JP7144134B2 - 微細柄凹凸模様を賦型する賦型シートの製造方法及び該製造方法で作製された賦型シート - Google Patents

微細柄凹凸模様を賦型する賦型シートの製造方法及び該製造方法で作製された賦型シート Download PDF

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Description

本発明は、微細柄凹凸模様を賦型可能な賦型シートの製造方法、及び該製造方法によって作製された賦型シートに関するものである。
前記賦型シートは、賦型シート原反から作製された、基材層と片面の最表層である賦型層とを含む積層体であり、該賦型層は、エンボスロールからの転写によって、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を有するものである。
前記賦型シートは、表面に目視され得る柄凹凸模様や、回折現象による回折光沢や、マット質感を賦型することができる賦型シートである。
合成皮革や包装体等のシート表面、更には家具、家屋内装、自動車内装資材の表面に用いられ化粧板等の表面における意匠性を向上させる目的で、凹凸による柄模様を賦型したり、回折現象を利用した光沢(例えば虹状の光沢)を付与したりすることがある。その際には、シート表面に微細な凹凸を形成して、光の回折現象を生じさせて、独特の光沢を発現させるという方法が有る。
独自の柄模様を発現させるためには、深浅大小様々な複雑化した凹凸模様を賦型する必要があり、柄模様の複雑化に応じてその製造工程が複雑化してきた。
例えば、表面にホログラム状の微細凹凸形状を有する離型シートが提案されており、かかる離型シートを用いて製造される樹脂皮革においては、表皮層に形成されたホログラム状の微細凹凸形状により、観察する角度に応じた多色の光沢(虹色の光沢)が奏される(特許文献1,2参照)。
また、樹脂皮革の表皮層の表面に柄(模様)を形成することを目的とし、深さの異なる2種類のエンボス柄(第1エンボス柄及び第2エンボス柄)が離型層の表面に形成されている離型シートが提案されている(特許文献3参照)。
しかし、微細凹凸形状を形成する際の転写圧が不均一なことによって均質な転写が困難であったり、転写圧が大き過ぎることによって微細凹凸形状が潰れてしまったり、離型時に欠落する等の問題も発生し易く、微細凹凸形状の浅さや微細さには限界があった。
特許3098799号公報 特開2010-253779号公報 特表2013-518738号公報
特別な設備を用いずに、低コストで、意匠性の高い柄を得るための、微細柄凹凸模様を形成し得る高賦型性の賦型シートの製造方法、及び該製造方法で製造された賦型シートを提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、本発明における賦型シートの製造方法は、特別な設備を用いずに、低コストで、意匠性の高い柄を得るための、微細柄凹凸模様を形成し得る、高賦型性の賦型シートを提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.微細柄凹凸模様を賦型可能な賦型シートの製造方法であって、
前記賦型シートは、
基材層と片面の最表層である賦型層とを有する積層体であり、
賦型シート原反から、エンボスロールを用いて作製されるものであり、
前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を前記賦型シートの賦型層に有し、
前記賦型シート原反は、
賦型層側の面の表面粗さSaが0.3μm以上、15μm未満の基材層と、
表面粗さSaが0.03μm以上、5μm未満の賦型層とを有する積層体であり、
前記エンボスロールは、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を表面に有し、
前記製造方法が、
前記賦型シート原反を、エンボスロールとバックアップロールとで、前記賦型シート原反の賦型層が前記エンボスロールの表面に接するように挟んで加圧して、前記エンボスロールの表面の前記微細柄凹凸模様を前記賦型シート原反の賦型層に転写する工程を含む、
賦型シートの製造方法。
2.前記エンボスロールが、ドラム状賦型版を有するものである、
上記1に記載の、賦型シートの製造方法。
3.前記工程3において、前記バックアップロールが、前記エンボスロールの前記大柄凹凸模様を圧着により転写され得る表面構成を備えたものである、
上記1または2に記載の、賦型シートの製造方法。
4.前記賦型シート原反が、連続シートであって、連続的に繰り出される、
上記1~3の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
5.前記賦型シート原反は、
基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さSaが、0.3μm以上、5μm未満であり、
賦型層の表面の表面粗さSaが、0.03μm以上、0.5μm未満であり、
上記1~4の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
6.前記賦型シート原反は、
基材層が紙層とクレー層とを含み、
賦型層はポリプロピレン系樹脂またはポリメチルペンテン系樹脂を含む、
上記1~5の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
7.前記微細柄凹凸模様は、深さが0.08μm以上、10μm以下である、
上記1~6の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
8.前記微細柄凹凸模様は、回折光沢を有し、深さが0.08μm以上、5μm以下である、
上記1~7の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
9.前記微細柄凹凸模様は、マット質感を有し、深さが5μm以上、10μm以下である、
上記1~8の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
10.前記微細柄凹凸模様は、平滑な略平坦面位置する、
上記1~9の何れかに記載の、賦型シートの製造方法。
11.上記1~10の何れかに記載の賦型シートの製造方法によって作製された、賦型シート。
本発明の賦型シートの製造方法によれば、特別な設備を用いずに、低コストで、意匠性の高い柄を得るための、微細柄凹凸模様を賦型可能な賦型シートの作製が可能である。
本発明においては、従来よりも平滑な基材層と樹脂層とを有する賦型シート原反を用い
ることによって、従来よりも浅く微細な模様を有する賦型シートを高精度に作製することもできる。
また、上記によって、賦型シートに微細柄凹凸模様を形成する際の圧力を、従来の1/10~1/3程度の低圧化することも可能であり、上記の原反の平滑性との相乗効果によって、より浅く微細な模様を有する賦型シートをより高精度に作製することもできる。
更に、賦型時の加熱手段の追加によって、従来よりも安定した高精度な凹凸模様の形成加工が可能である。また、剥離時の冷却手段の追加によって、従来よりも安定した凹凸模様の欠落防止が可能であり、高精度な微細柄凹凸模様の形成固定が可能である。そしてこれらの相乗効果によって、より更に、浅く微細な模様を有する賦型シートを作製することもできる。
また、本発明の製造方法による賦型シートは、皺模様や回折光沢やマット質感を付与する装飾用の部材用途の意匠シートや、更には、高度な意匠性や触感性を要求される様々な分野の製品に適用される意匠シートを作成することもできる
