JPH05269932A - リサイクル型剥離用シート及びその製造方法 - Google Patents

リサイクル型剥離用シート及びその製造方法

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JPH05269932A
JPH05269932A JP7391092A JP7391092A JPH05269932A JP H05269932 A JPH05269932 A JP H05269932A JP 7391092 A JP7391092 A JP 7391092A JP 7391092 A JP7391092 A JP 7391092A JP H05269932 A JPH05269932 A JP H05269932A
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純二 原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】リサイクル性の良好な剥離用シートを製造す
る。 【構成】支持体の少なくとも片面に、カルボキシル基又
はフェノール性水酸基含有するアルカリ可溶性樹脂の中
から選ばれる1種類以上のアルカリ可溶性樹脂を主成分
とする樹脂組成物によるアンカー層を有し、その上に剥
離層を設けたことを特徴とするリサイクル型剥離用シー
ト。該支持体と該アンカー層の中間に水性高分子を主成
分とする中間層を設けてもよい。 【効果】剥離用シートを脱墨した場合に、アンカー層の
作用で剥離層が容易に脱離し、得られた回収支持体に剥
離層成分が混入せず、印刷適性が良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キャスト紙、アート紙
やコート紙、微塗工紙、上質紙などの紙、合成紙、ある
いはフィルムシートを支持体とし、その少なくとも片面
に剥離層を設けた、使用時においては良好な剥離性を有
し、使用後においては剥離層を支持体から容易に離脱で
き、支持体の再利用が可能な剥離紙、あるいは型付け用
離型紙、工程紙などリサイクル型剥離用シートに関する
ものである。
【従来の技術】
【0002】紙、ラミネート紙、合成紙、プラスッチク
フィルムなどのシート状基体の上に、有機ポリシロキサ
ンからなるシリコーン樹脂剥離層、長鎖アルキル基を有
する樹脂剥離層、アルキド樹脂又はアミノ変性アルキド
樹脂剥離層、フッ素樹脂剥離層を設けた剥離用シート、
あるいは離型用シート、合成皮革製造、カーボンファイ
バー製造、セラミックグリーンシート製造の工程に用い
る工程紙などは近年多くの用途に使用されている。ここ
では、これらをすべて総称して剥離用シートとして表わ
す。剥離用シートの剥離層の形成方法としては、例えば
シリコーン樹脂で云えば有機すず化合物やその他の重金
属塩、および白金系の触媒を含む縮合型もしくは付加型
シリコーン系樹脂又はその溶液、またはエマルジョンを
塗布した後、熱風オーブン中で120℃から180℃で
加熱し硬化被膜を形成する方法、あるいは紫外線照射、
電子線照射などの放射線照射により重合させ効果被膜を
形成するのが一般的である。
【0003】これらの剥離用シートは、使用された後
に、使用者(最終ユーザー)の手元に残る場合と流通管
理者などの中間段階に残る場合がある。すなわち感圧粘
着ラベルに使用される剥離紙などが前者の例であり、合
成皮革、カーボンファイバー製造に用いられる工程紙な
どが後者の例である。剥離用シートは、最終的には廃棄
するものであり、そのコストダウンの要望と、地球的な
環境保護意識の高まりの中、森林資源、化石資源保護の
観点から、使用する支持体の再利用が望まれている。
【0004】しかしながら、新聞、雑誌、ダンボール、
あるいはコピー用紙などの再利用に比べ、剥離用シート
の再利用は技術的に非常に困難なものであり、現在まで
そのリサイクル使用はなされていない。一般の剥離用シ
ートは、紙あるいはラミネート紙と剥離層から構成され
ているが、このような剥離用シートを一般の故紙と同様
に脱墨、再生した場合、以下のような問題が生じる。す
なわち支持体がポリオレフィン樹脂でラミネートされて
いる場合には、分離したポリオレフィン樹脂が脱墨工程
において紙繊維に混じって良好な故紙パルプにならない
とか、支持体とラミネート層が分離しないとかの問題が
あった。紙に直接剥離層を設けた場合においても、紙繊
維に付着した剥離層が故紙パルプ中に残り、印刷適性が
非常に悪化するという印刷紙としては致命的な問題があ
