JP6672590B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シートの製造方法に関するものである。
ビル、ホテル、マンションのロビーや会議室、オフィスの壁面には、化粧シート(化粧板)を複数壁に取り付けることで、見栄えの良い空間が演出されている。また、このような化粧シートは不動産だけでなく、電車等の車両用内装材としても使用されている。
このような化粧シートは、表面に、メラミン樹脂等で構成された硬質材料層を有し、優れた硬度を有し、傷がつきにくいものとなっている。
そして、化粧シートには、一般に、木目調や石材調等の各パターンがグラビア印刷により設けられている。
グラビア印刷は、同一のパターンを大量に印刷する場合には、生産性に優れているが、異なるパターンの印刷をする場合、新たに版を作製する必要がある。また、パターンのわずかな変更であっても、新たに版を作製する必要がある。このようなことから、従来では、少量多品種の化粧シートを製造するのが困難であった。
また、例えば、新たなパターンの化粧シートを作製する場合に、試作段階でも、微妙なパターンの調整等で、複数の版を製造する必要があるため、初期ロットの製造に要する時間が長かった。
特に、特注の化粧シートを製造する場合には、試作段階で非常に多くの時間を費やすこととなる。
したがって、短期間での化粧シートの納品を求める需要者の要求に応えることができていなかった。
上記のような問題を解決する目的で、例えば、印刷法としてインクジェット法を採用することが考えられる。
しかしながら、単に、グラビア印刷の代わりにインクジェット法を用いた場合には、以下のような問題を生じる。
すなわち、グラビア印刷の代わりに単にインクジェット法を用いた場合には、化粧シートにおいて、印刷部の発色性が劣ったものとなり、化粧シートの審美性を十分に優れたものとすることができない。
特開2013−202906号公報
本発明の目的は、インクジェット法で形成され、発色性に優れた印刷部を有する化粧シートを効率よく製造することができる化粧シートの製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される
) 酸化チタンを含む繊維性基材に対して下処理を施す下処理工程と、
前記下処理が施された前記繊維性基材に対して、硬化性成分を含む硬化系インクをインクジェット法により付与してその後硬化させることにより印刷層を形成する印刷工程と、
前記繊維性基材の前記印刷層が設けられた面側に、硬質材料層を形成する硬質材料層形成工程とを有し、
前記下処理は、前記繊維性基材を構成する繊維の隙間への樹脂部の形成であり、
前記樹脂部は、アクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するものであることを特徴とする化粧シートの製造方法。
) 前記繊維性基材にコア材を接合するコア材接合工程をさらに有する上記()に記載の化粧シートの製造方法。
) 前記コア材接合工程は、前記印刷工程よりも後に行うものである上記()に記載の化粧シートの製造方法。
本発明によれば、インクジェット法で形成され、発色性に優れた印刷部を有する化粧シートを効率よく製造することができる化粧シートの製造方法を提供することができる。
本発明の化粧シートの好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートの製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートの他の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の化粧シートの他の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の化粧シートおよび化粧シートの製造方法について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<<化粧シート>>
まず、化粧シートについて説明する。
化粧シートは、ビル、ホテル、マンションのロビーや、会議室、オフィス等の壁面に取り付けることで、空間の見栄えを向上させることができるものである。また、化粧シートは、例えば、不動産だけでなく、電車等の車両用内装材として使用されるものであってもよい。
図1は、本発明の化粧シートの好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、化粧シート100は、繊維性基材1と、印刷層(印刷部)2と、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側に配された硬質材料層3と、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面とは反対の面側に設けられたコア材4とを有している。
化粧シート100は、使用時において、図1中の上側が観察者の視点側となるものである。
<繊維性基材>
繊維性基材1は、セルロース繊維等の繊維状物質を含む材料で構成されたものである。このような繊維性基材1を備えることにより、化粧シート100を構成する各部の密着性を優れたものとし、化粧シート100の耐久性を優れたものとすることができる。
繊維性基材1としては、例えば、各種紙、不織布、布、織物等を用いることができる。
特に、繊維性基材1としては、紙が好ましい。
紙は、安定的かつ容易に入手が可能であるため、化粧シート100の安定的な供給の観点から有利である。また、紙は、一般に、隠蔽性に優れているため、化粧シート100の背面側に配された部材等が、印刷層2の外観に悪影響を与えることを効果的に防止することができ、印刷層2の視認性、化粧シート100の審美性等をより確実に優れたものとすることができる。また、紙は、一般に安価であるため、化粧シート100の生産コストを抑制する観点からも有利である。
繊維性基材1としての紙は、例えば、普通紙等であってもよいし、受容層が設けられた専用紙(例えば、インクジェット用専用紙)等であってもよい。
繊維性基材1は、繊維状物質のみで構成されたものであってもよいが、それ以外の成分を含むものであってもよい。
例えば、繊維性基材1は、酸化チタン(図示せず)を含むものであってもよい。
これにより、繊維性基材1の隠蔽性を特に優れたものとし、印刷層2の視認性、化粧シート100の審美性等を特に優れたものとすることができる。また、酸化チタンは、紫外線の吸収特性に優れているため、例えば、繊維性基材1の背面(印刷層2が設けられた面とは反対の面側)に設けられた部材(例えば、コア材4)が紫外線に対する耐光性の低い材料で構成されたものであっても、当該部材の紫外線による不本意な変性・劣化等を効果的に防止することができ、化粧シート100全体としての耐光性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
繊維性基材1が酸化チタンを含むものである場合、繊維性基材1中における酸化チタンの含有率(後述する樹脂部12が設けられていない状態での繊維性基材1に対する酸化チタンの比率)は、3質量%以上45質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上40質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であるのがさらに好ましい。
