JP2014189667A - 樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】エチレン・ビニルアルコール共重合体に対し、特に優れた接着強度特性を示す樹脂組成物、該樹脂組成物を接着層として含む積層体を提供する。
【解決手段】変性ポリオレフィン(成分1)と脂肪酸金属塩(成分2)とハイドロタルサイト系化合物(成分3)とを含む樹脂組成物であって、脂肪酸金属塩(成分2)に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合が70質量%以上140質量%以下である樹脂組成物、該樹脂組成物を接着層として含む積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、他の樹脂との接着性が特に良好な樹脂組成物および該樹脂組成物を接着層として含む積層体に関する。本発明の積層体はガソリンタンク等の容器として特に好適に用いることができる。
従来より、ヒートシール性とガスバリア性とを兼ね備えた積層体として、エチレン系ポリマーとエチレン・ビニルアルコール共重合体との積層体が知られており、またその積層体の製造の際に用いられる接着層用の素材も種々提案されている。
例えば、特許文献1には、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド等を積層するにあたり、少なくとも1層に高級脂肪酸金属塩等を0.01〜1質量部配合することにより、接着性を改良する方法が提案されている。
また、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対し、脂肪酸金属塩(成分2)を0.005〜1.0質量部、ハイドロタルサイト系化合物(成分3)を0.005〜1.0質量部含有する樹脂組成物及びそれを接着層とする積層体が開示されている。
特開昭54−87783号公報 特開2012−172047号公報
しかしながら、このような従来提案されている積層体における層間接着強度は未だ不十分であり、特に延伸工程を経た積層体における層間接着強度は未だ改善されていないのが現状である。
本発明の目的は、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対し、特に優れた接着強度特性を示す樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、該樹脂組成物からなる層とエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂からなる層とを有する、層間接着強度が特に高く、食品用やガソリンタンク等の容器として特に好適に用いることができる積層体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、原料となるポリオレフィンに安定剤として添加されている脂肪酸金属塩が極性を有する樹脂に対して接着阻害を引き起こすことを見出した。また、脂肪酸金属塩に対して特定量のハイドロタルサイト系化合物を含有させることにより、接着強度が飛躍的に向上することを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[6]を要旨とする。
[1]変性ポリオレフィン(成分1)と脂肪酸金属塩(成分2)とハイドロタルサイト系化合物(成分3)とを含む樹脂組成物であって、脂肪酸金属塩(成分2)に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合が70質量%以上140質量%以下であることを特徴とする樹脂組成物。
[2]変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対する脂肪酸金属塩(成分2)の割合が0.005質量部以上1.0質量部以下であることを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物。
[3]さらにポリオレフィン樹脂(成分4)を含み、かつ変性ポリエチレン(成分1)100質量部に対するポリオレフィン樹脂(成分4)の割合が0.01質量部以上10000質量部以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4][1]乃至[3]の何れかに記載の樹脂組成物を接着層として含むことを特徴とする積層体。
[5]さらにポリオレフィン層とエチレン・ビニルアルコール共重合体層とを含み、接着層がエチレン・ビニルアルコール共重合体層と接していることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
[6][4]又は[5]に記載の積層体から得られることを特徴とするガソリンタンク。
本発明によれば、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対し特に優れた接着強度を示す樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば、上記樹脂組成物からなる層とエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂層とを有し、特に優れた層間接着強度をもつ積層体が提供される。従って、本発明に係る積層体は、ガソリンタンクや食用油のボトル等、特にガソリンタンクとして好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<樹脂組成物>
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、変性ポリオレフィン(成分1)と脂肪酸金属塩(成分2)とハイドロタルサイト系化合物(成分3)とを含む樹脂組成物であって、脂肪酸金属塩(成分2)に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合が70質量%以上140質量%以下であることに特徴をもつものである。
<変性ポリオレフィン(成分1)>
