JP2010253779A - ナノオーダーの凹凸模様を有する積層体およびその製造方法 - Google Patents

ナノオーダーの凹凸模様を有する積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐溶剤性およびエンボス賦型性に優れるシート状積層体を提供する。
【解決手段】紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体であって、前記合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたことを特徴とする、シート状積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナノオーダーの凹凸模様を有する紙基材と合成樹脂層とからなる積層体に関し、ホログラム模様などのナノオーダーの凹凸模様を有する合成皮革を製造する際の工程剥離紙などとして使用できる積層体、および積層体の製造方法に関する。
ナノオーダーの凹凸を模様として有するシート状積層体として、ホログラム転写箔がある。ホログラム転写箔は、離型性の基材フィルムに少なくともホログラム形成層と接着剤層とを順次積層させたものであり、接着剤層を介して支持体に接着させた後に基材フィルムを剥離すると、その表面にホログラム形成層が現れるというものである。
このようなホログラム転写箔として、基材、離型層、ホログラム層、反射層及び接着層がこの順に設けられてなるホログラム転写箔がある(特許文献1)。前記ホログラム層を電離放射線硬化性樹脂及び反応性シリコーンの硬化物、並びにポリエチレンワックスで形成したため、別途に保護層を設けなくても耐擦傷性に優れ、カードなどの媒体へ転写する際の箔キレなどを防止でき、転写性に優れ、かつホログラム機能の微細な凹凸を賦型し易い、という。実施例では、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄を形成したスタンパを使用して、微細な凹凸を形成している。なお、特許文献1記載のホログラム転写箔では、凹凸からなるホログラムパターンがホログラム層と接着層との間に形成されているため、ホログラム転写箔の表面にホログラムの凹凸は存在しない。
また、ホログラムパターンが表面に形成されたホログラム異方性反射複合媒体もある(特許文献2)。異方性反射を誘起するヘアライン条溝に対応する凸部間の凹部の底面上にレリーフホログラムパターンが形成されており、ヘアライン条溝に対応する凸部と前記レリーフホログラムパターンの面上に反射層が設けられている。このホログラム異方性反射複合媒体は、複製原版に紫外線硬化樹脂などを塗布し、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ剥離して製造されたものである。なお、複製原版も、紫外線硬化樹脂で製造されている。
更に、ポリプロピレン系樹脂よりなる基材層と特定のプロピレン系共重合体よりなる表面層を積層してなる積層フィルムであって、該表面層の表面にエンボス加工によってホログラム用凹凸が形成されたポリプロピレン系積層フィルムもある(特許文献3)。特定のプロピレン系共重合体を使用することでエンボス加工により直接微細凹凸を形成できる、というものであり、熱可塑性樹脂から構成されるため、熱シールによる袋加工等の2次加工性に優れ、成形体として、半折による熱シールや溶断シール、あるいはフィルム複数枚を使用した熱シールなどの加工が容易にできる、という。実施例では、アルミニウム箔上に柄を刻印したホログラム加工版を使用し、40℃に設定されたエンボス加工用ロール4の表面に貼り付けたものを前記ポリプロピレン系共重合体を積層させた面とを接触させ、ゴムニップロールで押圧して版の模様をフィルムに転写している。
このように、凹凸によって形成した模様を有するシート状積層体は、ネガパターンの原版を使用してエンボス加工し、凹凸を目的物に転写し、目的とする凹凸模様を出現させて製造される。即ち、ネガパターンの複製原版を使用し、ポジパターンの目的物を製造している。
一方、このような凹凸を有するシート状積層体として合成皮革製造用の工程剥離紙があり、一般に紙基材に剥離層を塗工し、この剥離層に特定模様の凹凸をエンボス加工して製造される。この工程剥離紙にポリウレタン樹脂などの合成樹脂をコーティングし、次いで工程剥離紙を除去すれば前記凹凸模様を表面に有するポリウレタン製品を製造することができる。すなわち、ポジタイプの複製原版を使用してネガタイプの工程剥離紙を製造し、ネガタイプの工程剥離紙を使用してポジタイプの合成皮革を製造するものである。
このような工程剥離紙として、エンボス模様が施された紙層と、前記紙層の一方の表面に積層された離型層と、前記紙層の他方の表面に設けられたエンボス形状を維持するための支持層とからなるエンボス加工用離型紙がある(特許文献4)。上記構成によれば、繰り返し使用した場合であっても当該エンボス加工用離型紙のエンボス形状の凹凸が平坦化されることを抑制することができ、エンボス模様が施されたシート状材料の意匠性を良好に保つことができる、という。
特開2008−9134号公報 特開2008−15054号公報 特開2007−069600号公報 特開2007−092196号公報
上記したホログラム転写箔は、基材に、離型層、ホログラム層および接着剤を積層して構成され、支持体に接着後した後に基材を剥離するものである。例えば、特許文献1のホログラム転写箔の場合、ホログラム箔自体はホログラム層に接着剤層が積層して構成されたものである。また、特許文献2記載のホログラム異方性反射複合媒体の場合は紫外線硬化樹脂で構成され、特許文献3の積層フィルムの場合には、ポリプロピレン系樹脂と特定のプロピレン系共重合体との積層体で構成されている。
これらはいずれも所定の硬度を有する基材にナノオーダーの凹凸模様を形成することで回折格子やホログラム模様を表出させた薄層状物であり、ナノオーダーの凹凸模様として高度のセキュリティーを担保させた特定のホログラムパターンは、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場券、通行証、サービスポイントなどの一定の金額を払い込んだ権利や資格などを証明する媒体へ適用することが好適である。
一方、ホログラムや回折格子などのナノオーダーの凹凸模様は意匠性にも優れる。したがって、上記素材以外にもナノオーダーの凹凸模様を形成できれば、ホログラム模様の用途を広げることができる。このような用途として合成皮革があるが、ホログラムなどのナノオーダーの凹凸模様を合成皮革にエンボス加工する技術は十分でない。特に、紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体の表面にナノオーダーの凹凸模様が形成されたものは、このような新規な素材によってナノオーダー模様のインテリア、装飾品、衣料品その他への応用が拡大されうる。
なお、合成皮革に模様を形成するには、上記したように、ネガタイプのエンボス加工用離型紙を使用し、合成皮革の表面にポジタイプのエンボス模様を形成することが一般的である。このためには、ポジタイプの複製原版を使用し、ネガタイプの工程剥離紙を調製する必要があるが、このようなナノオーダーの凹凸模様が形成されたエンボス加工用離型紙は存在しない。付言すれば、エンボス加工用離型紙は、一般に紙基材に合成樹脂からなる剥離層が形成されたものであるが、ナノオーダーの凹凸模様が形成された紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体自体が存在しないのである。というのも、工程剥離紙を製造する際に、ナノオーダーの凹凸模様を有する複製原版を使用してエンボス加工を行っても、工程剥離紙にナノオーダーの凹凸模様を転写させることできず、このため得られた工程剥離紙を使用して合成皮革を製造しても、ナノオーダーの凹凸模様が発現する合成皮革を製造することができないのである。なお、ホログラム転写箔などは、金属や合成樹脂からなる複製原版を利用して製造されるが、このような原版は強度や剥離性に劣るため、合成皮革を製造するための工程剥離紙として使用することはできない。したがって、ホログラム模様などのナノオーダーの凹凸模様を転写しうる工程剥離紙となりうるシート状積層体の開発が望まれる。
また、工程剥離紙は繰り返し利用できることが好ましいのであり、離型紙が容易に剥離できる必要がある。したがって、再使用に十分な機械的強度を有し、かつ剥離性に優れる離型紙が望まれる。
さらに、上記したホログラム転写箔は、複雑な工程で製造した金属や合成樹脂からなる複製原版を使用して製造される。しかしながら、上記した工程剥離紙を使用してホログラム転写箔が製造できれば、安価にホログラム転写箔を製造することができ、ホログラム転写箔の大量生産にも好適である。したがって、ポジタイプの複製原版の凹凸模様を転写したネガタイプの凹凸模様を表出しうるシート状積層体の製造方法の開発が望まれる。
このような状況の下、本発明は、工程剥離紙などとして使用することができる、ホログラム模様などのナノオーダーの凹凸模様が形成されたシート状積層体を提供することを目的とする。
また、ホログラム模様などのナノオーダーの凹凸模様が形成されたシート状積層体の製造方法を提供することを目的とする。
更に、ホログラム模様などのナノオーダーの凹凸模様が形成されたシート状積層体を工程剥離紙として使用して製造された合成皮革を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の製造方法によれば、紙基材と合成樹脂層とからなるナノオーダーの凹凸模様を有するシート状積層体を製造しうること、このようなシート状積層体は、例えば合成皮革製造用の工程剥離紙として使用できること、ナノオーダーの凹凸模様を有する工程剥離紙を使用して、ナノオーダーの凹凸模様を有する合成皮革を製造しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体であって、前記合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたことを特徴とする、シート状積層体を提供するものである。
また、上記シート状積層体からなる、合成皮革製造用の工程剥離紙を提供するものである。
更に、上記工程剥離紙を用いて製造された合成皮革を提供するものである。