った。
【0005】また、剥離層を構成する樹脂は一般に溌水
性の樹脂が多く、特に工程紙などは耐久性が要求される
ため、一般のアルカリ浴程度では剥離層のみの分離が非
常に困難で、剥離層が剥離、分解するほど過酷な条件
(高アルカリ濃度、高温浴、機械的攪拌)によって剥離
層を分離した場合には、支持体そのものの分解、劣化が
生じて故紙パルプとしての適性が低下するか、剥離層を
構成する成分と支持体の分離が困難を極める、という問
題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明が解決
しようとする問題点は、剥離用シートを使用する時に
は、剥離層と支持体との密着性、接着性が高く、剥離特
性、繰り返し使用性が良好であり、かつ使用済みの剥離
シートをリサイクルする場合には、剥離層が容易に支持
体から分離できるリサイクル型の剥離用シートを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、支持体
の少なくとも1面に、カルボキシル基又はフェノール性
水酸基を含有するアルカリ可溶性樹脂の中から選ばれる
1種類以上のアルカリ可溶性樹脂を主成分とする樹脂組
成物によるアンカー層を有し、その上に剥離層を有する
ことを特徴とする剥離用シートの発明、および支持体の
少なくともアルカリ可溶性樹脂を主成分とする樹脂組成
物によるアンカー層と剥離層を順次設けることを特徴と
するリサイクル型剥離用シートの製造方法の発明であ
る。該アンカー層は熱硬化、放射線照射による硬化、ラ
ミネート、キャストなどいかなる方法で設けても良い
が、熱硬化、紫外線又は電子線などの放射線照射により
硬化させることが好ましい。支持体とアンカー層の中間
に、アンカー層の染み込みを抑制する目的で水性樹脂を
主成分とする中間層を設けることができる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。一般に故
紙、あるいは故紙を構成する故紙パルプ、脱墨パルプ
(DIP)の製法は以下の工程によっている。即ち、 1)パルパーによる離解工程、機械力およびアルカリな
どの薬品によって故紙を繊維状に分解、インキ成分を故
紙から分離する工程。 2)除塵工程、粗選、フローテーション、スクリーン、
クリーナー、洗浄の各工程において、故紙に含まれるプ
ラスチック、金属、無機物などを除去する工程。 3)脱墨工程、故紙より分離した印刷インキをフローテ
ーション法、あるいは洗浄法で系外に分離する工程。こ
れらの工程の複合技術によって作成される。
【0009】本発明者らは、剥離用シートの脱墨(この
場合、剥離層分離)を検討した結果、上質紙、グラシン
紙あるいはラミネート紙などの表面に剥離層を有する剥
離用シートを上で示すような故紙パルプの製造工程では
良好な故紙パルプが製造できないことを確認した。すな
わち、ラミネート紙の場合は、アルカリ浴や界面活性剤
による繊維状体への分解、あるいは分離したラミネート
層の系外への除去が困難であり、最終的にラミネート層
を形成する樹脂残分が混入した故紙パルプとなる。上質
紙、グラシン紙、コート紙に直接剥離層を設けた場合
は、剥離層の溌水性も関与して、繊維から剥離層を完全
に除去することはさらに困難で、このような剥離樹脂の
付着した故紙パルプで再生紙を作成した場合、インキを
はじき印刷ムラ、汚れが生じるものである。
【0010】しかしながら、本発明に示すようなアルカ
リ可溶性樹脂によるアンカー層を有する剥離用シートに
おいては、使用後に処理する場合、一般の故紙、あるい
は故紙を構成する故紙パルプ、脱墨パルプ(DIP)の
工程によりきわめて良好な故紙パルプを回収することが
できる。
【0011】本発明のアンカー層に用いられるアルカリ
可溶性樹脂、即ちカルボキシル基含有樹脂、フェノール
性水酸基含有樹脂としては、例えば、ニトロセルロース
樹脂に脂肪酸、脂肪酸エステルを混合した樹脂、メタク
リル酸エステル又はアクリル酸エステルとアクリル酸の
共重合樹脂からなるアクリル系樹脂やアミノアルキド樹
脂にマレイン酸を含む樹脂、ポリパラビニルフェノール
などフェノール性水酸基を含有する樹脂を用いることが
でき、さらに放射線硬化性のアルカリ可溶性樹脂を用い
ることができる。ここでいう放射線硬化性のアルカリ可
溶性樹脂としては、分子末端あるいは側鎖に放射線硬化
性の官能基とカルボキシル基またはフェノール性水酸基
を同時に有するものであり、トリメチロールプロパンジ
アクリレートフマレート、トリメチロールプロパンジフ
