JP7027980B2 - 大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様を有するラミネートチューブ容器 - Google Patents

大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様を有するラミネートチューブ容器 Download PDF

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Description

本発明は、積層体から作製される、筒状胴部と頭部とを有し、絵柄による加飾と、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有するラミネートチューブ容器に関するものである。
前記積層体は、少なくとも、表面樹脂層と、中間層、および、内面樹脂層とが積層された構成を有し、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様は表面樹脂層に、賦型シートからの転写によって形成されたものである。
ラミネートチューブ容器は、表面全体に大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有することで、マット質感または回折光沢を呈することが可能であり、かつ、印刷インキの密着性に優れ、触感性を有すると共に、持ちやすく、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性、耐内容物性等に優れたものであり、練り歯磨き、食品、化粧品、医薬品、その他等の内容物の充填包装に適する。
賦型シート賦型層の大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様の態様は、プレス装置の加圧部品表面の大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様の態様が別々に転写されたものである。
従来、ラミネートチューブ容器においては、その胴部外周表面には、所望の絵柄模様と共に、品名、製造者、販売者、製造年月日、その他等の所定の事項を表示する絵柄層が形成されていることが通常である。
上記の場合、裏面に予めグラビア印刷方式等により形成された絵柄層を有するフィルム原反を表面樹脂層や中間層に用いて積層体を形成してラミネートチューブ容器を作製していることが一般的である。
あるいは、出来あがった積層体の表面樹脂層の表面に、絵柄層を追加形成している場合もある。
しかしながら、ラミネートチューブ容器の普及に伴って、類似した外観や形状のチューブ容器が増えて来た為に、消費者が日常生活において、ラミネートチューブ容器入り内容物を、誤って使用する問題が起きてきた。
上記問題を解決するために、例えば、合成樹脂積層シートを巻回して得られた重なり部を熱圧着することにより一体的に接合された筒状の胴部を有し、該熱圧着された部分に凹凸パターンが設けられていることを特徴とする表面加工付きチューブ容器が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、このようなラミネートチューブ容器を生産する際には、新たな凸部形成工程の追加が必要であり、更に、内容物充填工程ライン内で該凸部が引っ掛かることによる生産の一時停止頻度が高い為に、従来よりも生産性が低下してしまう。また、凸部の追加によってチューブ容器が嵩高くなるために容器の梱包サイズが大きくなるという欠点がある。
合成皮革や包装体等のシート表面における意匠性を向上させる目的で、シート表面に微細な凹凸を形成して、光の回折現象を利用した独特の光沢(例えば虹状の光沢)を付与することがあり、例えば、回折光沢が付与された合成皮革を作製する際に離型紙を用いることが提案されている(特許文献2、3)。
しかし、微細凹凸形状が、転写圧によって潰れたり、離型時に欠落したりする等の問題も発生し易く、微細凹凸形状の浅さや微細さには限界があった。
特開平8-72905号公報 特許3098799号公報 特開2010-253779号公報
本発明の目的は、消費者、特に高齢者にとって、視覚と触感による識別性を有し、滑りにくいラミネートチューブ容器を、特別な設備を用いずに低コストで提供することであり、更には、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性、耐内容物性等に優れ、練り歯磨き、食品、化粧品、医薬品、その他等の内容物の充填包装耐性にも優れる、ラミネートチューブ容器を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、特定の表面粗さを有する平滑な賦型シート原反から賦型シートを作製し、該賦型シートには別々のエンボスロールから大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様の表面態様を別々に転写形成し、そして、該賦型シートからラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層へ該大柄凹凸模様および該微細柄凹凸模様を同時に転写形成することで、上記目的を達成するラミネートチューブ容器を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.絵柄による加飾と、容器表面に賦型された、深さ及び/または大きさの異なる、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様と、筒状胴部と、頭部とを有するラミネートチューブ容器であって、
前記ラミネートチューブ容器は、ラミネートチューブ用積層体から作製され
前記ラミネートチューブ用積層体は、少なくとも、片面の最表層である表面樹脂層と、絵柄層と、ラミネートチューブ用積層体基材層と、片面の最表層である内面樹脂層とを含み、
前記筒状胴部は、枚葉型の前記ラミネートチューブ用積層体を、前記表面樹脂層が最外層になるように丸めて、前記ラミネートチューブ用積層体の片端辺の前記表面樹脂層と、もう一方の片端辺の前記内面樹脂層両端辺とを対向するように重ねて、ヒートシールすることによって形成されたものであり、
前記頭部は、前記筒状胴部の一方の開口部に設けられたものであり、肩部と口部とを有するものであり、
前記大柄凹凸模様と前記微細柄凹凸模様は、下記の工程3を含む製造方法によって、賦型シートから、同時に転写によって形成されたものであり、
前記賦型シートは、
賦型シート基材層と、片面の最表層に、前記大柄凹凸模様および前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を有する賦型シート賦型層とを有する積層体であり、
賦型シート原反から、下記の工程1と工程2とを含む製造方法によって作製されたものであり、
前記賦型シート原反は、賦型シート原反基材層と、片面の最表層に、賦型シート原反賦型層とを有する積層体であり、
前記賦型シート原反基材層は、前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さSが、0.3μm以上、15μm未満であり、
前記賦型シート原反賦型層は、表面粗さSが0.03μm以上、5μm未満である、ラミネートチューブ容器、
工程1)前記賦型シート原反または大柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート1を、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様1を表面に有するエンボスロール1と、バックアップロール1とで、前記エンボスロール1の表面に被転写シート1の賦型層が接するように挟んで、表面態様1を加圧により被転写シート1の賦型層に転写する工程、工程2)前記賦型シート原反または微細柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート2を、前記大柄凹凸模様を賦型可能な表面態様2を表面に有するエンボスロール2と、バックアップロール2とで、前記エンボスロール2の表面に被転写シート2の賦型層が接するように挟んで、表面態様2を加圧により被転写シート2の賦型層に転写する工程、工程3)加熱されたラミネートチューブ用積層体原反と、前記賦型シートとを、ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層と前記賦型シート賦型層とが対向するように重ねて、次いで、プレス装置3で挟んで熱圧することによって、前記賦型シート賦型層の表面態様を前記ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に転写して、前記ラミネートチューブ用積層体を作製する工程。