本発明における変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性した樹脂を意味する。ここで「グラフト変性」とは、不飽和カルボン酸又はその誘導体をポリオレフィン樹脂の共重合成分として用いるのではなく、既に製造されているポリオレフィン樹脂に対し、反応によって不飽和カルボン酸又はその誘導体を結合させるものである。すなわち、本発明において「グラフト変性」とは、不飽和カルボン酸又はその誘導体がポリオレフィン樹脂の骨格に対して鎖長が長い側鎖として導入される場合のみならず、ポリオレフィン樹脂に化学結合していれば包含される。
グラフト変性する原料として用いるポリオレフィン樹脂(以下、「ベース樹脂」ということがある)は特に限定されないが、例えば、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと他のモノマーとの共重合体、プロピレンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20程度のα―オレフィンや、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、及び、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系重合体;プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体;ブテン系重合体等が挙げられる。
ここで、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体とは、それぞれ、エチレン、プロピレン、またはブテンをモノマー単位の50モル%以上の組成で含有する樹脂を言う。
これらのポリオレフィン樹脂は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
これらの中では、エチレン系重合体であるエチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体や、プロピレン系重合体であるプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体が安価で容易に入手することができ、経済性に優れるため好ましい。更には機械的特性の観点から、エチレン単独重合体、エチレン・α―オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体が好ましい。
グラフト変性する原料として用いるポリオレフィン樹脂の密度は特に限定されないが、下限が通常0.85g/cm以上、好ましくは0.87g/cm以上であり、上限が通常0.96g/cm以下、好ましくは0.95g/cm以下である。
また、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレイト(MFR)は特に限定されないが、成形性の点から、通常0.01〜50g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。ここで、ポリオレフィン樹脂のMFRは、ポリオレフィン樹脂がエチレン系重合体またはブテン系重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ポリオレフィン樹脂がプロピレン系重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
本発明における変性ポリオレフィンは、前記のポリオレフィン樹脂が不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性されている。
ここで、不飽和カルボン酸の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、例えば、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N,N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、Nブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
これらのうち、特にマレイン酸またはその無水物が、電子密度が低く反応性が高いことから好適である。
ポリオレフィン樹脂のグラフト変性は、従来公知の種々の方法で行うことができる。変性方法は特に限定されないが、溶融させたポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶融変性法、溶媒に溶解させたポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶液変性法等が挙げられる。これらのうち、衛生性の観点から、溶媒を使用しなくてもよい溶融変性法が好ましく、押出機を用いてグラフト変性することがより好ましい。なお、効率よくグラフト変性するためには、ラジカル開始剤の存在下に変性することが好ましい。
ラジカル開始剤は特に限定されないが、例えば、有機過酸化物又はアゾ化合物が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。これらは、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
これらの中でも、半減期が1分となる分解温度が100℃以上であるものがグラフト変性効率の観点から好ましい。具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、又は、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類が好ましい。
ラジカル開始剤の使用量は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、通常0.001〜1質量部の割合で用いられる。
変性ポリオレフィン中における不飽和カルボン酸またはその誘導体による変性割合(以下、「グラフト率」ということがある)は特に限定されないが、変性ポリオレフィンに対して、下限が通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、上限が通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。グラフト率が上記下限値未満では極性を有する樹脂との接着性が劣る傾向にあり、一方、上記上限値超過では、グラフト化の際にポリオレフィン樹脂自体が一部架橋化を起こして成形性が低下すると同時に、フィッシュアイ、異物発生等により製品外観が悪化する傾向にある。