マレートモノアクリレート、アクリロイルオキシエチル
サリチレート、トリメチロールプロパンジアクリレート
モノサリチレート、、ペンタエリスリトールジアクリレ
ートモノフマレートなどの多官能アクリレートや多官能
カルボン酸、あるいはその複合体、カルボキシル基ある
いはフェノール性水酸基を有するモノアクリレート、東
亜合成化学工業(株)の商品名でいえば、アロニックス
M−5300、アロニックスM−5400、アロニック
スM−5500、アロニックスM−5600などが挙げ
られる。
【0012】支持体上に設けられた、アルカリ可溶性樹
脂からなるアンカー層は、中性あるいは酸性の雰囲気に
おいては強固な被膜層を形成していて、多少の湿気、水
分、汗、あるいはオイルなどによりアンカー層が破壊、
あるいは支持体から剥離することはなく、その上に剥離
層を設けても剥離用シートとしての利用に差し支えな
い。しかしながら、使用後にアルカリ浴により処理する
と、アルカリ可溶性樹脂は、水溶性の塩を形成し、すみ
やかに被膜が破壊され、アルカリ浴に分散・溶解する。
この場合、アルカリ浴のアルカリ、あるいは界面活性剤
は、剥離用シートのエッジ部分、あるいは支持体背後か
ら浸透してくると考えられる。支持体である紙やプラス
チックは、アルカリ浴には比較的安定であるため、剥離
層のみがアルカリ浴に分散・溶解した時点で、比重の差
により、あるいは界面活性剤の作用により、剥離層と支
持体の分離が非常に容易となる。また、剥離層と支持体
は直接に接触していないため、得られた回収支持体に剥
離層成分が付着していることがない。このため、回収さ
れた支持体で再度、紙を作成しても剥離層成分によるイ
ンクのハジキや汚れがなく、良好な印刷支持体を作成で
きる。
【0013】アンカー層の支持体への染み込みを防止す
る観点から、支持体上に水性高分子からなる中間層を設
け、その上にアルカリ可溶性樹脂を主成分とするアンカ
ー層を設けることができる。また、この中間層も、アル
カリ可溶性樹脂を1成分として有することは何等差し支
えない。
【0014】本発明のアルカリ可溶性樹脂は、他のバイ
ンダー成分と混合した組成物として用いることが可能
で、剥離層や中間層との親和性を考慮して選ぶことがで
きる。放射線硬化性樹脂は、アンカー層のバインダー成
分として、あるいは剥離樹脂と共に剥離層を構成するバ
インダーとして用いることができる。放射線硬化性樹脂
としては、この分野で通常使用されている電子線、ある
いは紫外線による重合が可能な不飽和結合を有する化合
物であれば、いずれも使用可能である。すなわち、炭素
−炭素不飽和結合を一個以上有する化合物であり、アク
リロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、ア
リル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基など
を含む化合物であり、例えばアクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドンなどがあげ
られる。分子内に不飽和結合が二個以上あってもよい。
特に、ポリオールの不飽和エステル類、例えばエチレン
ジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレートなどがあげられる。またエポキシ環を一個
もしくは二個以上有する化合物、例えばグリシジルアク
リレートなども好ましい。さらには、これらの化合物
は、高分子量体であってもよい。特に好ましくは、高分
子鎖の末端あるいは側鎖にアクリレート基を有する化合
物であり、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、エポ
キシ樹脂骨格、ポリエーテル骨格、ポリエーテルアクリ
ルアミド樹脂、ポリカーボネート骨格を有するプレポリ
マーなどがあげられる。これら上記のモノマーとプレポ
リマーを単独もしくは混合して用いてもよい。
【0015】アルカリ可溶性樹脂と他のバインダー樹脂
とを混合した組成物として用いる場合、アルカリ可溶性
樹脂は、組成物の固形分に対して重量比で5%以上であ
ることが好ましい。これは、アルカリ可溶性樹脂の割合
が5%より少ないとアルカリ浴に入れた場合の剥離適性
が悪いためである。また、放射線照射により硬化可能な
アルカリ可溶性樹脂は、一般に硬化時の体積収縮が小さ
いため樹脂層を硬化した後でのカール特性が極めて優れ
ている。
【0016】本発明において用いられるアルカリ可溶性
