JP5320662B2 - 酸変性ポリプロピレン樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物 - Google Patents

酸変性ポリプロピレン樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン主鎖に有機酸成分がグラフトされた酸変性ポリプロピレン樹脂、及びその製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物に関する。
汎用樹脂であるポリプロピレンや、プロピレンと他の共重合可能な単量体との共重合体(以下、これらを総称して「ポリプロピレン樹脂」と記す。)は、比較的安価でかつ良好な成形性、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性、外観等の特性を有するため、各種の成形品に加工され、多方面の分野で使用されている。しかしながら、ポリプロピレン樹脂は、基本的に飽和炭化水素で構成されていて、化学反応性に乏しく、また極性も低いため、接着性、塗装性、印刷性の改善が望まれていた。
そこでこれを改善する方法として、ポリプロピレン樹脂に無水マレイン酸等に代表される、不飽和カルボン酸またはその無水物等をグラフト反応させて変性する方法が知られている。この酸変性ポリプロピレン樹脂は、有機過酸化物や熱分解法等によって発生させたラジカルを開始剤とした、有機酸成分のグラフト反応により製造される。
ところがこのグラフト反応は酸成分のグラフト反応速度とポリプロピレン分子鎖のβ開裂反応との競争反応となり、一般的にはβ開裂反応速度の方がグラフト反応速度よりも速く、グラフト量向上のためには、結果的に分子量の低下を伴うことが知られている。このようにグラフト反応中に低分子量化されたポリプロピレン樹脂は、接着強度、耐衝撃強度等の物性に悪影響を及ぼすため、物性改良の観点から、グラフト量と分子量のバランスが改善された酸変性ポリプロピレン樹脂の開発が望まれており、種々の提案がなされている(特許文献1、2)。
ところで近年、各用途での樹脂材料への要求が益々高度になるにつれ、異なる性質を持つ異種材料を接着させることで複数の特性を兼ね備えた複合材料の開発が進みつつある。このためには異種材料を接着させるための良い接着剤が必要だが、通常、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は極性が低いため極性樹脂との接着性が非常に悪く、これらポリオレフィン系樹脂と極性樹脂とを十分な接着力で接着可能な接着剤の開発が望まれている。
特開2002−020436 特開2003−183336
そこで本発明は上記要望に鑑み、ポリオレフィン系樹脂と極性樹脂とを十分な力で接着可能な接着剤に用いうる、酸変性ポリプロピレン樹脂及びその製造方法、並びにそれを用いた樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、酸変性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)と有機酸成分のグラフト量とが特定の関係を満足する酸変性ポリプロピレン樹脂が上記課題を解決することを見出し本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は、ポリプロピレン樹脂に有機酸成分がグラフトしてなる酸変性ポリプロピレン樹脂であって、該酸変性ポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレン樹脂、有機酸成分、及び一般式(2)で示される有機過酸化物を有機溶媒中で加熱混合して得られたものであり、有機酸成分のグラフト量X(wt%)が1.0〜20.0(wt%)であり、180℃、荷重21.18Nの条件下で測定されたメルトフローレートY(g/10分)が10〜670(g/10分)であり、かつ
Y≦18.5exp(0.82X)・・・(1)
を満たすことを特徴とする、酸変性ポリプロピレン樹脂に存する。
−A−R ・・・(2)
(式中、Aは−O−CO−O−O−で示される構造を少なくとも1以上含む二価の連結基であり、R 及びR はそれぞれ独立して、炭素数1〜9の飽和または不飽和の炭化水素基である。)
好ましくは、Xが1.5wt%以上、より好ましくは2.0wt%以上であり、好ましくは15.0wt%以下、より好ましくは10.0wt%以下である。
本発明において、酸変性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレートY(g/10分)は、JIS K7210に準拠し、温度180℃、荷重21.18Nの条件下で測定された値とする。ただしポリプロピレンホモポリマーのMFRは通常230℃、21.18Nの条件下で測定される。
またグラフト量Xは以下の通り求められる。酸変性ポリプロピレン樹脂を熱プレスして厚さ約100μmのフィルムを作製し、赤外線吸収スペクトルを測定し、カルボニル基の吸収ピーク(1780cm-1付近のピーク)の面積から酸変性ポリプロピレン樹脂中の有機酸成分含有量を算出し、これをグラフト量X(wt%)とする(X=(グラフトされた有機酸成分の量)/(酸変性ポリプロピレン樹脂全量)*100)。
通常は、カルボニル基の吸収ピーク(1780cm-1付近のピーク)の大きさと有機酸成分含有量との検量線を標準試料から別途作製しておき、これに基づき算出する。
なお本発明において「wt%」は「質量%」を表す。
また本発明の別の要旨は、上記酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法に存する。
更に本発明の別の要旨は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、上記の酸変性ポリプロピレン樹脂を0.1重量部〜30重量部含んでなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物に存する。また、本発明の別の要旨は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる接着性樹脂組成物に存する。
また本発明の別の要旨は、基材上に、上記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる接着層、及び、エチレン・ビニルアルコール共重合体又はポリアミドからなる層を少なくとも有してなる、積層体に存する。基材は好ましくはポリオレフィン系樹脂基材を用いる。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂(以下、本発明の樹脂とも言う)は高グラフト量かつ高分子量であることから、本発明の樹脂、及び本発明の樹脂を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物(以下、本発明の樹脂組成物とも言う)は、極性樹脂とポリオレフィン系樹脂の両方との接着性や相溶性が極めて高い利点がある。従って、接着性、相溶性、印刷適性、絶縁性/導電性、フィラーとの親和性等のバランスに優れ、種々の用途に使用しうる。
特に、ポリオレフィン系樹脂と極性樹脂とを十分な力で接着可能な接着剤用途に用いることができるので、異種材料からなる積層フィルム、積層シート等複合材料としての積層体を提供できる利点がある。