ここで、グラフト率の測定は、変性ポリオレフィンをそのまま厚さ100μmのシートにプレス成形して試験サンプルとし、赤外線吸収スペクトル法を用い、樹脂中のカルボン酸またはその誘導体特有の吸収から求めることができる。具体的には、1900〜1600cm−1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。
なお、不飽和カルボン酸又はその誘導体によるポリオレフィン樹脂の変性は、100%がグラフト反応に供されるものではなく、ポリオレフィン樹脂と反応していない不飽和カルボン酸又はその誘導体も残留しているが、本発明におけるグラフト率とは、上記の通り、変性ポリオレフィンを上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
通常、グラフト反応に供されずに残留した不飽和カルボン酸又はその誘導体が多量に存在すると、本来の目的である他の樹脂との接着性向上効果を阻害することがある。しかしながら、本発明においては、脂肪酸金属塩(成分2)、及びハイドロタルサイト系化合物(成分3)を配合することにより、残留した不飽和カルボン酸又はその誘導体による悪影響を消失させることが出来る。
変性ポリオレフィンの密度は特に限定されないが、下限が通常0.85g/cm以上、好ましくは0.87g/cm以上であり、上限が通常0.96g/cm以下、好ましくは0.95g/cm以下である。
また、変性ポリオレフィンのメルトフローレイト(MFR)は特に限定されないが、通常0.01〜3000g/10分、さらには0.1〜2500g/10分のものが好ましい。ここで、変性ポリオレフィンのMFRは、ポリオレフィン樹脂がエチレン系重合体またはブテン系重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ポリオレフィン樹脂がプロピレン系重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
<脂肪酸金属塩(成分2)>
本発明に用いる脂肪酸金属塩は特に限定されないが、例えば、炭素数8以上、さらに好ましくは炭素数12〜30、特に好ましくは炭素数12〜20の有機酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、バリウム等の2族金属塩、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マンガン等の遷移金属塩などの金属塩が挙げられる。中でも、成形安定性やコストの点で、炭素数12〜20の2族金属塩および遷移金属塩が好ましく、特に、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸から選択される有機酸のマグネシウム、カルシウム、亜鉛塩が好ましい。
これらの脂肪酸金属塩は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
<ハイドロタルサイト系化合物(成分3)>
本発明に用いるハイドロタルサイト系化合物としては、天然鉱物であるハイドロタルサイトと工業的に合成したハイドロタルサイト類化合物を含み、何れであってもよく、これらの混合物であってもよい。
ハイドロタルサイト系化合物としては、代表的には下記一般式(I)で表されるハイドロタルサイト類が挙げられる。
2+ 1―XAl(OH)(An−X/n・mHO (I)
一般式(I)中、M2+は、周期表の2族金属、または亜鉛族(Zn、Cd、Hg)等の二価金属イオンであるが、中でもMg、Ca、Znが望ましい。An−はn価アニオンであり、xは、0<x<0.5の条件を満足する数値であり、mは、0≦m≦4の条件を満足する数値である。
一般式(I)中のAとしては、たとえばCl、Br、I、NO 、ClO 、SO 2−、CO 2−、SiO 2−、Si 2−、HPO 2−、HBO 2−、PO 3−、Fe(CN) 3−、Fe(CN) 4−、CHCOO、C(OH)COO、(OCOCOO) 、(OCOCCOO) 、などの1種又は2種以上を例示することができる。Aとしては、とくにCO 2−、SiO 2−、Si 2−などが好ましい。
合成ハイドロタルサイト系化合物としては市販品も入手可能であり、MgAl(OH)16CO・4HOが、協和化学工業社製、製品名DHT−4Aとして入手可能である。
<ポリオレフィン樹脂(成分4)>
本発明の樹脂組成物は、成分1としての変性ポリオレフィンの他に、成分4としてポリオレフィン樹脂を用いることができる。ここで、成分4としてのポリオレフィン樹脂とは、不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性されていないポリオレフィン樹脂を意味する。
本発明の樹脂組成物に成分4を含有させることにより、積層体とした際の接着性や耐熱性が向上する場合がある。
成分4としてのポリオレフィン樹脂は特に限定されないが、前記した変性ポリオレフィンの原料として用いるポリオレフィン樹脂そのものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
また、成分4としてのポリオレフィン樹脂は、変性ポリオレフィンの原料として用いるポリオレフィン樹脂と同一であっても異なっていてもよく、その組合わせは任意であるが、これらを同一樹脂とした場合に、積層体としての接着性が向上する場合がある。
成分4の密度は特に限定されないが、下限が通常0.85g/cm以上、好ましくは0.87g/cm以上であり、上限が通常0.96g/cm以下、好ましくは0.95g/cm以下である。