2.前記ラミネートチューブ用積層体が、更に、バリア層を含む、上記1に記載の、ラミネートチューブ容器。
3.前記バリア層が、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜、アルミニウム箔なる群から選ばれる1種または2種以上を含む、上記2に記載の、ラミネートチューブ容器。
4.前記ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層が、押し出しラミネ-ト成形成膜、または、Tダイキャスト成形成膜からなる、上記1~3の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
5.前記ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層が、低密度ポリエチレンを含む、上記1~4の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
6.前記ラミネートチューブ用積層体原反の基材層が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む、上記1~5の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
7.前記ラミネートチューブ用積層体原反の内面樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、上記1~6の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
8.前記賦型シート原反基材層は、紙層を含み、
前記賦型シート原反賦型層は、オレフィン系樹脂を含む、
上記1~7の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
9.前記賦型シート原反基材層は、更に、クレー層を含む、上記8に記載の、ラミネートチューブ容器。
10.前記オレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂またはポリメチルペンテン系樹脂を含み、
エンボスロール1、バックアップロール1、エンボスロール2、バックアップロール2なる群から選ばれる1種または2種以上を加熱する、
上記8または9に記載の、ラミネートチューブ容器。
11.前記微細柄凹凸模様は、深さが0.08μm以上、10μm以下である、上記1~10の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
12.前記微細柄凹凸模様は、回折光沢を有し、深さが0.08μm以上、5μm以下である、上記1~10の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
13.前記微細柄凹凸模様が回折光沢を呈し、
前記賦型シート原反基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さは、
が0.3μm以上、5μm未満であり、
前記賦型シート原反賦型層の表面の表面粗さは、
が0.03μm以上、0.5μm未満であり、
上記1~12の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
14.前記微細柄凹凸模様は、マット質感を有し、深さが0.2μm以上、10μm以下である、上記1~10の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
15.前記微細柄凹凸模様がマット状質感を呈し、
前記賦型シート原反基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さは、
が1.5μm以上、15μm未満であり、
前記賦型シート原反賦型層の表面の表面粗さは、
が0.5μm以上、5μm以下であり、
上記1~11、14の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
16.前記賦型シート原反、前記賦型シート、前記ラミネートチューブ用積層体原反なる群から選ばれる1つまたは2つ以上が、連続シートである、
上記1~15の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
17.前記賦型シート原反、前記賦型シート、前記ラミネートチューブ用積層体原反なる群から選ばれる1つまたは2つ以上が、枚葉シートである、
上記1~16の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
18.前記微細柄凹凸模様は、平滑な略平坦面位置する、
上記1~17の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
19.エンボスロール1が、ドラム状賦型版を有するものである、
上記1~18の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
20.バックアップロール2が、表面態様2を圧着により転写され得る表面構成を備えたものである、
上記1~19の何れかに記載の、ラミネートチューブ容器。
本発明のラミネートチューブ容器は、容器本体の表面に、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有し、マット状質感または回折光沢を呈させることが可能で、意匠性に優れ、外観および触感による識別性を有し、滑り難く持ち易いことから、特に高齢者等の消費者の誤使用やチューブ容器落下を防止できる。
更には、ラミネートチューブ用積層体がバリア層を含むことによって、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性、印刷インキの密着性、耐内容物性等に優れ、例えば、練り歯磨き、食品、化粧品、医薬品、その他等の内容物の充填包装用のラミネートチューブ容器に適することができる。
また、特定の表面粗さを有する平滑な賦型シート原反から作製された賦型シートを用いて、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を転写形成することによって、より深い模様や大柄な模様と、より浅い模様や微細な模様を、同時に、特別な設備を必要とせずに低コストで、ラミネートチューブ用積層体に高精度に形成できる。