樹脂組成物からなるアンカー層の塗布量は0.5g/m
2〜10g/m2が好ましい。アンカー層が0.5g/m
2未満では、支持体の凹凸を埋める事が出来ず、剥離層
を設ける場合に平滑性に難があり、10g/m2を超え
るとアルカリ浴での剥離が悪く、支持体の回収適性が悪
化する。製造時においては、中間層を設けた後、あるい
はアルカリ可溶性樹脂層を設けた後でスーパーカレンダ
ーによる平滑化処理を行ない剥離層を設けることもでき
るし、いずれの工程においてもエンボス加工などの型付
けを行なうことができる。
【0017】本発明に用いられる支持体は、針葉樹パル
プ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パル
プを主成分とする天然パルプ紙、上質紙、アート紙、コ
ート紙、クラフト紙、ケント紙、純白ロール紙、グラシ
ン紙などに代表される木材パルプを主成分とする汎用
紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリプロピレンなどの高分子フィルム、あ
るいはこれらの合成樹脂フィルムと紙とのラミネート
貧、または合成高分子繊維を主成分とする不織布または
合成紙、あるいはこれらの複合材料であるが、最も有利
に木材パルプを主成分とする原紙が用いられる。支持体
の厚みに関しては、特に制限はないが、平滑性のよい支
持体が好ましく、その坪量は40g/m2〜250g/m2が好
ましい。
【0018】本発明の方法において、有利に用いられる
天然パルプを主成分とする原紙には、各種高分子化合
物、添加剤を含有せしめることができる。たとえば、デ
ンプン誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコ
ール誘導体、ゼラチン等の乾燥紙力増強剤、脂肪酸塩、
ロジン誘導体、ジアルキルケテンダイマー乳化物等のサ
イズ剤、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミ
ド等の湿潤紙力増強剤、安定剤、顔料、染料、酸化防止
剤、蛍光増白剤、各種ラテックス、無機電解質、pH調
整剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
また、本発明において原紙との濡れ性を良くするため
に、原紙表面のコロナ処理等による表面処理を行なって
もよい。
【0019】本発明に用いる剥離層を構成する樹脂とし
ては、分子末端、または側鎖にアクリロイル基、メタク
リロイル基、ビニル基、エポキシ基、ビニルアミド基、
ヒドロシリル基、シラノール基、ジアゾ基、アセチレン
基、チオール基の中から選択される官能基を有するシリ
コーン樹脂(主にポリジアルキルシロキサン)を主成分
とするシリコーン樹脂、含フッ素樹脂、アルキド樹脂、
アミノアルキド樹脂、長鎖アルキル基含有樹脂などの樹
脂を用いることができる。剥離性樹脂の塗布形態として
はエマルジョン系、溶剤系、無溶剤系、混合溶融押し出
し系などによる塗布が可能で、硬化機構としてラジカル
重合型、縮合型、付加型、架橋型、開環重合型反応など
が可能である。
【0020】本発明の中間層に用いることのできる水性
高分子としては、例えば以下の物質が挙げられる。天然
高分子および半合成高分子として、デンプン、酸化デン
プン、エーテル化デンプン、ジアルデヒド化デンプン、
エステル化デンプンなどの変性デンプン化合物、アルギ
ン酸ソーダ、アルギン酸プロピレングリコールエステル
などのアルギン酸化合物、カゼイン、ゼラチン、プルラ
ン、デキストラン、キチン、キトサン、ゴムラッテク
ス、アラビアゴム、フノリ、天然ガム、デキストリン、
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセル
ロース、カルボキシメチルセルロースなどの変性セルロ
ース化合物などが挙げられる。合成高分子としては、完
全ケン化あるいは部分ケン化ポリビニルアルコール、ア
セトアセチル化ポリビニルアルコール、ポリビニルアル
コールと多価カルボン酸とのエステル化物、カルボキシ
変性化ポリビニルアルコール、スルホン酸変性化ポリビ
ニルアルコール、オレフィン変性化ポリビニルアルコー
ル、ニトリル変性化ポリビニルアルコール、アミド変性
化ポリビニルアルコール、ピロリドン変性化ポリビニル
アルコールなどの変性化ポリビニルアルコール化合物、
ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸アミド、ポリ
アクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリ
ル酸ソーダなどのポリアクリル酸化合物、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルエーテル、
ポリマレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、水溶性
アルキド樹脂などが挙げられる。また、スチレン/無水
マレイン酸共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、
ブタジエン/メタクリレート共重合体、アクリロニトリ
ル/ブタジエン/アクリル酸ラッテクス、などの合成高
分子を水に分散したエマルジョンとして水性高分子溶液
の代わりに用いることができる。水性高分子としては、
上記のような高分子を単独で、あるいは混合した水溶液
として、必要ならば消泡剤、分散剤などを併用して用い
ることができる。
【0021】剥離層、中間層の塗布量は、限定されるも
のではないが、好ましくは1〜50g/m2の範囲内で
ある。塗布量がこの範囲より小さいと剥離層がムラにな
ることがあるし、この範囲より多くても、剥離性、染み
込み防止性の向上に寄与しない。
【0022】支持体上に剥離層、中間層、アンカー層を
塗布する方法としては、ドクターコート、ブレードコー
ト、エアナイフコート、スクイズコート、リバースロー
ルコート、グラビアコート、トランスファーロールコー
ト、カーテンコート、エクストルージョンコート、ダイ
コート、スライドコート、リップコート、マイクログラ
ビアコートなどの方法が利用できる。
【0023】電子線の照射方式としては、スキャニング
方式、ブロードビーム方式、カ−テンビ−ム方式、イオ
ンプラズマ方式等が採用され、電子線を照射する加速電
圧は100〜300KV程度が適当である。γ線を用い
ても電子線照射と同様な処理を行うことができるが、一
般に線量密度が低く、製造方法としては好ましくない。
また、紫外線照射を使用する場合には、光開始剤、必要
に応じて増感剤を配合して用いることができるが、透過
力の点から限界がある。紫外線を用いる場合の光源とし
ては例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、キ
セノンランプ、タングステンランプ等が好適に使用され
る。
【0024】電子線照射による硬化は、ラジカル反応で
あり、雰囲気中の酸素濃度に依存するので、窒素、ヘリ
ウム、二酸化炭素などの不活性ガスによる置換を行な
い、酸素濃度600ppm以下、好ましくは400ppm以下
に抑制した雰囲気中で照射することが好ましい。電子線
加速器としては、例えば、エレクトロカーテンシステ
ム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイ
プ等の何れでも良い。
【0025】紫外線照射装置としては、例えば、低圧水
銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ
等があり、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもあ
る。一般に出力30w/cm以上のランプを複数本並行して
使用する。
【0026】本発明において、紫外線照射により樹脂の
硬化を行う場合には、光反応開始剤を混合して用いる。
光反応開始剤としては、ジおよびトリクロロアセトフェ
ノンのようなアセトフェノン類、ベンゾフェノン、ミヒ
ラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキ
ルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチル
チウラムモノサルファイド、チオキサントン類、アゾ化
合物、各種銀塩等があり、光反応開始剤の使用量は、紫
外線硬化性樹脂に対して、通常0.1〜10%の範囲で
ある。また、光開始剤にハイドロキノンのような貯蔵安
定剤が併用される場合もある。
【0027】本発明において、剥離層と支持体の接着性
と濡れ性を良くするために、支持体あるいは中間層表面
にコロナ処理、オゾン処理、火炎処理等の表面処理を行
なってもよい。また、本発明の剥離用シートの裏面に
は、カール防止、帯電防止、あるいは剥離層などのバッ
クコート層を設けることが出来、バックコート層には帯