加えて、表面処理した紙基材に電離放射線硬化性組成物を塗工し、次いで前記電離放射線硬化性組成物層に、乾燥時塗工量として10-6〜1g/m2で熱硬化性シリコーン組成物を塗工して積層物を得る工程、前記積層物を、深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたエンボスロールを用いて、温度40〜180℃でエンボス加工する工程、ついでエンボス加工した積層物に電離放射線硬化処理を行うことを特徴とする、外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成された積層体の製造方法を提供するものである。
本発明のシート状積層体は、表面にナノオーダーの凹凸模様が形成され、意匠性に優れ、そのまま壁紙などとして使用することができる。
本発明のシート状積層体は、ナノオーダーの凹凸模様のネガタイプを表面に形成させて工程剥離紙として使用することができる。この工程剥離紙を使用し、ポジタイプの凹凸模様を表面に有する合成皮革を容易に製造することができる。
本発明の合成皮革は、ナノオーダーの凹凸模様を有するため、装飾品、インテリア製品など、広範囲にナノオーダーの凹凸模様を拡げることができる。
本発明のシート状積層体が、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体からなる電離放射線硬化樹脂層を有する場合には、耐溶剤性、賦型性、離型性に優れるため、工程剥離紙として複数回の再使用が可能であり、経済的である。
本発明の第一は、紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体であって、
前記合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたことを特徴とする、シート状積層体である。前記合成樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂層であってもよく、電離放射線硬化樹脂層と最外層として構成された熱硬化シリコーン層との2層以上の多層からなるものであってもよい。本発明の好適な態様の一例を示す図1を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
(1)シート状積層体
本発明のシート状積層体は、紙基材と合成樹脂層とからなる。用途に応じて、適宜選択することができる。合成樹脂層は、単層でよいが2層以上の多層であってもよい。本発明では、紙基材(10)と合成樹脂層との間に中間層が形成されていてもよい。
図1に、合成樹脂層が熱硬化シリコーン層(40)と電離放射線硬化樹脂層(30)とからなり、紙基材(10)、電離放射線硬化樹脂層(30)、熱硬化シリコーン層(40)の順に積層されたシート状積層体の層構成を示す。
また、図2に、前記紙基材(10)と、電離放射線硬化樹脂層(30)との間に中間層(20)が形成された態様を示す。中間層(20)は、熱可塑性樹脂層またはバインダー樹脂と無機顔料との混合物層、その他であってよい。中間層(20)の形成によって、紙基材(10)と電離放射線硬化樹脂層(30)との接着性を向上させ、または耐溶剤性を向上させることなどができる。
また、図示しないが、本発明のシート状積層体を構成する電離放射線硬化樹脂層(30)も単層でもよく、2層以上の多層であってもよい。例えば、電離放射線硬化樹脂層に無機顔料を含有する電離放射線硬化樹脂層(30A)と無機顔料を含有しない電離放射線硬化樹脂層(30B)とを積層させることができる。電離放射線硬化樹脂層(30A)を紙基材に積層させ、次いで電離放射線硬化樹脂層(30B)を積層させると中間層(20)を設けることなく耐溶剤性を確保することができる。
本発明において、深さ1〜10000nmの凹凸模様としては特に制限はないが、ホログラムパターンや回折格子などのホログラム模様がある。好ましくは、深さ10〜2000nm、より好ましくは20〜1000nm、特に好ましくは100〜800nmの凹凸模様である。凹凸のピッチなどは、ホログラム模様などが形成できればよい。これにより、可視光の下で干渉縞が発生し、特有の意匠が発現され、肉眼でホログラム模様を観察することができる。
本発明のシート状積層体は、紙基材と合成樹脂層とからなり、合成樹脂層を適宜選択することで、例えば合成皮革製造用の工程剥離紙として使用することができる。本発明のシート状積層体を工程剥離紙として使用する場合、深さ1〜10000nmの凹凸模様をホログラム模様のネガパターンで構成すれば、表面にポジタイプのホログラム模様が形成された合成皮革を製造することができる。
一方、合成樹脂層をポリオレフィン系樹脂層で構成した場合には、エンボス加工の際に、ポリオレフィン系樹脂層にポジタイプのホログラム模様が形成されるように原版を調製すれば、シート状積層体をそのまま壁紙などに使用することができる。なお、ポリオレフィン系樹脂層がポリプロピレン系樹脂など、所定の耐熱性、機械的強度を有する場合には、このようにして得られたシート状積層体を工程剥離紙として使用することもできる。工程剥離紙として使用する場合には、シート状積層体に形成される深さ1〜10000nmの凹凸模様は原版のネガパターンとする。これにより、合成皮革に原版と同じポジタイプの凹凸模様を形成することができる。
本発明のシート状積層体は、工程剥離紙のほかに、壁紙、電子部材、光学用部材たとえば導光板やモスアイフィルム、プリズムシートやレンズシートなどに有効に使用することができる。
(2)紙基材
本発明で使用する紙基材は、合成樹脂層や中間層を積層する工程に耐える強度を有し、かつ深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成しうる機械的強度を有し、かつエンボス加工が容易であることが必要である。クラフト紙、上質紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、カップ原紙などの非塗工紙の他、天然パルプを用いない合成紙なども用いることができる。合成皮革の加工適性のためには、耐久性、耐熱性に優れる点で天然パルプからなる紙を使用することが好ましい。また、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成しうる平滑性を有することが好ましく、例えば、前記したように、紙基材(10)と、電離放射線硬化樹脂層(30)との間に中間層(20)が形成される場合には、紙基材(10)に熱可塑性樹脂などの中間層をキャストコーターで塗工し、回転するキャストドラムの表面光沢度が75°反射で90以上の鏡面を前記塗工面に転写して得られるキャストコート紙などを紙基材と中間層との積層体として使用することもできる。
本発明において、基材層として使用する紙としては、秤量15〜300g/m2、好ましくは100〜180g/m2である。この範囲であれば、エンボス加工が容易である。また、紙は、中性紙であることが好ましい。硫酸バンドなどを含む酸性紙は、合成皮革の製造工程で繰り返し使用されると熱劣化が発生し、このため早期に再使用が困難となる場合がある。中性紙であれば、このような熱劣化を防止することができる。
また、本発明で使用する紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、上記理由により硫酸バンドを使用しないことが最も好ましいが、硫酸バンドを使用してpH6〜9の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
更に、本発明で使用する紙基材としては、例えば一般的な、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙、樹脂コート紙、加工原紙、剥離原紙、両面コート剥離原紙などの予め目止め層などの中間層や樹脂層が形成された市販品を使用することもできる。
(3)合成樹脂層
本発明のシート状積層体は、紙基材と合成樹脂層とからなり、合成樹脂層としてはポリオレフィン系樹脂であってもよい。
合成樹脂層として使用するポリオレフィン系樹脂としては、エチレンやプロピレンの単独重合体のほか、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレンと1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン、1−オクテン、1−デセン等とのランダムあるいはブロック共重合体であってもよい。耐熱性に優れる点で、ポリプロピレン系樹脂を好適に使用することができる。なお、ポリプロピレン系樹脂は、チーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等で重合されたものを使用することができ、また、複数のものを混合して使用してもよい。ポリオレフィン系樹脂は、融点が150℃以上であることが好ましい。シート状積層体の白化を防止し、加工時のフィルムの熱収縮を小さくすることができる。
上記ポリプロピレン系樹脂には、通常のポリプロピレンに使用されている酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、塩素補足剤、核剤、アンチブロッキング剤、有機・無機充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
前記積層フィルムは、無延伸フィルム、1軸延伸フィルム、2軸延伸フィルムであってもよいが、中でも、後記に示す通り、フィルムの薄膜化、破断強度の高いフィルムを得るためには、2軸延伸フィルムであることが好ましい。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂層は、単層である場合に限定されず、2層以上の複層からなるものであってもよい。例えば、前記ポリオレフィン系樹脂層の表層に更に融点や組成などが異なるポリオレフィン系樹脂を積層したものであってもよい。
このような表層樹脂としては、融点が90〜120℃のポリプロピレン系樹脂が好適である。本発明のシート状積層体は、外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されるが、融点が上記範囲にあれば、このような凹凸模様をエンボス加工によって形成することが容易だからである。上記範囲であればエンボス加工時によって上記凹凸模様を形成することができる。