例えば、練り歯磨き、食品、化粧品、医薬品、その他等の内容物のラミネートチューブ容器の作製用途に用いることができる。ラミネートチューブ容器は、容器本体の表面全体に様々な凹凸を形成することで、視覚の不自由な消費者が触感によって識別することも可能であり、また、滑りにくくもなることで、特に高齢者や手の不自由な消費者が、チューブ容器を持ちやすくなる効果もある。
微細柄模様を説明する図である。 微細柄模様を説明する図である。 賦型シートを説明する図である。 微細柄模様を説明する拡大図である。 微細柄模様を説明する俯瞰図である。 微細柄模様(マット質感)を説明する拡大図である。 微細柄模様(マット質感)を説明する俯瞰図である。 賦型シートを説明する図である。 意匠シートを説明する図である。 微細柄凹凸模様転写済み賦型シートの作製方法を説明する図である。
以下、本発明について図面を用いながら説明する。但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や各種具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
また、各図において、賦型部は、y軸方向(以下、「延在方向」或いは「長手方向」とも記載する。)に延びる線状凸部を成している。そして、複数の線状凸部が、x軸方向に配列されている。
更に、各図において、凹凸模様は明確な角を有するパターンとして例示されているが、角が丸まった形状でもよい。
以降、本発明においては、賦型シート原反の賦型層に微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様が形成されたものを賦型シート、賦型シートから転写によって微細柄凹凸模様が形成されたシートを意匠シートと表記する。
また、賦型シート、意匠シートのそれぞれは、賦型シート原反、意匠シート原反から作製されるものである。
各部材の各層の説明においては、特に指定が無ければ、例えば、原反という語はその部材の原反を指し、基材層、賦型層、賦型部、基部という語はその部材の基材層、賦型層、賦型部、基部を指すものとして記載する。
樹脂組成物とは、狭義には樹脂に他成分を配合した物を指すが、本発明においては、樹脂も樹脂組成物に包含されるものとして記載する。
<凹凸模様>
本発明は、柄凹凸模様を賦型可能な賦型シートの製造方法である。柄凹凸模様は、エンボス凹凸形状を有する微細柄凹凸模様である。
本発明において、柄の単位大きさとは、規則的繰り返しパターン模様の場合には繰り返し方向のピッチを、ランダムな独立模様の場合には、単位柄を長方形に収めた場合の長方形の長辺の長さを指し、賦型シートの幅または長さのように、非常に大きな場合もある。
本発明において、微細柄凹凸模様とは、狭義には、意匠シート上の模様を指すものであるが、転写前の反転した凹凸構造の態様についても区別無く同様に、微細柄凹凸模様とも表記する。また、転写によって鋭角部が丸くなることも想定されるが、転写前後は略同形状であると見做し、同様に微細柄凹凸模様とも表記する。
微細柄凹凸模様は、パターンや大きさや賦型位置を組み合わせることによって、様々な意匠効果を得ることも可能である。
例えば、微細柄凹凸模様の面積を増減して、微細柄効果を目立ちやすくすることが出来る。
以下に、微細柄凹凸模様について説明する。
[微細柄凹凸模様]
本発明において、微細柄凹凸模様は、規則的な繰り返し模様であっても、単位柄種類や柄の単位大きさの異なるランダムな模様でもよい。
意匠シートの表面に微細柄凹凸模様を有することによって、意匠シートがマット質感の外観や回折光沢および触感による識別性を有し、また、消費者、特に高齢者が意匠シート使用容器を滑らせずに持ちやすくできるという利点を発揮する。
意匠シート表面の微細柄凹凸模様の凸凹部の形状パターンとしては、点分散状、ストライプ状、四角錐の島の配列、皺やワニ革状の非幾何学的な模様等を用いることができる。
微細柄凹凸模様の断面形状は、様々な形状が可能であり、例えば、図1のような略三角波形状、略矩形波形状、略台形波形状、略正弦波形状又は略鋸歯状波形状等が挙げられる。
例えば、図2のように、三角形の線状凸部と平らな線状凹部を形成していてもよい。この図2に示された意匠シートの模様は、図3に示された表面態様を有する賦型シートを用いることで作製される。
図4に微細柄凹凸模様部分の拡大断面図を示した。Pは微細柄凹凸模様のピッチを、Dは微細柄凹凸模様の深さを示していて、賦型部は、y軸方向(以下、「延在方向」或いは「長手方向」とも記載する。)に延びる線状凸部を成している。そして、複数の線状凸部が、x軸方向に配列されている。
微細柄凹凸模様の深さDは、0.08μm以上、10μm以下であることが好ましい。
本発明においては、賦型シートを用いて意匠シートの表面樹脂層に微細柄凹凸模様を転写して形成するという製造方式上の理由から、意匠シート表面の微細柄凹凸模様の態様は、凸部、凹部、頂部、及び谷部が図1や図2に示されたような明確な態様ではなく、角部が丸くなった態様や、断面形状が略台形になることもある。しかし、明確な態様とはならなくとも、十分に、マット質感や回折光沢が、明るく且つ広い視野で観察され得る。
図5(a)、(b)は、意匠シートの表面樹脂層の微細柄凹凸模様部分を上から見た平面図であり、微細柄凹凸模様の線状凸部及び線状凹部が延びる態様が表れている。
図5(a)は、線状凸部及び線状凹部が帯状の賦型シートの長手方向(同図に於けるy軸方向)に対して平行に延びる例、図5(b)は、線状凸部及び線状凹部が帯状の賦型シートの長手方向(同図に於けるy軸方向)に対して角度α傾いて延びる例である。
微細柄凹凸模様によっても異なるが、図5(a)、(b)の模様の場合には、αの範囲は0°以上、1°以下であることが好ましい。図5(a)はαが0°の場合を示している。αを上記範囲にすることにより、賦型シート生産時の離型性、及び該賦型シートを用いた意匠シート生産時の離型性を向上させることができ、意匠シートの線状凹凸部に欠け等の不具合が生じ難くなる。
微細柄凹凸模様は、表面樹脂層の表面の平滑な略平坦面に位置していることが好ましい。これは、賦型シートから微細柄凹凸模様が転写される際に、平滑な略平坦面に位置している微細柄凹凸模様は転写性(賦型性)に優れているからである。
平滑な略平坦面の具体例としては、他の模様の無い部分が挙げられ、場合によっては、意匠シート原反の表面樹脂層表面の平滑な略平坦面にのみ微細柄凹凸模様を賦型して、高精度に仕上げることも好ましい。
(回折光沢の場合の微細柄凹凸模様)
意匠シート表面に回折光沢を得たい場合の微細柄凹凸模様は、一例として図1に示したように、微細柄凹凸模様の線状凸部が三角柱を横に倒した線状であり、底辺を前記基部に、頂点を前記基部とは反対側に有する二等辺三角形断面を具備し、該二等辺三角形断面を維持して一方向に延びた形状であり、広範囲の断面形状は略三角波形状であることが好ましい。
微細柄凹凸模様の深さDは、0.08μm以上、5μm以下が好ましく、ピッチPは、1μm以上、10μm以下が好ましい。
更に、例えば、微細柄凹凸模様が二等辺三角形断面の線状凸部を有している場合に、該二等辺三角形状の頂点における頂角θは、ピッチPが1μm以上、3μm以下の場合は、80°以上、160°以下が好ましく、ピッチPが3μmよりも大きく、10μm以下の場合は、90°以上、160°以下が好ましい。
(マット質感の場合の微細柄凹凸模様)
意匠シート表面にマット質感を得たい場合の微細柄凹凸模様は、一例として、広範囲の断面形状が図6aに示したように略台形波形状、略矩形波形状で、凸部底面が略菱形の略四角柱形状で、あることが好ましい。
微細柄凹凸模様の深さDは、5μm以上、10μm以下が好ましく、ピッチPは、100μm以上、5000μm以下が好ましい。また、上から見た場合の平面図が図6bのようなマット質感を与える微細柄凹凸模様の場合は、凸部の幅Wは、100μm以上、1000μm以下であることが、触感性に優れるので好ましい。
