JP2018104844A - 離型紙、合成皮革、および離型紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような合成皮革の製造に使用される離型紙は、その表面模様を転写して合成皮革に表面模様を形成させるものであり、賦型に適した表面状態を有する必要がある。
その中でも、微細な凹凸による光学的干渉模様が形成されている離型紙が開示されている(特許文献1)。
本発明に係る離型紙20は、本発明における合成皮革が有する樹脂層に微細凹凸を形成するためのシートである。
図1に示すように、離型紙は、紙基材22と、紙基材22の少なくとも一方の面に平滑化層を備え、更にその上に合成樹脂層26を備えている。この合成樹脂層26の表面は、平滑処理された面であり、合成皮革の樹脂層に微細凹凸を形成するための凸部と凹部とを有する賦形型12が形成されている。
また、図2に示すように、平滑化層24と合成樹脂層26との間には、層間密着性を向上させるためにアンカーコート層を形成してもよい。更に、平滑化層24と合成樹脂層26との間には、平滑性向上や目止めの役割を果たす中間層を形成してもよい。
紙基材22は、離型紙の支持体となるものである。
紙基材のパルプとしては、賦形用微細凹凸構造を形成する工程や合成皮革を作製する際の工程に耐えうる強度と平滑性を得るために針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を混合したものが好ましい。その場合、平滑性を高めるため、広葉樹パルプ(L材)の混合率は50%〜90%が好ましい
紙基材は、離型紙の充分な耐熱性を得るために、中性紙であることが必要であり、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイズした中性紙が好ましい。
紙基材22の厚さは、100μm〜900μm、好ましくは150μm〜600μmのものを使用することができる。
平滑化層24は紙基材22の少なくとも一方の面に設けられ、紙基材の粗面を平滑化するものである。
クレーコート層はクレーを含み、このクレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができる。クレーは、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等を用いることができる。クレーとしては、タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上やエンボス加工時の寸法安定性を向上させることができる。さらに、平滑化層24の硬度の高い方が、平滑化層の上に形成される合成樹脂層において紙基材の地合いの影響を受けにくく、この結果、合成樹脂層の表面が均一となるので、版面の凹凸構造の転移性(賦形性)が向上する。
クラフト紙や上質紙等のように表面が比較的粗い材料を紙基材として用いる場合には、紙基材の上の平滑性を向上させることができる。
アンカーコート層28は、平滑化層上に必要に応じて設けられ、平滑化層と合成樹脂層とを接着させるものである。
平滑化層が、クレーコート層の場合、クレーコート層の表面は滑性が良い為、押出しラミネートした合成樹脂との接着性が劣る傾向であるが、アンカーコート層を形成することにより、合成樹脂層との接着性を高める機能を有する。
アンカーコート層28は、例えば、水溶性、または、水分散型のエマルジョンもしくはディスパージョンのアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。
このアンカーコート剤としては、ポリプロピレン系、変性ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、ポリエステル系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンのほか、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルアクリル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、そして、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックスなどのゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、或いはこれらのラテックスのカルボキシル変性物、また、水溶性アンカーコート剤としては、ポリビニルアルコール、水溶性エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性イソシアネート、水溶性リグニン誘導体などの水溶液を使用することができる。