本発明において合成樹脂層がポリオレフィン系樹脂層で構成される場合には、層の厚さは、2〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。また、ポリオレフィン系樹脂層が2層から構成される場合には、このような表面層の厚みは、1〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。上記範囲であれば、明確に上記凹凸模様が形成されたシート状積層体が得られる。
本発明で使用するプロピレン系共重合体には、通常のポリプロピレンに使用されている酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、塩素補足剤、核剤、アンチブロッキング剤、有機・無機充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
合成樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂層であれば、機械的強度に優れ、かつ凹凸模様を有するシート状積層体として、装飾部材その他として好適に使用することができる。
(4)電離放射線硬化樹脂層
本発明のシート状積層体は、その用途により合成樹脂層を適宜選択することができる。例えば、合成樹脂層を電離放射線硬化樹脂層と熱硬化シリコーン層とから構成すれば、合成皮革などを製造する際の工程剥離紙として使用することができる。このようなシート状積層体は、電離放射線硬化樹脂層によってエンボス賦型性を、熱硬化シリコーン層によって離型性を確保することができる。
本発明で使用する電離放射線硬化樹脂層は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)からなる電離放射線硬化性組成物、または(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(II)からなる電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化させたものであり、当該(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜200,000、より好ましくは15,000〜100,000、特に好ましくは15,000〜70,000である。また、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)の分散比(Mw/Mn)は1.0〜5.0、より好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.9〜3.5であり、ガラス転移点温度(Tg)は40〜150℃、より好ましくは65〜120℃、特に好ましくは65〜90℃である。なお、本発明において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレン換算で求めた値である。本発明のシート状積層体が工程剥離紙として使用される場合には、寸法安定性と共や耐熱性が要求される。本発明によれば、上記(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体からなる電離放射線硬化性組成物は、寸法安定性に優れ、エンボス加工時の賦型性に優れ、しかも電離放射線硬化樹脂層形成時にタックフリーであるため原反の巻き取りが容易で、極めて操作性に優れる。
このような(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)としては、例えば(メタ)アクリレート系単量体単位(A)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)とを含むエポキシ基含有共重合体(C)に、(メタ)アクリル酸を反応させて得ることができる。
本発明において(メタ)アクリレート系単量体単位(A)としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルメタクリレート、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチル−2’−(アクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチル−2’−(メタクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−{2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2’−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、2−{2−(ジシクロペンタニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2’−(メタクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルアクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルメタクリレート、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチル−2’−(アクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチル−2’−(メタクリロイルオキシ)エチルエーテル、2−{2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2’−(アクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、2−{2−(ジシクロペンテニルオキシ)エチルオキシ}−1−{2’−(メタクリロイルオキシ)エチルオキシ}エタン、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどがある。これらの中でも、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレートなどを好適に使用することができる。
また、エポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレートなどがある。
上記(メタ)アクリレート系単量体単位(A)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)との配合比は、単量体単位の合計質量中に上記エポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)を5〜95質量%となるように配合することである。5質量%を下回ると、十分な二重結合当量を確保することができず、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)の硬化後の耐溶剤性、耐擦過性が損なわれる場合がある。一方、95質量%を超えるとTgが低くなりすぎることによる未硬化膜のタック感が生じ、賦型性が損なわれる場合がある。
また、本発明で使用する電離放射線硬化性組成物は、(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(II)であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルおよび他の(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリレート系単量体単位(A)に該当し、グリシジル(メタ)アクリル酸エステルはエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)に該当する。したがって、他の(メタ)アクリル酸エステルは、上記(メタ)アクリレート系単量体単位(A)の中から適宜選択することができる。
反応は、上記単量体単位をラジカル開始剤の存在下で共重合して得られる。ラジカル開始剤としては特に制限されるものではないが、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾビスメチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル等のアゾ化合物;過酸化水素;ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチル−ジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドなどのパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、塩素酸ソーダ等の過酸化物、あるいはこれら過酸化物と還元剤との組合せによるレドツクス系開始剤等一般的なラジカル開始剤を重合方法に合わせて適宜採択し得る。上記重合開始剤の使用量は、その種類や重合条件で異なるが、上記単量体100質量部に対して通常、0.1〜10質量部である。
重合温度は、重合開始剤の種類によるが、通常40〜180℃、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜130℃である。また、反応圧は、大気圧でもよく、加圧条件でもよく、通常0.15〜0.5MPaである。なお、重合時間は、3〜15時間である。
上記のような単量体単位(A)、単量体単位(B)を溶液重合により重合する。溶液重合に使用しうる溶媒としては、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素化合物;テトラヒドロフラン、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル化合物などの有機溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の公知の溶剤が使用できる。中でも、メチルエチルケトン、メタノール、トルエン、エチルベンゼン、酢酸ブチル等を用いることが好ましい。このような溶媒は1種を用いても2種以上を併用してもよい。
反応溶媒中の単量体濃度は10〜80質量%が好ましい。単量体濃度が10質量%より小さいと十分な反応速度が得られないことがあり、80質量%より高いと反応中にゲル化物が生じる恐れがある。