また、成分4のメルトフローレイト(MFR)は特に限定されないが、成形性の点から、通常0.01〜50g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。なお、成分4のMFRは、ポリオレフィン樹脂がエチレン系重合体またはブテン系重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ポリオレフィン樹脂がプロピレン系重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物において、脂肪酸金属塩(成分2)に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合は70質量%以上140質量%以下(質量比で脂肪酸金属塩:ハイドロタルサイト系化合物=1:0.7〜1.4)である。ハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合は、好ましくは80質量%以上であり、また好ましくは120質量%以下である。成分2に対する成分3の割合が上記範囲内にある場合、本発明の樹脂組成物はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対する接着性に特に優れるものとなる。
成分2に対する成分3の配合割合が上記下限値未満であると、脂肪酸金属塩と変性ポリオレフィンの塩交換により生成する遊離酸をハイドロタルサイト系化合物がトラップできず、接着層とエチレン・ビニルアルコール共重合体等の被着体との界面に遊離酸が析出するため接着を阻害する場合がある。一方、成分2に対する成分3の配合割合が前記上限値超過であると、該変性ポリオレフィンと被着体との接着強度が低下する傾向がある。
また、変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対する脂肪酸金属塩(成分2)の割合は、下限が通常0.005質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上であり、上限が通常1.0質量部以下、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。成分2の配合割合が上記範囲内にある場合、本発明の樹脂組成物はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対する接着性に優れるものとなる。
また、変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合は、下限が通常0.005質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上であり、上限が通常1.0質量部以下、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。成分3の配合割合が上記範囲内にある場合、本発明の樹脂組成物はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対する接着性に優れるものとなる。
成分1に対する成分3の配合割合が前記下限値未満では、脂肪酸金属塩と変性ポリオレフィンの塩交換により生成する遊離酸をハイドロタルサイト系化合物がトラップできず、接着層とエチレン・ビニルアルコール共重合体等の被着体との界面に遊離酸が析出するため接着を阻害することとなる。一方、ハイドロタルサイト系化合物の配合割合が上記上限値超過では、遊離酸のトラップに加えハイドロタルサイト系化合物が変性ポリオレフィンと反応してしまい、該変性ポリオレフィンと被着体との反応効率を落としてしまう場合がある。
また、本発明の樹脂組成物は、変性ポリオレフィン(成分1)と脂肪酸金属塩(成分2)の配合割合が、下記式(A)の値として、下限が通常0.001以上、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上であり、上限が通常100以下、好ましくは10以下、より好ましくは1以下である。下記式(A)の値が前記下限値未満であると、ハイドロタルサイト系化合物(成分3)が変性ポリオレフィン(成分1)と反応してしまい、該変性ポリオレフィンと被着体との反応効率を落としてしまうことがある。一方、下記式(A)の値が前期上限値超過であると、脂肪酸金属塩と変性ポリオレフィンの塩交換により生成する遊離酸をハイドロタルサイト系化合物がトラップできず、接着層とエチレン・ビニルアルコール共重合体等の被着体との界面に遊離酸が析出するため接着を阻害する場合がある。
[〔成分2の配合割合(質量部)〕/〔{成分1の配合割合(質量部)}×{成分1のグラフト率(質量%)}〕]×100 (A)
以上の通り、本発明においては、成分1、成分2および成分3の相互の配合比率を最適化することによって、積層体とした際の接着強度を最大限に発揮することができる。
ポリオレフィン樹脂(成分4)を用いる場合のその使用量は特に限定されないが、変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対する成分4の割合は、下限が通常0.01質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは100質量部以上であり、上限が通常10000質量部以下、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下である。
また、成分4を用いる場合、本発明の樹脂組成物中の含有量としては、下限が好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、上限が好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
成分4を上記の含有量で含有することにより、本発明の樹脂組成物を用いて積層体とした際の接着性や耐熱性が向上する場合がある。更には、成分1、成分2および成分3を含有する樹脂組成物を予めマスターバッチとして製造しておき、これを成分4で適宜希釈することによって種々の配合比率の樹脂組成物とすれば、様々な用途に対してそれぞれ最適化した樹脂組成物を簡便に製造することができるという大きな効果がある。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の成分1〜成分4以外に添加剤や樹脂等(以下、「その他の成分」ということがある)を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