また、本発明の樹脂はアイソタクチックであることから耐熱性が高く加熱殺菌が可能であり、また油性物等に対しても溶出量が低いため、食品や医療等の用途への適用も可能である。
更に、本発明の樹脂は透明性にも優れるので、被塗装物の色調などに影響を与えることなく塗装できる。また無機フィラーや顔料などとの親和性にも優れることから、自動車部品等、各種物品の塗装用の樹脂組成物としても好ましい。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂製造方法によれば、グラフト反応中にポリプロピレン樹脂が低分子量化されないため、本発明の樹脂の靭性が損なわれず、かつ本発明樹脂中の有機酸成分のグラフト量を極めて高くすることができる。
本発明の樹脂組成物はエチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド等の極性樹脂とポリオレフィン系樹脂の双方への相溶性にも優れることから、これら樹脂を積層するに際し、本発明の樹脂組成物からなる接着層を用いると、接着性に優れた積層体が得られる。本積層体は例えばガスバリアシートとして、食品や医療用のボトル、カップ、チューブ等に適用できる。
また、本発明の樹脂は高グラフト量かつ高分子量であり、極性樹脂とポリオレフィン双方への相溶性に優れることから、積層体とした場合にリグラインド性(再生材としたときの特性)にも優れる利点がある。
なお本発明においては必ずしもすべての効果を発現することを必須とするものではなく、上記したうち1以上の効果があればよいものとする。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレン樹脂に有機酸成分がグラフトしてなり、その酸変性ポリプロピレン樹脂中での有機酸成分のグラフト量X(wt%)が1.0wt%〜20.0wt%の範囲であり、かつ、酸変性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレートY(g/10分)が
Y≦18.5exp(0.82X)・・・(1)
を満たすものである。
従来、有機酸成分のグラフト量Xは高いとされるものでも0.5〜0.6wt%程度であった(特許文献2等)が、これを1.0wt%以上とすることで、有機酸成分に含まれるカルボン酸基等の極性基を樹脂に多量に導入でき、極性樹脂との接着性を高め、無機物質との親和性を大きくできる利点がある。好ましくはXを1.5wt%以上とし、より好ましくは2.0wt%以上とする。
またグラフト量Xは20.0wt%以下とする。これを超えて有機酸成分を導入すると、メルトフローレートYの上昇、すなわち分子量低下が避けられず、逆に樹脂の接着強度、耐衝撃強度等の物性を悪化させるためである。従ってこれ以上の有機酸成分の導入は通常好ましくない。接着強度、耐衝撃強度等の物性を重視する場合には、好ましくはXを15.0wt%以下とし、より好ましくは10.0wt%以下とする。
本発明の樹脂のメルトフローレートY(g/10分)を、グラフト量Xとの関係式(1)を満たすものとする。メルトフローレートYは本発明の樹脂の分子量と相関関係があり、一般にYが大きいほど分子量は小さい。式(1)はグラフト量Xを大きくしても分子量を小さくしすぎないことを示しておりバランスの良い特性を持つ樹脂を得るために必要である。メルトフローレートYが式(1)を満たすことで、接着強度、耐衝撃強度等の物性を確保でき、接着性や表面保護性を高められる利点がある。より好ましくは式(3)を満たすものとする。
Y≦18.5exp(0.80X)・・・(3)
更に好ましくは式(4)を満たすものとする。
Y≦18.5exp(0.78X)・・・(4)
なおメルトフローレートYは通常100,000g/10分以下である。好ましくは10,000g/10分以下、より好ましくは5,000g/10分以下である。
組成物への分散性、樹脂の流動性を十分に得るためにはメルトフローレートYは1g/10分以上であることが好ましい。より好ましくは10g/10分以上、更に好ましくは20g/10分以上である。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂は、上記特性を備えることでポリオレフィン系樹脂と極性樹脂の双方に強い接着力を発揮するので、これを配合した本発明の樹脂組成物は、通常、互いに接着しにくい両樹脂をうまく接着できる利点があり、種々の有用な積層体が得られる利点がある。
また、本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂は高温下においても接着性、強度(剛性)の低下が抑えられる利点がある。積層体の生産性を高めるには高温成型を行うことが望ましいが、従来、高温成型を行うと、成型過程での加熱による樹脂の分子量低下により、接着性や強度が低下しやすいという問題点がある。しかし、本発明の樹脂は高分子量であるため高温成型を行っても比較的高い分子量を保つことができ、優れた接着性及び強度の維持が図れ、高い生産性を得ることができる利点がある。
また、本発明の樹脂を接着性樹脂組成物として用いると、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂と、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミドなどの極性樹脂とを十分な力で接着できるので異種材料からなる積層フィルム、積層シート等複合材料の製造等にも好適に適用できる。しかも従来よりも少ない使用量で強い接着力が得られるので、使用量を減らすことができコストが低減できる利点がある。
更に、本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂は高グラフト量かつ高分子量であり、極性樹脂とポリオレフィン双方への相溶性に優れることから、積層体とした場合にリグラインド性にも優れる利点がある。
一般に、ガスバリアシート等の積層体の製造においては、成型後に余った積層体(積層体シートからカップ等の形状に打ち抜いた後の残りのシート等)を加熱溶融しリサイクルして、リグラインド材(再生材)として接着性樹脂として再使用することが行われている。例えば、ポリプロピレン/リグラインド材層/接着層/EVOH層/接着層/ポリプロピレン、等のようにポリオレフィン層と接着層の間にリグラインド材層(再生層)を挟むことが多い。
従来、リグラインド材はリサイクル時の加熱によって樹脂が切断され、分子量が低くなるため接着性や強度が低下しやすいという問題があった。またリグラインド材にはEVOH等の極性樹脂とポリプロピレンとが混在するが、これらは互いに相溶性が悪く、ゲル化や表面荒れなど外観不良、強度低下、などの問題もあった。
しかし、本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂は、高分子量であるためリサイクルを行っても比較的高い分子量を保つことができ、ポリオレフィンとの高相溶性、高密着性や高強度、高靭性を維持できる。また高グラフト量であるため、EVOH、ポリアミド等の極性樹脂の分散性も良く、均質となりゲル化しにくく透明性にも優れるので積層体の外観も良好となる。このようにリサイクルが行いやすく、環境的にやさしく、またコストメリットも大きい。
次に、本発明の別の一態様である、本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法(以下、本発明の製造方法とも言う。)について説明する。