十分な反応速度を得るために、本反応は触媒を用いて行うのが好ましい。触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのホスフィン類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類、ジメチルスルフィド、ジフェニルスルフィドなどのスルフィド類などを用いることができるが、反応速度の面からホスフィン類が好ましく、特にトリフェニルホスフィンが好ましい。
これらの触媒の量はエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)に対して、通常、0.1〜10質量%である。触媒量がエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)に対して0.1質量%より少ない場合には十分な反応速度が得られないことがあり、10質量%より多く加えると生成した樹脂の諸物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
反応中のゲル化物の生成を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどのN−オキシラジカル系化合物;ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系化合物;フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物;1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシルアミン系化合物;ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノンなどのキノン系化合物;塩化第一鉄、ジメチルジチオカルバミン酸銅などの銅化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの重合禁止剤の量は反応液全体に対して1〜10000ppmであるのが好ましい。
次いで、得られた共重合体(C)に(メタ)アクリル酸を反応させると(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)、(II)を得ることができる。(メタ)アクリル酸、より好ましくはアクリル酸で変性することで(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体に二重結合を導入することができる。本発明で使用する(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)は電離放射線硬化膜をなすものであり、硬化によって耐溶媒性、耐熱性などを確保するため、二重結合当量が0.5〜4.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜4.0、特に好ましくは0.7〜3.6である。したがって、(メタ)アクリル酸は、二重結合当量が上記範囲となるように共重合体(C)と反応させるとよい。
共重合体(C)と(メタ)アクリル酸との反応は、溶液中で3級アミン触媒、4級アンモニウム塩触媒、3級ホスフィン触媒、4級ホフフィン塩触媒、有機錫化合物触媒の存在下で行うことが好ましい。具体的には、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのホスフィン類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類、ジメチルスルフィド、ジフェニルスルフィドなどのスルフィド類などを用いることができる。
上記反応時間、反応温度は、選択した溶媒や反応圧力などによって異なるが、圧力が大気圧〜0.2MPaで、通常、温度50〜160℃、反応時間は3〜50時間である。
本発明の電離放射線硬化性組成物は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜200,000であり、分散比(Mw/Mn)が1.0〜5.0であり、ガラス転移点温度(Tg)が40〜150℃の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)を含む。(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)のTgが40℃より低いと、未硬化の膜にタックが発生し、シートの巻き取りが損なわれる場合がある。一方、150℃を超えると、硬化後の可撓性が損なわれる場合がある。本発明に規定するTgの測定は、後記する実施例に記載する方法で測定するものとする。
なお、(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(II)は、重量平均分子量(Mw)やTgの制限はないが、シート状積層体を工程剥離紙として使用する場合には、ガラス転移温度が40〜150℃であることが好ましく、より好ましくは65〜120℃である。Tgは重量平均分子量(Mw)や二重結合当量と相関するため、上記ガラス転移温度を満たすように二重結合を含め、かつ重量平均分子量(Mw)を調製すればよい。好ましくは5,000〜200,000、より好ましくは15,000〜100,000、特に好ましくは15,000〜70,000である。5,000を下回ると、耐溶剤性や強靭性に劣る場合があり、一方、200,000を超えると樹脂粘度が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。また、ガラス転移点温度(Tg)は40〜150℃、より好ましくは65〜120℃、特に好ましくは65〜90℃である。この範囲であれば、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(II)を硬化させた後に、耐溶剤性、耐擦過性に優れ、かつ未硬化膜のタック感がなく、賦型性に優れるからである。
本発明で用いられる電離放射線硬化性組成物は、上記(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)、(II)のみからなるものであってもよい。組成物とは2種以上の物質が配合されたものであるが、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)の分散比から明らかなように、異なる分子量の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体が含まれているため、本願では(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体のみからなる場合も電離放射線硬化性組成物と称する。
本発明で使用する電離放射線硬化性組成物には、更に無機顔料、光重合開始剤、その他を配合してもよい。無機顔料の配合により、目止め層などの中間層との密着性を向上させることができる。このような無機顔料として、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが例示できる。無機顔料は、電離放射線硬化膜に0.5〜50質量%、より好ましくは1〜10質量%となるように配合することが好ましい。電離放射線硬化樹脂層が2層以上の多層で構成される場合には、各層における無機顔料の配合量が上記範囲となる。
電離放射線硬化性組成物に配合しうる光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどがある。光重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体100質量部に対して、1〜10質量部である。
更に、該(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体の硬化特性を改質するために、電離放射線硬化性組成物に任意成分として他の樹脂、シリコーン化合物、反応性モノマーなどをその特性を害しない範囲で含有させてもよい。
他の樹脂としては、メタクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどがあり、反応性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどがある。
この電離放射線硬化性組成物は、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体100質量部に対して10〜1000質量部の溶剤で希釈して塗工してもよい。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば、25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与するとともに、これを乾燥する工程においてシリコーン化合物の適正な表面への移行を可能にする。
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
塗工方式としては、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、グラビアオフセットコート、マイクログラビアコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、カーテンコート、ナイフコート、エアナイフコート、バーコート、ダイコート、スプレーコートなどの公知の方法が用いられ、熱可塑性膜上に塗工後、温度90〜130℃で乾燥および加熱して、乾燥炉で溶剤を蒸発させて電離放射線硬化性組成物を熱硬化させる。この温度は、電離放射線硬化性組成物の軟化点より高く、かつ電離放射線硬化性組成物が溶融する温度より低い範囲である。
電離放射線硬化膜の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは3〜20μmである。1μmより薄いと寸法安定性に劣る場合があり、一方、50μmを超えると樹脂の硬化性が悪くなる場合がある。前記したように、電離放射線硬化膜が2層以上の多層で構成される場合には、全層の厚さを上記範囲とする。
なお、上記熱硬化した電離放射線硬化性組成物は、塗工後に、熱硬化シリコーン層側から紫外線あるいは電子線を照射することで電離放射線硬化させることができる。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。電子線の照射方式としては、スキャンニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが用いられ、電子線の加速電圧は、50〜300kVが適当である。