酸化チタンの含有率が前記範囲内の値であると、繊維性基材1のコストの上昇を抑制しつつ、前述したような酸化チタンを含むことによる効果がより顕著に発揮される。また、繊維性基材がこのように比較的高い含有率で酸化チタンを含むものであると、後に詳述する下処理が施されていない状態で、インクジェット法による印刷部(印刷層)の形成を試みた場合に、印刷部の発色性が劣ったものとなるという問題が特に顕著に発生していたが、本発明によれば、このように、比較的高い含有率で酸化チタンを含む繊維性基材を用いた場合であっても、このような問題を確実に防止することができる。したがって、酸化チタンの含有率が前記範囲内の値であると、本発明の効果がより顕著に発揮される。
酸化チタンの平均粒径は、特に限定されないが、1μm以上10μm以下であるのが好ましく、2μm以上5μm以下であるのがより好ましい。
これにより、繊維性基材1の柔軟性を優れたものとしつつ、前述したような酸化チタンを含むことによる効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径のことを指す。
ここで、粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて、水中に対象粒子を1分間超音波処理することにより分散させ、測定することができる。
繊維性基材1の坪量は、特に限定されないが、30g/m以上150g/m以下であるのが好ましい。
坪量が前記下限値未満であると、繊維性基材1に後に詳述する樹脂部12を形成する際に、繊維性基材1に切れ、しわ等を生じ易い。
一方、坪量が前記上限値を超えると、繊維性基材1中に樹脂部を形成する際に各部位での樹脂量にムラが生じ易い。
繊維性基材1は、後に詳述する印刷層2が設けられる前に、下処理が施されたものである。
これにより、印刷層2の形成時に、繊維性基材1の内部にインクが過度に浸透してしまうことを防止することができ、繊維性基材1の表面(観察者側の表面)に、印刷層2を形成することができる。その結果、印刷層2の発色性を優れたものとすることができ、化粧シート100の審美性を優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、下処理により、繊維性基材1を構成する繊維11の隙間に樹脂部12を設けている。
これにより、前述したような下処理を行うことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、化粧シート100の強度を特に優れたものとすることができ、また、繊維性基材1中に含まれる微小な繊維11が不本意に飛散することを効果的に防止することができる。
樹脂部12の構成材料は、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂およびウレタン樹脂を含むものである場合、化粧シート100の柔軟性を好適なものとし、化粧シート100の取り扱い性(取り扱いのし易さ)を特に優れたものとすることができる。
樹脂部12がアクリル樹脂およびウレタン樹脂を含む材料で構成されたものである場合、樹脂部12は、アクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するものであってもよい。
これにより、樹脂部12と繊維11との密着性を特に優れたものとすることができる。また、繊維性基材1とコア材4との接合強度も特に優れたものとすることができる。さらに、ウレタン樹脂は、特に強靭性、弾性、柔軟性に優れ、アクリル樹脂は、特に透明性、耐久性、耐候性、耐薬品性、造膜性に優れており、化粧シート100において、これらの優れた特長を発揮させることができる。
なお、本明細書中において「異相構造」とは、1個の粒子内に異なる種類の樹脂からなる相が複数存在する構造を意味し、例えば、コアシェル構造、局在構造、海島構造等が挙げられる。
また、樹脂部12が、メラミン系樹脂を含む材料で構成されたものである場合、樹脂部12が設けられた繊維性基材1と硬質材料層3との密着性を特に優れたものとすることができ、化粧シート100の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、化粧シートの難燃性を特に優れたものとすることができる。
樹脂部12は、繊維性基材1を構成する繊維11の隙間の少なくとも一部に設けられていればよく、繊維性基材1中に存在する繊維11の隙間のすべてを埋めるものでなくてもよい。
<印刷層>
下処理が施された繊維性基材1(図示の構成では樹脂部12が設けられた繊維性基材1)には、インクジェット法により形成された印刷層2が設けられている。
このようにインクジェット法を採用することにより、グラビア印刷等と異なり、版の準備が不要となり、短期間で、種々のパターンの印刷部(印刷層)を好適に形成することができる。したがって、多品種の化粧シートを好適に提供することができる。
また、パターンの微妙な調整等にも好適に対応することができるため、需要者の要求に的確に応えることができる。
特に、本発明では、単に、繊維状物質からなる繊維性基材に印刷部(印刷層)を設けるのではなく、予め下処理を施した繊維性基材に対して、印刷層を形成する。
これにより、繊維性基材の内部にインクが過度に浸透してしまうことを防止することができ、繊維性基材の表面(観察者側の表面)に、印刷部(印刷層)を形成することができる。その結果、印刷部(印刷層)の発色性を優れたものとすることができ、化粧シートの審美性を優れたものとすることができる。
このような優れた効果は、予め下処理を施した繊維性基材に対して、インクジェット法により印刷部(印刷層)を形成することにより得られるのであって、例えば、繊維性基材に下処理を施すことなくインクジェット法により印刷部を設けた場合等には得られない。
印刷層2は、いかなるパターンで設けられたものであってもよいが、通常、需要者の要求等に応じて決定されたものである。
印刷層2のパターンとしては、例えば、木目調、石材調、筋目加工等が施された金属調、各種幾何学模様等が挙げられる。
<硬質材料層>
繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側には、硬質材料層3が配されている。
このような硬質材料層3を有することにより、化粧シート100は、表面の硬度が優れ、傷がつきにくいものとなっている。
また、硬質材料層3は、印刷層2等を保護する機能も有している。
したがって、長期間にわたって安定的に印刷層2のパターンを好適に表示することができる。言い換えると化粧シート100の耐久性を優れたものとすることができる。
硬質材料層3の構成材料としては、例えば、メラミン系樹脂、塩化ビニル、フェノール系樹脂等が挙げられるが、硬質材料層3は、メラミン系樹脂を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。
硬質材料層3がメラミン系樹脂を含む材料で構成されたものであると、化粧シート100は、一般に、適度な弾性、剛性を有し、取り扱い性(取り扱いのし易さ)に優れたものとなる。また、メラミン系樹脂は、適度な表面硬度を有し、耐傷性、防汚性(汚れの付着のしにくさ)等が特に優れたものであるため、化粧シート100の審美性、耐久性の観点からも好ましい。
硬質材料層3は、その表面(繊維性基材1に対向する面とは反対側の面)のマルテンス硬度が300MPa以上800MPa以下であるのが好ましく、400MPa以上600MPa以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧シート100を特に傷が付き難いものとすることができる。
これに対し、硬質材料層3の表面のビッカース硬度が前記下限値未満であると、硬質材料層3の耐擦性等が低く、傷が付き易いものとなる。