本発明のラミネートチューブ用積層体の一例を示す断面図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の別態様の一例を示す断面図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層における微細柄凹凸模様の一例を示す斜視図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層における微細柄凹凸模様の別態様の一例を示す斜視図である。 図4の微細柄凹凸模様を得る為の賦型シート賦型層の微細柄凹凸模様を示す斜視図である。 微細柄凹凸模様部分の拡大断面図の一例である。 賦型シートの一例を示す、賦型層側から見た俯瞰図である。 マット質感を得たい場合の略台形波形状微細柄凹凸模様の一例を示す断面図である。 マット質感を得たい場合の略台形波形状微細柄凹凸模様の一例を示す俯瞰図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層における、大柄凹凸模様の一例を示す斜視図である。 図9の大柄凹凸模様を得る為の賦型シートの賦型層の大柄凹凸模様を示す斜視図である。 賦型シートからラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に、柄凹凸模様を転写するシステムの一例を示す概略装置図である。 賦型シートからラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に、柄凹凸模様を転写するシステムの別態様の一例を示す概略装置図である。 本発明のラミネートチューブ容器の、構成の一例を示す概略的半断面図である。 本発明における賦型シートの一例を示す斜視図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の一例を示す斜視図である。 賦型シートへの柄凹凸模様を賦型するシステムの一例を示す図である。 本発明における微細柄凹凸模様転写済みシートの一例を示す斜視図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の微細柄凹凸模様部分の一例を示す斜視図である。 本発明における、大柄凹凸模様転写済みシートの一例を示す斜視図である。 本発明のラミネートチューブ用積層体の大柄凹凸模様部分の一例を示す斜視図である。 賦型シートからラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に、柄凹凸模様を転写するシステムの別態様の一例を示す概略装置図である。
以下、本発明について図面を用いながら説明する。但し、本発明はこれら具体的に例示された形態や各種具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
また、各図において、賦型部は、y軸方向(以下、「延在方向」或いは「長手方向」とも記載する。)に延びる線状凸部を成している。そして、複数の線状凸部が、x軸方向に配列されている。
更に、各図において、凹凸模様は明確な角を有するパターンとして例示されているが、角が丸まった形状でもよい。
以降、本発明においては、ラミネートチューブ容器を作製する為のラミネートチューブ用積層体は、賦型シートから転写によって大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有する意匠が形成されたものであることから、意匠シートとも記載する。
大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が未転写のラミネートチューブ用積層体はラミネートチューブ用積層体原反、賦型シート原反の賦型層に大柄凹凸模様のみを賦型可能な表面態様が形成されたものを大柄凹凸模様転写済み賦型シート、賦型シート原反の賦型層に微細柄凹凸模様のみを賦型可能な表面態様が形成されたものを微細柄凹凸模様転写済み賦型シート、表面樹脂層が未積層のラミネートチューブ用積層体はラミネートチューブ用積層体中間体、と記載する。
各部材の各層の説明においては、特に指定が無ければ、例えば、原反という語はその部材の原反を指し、基材層、賦型層、賦型部、基部という語はその部材の基材層、賦型層、賦型部、基部を指すものとして記載する。
樹脂組成物とは、狭義には樹脂に他成分を配合した物を指すが、本発明においては、樹脂も樹脂組成物に包含されるものとして記載する。
<ラミネートチューブ容器>
本発明のラミネートチューブ容器は、絵柄による加飾と、容器表面に賦型された微細柄凹凸模様と、筒状胴部と、頭部とを有する。
本発明のラミネートチューブ容器は、ラミネートチューブ用積層体から作製されるものである。
<ラミネートチューブ用積層体>
本発明にかかるラミネートチューブ容器を形成するラミネートチューブ用積層体は、図1に示すように、少なくとも、片面の最表層である表面樹脂層と、ラミネートチューブ用積層体基材層と、絵柄層と、片面の最表層である内面樹脂層とが積層されており、表面樹脂層の表面には、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が形成されている。
大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様は、賦型シートから、加圧によって転写形成されたものであり、該転写は、上記積層の前に施しておくことも可能であり、上記積層の後に施すことも可能である。
本発明にかかるラミネートチューブ用積層体の別形態としては、図2に示すように、バリア層を含む構成が可能である。
更に、図示はしないが、各層の界面表面には、必要に応じて各種表面処理を施したり、アンカーコート剤層や接着剤層を設けたりすることによって接着性を向上することが可能であり、また更には、各層間には、用途や充填内容物等に応じて、更に、別の材料からなる層を設けることができ、また、その積層順序も任意に選択することが可能である。
尚、本発明は、上記に例示した構成からなる積層体を使用することに限定されるものではなく、種々の形態の積層体を使用することができる。
[表面樹脂層]
ラミネートチューブ容器がラミネートチューブ用積層体を丸めてその重合端部を溶着して筒状胴部を製造されることから、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層を構成する材料は、加熱により溶融して相互に融着することができるヒートシール性を有する樹脂を用いることが好ましい。更には、内面樹脂層と同じ材料であれば、ヒートシール性は更に向上する為、より好ましい。
そして、表面樹脂層を構成する材料は、賦型シートから加圧または熱圧によって、微細柄凹凸模様を賦型され得るものが好ましい。
また、表面樹脂層は、中間層に形成する絵柄印刷層を視認できるように透明であることが好ましい。
上記の性能を有する樹脂としては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸によって酸変性して得られた酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂が挙げられる。
上記の中でも、低密度ポリエチレンが扱い易く、好ましい。
表面樹脂層を多層化して、最外層は大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様との賦型性を優先するという構成が望ましい。
そして、上記の樹脂は、例えば、フィルムないしシート化して、大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様とを賦型してから積層してもよいし、液化して、積層対象物に塗布してから大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様とを賦型してもよいし、積層と賦型を同時に行ってもよい。
表面樹脂層の厚さは、大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様の種類にもよるが、好ましくは10μm~600μmであり、更に好ましくは10μm~200μmであり、特に好ましくは、15μm~100μmである。
本発明において、表面樹脂層を多層積層して機能性樹脂層を形成する場合、その材料としては、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性、および/または、充填包装する内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性等に富み、更に、変味、異臭等を生じない性質を有する樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂若しくはそのエチレン成分および/またはテレフタレート成分の一部を他のジまたはそれ以上の多価アルコール成分またはジカルボン酸成分で共重合ないし変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
