性は高いものの、接着強度は、ポリエチレン系接着材の接着強度に比べて低いため、接着強度の改良が望まれてきた。
一方、ポリエチレン系接着材は、接着強度、耐久性に優れるものの、剛性、耐熱性に劣るため、その改良が望まれていた。
このような問題を解決する方法として、例えば、プロピレン系重合体/粘着付与剤/グラフト変性プロピレン系重合体/ポリエチレン/エチレン・α-オレフィンランダム共重合体からなる樹脂組成物を接着材として使用する方法が開示されている(特許文献1参照)。
2004-269688号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、未だ接着強度の改良が十分でなく、かつ粘着付与剤を必須の構成としているため、成形時に発煙を生じたり、油性の飲食品や燃料を包装する材料として用いた場合に、粘着付与剤が油中に漏れ出すという問題が発生する場合があった。
このように、従来、特に主材としてポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を用いる積層体における接着材として、十分な接着強度が得られる樹脂組成物は提供されていなかった。
かかる状況に鑑み、本発明の目的は、特に主材としてポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を用いる積層体における接着材として、共押出成形性に優れるとともに、得られる積層体における層間接着性及び強度が優れる接着性樹脂組成物と、この接着性樹脂組成物からなる層を含む積層体を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリプロピレン系樹脂及び高密度ポリエチレンに、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン系樹脂を組み合わせることにより、特異な性能改良効果が発現され、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂を主材とし、ポリアミド樹脂やEVOH樹脂などのガスバリア層を有する積層体において良好な接着性を発揮することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)の割合が51~75質量%、成分(B)の割合が25~49質量%であり、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.5~10質量部含む接着性樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):高密度ポリエチレン
成分(C):ポリプロピレン系樹脂に、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされた変性ポリプロピレン系樹脂であり、変性量が1質量%以上である変性ポリプロピレン系樹脂
[2] 下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)の割合が51~65質量%、成分(B)の割合が35~49質量%であり、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.5~10質量部含む接着性樹脂組成物。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):高密度ポリエチレン
成分(C):ポリプロピレン系樹脂に、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされた変性ポリプロピレン系樹脂であり、変性量が1質量%以上である変性ポリプロピレン系樹脂
[3] [1]又は[2]に記載の接着性樹脂組成物からなる層とガスバリア層とを有する積層体。
[4] 前記ガスバリア層がポリアミド系樹脂層である[3]に記載の積層体。
[5] 共押出成形体である[3]又は[4]に記載の積層体。
[6] [3]ないし[5]のいずれかに記載の積層体からなるチューブ。
[7] [3]ないし[5]のいずれかに記載の積層体からなる中空成形品。
[8] [3]ないし[5]のいずれかに記載の積層体からなるシート。
[9] [3]ないし[5]のいずれかに記載の積層体の熱成形品。
[10] [3]ないし[5]のいずれかに記載の積層体を用いた燃料部品。
本発明の接着性樹脂組成物は、共押出成形性に優れると共に、ポリアミド樹脂やEVOH樹脂などのガスバリア層に対して、良好な層間接着性を発揮するものである上に降伏強度等の強度も高く、本発明の接着性樹脂組成物を用いて、層間接着強度の高い積層体を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、本発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
なお、本発明において、樹脂のメルトフローレート(MFR)、曲げ弾性率、密度、成分(C)の変性ポリプロピレン系樹脂の変性量(グラフト率)、成分(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、以下のようにして測定された値である。
<MFR>
成分(A)のポリプロピレン系樹脂、成分(C)の原料となるポリプロピレン系樹脂、成分(B)の高密度ポリエチレン、積層体のポリプロピレン系樹脂層又はポリエチレン系樹脂層を構成する各樹脂のMFRは、JIS K7210に従い、ポリプロピレン系樹脂の場合は、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で、ポリエチレン系樹脂の場合は温度190℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