(5)熱硬化シリコーン層
本発明で用いる熱硬化シリコーン層は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系硬化触媒からなる熱硬化性シリコーン組成物を熱硬化して形成したものを好適に使用することができる。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンの一例としては下記の如き化合物が挙げられる。
Figure 2010253779
(上記式中におけるRは主としてメチル基であるが、その他のアルキル基またはフェニル基等のアリール基或はそれらの組み合わせで有り、l+m+nは1以上の整数であり、各シロキサン単位はランダムに配置されていてもよい。X、YおよびZのうち少なくとも1個はビニル基、アリル(−CH2−CH=CH2)基または(メタ)アクリロイル基等に付加重合性基であり、R1〜R3は単結合或はアルキレン基である。)
以上のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの分子量は特に限定されないが、一般的には3,500〜20,000の範囲が好適である。これらのアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは市場から入手でき本発明で容易に使用することができる。
本発明で使用するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記一般式において−R1−X、−R2−Z、および−R3−Yのうち少なくとも1個が水素原子であるものであり、他の置換基、シロキサン単位の配列、分子量等については前記一般式と同様である。これらのアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは市場から入手でき本発明で容易に使用することができる。
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの使用割合は、両者の有する反応性基のモル比で決まり、前者と後者の比が4:1〜1:4、特に1:1〜1:3の範囲が好ましく、この範囲を外れると離型性の低下、塗膜強度の低下、未反応の反応性基による保存性の劣化等の点で満足した性能が得られない。
本発明では、更に白金系硬化触媒を使用する。該触媒は前記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサン100質量部当たり約5〜200質量部程度が好ましい使用量である。
上記のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系硬化触媒からなる熱硬化性シリコーン組成物は、常温でも反応が進行し、塗工液中での反応の進行は離型性低下の原因となり、また、塗工液の保存性や取り扱い性に問題が生じる。本発明ではこの様な問題を解消する為に、常温では熱硬化性シリコーン組成物に対して反応抑制効果を有し、加熱処理時にはその抑制効果が解消する反応抑制剤を使用してもよい。具体的には、本発明で使用する反応抑制剤は、溶媒の溶液の状態では、上記の熱硬化性シリコーン組成物に対する硬化触媒の作用を抑制し、加熱された状態や溶剤が揮散した状態、即ち加熱または乾燥状態では上記硬化触媒の作用を抑制せず、むしろ促進する材料である。この様な硬化抑制剤としては、例えば、アセチレンアルコールのシリル化物等が挙げられる。これらの反応抑制剤は市場から入手して使用することができる。かかる反応抑制剤は前記熱硬化性シリコーン組成物100質量部当たり約5〜100質量部の割合で使用することが好ましい。
このような熱硬化性シリコーン組成物としては、市販品を使用してもよく、例えば、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物からなる付加重合型シリコーン材料の主剤(信越化学工業株式会社製、KS−3603)に白金系硬化触媒からなる硬化剤(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)を混合して調製することができる。
上記熱硬化性シリコーン組成物は、常温では固体状態であるが、加工時には加熱により液体状態に変化する材料である。
本発明で使用する熱硬化性シリコーン組成物は、強度等の充分な皮膜物性を得るために硬化性を必要とする。
本発明における熱硬化性シリコーン層の形成方法自体は、前記電離放射線硬化性組成物の塗布、乾燥加熱の形成と同様でよく、形成される前記熱硬化シリコーン層は、乾燥時塗工量が10-6〜1g/m2、好ましくは10-3〜1g/m2、より好ましくは10-2〜1g/m2、更に好ましくは0.05〜0.5g/m2、特に好ましくは0.05〜0.3g/m2である。用途によって異なるが、本発明のシート状積層体を、合成皮革を製造する際の工程剥離紙として使用する場合には、上記範囲の塗工量の場合に、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成した原版からの転写性に優れる。このため、この工程剥離紙を使用して合成皮革を製造すると、原版の凹凸模様が明瞭に出現される合成皮革を製造することができる。
(6)中間層
本発明のシート状積層体が、工程剥離紙として使用される場合には、紙基材と前記電離放射線硬化樹脂層との間に中間層が形成されることが好ましい。中間層は、単層に限らず2層以上の多層であってもよく、耐熱性、平滑性、耐溶剤性、目止め層としての効果を確保することができる。このような中間層としては、熱可塑性樹脂層や、バインダー樹脂と無機顔料との混合物層から構成されるものであってもよい。更に、前記熱可塑性樹脂は、2種以上の熱可塑性樹脂を使用して、2層以上の多層としてもよい。
(i)熱可塑性樹脂層
使用しうる熱可塑性樹脂としては、アクリル系樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、その他、シリコーン系樹脂、アミノアルキッドを含むアルキッド系樹脂などが例示される。この中でも、ポリプロピレン系樹脂やポリメチルペンテン系樹脂は、耐熱性、加工性に優れる点で好ましい。
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂は、工程剥離紙としての耐熱性を損なわない限り、プロピレン単独重合体に限らず、プロピレンを主体とし、このプロピレンと例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、4−ポリメチルペンテン−1などのα−オレフィンとの共重合体であってもよい。
また、ポリメチルペンテン系樹脂は、4−メチル−1−ペンテンを主成分とするポリマーであり、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体の他、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。
前記したように、熱可塑性樹脂層は、単層に限定されない。例えば、ポリプロピレン系樹脂およびポリメチルペンテン系樹脂から選ばれる第一ポリオレフィン系樹脂層(120A1)と、前記第一ポリオレフィン系樹脂層を構成する樹脂とポリエチレン系樹脂との組成物からなる第二ポリオレフィン系樹脂層(120A2)とからなる2層としてもよい。この際、第二ポリオレフィン系樹脂層において、ポリエチレン系樹脂の配合量は、5〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%である。ポリエチレンはポリプロピレン系樹脂やポリメチルペンテン系樹脂などよりも融点が低いが、上記範囲であれば、第一ポリオレフィン系樹脂層(120A1)と紙基材とを好適に接着することができ、かつエポキシ樹脂含浸時の耐熱性を確保することができるからである。なお、使用するポリエチレン系樹脂としては特に制限はなく、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのいずれでもよい。ただし、密度によって融点が相違するため、好ましくは融点が90〜130℃、より好ましくは110〜120℃のものである。
上記熱可塑性樹脂層は、前記ポリオレフィン系樹脂または組成物樹脂を、ロールコート、グラビアコート、押出しコート、ナイフコート、ミヤバーコート、ディップコートなどで紙基材に積層することで調製することができる。なお、熱可塑性樹脂層が多層である場合には、共押出しなどに紙基材に積層してもよい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、3〜40μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。3μmより薄いと紙基材との接着性が低下する場合があり、一方、40μmを超えると剥離紙のカールが大きくなる場合がある。
本発明では、熱可塑性樹脂層に表面処理がなされていてもよい。このような表面処理によって電離放射線硬化樹脂層との密着性を向上させることができる。このような表面処理としては、フレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理などがある。また、予め、プライマーコート剤、アンダーコート剤、アンカーコート剤、接着剤、あるいは、蒸着アンカーコート剤等を任意に塗布し、表面処理することもできる。なお、前記コート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
このような表面処理の中でも、特に、コロナ処理やプラズマ処理を行うことが好適である。また、プラズマ処理としては、気体をアーク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ処理がある。プラズマガスとしては、上記のほかに、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができる。すなわち、後記する物理的気相成長法または化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、基材フィルムの表面の水分、塵などを除去すると共にその表面の平滑化、活性化、その他等の表面処理を可能とすることができる。更に、本発明では、プラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他の条件を考慮してプラズマ放電処理を行うことが好ましい。また、プラズマを発生する方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電、その他の装置を使用することができる。また、大気圧プラズマ処理法によりプラズマ処理を行なうこともできる。
