JP2024073857A - 重合体組成物、単層フィルム及び積層体、並びに単層フィルム及び積層体の製造方法 - Google Patents

重合体組成物、単層フィルム及び積層体、並びに単層フィルム及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱ラミネート成形において積層した積層体の基材層との接着性に優れる重合体組成物と、この重合体組成物を用いた積層体を提供すること。【解決手段】不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性されており、かつ下記(i)と(ii)を満足する変性プロピレン重合体(A)と、オレフィン系重合体(B)とを含む、重合体組成物。(i)180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRが500g/10分以上30000g/10分以下(ii)前記変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率が1.3質量%以上3.0質量%以下である【選択図】なし

Description

本発明は重合体組成物、単層フィルム及び積層体、並びに単層フィルム及び積層体の製造方法に関する。
基材層と接着性重合体組成物からなる接着層を熱ラミネート成形して得られる積層体は、産業資材、自動車、食品や医薬品等、品質の保持が重要視される内容物を包装する材料として広く用いられている。これらの用途に用いる積層体の基材層としては、包装材料に成形性及び材料強度が要求される場合は、金属材料や金属と樹脂の複合材料からなる金属層が用いられる。このような金属を含有する金属層を熱ラミネート成形する場合、特許文献1にあるようなエチレン性不飽和含有成分をグラフトさせた接着性樹脂からなる接着層を用いる技術が知られている。
特許第6387648号
しかし、熱ラミネート成形は、フィルム状態の金属層とフィルム状態の接着層を加熱圧着させる成形法であるため、必ずしも十分な接着強度が得られることはなく、接着強度を満足しようとすると加熱熱量の増加等の設備投資、用役コストの増加が伴ってくる。
特許文献1に記載の樹脂組成物は、熱ラミネート成形性、積層体の接着層として用いた場合の基材層との接着性に優れるとはあるが、依然として改良の余地があった。
本発明は、熱ラミネート成形において積層した積層体の基材層との接着性に優れる重合体組成物と、この重合体組成物を用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、特定の条件を満足する変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)を含む重合体組成物を使うことによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下を要旨とする。
[1]
不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性されており、かつ下記(i)と(ii)を満足する変性プロピレン重合体(A)と、オレフィン系重合体(B)とを含む、重合体組成物。
(i)180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRが500g/10分以上30000g/10分以下
(ii)前記変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率が1.3質量%以上3.0質量%以下である
[2]
前記変性プロピレン重合体(A)について下記式1で計算される再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率が75%以上である、[1]に記載の重合体組成物。
式1 再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率=(キシレン/アセトンによる再沈後の
不飽和カルボン酸成分の含有率)/(キシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率)×100
[3]
前記変性プロピレン重合体(A)と前記オレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対して、前記変性プロピレン重合体(A)の含有率が1質量%以上20質量%以下である、[1]又は[2]に記載の重合体組成物。
[4]
[1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物からなる単層フィルム。
[5]
[1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物からなる接着層と、基材層とを有する積層体。
[6]
前記基材層が金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属層である、[5]に記載の積層体。
[7]
[4]に記載の単層フィルムと基材とを、熱したロールの間で挟み込み加熱圧着する工程を有する、積層体の製造方法。
[8]
前記基材が、金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属フィルムである、[7]に記載の積層体の製造方法。
[9]
[1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物と、オレフィン系重合体を含むその他成分とを乾式混合して、乾式混合物とする工程と、当該乾式混合物を成形して単層フィルムを得る工程とを有する単層フィルムの製造方法。
[10]
[9]に記載の製造方法で得られる単層フィルムと、基材とを、熱したロールの間で挟み込み加熱圧着する工程を有する積層体の製造方法。
[11]
前記基材が、金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属フィルムである、[10]に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、熱ラミネート成形において積層した積層体の基材層との接着性に優れる重合体組成物と、この重合体組成物を用いた積層体を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、本発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