また、本発明の接着性樹脂組成物のMFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
<曲げ弾性率>
JIS K7171-1994に準拠して測定される。
<密度>
JIS K7112に従い、水中置換法で測定される。
<変性量(グラフト率)>
成分(C)の変性量(グラフト率)は、赤外分光測定装置で測定した際の、後述の原料ポリプロピレン系樹脂にグラフトした不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(以下、「不飽和カルボン酸成分」と称す場合がある。)の含有率を意味する。例えば、変性ポリプロピレン系樹脂を厚さ100μm程度のシート状にプレス成形したサンプル中の不飽和カルボン酸成分特有の吸収、具体的には1,900~1,600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。グラフト率は、上記の方法で、予め作成した検量線から求めることもできる。
<分子量分布(Mw/Mn)>
成分(B)の高密度ポリエチレンの、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の値であり、測定されたMwとMnの比として分子量分布(Mw/Mn)が算出される。
以下において、共重合体(共重合樹脂)に含まれる単量体単位を単に「単位」と称す場合がある。例えば、プロピレンに基づく単量体単位を「プロピレン単位」と称し、エチレンに基づく単量体単位、α-オレフィンに基づく単量体単位をそれぞれ「エチレン単位」、「α-オレフィン単位」と称す場合がある。
[接着性樹脂組成物]
本発明の接着性樹脂組成物は、下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)の割合が51~75質量%、成分(B)の割合が25~49質量%であり、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.5~10質量部含むことを特徴とする。ただし、成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、成分(C)の変性ポリプロピレン系樹脂に包含されるものを除く、非変性ポリプロピレン系樹脂である。
成分(A):ポリプロピレン系樹脂
成分(B):高密度ポリエチレン
成分(C):ポリプロピレン系樹脂に、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされた変性ポリプロピレン系樹脂であり、変性量が1質量%以上である変性ポリプロピレン系樹脂
<成分(A)>
成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、本発明の接着性樹脂組成物に耐熱性、剛性、ポリプロピレン系樹脂層との密着性、押出加工性を付与するための成分である。ポリプロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体や、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体などが挙げられる。また、コモノマーとしてエチレン以外の、もしくはエチレンに加えて第3のコモノマーとしてたとえば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどのα-オレフィンや、その他のビニルモノマーなどを用いたプロピレン系共重合体を用いることも可能である。この中で好ましくは耐衝撃性と剛性のバランスに優れたプロピレン・エチレンブロック共重合体が好適である。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂のプロピレン単位の含有量は80モル%以上が好ましく、更に好ましくは85モル%以上であり、その上限は100モル%である。プロピレン単位の含有量が上記下限以上であると、耐熱性の面で好ましい。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂は公知の方法によって製造される。例えば、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等の触媒を用い、バッチ法、気相法、スラリー法など公知の手段で製造される。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、剛性と耐衝撃性のバランス上、曲げ弾性率が800MPa以上、例えば1000~2000MPaであることが好ましい。
また、成分(A)のポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃,荷重2.16kg)は特に限定されないが、通常0.1~50g/10分、好ましくは0.3~20g/10分、より好ましくは0.5~5g/10分である。MFRが前記下限値よりも小さい場合には、本発明の接着性樹脂組成物を製造する際のエネルギー負荷が大きくなり過ぎる場合がある。また、MFRが前記上限値よりも大きい場合には、流動性が高くなり、得られる成形品の加工特性が悪化する傾向がある。