(ii)無機顔料との混合物層
混合物層としては、バインダー樹脂に対して無機顔料を0.5〜50質量%含有したものを好適に使用することができる。これにより耐溶剤性などの目止め効果を確保することができる。バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、SBRなどの合成ラテックス、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン系重合体、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリレート系重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体、酢ビ−エチレン系共重合体、アクリレート−スチレン系重合体、ポリエチレン、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、エポキシ含有樹脂などを好適に使用することができる。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。
無機顔料としては、タルク、カオリンクレイ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などがあり、無機顔料100質量部に対して、前記バインダー樹脂を20〜30質量部を配合する。バインダー樹脂が30質量部を上回ると目止め効果が低減する場合があり、一方、20質量部を下回ると平滑性を阻害する場合がある。この混合物層は、好ましくは0.5〜20g/m2で十分である。混合物層の塗工は、前記した熱可塑性樹脂層と同様の方法で行うことができる。混合物層のコーティングは、固形分100質量部に対して通常10〜1000質量部の溶剤で希釈して塗工される。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与することができる。
なお、紙基材に混合物層を形成した後、カレンダー処理などを行って平滑化を行ってもよい。
(7)深さ1〜10000nmの凹凸模様
本発明では、前記合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成することを特徴とする。本発明のシート状積層体は、合成皮革を製造する際の工程剥離紙として使用することができ、シート状積層体に深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成することで、合成皮革に前記凹凸模様を転写することができる。
このような凹凸模様として、ホログラム模様を含むことができる。光回折構造の代表例であるホログラム模様としては、平面ホログラム、体積ホログラムともに使用でき、具体例としては、レリーフホログラム、リップマンホログラム、フルネルホログラム、フラウンホーファーホログラム、レンズレスフーリエ変換ホログラム、レーザー再生ホログラム(イメージホログラムなど)、白色光再生ホログラム(レインボーホログラム等)、カラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラムディスプレイ、マルチプレックスホログラム、ホログラフィックステレオグラム、ホログラフィック回折格子等が挙げられる。本発明では「ホログラム模様」の用語を使用しているが、特に断りのない限り、その「ホログラム模様」は上記に説明した光回折構造を有する各種のホログラム、回折格子等を包含したものである。
なお、合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成するには、従来既知の方法によって形成することができる。例えば、ホログラム模様として回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された複製原版をプレス型として用い、上記合成樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
(8)シート状積層体の製造方法
本発明では、紙基材と合成樹脂層とを積層してエンボス加工前積層物を調製し、このエンボス加工前積層物に深さ1〜10000nmの凹凸模様からなるエンボス加工を行ってもよいし、紙基材に合成樹脂を溶融押出ししつつ連続的に加熱プレス法によってエンボス加工を行ってもよい。
(i)エンボス加工前積層物を介する製造方法
予め紙基材に合成樹脂層を形成してエンボス加工前積層物を調製し、このエンボス加工前積層物にエンボスロールを使用してエンボス加工を行う方法である。特に、紙基材に中間層を形成し、次いで電離放射線硬化性組成物と熱硬化性シリコーン組成物とを積層してなるシート状積層体の場合は、予めエンボス加工前積層物を製造し、これにエンボス加工を行い、次いで電離放射線硬化処理を行うことで、外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたシート状積層体を製造することができる。上記層構成のシート状積層体は、合成皮革を製造する際の工程剥離紙などとして有効に使用することができるが、複製原版に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されていても、電離放射線硬化性組成物および熱硬化性シリコーン組成物にその凹凸模様が転写されない場合には、これを工程剥離紙として使用して複製原版と同じ深さ1〜10000nmの凹凸模様の合成皮革を製造することができない。本発明者らは、工程剥離紙の層構成、エンボス加工条件などを詳細に検討した結果、紙基材に電離放射線硬化性組成物を塗工し、次いで前記電離放射線硬化性組成物層に、乾燥時塗工量として10-6〜1g/m2で熱硬化性シリコーン組成物を塗工してエンボス加工前積層物を得る工程、前記エンボス加工前積層物を、深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたエンボスロールとペーパーロールとを用いて、温度40〜180℃でエンボス加工する工程、ついでエンボス加工した積層物に電離放射線硬化処理を行うことで得られることを見出した。なお、紙基材には熱可塑性樹脂などからなる中間層を積層してもよく、このような紙基材と中間層とが積層された部材としてキャストコート紙を使用し、キャストコート層に合成樹脂層として、電離放射線硬化性組成物と熱硬化性シリコーン組成物と積層し、またはポリオレフィン系樹脂層を積層して調製することもできる。このような、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成しうる合成皮革を製造する際に好適に使用できる工程剥離紙は、以下の方法によって製造することができる。
まず、電離放射線硬化樹脂層を塗工する紙基材として、紙基材単独、または紙基材に中間層を積層したもの、中間層の表面に更に表面処理を行ったものなどを使用する。中間層の種類や、表面処理の有無、またはその種類などは、使用する中間層の種類や合成樹脂層としてポリオレフィン系樹脂を使用するか、電離放射線硬化性組成物と熱硬化性シリコーン組成物とを使用するかなどに応じて適宜選択することができる。次いで、合成樹脂層を塗工する。合成樹脂層が電離放射線硬化性組成物と熱硬化性シリコーン組成物とである場合には、まず電離放射線硬化樹脂層を塗工し、乾燥および熱硬化して電離放射線性組成物膜を熱硬化させ、熱硬化した電離放射線性組成物膜上に熱硬化性シリコーン組成物を塗工し、加熱乾燥して熱硬化シリコーン膜を形成し、エンボス加工前積層物を製造する。
本発明では、熱硬化性シリコーン組成物を積層する場合には、乾燥時塗工量が10-6〜1g/m2、好ましくは10-3〜1g/m2、より好ましくは10-2〜1g/m2、更に好ましくは0.05〜0.5g/m2、特に好ましくは0.05〜0.3g/m2となるように塗工する。10-6g/m2を下回る場合および1g/m2を超える場合には、複製原版に形成した深さ1〜10000nmの凹凸模様がエンボス加工前積層物に転写されない場合がある。その理由は明確ではないが、10-6g/m2を下回ると熱硬化性シリコーン組成物による剥離性が十分に確保されない場合がある。一方、1g/m2を上回ると複製原版に形成した凹凸模様が、電離放射線性組成物膜に転写されず、その結果、合成皮革に深さ1〜10000nmの凹凸模様を転写することができないものと考えられる。実際に、得られた工程剥離紙を使用して合成皮革を製造したところ、合成皮革に深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成することができた工程剥離紙は、熱硬化性シリコーン組成物が上記範囲にあった。また、工程剥離紙の横断面を詳細に検討した結果、図3に示すように、凹凸模様は、熱硬化性シリコーン組成物層の下層を構成する電離放射線性組成物膜に凹凸が嵌入していることが判明した。工程剥離紙は、エンボス加工によって原版のネガタイプの凹凸模様が形成され、この工程剥離紙を使用して合成皮革を製造すると、合成皮革に原版と同じ凹凸模様が転写される。熱硬化性シリコーン組成物の塗工量を上記に限定することで、深さ1〜10000nmの凹凸模様が熱硬化シリコーン層のみならず電離放射線硬化樹脂層にも嵌入して形成されると考えられる。電離放射線性組成物膜は、熱硬化性シリコーン組成物層よりも硬度が高いため工程剥離紙に凹凸模様の転写が明瞭に行われ、その結果、合成皮革に原版と同じ凹凸模様が明瞭に転写されるものと考えられる。
次いで、図4に模式的に示すように、基材供給ロール(13)からエンボス加工前積層物(19)を引き出し、凹凸パターンの鋳型である複製原版(60)を外周に装着したエンボスロール(75)とこのエンボスロールの凹凸を受けるニップロール(73)とを対向して備えるエンボス加工機に供給する。本発明では、ペーパーロールで構成されるニップロールを使用することが好ましい。本発明のシート状積層体は、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成するものであり、ニップロールとしてゴムロールを使用すると、合成樹脂層に深さ1〜10000nmという微細な凹凸模様を形成することが困難となる場合がある。