電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬膜剤、顔
料、界面活性剤、粘着剤等を適宜組み合わせて含有する
ことができる。
【0028】
【作用】本発明の剥離用シートにおいては、支持体上に
設けられた、アルカリ可溶性樹脂からなるアンカー層の
働きで、中性あるいは酸性の雰囲気においては強固な被
膜層を形成していて、支持体から剥離することはなく、
剥離層を設けて剥離用シートとしての利用でき、使用後
にアルカリ浴により処理すると、アルカリ可溶性樹脂層
はすみやかに被膜が破壊され、剥離層とともにアルカリ
浴に分散・溶解し、支持体の回収を容易に、かつ効率よ
く行なうことができる。剥離層と支持体は直接に接触し
ていないため、得られた回収支持体に剥離層成分が付着
していることがない。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、更
に詳細に説明するが、本発明の内容は、実施例に限られ
るものではない。尚、例中の「部」とはすべて「重量
部」を、%とはすべて重量%を示す。
【0030】実施例1 支持体として、表面をクレーコートした坪量70g/m
2の片艶紙を用い、以下の構成よりなるアルカリ可溶性
樹脂組成物をグラビアコーターを用いて塗布し、アンカ
ー層を設けた。 [アルカリ可溶性樹脂組成物] ポリアクリル酸ダイマー (東亜合成化学工業(株)製品、商品名アロニックス M−5600) 60部 イソシアヌル酸ジアクリレート(東亜合成化学工業(株)製品、商品名アロニッ クスM−215) 38部 光反応開始剤(チバガイギー(株)社製品、製品名イルガキュア905)2部 アルカリ可溶性樹脂組成物は、塗布後紫外線照射装置
(120W/cm、ウシオ電気(株)製)内に導き、紫
外線照射してアンカー層を効果した。アンカー層にコロ
ナ処理をした後、電子線硬化性シリコーン樹脂(X−6
2−7200、信越化学工業製)をグラビアコーターで
1g/m2となるように塗布し、電子線照射室内の酸素
濃度を窒素ガス置換により200ppm 以下にした電子線
照射装置(日新ハイボルテージ(株)製、商品名キュア
トロン)内に導き、電子線加速電圧200KVで吸収線
量3Mradになるように電子線照射して硬化し、剥離
紙を得た。
【0031】実施例2 支持体として坪量50g/m2の上質紙を用い、上記実
施例1で用いたアルカリ可溶性樹脂組成物の配合を、以
下の配合に変更し、硬化処理を窒素置換を行った電子線
照射装置(日新ハイボルテージ社製、キュアトロン)に
より、200KV、1Mradの吸収線量で行う以外は
実施例1と同様にしてアンカー層を有する支持体を得
た。 [アルカリ可溶性樹脂組成物] ポリアクリル酸ダイマー (東亜合成化学工業(株)製品、商品名アロニックス M−5600) 70部 プロピレンオキシド変性エチレングリコールジアクリレート(東亜合成化学工業 (株)製品、商品名アロニックスM−220) 30部 アンカー層上にコロナ処理をした後、付加反応型シリコ
ーン樹脂(SP7268S、東レダウコーニングシリコ
ーン製)をグラビアコーターで固形分1g/m2となる
ように塗布し、160℃で30秒間加熱硬化し、剥離紙
を得た。
【0032】実施例3 上記、実施例1で用いたアルカリ可溶性樹脂組成物の配
合を、以下の配合に変更し、硬化処理を60℃熱オーブ
ンによる熱硬化により行う以外は実施例1と同様にして
アンカー層を有する支持体を得た。 [アルカリ可溶性樹脂組成物] スチレン/ポリアクリル酸共重合体エマルジョン 70部 ウレタンアクリルエマルジョン 30部 アンカー層上にコロナ処理を行なった後、紫外線硬化性
シリコーン樹脂(KNS−5300、信越化学工業製)
をグラビアコーターで0.8g/m2となるように塗布
し、120w/cmの高圧水銀ランプ2灯を用いて硬化
して剥離紙を得た。
【0033】実施例4 支持体として、坪量50g/m2のグラシン紙を用い、
その表裏面に水性高分子中間層として、エアーナイフコ
ーターを用い、ホルムアルデヒドを硬膜剤に混合した5
%のゼラチン溶液を表裏それぞれ乾燥重量2g/m2
なるように塗布し、冷風でセット後、熱乾燥した。表面
側の中間層上に、以下の組成比のアルカリ可溶性樹脂組
成物をグラビアコーターで10g/m2の塗布量で設け
て中間層およびアンカー層を有する支持体を得た。 [アルカリ可溶性樹脂組成物] トリメチロールプロパンジアクリレートモノサリチレート 70部 イソシアヌル酸ジアクリレート 30部 アンカー層は窒素置換を行った電子線照射装置により、