<凹凸模様転写時のプレス装置>
本発明において、微細柄凹凸模様からなるエンボス凹凸形状を賦型シート原反に転写する際には、2つのロール、1つのロールと1つの平板、及び2つの平板等の対になった加圧部品を有するプレス装置を用いることができる。
1対の加圧部品としては、2つのロールの場合、1つのロールと1つの平板を用いる場合、2つの平板を用いる場合等がある。
転写元の賦型元型は、対になった加圧部品の一方であり、加圧部品の一方が、エンボスロールやドラム状賦型版が取り付けられたロール等の、エンボス凹凸形状の表面態様を有するものを用いることが出来る。この場合、被転写シートの賦型層を、該加圧部品のエンボス凹凸形状の表面態様に接するように挟んで加圧する。
1対の加圧部品で挟む場合、バックアップ側の加圧部品の表面の硬さや平滑性については、必要に応じて様々な組み合わせを選ぶことが出来る。
本発明においては、バックアップ側の加圧部品には、表面が柔らかい構成のもの、と表面が硬い構成のもののどちらも用いることが可能である。
特別に微細な模様を賦型したい場合や、高精度の賦型を要求する場合には、バックアップ側の加圧部品は、平滑で硬くて圧着により表面形状が変化しない構成を備えたものが好ましい。
本発明において、エンボスロールとは、狭義には、表面に凹凸からなるエンボス構造の表面態様を有するロールのことであるが、ドラム状賦型版が取り付けられたロールや、一次賦型シートが接する側の平滑なロールや、バックアップロールとの対となった組み合わせをも包含する総称としても表記する。
バックアップロールとは、上記エンボスロールと同時に用いられる、対のロールのことであり、被転写シートが接する側のロールである。バックアップロールの表面は、目的や使い方によって、柔らかいもの、または、硬いものが選ばれる。
表面が柔らかいバックアップロールは、エンボスロールやドラム状エンボス賦型版が取り付けられたロールの、表面エンボス凹凸形状を、圧着により転写され得る表面構成を備える。転写は一時的でも恒久的でもよい。
表面が柔らかいバックアップロールを用いた場合には、エンボス凹凸形状を転写されるシート(賦型シート原反)は、賦型層のみならず基材層も、該表面エンボス凹凸形状が反映され得る。
表面が柔らかいバックアップロールの具体例としては、例えば、ウールンペーパーロール等のペーパーロール、高弾性ロール、ゴムロール等が挙げられる。
表面が硬いバックアップロールは、エンボスロールやドラム状エンボス賦型版が取り付けられたロールの、表面エンボス凹凸形状を、圧着により転写されない表面構成を備える。
表面が硬いバックアップロールを用いた場合には、被転写シートは、主に賦型層に該表面エンボス凹凸形状が反映され得る。
<賦型シート製造方法概略>
本発明の賦型シートの製造方法においては、特定の表面粗さを有する基材層と、特定の表面粗さを有する賦型層とを含む賦型シート原反の賦型層を、凹凸模様を有する版に圧着して、該賦型層上に該凹凸模様を転写して、該賦型層上に該凹凸模様を賦型し得る表面態様を形成する。
該凹凸模様としては、微細柄凹凸模様が賦型シート原反に転写される。
<賦型シート原反>
賦型シート原反は賦型層と基材層とを有する積層体である。
更には、基材層の賦型層側表面を平滑化するために、基材層は平滑化層を含むこともできる。
また更には、基材層と賦型層との密着性を向上させる目的で、基材層表面がコロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理が施されていてもよく、プライマーやアンカーコート剤等から成るアンカーコート層を、基材層表面に含むこともできる。
賦型シート原反は、枚葉シート状でもよく、ロール巻きされたような連続シート状であってもよい。
[基材層]
本発明において、賦型シート原反の基材層は、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるも
のであり、一般に樹脂皮革製造用の離型シートや工程紙に用いられる従来公知の材質の基材を用いることができる。
例えば、各種の紙基材や樹脂フィルムまたはシート、金属箔、織布、不織布、クレー、およびこれらいずれかの積層体等の1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、樹脂を塗布して用いることも出来る。
本発明においては、熱劣化を生じさせにくく、賦型シート原反の賦型層との密着性が高いという観点では、紙基材を用いるのが好ましく、耐熱性及び表面平滑性が特に必要な場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル基材を用いるのが好ましい。
(平滑性)
賦型シート原反の賦型層の表面を平滑にするためには、賦型シート原反の基材層の表面をも平滑にすることが効果的で有り、賦型シート原反の基材層の賦型層側の表面粗さSaは、0.3μm以上、15μm未満が好ましく、1.0μm以上、15μm未満がより好ましい。
原反賦型層表面をミラー光沢仕様にする場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.3μm以上、5μm未満が好ましく、1.0μm以上、5μm未満がより好ましい。また、原反賦型層表面を艶消しのマット仕様にする場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.3μm以上、15μm以下が好ましく、1.0μm以上、15μm以下がより好ましい。
賦型シート原反基材層の賦型層側の表面粗さSzは、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
原反賦型層表面をミラー光沢仕様にする場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、20μm未満がより好ましく、5μm以上、20μm未満が更に好ましい。
また、原反賦型層表面を艶消しのマット仕様にする場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
上記範囲よりもSaやSzが大きいと、賦型シート原反賦型層の平滑性が低下する虞があり、更には、賦型シート原反賦型層への微細柄凹凸模様の賦型にムラが生じ易くなり、該賦型シートを用いて作製される意匠シートの回折光沢の発現を阻害する虞がある。
上記範囲よりもSaやSzが小さいと、賦型シート原反を作製するための費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、賦型シート原反基材層の平滑性は上記の範囲であることが好ましい。
賦型シート原反基材層の厚さは特に限定されることはないが、20μm以上、900μm以下であることが好ましく、25μm以上、200μm以下であることが更に好ましく、50μm以上、150μm以下であることがより好ましい。
上記範囲よりも厚いと、剛性が強くなり過ぎる虞が有り、コストが増大する一方で支持の効果向上は限定的である。また上記範囲よりも薄いと、賦型シート原反賦型層を積層及び加工する際に支持性が不足する虞がある。
(樹脂フィルムまたはシート)
賦型シート原反基材層に用いられる樹脂は、フィルムやシートとして用いることが出来、塗布して用いることも出来る。
賦型シート原反基材層に用いられる具体的な樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等を使用することができ、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムまたはシートを使用することがより好ましく、特に、PETフィルムまたはシート、特に易接着PETフィルムまたはシートが好ましく使用される。