[重合体組成物]
本発明の第一の実施形態に係る重合体組成物(以下、「本実施形態の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性されており、かつ下記(i)と(ii)を満足する変性プロピレン重合体(A)と、オレフィン系重合体(B)とを含むことを特徴とする。
(i)180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のメルトフローレート(MFR)が500g/10分以上30000g/10分以下
(ii)前記変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カ
ルボン酸及び/又はその誘導体の含有率が1.3質量%以上3.0質量%以下である
<メカニズム>
本実施形態の重合体組成物は、(i)と(ii)を満足することで、比較的短い時間と低い熱量の条件でフィルム状態の金属層とフィルム状態の接着層を加熱圧着させる熱ラミネート成形であっても、金属層に変性プロピレン重合体(A)が素早く馴染んで、反応点が広がり、高い接着強度が得られる。
<変性プロピレン重合体(A)>
変性プロピレン重合体(A)は、プロピレン系重合体を少なくとも1種の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性プロピレン系重合体であって、下記(i)と(ii)を満足する。
(i)180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRが500g/10分以上30000g/10分以下
(ii)前記変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率が1.3質量%以上3.0質量%以下である
該変性は、グラフト変性であることが好ましい。ここで「グラフト変性」とは、プロピレン系重合体に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を結合させることを意味する。なお、変性プロピレン重合体における不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の結合位置は、特に限定されず、プロピレン系重合体の主鎖末端及び側鎖の少なくとも一方に導入されていればよい。「不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体」の表記は、「不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種」と表記してもよい。
変性プロピレン重合体(A)の180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRは、変性プロピレン重合体(A)を180℃、荷重2.16kg、1mmの条件で測定した値をハーゲンポアズイユの法則に基づき、16倍した換算値であってもよい。
変性プロピレン重合体(A)の180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRの下限を500g/10分以上とすることで優れた接着性を発現させることができる。このような観点から、変性プロピレン重合体(A)のMFRの下限は、好ましくは1000g/10分以上であり、より好ましくは1250g/10分以上であり、更に好ましくは1500g/10分以上である。
変性プロピレン重合体(A)の180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRの上限を30000g/10分以下とすることで接着層のはみ出しなどの成形不良を回避できる。このような観点から変性プロピレン重合体(A)のMFRの上限は、好ましくは9000g/10分以下であり、より好ましくは8500g/10分以下であり、更に好ましくは8000g/10分以下である。
変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率は1.3質量%以上3.0質量%以下である。
変性プロピレン重合体のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率は、変性プロピレン重合体にグラフト重合している不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフトの含有率を意味するものであり、反応残渣として変性プロピレン重合体中に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率を含まない。
変性プロピレン重合体のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率は、以下のようにして測定して得られる。
1Lの3つ口フラスコ中にキシレン200mlと3gの試料を入れ、115℃で加熱溶解後、アセトン400mlを添加し、再沈・ろ過することにより、反応残渣として変性プロピレン重合体中に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の未反応物を除去したのちに、乾燥温度200℃で2時間以上乾燥させて樹脂塊を得る。この樹脂塊を
プレス成形(200℃)により、厚さ100μmのフィルム状に成形したサンプルを使用し、FT-IR装置(JASCOFT/IR610、日本分光株式会社製)にて、赤外吸収スペクトル法により、サンプル中のカルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収、具体的には1900~1600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより変性プロピレン重合体の再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率を算出する。
変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率の下限を1.3質量%以上とすることで優れた接着性を発現できる。このような観点から、変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率の下限は、好ましくは1.4質量%以上であり、より好ましくは1.5量%以上であり、更に好ましくは1.6質量%以上である。