添加剤としては、具体的には、プロセス油、加工助剤、可塑剤、結晶核剤、衝撃改良剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤、相溶化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤(酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、カーボンブラック、着色剤(顔料、染料など)等が挙げられる。これら添加剤を用いる場合のその含有量は特に限定されないが、樹脂組成物に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好ましくは2質量%以下である。なおこれらの添加剤は、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有量の2〜50倍、好ましくは3〜30倍の濃度で含有させることもできる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が好ましい。具体的には、金属水酸化物、リン系難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、例えば、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
その他の成分として用いる樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を従来公知の方法、たとえば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいは、このような方法で混合して得られた混合物を、さらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒あるいは得られた樹脂塊を粉砕することによって得ることができる。また、ニーダーや、ロールを用いて混合することもできる。これらの方法で樹脂組成物を製造する際の製造条件は限定されず、周知の条件で適宜設定することができる。
本発明の樹脂組成物の密度は特に限定されないが、成形性の点から、下限が通常0.85g/cm以上、好ましくは0.87g/cm以上であり、上限が通常0.96g/cm以下、好ましくは0.95g/cm以下である。
また、本発明の樹脂組成物のメルトフローレイト(MFR)は特に限定されないが、成形性の点から、通常0.01〜50g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。なお、樹脂組成物のMFRについても前記と同様、樹脂組成物が成分1と成分4との総量としてエチレンまたはブテンを主成分とする場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、プロピレンを主成分とする場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
上記のような各成分からなる本発明の樹脂組成物は種々の樹脂との接着性が良好であるが、特に、極性基を有するオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性を有する樹脂に対して高い接着性能を発揮する。
<積層体>
次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、上述した本発明の樹脂組成物を接着層として含むことに特徴をもつものである。本発明の積層体には、積層シート、積層フィルム、積層ボトル、積層タンク等の積層体が包含される。なお、本発明の積層体における「接着層」を「樹脂組成物層」ということがある。
本発明の積層体において、接着層以外の層を構成する材料は特に限定されないが、極性を有する樹脂が好ましい。具体的には、例えば、極性基を有するオレフィン系樹脂や、ポリアミド樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が好適に用いられる。ここで、極性を有する樹脂とは、樹脂の分子構造中に極性基や極性をもつ結合を有する樹脂を意味し、具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、イソシアネート基、グリシジル基等の官能基や、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合等の結合をもつ樹脂を意味する。
極性基を有するオレフィン系樹脂としては、具体的には、本発明の成分1に相当する樹脂のほか、シラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体などが好ましく用いられる。中でも融点、剛性などが優れるナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66が好ましい。
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)としては、好ましくはエチレン含有量が15〜65モル%、さらに好ましくは25〜48モル%である共重合体が望ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより調製することができる。その鹸化度の下限は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上であり、鹸化度の上限は100%である。エチレン含有量が少な過ぎると熱分解し易く、溶融成形が困難で、また延伸性にも劣り、かつ吸水し膨潤し易く耐水性が劣る。一方エチレン含有量が多過ぎると、耐ガス透過性が低下する傾向がある。また、鹸化度が低過ぎる場合には、耐ガス透過性が低下する傾向がある。
本発明の積層体において、上記極性を有する樹脂層は、接着層(本発明の樹脂組成物層)と接していることが好ましい。
また、本発明の積層体は、本発明の樹脂組成物層(接着層)、極性を有する樹脂層に加え、さらにエチレン系重合体、プロピレン系重合体等から選択される無極性のオレフィン系樹脂層を含んでいてもよい。そのような場合の層構成は任意であるが、特に、無極性のオレフィン系樹脂層、樹脂組成物層(接着層)、エチレン・ビニルアルコール共重合体層の順に積層された積層体が好ましい。なお、本発明において、「無極性のオレフィン系樹脂層層」を単に「ポリオレフィン層」ということがある。