また、必要に応じて、2種以上の樹脂のフィルムまたはシ-ト等を併用して使用することもできる。
賦型シート原反の賦型層が紫外線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂組成物からなる場合には、賦型シート原反の基材層には、紫外線透過性の、樹脂フィルムまたはシートを用いることが好ましい。
具体的な紫外線透過性の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の樹脂が挙げられる。
本発明においては、紫外線透過性の樹脂としては、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムまたはシートを使用することが好ましく、耐熱性及び平滑性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂のフィルムまたはシートを使用することがより好ましく、PETフィルムまたはシートを用いることが特に好ましい。
(紙基材)
賦型シート原反基材層の構成材料には、紙基材を用いることが出来る。
具体的な紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ-ル紙、クラフト紙、板紙、コート紙、キャストコート紙、加工紙、上質紙、等を使用することができる。
上記において、紙基材としては、好ましくは坪量約80g/m2~600g/m2位のもの、より好ましくは坪量約100g/m2~450g/m2位のものを使用することが望ましい。
紙基材のパルプとしては、賦形層に微細柄凹凸模様を形成する工程や合成皮革を作製する際の工程に耐えうる強度と平滑性を得るために針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を混合したものが好ましい。その場合、平滑性を高めるため、広葉樹パルプ(L材)の混合率は50%~90%が好ましい。
紙基材は、離型紙の充分な耐熱性を得るために、中性紙であることが必要であり、サイ
ズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイズした中性紙が好ましい。
紙基材の坪量は、好ましくは坪量約80g/m2~600g/m2位のもの、より好ましくは坪量約100g/m2~450g/m2位のものを使用することが望ましいが、特に、合成皮革作成用途においては、強度、合成皮革加工作業性、離型紙の繰り返し使用耐久性及びエンボス加工適性の面から100g/m2~200g/m2であることが更に好ましい。
坪量が100g/m2よりも低いと合成皮革の製造時にカールや波打ちが発生し易くなる。逆に坪量が200g/m2より高くなるとエンボス加工性が悪く、また離型紙が厚くなることによりその巻き径が大きくなって作業能率が低下する。
紙基材の厚さは、合成皮革作成用途では、好ましくは100μm~900μm、より好ましくは150μm~600μmのものを使用することができるが、汎用的には10μm~200μmのものを使用することが好ましい。
クラフト紙や上質紙等のように表面が比較的粗い材料を紙基材として賦型シート原反基材層に用いる場合には、紙基材の上の平滑性を向上させることができる。
(平滑化層)
平滑化層は賦型シート原反基材層の賦型層側の面に、必要に応じて設けられ、賦型シート原反基材層の表面を平滑化するものである。
平滑化層の厚さは、特に限定されないが、10μm~60μmが好ましい。
平滑化層は、例えば、クレーコート層や、平滑化樹脂層からなり、各々を単独で用いても良く、2種を組み合わせて用いてもよい。
クレーコート層はクレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができる。具体的には、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等を用いることができる。
タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上やエンボス加工時の寸法安定性を向上させることができる。
逆に、平滑化層の硬度の高い方が、平滑化層の上に形成される賦型シート原反賦型層において紙基材の地合いの影響を受けにくく、この結果、賦型シート原反賦型層の表面が均一となるので、版面の凹凸構造の転写性(賦形性)が向上する。
クレーコート層は、クレーの他に、顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム、サチンホワイト等を含んでいることが好ましい。顔料として炭酸カルシウムや二酸化チタンを用いることにより、クレーコート層の表面の平滑度を更に上げることができる。また、炭酸カルシウムは安価であるため、好適に用いられる。
クレーコート層を塗布するための塗布液は、溶媒に上記クレーと、バインダーと、必要に応じて他の顔料や添加剤を含む。溶媒としては、通常、水、アルコール等が用いられる。バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、カゼイン等)が用いられる。添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤等が用いられる。
クレーコート層の塗布方法は、特に限定されないが、エアナイフコート、ブレードコー
ト、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗布方法が用いられる。 クレーコート層の塗布量や厚さは、特に限定されないが、通常、乾燥後の坪量が5g/m2~40g/m2が好ましく、10g/m2~40g/m2が更に好ましい。
乾燥後の坪量が5g/m2未満であると、平滑性が劣る場合がある。乾燥後の坪量が40g/m2を超えると、クレーコート層の凝集破壊等による密着性低下の可能性があり、コストパフォーマンス面に劣る。
平滑化樹脂層としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。クレーコート層と併用する場合は、クレーコート層上の賦型層側に形成することが、クレーコート層のみの場合よりも平滑度の高い基材層表面を得ることが可能であり、好ましい。
平滑化樹脂層の形成は、押出コーティングや塗布による方法が好ましい。
平滑化樹脂層の厚さは、特に限定されないが、10μm~60μmが好ましい。
(アンカーコート層)
賦型シート原反基材層と賦型シート原反賦型層との密着性を向上させる目的で、必要に応じて、基材層表面にアンカーコート層を設けることができる。本発明においては、プライマーコート、アンカーコート等の塗布処理等の総称としてアンカーコートと記載する。
アンカーコート層を設ける際には、コロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理と併用することもできる。
例えば、基材層が平滑化層としてクレーコート層を有している場合、クレーコート層の表面は滑性が良い為、押出しラミネートした樹脂との接着性が劣る傾向であるが、アンカーコート層を形成することにより、接着性を高めることができる。
アンカーコート層は、例えば、水溶性、または、水分散型のエマルジョンもしくはディスパージョンのアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。