一方、変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率の上限を3.0質量%以下とすることで不飽和カルボン酸の凝集などによる外観不良を防ぐことができる。このような観点から、変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率の上限は、好ましくは2.9質量%以下であり、より好ましくは2.8質量%以下であり、更に好ましくは2.7質量%以下である。
このような(i)と(ii)を満足する変性プロピレン重合体(A)は、例えば、後述の原料を用いて溶液変性法により製造することができる。
また、接着性の観点から、変性プロピレン重合体(A)について下記式1で計算される再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率が75%以上であることが好ましい。
式1 再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率=(キシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率)/(キシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率)×100
再沈前後の不飽和カルボン酸の含有率及び残存率は、原料の組成や変性率を調整することで、適宜調整することができる。
変性プロピレン重合体(A)の原料として用いるプロピレン系重合体は、プロピレン単位の含有率が50質量%を超える、即ちプロピレン以外の単量体単位の含有率が50質量%以下のものであれば限定されない。好ましくはプロピレン単量体単位の含有率が70量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
プロピレン系重合体は、上記に該当するものであれば特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレンとエチレン及び/又はその他のα-オレフィンとの共重合体、プロピレンとその他のビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。ここで、その他のα-オレフィン、すなわち、プロピレン以外のα-オレフィンは限定されないが、通常、炭素数4~20、好ましくは4~10の二重結合を有する炭化水素が挙げられる。また、「その他のビニルモノマー」も限定されないが、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン、スチレン誘導体等が挙げられる。
プロピレン系重合体は、上記の樹脂の1種であってもよく2種以上の混合物であってもよい。
なお、前記の各共重合体としては、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体等の何れであってもよい。
これらの中でも、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、これらのブレンド物が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。
プロピレン系重合体の密度は、成形性と強度とを共に優れたものとするために、0.860~0.910g/cmであることが好ましい。
また、プロピレン系重合体のMFR(230℃、荷重2.16kg、オリフィス径2mm)は特に限定されないが、通常0.1g/10分以上、100g/10分以下である。プロピレン系重合体のMFRの下限は、製造時のハンドリングの観点から、好ましくは1g/10分以上であり、より好ましくは2g/10分以上である。一方、プロピレン系重合体のMFRの上限は、製造時のハンドリングの観点から、好ましくは95g/10分以下であり、より好ましくは90g/10分以下である。
プロピレン系重合体の曲げ弾性率は、通常30~2000MPaの範囲のものが好適に使用できる。
プロピレン系重合体のグラフト変性に用いる不飽和カルボン酸としては、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの不飽和カルボン酸の酸無水物、カルボン酸エステル等が例示され、更には、酸ハロゲン化物、アミド、イミドなどの誘導体であってもよい。これらの誘導体としては、酸無水物が好ましい。
これらの中では、特にマレイン酸及び/又はその無水物が好適である。また、これらの化合物を複数併用してもよい。更には、ビニルトリメトキシシランなどのいわゆるビニルシラン類などを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体とともに併用することもできる。
変性プロピレン重合体(A)を得るためのグラフト変性は公知の方法を用いることができる。例えば、熱のみの反応でも得ることができるが、反応の際にラジカルを発生させる有機過酸化物等をラジカル発生剤として添加してもよい。また、反応させる手法としては、溶媒中で反応させる溶液変性法や溶媒を使用しない溶融変性法等が挙げられ、更には、懸濁分散反応法などその他の方法を用いてもよい。
溶融変性法としては、プロピレン系重合体と、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、必要により後述するラジカル発生剤を予め混合した上で、混練機中で溶融混練して反応させる方法や、混練機中で溶融したプロピレン系重合体に、ラジカル発生剤と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との混合物を装入口から添加して反応させる方法等を用いることができる。混合には通常、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、溶融混練には通常、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
溶液変性法としては、プロピレン系重合体を有機溶媒等に溶解して、これにラジカル発生剤と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体とを添加してグラフト共重合させる方法を使用することができる。有機溶媒としては特に限定されるものではなく、例えばアルキル基置換芳香族炭化水素やハロゲン化炭化水素を使用することができる。
溶液変性法を用いて変性プロピレン重合体(A)を得る方法としては、具体的には、次の方法がある。
プロピレン系重合体100重量部に対し、無水マレイン酸を15~35質量部、及び有