上記の樹脂の中でも、保香性を有すると共に酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を有する樹脂を使用することが望ましく、具体的には、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等からなる保香性、バリア性等に富む樹脂を使用することが望ましいものである。上記の樹脂は、1種または2種以上を併用することも可能である。
表面樹脂層を形成する製造法としては、押し出しラミネート成形成膜法、Tダイキャスト成形成膜法等を採用することができる。具体的には、フィードブロック法、マルチマニホールド法等のTダイキャスト成形法、あるいは、押し出しラミネート成形成膜法等の成形方法が挙げられる。
更には、上記の各種の樹脂を単独でする方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出しする方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、する前に混合してする方法等により、本発明にかかる表面樹脂層を製造することができる。
[ラミネートチューブ用積層体基材層]
ラミネートチューブ用積層体基材層の材料としては、例えば、チューブ容器を構成する基本素材としての、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度、強靱性、耐熱性を有する、各種樹脂のフィルムないしシートや、紙基材を使用することができる。また、紙基材と樹脂のフィルムないしシートを併用して使用することもできる。
ラミネートチューブ用積層体基材層の厚さは、5μm~100μmが好ましく、10μm~50μmがより好ましい。
具体的な樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。
上記の中でも、ポリエステル系樹脂、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)系樹脂が好ましい。ここで、PET系樹脂とは、純粋なPET樹脂及び種々の変性PETを指すものである。
そして、上記の樹脂を、未延伸、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸してフィルムないしシート化して、使用することができる。
紙基材は、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、具体的な紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
紙基材としては、坪量約80g/m~600g/m位のものが好ましく、坪量約100g/m~450g/m位のものがより好ましい。
[絵柄層]
絵柄層は、ラミネートチューブ容器における絵柄による加飾を担う層である。
絵柄層は、例えば、ラミネートチューブ用積層体基材層の片面若しくは両面に、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等の印刷方法によって形成できる。
絵柄としては、特に制限は無く、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等が挙げられる。
絵柄層が最表面ではなく、表面樹脂層よりも下面に存在していることによって、外部からの衝撃で絵柄層の損傷を防止出来ているという利点を有する。
[内面樹脂層]
内面樹脂層を構成する材料としては、前述のように、積層体を丸めてその重合端部を溶着して筒状胴部を製造することから、加熱により溶融して融着することができるヒートシール性を有する樹脂を使用して、ヒートシール層を構成することが好ましく、更には、融着対象の表面樹脂層と同じ材料であることが、ヒートシール性を向上することができるのでより好ましい。
上記のヒートシール性を有する樹脂としては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸を使用して酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、等が挙げられる。
上記の中でも、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
そして、上記の樹脂は、例えば、フィルムないしシート化して積層してもよく、溶融して押出ラミネートしてもよく、溶剤に溶解またはエマルジョン化によって液化して塗布してもよい。
内面樹脂層の厚さは、10μm~200μmが好ましく、15μm~100μmがより好ましい。
内面樹脂層は、ヒートシール層以外にも他種の機能性樹脂層を積層して多層化することができる。
例えば、酸素ガスや水蒸気等に対するバリア性、および/または、充填包装する内容物中に含まれる香料成分等の吸着が少なく保香性等に富み、更に、変味や異臭等を生じない性質を有し、かつ、押し出し成形が可能である樹脂を用いて機能性樹脂層を形成することができる。
具体的な樹脂としては、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂若しくはそのエチレン成分および/またはテレフタレート成分の一部を他のジまたはそれ以上の多価アルコール成分またはジカルボン酸成分で共重合ないし変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、等の樹脂が挙げられる。
上記の樹脂の中でも、保香性を有すると共に酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を有する樹脂を使用することが望ましく、具体的には、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、または、ポリエステル系樹脂等を使用することが好ましい。
内面樹脂層を形成する方法としては、上記の1種または2種以上の樹脂を用いて、押し出しラミネート成型成膜法、多層共押し出し成型法、フィードブロック法やマルチマニホールド法等のTダイキャスト成型成膜法、等が挙げられる。あるいは、2種以上の樹脂をする前に予め混合しておいてから用いることも可能である。
[バリア層]
バリア層は、酸素ガスや水蒸気等に対するバリア性、遮光性、内容物の保香性等の機能を有する層である。
バリア層には、具体的には、例えば、金属箔や、金属蒸着層、無機酸化物の蒸着層、金属酸化物の蒸着層を有する樹脂フィルムないしシートや、バリア性樹脂からなる樹脂フィルムないしシート、バリア性樹脂からなるコーティング膜、着色樹脂フィルムないしシート等を使用することができ、またこれらの2種以上を併用することもできる。特に、金属蒸着膜または金属酸化物の蒸着膜は、酸素ガス、水蒸気、遮光性、保香性等のバリア性に優れ、容器の廃棄面において環境にやさしいという利点を有するため好ましい。
(金属箔)
バリア性を有する金属箔としては、具体的には、アルミニウム箔が挙げられる。
(蒸着層及び蒸着層を有する樹脂フィルムないしシート)
蒸着層は、金属または金属酸化物(セラミックス)を樹脂フィルムないしシートに蒸着させて用いられる。
金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化インジウム錫(ITO)、又は、亜鉛、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、バリウム、クロム等の金属酸化物、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられ、1種または2種以上を併用することができる。
蒸着膜を支持する樹脂フィルムないし樹脂シートとしては、上記の蒸着層を設ける工程条件に耐え得る為の、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に強度を有して強靭であり、かつ、耐熱性を有する、樹脂フィルムないし樹脂シートを使用することができる。