このアンカーコート剤としては、ポリプロピレン系、変性ポリオレフィン系、エチレン-酢酸ビニル共重合体系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、ポリエステル系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンのほか、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルアクリル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、そして、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックスなどのゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、或いはこれらのラテックスのカルボキシル変性物、また、水溶性アンカーコート剤としては、ポリビニルアルコール、水溶性エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性イソシアネート、水溶性リグニン誘導体などの水溶液を使用することができる。
これらの中でもポリプロピレン系または変性ポリオレフィン系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンは、紙に対するポリプロピレン系樹脂層の積層強度を一層強くでき、かつ、耐熱性にも優れる点で好ましい。
アンカーコート剤の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などで塗布することができ、その塗布量としては、乾燥時の塗布量で0.1g/m2~5g/m2が好ましい。
[賦型層]
本発明において、賦型シート原反賦型層は、賦型シート原反基材層の一方の面に積層された、樹脂または樹脂組成物からなる層であり、意匠シート表面に目的とする微細柄凹凸模様構造の表面態様を転写して形成し得る表面態様を有し得るものである。
本発明において、前記樹脂または前記樹脂組成物は、無溶剤型であっても、溶剤型であっても良く、更に必要に応じて、分散剤、粘度調節剤、着色剤、帯電防止剤、無機や有機の微粒子等が含まれていてもよい。
本発明において、賦型シート原反賦型層の樹脂または樹脂組成物には、賦型シート原反賦型層として機能することができれば特に限定されることはなく、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メラミンアルキッド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。更に、硬化性や強靭性や剛性を調整する為に、紫外線硬化性を阻害しない範囲内で、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、等を併用することも可能である。
汎用用途としては、熱可塑性樹脂の、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。賦型シートに耐熱性が要求される場合には、熱可塑性樹脂の、ポリメチルペンテン系樹脂が好ましい。賦型部の微細柄凹凸模様に高度な形成精度が要求される場合には、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
賦型シート原反賦型層の厚みは、10μm以上、400μm以下が好ましく、50μm以上、300μm以下がより好ましく、100μm以上、200μm以下が更に好ましい。上記範囲より薄いと耐久性に劣る傾向になり、上記範囲よりも厚いと材料コストが上昇する。
賦型層を冷却して固形化して、賦型シート原反を一旦巻き取って保管する場合等は、賦型層表面は平滑であることが好ましい。
(平滑性)
賦型シート原反賦型層の表面粗さのSaは、0.03μm以上、5μm未満が好ましく、原反賦型層表面をミラー光沢仕様にした場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.03μm以上、0.5μm未満がより好ましく、賦型層表面を艶消しのマット仕様にした場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.03μm以上、5μm未満が好ましい。
賦型シート原反賦型層の表面粗さのSzは、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
原反賦型層表面をミラー光沢仕様にした場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、40μm未満がより好ましく、5μm以上、40μm未満が更に好ましい。
また、賦型層表面を艶消しのマット仕様にした場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
上記範囲よりもSaやSzが大きいと、意匠シート表面への微細柄凹凸模様の賦型にムラが生じ易くなり、意匠シートの回折光沢の発現を阻害する虞もある。
上記範囲よりもSaやSzが小さいと、賦型シート原反を作製するための費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、賦型シート賦型層の平滑性は上記の範囲であることが好ましい。
原反賦型層表面をミラー光沢仕様や回折光沢仕様にする場合は、ミラーチルロール等を用いることができ、賦型層表面を艶消しのマット仕様やマット質感仕様にする場合は、マットチルロール等を用いることができる。
[賦型シート原反の作製方法]
賦型シート原反は、例えば、賦型シート原反基材層の片方の面に樹脂または樹脂組成物からなる賦型シート原反賦型層を形成して作製される。
賦型シート原反賦型層の形成方法は特に限定されることはなく、例えば、押出しコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクロバーコート、バーコート、ナイフコート、グラビアコート等の塗布方法を挙げることができる。
賦型シート原反の賦型層の表面が上記のような平滑性を有する賦型シート原反は、例えば、特に、クレーコート紙等を用いた賦型シート原反基材層に、賦型シート原反賦型層用の樹脂を押出チルロール成型して得ることが出来る。
ここで、チルロールの表面の平滑さを調整することによって、賦型シート原反賦型層の表面の平滑さを調整できる。例えば、溶融押出して積層された後、連続して、表面が鏡面加工されたチルロールと押圧ロールとの間を、賦型シート原反賦型層が鏡面のチルロールに接するように通すことにより、得ることができる。
その際に使用する鏡面のロールとしては、ロールにクロムメッキを施した後、ウェットブラスト、ドライブラスト処理が施されたミラー系またはセミミラー系のロールをいう。また、鏡面のロールは、賦型シート原反基材層の表面より平滑なロールの表面であれば、超微細マット系のロールも含む。この鏡面のロールを用いることにより、賦型シート原反賦型層表面の平滑度を調節することができる。
賦型シート原反賦型層が紫外線硬化性樹脂組成物からなる場合は、賦型層の形成方法としては、例えば、ダイコート法やグラビアコート法が挙げられ、他には、賦型シート原反基材層をロールに巻き付かせた状態で、流動性を有する紫外線硬化性樹脂組成物に浸して、賦型シート原反基材層の片面にだけ紫外線硬化性樹脂組成物を積層して、一定厚みでしごいて形成する方法も挙げられる。
紫外線硬化性樹脂組成物に流動性を有せしめる方法としては、溶剤を加えて流動性を有せしめても、流動性を有する樹脂原料を用い流動性を有せしめても、加熱によって流動性を有せしめてもよい。
上記方法で作製された賦型シート原反は、そのまま連続して賦型シート原反賦型層に微細柄凹凸模様を賦型してもよいし、必要に応じて一旦取り出して、賦型シート原反賦型層の乾燥等を行ってもよい。