機溶媒としてモノクロロベンゼン720質量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で112℃にて溶解させ、ここに有機過酸化物であるt-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート2~10質量部を、滴下ロートから同温度で添加し、8時間同温度で攪拌を続けて反応させ、反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させる。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄し、洗浄後のポリマーを減圧乾燥することで白色粉末状の変性プロピレン重合体を得ることができる。
プロピレン系重合体と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との配合割合は限定されないが、プロピレン系重合体100質量部に対し、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を通常5~50質量部、好ましくは8~45質量部、より好ましくは10~40質量部の割合で配合することが望ましい。
ラジカル発生剤は限定されないが、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエート、2,2-ビス(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
これらのラジカル発生剤は、原料のプロピレン系重合体の種類やMFR、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の種類および反応条件等に応じて適宜選択することができ、2種以上を併用してもよい。ラジカル発生剤の配合量は限定されないが、プロピレン系重合体100質量部に対し、通常0.001~20質量部、好ましくは0.005~10質量部、より好ましくは0.01~5質量部、特に好ましくは0.01~3質量部である。
本実施形態において、変性プロピレン重合体(A)は、(i)と(ii)を満足する1種のみを用いてもよく、(i)と(ii)を満足するものであれば、プロピレン系重合体の単量体組成や物性、変性に用いた不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の種類や、含有率の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
<オレフィン系重合体(B)>
オレフィン系重合体(B)としては、特に限定されないが、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと他のモノマーとの共重合体、又はプロピレンと他のモ
ノマーとの共重合体等が挙げられ、重合体を構成し得る他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、もしくは1-オクタデセン等の炭素数3~20のα-オレフィン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する(以下、同様とする)。
オレフィン系重合体(B)の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、もしくは高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン・オクテン共重合体、もしくはエチレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のエチレン・α-オレフィン共重合体、又はエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、もしくはエチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系(共)重合体;プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、又はプロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系(共)重合体;ブテン系(共)重合体等が挙げられる。ここで、「(共)重合体」は、単独重合体と共重合体の総称である。また、「エチレン系重合体」は、エチレン単独重合体およびエチレン共重合体の総称であり、「プロピレン系重合体」は、プロピレン単独重合体およびプロピレン共重合体の総称である。
ここで、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、又はブテン系共重合体とは、それぞれ、エチレン、プロピレン、又はブテンを、共重合体を構成する全モノマー単位の中で最も多く含有することを意味し、50質量%を超える割合で含有する共重合体であることが好ましい。
オレフィン系重合体(B)は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることがきる。
これらの中でも、オレフィン系重合体(B)としては、安価で容易に入手することができ、経済性に優れる観点から、エチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、もしくはエチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系(共)重合体、又はプロピレン単独重合体、もしくはプロピレン・エチレンランダム共重合体等のプロピレン系(共)重合体が好ましく、機械的特性の観点から、エチレン単独重合体、又はエチレン・α-オレフィン共重合体等のエチレン系(共)重合体がより好ましい。
オレフィン系重合体(B)の密度(JIS K7112)は、特に限定されないが、0.85g/cm以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm以上であり、一方、0.98g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.97g/cm以下である。また、オレフィン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、成形性の点から、0.01~50g/10分が好ましく、より好ましくは0.1~30g/10分である。ここで、ポリオレフィン(B)のMFRは、ポリオレフィン系重合体がエチレン系(共)重合体又はブテン系(共)重合体の場合は190℃、荷重2.16