成分(A)のポリプロピレン系樹脂は、1種のみを用いてもよく、組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、プロピレン系ランダム共重合体とプロピレン系ブロック重合体との組み合わせなど、構造等の異なるものの組み合わせであってもよい。
<成分(B)>
成分(B)の高密度ポリエチレンは、本発明の接着性樹脂組成物に接着性、機械的強度を付与するための成分である。
成分(B)の高密度ポリエチレンは、エチレンの単独重合体もしくは、エチレン・α-オレフィン共重合体から選ばれる。エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンは限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンとしては炭素数が3~8であるものが好ましい。この中で一般的なものは、1-ブテン、1-ヘキセンである。ここで、エチレン・α-オレフィン共重合体のエチレン単位含有量は80モル%以上、特に90モル%以上であることが好ましい。
成分(B)の高密度ポリエチレンの密度は、0.935~0.965g/cm、特に0.945~0.960g/cmであることが好ましい。上記下限よりも高密度ポリエチレンの密度が低いと、形成される接着層の剛性、耐熱性が低下してしまい、上記上限よりも高いと接着性が発現されにくくなる傾向がある。
成分(B)の高密度ポリエチレンのMFR(190℃,荷重2.16kg)は限定されないが、0.5~20g/10分であることが好ましく、1~5g/10分であることがより好ましい。MFRが上記下限以上であるとその他のポリプロピレン系樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物の発生がなく、成形した際に外観良好な接着性樹脂組成物を得易く、また、上記上限以下であると、成分(B)が配向することなく微分散性が保たれるために好ましい。
また、成分(B)の高密度ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)は3以上10以下であることが好ましい。Mw/Mnが10を超えると、高分子量成分が混入してしまい、積層時の分子の運動性を低下させてしまうために、接着強度が発現しにくくなる傾向がある。一方、Mw/Mnが3未満では表面あれ等を生じ、加工性が悪くなる傾向がある。
このような高密度ポリエチレンとしては、既存の製造法によって製造されたものを用いることができる。製造法としては、クロム系触媒を用いる方法、チーグラーナッタ触媒を用い、溶媒中で重合する方法、気相中で重合する方法などを適応可能である。また、重合方法に関しては、単段にて重合されたもののほか、多段重合されたものも選択可能である。この重合方法を選択することで、分子量分布を調整することができる。
成分(B)の高密度ポリエチレンは、1種のみを用いてもよく、組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<成分(C)>
本発明の接着性樹脂組成物に用いられる成分(C)である不飽和カルボン酸成分をグラフトした変性ポリプロピレン系樹脂は接着性に寄与する成分である。
成分(C)の変性ポリプロピレン系樹脂の原料となるポリプロピレン系樹脂(以下「原料ポリプロピレン」と称す場合がある。)としては、プロピレンの単独重合体、或いはプロピレンを主成分としてプロピレン単位として80モル%以上含み、これと、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンの1種又は2種以上との共重合体が挙げられる。原料ポリプロピレンの立体規則性には限定は無く、プロピレン連鎖がアイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティック、ステレオブロック等の何れでもよいが、プロピレン連鎖がアイソタクティックであることが好ましく、特にアイソタクティックホモポリプロピレンが好ましい。また、重合に用いる触媒も公知のものを適宜採用することができる。重合形態は、単独重合体、ランダム重合体以外に、ブロック共重合体も可能である。
原料ポリプロピレンのMFR(230℃,荷重2.16kg)は限定されないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下であり、更に好ましくは20g/10分以下である。MFRの下限は特に制限はないが、一般的に製造可能な観点から通常0.1g/10分以上である。
原料ポリプロピレンは、1種のみを用いてもよく、組成や物性等の異なるものの2種以上を併用してもよい。
上記の原料ポリプロピレンの変性に用いる不飽和カルボン酸としては、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エンドシス-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-5-エン-2,3ジカルボン酸)等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの不飽和カルボン酸の酸無水物、カルボン酸エステル等が例示され、更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどの誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、特にマレイン酸及び/又はその無水物が好適である。
これらの不飽和カルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更には、ビニルトリメトキシシランなどのいわゆるビニルシラン類などを不飽和カルボン酸成分とともに併用することもできる。