ここで、上記エチレン系重合体のエチレン含有量は、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上であり、また上限が100モル%以下である。このようなエチレン系重合体としては、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
また、上記プロピレン系重合体のプロピレン含有量は、通常50モル%以上100モル%以下である。このようなプロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系重合体が挙げられる。中でもプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、特にプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体が好ましい。
本発明の積層体を、ガソリンタンクや食用油のボトル等の容器として用いる場合、その層構成は特に限定されず、それ自体既知の通常用いられる層構成であればよい。例えば、ガソリンタンクの場合、通常6層構成[高密度ポリエチレン(HDPE)層/リサイクル樹脂層/接着層/エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)層/接着層/高密度ポリエチレン(HDPE)層]で使用される。
本発明の積層体を製造する方法としては、従来公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた、個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層するインフレーションフィルム、T−ダイフィルム、シート、パイプなどを成形する共押出手法や、溶融した個々の樹脂を同一金型内にタイムラグを付けインジェクションする、共インジェクション成形などがある。
また、各層を構成する樹脂フィルム同士に熱をかけてラミネートすることで積層することも可能である。
本発明の積層体は、特に延伸した場合に、接着性が良好であるという特性を顕著に奏する。
本発明の積層体を延伸して得る場合の製造方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができる。延伸方向は、一軸延伸であっても二軸延伸であってもよく、また逐次延伸で製造しても、同時延伸で製造してもよい。
例えば、前記方法で得られた未延伸の積層体を冷却固化後、各成形品をインライン、またはアウトラインで60〜160℃の延伸温度まで再加熱し、テンター、プラグおよび圧縮空気等を用い一軸方向、あるいは二軸方向に少なくとも面積比で1.5倍以上延伸を行い、一軸または二軸延伸成形したフィルム、カップ、ボトル等の成形体を得る方法が挙げられる。インフレーションフィルムの場合、インフレーション同時二軸延伸法、ロールおよびテンターによる逐次二軸延伸法等、カップの場合、金型内で圧縮空気等のみによる圧空成形、プラグと圧縮空気を併用するSPPF成形等が一般的に用いられる。
本発明の積層体を延伸して得る場合、上記の通り延伸した後には、熱固定を行ってもよいし、熱固定をせずに製品としてもよい。熱固定を行わない場合は、その後に積層体を加熱することによって応力が開放され、収縮する性質をもつためシュリンクフィルムとして用いることができる。
本発明の積層体の各層の厚みは限定されず、層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等により任意に設定することができる。
食品包装用や工業製品包装用のフィルムの場合、無延伸の積層体の総厚みは、通常30〜400μm、好ましくは40〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。また、無延伸の積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常1〜100μm、好ましくは2〜80μm、より好ましくは3〜50μmである。
また、該用途に用いる延伸積層体(延伸フィルム)の総厚みは、通常5〜400μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmである。また、延伸フィルムを構成する接着性樹脂層の厚みは、通常0.1〜50μm、好ましくは0.3〜30μm、より好ましくは0.5〜20μmである。
食品用や衛生品用、一般工業製品用のボトル形状の場合、無延伸または延伸された積層体の総厚みは、通常0.1〜7mm、好ましくは0.15〜6mm、より好ましくは0.2〜5mmである。また、無延伸または延伸された積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常3〜300μm、好ましくは4〜200μm、より好ましくは5〜100μmである。

ガソリンタンク等の大型成型品の場合、無延伸または延伸された積層体の総厚みは、通常1〜20mm、好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜5mmである。また、無延伸または延伸された積層体を構成する接着性樹脂層の厚みは、通常30〜400μm、好ましくは40〜300μm、より好ましくは52.5〜200μmである。
通常、積層体の層間接着力は、接着層にステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩を含有することにより低下する場合が有り、また接着層の厚みが厚いほど脂肪酸金属塩を含有する絶対量が多くなる為、脂肪酸金属塩とマレイン酸等の変性ポリオレフィンを構成するカルボン酸との反応により、遊離酸が生成し易く、その遊離酸が接着層と被着体の界面に移行することにより接着の低下が大きくなることがある。これに対し、本発明の積層体は、接着層の厚みが厚い場合においても良好な接着性を発揮する事ができる。この為、接着層の厚みが無延伸状態で5mm以上、更には10mm以上であっても良好な層間接着力を維持することができる。