合成樹脂層26は、その表面に賦形用微細凹凸構造が形成されており、合成皮革を作製する際の賦形型として機能する。
合成樹脂層26に含まれる材料は、特に限定されないが、例えば無機や有機の微粒子との混合物等が含まれていてもよい。
なお、合成樹脂層には、さらに必要に応じて分散剤、粘度調節剤、着色剤、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
本発明に係る合成皮革30は、図3に示すように、基材と、前記基材の一方の面の全面に均一で微細な凹部と凸部とを有する微細凹凸3が形成された樹脂層とを備えることを特徴とする。このことにより、表面ムラのない光沢感が得られる。
基材32は、合成皮革を構成し、一方の面に樹脂層が設けられている。基材は特に限定されないが、天然の布地や不織布、人工の布地等、公知の合成皮革に用いられている布帛(基布)を適宜選定して用いることができる。また、基材として、布帛以外の樹脂シート、又はその樹脂シートで被覆された構造物であってもよい。そうした樹脂シートを構成する樹脂材料としては、塩化ビニル、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
樹脂層34は、上記した基材とともに合成皮革を構成し、その基材の一方の面に形成されている。樹脂層の表面は、微細凹凸が形成されている。その微細凹凸は、合成皮革にホログラムのような光学的干渉模様等を付与するために形成された微細構造である。
本発明に係る離型紙の製造方法は、合成皮革が有する樹脂層に微細凹凸を形成するための離型紙の製造方法である。
先ず、合成皮革の樹脂層に形成される微細凹凸に対応する微細凹凸構造を有する版面52が形成された原版50が準備される。原版50は版面52を有するものが用いられる。版面52には、合成皮革の表面に賦形される微細凹凸に対応する微細凹凸構造が形成されている。言い換えると、この方法で製造された離型紙を用いると、版面52の凹凸構造に対応する微細凹凸を有する合成皮革を製造することができる。原版50は、離型紙上に賦形用微細凹凸構造を形成することができる強度を有し、さらにその形成過程での各工程の温度条件や圧力条件等に耐える強度を有するものであれば特に制限されるものでない。原版50としては、例えば、ステンレス板を用いることができる。
積層シートが準備される。この積層シートは、紙基材と、紙基材に形成された平滑化層と、平滑化層上に形成され、版面によって賦形形状が形成されることになる合成樹脂層とを備えるシートである。合成樹脂46は、押出機40から押出され、平滑化層の上に積層されて、積層シートが準備される。
積層シートの合成樹脂層の表面に鏡面ロール44を用いた加工により平滑処理面を形成する。すなわち、この積層シートを押出機40の直下に位置する押圧ロール42と鏡面ロール44との間で押圧して紙基材の平滑化層の表面へ合成樹脂層をラミネートすることで、平滑処理面を形成することができる。
その際に使用する鏡面ロール44としては、ロールにクロムメッキを施した後、ウェットブラスト、ドライブラスト処理が施されたミラー系またはセミミラー系のロールをいう。また、鏡面ロール44は、紙基材の表面より平滑なロールの表面であれば、超微細マット系のロールも含む。この鏡面ロール44を用いることにより、合成樹脂層の平滑度を向上させることができる。
次に、その積層シート4の合成樹脂層と原版の版面とを重ねて、押圧ロール54と原版50との間で押圧して合成樹脂層の表面に版面の凹凸構造を賦形する。このとき、積層シートの樹脂層と原版の版面の少なくとも一部とが接するように、積層シート上に原版を重ねるか、原版に積層シートを重ねる。これにより、積層シートの樹脂層に、原版の版面に形成された微細凹凸が賦形され、樹脂層の表面に賦形用微細凹凸構造が形成され、離型紙となる。この賦形用微細凹凸構造は、版面の微細凹凸の反転形状である。この賦型処理としては、合成樹脂層の材料等を考慮し、賦形手段を適宜採用することができる。なお、版面を有する原版は、シリンダ(ロール)または板状とすることができる。