原料ポリプロピレンを不飽和カルボン酸成分により変性する方法としては、原料ポリプロピレンを有機溶剤に溶解した溶液に不飽和カルボン酸成分及びラジカル発生剤等を加え、通常60~350℃、好ましくは80~190℃の温度で、通常0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させる溶液変性法が挙げられる。
また別の方法として、溶融変性法が挙げられる。溶融変性法は、原料ポリプロピレンと、不飽和カルボン酸成分と、必要によりラジカル発生剤を予め混合した上で、混練機中で溶融混練して反応させる、或いは、混練機中で溶融した原料ポリプロピレン系樹脂に、ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸成分との混合物を装入口から添加して反応させることで行われる。上記混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
変性反応に用いるラジカル発生剤は限定されないが、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエ-ト)ヘキシン-3、ラウロイルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルペルベンゾエ-ト、tert-ブチルペルイソブチレ-ト、tert-ブチルペルピバレ-ト、及びクミルペルピバレ-ト等の有機ペルオキシドや有機ペルエステル、あるいは、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレ-ト等のアゾ化合物等を使用することができる。
これらのラジカル発生剤は、原料ポリプロピレンの種類やMFR、不飽和カルボン酸成分の種類および反応条件等に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤の配合量は限定されないが、原料ポリプロピレン100質量部に対し、通常0.001~5質量部、好ましくは0.005~3質量部である。ラジカル発生剤の配合量が上記上限より多いと、ラジカルの分子切断の効果が高くなりすぎてしまい、分子量が大きく低下する結果、物性、接着性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、ラジカル発生剤の配合量が上記下限より少ないと、反応性が乏しくなり、グラフト変性できない場合がある。
上記変性反応後は、未反応の不飽和カルボン酸成分を除く処理を行うことができる。この処理方法は限定されないが、具体的な例としては、装置下部より気体が吹き込める構造を有する貯蔵タンクに変性反応後の変性ポリプロピレン系樹脂を入れて、ヒーターあるいは熱媒油で装置を100℃程度に加熱し、装置下部より窒素などの不活性気体あるいは空気を吹き込み、6~24時間処理する方法がある。
成分(C)の変性ポリプロピレン系樹脂における不飽和カルボン酸成分による変性量(グラフト率)は1質量%以上であり、好ましくは1.5質量%以上である。一方、変性量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。不飽和カルボン酸成分による変性量が前記下限値より低いと、十分な接着性を得るために、成分(C)の添加量を増量する必要があり、コストが高くなってしまう。また、変性量が上記上限値より高いと熱安定性が低下するほか、分子量が大きく低下してしまい、接着性を発現せず、また他の成分との相溶性が低下する傾向にある。
ここで変性量(グラフト率)とは、前述の通り、赤外分光測定装置で測定した際の、不飽和カルボン酸成分の含有率を意味する。例えば、厚さ100μm程度のシート状にプレス成形したサンプル中のカルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収、具体的には1900~1600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。なお、不飽和カルボン酸成分による変性は、100%が反応に供されずに、原料ポリプロピレンと反応していない不飽和カルボン酸成分も変性ポリプロピレン系樹脂中に残留している場合があるが、本発明における変性量(グラフト率)は、上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
本発明において、成分(C)の変性ポリプロピレン系樹脂は1種のみを用いてもよく、単量体組成や物性、グラフト変性に用いた不飽和カルボン酸成分の種類や、変性量の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
<成分(A)~(C)の含有量>
本発明の接着性樹脂組成物は、上述の成分(A)~(C)を、必須成分として含有するものであり、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)を51~75質量%、成分(B)を25~49質量%含み、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.5~10質量部含む。
成分(A)と成分(B)の合計100質量%中の成分(A)の含有量が上記下限より少なく、成分(B)の含有量が上記上限より多いと、耐熱性、剛性の低下が生じ、ポリプロピレン系樹脂層との密着性が劣るものとなる。逆に、成分(A)と成分(B)の合計100質量%中の成分(A)の含有量が上記上限より多く、成分(B)の含有量が上記下限より少ないと剛性、耐熱性は高くなるが、ポリエチレン系樹脂層や、ガスバリア層との密着性が低下する。本発明の接着性樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)を51~65質量%、成分(B)を35~49質量%含むことが好ましい。