具体的な樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂フィルム、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂、等が挙げられ、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂が好ましい。
バリア層を構成する蒸着膜を形成する方法としては、上記のような金属または金属の酸化物を原料として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法クラスターイオンビーム法等の物理気相成長法(PhysicalVaporDeposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(ChemicalVaporDeposition法、CVD法)等を利用して、樹脂フィルムないし樹脂シート上に蒸着薄膜を形成する方法が挙げられる。
更に、具体的には、上記のPVD法では、例えば、巻き取り式蒸着機を使用し、真空チャンバーの中で、巻き出しロールから出た樹脂フィルムを蒸着チャンバーの中に入れ、ここで、るつぼで熱せられた蒸着源を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素吹き出し口より酸素等を噴出させながら、冷却したコーティングドラム上の樹脂のフィルムの上に、マスクを介して蒸着膜を成膜化し、次いで蒸着薄膜を形成した樹脂のフィルムを巻き取りロールに巻き取ることによって、本発明にかかる蒸着薄膜を有する樹脂のフィルムを製造することができる。
一方、上記のCVD法では、蒸着チャンバー内に配置された巻き出しロールから繰り出した樹脂のフィルム面に、蒸着チャンバー内の冷却、電極ドラム周面上において、蒸着原料揮発供給装置から供給される例えばモノマーガスとしての有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガスからなる混合ガスを導入し、プラズマによって酸化珪素の蒸着薄膜を形成した樹脂のフィルムを製造することができる。
蒸着薄膜の厚さは、十分なバリア性を得るために、通常、50Å~3000Åであることが好ましく、100Å~2000Åがより好ましく、100Å~1000Åが更に好ましい。
詳細には、上記のPVD法においては、酸化アルミニウムの蒸着薄膜の膜厚は、200Å~1000Åが好ましく、300Å~500Åがより好ましく、また、上記のCVD法においては、酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚は、50Å~500Åが好ましく、100Å~300Åがより好ましい。
蒸着薄膜の厚さが、上記範囲よりも厚いと、金属酸化物、無機酸化物の蒸着薄膜にクラック等が入ってバリア性が低下し易くなり、また、材料コストが高くなるという問題点がある為好ましくない。上記範囲よりも薄いと、バリア効果が不十分になる傾向にあり、好ましくない。
(バリア性樹脂)
バリア性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルがおよそ79wt%~92wt%)を完全ケン化したエチレン含有率25モル%~50モル%のエチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、等のガスバリア性に富む樹脂が挙げられる。
(着色樹脂フィルムないしシート等)
遮光性素材としては、他に、例えば、樹脂に顔料等の着色剤及び所望の添加剤を加えて混練してフィルム化ないしシート化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂フィルムないしシート等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
遮光性着色樹脂フィルムないしシートの厚みは、5μm~300μmが好ましく、10μm~100μmがより好ましい。
[別の材料からなる層]
ラミネートチューブ容器は、通常、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、かかる容器を構成する積層体には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求される。
このために、本発明においては、上記のような層の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用した層を含むことができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル-ブタジェン-スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、セロハン等の公知の樹脂のフィルムないしシート、合成紙から任意に選択して使用した層を含むことができる。
本発明において、上記のフィルムないしシートは、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの製法によって作製してもよく、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μm~300μm位の範囲から選択して使用することができる。
<柄凹凸模様>
本発明のラミネートチューブ用積層体は、表面樹脂層に、エンボス凹凸形状からなる、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有する。
本発明において、柄の単位大きさとは、規則的繰り返しパターン模様の場合には繰り返し方向のピッチを、ランダムな独立模様の場合には、単位柄を長方形に収めた場合の長方形の長辺の長さを指し、賦型シートの幅または長さのように、非常に大きな場合もある。
本発明において、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様とは、狭義には、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層上の模様を指すものであるが、転写前の反転した凹凸構造の態様についても区別無く同様に、各々、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様とも表記する。また、転写によって鋭角部が丸くなることも想定されるが、転写前後は略同形状であると見做し、同様に、各々、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様とも表記する。更に、大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様の総称として、柄凹凸模様とも表記する。
大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様は、パターンや大きさや賦型位置を組み合わせることによって、様々な意匠効果を得ることも可能である。
例えば、大柄凹凸模様または微細柄凹凸模様の面積を増減して、大柄効果または微細柄効果を目立ちやすくすることが出来る。
表面樹脂層に大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有することによって、ラミネートチューブ容器がマット質感の外観や回折光沢および触感による識別性を有し、また、消費者、特に高齢者がラミネートチューブ容器を滑らずに持ちやすいという利点を発揮する。
[微細柄凹凸模様]
以下に、微細柄凹凸模様について説明する。
本発明において、微細柄凹凸模様は、規則的な繰り返し模様であっても、単位柄種類や柄の単位大きさの異なるランダムな模様でもよい。
微細柄凹凸模様の凸凹部の形状パターンとしては、点分散状、ストライプ状、四角錐の島の配列、皺やワニ革状の非幾何学的な模様等を用いることができる。