また、硬質材料層3の表面のビッカース硬度が前記上限値を超えると、化粧シート100の加工性が低いものとなる可能性がある。
なお、本発明において、ビッカース硬度の値としては、JIS Z 2244:2009に準じた測定により求められた値を採用するものとする。
硬質材料層3の表面(繊維性基材1に対向する面とは反対側の面)の算術平均粗さRaは、300nm以下であるのが好ましく、150nm以下であるのがより好ましい。
これにより、硬質材料層3の表面がより滑らかとなり、化粧シート100の高級感をより高いものとすることができる。
また、硬質材料層3の外表面(繊維性基材1に対向する面とは反対側の面)側には、鏡面仕上げ、エンボス仕上げ等の表面仕上げが施されていてもよい。
これにより、化粧シート100の審美性のさらなる向上を図ることができる。
<コア材>
繊維性基材1の印刷層2が設けられた面とは反対の面側に、コア材(芯材層)4が設けられている。
これにより、化粧シート100の剛性等を優れたものとし、化粧シート100の形状の安定性、取り扱いのし易さが優れたものとなる。また、例えば、化粧シート100の耐熱性、不燃性等を特に優れたものとすることができる。
コア材4としては、例えば、ガラスクロスで構成されたもの、フェノール系樹脂で構成された層を有するもの、金属層を有するもの等が挙げられる。
中でも、コア材4としては、ガラスクロスで構成されたものが好ましい。
これにより、化粧シート100の剛性、可撓性等を最適なものとしつつ、化粧シート100の耐熱性、不燃性等を特に優れたものとすることができる。
ガラスクロスとしては、特に限定されず、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等が挙げられ、中でも不燃性、強度の点からガラス織布が好ましい。
また、ガラスクロスを構成するガラスとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもTガラスを用いた場合、ガラスクロスの熱膨張係数を小さくすることができる。また、Eガラスを用いた場合、十分な機能を確保しつつ、化粧シート100の生産コストをより低いものとすることができる。
ガラスクロスの重量は、特に限定するものではないが、建築基準法第2条第9号の不燃性適合要件である「燃焼後の亀裂・貫通があってはならない」を満たす必要がある場合は、坪量80g/m以上とすることが好ましい。また、重量の上限は特に制約を必要としないが、材料コストと加工性の面から坪量250g/m以下が好ましい。
また、コア材4は、複数の層が積層されたものであってもよい。例えば、フェノール系樹脂を繊維性の基材(例えば、クラフト紙等の紙で構成された基材)に含浸させてなる部材を複数重ね合わせて接合したものをコア材4として用いることができる。
コア材4の厚さ(平均厚さ)は、100μm以上であるのが好ましい。
これにより、化粧シート100の耐熱性、不燃性を特に優れたものとすることができる。また、厚さの上限については、特に限定されないが、厚さが大きいほど化粧シート100の厚さと重量が増大するとともに、コストも上昇するため、最終的な製品における設計上、許容される範囲で設定することが好ましく、具体的には、例えば、350μm以下であるのが好ましい。
また、化粧シート100は、全体厚さ(平均厚さ)が0.1mm以上2mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上1.2mm以下であるのがより好ましい。
これにより、化粧シート100は、十分な強度を有しつつ、加工性、取り扱い性が特に優れたものとなる。
<<化粧シートの製造方法>>
次に、化粧シートの製造方法について説明する。
図2は、本発明の化粧シートの製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の製造方法は、繊維性基材1を準備する繊維性基材準備工程(1a)と、繊維性基材1に対して下処理を施す下処理工程(1b)と、下処理が施された繊維性基材1に対してインクジェット法により印刷層2を形成する印刷工程(1c)と、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側に、硬質材料層3を形成する硬質材料層形成工程(1d)と、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面とは反対の面側に、コア材(芯材層)4を接合するコア材接合工程(1e)とを有している。
<繊維性基材準備工程>
繊維性基材準備工程では、前述したような繊維性基材を準備する(1a)。
<下処理工程>
次に、前記工程で準備した繊維性基材1に対して、下処理を施す(1b)。
後に詳述する印刷層2の形成に先立って下処理を施すことにより、印刷層2の形成時に、繊維性基材1の内部にインクが過度に浸透してしまうことを防止することができ、繊維性基材1の表面(観察者側の表面)に、印刷層2を形成することができる。その結果、印刷層2の発色性を優れたものとすることができ、化粧シート100の審美性を優れたものとすることができる。
下処理は、印刷層2の形成に用いるインク(特に、着色剤)の、繊維性基材1を構成する繊維11の隙間への過度な浸透を防止・抑制するものであればよく、例えば、撥液処理等であってもよいが、本実施形態では、繊維性基材1に対し、樹脂材料および/またはその前駆体を含む材料(下処理用組成物)を含浸させ、繊維性基材1を構成する繊維11の隙間に樹脂部12を形成している。
これにより、前述したような下処理を行うことによる効果がより顕著に発揮されるとともに、化粧シート100の強度を特に優れたものとすることができ、また、繊維性基材1中に含まれる微小な繊維11が不本意に飛散することを効果的に防止することができる。
樹脂部12の形成は、例えば、樹脂材料を溶剤に溶解、分散、または、溶融した液状組成物を繊維性基材1に付与することにより行ってもよいし、樹脂材料の前駆体(樹脂部12を構成する樹脂材料に対応するプレポリマー、オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)、モノマー等)を含む液状組成物を繊維性基材1に付与することにより行ってもよい。
また、例えば、樹脂部12を、アクリル樹脂およびウレタン樹脂を含む材料で構成されたものとする場合、単一粒子内にアクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有する粒子(複合粒子)が分散した分散液を液状組成物(下処理用組成物)として用いてもよい。
これにより、形成される樹脂部12と繊維11との密着性を特に優れたものとすることができる。また、繊維性基材1とコア材4との接合強度も特に優れたものとすることができる。さらに、ウレタン樹脂は、特に強靭性、弾性、柔軟性に優れ、アクリル樹脂は、特に透明性、耐久性、耐候性、耐薬品性、造膜性に優れており、化粧シート100において、これらの優れた特長を発揮させることができる。
前述した中でも、アクリル樹脂およびウレタン樹脂を含む材料で構成された粒子(複合粒子)は、アクリル樹脂をコアとし、ウレタン樹脂をシェルとするコアシェル構造を有する水性クリヤータイプであることが特に好ましい。
前述した液状組成物(下処理用組成物)を繊維性基材1に付与する具体的な方法としては、例えば、浸漬法(ディッピング)、スプレー法、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター等の各種コーターを用いたコート法、各種印刷法等が挙げられる。
液状組成物を繊維性基材1に付与した後に、必要に応じて、溶媒の除去、液状組成物の構成成分の重合反応(硬化反応)等の後処理を行ってもよい。