また、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対する成分(C)の含有量が上記下限よりも少ないと接着性樹脂組成物として十分な接着性を得ることができず、上記上限よりも多いと加工性が悪化し、焼け、メヤニ等の発生が多くなる。また、吸湿が大きくなり、ハンドリングにも影響を与えることになる。成分(C)の好ましい含有量は、成分(A)と成分(B)との合計100質量部に対して2~6質量部である。
<その他の成分>
本発明の接着性樹脂組成物には、上記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の添加剤や樹脂等(以下、これらを「その他の成分」と称す。)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
ただし、前掲の特許文献1で必須成分とされている粘着付与剤は、成形時の発煙、油中への浸出、耐熱性の低下等の問題があるため、本発明の接着性樹脂組成物は、このような粘着付与剤を含有しないことが好ましい。
ここで、「粘着付与剤を含有しない」とは、接着性樹脂組成物中の粘着付与剤の含有量が5質量%以下であることをいう。
添加剤としては、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、具体的には、プロセス油、中和剤、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填材、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。
このうち、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填材は、有機充填材と無機充填材に大別される。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
これらの添加剤を用いる場合、その含有量は限定されないが、本発明の接着性樹脂組成物中の含有量として、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下であることが望ましい。なおこれらの添加剤は、本発明の接着性樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2~50倍、好ましくは3~30倍の濃度で含有させることもできる。
その他の成分として用いる樹脂としては、具体的には、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
本発明の接着性樹脂組成物がこれらのその他の樹脂を含有する場合、その含有量は、成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
<接着性樹脂組成物の製造方法>
成分(A)、成分(B)及び成分(C)と、必要に応じて添加されるその他の成分を用いて、本発明の接着性樹脂組成物を製造するための配合方法は、溶融法、溶液法、懸濁分散法等があり、特に限定されない。実用的には溶融混練法が好ましい。
溶融混練のための具体的な方法としては、粉状又は粒状の成分(A)~(C)、並びに必要に応じて添加されるその他の成分を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸又は二軸等の多軸混練押出機等の通常の混練機を用いて混練する方法が例示できる。
各成分の溶融混練の温度は、通常100℃~300℃の範囲、好ましくは120℃~280℃の範囲、特に好ましくは150℃~250℃の範囲である。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、成分(A)~(C)と必要に応じて用いられるその他の成分とを一括して混練する方法、又は(A)~(C)と必要に応じて用いられるその他の成分の一部を予め混練しておき、その後残りの成分を混練する方法でもよい。
<MFR・強度>
本発明の接着性樹脂組成物のMFR(230℃,2.16kg)は、好ましくは0.2~10g/10分、より好ましくは0.5~5g/10分である。MFRが上記下限よりも低いと、共押出時に他の樹脂との粘度バランスが悪くなり、得られる積層体を構成する各層の厚みが均一にならず、MFRが上記上限よりも高すぎても同様の現象が生じる。特に、シートやパイプなど、ブロー成形などを用いる場合はMFRは0.5~3g/10分の範囲が特に好適である。
本発明の接着性樹脂組成物は、強度が高く、十分な強度を有する接着層、或いはこの接着層を有する積層体を形成することができる。接着性樹脂組成物の強度は、本発明の接着性樹脂組成物よりなるプレス試験片などの引張試験により評価することができる。本発明においては、接着性樹脂組成物の強度は、後掲の実施例の項に示されるように、JIS 1号ダンベルを用いた引張試験(厚み4mm、プレス成形法、測定速度50mm/分)における降伏強度で確認した。本発明の接着性樹脂組成物の降伏強度は、好ましくは20MPa以上、より好ましくは25MPa以上である。降伏強度が20MPa未満では柔軟性が高すぎて、高温時の剛性が不十分になり、製品が変形したり、接着強度が低下したりするおそれがある。降伏強度の上限は、通常50MPa程度である。