賦型シート原反賦型層を形成後に、賦型シート原反賦型層が鏡面のチルロールに接する
ように、鏡面または超鏡面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型シート原反賦型層表面を平滑化してミラー仕様表面化することもできる。
<賦型シート>
本発明において、賦型シートとは、賦型シート原反に微細柄凹凸模様が転写されて、その賦型層に、微細柄凹凸模様を賦型し得る表面態様が形成されたシートである。
賦型シートは、ロール巻きされたような連続シート状であってもよく、枚葉シート状であってもよい。枚葉シート状の賦型シートは、枚葉シート状の賦型シート原反から作製されたものであっても、連続シート状の賦型シートを切断して得たものであってもよい。
図7に賦型シートの1例を表す斜視図を示した。この図7の賦型シートを用いることで、図8に示された模様の意匠シートが作製される。
[基材層]
賦型シートは賦型シート原反賦型層に微細柄凹凸加工を施して作製されるものであることから、基材層の素材構成は賦型シート原反基材層と同じであるが、図7に示したように、基材層は、賦型層に賦型された凹凸模様が反映されて、同様の凹凸模様構造を有していてもよい。特に、転写時のバックアップロールの表面が柔らかい構成の場合に、容易に反映することができる。
微細柄凹凸模様の構造によっては、基材層に微細柄凹凸模様を反映させることで、賦型層の微細柄凹凸模様を更に容易に高精度に形成することが出来る。
[賦型層]
本発明において、賦型シート賦型層は、賦型部と基部とで構成されている。賦型部とは、柄として凹凸を有する厚み部分のことであり、基部とは、賦型部の支持部となる厚み部分のことであり、賦型部と基部との間に明確な境界は無く、一体となって賦型層を構成している。
賦型シート賦型層には、意匠シート表面に微細柄凹凸模様を転写によって形成し得る表面態様の構造が形成されている。ここで、賦型シート賦型層の表面態様の構造は、意匠シート表面に形成される微細柄凹凸模様とは、凹凸構造が反転した表面態様の構造である。
賦型シート賦型層の基部の厚さは、特に限定されることはないが、例えば、5μm以上、300μm以下が好ましく、25μm以上、280μm以下がより好ましく、50μm以上、150μm以下が更に好ましい。厚さが上記範囲よりも薄いと賦型シートが破れやすくなり、上記範囲よりも厚いと柔軟性に欠け、使い勝手が悪くなる傾向にある。
賦型シート賦型層の賦型部の厚さや基部の厚さは、特に限定されることは無く、微細柄凹凸模様の構造との関係で適宜決定されることが好ましい。
<意匠シート>
本発明において、意匠シートとは、意匠シート原反に微細柄凹凸模様が転写されて、その表面樹脂層(賦型層)に、微細柄凹凸模様の表面態様が形成されたシートである。
意匠シートは、ロール巻きされたような連続シート状であってもよく、枚葉シート状でもよい。枚葉シート状の意匠シートは、枚葉シート状の意匠シート原反から作製されたものであっても、連続シート状の意匠シートを切断して得たものであってもよい。
図8は、意匠シートの1例を表した斜視図である。意匠シートは、表面樹脂層、及び必要に応じて、基材層を備えてこれらが積層されている。
表面樹脂層の厚さとしては、特に限定されず、用途及び微細柄凹凸模様の深さによって異なる。
意匠シートの基材層は、意匠シートの表面樹脂層の基部の線状凹凸部が形成された側と
は反対側に積層された層であり、表面樹脂層を支持している。
基材層の厚さとしては、表面樹脂層を支持可能な厚さであれば特に限定されないが、例えば25μm以上500μm以下の範囲とすることが出来る。
基材層の材料には、表面樹脂層を支持するとともに、意匠シートの用途に応じた適切な材料が用いられればよく、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生または半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの合成繊維、ガラス纖維等の繊維からなる織布、不織布、網布等の布(基布とも言う)、紙、ポリエステルやポリオレフィンの樹脂からなる樹脂フィルム、金属板(、乃至金属箔)、ガラス板、ガラス織布等の、一般に、合成皮革や人工皮革の基材乃至基布に用いられるものから、樹脂皮革の種類や用途に応じて適宜選択することができる。
表面樹脂層を構成する樹脂組成物には、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線又は電子線等の電離放射線硬化性樹脂等を使用することができ、樹脂皮革の種類や用途に応じて適宜選択することができる。
具体的な意匠シートの用途としては例えば、合成皮革製品、靴、鞄、ソファー、椅子、乗物の座席等の表面材、箱、包装容器、壁紙や床材等の建築物内裝材、冷蔵庫やテレヴィジョン受像器等の家電製品の表面装飾材等を挙げることができる。
<微細柄凹凸模様の転写工程>
微細柄凹凸模様の転写工程は、賦型シート原反への、微細柄凹凸模様の転写工程である。
本工程において、賦型シート原反の賦型層には、微細柄凹凸模様を表面に有するプレス装置の加圧部品からの表面態様の転写によって、微細柄凹凸模様を賦型し得る表面態様が形成される。
賦型シート原反の賦型層への微細柄凹凸模様の転写は、1例として、賦型シート原反を賦型層がプレス装置のエンボス側加圧部品に接するようにプレス装置に送り、プレス装置によって挟んで加圧して、好ましくは熱圧して、エンボス側加圧部品の表面態様を賦型シート原反の賦型層に転写することによって達成される。
図9は、エンボスロールとバックアップロールからなる対ロールと、連続シート状の賦型シート原反とを用いて、連続状の賦型シートを作製する例である。この形態の場合には、賦型シートに、繋ぎの無いデザインを表現可能であり、高度な意匠性を発現可能である。
図9においては、エンボスロールとバックアップロールの間に、矢印で示したように、賦型シート原反は、賦型層がエンボスロール側になるように連続的に送られる。ここでエンボスロールの表面には、賦型シート原反の賦型層に、微細柄凹凸構造を転写することができる微細柄凹凸構造が形成されている。即ち、エンボスロールの表面の微細柄凹凸構造は、目的とする意匠シートの表面の微細柄凹凸構造と同形状乃至略同形状となっている。
送られた賦型シート原反は、エンボスロールとバックアップロールに挟まれて、賦型シート原反の賦型層は、加圧によって、エンボスロールの表面形状に沿った表面形状に形成され、連続的に離型し、取り出される。
必要に応じて賦型シート原反を加熱、冷却することも可能であり、加熱することによって賦型層が柔らかくなって表面形状の形成が容易になり、冷却によって表面形状が固定され、離型が容易になる。
本発明においては、賦型シート原反の素材構成によっては、加圧のみで賦型可能であり、賦型層中の樹脂の軟化点が高い場合等は、更にエンボスロールを加熱することで賦型可能であり、また更に熱風や送りロールの加熱、更には冷却機構を加えることで、仕上がり精度を高めることも可能である。
尚、加熱手段と冷却手段には、公知の種々の方法を適用することが可能である。
具体的な加熱方法としては、例えば、エンボスロールを内部から加熱する方法、エンボスロールとバックアップロールとで挟まれる前の賦型シート原反に熱風を当てる方法、エンボスロール手前の送りロールを加熱する方法、送りロールとエンボスロールとで賦型シート原反を挟む方法等が挙げられる。また、該各ロールを加熱する方法は、スチームや誘電加熱が挙げられる。更に、上記の加熱手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