樹脂部12が硬化性樹脂で構成されるものとする場合、本工程で形成される樹脂部12は、重合反応が終了していないものであってもよい。このような場合であっても、後の工程で、樹脂部12の構成成分の重合反応を進行させることができ、最終的に得られる化粧シート100の耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
<印刷工程>
次に、下処理が施された繊維性基材1に対してインクジェット法により印刷層2を形成する(1c)。
インクジェット法を用いて印刷層2を形成することにより、グラビア印刷等を採用する場合と異なり、版の準備が不要となり、短期間で、種々のパターンの印刷層2を好適に形成することができる。したがって、多品種の化粧シート100を好適に提供することができる。
また、パターンの微妙な調整等にも好適に対応することができるため、需要者の要求に的確に応えることができる。
また、繊維性基材1には、本工程に先立って下処理が施されているため、繊維性基材1の内部にインクが過度に浸透してしまうことが防止され、繊維性基材1の表面(観察者側の表面)に、印刷層2を好適に形成することができる。その結果、印刷層2の発色性を優れたものとすることができ、化粧シート100の審美性を優れたものとすることができる。
印刷層2の形成に用いるインクは、いかなるものであってもよく、例えば、水を溶媒または分散媒として含む水系インク、有機溶剤を溶媒または分散媒として含む溶剤系インク、硬化性成分を含む硬化系インク等を用いることができる。
中でも、硬化性成分を含む硬化系インクが好ましい。
これにより、下処理が施された繊維性基材1にインクジェット法によりインク(硬化系インク)を付与した後に、硬化性成分の硬化反応を進行させることにより、化粧シート100の生産性を特に優れたものとしつつ、繊維性基材1(下処理が施された繊維性基材1)に対する印刷層2の密着性を特に優れたものとすることができ、化粧シート100の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、繊維性基材に対して下処理を施すことなく、単に、インクジェット法によりインクを付与する場合において、繊維性基材が酸化チタンを含むものであると、印刷層の形成に硬化系インクを用いた場合に、印刷部の発色性の低下の問題がより顕著に発生することを本発明者は見いだしていたが、本発明においては、繊維性基材として酸化チタンを含むものを用い、印刷層形成用のインクとして硬化系インクを用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。したがって、前述したような酸化チタンを含むことによる効果、および、硬化系インクを用いることによる効果を発揮させつつ、印刷部の発色性の低下の問題の発生を確実に防止することができ、本発明による効果がより顕著に発揮される。
また、印刷層2の形成に用いるインクとしては、水とともに熱可塑性樹脂を含むインク(ラテックスインク)を用いてもよい。
ラテックスインクを用いる場合、下処理が施された繊維性基材1にインクジェット法によりインク(硬化系インク)を付与した後に、乾燥処理で水を除去し、引き続き加熱により熱可塑性樹脂を軟化させ、その後冷却することにより、繊維性基材1に強固に定着した印刷層2を形成することができる。
また、ラテックスインクは、除去される液体成分として水を含むものであるため、環境にも優しい。
また、本工程では、複数種のインクを用いてもよい。
これにより、例えば、色再現範囲を広いものとしたり、微妙なグラデーションの表現をより好適に行うことができる。
印刷層2の形成に用いるインクについては、以下に詳述する。
本工程では、インクジェット法によるインクの付与の後に、例えば、硬化反応の進行、溶剤の除去等を目的として、必要に応じて、加熱、光照射等の後処理を施してもよい。
また、印刷層2が硬化性樹脂で構成されるものとする場合、本工程で形成される印刷層2は、重合反応が終了していないものであってもよい。このような場合であっても、後の工程で、印刷層2の構成成分の重合反応を進行させることができ、最終的に得られる化粧シート100の耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
<硬質材料層形成工程>
次に、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側に、硬質材料層3を形成する(1d)。
これにより、印刷層2等が好適に保護され、最終的に得られる化粧シート100は、表面の硬度が優れ、傷がつきにくいものとなる。したがって、長期間にわたって安定的に印刷層2のパターンを好適に表示することができる。言い換えると化粧シート100の耐久性を優れたものとすることができる。
硬質材料層3は、例えば、浸漬法(ディッピング)、スプレー法、ロールコーター、ナイフコーター、ブレードコーター等の各種コーターを用いたコート法、各種印刷法等の各種方法により、硬質材料層形成用の組成物を繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側に付与し、その後、硬化反応を行うことにより好適に形成することができる。
硬質材料層3の形成に用いる組成物(硬質材料層形成用組成物)については、以下に詳述する。
また、硬質材料層3は、シート状に成形した硬質材料層形成用部材を繊維性基材1の印刷層2が設けられた面側に接合することにより形成してもよい。
硬質材料層形成用部材と繊維性基材1との接合は、例えば、圧着により行うことができる。
硬質材料層形成用部材と繊維性基材1との接合を圧着により行う場合、繊維性基材1と硬質材料層形成用部材との接合は、例えば、圧着時に加熱してもよい。
これにより、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、繊維性基材1と硬質材料層3との接合強度を特に優れたものとすることができる。また、例えば、硬質材料層3に含まれる成分の重合反応を好適に進行させることができ、硬質材料層3の硬度、化粧シート100の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
硬質材料層形成用部材と繊維性基材1とを圧着する際の条件は、特に限定されないが、例えば、温度:40℃以上120℃以下、圧力:0.5MPa以上8MPa以下、時間:3分間以上120分間以下とすることができる。
これにより、構成材料の不本意な変性、劣化等を効果的に防止しつつ、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、硬質材料層形成用部材と繊維性基材1との接合時に、硬質材料層形成用部材の外表面(繊維性基材1に対向する面とは反対側の面)側に、鏡面仕上げ板を重ねることにより鏡面仕上げとすることができ、エンボス板またはエンボスフィルム等を重ねることにより、エンボス仕上げとすることができる。
硬質材料層3が硬化性樹脂で構成されるものとする場合、本工程で形成される硬質材料層3は、重合反応が終了していないものであってもよい。このような場合であっても、後の工程で、硬質材料層3の構成成分の重合反応を進行させることができ、最終的に得られる化粧シート100の耐久性、信頼性等を特に優れたものとすることができる。
<コア材接合工程>
次に、繊維性基材1の印刷層2が設けられた面とは反対の面側に、コア材(芯材層)4を設ける(1e)。
これにより、化粧シート100が得られる。