[積層体]
本発明の積層体は、少なくとも本発明の接着性樹脂組成物からなる層とガスバリア層とを有し、好ましくは、本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層とガスバリア層とが直接接しているものである。本発明の接着性樹脂組成物よりなる層は他のポリプロピレン系樹脂層と積層構造とされてもよく、ポリエチレン系樹脂層と積層構造とされていてもよい。
<接着層>
本発明の積層体における本発明の接着性樹脂組成物からなる層は通常接着層であり、その厚みとしては限定されるものではなく、用途や被接着層の種類等に応じて適宜決定されるが、通常1~100μmの範囲であることが好ましく、2~50μmの範囲であることがより好ましく、3~20μmの範囲であることが特に好ましい。
<ガスバリア層>
本発明において、ガスバリア層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリフタルアミド樹脂などが挙げられる。
エチレン・ビニルアルコール共重合体は、通常エチレン・酢酸ビニル共重合体を鹸化して得られるものであり、本発明においては、そのエチレン単位の含有量が20~50モル%で、鹸化度が95%以上のものが好ましい。なお、鹸化度の上限は100%である。エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン単位の含有量が少な過ぎると熱分解し易く、溶融成形が困難で、また延伸性にも劣り、かつ吸水し膨潤し易く耐水性が劣るものとなる。一方、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン単位の含有量が多過ぎると、耐ガス透過性が低下する傾向がある。また、鹸化度が低過ぎる場合には、耐ガス透過性が低下する傾向がある。
ポリアミド樹脂としては、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p-アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m-又はp-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミンと、アジピン酸、スペリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸との重縮合体、及びこれらの共重合体であって、具体的には、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン9T,ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6等があり、中でもナイロン6、ナイロンMXD6が好ましい。
ガスバリア層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常2~200μm、好ましくは3~100μmである。
<ポリプロピレン系樹脂層>
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層がその他のポリプロピレン系樹脂層との積層構造とされている場合、その他のポリプロピレン系樹脂層を構成するプロピレン系樹脂とは、プロピレン単位含有量が50モル%以上のプロピレン系樹脂である。具体的には、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体を挙げることができ、中でもMFR(230℃,2.16kg)が0.1~30g/10分の、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、特にプロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体が好ましく用いられる。
その他のポリプロピレン系樹脂層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常20~5,000μm、好ましくは30~4,000μmである。
<ポリエチレン系樹脂層>
本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層がポリエチレン系樹脂層との積層構造とされている場合、ポリエチレン系樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂とは、エチレン単位含有量が50モル%以上のポリエチレン系樹脂である。具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン系エラストマーを挙げることができ、中でもMFR(190℃,2.16kg)が0.1~30g/10分の、低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレンが好ましく用いられる。
ポリエチレン系樹脂層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常20~5,000μm、好ましくは30~4,000μmである。
なお、上記のポリエチレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂層、及び前述のガスバリア層には、その目的を損なわない範囲において、本発明の接着性樹脂組成物或いはその構成成分を含んでいてもよく、また、前述の本発明の接着性樹脂組成物が含有していてもよいその他の成分や添加剤を含有していてもよい。
<その他の層>