加熱の温度は、賦型シート原反の賦型層が形状を維持しつつも加圧によって変形する程度に適度に柔らかくなる程度の温度がよく、賦型シート原反の賦型層の組成によって異なるが、賦型シート原反が80~130℃になるように調製することが好ましい。温度が高すぎると、賦型シート原反の賦型層が柔らかくなり過ぎて、溶融した樹脂が賦型シート原反から落下したり、エンボスロールからの離型性が低下して形状的な欠陥が発生したり、離型直後に形状が崩れたりして、凹凸形状の維持が困難になる。温度が低すぎると、賦型シート原反の賦型層が硬すぎて、凹凸形状の形成が困難になったり、通常以上の高圧が必要になる。
冷却の温度は、賦型シート原反の賦型層の樹脂成分に応じた、賦型層が形状を維持可能な程度に適度に硬くなる程度の温度がよく、賦型シート原反が20~50℃になるように調製することが好ましい。
具体的な冷却方法としては、例えば、エンボスロールを冷却する方法、エンボスロールとバックアップロールとで挟んだ後の賦型シート原反に冷風を当てる方法、エンボスロールとバックアップロールとで挟んだ後に冷却された離型ロールで賦型シート原反を冷却する方法、自然放冷等が挙げられる。離型ロールで冷却する場合は、離型ロールとエンボスロールとで賦型シート原反を挟んでもよい。上記冷却手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
線圧が、5kgf/cm以上、380kgf/cm以下が好ましく、5kgf/cm以上、265kgf/cm以下がより好ましく、10kgf/cm以上、100kgf/cm以下が更に好ましい。
圧力が上記範囲よりも低いと、微細柄凹凸模様によっては転写が不十分になって欠落が出る虞があり、上記版よりも高いと、微細柄凹凸模様によっては、模様の一部または全部が潰れてしまう虞があり、高精度の賦型が困難になり易い。
<意匠シートの作製>
上記で得られた賦型シートを用いて、意匠シートを次のように作製することができる。
1例として、賦型シートの賦型層に、意匠シート表面の賦型層を構成する樹脂組成物を塗布し、離型して、意匠シートを得る方法を説明する。
尚、製造工程において、基材層は必要に応じて備えられるものであり、表面樹脂層が十分な自己支持性を有している場合には備えられる必要は無く、作製後に目的意匠物の表面に表面樹脂層のみを張り付けて使用することも可能である。
意匠シート表面樹脂層を構成する樹脂組成物は、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線又は電子線等の電離放射線硬化性樹脂等を、無溶剤で用いても、溶剤に溶かして用
いても良い。
当該塗布の方法は特に限定されることはないが、例えばダイコート法等を適用することができる。
塗布後、加熱乾燥や紫外線又は電子線等の電離放射、冷却等の、組成物に応じた適切な硬化方法により表面樹脂層の表面態様を固定させる。
次いで、必要に応じて、得られた表面樹脂層の賦型シートに接した側とは反対側の面に基材層を接着剤により貼り合わせてもよい。
これにより表面樹脂層からなる賦型シート、または表面樹脂層と基材層とからなる意匠シートを得ることができる。
以下実験により、賦型シートを作製し、更に得られた賦型シートを用いて、下記の微細柄凹凸模様を有する意匠シートを作製して、性能の評価を行った。
微細柄凹凸模様:回折光沢、マット
<微細柄凹凸模様用ロールエンボス装置の準備>
エンボス側の加圧部品として下記のドラム状賦型版1~3を作製し、バックアップ側の加圧部品として、下記の平滑ロール(硬)、平滑ロール(柔)、平板(硬)を準備した。
平滑ロール(硬):表面が平滑で硬く圧着により表面形状が変化しない構成を備えた金属ロール。
平滑ロール(柔):表面が柔らかく圧着により表面形状が変化する構成を備えた紙層のロール。
平板(硬):表面が平滑で硬く圧着により表面形状が変化しない構成を備えた銅板。
[ドラム状賦型版1の作製]
表面を銅めっきしたシリンダーを準備し、170mm幅内に、微細柄凹凸模様としては図3に示されたパターンで、ピッチPが300μm、凸部幅Wが200μm、深さDが7μmになるようにシリンダー表面に切削して、ドラム状賦型版1を作製した。
[ドラム状賦型版2の作製]
微細柄凹凸模様のサイズを、ピッチPが500μm、凸部幅Wが350μm、深さDが10μmに変更して、ドラム状賦型版2を作製して使用した以外は、ドラム状賦型版1と同様に操作して、ドラム状賦型版2を作製した。
[ドラム状賦型版3の作製]
次に、表面を銅めっきしたシリンダーを準備し、断面が二等辺三角形のバイトで、下記ピッチとバイト頂角の組み合わせ44種の線条パターンをシリンダー表面に切削して、ドラム状賦型版3を作製した。
ピッチP:1μm、2μm、3μm、9μmの4水準。
バイト頂角θ:70°から170°まで10°ずつの11水準。
深さD:上記ピッチPとバイト頂角θから算出した。
切削:100mm幅内に、1ピッチに対して、1バイト頂角の線条パターンを切削し、次いで、10mmの間隙を空けて、別種の線条パターンを切削することを繰り返した。
Figure 0007144134000001
<賦型シート原反の作製>
[賦型シート原反1の作製]
賦型シート原反1の基材層用に、クレーコート層を形成した紙基材であるキャストコート紙(坪量164g/m2)を準備した。
このクレーコート層の上に、水性アンカーコート剤を介して、平滑化樹脂層として、ポリプロピレン樹脂80質量%とポリエチレン樹脂20質量%とのブレンド樹脂(サンアロマー株式会社製)を310℃で共押出機の第1押出機から押出して積層し、またその上に賦型層としてホモポリプロピレン樹脂(サンアロマー株式会社製)を共押出機の第2押出機から305℃で、ラインスピード80m/分で押出して積層した。
次いで、賦型層が超鏡面のチルロールに接するように、積層体を、超鏡面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型層表面を平滑化して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反1(ミラー仕様表面)を作成した。基材層表面(平滑化樹脂層表面)のSaは1.5μm、賦型層表面のSaは0.08μmだった。
[賦型シート原反2の作製]
超鏡面ロールを超微細マット面のチルロールに変えた以外は、賦型シート原反1と同様に操作して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反2(マット仕様表面)を作成した。基材層表面(平滑化樹脂層表面)のSaは1.5μm、賦型層表面のSaは0.6μmだった。
[賦型シート原反3の作製]
賦型シート原反2の一部を切り取り、枚葉シートの積層体(幅1500mm、長さ1000mm)である、賦型シート原反3を作製した。
[賦型シート原反4の作製]
基材層用紙基材キャストコート紙を普通の紙基材に変えた以外は、賦型シート原反1と同様に操作して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反4(マット仕様表面)を作成した。基材層表面(紙基材層表面)のSaは7μm、賦型層表面のSaは0.8μmだった。
[賦型シート原反5の作製]
基材層用紙基材キャストコート紙を普通の紙基材に変え、超鏡面ロールを超微細マット面のチルロールに変えた以外は、賦型シート原反1と同様に操作して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反5(マット仕様表面)を作成した。基材層表面(紙基材層表面)のSaは17μm、賦型層表面のSaは8μmだった。
Figure 0007144134000002
[実施例1]
(賦型シートの作製)
上記で準備したドラム状賦型版1と平滑ロール(硬)とを加圧部品として微細柄凹凸模様用ロールエンボス装置を準備した。