本発明の製造方法は、ポリプロピレン樹脂、有機酸成分、及び一般式(2)で示される有機過酸化物とを加熱混合して酸変性ポリプロピレン樹脂を得ることを特徴とする。
1−A−R2 ・・・(2)
式中、Aは−O−CO−O−O−で示される構造を少なくとも1以上含む二価の連結基であり、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素数1〜9の飽和または不飽和の炭化水素基である。
本発明者の検討の結果、ポリプロピレン樹脂をグラフト反応させる際、式(2)で示される特定構造を有する有機過酸化物を用いることで、優れた特性をもつ酸変性ポリプロピレン樹脂が得られることを見いだした。
その理由は必ずしも明らかではないが、本発明者の検討によれば、式(2)で示される有機過酸化物は、従来から用いられているジクミルペルオキシド、m−トルオイル アンド ベンゾイルペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート等の有機過酸化物に比べて反応場におけるラジカルの安定性が高いことから、グラフト反応速度がβ開裂反応速度に比べて高いことが推定される。このためグラフト反応に伴う低分子量化が抑えられると考えられる。
式(2)で示される有機過酸化物について説明する。Aは−O−CO−O−O−で示される構造を少なくとも1以上含む二価の連結基である。なお−O−CO−O−O−構造は一般に過炭酸エステルとも呼ばれるが、本構造を含む構造であれば特にこれに限定されず−O−CO−O−O−CO−O−なる構造であってもよい。本構造は1以上含んでいれば特に限定されないが、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。例えば、本構造間に他の炭素数1〜10程度の炭化水素基を挟んで複数の−O−CO−O−O−を含む構造を有してもよい。但し、最も好ましくは−O−CO−O−O−で示される構造を1つだけ含む構造である。また特に限定はされないがAは通常、分子量76〜1000程度であり、好ましくは分子量76〜500程度である。
1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜9の飽和または不飽和の炭化水素基である。炭素数1〜9の炭化水素基は、直鎖または分岐の脂肪族、脂環族、芳香族のいずれであってもよく、脂肪族、脂環族は飽和でも不飽和でもよく、これらを満たせば特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、t−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
好ましくは、R1及びR2の少なくとも一方が、直鎖または分岐の脂肪族又は芳香族であり、より好ましくは直鎖または分岐の脂肪族であり、更に好ましくは直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基であり、特に好ましくは分岐鎖状アルキル基である。また好ましくは炭素数1〜8である。特に好ましくは、イソプロピル基又はt−ブチル基である。R1及びR2の両方が上記の基であることがより望ましい。また特に限定はされないが有機過酸化物は通常、分子量100〜1500程度であり、好ましくは分子量100〜1000程度である。
式(2)で示される有機過酸化物として具体的には、例えばt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキシル)モノカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等が挙げられる。商品名としては例えばパーブチルI(日本油脂社)、パーへキシルI(日本油脂社)、パーブチルE(日本油脂社)、ペロマーAC(日本油脂社)、パーロイルSBP(日本油脂社)等が挙げられる。好ましくはt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート及びt−へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネートであり、最も好ましくはt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネートである。有機過酸化物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法において、各材料の配合比率は特に限定されないが、反応を十分に行わせるには、好ましくはポリプロピレン樹脂100重量部に対し有機過酸化物を0.01重量部以上とする。より好ましくは0.05重量部以上とし、更に好ましくは0.1重量部以上とする。ただしポリプロピレン主鎖の低分子量化を抑えることを重視するならば好ましくはポリプロピレン樹脂100重量部に対し有機過酸化物を20重量部以下とする。より好ましくは15重量部以下とし、更に好ましくは10重量部以下とする。また反応を十分に行わせるには、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し有機酸成分を1重量部以上とする。より好ましくは3重量部以上とし、更に好ましくは5重量部以上とする。ただし過剰の配合はコスト高であるだけでなく、未反応物が多いと樹脂の色相が悪化する傾向があり、これを抑えることを重視するならば好ましくはポリプロピレン樹脂100重量部に対し有機酸成分を100重量部以下とする。より好ましくは85重量部以下とし、更に好ましくは70重量部以下とする。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法において使用されるポリプロピレン樹脂は、アイソタクチックポリプロピレン樹脂である。アイソタクチックポリプロピレン樹脂は、アタクチック、シンジオタクチックなど他の立体規則性を持つポリプロピレン樹脂に比べて結晶性が高く、剛性や耐熱性、耐油性に優れる。剛性に優れるため比較的薄肉な積層体でも強度を保持できるので、積層シート等から成型される容器として好ましく用いることができる。また耐熱性に優れることで高温成型が可能であるほか、食品用途や医療用途に用いる場合、加熱殺菌が行えるなど衛生面で有利である。更にレトルトパックとして用いたりする際にはより高い耐熱性が求められる。
またアイソタクチックポリプロピレン樹脂は汎用品であるため価格も安く、安価な製品を供給することができる。
本発明において使用されるポリプロピレン樹脂としては、公知の各種プロピレン系重合体を用いることができ、特に限定されないが、例えば、プロピレン単独重合体(ポリプロピレンホモポリマー)、エチレン及びプロピレンの共重合体、プロピレンとその他のコモノマー、例えばブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどの炭素数2以上のα−オレフィンコモノマーとの共重合体、もしくはこれらコモノマーの2種類以上の共重合体を用いることができる。α−オレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数2〜6のα−オレフィンコモノマーである。ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。またポリプロピレン樹脂はこれらの混合物であってもよい。
ポリプロピレン樹脂が共重合体或いは混合物である場合には、ポリプロピレン樹脂成分を少なくとも30wt%以上含むことが好ましく、50wt%以上含むことがより好ましく、更に好ましくは70wt%以上含む。