本発明の積層体は、更にその他の層が積層されていてもよい。
その他の層としては特に制限されることはない。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン-アクリロニトリルグラフト共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂等からなる樹脂層や、プロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂以外のオレフィン系重合体、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂などのその他の熱可塑性樹脂層などが挙げられる。
<層構成>
本発明の積層体としては、例えば、ガスバリア層の両面に本発明の接着性樹脂組成物層を介して前述のその他のポリプロピレン系樹脂層を積層してなる5層の積層体、即ち、ポリプロピレン系樹脂層/本発明の接着性樹脂組成物層/ガスバリア層/本発明の接着性樹脂組成物層/ポリプロピレン系樹脂層の層構造を有するものが挙げられる。この場合、2つのポリプロピレン系樹脂層は同一のポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよく、異なるポリプロピレン系樹脂よりなるものであってもよい。また、上記のポリプロピレン系樹脂層の一方又は双方がポリエチレン系樹脂層である積層体であってもよい。
また、これ以外に、非対称積層構造のものであってもよく、ガスバリア層を複数層配したものであってもよい。また内層、および外層にガスバリア層が配されていても構わない。
<積層体の厚み>
本発明の積層体が多層シートである場合、その総厚みは200~5,000μmであることが好ましい。また、本発明の積層体が多層フィルムである場合、その総厚みは30~200μmであることが好ましい。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造する方法(以下、「一次加工」と称す場合がある。)としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出法によるブロー成形法、パイプ押出成形、T-ダイ成形によるフィルム成形もしくはシート成形が挙げられる。
以下、シートの共押出法を例として詳細に説明する。
上記の各層を構成する組成物の原料を予め溶融混練若しくはドライブレンドによって調製し、単軸、2軸などの押出成形法により押出し、フィードブロック、マルチマニフォールドダイなどで合流し積層構造にし、所定の形状のダイから押出して、冷却後、シート形状の場合は巻き取り機で巻き取る。共押出成形法における押出し温度は、ガスバリア層の樹脂の特性によって適時選択されるが、一般的に300℃以下に抑制するのが好ましい。シートの引き取り速度(m/h)は所望の厚みに応じて適時設定し、押出機の基材原料の吐出量(g/h)は、用いる原料の種類、目的とするシートの各層厚み等により適宜選択することが好ましい。冷却方法は公知の方法を採用することができるが、例として、ロール上へのキャスト冷却、ないしはエアナイフによる冷却、サイザー等を通して水中で冷却する方法により冷却して、積層体を得る。
<積層体の接着強度>
本発明の積層体の接着強度はTピール剥離試験により評価することができる。具体的には、後掲の実施例の項に示されるように、所定の幅に切りそろえた試験片(後掲の実施例では5mm幅)を用いて、カッター等で強度を測定したい界面を剥離し、一般的な引張試験機を用いてTピール方式で所定の速度(後掲の実施例では50mm/分)で引き剥がすことによって測定される。用途にもよるが、このTピール剥離試験による剥離強度が0.25N/mm以上、好ましくは0.5N/mm以上である場合、良好な接着強度を有すると評価できる。
<後加工(二次加工)>
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂同士の積層体であることから熱成形等の二次加工性にも優れ、上記のようにして製造された本発明の積層体を、延伸や熱成形等の二次加工に供することができ、チューブ、中空成形品、シート等用途に応じて様々な形状に加工することができる。
[用途]
本発明の接着性樹脂組成物は、ガスバリア性の樹脂に対して優れた接着性を有すると共に、耐熱性、剛性にも優れるものであるため、このような本発明の接着性樹脂組成物を接着層とする本発明の積層体は、優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性及びガスバリア性等にも優れたものとすることができる。従って、本発明の積層体及びこの積層体から製造される二次加工品は、一般食品包材や薬品等の保管容器、燃料タンクや燃料チューブといった燃料部品等に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原材料]
以下の諸例では次の原材料を使用した。
<成分(A)>
ポリプロピレン系樹脂:プロピレン・エチレンブロック共重合体(ユニペトロール社製「モステンEB501」、MFR(230℃,荷重2.16kg):0.5g/10分、曲げ弾性率:1150MPa、プロピレン単位含有量:7モル%)
<成分(B)>
高密度ポリエチレン:エチレン・ブテン共重合体(バゼル社製「ホスタレンGF9055F」、MFR(190℃,荷重2.16kg):1.8g/10分、密度:0.954g/cm、Mw/Mn:7.2、エチレン単位含有量:0.3モル%)
<成分(b)>