微細柄凹凸模様の断面形状は、様々な形状が可能であり、例えば、図3のような略三角波形状、略矩形波形状、略台形波形状、略正弦波形状又は略鋸歯状波形状等が挙げられる。
例えば、図4のように、三角形の線状凸部と平らな線状凹部を形成していてもよい。この図4に示された微細柄凹凸模様は、図5に示された表面態様を有する賦型シートを用いることで作製される。
図6に微細柄凹凸模様部分の拡大断面図の1例を示した。Pは微細柄凹凸模様のピッチを、Dは微細柄凹凸模様の深さを示していて、賦型部は、y軸方向(以下、「延在方向」或いは「長手方向」とも記載する。)に延びる線状凸部を成している。そして、複数の線状凸部が、x軸方向に配列されている。
微細柄凹凸模様の深さDは、0.08μm以上、10μm以下であることが好ましい。
本発明においては、賦型シートを用いて意匠シートの表面樹脂層に微細柄凹凸模様を転写して形成するという製造方式上の理由から、意匠シート表面の微細柄凹凸模様の態様は、凸部、凹部、頂部、及び谷部が図8に示されたような明確な態様ではなく、角部が丸くなった態様や、断面形状が略台形になることもある。しかし、明確な態様とはならなくとも、十分に、マット質感や回折光沢が、明るく且つ広い視野で観察され得る。
図7(a)、(b)は、意匠シートの表面樹脂層の微細柄凹凸模様部分を上から見た平面図であり、微細柄凹凸模様の線状凸部及び線状凹部が延びる態様が表れている。
図7(a)は、線状凸部及び線状凹部が帯状の賦型シートの長手方向(同図に於けるy軸方向)に対して平行に延びる例、図7(b)は、線状凸部及び線状凹部が帯状の賦型シートの長手方向(同図に於けるy軸方向)に対して角度α傾いて延びる例である。
微細柄凹凸模様の形状パターンによっても異なるが、図7(a)、(b)の模様の場合には、αの範囲は0°以上、1°以下であることが好ましい。図7(a)はαが0°の場合を示している。αを上記範囲にすることにより、賦型シート生産時の離型性、及び該賦型シートを用いたラミネートチューブ用積層体への賦型時の離型性を向上させることができ、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層の線状凹凸部に欠け等の不具合が生じ難くなる。
微細柄凹凸模様は、表面樹脂層の表面の平滑な略平坦面に位置していることが好ましい。これは、賦型シートから微細柄凹凸模様が転写される際に、平滑な略平坦面に位置している微細柄凹凸模様は転写性(賦型性)に優れているからである。
平滑な略平坦面の具体例としては、他の模様の無い部分が挙げられ、場合によっては、ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層表面の平滑な略平坦面にのみ微細柄凹凸模様を賦型して、高精度に仕上げることも好ましい。
(回折光沢の場合の微細柄凹凸模様)
ラミネートチューブ用積層体表面に回折光沢を得たい場合の微細柄凹凸模様は、一例として図3に示したように、微細柄凹凸模様の線状凸部が三角柱を横に倒した線状であり、底辺を前記基部に、頂点を前記基部とは反対側に有する二等辺三角形断面を具備し、該二等辺三角形断面を維持して一方向に延びた形状であり、広範囲の断面形状は略三角波形状であることが好ましい。
微細柄凹凸模様の深さDは、0.08μm以上、5μm以下が好ましく、ピッチPは、1μm以上、10μm以下が好ましい。
(マット質感の場合の微細柄凹凸模様)
ラミネートチューブ用積層体表面にマット質感を得たい場合の微細柄凹凸模様は、一例として、広範囲の断面形状が図8aに示したように略台形波形状、略矩形波形状で、凸部底面が略菱形の略四角柱形状で、あることが好ましい。
微細柄凹凸模様の深さDは、0.2μm以上、10μm以下が好ましく、5μm以上、10μm以下がより好ましく、ピッチPは、15μm以上、200μm以下が好ましい。また、上から見た場合の平面図が図8bのようなマット質感を与える微細柄凹凸模様の場合は、凸部の幅Wは、100μm以上、1000μm以下であることが、触感性に優れるので好ましい。
[大柄凹凸模様]
本発明において、大柄凹凸模様は、規則的な繰り返し模様であっても、単位柄種類や柄の単位大きさの異なるランダムな模様でもよい。柄の単位大きさは、大柄凹凸模様の場合はエンボスロールの圧着面の幅または長さのように、非常に大きな場合もある。
図9に示された意匠シートの模様は、図10に示された表面態様を有する賦型シートを用いることで作製される。
また、本発明において、大柄凹凸模様とは、深さが、好ましくは5μm以上、300μm以下、より好ましくは10μm以上、150μm以下である。
大柄凹凸模様の断面形状は、それぞれ、例えば、略三角波形状、略矩形波形状、略台形波形状、略正弦波形状又は略鋸歯状波形状であることが可能である。
上部から見た場合の大柄凹凸模様の形状としては、例えば、天然皮革(蛇、ワニ等の動物柄等含む)由来のランダム柄や、幾何学模様等の規則柄が挙げられる。
本発明の賦型シートによって作製される大柄凹凸模様は、平滑な略平坦面の、凸部天面または凹部底面を有していることが好ましい。
大柄凹凸模様の略平坦面部としては、大柄凹凸模様の凸部天面部や凹部底面部、または大柄凹凸模様とは無関係の部分が挙げられる。略平坦面部は、微細柄凹凸模様の転写性(賦型性)に優れており、意匠性の向上が顕著になるが、凸部天面周辺、凹部底面周辺、斜面部においては、略平坦面部との、同条件下での微細柄凹凸模様の同時の転写(賦型)が困難である。
凸部天面部が略平坦面で平滑性があるほど均質な微細柄凹凸模様表現の賦型が容易である。凸部天面が略平坦面でないと、凸頂点部は微細柄凹凸模様が賦型され易いが、凸頂点周縁部は微細柄凹凸模様の賦型にムラが生じ易い。凹部底面部についても同様であり、略平坦面で平滑性があるほど均質な微細柄凹凸模様表現の賦型が容易である。
略平坦面部、凹部底面、凸部天面の平滑性は、例えば表面粗さSaが0.03μm以上、5μm未満、隣り合う凸部天面同士の凸面最大高さの差Szが、5μm以上、150μm未満であることが好ましい。隣り合う凹部底面同士の凹面最大高さの差Szが、10μm以上、30μm未満であることが好ましい。
<ラミネートチューブ用積層体の作製>
本発明におけるラミネートチューブ用積層体は、上記の表面樹脂層、ラミネートチューブ用積層体基材層、絵柄層、内面樹脂層、更にはバリア層がラミネートされたものである。
ラミネートの方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用するラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ共押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他等の任意の方法で行うことができる。
特に、表面樹脂層のラミネートについては、押し出しラミネ-ト成形成膜、または、Tダイキャスト成形成膜が好ましい。
上記のラミネートを行う際に、必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができる。また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、等のラミネート用接着剤やアンカーコート剤を任意に使用することもできる。
Tダイ共押し出し成形法や共押し出しラミネーション法でラミネートする際の接着剤層を構成する接着剤となる押し出し用樹脂には、例えば、ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポエイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン-アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
ドライラミネートする際の接着剤層を構成する接着剤としては、具体的には、ドライラミネート等において使用される2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、等を使用することができる。