また、エンボスロールの加熱温度は、40〜180℃、より好ましくは80〜150℃、圧力は0.1〜300kN/m、より好ましくは0.5〜50kN/mである。エンボスロールの温度は、電離放射線硬化性組成物の軟化点より高く、かつ樹脂が溶融する温度より低い範囲である。加熱方式は、通常エンボスロールに蒸気を通すなどしてロール自体を加熱させるが、エンボス直前で前もって電離放射線硬化性組成物を加熱させるプレヒート方式も可能である。
エンボス賦型後、熱硬化シリコーン膜の側から紫外線あるいは電子線を照射し、熱硬化電離放射線性組成物膜を硬化させ電離放射線硬化樹脂層とする。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。電子線の照射方式としては、スキャンニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが用いられ、電子線の加速電圧は、50〜300kVが適当である。このように、エンボス加工前に、電離放射線硬化性組成物を熱硬化させることで、熱硬化性シリコーン組成物の塗工性を改良でき、かつエンボス加工後に電離放射線硬化させることでエンボス加工の賦型性を確保できる。
なお、本発明のシート状積層体の厚さは、50〜300μmであることが好ましく、より好ましくは70〜150μmである。厚さが50μmを下回ると強度が低下し、製造工程で巻き取りの際に切断しやすくなるなどのライン適性が低下する場合がある。一方、300μmを超えると、シート状積層体の幅カールが大きくなり、加工性が低下する場合がある。
(ii)連続製法
本発明のシート状積層体は、合成樹脂として前記したポリオレフィン系樹脂などを使用する場合には、紙基材に合成樹脂を溶融押出ししつつ連続的に加熱プレス法によってエンボス加工を行い、連続的に製造することができる。なお、本発明における連続製法とは、紙基材と合成樹脂層とからなる積層材を製造する工程と、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成する工程とが連続的に行われるものを意味する。前記したエンボス加工前積層物を調製して一旦巻き取り、ついでエンボス加工前積層物を基材供給ロールから引き出してエンボス加工する方法と区別する便宜的な名称である。
紙基材上に合成樹脂層を形成し、得られた積層物を巻き取ることなく連続的に凹凸模様を形成する。なお、合成樹脂層が多層からなる場合には、予め紙基材上に最外層以外の合成樹脂層を積層させた積層物を調製し、この積層物に最外層を構成する合成樹脂層を積層させて連続的に凹凸模様を形成してもよい。
例えば、図5に模式的に示すように、基材供給ロール(15)から最外層を構成する合成樹脂以外からなる基材(17)を供給する。本発明における連続製法は、最外層を構成する合成樹脂の積層と凹凸模様の形成とが連続される点に特徴があるため、基材供給ロール(15)から供給されるには、紙基材のみであってもよいし、更に中間層や最外層以外の合成樹脂層が積層されたものであってもよい。この基材に、溶融押出成型機(80)から最外層を構成する合成樹脂(50)を供給し、複製原版(60)を外周に装着したエンボスロール(75)とニップロール(73)とで挟む。
本発明では、溶融押出成型機(80)から供給される合成樹脂(50)は、2〜100g/m2、好ましくは20〜80g/m2である。2g/m2を下回ると溶融押出しが困難となり、一方、100g/m2を超えると合成樹脂層が厚すぎ、無駄である。
上記ニップロールは、ペーパーロールで構成されることが好ましい。本発明のシート状積層体は、深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成するものであり、ニップロールとしてゴムロールを使用すると、合成樹脂層に深さ1〜10000nmという微細な凹凸模様を形成することが困難となる。また、本発明では、エンボスロールの加熱温度は、40〜180℃、より好ましくは80〜150℃、圧力は0.1〜300kN/m、より好ましくは0.5〜50kN/mである。温度が40℃を下回ると、エンボス加工によって合成樹脂層に深さ1〜10000nmの凹凸模様を形成することが困難となり、一方、温度180℃を超えると、複製原版からの合成樹脂の離型が困難となり、深さ1〜10000nmの凹凸模様が均一に形成されない場合がある。
(9)合成皮革の製造方法
本発明のシート状積層体が、紙基材、中間層、電離放射線硬化樹脂層と熱硬化シリコーン層とからなる場合には、合成皮革製造用の工程剥離紙として好適に使用することができる。工程剥離紙を製造する際のエンボス原版として、ホログラム模様などの、ポジタイプの深さ1〜10000nmの凹凸模様を使用した場合には、工程剥離紙には、上記凹凸模様のネガパターンが形成される。したがって、この工程剥離紙を使用して合成皮革を製造すると、原版と同じポジタイプの凹凸模様を表面に有する合成皮革を製造することができる。本発明の工程剥離紙は、上記によってホログラム模様などの深さ1〜10000nmの凹凸模様を有するため、表面に、ホログラム模様などの深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成された合成皮革を製造することができる。
具体的には、シート状積層体の熱硬化シリコーン層上に合成皮革用の樹脂組成物を塗布する。熱硬化シリコーン層上に塗布された樹脂層には、熱硬化シリコーン層の凹凸パターン形状に対応した絵柄(凹凸絵柄)が形成される。その後、これに基布(例えば、織布、不織布等)を貼り合わせ、樹脂層を乾燥し冷却した後、離型紙を剥離して合成皮革を得ることができる。上記の合成皮革用の樹脂組成物には、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。ポリウレタンを用いる場合は、樹脂組成物の固形分を20〜50質量%程度とすることが好ましい。また、ポリ塩化ビニルを用いる場合は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウリル等の可塑剤、発泡剤、安定剤等と混合し分散させた樹脂組成物を使用することが好ましい。この樹脂組成物の塗布方法としては、ナイフコート、ロールコート、グラビアコート等の従来公知の塗布方法を挙げることができる。このような本発明のシート状積層体を用いた合成皮革の製造では、高温下で行なわれる塩化ビニル系レザー製造の場合においても、紙基材と熱可塑性樹脂層との間における剥離が防止され、耐熱性に優れ、かつ機械的強度の高い電離放射線硬化樹脂層の存在および剥離性に優れる熱硬化シリコーン層の存在により繰り返し安定生産が可能となる。
深さ1〜10000nmの凹凸模様は、可視光の下で干渉縞を発現することができ、上記によって表面に干渉縞が発現される合成皮革を製造することができる。
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
(合成例1)
撹拌機、滴下ロート、還流冷却器、窒素ガス導入管及び温度計を備えたガラスフラスコに、モノマーとしてメチルメタクリレートを30g、グリシジルメタクリレート70gと、溶剤としてメチルエチルケトン90gを入れて80℃に加熱した後、ここに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.0gをメチルエチルケトン12gに溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に80℃で3時間重合させ、エポキシ基を有する共重合体A1のメチルエチルケトン溶液(固形分50.1%)を得た。続いて、80℃を保ったまま、乾燥空気を吹き込みながらハイドロキノンモノメチルエーテル0.05g、トリフェニルホスフィン1.0g、アクリル酸25g、メチルエチルケトン25gを加え、そのまま35時間反応させ、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分50.6%、Mn=11000、Mw=21000)を得た。該共重合体のガラス転移温度は、62℃であり、二重結合量は3.6であった。結果を表1に示す。
(合成例2〜13)
表1、表2に示す原料に変更する以外は合成例1と同様に重合及び反応を行い、(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分50.8%)を得た。該共重合体の重量平均分子量、数平均分子量、ガラス転移温度、二重結合量を表1、表2に示す。なお、合成例8のみ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の使用量を2.6gに変更して、重量平均分子量を変化させた。
なお、表中の略号は以下である。
IBX:イソボルニルメタクリレート、
MMA:メチルメタクリレート、
BMA:ブチルメタクリレート、
IBMA:イソブチルメタクリレート、
GMA:グリシジルメタクリレート、
AA:アクリル酸、
Mn:数平均分子量、
Mw:重量平均分子量、
Figure 2010253779
Figure 2010253779
測定条件
(1)(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、以下の条件で測定した。
(i) カラム ; 「TSK-GEL MULTIPORE HXL-M ×4」(東ソー社製)
(ii) カラム温度; 40℃
(iii)溶離液 ; テトラヒドロフラン(THF)
(iv) 検出器 ; RI
(v) 検出器温度; 40℃
(vi) 標準物質 ; ポリスチレン
(2)二重結合当量は、組成比から換算した。
(3)Tgは、下記式にしたがって樹脂の設計Tg(ガラス転移温度)を算出した。なお、Tg1、Tg2...で示される単一重合体のガラス転移温度はポリマーハンドブックに記載の値を採用した。
Figure 2010253779
(式中、1,2・・nは、構成するモノマー種類、Tgn:nモノマー単一重合体のガラス転移温度(K)、wn:構成中のnモノマー単位の重量比、Tg:ガラス転移温度(K)を示す。)
(合成例14)
アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物からなる付加重合型シリコーン材料の主剤(信越化学工業株式会社製、KS−3603)100質量部と白金系硬化触媒からなる硬化剤(信越化学工業株式会社製、CAT−PL−50T)0.1質量部、希釈溶剤としてトルエンを固形分濃度が10質量%となるように添加して、熱硬化シリコーン電離放射線硬化性組成物を調製した。
(実験例1)
合成例1の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体100質量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)を3質量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30質量%となるように添加し電離放射線硬化性組成物を作製した。
基材となる紙にはキャストコート紙(キャストコート層10〜40μm、75°反射の表面光沢度が90以上)のキャストコート層の上に上記電離放射線硬化性組成物をグラビアコーターで4g/m2コーティングし、続いて合成例14で調製した熱硬化シリコーン電離放射線硬化性組成物を乾燥時における塗工量が0.1g/m2となるようにコーティングし、120℃で1分間加熱、蒸発乾燥、熱硬化させて熱硬化シリコーン膜を形成した。なお、表面光沢度は、JIS P8142に規定される75度鏡面光沢度の測定方法によるものとする。
その後、エンボス加工を行なった。エンボスは、図6(a)に示すように、深さ(D1)130nm、凹部間隔(W1)が840nmの凹凸模様を有する金属エンボスロールを使用し、ペーパーロールをニップロールとして15KN/mに加圧して行った。この時のエンボスロール温度は110℃とし、支持体と熱硬化シリコーン膜及び電離放射性樹脂の乾燥塗膜に同時にエンボス加工を行い、凹凸が充分賦型されていることを確認した。
ついで出力120W/cmの高圧水銀灯を用い、600mj/cm2の紫外線照射を行い、前記熱硬化電離放射線硬化性組成物膜を硬化させ、エンボス付き工程離型紙を得た。得られた工程離型紙につき、繰返し使用に対する剥離性を測定した。結果を表5に示す。
なお、剥離性は、表3に示す組成のエステル系ポリウレタン樹脂組成物を調製し、実施例および比較例で得た工程剥離紙に乾燥厚み20μmになるようにナイフコーターにて塗布し、160℃で1分間熱風乾燥してポリウレタン表皮層を形成し、このポリウレタン表皮層上に接着剤層として表4に示す二液硬化型ポリエステル系ポリウレタン接着剤を乾燥厚みが40μmとなるようにナイフコーターで塗布し、基布を貼り合わせ、この貼り合わせ物を130℃で5分間熱風乾燥し、更に40℃、48時間熟成して接着剤を反応固化させた後、工程剥離紙とポリウレタン表皮層との剥離強度(15mm巾)を測定する方法で評価した。
(実験例2〜10)
合成例1の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体に代えて、合成例2〜9、および合成例13の(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体を使用した以外は実験例1と同様に操作してシート状積層体を作成し、実験例1と同様に工程剥離紙の繰返し使用に対する剥離強度を評価した。
(比較例1)
(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体のコーティングと紫外線照射とを行なわない以外は、実施例1と同様に操作しシート状積層体を調製した。
このシート状積層体を使用して、実施例1と同様にして工程剥離紙を作成し、実験例1と同様に工程剥離紙の繰返し使用に対する剥離強度を評価した。結果を表5に示す。
Figure 2010253779
Figure 2010253779
Figure 2010253779
(実施例11)
シリコーン樹脂の乾燥時における塗工量を表6に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作し、工程剥離紙を製造した。得られた工程剥離紙についてエンボス賦型性を評価した。
ついで、得られた工程剥離紙を使用し、実施例1と同様にして合成皮革を製造した。得られた合成皮革について、可視光の下で表面を肉眼で観察し、深さ130nmの凹凸模様が干渉縞として出現するか否かを評価した。結果を表6に示す。
なお、エンボス賦型性は、原版および工程剥離紙の所定範囲について、図6(a)に示す原版の深さ(D1)と幅(W1)と、図6(b)に示す工程剥離紙の深さ(D2)と幅(W2)とを比較し、相同性で評価した。
Figure 2010253779
図1は、紙基材(10)、電離放射線硬化樹脂層(30)、熱硬化シリコーン層(40)の順に積層されたシート状積層体の層構成を示す図である。 図2は、図1に示すシート状積層体において、紙基材(10)と、電離放射線硬化樹脂層(30)との間に中間層(20)が形成された態様を示す図である。 本発明のシート状積層体が、図2に示す層構成である場合の横断面図である。 本発明のシート状積層体の製造方法を示す説明図であり、エンボス加工前積層体を供給してエンボス加工する工程を示す図である。 本発明のシート状積層体の製造方法を示す説明図であり、最外層を溶融押出しした後に連続的にエンボス加工する工程を示す図である。 実施11でエンボス賦型性を評価する際の原版と工程剥離紙を説明する図である。
10・・・紙基材、
20・・・中間層、
30・・・電離放射線硬化樹脂層、
40・・・熱硬化シリコーン層、
13・・・エンボス加工前積層物の基材供給ロール、
15・・・基材供給ロール、
17・・・連続製法における基材、
19・・・エンボス加工前積層物、
50・・・合成樹脂、
60・・・複製原版、
73・・・ニップロール、
75・・・エンボスロール、
80・・・溶融押出成型機

Claims (16)

  1. 紙基材と合成樹脂層とからなるシート状積層体であって、
    前記合成樹脂層の外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたことを特徴とする、シート状積層体。
  2. 前記合成樹脂層が、電離放射線硬化樹脂層と熱硬化シリコーン層とからなり、
    紙基材、電離放射線硬化樹脂層、熱硬化シリコーン層の順に積層されたものである、請求項1記載のシート状積層体。
  3. 前記熱硬化シリコーン層は、乾燥時塗工量が10-6〜1g/m2であることを特徴とする、請求項2記載のシート状積層体。
  4. 前記熱硬化シリコーン層は、付加重合型シリコーン樹脂からなることを特徴とする、請求項2または3記載のシート状積層体。
  5. 前記熱硬化シリコーン層は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金系硬化触媒からなる熱硬化性シリコーン組成物を熱硬化して形成したものである、請求項2〜4のいずれかに記載のシート状積層体。
  6. 前記電離放射線硬化膜は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜200,000であり、分散比(Mw/Mn)が1.0〜5.0であり、ガラス転移点温度(Tg)が40〜150℃である(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)からなる電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化させたものである、請求項2〜5のいずれかに記載のシート状積層体。
  7. 前記(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(I)は、(メタ)アクリレート系単量体単位(A)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート系単量体単位(B)とを含むエポキシ基含有共重合体(C)に、(メタ)アクリル酸を反応させてなる共重合体である、請求項6記載のシート状積層体。
  8. 前記アクリル系共重合体は、二重結合当量が0.5〜4.5である請求項7記載のシート状積層体。
  9. 前記電離放射線硬化膜は、(メタ)アクリル酸エステル35〜80質量部、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル20〜60質量部、他の(メタ)アクリル酸エステル0〜30質量部からなる共重合体に、(メタ)アクリル酸を10〜30質量部反応させてなる(メタ)アクリロイル基含有アクリル系共重合体(II)からなる電離放射線硬化性組成物を電離放射線により硬化させたものである、請求項2〜8のいずれかに記載のシート状積層体。
  10. 前記電離放射線硬化膜は、無機顔料を0.5〜50質量%の範囲で含有するものである、請求項2〜9のいずれかに記載のシート状積層体。
  11. 前記合成樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂層である、請求項1記載のシート状積層体。
  12. 前記紙基材と合成樹脂層との間に中間層が形成されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のシート状積層体。
  13. 前記深さ1〜10000nmの凹凸模様は、ホログラム模様のネガパターンを構成するものである、請求項1〜12のいずれかに記載のシート状積層体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のシート状積層体からなる、合成皮革製造用の工程剥離紙。
  15. 請求項14記載の工程剥離紙を用いて製造された合成皮革。
  16. 表面処理した紙基材に電離放射線硬化性組成物を塗工し、次いで前記電離放射線硬化性組成物層に、乾燥時塗工量として10-6〜1g/m2で熱硬化性シリコーン組成物を塗工してエンボス加工前積層物を得る工程、
    前記エンボス加工前積層物を、深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたエンボスロールとペーパーロールとを用いて、温度40〜180℃でエンボス加工する工程、
    ついでエンボス加工した積層物に電離放射線硬化処理を行うことを特徴とする、外表面に深さ1〜10000nmの凹凸模様が形成されたシート状積層体の製造方法。
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