このように、繊維性基材1とコア材4とを接合するコア材接合工程を有することにより、化粧シート100の剛性等を優れたものとし、化粧シート100の形状の安定性、取り扱いのし易さが優れたものとなる。また、例えば、化粧シート100の耐熱性、不燃性等を特に優れたものとすることができる。
特に、本実施形態では、繊維性基材1とコア材4とを接合するコア材接合工程を、前述した印刷工程よりも後に行っている。
これにより、コア材接合工程よりも前の工程をより円滑に行うことができ、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができる。例えば、印刷工程における繊維性基材1の搬送性を優れたものとすることができる。
コア材4と繊維性基材1とは、例えば、繊維性基材1中に設けられた樹脂部12の一部を溶融・軟化させることにより、接合することができる。すなわち、前述した下処理工程で形成した樹脂部12をコア材4と繊維性基材1との接合に利用することができる。
これにより、繊維性基材1(樹脂部12が設けられた繊維性基材1)とコア材4との接合強度を特に優れたものとし、化粧シート100の耐久性を特に優れたものとすることができるとともに、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができる。
より具体的には、繊維性基材1とコア材4との接合は、例えば、圧着により行うことができる。
繊維性基材1とコア材4との接合を圧着により行う場合、繊維性基材1とコア材4との接合は、例えば、圧着時に加熱してもよい。
これにより、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、繊維性基材1とコア材4との接合強度を特に優れたものとすることができる。また、例えば、硬質材料層3に含まれる成分の重合反応を好適に進行させることができ、硬質材料層3の硬度、化粧シート100の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
繊維性基材1とコア材4とを圧着する際の条件は、特に限定されないが、例えば、温度:130℃以上150℃以下、圧力:2MPa以上8MPa以下、時間:3分間以上60分間以下とすることができる。
これにより、構成材料の不本意な変性、劣化等を効果的に防止しつつ、上述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、繊維性基材1とコア材4との接合時に、硬質材料層3の外表面(繊維性基材1に対向する面とは反対側の面)側に、鏡面仕上げ板を重ねることにより鏡面仕上げとすることができ、エンボス板またはエンボスフィルム等を重ねることにより、エンボス仕上げとすることができる。
<インク>
以下、印刷層2の形成に用いるインクについて詳細に説明する。
前述したように、印刷層2の形成に用いるインクは、例えば、水を溶媒または分散媒として含む水系インク、有機溶剤を溶媒または分散媒として含む溶剤系インク、硬化性成分を含む硬化系インク等、いかなるものであってもよいが、以下、硬化系インクについて中心的に説明する。
(着色剤)
インクは、通常、着色剤を含むものである。
着色剤としては、例えば、各種顔料や各種染料等を用いることができ、また、蛍光材料、りん光材料等を用いることもできるが、インクは、着色剤として顔料を含むものであるのが好ましい。
これにより、化粧シート100の耐久性を特に優れたものとすることができる。
複数種のインクを用いる場合、例えば、色の三原色(シアン(藍紫色)、マゼンダ(紅紫色)およびイエロー(黄色))に対応するインクを用いることができる。
これにより、容易に、色再現範囲を広いものとすることができる。特に、遮光性(光隠蔽性)の繊維性基材1等を用いて、反射光を化粧シート100の外観に利用する場合に、化粧シート100の審美性を特に優れたものとすることができる。
また、例えば、光の三原色(赤色(レッド)、緑色(グリーン)および青色(ブルー))に対応するインクを用いてもよい。
これにより、容易に、色再現範囲を広いものとすることができる。特に、光透過性の繊維性基材1等を用いて、透過光を化粧シート100の外観に利用する場合に、化粧シート100の審美性を特に優れたものとすることができる。
また、例えば、有彩色のインクと組み合わせて、黒色のインクを用いてもよい。
これにより、インクの使用量を抑制しつつ、濃色を好適に表現することができたり、引き締まった黒色を表現することができる等の効果が得られる。
また、例えば、白色のインクを用いてもよい。
これにより、例えば、繊維性基材1等の光の隠蔽性が比較的低いものであっても、有彩色のインクによる印刷層2のコントラスト、視認性を特に優れたものとすることができ、化粧シート100の審美性を特に優れたものとすることができる。
特に、藍紫色(シアン)を呈する藍紫色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:2、および、C.I.ピグメントブルー60よりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
また、紅紫色(マゼンダ)を呈する紅紫色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、および、C.I.ピグメントバイオレット37よりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
また、黄色(イエロー)を呈する黄色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、および、C.I.ピグメントイエロー139よりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
また、赤色(レッド)を呈する赤色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントレッド177および/またはC.I.ピグメントレッド254を用いるのが好ましい。
また、緑色(グリーン)を呈する緑色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントグリーン36および/またはC.I.ピグメントグリーン58を用いるのが好ましい。
また、青色(ブルー)を呈する青色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6を用いるのが好ましい。
また、黒色(ブラック)を呈する黒色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、カーボンブラック、鉄黒、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅クロムブラックおよび銅クロムマンガンブラックよりなる群から選択される1種または2種以上を用いるのが好ましい。
また、白色(ホワイト)を呈する白色顔料インクを用いる場合、当該インクを構成する顔料としては、酸化チタン、鉛白、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、カオリン、雲母、硫酸バリウム、アルミナ、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、グロスホワイトや、白色プラスチックピグメント等を用いることができる。
(重合性化合物)
硬化系インクは、重合性化合物を含むものである。重合性化合物を含むことにより、印刷層2の繊維性基材1に対する密着性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、例えば、加熱に重合、硬化するものや、光(例えば、紫外線)の照射により重合、硬化するものを用いることができるが、紫外線の照射により重合、硬化するものであるのが好ましい。