kgでの値を意味し、ポリオレフィン系重合体がプロピレン系(共)重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
オレフィン系重合体(B)は、公知の方法により製造することができ、また、市販品を用いることもできる。
市販品としては日本ポリプロ社のノバテックシリーズ、ウィンテックシリーズ、ウェルネクスシリーズ、三井化学社のタフマーシリーズ、日本ポリエチレン社のノバテックシリーズの該当品を適宜用いることができる。
<変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の含有割合>
本実施形態の重合体組成物は、変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対して、変性プロピレン重合体(A)の含有率が1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対する変性プロピレン重合体(A)の含有率を1質量%以上とすることで良好な接着性を得やす
い傾向にある。このような観点から変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対する変性プロピレン重合体(A)の含有率の下限はより好ましくは1.5質量%以上であり、更に好ましくは2質量%以上である。
変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対する変性プロピレン重合体(A)の含有率を20質量%以下とすることで機械物性を維持しやすい傾向にある。このような観点から変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対する変性プロピレン重合体(A)の含有率の上限はより好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
重合体組成物のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、成形不良、接着不良の観点から0.1~15g/10分が好ましく、より好ましくは0.5~10g/10分である。ここで、重合体組成物のMFRは、230℃、荷重2.16kg、オリフ
ィス径2mmでの値を意味する。
<キシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率>
重合体組成物は、キシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率が0.01質量%以上、0.3質量%以下であることが好ましい。
樹脂組成物のキシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率は、変性プロピレン重合体にグラフト重合している不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフトの含有率と、反応残渣として樹脂組成物に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率とを合わせたものを意味する。
ここで、樹脂組成物のキシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率は、樹脂組成物のペレットをプレス成形(200℃)により、厚さ100μmのフィルム状に成形したサンプルを使用し、FT-IR装置(JASCOFT/IR610、日本分光株式会社製)にて、赤外吸収スペクトル法によってサンプル中のカルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収、具体的には1900~1600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより算出する。
<その他の成分>
本実施形態の重合体組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の変性プロピレン重合体(A)、オレフィン系重合体(B)以外に添加剤や樹脂等(以下、その他の成分という場合がある)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
本実施形態の重合体組成物に使用可能な添加剤は限定されないが、具体的には、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、難燃剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、充填剤(無機および/または有機フィラー等)、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、相溶化剤、触媒残渣の中和剤、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。これら添加剤を用いる場合のその含有量は限定されないが、樹脂組成物100質量%中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下で含有されていることが望ましい。
その他の成分として用いる樹脂は限定されないが、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等を挙げることができる。
ただし、本実施形態の重合体組成物が前述の変性プロピレン重合体(A)、オレフィン系重合体(B)を含むことによる本発明の効果を有効に得る上で、本実施形態の重合体組成物中の全樹脂成分100質量%に含まれる変性プロピレン重合体(A)とオレフィン系重合体(B)以外の樹脂の含有率は5質量%以下であることが好ましく、0~3質量%であることがより好ましい。
<重合体組成物の製造方法>
本実施形態の重合体組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。
混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分散した組成物を得る。
より均一な混合・分散のためには、所定量の上記原料成分を溶融混合することが好ましく、例えば、本実施形態の樹脂組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合してもよいし、各原料成分等の混合物をペレット化したり目的成形品を製造する際の成形時に溶融混合してもよい。