200KV、1.5Mradの吸収線量で硬化を行なっ
た。アンカー層表面にアミノアルキド樹脂(日立化成工
業製、メラン46D)60部と付加反応型シリコーン樹
脂(SP7259S、東レダウコーニングシリコーン
製)の等量混合物をグラビアコーターで1g/m2とな
るように塗布し、160℃で30秒間加熱硬化し、剥離
用シートを得た。
【0034】実施例5 支持体として、坪量50g/m2のグラシン紙を用い、
その表面に水性高分子中間層として、エアーナイフコー
ターを用い、ポリビニルアルコール溶液と合成ゴムラテ
ックスの等量混合液を、乾燥重量2g/m2になるよう
に塗布し、冷風でセット後、熱乾燥した。表面側の中間
層上に、以下の組成比のアルカリ可溶性樹脂組成物をグ
ラビアコーターで10g/m2の塗布量で設け、加熱乾
燥して中間層およびアンカー層を有する支持体を得た。 [アルカリ可溶性樹脂組成物] スチレン/ポリアクリル酸共重合体エマルジョン 50部 ウレタンアクリルエマルジョン 49部 シランカップリング剤(日本ユニカ製A-1100) 1部 アンカー層表面にコロナ放電処理を行い、ついで長鎖ア
ルキル基を含有する剥離性樹脂(9モルのプロピレンオ
キシド変性エチレングリコールジアクリレート)80
部、および顔料(炭酸カルシウム粒子)20部の混合樹
脂組成物をグラビアコーターで1g/m2で塗布し、2
00kvの加速電圧で、吸収線量が3Mradとなるように
電子線照射(エレクトロンカーテン、ESI社製)を行
い、剥離用シートを得た。
【0035】比較例1 アルカリ可溶性樹脂によるアンカー層を設けなかった以
外は実施例1と同様にして剥離用シートを得た。
【0036】比較例2 アルカリ可溶性樹脂によるアンカー層を設けなかった以
外は実施例2と同様にして剥離用シートを得た。
【0037】比較例3 アルカリ可溶性樹脂によるアンカー層を設けなかった以
外は実施例3と同様にして剥離用シートを得た。
【0038】比較例4 水性高分子による中間層、およびアルカリ可溶性樹脂に
よるアンカー層を設けなかった以外は実施例4と同様に
して剥離用シートを得た。
【0039】比較例5 水性高分子による中間層、およびアルカリ可溶性樹脂に
よるアンカー層を設けなかった以外は実施例5と同様に
して剥離用シートを得た。
【0040】比較例6 支持体として、坪量50g/m2の上質紙に低密度ポリ
エチレン15g/m2のラミネート層を設けたラミネー
ト紙を用い、コロナ処理をした後、付加反応型シリコー
ン樹脂(SP7268S、東レダウコーニングシリコー
ン製)をグラビアコーターで固形分1g/m2となるよ
うに塗布し、120℃で30秒間加熱硬化し、剥離紙を
得た。
【0041】以上の実施例、比較例で得られた剥離用シ
ートは、粘着紙と共にラベルとして剥離紙に用いた場合
でも、合成皮革製造などの型付け用工程紙として繰り返
し用いた場合でも良好な剥離性を有するものであった。
剥離力については、実施例で得られた剥離用シートの剥
離力は、対応する比較例において得られた剥離用シート
の剥離力とほとんど同じ程度であった。実施例、比較例
で得られた剥離用シートに以下の試験を行い、その結果
を表1に示した。
【0042】試験1(回収性) 実施例および比較例の剥離用シートをシュレッダーで切
断し、70℃、0.5規定の水酸化ナトリウム、および
ノニオン性界面活性剤として1%のポリオキシエチレン
アルキルエーテルを含む溶液中に浸漬、攪拌して故紙パ
ルプ回収工程を再現し、剥離層の剥離する時間で判定し
た。3分以内に剥離層が剥離する場合を○印で、3分よ
りも長時間かかる場合を×印で表わした。
【0043】試験2(回収支持体の印刷適性) 試験1において剥離層を分離後、フローテーション法に
より剥離層を排出し、残存支持体を回収した。回収した
支持体(故紙パルプ)50%とバージンパルプ50%を
混合して紙を漉き、プレス乾燥後、全面印刷して印刷性
を測定した。1m四方の面積において、印刷ムラの全く
ない場合を印刷性優、2箇所以内の場合を並、それより
も多い場合を劣として表わした。バージンパルプのみで
紙を作成した場合、印刷ムラは1m四方で0箇所であ
る。
【0044】試験3(残留接着率) 得られた剥離用シート(幅25mm)を20℃、湿度65
%の恒温恒湿器内で24時間放置した後、重量2000
g の圧着ローラーで標準粘着シート(上質紙上に粘着剤
東洋インキ(株)製、製品名BPS を塗布したもの)
に圧着し20℃、湿度65%、圧力0.1Kg/cm2の条件
下で24時間加圧した。標準粘着シートを剥離用シート