これにより、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであるのが好ましい。
これにより、別途、化粧シート100の製造過程において除去される(蒸発する)液体成分(揮発成分)を溶媒や分散媒として用いる必要がなく、化粧シート100の製造においても、液体成分(揮発成分)を除去する工程を設ける必要がないため、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができる。また、液体成分(揮発成分)として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な繊維性基材1に対する印刷層2の密着性を優れたものとすることができる。
重合性化合物としては、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)、プレポリマー等を用いることができるが、インクは、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、インクジェット法によるインクの吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
(その他の成分)
インクは、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、消泡剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク中における光重合開始剤の含有量は、0.5wt%以上10wt%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
インクがスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により印刷層2の表面の平滑性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
インクが分散剤を含むものであると、顔料等の分散質の分散性を優れたものとすることができ、インクの保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、インクは、化粧シート100の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
上記では硬化系インクについて説明したが、印刷層2の形成に用いるインクとして水系インクを用いる場合、溶媒または分散媒として水を含むインクを用いることができる。水系インク中には、前述した重合性化合物が含まれていてもよいが、通常は、重合性化合物を含まないものである。
水系インクを構成するその他の成分としては、前述した硬化系インクの構成成分として示したものを用いることができる。
また、印刷層2の形成に用いるインクとして溶剤系インクを用いる場合、溶媒または分散媒として有機溶剤を含むインクを用いることができる。溶剤系インク中には、前述した重合性化合物が含まれていてもよいが、通常は、重合性化合物を含まないものである。
溶剤系インクを構成する有機溶剤は、インクの吐出条件下(例えば、常温(20℃)常圧(1気圧)下)で液状をなす有機化合物であればいかなるものを用いてもよいが、例えば、アルコール化合物(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコールやエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、およびこれらのフッ化物等)、ケトン化合物(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル化合物(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル化合物(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ラクトン化合物等を用いることができる。
溶剤系インクを構成するその他の成分としては、前述した硬化系インクの構成成分として示したものを用いることができる。
インクの室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出をより好適に行うことができる。
<硬質材料層形成用組成物>
以下、硬質材料層3の形成に用いる硬質材料層形成用組成物について詳細に説明する。
硬質材料層3の形成に用いる硬質材料層形成用組成物は、硬質材料層3を構成する硬質材料および/またはその前駆体を含むものである。
前述したように、硬質材料層3の構成材料としては、例えば、メラミン系樹脂、塩化ビニル、フェノール系樹脂等が挙げられるが、以下の説明では、メラミン系樹脂で構成された硬質材料層3を形成する場合について中心的に説明する。
(硬質材料またはその前駆体)
硬質材料層形成用組成物は、硬質材料および/またはその前駆体を含むものである。
メラミン系樹脂で構成された硬質材料層3を形成する場合、硬質材料層形成用組成物は、メラミン系樹脂および/またはメラミン系樹脂の前駆体(メラミン系樹脂に対応するモノマー、オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)、プレポリマー等)を含むものである。
なお、本明細書において、メラミン系樹脂とは、構成成分としてメラミン化合物とアルデヒド化合物とを含む樹脂のことをいう。
メラミン化合物は、1,3,5−トリアジン骨格を有する化合物で、トリアジン環に3つのアミノ基が導入された化合物である。
メラミン化合物の好ましい構造としては、例えば、下記式(3)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 0006672590
(式(3)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上4以下の炭化水素基である。)
メラミン化合物としては、特に、式(3)のR、RおよびRがいずれも水素原子である化合物(メラミン)が好ましい。
これにより、化粧シート100の硬度をより優れたものとすることができる。また、化粧シート100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
アルデヒド化合物は、分子内にアルデヒド基(−CHO)を有するものであればよく、下記式(2)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 0006672590
(式(2)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上10以下の炭化水素基である。)
アルデヒド化合物としては、特に、ホルムアルデヒドが好ましい。
これにより、硬質材料層3の硬度より優れたものとすることができる。また、メラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
メラミン系樹脂は、構成成分としてメラミン化合物およびアルデヒド化合物を含むものであればよいが、メラミン化合物およびアルデヒド化合物に加え、さらにグアナミン化合物を構成成分として含むものであってもよい。
これにより、硬質材料層3の硬度を十分に優れたものとしつつ、化粧シート100の加工性を特に優れたものとすることができる。