表面樹脂層のラミネートに関しては、後述のように、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を賦型する前にラミネートしておいても、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を賦型した表面樹脂層フィルムまたはシートを作製しておいてからラミネートしても、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様の賦型と表面樹脂層のラミネートとを同時に行っても良い。
<表面樹脂層への大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様の転写>
表面樹脂層上の大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様は、下記の工程3を含む方法によって、賦型シートから転写形成される。
工程3)加熱されたラミネートチューブ用積層体原反と、前記賦型シートとを、ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層と前記賦型シート賦型層とが対向するように重ねて、次いで、プレス装置3で挟んで熱圧することによって、前記賦型シート賦型層の表面態様を前記ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に転写して、前記ラミネートチューブ用積層体を作製する工程。
以下、詳細に説明する。
先ず、工程3に先だって、後述の方法によって、賦型シートを作製しておく。
そして、賦型シートとラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層とを重ねて、プレス装置3で加圧することで、賦型シート賦型層の凹凸態様がラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層へと転写されて、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が形成される。
加圧する際には、必要に応じて、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層を前以て加熱していてもよく、ラミネートチューブ用積層体を加熱しながら加圧してもよく、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層を冷却しながら加圧してもよい。
加圧後に賦型シートとラミネートチューブ用積層体とを離型する際には、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層を冷却してもよい。
ここで、表面樹脂層への転写工程においては、ラミネートチューブ用積層体中間体に溶融した表面樹脂層用樹脂を供給して、賦型しながら表面樹脂層を積層してもよく、表面樹脂層用のフィルムまたはシートを積層してラミネートチューブ用積層体原反を作製しておいてから、表面樹脂層に大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を形成してもよく、表面樹脂層用のフィルムまたはシートに予め大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を形成しておいてから、ラミネートチューブ用積層体中間体に積層して、ラミネートチューブ用積層体を作製してもよい。
(プレス装置3)
本発明において、賦型シート賦型層の表面態様をラミネートチューブ用積層体表面樹脂層に転写する際には、2つのロール、1つのロールと1つの平板、及び2つの平板、なる群から選択される1種の、対になった加圧部品を有するプレス装置3を用いて、賦型シートと、ラミネートチューブ用積層体原反とを、賦型シート賦型層とラミネートチューブ用積層体表面樹脂層とが対向するように挟んで熱圧することができる。
2つのロールで挟む場合、該2つのロールのそれぞれの表面の硬さや平滑性については、必要に応じて様々な組み合わせを選ぶことが出来る。両方のロールに表面が平滑で硬いものを選ぶこともできるし、賦型シートが接する側のロール(エンボスロール)の表面は平滑で硬いが、ラミネートチューブ用積層体側のロール(バックアップロール)については、表面が柔らかい構成のものから硬い構成のものまで、多種多様のものを目的に応じて選ぶことが出来る。
高精度の賦型を要求する場合には、2つのロールは、平滑で硬くて圧着により表面形状が変化しない構成を備えたものが好ましい。
1つのロールと1つの平板を用いる場合や、2つの平板を用いる場合も同様であり、賦型シートが接する側とラミネートチューブ用積層体原反が接する側の両方に表面が平滑で硬いものを選ぶこともできるし、賦型シートが接する側の表面は平滑で硬いが、ラミネートチューブ用積層体原反側については、同様に、多種多様のものを目的に応じて選ぶことも出来る。
(表面樹脂層への転写システム例1:熱エンボス機2a)
図12に示したように、表面樹脂層が既に積層されているラミネートチューブ用積層体原反が、賦型シートとともに、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層と賦型シート賦型層とが対向するように重ねられて、ラミネートチューブ用積層体原反側から熱風が当てられて加熱され、矢印で示す方向に送られ、表面が平滑な2つのロールの間に送られて、挟まれて、加圧又は熱圧されて、適度に柔らかくなったラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層に、賦型シート賦型層の表面形状が転写されて大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が形成され、そして、当該形成された状態で、加圧解放直後の位置で、冷風をラミネートチューブ用積層体原反に当てて冷却して、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が固定され、冷却されたラミネートチューブ用積層体原反は、連続的に離型し、取り出され、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を表面樹脂層に有するラミネートチューブ用積層体が得られる。
(表面樹脂層への転写システム例2:熱エンボス機2b)
また別の方法として、ラミネートチューブ用積層体中間体に溶融した表面樹脂層用樹脂を供給して、賦型しながら表面樹脂層を積層する場合のシステムの1例を図11に示した。
図11においては、表面樹脂層を有する前のラミネートチューブ用積層体中間体が原反巻から矢印で示す方向に送られ、表面樹脂層用樹脂の溶融物がTダイスからラミネートチューブ用積層体中間体の表面へと供給され、同時に賦型シート賦型層が該溶融樹脂へと当てられ、2つのニップロールで挟まれて熱圧されて、賦型シート賦型層の大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様がラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層に転写されつつ積層されて、次いで冷風機で冷却され、次いで、賦型シートが離型されて、取り出され、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を表面樹脂層に有するラミネートチューブ用積層体が得られる、という方法も可能である。
(その他)
加熱手段と冷却手段には、公知の種々の方法を適用することが可能である。
具体的な加熱方法としては、例えば、表面が平滑な2つのロールの片方または両方を内部からスチーム等で加熱する方法、表面が平滑な2つのロールで挟む前に熱風をラミネートチューブ用積層体原反に当てる方法、表面が平滑な2つのロール手前の送りロールを加熱する方法、等が挙げられる。送りロールを加熱する場合は、誘電加熱等を用いてもよく、送りロールと表面が平滑な2つのロールの1つとでラミネートチューブ用積層体原反と賦型シートとを挟んでもよい。熱風は必須では無く、上記加熱手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