本実施形態の重合体組成物は、所定量の上記原料成分を種々公知の手法、例えばタンブラーブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて混合し、混合後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する手法により調製することができる。溶融混練時の温度は、各原料成分の少なくとも一つが溶融状態となる温度であればよいが、通常は用いる全成分が溶融する温度が選択され、一般には150~300℃の範囲で行う。
本実施形態の重合体組成物は、少なくとも前記の変性プロピレン重合体(A)、オレフィン系重合体(B)を含有していれば、これを独立した原料として用いなくともよい。すなわち、既にこれら成分のうち2つ以上の成分を含有する樹脂組成物を原料とする場合や、既に樹脂組成物からなる成形品となったものを破砕して原料とすることもできる。また、予め樹脂組成物となっている原料が本発明を構成する全ての成分を有していない場合には、足りない成分のみを原料として補えばよい。
<重合体組成物からなる成形品、単層フィルム>
本発明の他の実施形態は、第一の実施形態の重合体組成物から得られる成形品である。
第一の実施形態の重合体組成物から得られる成形品には限定は無く、種々の押出成形品や射出成形品とすることができる。具体的には、第一の実施形態の重合体組成物からなる単層フィルム(I)が挙げられる。
第一の実施形態の重合体組成物と、オレフィン系重合体を含むその他成分を乾式混合した混合物を成形して単層フィルム(II)を得てもよい。この場合、オレフィン系重合体としては、前述の重合体組成物に用いられるオレフィン系重合体(B)と同じものを使用することができる。
このような単層フィルム(II)は、第一の実施形態の重合体組成物と、オレフィン系重合体を含むその他成分を乾式混合して、乾式混合物とする工程と、当該混合物を成形して単層フィルムを得る工程とを有する単層フィルムの製造方法により得られる。
このような単層フィルム(I)や単層フィルム(II)の厚みには特に制限はないが、通常5~500μm程度である。
[積層体、積層体の製造方法]
本発明のさらに他の実施形態は、上述した第一の実施形態の重合体組成物からなる接着層と基材層とを少なくとも有する、2層または3層以上に積層された積層体である。具体的には、積層シート、積層フィルム、積層チューブ等が挙げられる。ここで、「シート」と「フィルム」は何れも面状の成形体を意味し、同義である。
積層体の基材層を構成する材料は限定されないが、樹脂層、金属材料又は金属と樹脂の複合材料からなる金属層が好ましく、より好ましくは金属材料又は金属と樹脂の複合材料からなる金属層である。
第一の実施形態の重合体組成物からなる接着層と基材層とは、隣接している層構成が好ましい。
積層体を製造する方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができるが、特に、熱ラミネート成形が好適である。熱ラミネート成形は、重合体組成物の単層フィルムと基材とを熱したロールの間で挟み込み加熱圧着して接着する方法の成形加工法である。
重合体組成物の単層フィルムとしては、上記した第一の実施形態の重合体組成物からなる単層フィルム(I)や、第一の実施形態の重合体組成物と、オレフィン系重合体を含むその他成分を乾式混合した混合物から得られる単層フィルム(II)を用いることができる。
積層体を熱ラミネート成形により製造する場合、例えば、基材と重合体組成物の単層フィルムを重ね、これらを温度145~155℃のロールで挟み、ニップ圧2~5MPa
、圧着時間10秒の条件で加熱圧着することで製造することができる。
基材層が樹脂層である場合、当該樹脂層は、樹脂フィルム又はシートにより得られることが好ましい。樹脂フィルム又はシートを構成する樹脂は限定されないが、具体的には、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含むオレフィン系ポリマーやオレフィン系エラストマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6・66、ポリアミド12等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂やポリエステル系エラストマー、スチレン系樹脂やスチレン系エラストマー、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が好適に用いられる。中でも、食品や医療用の材料に用いる場合は、ポリエステル樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体層またはポリアミド樹脂層を少なくとも有することが好ましく、中でもポリエステル樹脂が更に好ましい。
これらの樹脂層は、2種以上の樹脂層が積層されていてもよい。
基材層が金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属層である場合、金属層は金属材料又は金属と樹脂の複合材料からなるフィルム又はシートにより得られることが好ましい。金属としては、例えば、アルミ、SUS材、銅、チタンが好適に用いられる。樹脂としては、例えば、プロピレン系重合体、エチレン系重合体、エステル系重合体、ナイロ
ン系重合体が用いられる。
基材の形態は、フィルムやシートに限定されず、織布、不織布のような形状であってもよい。また、基材は、単層構造であっても複層構造であってもよい。複層構造の基材の作成方法としては、特に限定されるものではなく、共押フィルム法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法等が挙げられる。
このような基材層の厚みには特に制限はないが、通常5~150μm程度である。
積層体の各層の厚みは限定されず、層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等により任意に設定することができる。通常、積層体の総厚みは、5~400μmであり、さらには10~300μmであることが好ましく、特には20~200μmであることが好ましい。また、積層体を構成する第一の実施形態の重合体組成物よりなる接着層の厚みは、通常0.1~300μmであり、1~250μmであることが好ましく、特には5~200μmであることが好ましい。