但し、最も好ましくはプロピレン単独重合体である。プロピレンの含量が高いほど耐熱性が高く、またポリプロピレンへの密着性が増す傾向がある。更には、ゲル化しにくく、所謂フィッシュアイのような欠陥発生が抑えられる。
好ましくは、本ポリプロピレン樹脂を使用して製造した酸変性ポリプロピレン樹脂の融点が90℃以上である。ボイルによる加熱殺菌が可能である。より好ましくは120℃以上である。レトルトパック用途に用いうる。なお融点は示差走査型熱量計(DSC)で、通常、昇温及び降温速度を10℃/分として測定できる。但し通常、融点は200℃以下である。
また耐油性が高いと油性食品など油性の強い物質の包材に用いることができ好ましい。好ましくは、本ポリプロピレン樹脂を使用して製造した酸変性ポリプロピレン樹脂の、食品衛生法の規定による溶出試験で、n−ヘプタン(25℃、60分)に対する溶出量が150ppm以下である。より好ましくは30ppm以下である。
グラフト反応前のポリプロピレン樹脂の分子量は本発明の目的を著しく逸脱しない限り特に限定されないが、グラフト反応時のβ開裂反応により低分子量化する傾向があるため、より高分子量であることが好ましく、230℃、21.18Nの条件でJIS K7210により測定したMFRが0.01g/10分以上であることが好ましい。MFRが低すぎると流動性が悪く、例えば溶融反応の際の混練がしにくい虞がある。より好ましくはMFRが0.1g/10分以上である。
また好ましくはMFRが30g/10分以下である。あまり高いと本発明の高分子量の酸変性ポリプロピレン樹脂を得るという目的を損なう。より好ましくはMFRが20g/10分以下である。ポリプロピレン樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用される有機酸成分は、本発明の目的を著しく逸脱しない限り特に限定されないが、好ましくはカルボキシル基を少なくとも1以上有する、飽和又は不飽和のカルボン酸及び無水カルボン酸である。より好ましくはカルボキシル基を2以上有するカルボン酸及び無水カルボン酸である。有機酸成分として具体的には、例えばマレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アコニット酸、クロトン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、チオマリン酸、酒石酸、アジピン酸、クエン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等のカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水コハク酸等の無水カルボン酸が挙げられる。好ましくはマレイン酸及び無水マレイン酸であり、特に好ましくは無水マレイン酸である。有機酸成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、以上の成分を加熱混合してグラフト反応を行わせ、酸変性ポリプロピレン樹脂を得る。加熱混合の手法は特に限定されないが、通常、融点以上に加熱溶融させつつ混合し反応させる方法(溶融法)または有機溶媒中に加熱溶解させつつ混合し反応させる方法(溶液法)が用いられ、そのいずれも使用できる。
溶融法の場合には、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、押出機等の装置を用いて加熱混合する。通常、温度はポリプロピレン樹脂の融点以上とする。ただし通常400℃以下とする。また時間は通常1秒〜1時間程度である。溶融法は反応後の精製が困難であるため未反応の有機酸成分等の不純物が残留しやすいという特徴はあるものの一般に反応時間が短く、また手間がかからずコストも低い利点がある。
溶液法の場合には、任意の溶媒に溶解させて加熱混合する。通常、温度は20℃〜160℃の範囲とする。また時間は通常1時間〜10時間程度である。反応後には通常、洗浄、精製を行う。洗浄法、精製法は従来公知のものを用いることができる。例えば各種溶媒による未反応物、不純物等の洗浄を行う。溶液法はコストは高いが、比較的低温で反応を進めることができ低分子量化が起こりにくいこと、反応を均一に行いやすく高グラフト量が得やすいこと、反応後に精製でき、未反応の有機酸成分等の不純物が残留しにくいこと、等から高品質の酸変性ポリプロピレン樹脂を得やすいという利点がある。
前述の式(2)で示される有機過酸化物はラジカルが安定であると推定されるため、比較的低温の溶液法であっても反応が進みやすい利点がある。
溶液法に用いうる溶媒は特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族系炭化水素;トリクロロエチレン、パークロロエチレン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、モノクロロベンゼンが好ましい。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したごとく、本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法によれば、有機酸成分のグラフト量X(wt%)が1.0wt%〜20.0wt%であり、かつ、メルトフローレートY(g/10分)が前記式(1)を満たす酸変性ポリプロピレン樹脂が得られる利点がある。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物(本発明の樹脂組成物)について説明する。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂を0.1重量部〜30重量部含むポリプロピレン系樹脂組成物は、接着性、印刷適性、絶縁性/導電性、相溶性、フィラーとの親和性等のバランスに優れた樹脂組成物として種々の用途に使用しうる。特に接着性樹脂組成物として用いると、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂と、EVOH、ポリアミドなどの極性樹脂とを十分な力で接着できるので異種材料からなる積層フィルム、積層シート等複合材料の製造等にも好適に適用できる。また従来よりも少ない使用量で強い接着力が得られるので、同じ用途に使用しても、使用量を減らすことができコストが低減できる利点がある。
また上述の本発明の樹脂は透明性に優れるのでこれを用いた本発明の樹脂組成物は被塗装物の色調などに影響を与えることなく塗装できる利点がある。また無機フィラーや顔料などとの親和性にも優れることから、自動車部品等、各種物品の塗装用の樹脂組成物に適用できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中の酸変性ポリプロピレン樹脂の含有量は、用途や使用条件に応じて含有量は適宜選択しうるが、通常、酸変性ポリプロピレン樹脂を0.1重量部〜30重量部含む。また本発明の樹脂組成物における有機酸成分のグラフト量も用途や使用条件に応じて含有量は適宜選択しうるが、通常、0.01wt%〜5wt%程度が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂組成物に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、エチレンや他のα−オレフィンとの共重合体、及びそれらの混合物の何れであってもよい。共重合体はブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。共重合体或いは混合物である場合には、ポリプロピレン樹脂成分を少なくとも30wt%以上含むことが好ましく、50wt%以上含むことがより好ましい。より好ましくはプロピレン・エチレン共重合体を用いる。プロピレン・エチレン共重合体としてはメルトフローレート(230℃、21.18N)が0.5〜200g/10分であるものが好ましい。