次に、原版を積層シートから剥がす。この剥離工程により、合成樹脂層に賦形用微細凹凸が形成された積層シート、すなわち、離型紙を得ることができる。
合成皮革の製造方法は、基材とその基材の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを有する合成皮革用樹脂シートを準備する工程と、その樹脂層に微細凹凸を形成するための離型紙を準備する工程と、準備された合成皮革用樹脂シートの樹脂層と、準備された離型紙の合成樹脂層とを重ね合わせる工程と、重ね合わせた後の離型紙を合成皮革用樹脂シートから剥がし、その合成皮革用樹脂シートの樹脂層の表面に微細凹凸を形成する工程とを備える。
次に、準備された合成皮革用樹脂シートの樹脂層と、準備された離型紙の合成樹脂層とを重ね合わせる。
その後、重ね合わせた後の離型紙を合成皮革用樹脂シートから剥がし、合成皮革用樹脂シートの樹脂層の表面に微細凹凸を形成する。すなわち、離型紙の賦形用微細凹凸構造のパターンが樹脂層に賦型されることで、樹脂層の表面に賦形用微細構造のパターンが反転した微細凹凸が形成される。
中でも、熱を加える熱エンボス処理の場合は、用紙の地合いによる斑を平滑にすることができるので好ましい。
また、樹脂層の材料に応じて、例えばポリビニル系樹脂を用いた場合には、ペーストコーティング法を用いることができ、ウレタン樹脂を用いた場合には、乾式処理を用いることができる。処理の温度、圧力等の条件については特に限定はなく、採用する処理及び樹脂層に含まれる樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。
クレーコート層を形成した紙基材には、キャストコート紙(坪量164g/m2、キャストコート層10μm〜40μm)を準備した。
このキャストコート層の上に、合成樹脂層として、ポリプロピレン樹脂、80質量%とポリエチレン樹脂、20質量%とのブレンド樹脂(サンアロマー株式会社製)を310℃で共押出機の第1押出機から、またその上にホモポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製)を共押出機の第2押出機から305℃で、ラインスピード80m/分で押出し、水性アンカーコート剤を介して積層シートを得た。ポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂とのブレンド樹脂と、ホモポリプロピレン樹脂との共押出しであると、単層のポリプロピレン樹脂を押し出した場合より、押出しムラが少なく、平滑に押出しコートすることができた。
次いで、直後にこの積層シートの表面に、鏡面ロールで押出コートして厚さ35μmの合成樹脂層の表面を平滑化処理し、平滑化処理面を得た。
なお、層構成は、層構成、キャストコート紙(坪量164g/m2)/アンカーコート層(1μm)/ブレンド樹脂層(17μm)/ホモポリプロピレン樹脂層(18μm)(平滑化処理面)である。なお、形状解析レーザ顕微鏡(株式会社キーエンス製VK−8710)で平滑処理面の算術平均粗さRaを測定した結果、0.08μmであった。
続いて、微細凹凸構造を賦形するための原版として、10μmのホログラムの調刻が施されたエンボスロールと、表面が平滑な樹脂製フラツトロールから成る押圧ロールとの間に積層シートを誘導して、熱圧エンボスにより合成樹脂層に微細凹凸構造を賦形し、樹脂層表面に微細凹凸構造が形成された離型紙を得た。図6に示すように、押圧ロール54と原版50との間で離型紙20を押圧して賦型した。この結果、キャストコート紙のコート層(平滑化層24)の硬度が高いため、離型紙20を構成する紙基材22の地合いによる影響を受けにくく、均一で微細な凹凸形状を合成樹脂26の全面に賦型することができた。
得られた離型紙の樹脂層上に、合成皮革の樹脂層用ポリウレタン組成物を、バーコート法によって塗布し、組成物塗布層を形成した。その組成物は、ポリウレタン(製品名:レザミンNE−8811、大日精化工業株式会社製)5質量部、着色剤(製品名:セイカセブンNET−5794(PM)ブラック、大日精化工業株式会社製)1質量部である。なお、必要に応じて溶剤を使用してもよい。