このようにして製造された積層体には、さらに、金属蒸着加工、コロナ放電処理加工、印刷加工等の各種フィルム加工処理を施すことができる。
第一の実施形態の重合体組成物は、金属層や樹脂フィルムに対して優れた接着強度特性を示すため、これを用いた積層体は、各種食品や飲料、医薬・医療品、化粧品、衣料、文具及びその他電池をはじめとした産業資材や工業資材等の包装用途に、好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[測定・評価方法]
以下の実施例及び比較例で用いた原材料、得られた重合体組成物及び積層体の測定・評価方法は以下の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR)
原材料について、JISK7210に準拠して、温度230℃又は180℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。変性プロピレン系重合体a-1、a-2、a-3についてはオリフィス径1mmの条件で測定し、計算にてオリフィス径2mmの場合に換算した。上記以外の変性プロピレン系重合体や重合体組成物はオリフィス径2mmの条件で測定した。
(2)キシレン/アセトンによる再沈前/後の不飽和カルボン酸成分の含有率
変性プロピレン重合体や重合体組成物のキシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率はそれぞれのペレットをプレス成形(200℃)により、厚さ100μmのフィルム状に成形したサンプルを使用し、FT-IR装置(JASCOFT/IR610、日本分光株式会社製)にて、赤外吸収スペクトル法によって算出した。
変性プロピレン重合体や重合体組成物のキシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率は、変性プロピレン重合体にグラフト重合している不飽和カルボン酸
及び/又はその誘導体のグラフトの含有率と、反応残渣として変性プロピレン重合体や重合体組成物に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率とを合わせたものを意味する。
一方で、変性プロピレン重合体のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率は、変性プロピレン重合体にグラフト重合している不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体のグラフトの含有率を意味するものであり、反応残渣として変性プロピレン重合体中に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率を含まない。
変性プロピレン重合体のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率は、以下のようにして測定して得られたものである。
1Lの3つ口フラスコ中にキシレン200mLと3gの試料を入れ、115℃で加熱溶解後、アセトン400mLを添加、再沈・ろ過することにより、反応残渣として変性プロピレン重合体中に単体で存在する不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の未反応物を除去したのちに、乾燥温度200℃で2時間以上乾燥させて樹脂塊を得た。この樹脂塊をプレス成形(200℃)により、厚さ100μmのフィルム状に成形したサンプルを使用し、FT-IR装置(JASCOFT/IR610、日本分光株式会社製)にて、赤外吸収スペクトル法により、変性プロピレン重合体の再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率を算出した。
(4)密度
JISK7112に準拠して、水中置換法で測定した。
(5)曲げ弾性率
JISK7171-1994に準拠して測定した。
[原材料]
以下の実施例及び比較例において、重合体組成物の製造に用いた原材料は以下の通りである。なお、各原材料のMFR及びキシレン/アセトンによる再沈前後の不飽和カルボン酸成分の含有率は表1に示す通りである。
<変性プロピレン重合体(A)>
・a-1
変性プロピレン系重合体a-1として、市販のプロピレン単独重合体(密度:0.900g/cm、MFR(230℃、荷重2.16kg、1mm):10g/10分、曲げ弾性率:1500MPa)を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られた変性プロピレン系重合体を用いた。
・a-2
変性プロピレン系重合体a-2として、市販のプロピレン単独重合体(密度0.900g/cm、MFR(230℃、荷重2.16kg、1mm):10g/10分、曲げ弾性率:1500MPa)を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られた変性プロピレン系重合体を用いた。
<変性プロピレン重合体(A´)>
・a-3
変性プロピレン系重合体a-3として、市販のプロピレン単独重合体(密度0.900g/cm、MFR(230℃、荷重2.16kg、1mm):0.5g/10分、曲げ弾性率:1500MPa)を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られた変性プロピレン系重合体を用いた。
・a-4
変性プロピレン系重合体a-4として、市販のプロピレンαオレフィン共重合体(密度0.900g/cm、MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):2g/10分、曲げ弾性率:46MPa、αオレフィンとしてエチレン単位含有量:11wt%)を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られた変性プロピレン系重合体を用いた。
なお、a-1~4については、変性プロピレン系重合体が表1に示すMFRとなるように、無水マレイン酸の使用量や反応条件を適宜調整して作製した。
<オレフィン系重合体(B)>
・b-1
オレフィン系重合体として、プロピレン系共重合体である日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP EG7F(MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):1.3g/10分、曲げ弾性率:1050MPa、密度:0.900g/cm)を用いた。