但し、食品のレトルトパック等、特に耐熱性が要求される用途に供される場合にはポリプロピレンホモポリマーを用いるのが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてエラストマー成分を含んでもよい。この場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、エラストマー成分が、好ましくは0〜200重量部、より好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは2〜100重量部とする。エラストマー成分としては、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、スチレン含有熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー中のα−オレフィン単位の含有量は、好ましくは、10〜70重量%、より好ましくは1〜55重量%である。α−オレフィン単位の含有量が上記範囲よりも少なすぎると衝撃強度が劣り、一方、多すぎると剛性が低下するばかりでなく、このエラストマー成分の形状をペレット状に保持しにくくなって樹脂組成物の製造に際しての生産ハンドリングが著しく低下するため、各々不適である。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーにおけるα−オレフィンとしては、特に限定はされないが好ましくは炭素数3〜20のものが挙げられる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。なかでもプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが特に好ましい。エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーのMFR(230℃、21.18N)は0.01〜100g/10分であるものが好ましい。より好ましくは0.1〜100g/10分である。MFRが0.01g/10分未満のものは、樹脂組成物を形成する際の混練時に十分な分散を得ることができず、衝撃強度の低下を引き起こす傾向がある。一方、MFRが100g/10分を超えるものは、共重合ゴム自身の靭性が足らず、やはり衝撃強度が低下する傾向がある。
また、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの密度は、好ましくは、0.85〜0.90g/cm3、特に0.86〜0.89g/cm3のものが好ましい。密度が0.90g/cm3を超えるものは衝撃強度が劣るようになり、0.85g/cm3未満のものはそれ自体のペレット化が困難となる傾向がある。また、これらは後述するバナジウム化合物系や、WO91/04257号公報等に示されるようなメタロセン系の触媒を用いて製造されたものが好ましい。
スチレン含有熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン部を好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜30重量%含有するものとする。ポリスチレンの含有量が上記範囲外のものであると、耐衝撃性が不十分となる傾向がある。スチレン含有熱可塑性エラストマーのMFR(230℃、21.18N)は、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが用いられる。MFRが上記範囲外の場合は、やはり耐衝撃性が不十分となる傾向が認められる。
スチレン含有熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。これは、ポリスチレンブロック単位とポリエチレン/ブチレンゴムブロック単位とからなる熱可塑性エラストマーである。このようなSEBSでは、ハードセグメントであるポリスチレンブロック単位が物理架橋(ドメイン)を形成してゴムブロック単位の橋かけ点として存在しており、このポリスチレンブロック単位間に存在するゴムブロック単位はソフトセグメントであってゴム弾性を有している。SEBSのセグメント割合として、ポリスチレン単位を10〜40モル%の量で含有していることが望ましい。なおスチレンから導かれる単位の含有量は、赤外スペクトル分析法、13C−NMR法などの常法によって測定される値である。
本発明の樹脂組成物はまた、必要に応じて無機フィラー成分を含有してもよい。この場合、無機フィラー成分が、好ましくは0〜200重量部、より好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは2〜100重量部である。
無機フィラー成分としては、好ましくは、タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリサイト、ウォラスナイトなどの天然珪酸または珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸または珪酸塩などの粉末状充填材、マイカなどのフレーク状充填材、ガラス繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Fiber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、エレスタダイトなどの繊維状充填材、ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状充填材などを用いることができる。
これらの無機フィラーのうちでもタルクが好ましく用いられ、特に平均粒径0.1〜40μmのタルク微粉末が好ましく用いられる。なお、タルクの平均粒径は、液相沈降方法によって測定することができる。また本発明で用いられる無機フィラー、特にタルクは、無処理であっても予め表面処理されていてもよい。この表面処理の例としては、具体的には、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネート、樹脂酸、ポリエチレングリコールなどの処理剤を用いる化学的または物理的処理が挙げられる。このような表面処理が施されたタルクを用いると、ウェルド強度、塗装性、成形加工性にも優れた樹脂組成物を得ることができる。上記のような無機フィラーは、1種のみを単独で使用しても、また2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、上記以外に必要に応じて酸化防止剤、耐候安定剤、耐熱防止剤等の各種安定剤;酸化チタン、有機顔料等の着色剤;カーボンブラック、フェライト等の導電性付与剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤等の各種添加剤も配合使用してもよい。さらに、塗布される基材との濡れ性を改善するために、必要に応じて少量の有機溶媒を添加しても良い。