上記で得た賦型シート原反1を、微細柄凹凸模様用ロールエンボス装置に、図9のように、賦型層がドラム状賦型版1に当たるように、連続的に熱圧して、賦型シート原反1の賦型層に転写して、賦型シート1を作製した。
この際、賦型シート原反1には熱風を当てて加熱し、平滑ロール(硬)は加熱し、ドラム状賦型版1は冷却した。
熱圧後は、賦型シート原反1の基材層側から冷風を当てて冷却し、熱圧されて接着されている賦型シート原反1とドラム状賦型版1とを剥離して、微細柄凹凸模様を賦型し得る表面態様を有する賦型シート1を得た。各工程条件は下記の通り
熱風の温度:110℃
ドラム状賦型版1表面温度:30℃
平滑ロール(硬)表面温度:120℃
ロール圧力:線圧270kgf/cm
シート送り速度:5m/分
冷風の温度:10℃
(意匠シートの作製)
意匠シートの微細柄凹凸模様が賦型される表面樹脂層用に、ポリウレタン(大日精化工業(株)社製、レザミンNE-8811)と、着色剤(大日精化工業(株)社製、セイカセブンNET-5794ブラック)とを用いて、下記配合で意匠樹脂組成物1を調整した。
ポリウレタン 100質量部
着色剤 15質量部
トルエン 25質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
上記で作製した賦型シート1を、合成皮革製造装置に取り付け、意匠樹脂組成物1を賦型シートの賦型層に、ダイコート法により塗布した。
塗布後、100℃~120℃の範囲で2分加熱乾燥した。その後、接着剤を用いて基布
と貼り合わせ、乾燥し、熟成させて、賦型シート1から離型し、意匠シート1を得た。
(評価)
上記で得られた意匠シート1について、マット質感を評価した。結果を表3に示した。
[実施例2~7、比較例1]
表3に記載した、加圧部品、賦型シート原反等の組み合わせに従って、実施例1と同様に操作して賦型シート及び意匠シートを作製し、微細柄凹凸模様のタイプがマットのものについてはマット質感の評価を、微細柄凹凸模様のタイプが回折光沢のものについては虹強さと虹視野広さの評価を行った。結果を表3に示した。
<評価方法>
[マット質感]
照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、意匠シートから切り出した100mm角のサンプルを机の上に置き、被験者10名(20代から60代まで)が500mm上方位置から目視して、広くマット質感を感じる人数をカウントすることによって判定した。
微細柄凹凸模様の線状凸部が延びる方向を縦方向として、縦方向と横方向の両方において、3名以上が広く均質なマット質感を感じた場合に良好とした。
<回折光沢の虹強さの評価>
回折光沢の虹強さの評価は、変角分光測定により行った。変角分光測定器(S-OGM、デジタルファッション株式会社)を用い、回折光沢シートの回折構造層に対して、入射角度0度(回折光沢シートの法線方向)から白色(キセノン光源)を照射し、出射角度ごとのXYZ表色系を求めた。明度に対応するYの値を、白色(キセノン光源)のY値で規格化したゲインを求めた。正反射光を除いた規格化したゲインの最大値によって、虹の強さを決定した。
線状凸部が延びる方向を縦方向として、縦方向と横方向の両方について評価した。
ゲインが0.2以上の場合を良好とした。
<回折光沢の視野の広さの評価>
回折光沢の視野の広さについて、以下の手順で目視検査を行い、判定した。
意匠シートから100mm角のサンプルを切り出して机の上に置き、500mm上方位置から虹の視野の広さを判定した。照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、被験者10名(20代から60代まで)中の、視野が広いと感じる人数をカウントした。
線状凸部が延びる方向を縦方向として、縦方向と横方向の両方について評価した。
6名以上が視野が広いと感じた場合を良好とした。
Figure 0007144134000003
[結果まとめ]
表3からわかるように、本発明にかかる賦型シートを用いることにより、実施例1~7において、良好なマット質感や、回折光沢を、広い範囲で明るく観察し得る意匠シートが得られた。
賦型シート原反の基材層及び賦型層のSaが大きい比較例1は、マット質感が不均質な結果になった。
1 微細柄線状凹部
2 微細柄線状凸部
11 賦型シート
12 賦型シート賦型部
13 賦型シート基材部
14 賦型シート賦型層賦型部
15 賦型シート賦型層基部
16 賦型シート微細柄線状凹部
17 賦型シート微細柄線状凸部
21 意匠シート
22 意匠シート表面樹脂層
23 意匠シート基材層
31 賦型シート製造装置
32 賦型シート原反巻
33 賦型シート原反
34 送りロール
35 熱風装置
36 エンボスロール
37 バックアップロール
38 冷風装置
39 賦型シート
39 賦型シート巻

Claims (6)

  1. 微細柄凹凸模様を賦型可能な賦型シートの製造方法であって、
    前記賦型シートは、基材層と片面の最表層である賦型層とを有する積層体であり、
    賦型シート原反から、エンボスロールを用いて作製されるものであり、
    前記微細柄凹凸模様は、回折光沢を有し、深さが0.08μm以上、5μm以下であり、
    前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を前記賦型シートの賦型層に有し、
    前記賦型シート原反は、賦型層側の面の表面粗さSが0.3μm以上、15μm未満の基材層と、表面粗さSが0.03μm以上、5μm未満の賦型層とを有する積層体であり、
    前記基材層表面に、ポリプロピレン系または変性ポリオレフィン系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンからなるアンカーコート層を有し、
    前記エンボスロールは、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を表面に有し、
    前記製造方法が、前記賦型シート原反を、エンボスロールとバックアップロールとで、前記賦型シート原反の賦型層が前記エンボスロールの表面に接するように挟んで加圧して、前記エンボスロールの表面の前記微細柄凹凸模様を前記賦型シート原反の賦型層に転写する工程を含み、
    前記バックアップロールが、ペーパーロール、高弾性ロール、あるいはゴムロールからなる表面が柔らかいバックアップロールである、
    賦型シートの製造方法。
  2. 前記エンボスロールが、ドラム状賦型版を有するものである、請求項1に記載の、賦型シートの製造方法。
  3. 前記賦型シート原反が、連続シートであって、連続的に繰り出される、請求項1または2に記載の、賦型シートの製造方法。
  4. 前記賦型シート原反は、基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さSが、0.3μm以上、5μm未満であり、 賦型層の表面の表面粗さSが、0.03μm以上、0.5μm未満であり、請求項1~3の何れか1項に記載の、賦型シートの製造方法。
  5. 前記賦型シート原反は、基材層が紙層とクレー層とを含み、賦型層はポリプロピレン系樹脂またはポリメチルペンテン系樹脂を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の、賦型シートの製造方法。
  6. 前記微細柄凹凸模様は、平滑な略平坦面位置する、請求項1~の何れか1項に記載の、賦型シートの製造方法。
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