他のポリエチレン系樹脂:エチレン・プロピレン共重合体(三井化学社製「タフマーP0775」、MFR(190℃,荷重2.16kg):0.4g/10分、密度:0.858g/cm、Mw/Mn=1.8、エチレン単位含有量:13モル%)
<成分(C)>
以下の方法で製造した変性ポリプロピレン系樹脂を成分(C)として用いた。
クロロベンゼン6Lに、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg):10g/10分)のパウダー5kg、無水マレイン酸500gを130℃で溶解させた。次いで、この溶液にジクミルペルオキシドのクロロベンゼン溶液(200g/400L)を加えた。さらに130℃で8時間反応を続け、次いで40℃まで冷却し、樹脂を析出させた。析出させた樹脂をろ過し、さらにアセトンで繰り返し洗浄し、90℃で減圧乾燥して変性量2.2質量%の変性ポリプロピレン系樹脂を得た。
[接着性樹脂組成物の作成]
上記に記載した原材料を、それぞれ表-1に記載の配合量にてドライブレンドして混合し、単軸押出機(口径40mmφ、L/D=32)を用い、設定温度210℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の接着性樹脂組成物を得た。
得られた接着性樹脂組成物のMFR(230℃,2.16kg)は表-1に示す通りであった。
[降伏強度の測定]
上記で得られた接着性樹脂組成物を熱プレス成形することで厚さ4mmのシートを作製し、このシートからJIS 1号ダンベル試験片を打ち抜いた。この試験片を用いて、引張試験機で引張速度50mm/分で引張試験を行い降伏強度を求めた。
前述の通り、降伏強度は20MPa以上、特に25MPa以上が好ましい。
各接着性樹脂組成物の降伏強度の測定結果を表-1に示す。
[多層積層体の成形]
上記で得られた接着性樹脂組成物を接着層とし、以下の製造方法により多層積層体を得た。
多層ブロー成形機(各層の押出機:ポリエチレン系樹脂層65mmφ、ガスバリア層,接着層40mmφ、200mm径丸型ダイス(リップ開度5mm))を用いて、3種5層多層のボトル成形品(容量500cc、厚み約3.5mm)を得た。層構成は、ポリエチレン系樹脂層/接着層/ガスバリア層/接着層/ポリエチレン系樹脂層とし、各層厚みを1.5/0.1/0.1/0.1/1.5(mm)とした。ポリエチレン系樹脂層には日本ポリエチレン社製ポリエチレン「ノバテックHDPE HB111R」(MFR(190℃,21.6kg):6g/10分)を、ガスバリア層にはDSM社製PA6(ナイロン6)「ノバミッド1020」を用いた。成形温度はガスバリア層240℃、接着層230℃、ポリエチレン系樹脂層210℃、ダイス温度220℃とし、押出量約25kg、ボトルの冷却時間2分、金型温度15℃とした。
[接着強度の測定]
上記で得られた多層積層体をそれぞれ押出方向に幅5mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃雰囲気下、速度50mm/分にて、接着層/PA6層間及び接着層/ポリエチレン層間のそれぞれについてTピール剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
前述の通り、剥離強度は0.25N/mm以上、特に0.5N/mm以上が好ましい。
各積層体の剥離強度の測定結果を表-1に示す。
Figure 0007073918000001
表-1より次のことが分かる。
成分(B)の高密度ポリエチレンの代りに成分(b)の低密度ポリエチレンを用いた比較例1では、接着性は良好であるが降伏強度が低い。
成分(A)~(C)を用いても成分(B)の配合量が少ない比較例2では対ポリエチレン剥離強度が十分ではない。
これに対して、成分(A)~(C)を本発明の範囲内で用いた実施例1,2では、対ポリエチレン剥離強度、対PA6剥離強度共に良好な値を示し、降伏強度も高い。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)~(C)を含み、成分(A)と成分(B)の合計100質量%に対して成分(A)の割合が51~65質量%、成分(B)の割合が35~49質量%であり、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して成分(C)を0.5~10質量部含む接着性樹脂組成物。
    成分(A):MFR(230℃,荷重2.16kg)が0.5~5g/10分のポリプロピレン系樹脂
    成分(B):MFR(190℃,荷重2.16kg)が1~5g/10分の高密度ポリエチレン
    成分(C):ポリプロピレン系樹脂に、少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がグラフトされた変性ポリプロピレン系樹脂であり、変性量が1質量%以上である変性ポリプロピレン系樹脂
  2. 請求項1に記載の接着性樹脂組成物からなる層とガスバリア層とを有する積層体。
  3. 前記ガスバリア層がポリアミド系樹脂層である請求項に記載の積層体。
  4. 共押出成形体である請求項又はに記載の積層体。
  5. 請求項ないしのいずれか1項に記載の積層体からなるチューブ。
  6. 請求項ないしのいずれか1項に記載の積層体からなる中空成形品。
  7. 請求項ないしのいずれか1項に記載の積層体からなるシート。
  8. 請求項ないしのいずれか1項に記載の積層体の熱成形品。
  9. 請求項ないしのいずれか1項に記載の積層体を用いた燃料部品。
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