また、本発明の樹脂組成物は、更に、種々の安定剤、紫外線吸収剤等を含有していても良い。
好ましく用いられる安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、メタオクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等のフェノール系安定剤;ジラウリルチオジプロポネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系安定剤;トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等のリン系安定剤などが挙げられる。
また好ましく用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、パラオクチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
次に本発明の接着性樹脂組成物について説明する。本発明の接着性樹脂組成物は以上説明した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなり、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートなどの樹脂、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅などの金属、紙、綿や化学繊維などの生地等、種々の物質に対して高い接着性を有するので、各層間の密着性の高い積層体が得られる利点がある。
特に限定はされないが、積層例としては、ポリプロピレン/本発明の接着性樹脂組成物からなる接着層(以下、単に接着層)/ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET/接着層/EVOH、PET/接着層/ポリアミド、ポリプロピレン/接着層/EVOH/接着層/PET、ポリプロピレン/接着層/ポリアミド/接着層/PET、ポリエチレン/接着層/EVOH/接着層/PET、などが挙げられる。これらは食品用包装材として使用しうる。
また、ポリプロピレン/接着層/アルミニウムなどが挙げられ、建材などのアルミニウム複合板、工業用パイプ、食品用包装材、電池などに使用しうる。
また、ポリプロピレン/接着層/鉄、ポリプロピレン/接着層/ニッケル、などが挙げられ、工業用パイプなどに使用しうる。
次に本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、基材上に、上述の本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる接着層、及び、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)又はポリアミドからなる層を少なくとも有してなる。
基材としてはポリオレフィン、ポリエステルなどの各種樹脂や金属等、種々のものを用いうるが、成形性、機械強度、耐薬品性等に優れるポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、耐熱性等の点でポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂とはプロピレンを50wt%以上含む樹脂である。好ましくはプロピレンを70wt%以上含む。
ポリプロピレン系樹脂としては、公知ものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとその他のコモノマー、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びノルボルネンなどの炭素数2以上のα−オレフィンコモノマーの1種以上との共重合体を用いることができる。
α−オレフィンコモノマーとして好ましくは炭素数2〜6のα−オレフィンコモノマーである。またα−オレフィンモノマーと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのコモノマーとの共重合体、芳香族ビニルモノマーなどのコモノマーとの共重合体又はその水素添加体、共役ジエンブロック共重合体の水素添加体、なども用いることができる。なお単に共重合体という場合はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。またプロピレン系重合体は必要に応じ変性されていてもよい。
これらは用途に合わせて、単独でも混合物としても使用できる。
基材は通常、シート状又はフィルム状である。
基材の厚さは、基材の材質、形状、用途等によって適宜選びうるが、基材としての剛性を保つために好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.03mm以上である。但し取り扱い易さ等から好ましくは10mm以下であり、より好ましくは2mm以下である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなる接着層の厚さは、接着機能を十分に得るためには0.001mm以上が好ましく、より好ましくは0.003mm以上とする。但し厚すぎても効果は変らずコスト高となるため0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.1mm以下とする。
エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)又はポリアミドからなる層はガスバリア層(酸素を透過しない層)として機能する。EVOHやポリアミドの製造法は従来公知のものを用い得、特に限定されない。ガスバリア層の厚さは、ガスバリア機能を十分に得るためには0.001mm以上が好ましく、より好ましくは0.003mm以上とする。但し厚すぎても効果は変らずコスト高となるため0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.1mm以下とする。
積層体は、基材、接着層及びガスバリア層以外に、必要に応じて各層の間或いは上下に他の層を有してもよい。例えば基材と接着層との間にリグラインド材層を挟むのも好適な一例であるし、基材上に印刷層を有するのも好適な一例である。また各層が2以上の多層膜から成ってもよい。
積層体として具体的には、ポリプロピレン/接着層/ガスバリア層、ポリプロピレン/リグラインド材層/接着層/ガスバリア層、ポリプロピレン/接着層/ガスバリア層/接着層/ポリプロピレン、ポリプロピレン/リグラインド材層/接着層/ガスバリア層/接着層/ポリプロピレン、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このような積層体の製造方法は、従来公知のものを用い得、特に限定されない。具体的には例えば、共押出射出法、又は熱ラミネート法などにより得られる。得られる積層体の形状は特に限定されないが、例えば、ボトル、カップ、チューブ、シート等の形である。
成形性、機械強度、耐薬品性に優れるポリオレフィン系樹脂基材と、ガスバリア性や保香性に優れるEVOHやポリアミドからなる層を、両方の樹脂に密着性の高い接着層を用いて接着してなる本発明の積層体は、食品包装材や医療用包装材などに好ましく適用することができ、これらの保存期間を従来よりも長くしうる利点がある。食品包装材としては例えば味噌、デザート、飲料、ハム等の包装材が挙げられ、医療用包装材としては例えば輸液バッグなどが挙げられる。