次いで、組成物塗布層が設けられた離型紙ごと、80℃及び3分間、ラインスピード10m/分、圧力25Nの条件で加熱した。乾燥後、離型紙上の組成物塗布層に接着剤(製品名レザミンNE−8811、大日精化工業株式会社製)を用いて布帛(湿式ベース、近畿ビニール株式会社製)を貼り合わせた。その後、接着剤を乾燥し、熟成させた後、組成物塗布層から離型紙を剥離し、合成皮革を得た。
得られた合成皮革を樹脂層側から目視にて観察した。この結果、離型紙と合成皮革の樹脂を重ね合わせた状態で賦型する際、転移ムラをなくすことができるので、離型紙の合成樹脂層の表面が均一であり、作製した合成皮革の樹脂の表面に光沢ムラがなく均一な微細な凹凸形状を生じた。
実施例のクレーコート層を形成した紙基材に代えて、クレーコート層を形成していない上質紙(坪量125g/m2)に直接、合成樹脂層を形成し、同様に合成樹脂層の表面に平滑化処理し、実施例と同様に作製して離型紙を作成した。図7に示すように、押圧ロール54と原版50との間で離型紙20´を押圧して賦型した。この結果、比較例の離型紙20´を構成する平滑化層が形成されていないため、合成樹脂層26が、紙基材22の地合いの影響を受け、部分的に賦型用微細凹凸構造が転移されていない箇所(転移ムラ)が生じ、その結果、表面が不均一に賦型された離型紙20´が得られた。なお、賦形前の合成樹脂層の算術平均粗さRaは0.15μmであった。
この離型紙を用いて、実施例と同様に、微細凹凸を賦形した合成皮革を作製した。
得られた合成皮革を樹脂層側から目視にて観察した。この結果、作製した合成皮革の樹脂の表面に光沢ムラを生じた。
得られた離型紙(賦形前、および賦形後の合成樹脂層の表面)の実施例について、株式会社堀場製作所製の「IG−320(60°反射)」を用い測定した。この結果、賦形前の離型紙のグロス値は、85%であり、賦形後の離型紙のグロス値は、23%であり、賦形後の合成皮革のグロス値は、19%であった。実施例の合成皮革では、光沢ムラがなく、均一な微細な凹凸形状が付与されていた。
4 積層シート
10 平滑処理面
12 賦形型
14 賦形用微細凸部構造
16 賦形用微細凹部構造
20 離型紙
20´ 離型紙(比較例)
22 紙基材
24 平滑化層
26 合成樹脂層
28 アンカーコート層
30 合成皮革
32 基材
34 樹脂層
36 凸部
38 凹部
40 押出機
42 押圧ロール
44 鏡面ロール
46 合成樹脂
50 原版
52 版面
54 押圧ロール
Claims (5)
- 合成皮革が有する樹脂層に微細凹凸を形成するための離型紙であって、
紙基材と、
前記紙基材の一方の面に形成され、前記の面を平滑化する平滑化層と、
前記平滑化層の上に形成された合成樹脂層と、を備え、
前記合成樹脂層の表面が、平滑処理面であり、
前記合成樹脂層が、前記樹脂層に前記微細凹凸を形成するための賦形型が形成されていることを特徴とする離型紙。 - 前記平滑化層と、前記合成樹脂層との間にアンカーコート層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の離型紙。
- 前記平滑化層は、クレーコート層からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の離型紙。
- 合成皮革が有する樹脂層に微細凹凸を形成するための離型紙の製造方法であって、
前記樹脂層に形成される微細凹凸に対応する凹凸構造を有する版面が形成された原版を準備する工程と、
紙基材と、前記紙基材に形成された平滑化層と、前記平滑化層上に形成される合成樹脂層と、を備えた積層シートを準備する工程と、
前記合成樹脂層の表面に鏡面ロールを用いた加工により平滑処理面を形成する工程と、
前記積層シートの前記平滑処理面と、前記原版の版面とを重ねて、前記樹脂層の表面に前記版面の微細凹凸構造を賦形する工程と、
前記原版を前記積層シートから剥がす工程と、を備えることを特徴とする離型紙の製造方法。 - 基材と、前記基材の一方の面の全面に均一で微細な凹部と凸部とを有する凹凸形状が形成された樹脂層と、を備えることを特徴とする合成皮革。
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