グアナミン化合物は、1,3,5−トリアジン骨格を有する化合物で、トリアジン環に2つのアミノ基が導入された化合物である。
グアナミン化合物の好ましい構造としては、例えば、下記式(1)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 0006672590
(式(1)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数が1以上10以下の炭化水素基である。)
グアナミン化合物としては、特に、式(1)のRがメチル基である化合物(アセトグアナミン)が好ましい。
これにより、化粧シート100の硬度および加工性をより高いレベルで両立することができる。また、化粧シート100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
メラミン系化合物に対するアルデヒド系化合物の反応モル比((アルデヒド系化合物のモル量)/(メラミン系化合物のモル量)の値であり、以下、単に「反応モル比」ということがある。)は、特に限定されないが、1.0以上4.0以下であるのが好ましく、1.0以上2.0以下であるのがより好ましく、1.1以上1.8以下であるのがさらに好ましい。
反応モル比が前記下限値未満であると、形成される硬質材料層3中に残存する未反応成分の割合が増加する傾向が表れる。
また、前記上限値を超えると、形成される硬質材料層3の柔軟性が著しく低くなる場合がある。
メラミン系樹脂は、その構成成分として、前述した成分(メラミン化合物、グアナミン化合物、アルデヒド化合物)以外の成分を含むものであってもよい。
例えば、メラミン系樹脂は、その構成成分として、スルホンアミド化合物を含むものであるのが好ましい。
これにより、化粧シート100の耐湿性、防汚性、耐久性等を特に優れたものとすることができる。
スルホンアミド化合物としては、例えば、p−トルエンスルホンアミド(CH−C−SONH)等を好適に用いることができる。
これにより、化粧シート100の耐湿性、防汚性、耐久性等をさらに優れたものとすることができる。また、化粧シート100を構成するメラミン系樹脂の合成をより効率よく行うことができる。
また、メラミン系樹脂としては、例えば、住友化学(株)製のメラミン系樹脂等、市販のものを用いることもできる。
(溶剤)
硬質材料層形成用組成物は、溶剤を含むものであってもよい。これにより、例えば、硬質材料層形成用組成物中において、硬質材料やその前駆体を、溶解および/または分散させることができ、硬質材料層形成用組成物の取り扱いのし易さ(取り扱い性)を向上させることができ、化粧シート100の生産性を特に優れたものとすることができる。
硬質材料層形成用組成物中に含まれる溶剤としては、極性溶媒を好適に用いることができ、具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール性溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。
中でも、溶剤としては、水を用いるのが好ましい。
これにより、化粧シート100の製造時における揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。また、例えば、硬質材料層形成用組成物が硬質材料の前駆体を含む場合に、硬質材料の前駆体を硬質材料層形成用組成物中に均一に溶解させることができるとともに、水素イオン指数(pH)の制御が容易で、硬質材料層形成用組成物中での不本意な水素イオン指数(pH)のばらつきの発生を効果的に防止することができる。このようなことから、重合反応を好適に進行させることができる。
硬質材料層形成用組成物が溶剤を含むものである場合、硬質材料層形成用組成物中における溶剤の含有率は、30質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、40質量%以上70質量%以下であるのがより好ましい。
(その他の成分)
硬質材料層形成用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種酸性物質、各種塩基性物質等の触媒、離型剤、重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、消泡剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
触媒としての塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
触媒としての酸性物質としては、例えば、酢酸、塩化水素、硫酸、硝酸や、イミドジスルホン酸ジアンモニウム等の潜在性酸触媒等が挙げられる。
硬質材料層形成用組成物がその他の成分を含むものである場合、硬質材料層形成用組成物中におけるその他の成分の含有率(複数種の成分を含む場合は、これらの含有率の和)は、5.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であるのがより好ましい。
これにより、前述したような成分の機能をより効果的に発揮させることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述したものに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の化粧シートは、図1に示した化粧シート100の形態に限定されず、下処理が施された繊維性基材、印刷層、硬質材料層、コア材以外の構成を有していてもよく、例えば、図3に示すように、意匠面側の最外層に保護層5を有していたり、図4に示すように、コア材4側の最外層に支持層6を有していたりするものでもよい。
保護層5は、特に限定されず、例えば、坪量10g/m以上50g/m以下の紙基材に、メラミン系樹脂単独、あるいは、メラミン系樹脂に、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、あるいはシリカから選ばれる無機充填材を含有させた樹脂組成物を含浸させ、これを乾燥することにより得ることができる。
また、本発明において、化粧シートは、繊維性基材とコア材との間に中間層を有するものであってもよい。
また、本発明の化粧シートは、下処理が施された繊維性基材、印刷層および硬質材料層を有するものであればよく、コア材を備えていないものであってもよい。
また、本発明の化粧シートは、いかなる方法で製造されたものであってもよく、前述した方法で製造されたものに限定されない。例えば、前述した製造方法についての実施形態での各工程の順番を入れ替えて行ってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
[1]化粧シートの製造
まず、繊維性基材として坪量:80g/mの酸化チタン含有紙を用意した。繊維性基材における酸化チタンの含有率は、30質量%であった。
次に、繊維性基材に対して、熱可塑性樹脂エマルジョンを浸漬法により付与し、その後、110℃に加熱することにより乾燥させ、繊維性基材を構成する繊維の隙間に樹脂部を形成した。熱可塑性樹脂エマルジョンとしては、アクリル樹脂をコアとしウレタン樹脂をシェルとするコアシェル構造を有する水性クリヤータイプの複合粒子(非水溶性、平均粒径:60nm)をエマルジョン樹脂粒子として含み、当該エマルジョン樹脂粒子が分散媒としての水中に分散してなるものを用いた。
次に、上記のようにして樹脂部が設けられた繊維性基材に対し、所定のパターンで、インクジェット法により重合性化合物を含むインクを付与し、その後紫外線を照射して重合性化合物を重合、硬化させることにより、木目調の印刷層(印刷部)を形成した。