以下、本発明を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
本実施例において、酸変性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレートY(g/10分)は、JIS K7210に準拠し、180℃、21.18Nの条件下で測定した。ただしポリプロピレンホモポリマーのMFRは通常230℃、21.18Nの条件下で測定した。
またグラフト量は以下の通り求めた。酸変性ポリプロピレン樹脂を熱プレスして厚さ約100μmのフィルムを作成し、赤外線吸収スペクトルを測定した。そしてカルボニル基の吸収ピーク(1780cm-1付近のピーク)の面積から、別途作成した検量線に基づき、酸変性ポリプロピレン樹脂中の有機酸成分含有量を算出し、これをグラフト量X(wt%)とした。
<酸変性ポリプロピレン樹脂の製造>
(実施例1)
MFRが10g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸19重量部、及び有機溶媒としてモノクロロベンゼン720重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で112℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート7重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、8時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。
このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。なお表中、式(1)の値とは18.5exp(0.82X)の値である。
Xが7.6wt%もありYは式(1)を満たすことから、高グラフト量かつ高分子量の酸変性ポリプロピレンが得られている。
(比較例1)
MFRが10g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸19重量部、及び有機溶媒としてモノクロロベンゼン720重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で130℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるジクミルペルオキシド10重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、4時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(実施例2)
MFRが10g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸19重量部、及び有機溶媒としてモノクロロベンゼン1125重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で112℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるt−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート3重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、6時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(比較例2)
有機過酸化物をt−ブチルモノペルオキシマレエートとした以外は実施例2と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(実施例3)
MFRが10g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸50重量部、及び有機溶媒としてトルエン1230重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で112℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート4.8重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、5.5時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(比較例3)
有機過酸化物を1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとし、その配合比率を4.1重量部とした以外は実施例3と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(比較例4)
有機過酸化物をビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートとし、その配合比率を11重量部とした以外は実施例3と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(比較例5)
有機過酸化物をm−トルオイル アンド ベンゾイルペルオキシド(ナイパーBMT−T40、日本油脂株式会社製)とし、その配合比率を11重量部とした以外は実施例3と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
(実施例4)
MFRが1g/10分(230℃/21.18Nで測定)であるアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー100重量部、無水マレイン酸19重量部、及び有機溶媒としてモノクロロベンゼン1242重量部を、攪拌装置、温度計、還流冷却管及び滴下ロートを備えたガラス製フラスコ中に仕込み、窒素雰囲気下で130℃にて溶解させた。ここに有機過酸化物であるt−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート3重量部を、滴下ロートから同温度で添加し、2時間同温度で攪拌を続けて反応させた。反応終了後、反応系を室温付近まで冷却した後、予め用意した10℃のアセトン中に加えることでポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾別し、更に、同様にアセトンで沈殿・濾別を繰り返してポリマーを洗浄した。洗浄後のポリマーを減圧乾燥して白色粉末状のポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
原料ポリプロピレン樹脂のMFRが1g/10分とかなり分子量が高く、かつ、反応時間を2時間と短くしたためかグラフト量がやや小さいものの、従来よりも格段に高グラフト量かつ高分子量の酸変性ポリプロピレンが得られた。
(比較例6)
有機過酸化物をジクミルペルオキシドとし、その配合比率を3.5重量部とした以外は実施例4と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−1及び図1に示す。
<接着性樹脂組成物及び積層シートの作製>