本発明に係る樹脂組成物は、極性を有する樹脂、特に、ポリアミド樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体に対して優れた接着強度特性を示す。このため、本発明に係る積層体は優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性およびガスバリアー性に優れる。従って、本発明に係る積層体は、ガソリンタンクや食用油のボトル等の容器、特にガソリンタンクとして好適に使用することができる。
以下、本発明を実験例(実施例、比較例)により説明するが、本発明はこれらの実験例により何ら限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と下記実施例の値又は実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
実施例、比較例で用いた材料は次のとおりである。<変性ポリオレフィン>
次のとおり、溶融変性により調製した。
エチレン・ブテン共重合体(密度0.95g/cm、MFR(230℃,荷重2.16kg)0.8g/10分。日本ポリエチレン社製、ノバテックHD HY430)10kgに対し、無水マレイン酸100g及び有機過酸化物(日油社製、パーヘキサ25B)10gを加えて混合し、予め200℃に設定した二軸押出機に投入して溶融混合し、ストランドカットすることにより、グラフト量1.0重量%のペレット状の変性ポリエチレンを得た。変性ポリエチレンの密度は0.95g/cm、MFR(180℃、荷重2.16kg)は0.2g/10分)であった。
<脂肪酸金属塩>
ステアリン酸亜鉛を用いた。
<ハイドロタルサイト系化合物>
協和化学工業社製のDHT−4A(MgAl(OH)16CO・4HO)を用いた。
<ポリオレフィン樹脂>
高密度ポリエチレン(HDPE;密度0.95g/cm、MFR(190℃,荷重2.16kg)0.5g/10分)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE;密度0.92g/cm、MFR(190℃,荷重2.16kg)2.0g/10分)を用いた。脂肪酸金属塩は、これらポリオレフィン樹脂に所定量を予め含有させることにより、樹脂組成物に含有させた。
[比較例1〜8、実施例1]
変性ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE−1(脂肪酸金属塩含有量:1100ppm)、HDPE−2(脂肪酸金属塩不含))、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE−1(脂肪酸金属塩含有量:500ppm)、LLDPE−2(脂肪酸金属不含))、ハイドロタルサイト系化合物(DHT−4A)を表1に記載の配合割合で事前にドライブレンドにより混合した。
これを単軸押出機(IKG社製、PSM50−32(1V)、D=50mmφ、L/D=32)を用い、設定温度210℃、スクリュー回転数60rpm、押出量20kg/hで溶融混練し、ストランドカットによりペレット状の樹脂組成物を得た。
比較例1〜8、実施例1で得られた樹脂組成物を接着層とし、以下の方法により積層体を得た。
住友重機械モダン社製、ブロー成形機を用い、3種3層の多層ブローボトルを得た。層構成は、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH;クラレ社製、F101B)、高密度ポリエチレン(JPE社製、HB111R)を用い、EVOH層/接着層/ポリエチレン層とした。成形温度は230℃、冷却金型温度は30℃とした。
上記で得られた積層体(ボトル)を押出方向(MD方向)に幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、23℃雰囲気下、速度50mm/分の条件にて180°ピール剥離試験を行った。その結果を表1に示す。なお、接着強度は、基材層と接着層との界面における接着強度を意味する。また、表1において、下段と上段の比較例3は同一の実験である。各比較例、実施例は、条件と結果の相互の比較のために、下段と上段に分けて示した。
Figure 2014189667
比較例1と比較例5から、脂肪酸金属塩を含まない比較例5の方が、接着強度が高いことが分かる。また、比較例1〜4から、変性ポリオレフィン濃度を増やしても接着強度はほぼ一定であることが分かる。このように、脂肪酸金属塩による接着阻害は、変性ポリオレフィン濃度を増やしても回復しなかった。
一方、特定量のハイドロタルサイト系化合物を配合した実施例1では接着強度が飛躍的に増加することが、また実施例1、比較例3、6〜7から、ハイドロタルサイト系化合物濃度には最適な範囲があり、それを超えて濃度を増加させると、接着強度は低下することが分かる。これらの結果から明らかなとおり、脂肪酸金属塩による変性ポリオレフィンの接着阻害(接着強度の低下)は、特定の濃度範囲のハイドロタルサイト系化合物により特異的に回復あるいは阻害回避させることができる。

Claims (6)

  1. 変性ポリオレフィン(成分1)と脂肪酸金属塩(成分2)とハイドロタルサイト系化合物(成分3)とを含む樹脂組成物であって、脂肪酸金属塩(成分2)に対するハイドロタルサイト系化合物(成分3)の割合が70質量%以上140質量%以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 変性ポリオレフィン(成分1)100質量部に対する脂肪酸金属塩(成分2)の割合が0.005質量部以上1.0質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. さらにポリオレフィン樹脂(成分4)を含み、かつ変性ポリエチレン(成分1)100質量部に対するポリオレフィン樹脂(成分4)の割合が0.01質量部以上10000質量部以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の樹脂組成物を接着層として含むことを特徴とする積層体。
  5. さらにポリオレフィン層とエチレン・ビニルアルコール共重合体層とを含み、接着層がエチレン・ビニルアルコール共重合体層と接していることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
  6. 請求項4又は5に記載の積層体から得られることを特徴とするガソリンタンク。
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