・b-2
オレフィン系重合体として、エチレン系共重合体である三井化学社のタフマー(登録商標)P0775(MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):0.6g/10分、密度:0.860g/cm)を用いた。
・b-3
オレフィン系重合体として、プロピレン系共重合体である日本ポリプロ社のWINTEC(登録商標)WFW4M(MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):7.0g/10分、密度:0.900g/cm)を用いた。
・b-4
オレフィン系重合体として、プロピレン系共重合体である日本ポリプロ社のWELNEX(登録商標)RMG02(MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):20g/10分、密度:0.890g/cm)を用いた。
・b-5
オレフィン系重合体として、プロピレン単独重合体である日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)MA3Q(密度0.900g/cm、MFR(230℃、荷重2.16kg、2mm):10g/10分、曲げ弾性率:1500MPa)を用いた。
・b-6
オレフィン系重合体として、エチレン単独重合体である日本ポリエチレン社のノバテック(登録商標)LD LC-701(MFR(190℃、荷重2.16kg、2mm):14g/10分、密度:0.918g/cm)を用いた。
<添加剤>
・X-1:協和化学工業社製合成ハイドロタルサイト 触媒残渣の中和剤「DHT-4A(登録商標)」
[実施例1]
<重合体組成物の製造>
a-1を7質量部、b-1を81質量部、b-2を12質量部、X-1を0.1質量部、ドライブレンドして混合し、2軸押出機(日本製鋼所社製、TEX25、D=25mmφ、L/D=43)を用い、設定温度180~210℃、スクリュー回転数250~350rpm、押出量15~40kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の重合体組成物を得た。
<熱ラミネート成形>
GSIクレオス社製の単層Tダイフィルム成形機にペレット状の重合体組成物を投入し、押出成形温度200~220℃で厚み100μmになるように成形して、単層フィルムを得た。
佐川製作所製のヒートシール試験機を用い、アルミホイル(25μm)と上記で得られた重合体組成物の単層フィルム(100μm)を重ね、温度:155℃、圧着時間:10秒で熱ラミネート成形することにより接着層100μm、金属層25μmの積層フィルムを得た。
<接着強度の測定>
上記で得られた積層フィルムを幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、室温雰囲気下にて、それぞれ速度300mm/分でピール剥離試験を行い、接着強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2024073857000001

[実施例2~6、比較例1~4]
表1の配合組成(質量部)とした以外は実施例1と同様にしてペレット状の重合体組成物を得、同様に評価した。これらの結果を表1に示す。
表1より、本発明の実施形態に係る重合体組成物を用いた実施例1~6は接着強度に優れる事が分かる。これに対して、変性プロピレン重合体(A)を含まない比較例1~4は接着強度に劣る事がわかる。

Claims (11)

  1. 不飽和カルボン酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種で変性されており、かつ下記(i)と(ii)を満足する変性プロピレン重合体(A)と、オレフィン系重合体(B)とを含む、重合体組成物。
    (i)180℃、荷重2.16kg、2mmの条件のMFRが500g/10分以上30000g/10分以下
    (ii)前記変性プロピレン重合体(A)のキシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率が1.3質量%以上3.0質量%以下である
  2. 前記変性プロピレン重合体(A)について下記式1で計算される再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率が75%以上である、請求項1に記載の重合体組成物。
    式1 再沈前後の不飽和カルボン酸成分の残存率=(キシレン/アセトンによる再沈後の不飽和カルボン酸成分の含有率)/(キシレン/アセトンによる再沈前の不飽和カルボン酸成分の含有率)×100
  3. 前記変性プロピレン重合体(A)と前記オレフィン系重合体(B)の合計100質量%に対して、前記変性プロピレン重合体(A)の含有率が1質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の重合体組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体組成物からなる単層フィルム。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体組成物からなる接着層と、基材層とを有する積層体。
  6. 前記基材層が金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属層である、請求項5に記載の積層体。
  7. 請求項4に記載の単層フィルムと基材とを、熱したロールの間で挟み込み加熱圧着する工程を有する、積層体の製造方法。
  8. 前記基材が、金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属フィルムである、請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体組成物と、オレフィン系重合体を含むその他成分とを乾式混合して、乾式混合物とする工程と、当該乾式混合物を成形して単層フィルムを得る工程とを有する単層フィルムの製造方法。
  10. 請求項9に記載の製造方法で得られる単層フィルムと、基材とを、熱したロールの間で挟み込み加熱圧着する工程を有する積層体の製造方法。
  11. 前記基材が、金属材料又は金属と樹脂との複合材料からなる金属フィルムである、請求項10に記載の積層体の製造方法。
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