以下のようにして、接着性樹脂組成物の調製とポリプロピレン/EVOH多層シート成型体の製造を行った。なお以下で用いた各樹脂の特性は次の通りである。
・プロピレン・エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ株式会社製EG7F、MFR230℃−21.18N荷重:1.3g/10分)
・プロピレン−エチレン共重合体エラストマー(JSR株式会社製EP07Y、プロピレン含量27%、MFR230℃−21.18N荷重:0.7g/10分)
・エチレン・ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、クラレ・エバール EPJ102B、エチレン含量32モル%、MFR210℃−21.18N荷重:3.9g/10分)
・ホモポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製EA9、MFR230℃−21.18N荷重:0.5g/10分)
実施例1〜4及び比較例1〜6で得られた酸変性ポリプロピレン樹脂3wt%、プロピレン・エチレンランダム共重合体82wt%、プロピレン−エチレン共重合体エラストマー15wt%となるように樹脂を配合して混合物とした。次にこの混合物100重量部あたり、フェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガノックス1010)0.2重量部、リン系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガフォス168)0.1重量部、及び中和剤(協和化学株式会社製、アルカマイザーDHT−4A)0.03重量部を加えて、スーパーミキサーを用いて1分間混合した。
次いで単軸押出機を用いて、温度230℃、スクリュー回転数100rpm、押出量8kg/hで溶融混練して、紐状に押し出し、冷却後ペレット状に切断して接着性樹脂組成物を得た。
このようにして得た接着性樹脂組成物と、ガスバリア性樹脂であるエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと称する。)とホモポリプロピレン樹脂とから、以下のように積層シートを作製した。
ホモポリプロピレン/接着性樹脂組成物/EVOH/接着性樹脂組成物/ホモポリプロピレンの層構成からなる3種5層のシート成型を、ダイスの設定温度230℃、ラインスピード0.8m/分で実施し、積層シートを得た。
積層シートの平均肉厚は1.0mmであった。各々の層の厚さは、ホモポリプロピレン/接着性樹脂組成物/EVOH/接着性樹脂組成物/ホモポリプロピレンそれぞれ積層シートの肉厚の41%、5%、8%、5%、41%であった。
<接着性樹脂組成物の評価>
この積層シートから幅10mmの短冊状のサンプルを切り出した。サンプルの平均厚みは1.0mmであった。このサンプルを、引張試験機を用いて、Tピール剥離法で接着性の評価を行った。試験速度は50mm/分で、温度は23℃及び100℃の2種類の条件で行った。結果を表−1に示す。
Figure 0005320662
表−1からも明らかなように、本発明によれば、ポリプロピレン樹脂が低分子量化されることなく、有機酸成分を極めて高グラフト量で付加した高分子量の酸変性ポリプロピレンが得られることが分かる。
また、X及びYを所定範囲とした酸変性ポリプロピレン樹脂を含有させることで、接着性樹脂組成物の常温域及び高温域の両方での接着強度が、顕著に向上することが分かる。従来ポリプロピレン樹脂を含む接着性樹脂組成物は極性樹脂との接着性が劣る傾向があったが、本発明によれば、EVOHなどの極性樹脂に対しても十分な接着力をもつ接着性樹脂組成物を提供できることが分かる。
(実施例5〜7、比較例7、8)
表−2に示すように条件を変更した以外は実施例1と同様にしてポリマーを得た。このようにして得た酸変性ポリプロピレン樹脂のグラフト量X及びメルトフローレートYを表−2及び図1に示す。
<リグラインド性の評価>
実施例5〜7、及び比較例7、8で得られた接着性樹脂組成物 3wt%、EVOH 3wt%、プロピレン・エチレンランダム共重合体 94wt%を混合した後、40mmφ単軸押出機(L/D=28、CR=3.5、2ステージフルフライトスクリュウ)にて、230℃、7kg/hの吐出量で溶融樹脂として押出し、これを水槽で冷却し、ペレタイズを行った。得られたペレットを、更に2回、同じ単軸押出機にて同条件(230℃、7kg/h)で押出し、冷却、ペレタイズを繰り返した。得られたペレットを、230℃、70kg/cmで3分間圧縮成形後、30℃、100kg/cmで2分間冷却を行い、2mm厚のシートを得た。
得られたシートの引張衝撃強度を次のように測定した。JIS K7160−1996に準拠し、JIS4型試験片にて、ハンマー持ち上げ角度150°、衝撃速度 3.4m/secで測定した。結果を表−2に示す。
Figure 0005320662
表−2からも明らかなように、本発明によれば、X及びYを所定範囲とした酸変性ポリプロピレン樹脂を含有させることで、リグラインド樹脂の衝撃強度が向上し、衝撃に強いリグラインド材層となることが分かる。
本発明の酸変性ポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン系樹脂組成物は、接着性、相溶性、印刷適性、絶縁性/導電性、フィラーとの親和性等のバランスに優れるため、種々の用途に使用しうる。特に、ポリオレフィン系樹脂と極性樹脂とを十分な力で接着可能な接着剤に用いることができるので、異種材料からなる積層フィルム、積層シート等複合材料としての積層体を提供できる利点がある。
本積層体は、例えばガスバリアシートとして、食品や医療用のボトル、カップ、チューブ等に適用できる。
また本樹脂は透明性にも優れ、また無機フィラーや顔料などとの親和性にも優れることから、自動車部品等、各種物品の塗装用の樹脂組成物に適用できる。
実施例及び比較例のグラフト量XとメルトフローレートYの関係を示す対数グラフである。

Claims (2)

  1. ポリプロピレン樹脂に有機酸成分がグラフトしてなる酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法であって、
    アイソタクチックポリプロピレン樹脂、有機酸成分、及び一般式(2)で示される有機過酸化物を有機溶媒中で加熱混合することにより、有機酸成分のグラフト量X(wt%)が1.0〜20.0(wt%)であり、180℃、荷重21.18Nの条件下で測定されたメルトフローレートY(g/10分)が10〜670(g/10分)であり、かつ
    Y≦18.5exp(0.82X)・・・(1)
    を満たす酸変性ポリプロピレン樹脂を得ることを特徴とする、酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法。
    −A−R ・・・(2)
    (式中、Aは−O−CO−O−O−で示される構造を少なくとも1以上含む二価の連結基であり、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数1〜9の飽和または不飽和の炭化水素基である。)
  2. ポリプロピレン樹脂100重量部に対し有機過酸化物を0.01〜10重量部用いることを特徴とする請求項に記載の酸変性ポリプロピレン樹脂の製造方法。
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