インクとしては、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を含む藍紫色顔料インク、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19を含む紅紫色顔料インク、顔料としてC.I.ピグメントイエロー150を含む黄色顔料インク、顔料としてカーボンブラックを含む黒色顔料インクを用いた。
各インクは、いずれも、重合性化合物としてのフェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノールを含むものであった。また、各インクの室温(20℃)での粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内に含まれるものであった。
次に、上記のようにして印刷層が形成された繊維性基材の印刷層が設けられた面側に、硬質材料層形成用組成物を付与し、硬質材料層を形成した。
硬質材料層形成用組成物としては、メラミン(M)とホルムアルデヒド(F)とを反応モル比(F/M)=1.7として縮合反応させて得られたメラミン系樹脂:100部を含む、樹脂固形分:50質量%のメラミン系樹脂ワニスに、熱潜在性酸触媒(MRCユニテック社製「キャタニット」):0.9質量部、離型剤(中京油脂社製「セパール328」):0.2質量部を添加し、23℃で10分間攪拌して得られた樹脂組成物(ワニス)を用いた。
次に、Tガラスで構成され、坪量150g/m、厚さ(平均厚さ)は、250μmのガラス織布(ガラスクロス)を用意し、これを、繊維性基材の印刷層、硬質材料層が設けられた面とは反対側の面に接触させた状態で、硬質材料層の外表面を、加熱温度:140℃、圧力:5MPa、加熱時間:30分間という条件で、押圧部材で押圧・加熱した。これにより、繊維性基材とガラス織布(コア材)とが接合された化粧シートが得られた。
押圧部材としては、ステンレス鋼製の板材であり、鏡面仕上げが施された部材を用いた。
また、印刷層のパターンを変更した以外は、前記と同様にして異なる4種の化粧シートを製造した。これにより、異なる5種の化粧シートを得た。
(実施例2)
繊維性基材に対する下処理として形成する樹脂部を、硬質材料層を構成するメラミン系樹脂と同一の組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷層を有する5種の化粧シートを製造した。
(実施例3〜5)
繊維性基材中に含まれる酸化チタンの条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷層を有する5種の化粧シートを製造した。
(実施例6)
硬質材料層をポリエステル(厚み:100μm)で構成されたものとした以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷層を有する5種の化粧シートを製造した。
(実施例7)
フェノール系樹脂を含浸させたクラフト紙を3枚積層した積層体をコア材として用いた以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷層を有する5種の化粧シートを製造した。なお、コア材の厚さは、600μmであった。
(実施例8)
インクの中に含まれる樹脂材料にアクリル−スチレン共重合体を用い、溶媒成分の含有率を60質量%以上に変更した以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷層を有する5種の化粧シートを製造した。
(比較例1)
印刷部の形成に用いるインクを、下処理が施されていない繊維性基材に直接付与した以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷部を有する5種の化粧シートを製造した。
(比較例2)
印刷部の形成をグラビア印刷により行った以外は、前記実施例1と同様にして互いに異なるパターンの印刷部を有する5種の化粧シートを製造した。
(比較例3)
グラビア印刷を下処理が施されていない繊維性基材に対して直接行った以外は、前記比較例2と同様にして互いに異なるパターンの印刷部を有する5種の化粧シートを製造した。
前記各実施例および比較例の化粧シートの構成を表1にまとめて示した。
Figure 0006672590
[2]評価
前記のようにして製造された各実施例および比較例の化粧シートについて、以下の評価を行った。
[2.1]生産性
5種の化粧シートを製造する際の少量多品種の生産性について、以下の基準に従い評価した。
A:化粧シートの生産性が非常に優れている。
B:化粧シートの生産性が優れている。
C:化粧シートの生産性が良好である。
D:化粧シートの生産性がやや劣っている。
E:化粧シートの生産性が非常に劣っている。
[2.2]発色性
化粧シートの硬質材料層が設けられた面側から目視により観察した場合の、印刷部の発色性を以下の基準に従い評価した。
A:印刷部の発色性が非常に優れている。
B:印刷部の発色性が優れている。
C:印刷部の発色性が良好である。
D:印刷部の発色性がやや劣っている。
E:印刷部の発色性が非常に劣っている。
[2.3]硬度
化粧シートの硬質材料層が設けられた側の表面のマルテンス硬度について、以下の基準に従い評価をした。
A:硬度が300MPa以上。
B:硬度が300MPa未満。
[2.4]耐熱性(不燃性)
化粧シートを、コーンカロリー燃焼試験をした際の発熱量を計測し、以下の基準に従い、化粧シートの耐熱性(不燃性)を評価した。
A:発熱量が8MJ/m未満。
B:発熱量が8MJ/m以上。
[2.5]柔軟性
常温で外曲げ変形を与えた際に化粧シートの硬質材料層が設けられた面側から目視により観察した場合のクラックを伴わない最小R形状で、以下の基準に従い、化粧シートの柔軟性を評価した。
A:10R未満。
B:10R以上20R未満。
C:20R以上。
これらの結果を表2にまとめて示した。
Figure 0006672590
表2から明らかなように、本発明では、印刷部の発色性を優れたものとすることができた。また、印刷部をインクジェット法を用いて形成したため、互いに異なるパターンの印刷部を有する複数種の化粧シートであっても、版の作製を必要とせず、優れた生産性で製造することができた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
100 :化粧シート
1 :繊維性基材
11 :繊維
12 :樹脂部
2 :印刷層(印刷部)
3 :硬質材料層
4 :コア材(芯材層)
5 :保護層
6 :支持層

Claims (3)

  1. 酸化チタンを含む繊維性基材に対して下処理を施す下処理工程と、
    前記下処理が施された前記繊維性基材に対して、硬化性成分を含む硬化系インクをインクジェット法により付与してその後硬化させることにより印刷層を形成する印刷工程と、
    前記繊維性基材の前記印刷層が設けられた面側に、硬質材料層を形成する硬質材料層形成工程とを有し、
    前記下処理は、前記繊維性基材を構成する繊維の隙間への樹脂部の形成であり、
    前記樹脂部は、アクリル樹脂とウレタン樹脂との異相構造を有するものであることを特徴とする化粧シートの製造方法。
  2. 前記繊維性基材にコア材を接合するコア材接合工程をさらに有する請求項に記載の化粧シートの製造方法。
  3. 前記コア材接合工程は、前記印刷工程よりも後に行うものである請求項に記載の化粧シートの製造方法。
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