より剥した後、表面を良く磨いた厚さ0.5mmのステン
レス鋼板にはりつけ、重量2000g の圧着ローラーで
圧着し20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で1時間放置
後、テンシロンで剥離角180°、剥離速度30cm/分
の条件で連続して引き剥したときの荷重を剥離強度とし
て求める。次に、表面を良く磨いた厚さ0.5mmのステ
ンレス鋼板に直接標準粘着シートをはりつけ、20℃、
湿度65%、圧力0.1Kg/cm2の条件下で24時間加圧
した。常圧に戻してから、重量2000g の圧着ローラ
ーで圧着し20℃、湿度65%の恒温恒湿器内で1時間
放置後、テンシロンで、剥離角180°、剥離速度30
cm/分の条件で連続して引き剥したときの荷重を剥離強
度として求める。残留接着率は、剥離用シート紙へ未接
触の粘着シートの剥離強度に対する剥離紙へ接触後の粘
着シートの剥離強度の比で求められる。残留接着率90
%以上を優、90%未満80%以上を並、80%未満を
劣で表わした。
【0045】試験4(ラブオフ) 剥離紙の剥離層を指で強く擦り、剥離層の脱離を目視に
より判定した。剥離層の脱離のないものを良好とし、脱
離のあるものを不良とした。
【0046】
【表1】
【0047】評価・・表1から明かなように、本発明に
よる剥離用シートは、アルカリ可溶性樹脂によるアンカ
ー層の効果で良好な剥離特性を有するばかりでなく、回
収時のアルカリ浴において良好な剥離層の脱離を起こ
し、高い支持体の回収性を示す。脱離した剥離層は、比
重が低いため静置すれば浮上し、界面活性剤の作用で排
出することが可能で、支持体のみの回収が容易である。
このように、支持体のみが効率良く回収される結果、得
られた故紙パルプで紙を作成しても良好な印刷適性を有
している。これに対して、同様な実験においてアルカリ
可溶性樹脂によるアンカー層を設けなかった比較例のサ
ンプルは、アルカリ剥離性が悪く、また剥離層やラミネ
ート層が回収された支持体に付着、混合しているため
に、得られた故紙パルプで紙を作成しても印刷適性が悪
い。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法によるリサイクル型剥離用
シートは、使用時においては、剥離層と支持体との密着
性、接着性が高く、剥離特性、繰り返し使用性が良好で
あり、かつ使用済みの剥離シートをリサイクルする場合
においては、剥離層が容易に支持体から分離でき、支持
体のみの回収、再利用が容易であり、環境保護、資源節
約の面から、あるいは廃品の量を低減させる意味から
も、工業的価値の大なるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09J 7/02 JKY 6770−4J // C08J 11/08 7148−4F

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも1面に、カルボキシ
    ル基又はフェノール性水酸基を含有するアルカリ可溶性
    樹脂の中から選ばれる1種類以上のアルカリ可溶性樹脂
    を主成分とする樹脂組成物によるアンカー層を有し、そ
    の上に剥離層を設けたことを特徴とするリサイクル型剥
    離用シート。
  2. 【請求項2】 該支持体と該アンカー層の中間に水性高
    分子を主成分とする中間層を設けた請求項1記載のリサ
    イクル型剥離用シート。
  3. 【請求項3】 支持体の少なくとも1面に、カルボキシ
    ル基又はフェノール性水酸基を含有するアルカリ可溶性
    樹脂の中から選ばれる1種類以上のアルカリ可溶性樹脂
    を主成分とする樹脂組成物によるアンカー層と剥離層を
    順次設けることを特徴とするリサイクル型剥離用シート
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルカリ可溶性樹脂を主成分とする樹脂
    組成物を加熱により硬化させることを特徴とする請求項
    3記載のリサイクル型剥離用シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ可溶性樹脂を主成分とする樹脂
    組成物を放射線照射により硬化させることを特徴とする
    請求項3記載のリサイクル型剥離用シートの製造方法。
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