加熱の温度は、ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層が形状を維持しつつも加圧によって変形する程度に適度に柔らかくなる程度の温度がよく、該表面樹脂層の組成によって異なるが、ラミネートチューブ用積層体原反が80~130℃になるように調製することが好ましい。温度が高すぎると、該表面樹脂層が柔らかくなり過ぎて、溶融樹脂がラミネートチューブ用積層体原反から落下したり、賦型シート賦型層の樹脂が軟化して変形したり、賦型シートの離型性が低下して形状的な欠陥が発生したり、離型直後に形状が崩れたりして、凹凸形状の維持が困難になる。
ラミネートチューブ用積層体原反が前記温度範囲になるための各加熱媒体の温度は、各加熱手段によって異なる。
冷却の温度は、ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層が形状を維持可能な程度に適度に硬くなる程度の温度がよく、積層体原反表面樹脂層の組成によって異なるが、積層体原反が20~50℃になるように調製することが好ましい。
具体的な冷却方法としては、例えば、表面が平滑な1つまたは2つのロールを冷却する方法、表面が平滑な2つのロールで挟んだ後に冷風を当てる方法、表面が平滑な2つのロールで挟んだ後に冷却された離型ロールで冷却する方法、自然放冷等が挙げられる。離型ロールで冷却する場合は、離型ロールと表面が平滑な2つのロールの1つとで回折光沢シート原反を挟んでもよい。冷風は必須では無く、上記冷却手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
ラミネートチューブ用積層体原反が前記温度範囲になるための各冷却媒体の温度は、冷却手段によって異なる。
表面が平滑な2つのロールで挟む際の圧力は、線圧5~380kgf/cmが好ましく、5~265kgf/cmがより好ましく、10~100kgf/cmが更に好ましい。
このような方法によって、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を有する、本発明のラミネートチューブ容器用の積層体を、高い精度で効率よく作製することができる。
<ラミネートチューブ容器の作製>
次に、ラミネートチューブ用積層体を用いて、本発明にかかるラミネートチューブ容器を製造する一例を挙げる。
図13に示すように、まず、ラミネートチューブ用積層体を丸めて、ラミネートチューブ用積層体の両端部の最外層である表面樹脂層面と最内層である内面樹脂層面とを重ね合わせ、その重合端部を溶着して溶着部を形成してヒートシールし、筒状胴部とする。
ヒートシールする方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、火炎シール等の方法で行うことができる。
次いで、上記の筒状胴部の一方の開口部の上部に、常法に従って、例えば、高密度ポリエチレン等を射出成形法、圧縮成形法、その他の成形法で成形溶着して、ラミネートチューブ容器を構成する肩部、口部等からなる頭部を形成する。
肩部、口部等からなる頭部を構成する材料としては、高密度ポリエチレンの他に、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体等を使用することもできる。
そして、図13に示すように、上記で形成した頭部の口部に密閉する為のキャップを取り付けて、本発明にかかるラミネートチューブ容器が得られる。
なお、上記で製造したラミネートチューブ容器は、筒状胴部の他方の開口部より、例えば、練り歯磨き等の内容物を適量分だけ充填包装し、しかる後、該開口部を溶着して底溶着部を形成して、内容物を充填包装したラミネートチューブ包装体を製造することができる。
また、上記で製造したラミネートチューブ容器の下端部の開口部から充填包装する内容物を充填し、次いでその開口部をヒートシールして底溶着部を形成して、ラミネートチューブ包装体を製造することもできる。
充填包装する内容物としては、例えば、練り歯磨き、化粧品、糊、練りがらし、練りわさび、クリーム、絵の具、軟膏、医薬品、その他等を挙げることができる。
上記に挙げた例は、本発明のラミネートチューブ容器の一例を例示したに過ぎず、これによって本発明は限定されるものではない。
<賦型シート原反>
賦型シート原反は、賦型シート原反賦型層と賦型シート原反基材層とを有する積層体で
ある。
更には、基材層の賦型層側表面を平滑化するために、基材層は平滑化層を含むことができ、また更には、基材層と賦型層との密着性を向上させる目的で、基材層表面がコロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理が施されていてもよく、プライマーやアンカーコート剤等から成るアンカーコート層を、基材層表面に含むこともできる。
賦型シート原反は、枚葉シート状でもよく、ロール巻きされたような連続シート状であってもよい。
[賦型層]
本発明において、賦型シート原反賦型層は、賦型シート原反基材層の一方の面に積層された、樹脂または樹脂組成物からなる層であり、ラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層表面に、目的とする微細柄凹凸模様構造からなる表面態様を転写して形成し得る表面態様を有し得るものである。
本発明において、前記樹脂または前記樹脂組成物は、無溶剤型であっても、溶剤型であっても良く、更に必要に応じて、分散剤、粘度調節剤、着色剤、帯電防止剤、無機や有機の微粒子等が含まれていてもよい。
本発明において、賦型シート原反賦型層の樹脂または樹脂組成物には、賦型シート原反賦型層として機能することができれば特に限定されることはなく、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はポリメチルペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メラミンアルキッド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてよい。更に、硬化性や強靭性や剛性を調整する為に、紫外線硬化性を阻害しない範囲内で、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、等を併用することも可能である。
汎用用途としては、熱可塑性樹脂の、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。賦型シートに耐熱性が要求される場合には、熱可塑性樹脂の、ポリメチルペンテン系樹脂が好ましい。賦型部の微細柄凹凸模様に高度な形成精度が要求される場合には、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
賦型シート原反賦型層の厚みは、10μm以上、400μm以下が好ましく、50μm以上、300μm以下がより好ましく、100μm以上、200μm以下が更に好ましい。上記範囲より薄いと耐久性に劣る傾向になり、上記範囲よりも厚いと材料コストが上昇する。
賦型シート原反賦型層を冷却して固形化して、賦型シート原反を一旦巻き取って保管する場合等は、賦型シート原反賦型層の表面は平滑であることが好ましい。
(賦型層の平滑性)
賦型シート原反賦型層の表面粗さのSは、0.03μm以上、5μm未満が好ましく、賦型シート原反賦型層の表面をミラー光沢仕様にした場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.03μm以上、0.5μm未満がより好ましい。賦型シート原反賦型層表面を艶消しのマット質感仕様にした場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.03μm以上、5μm未満が好ましく、特に粗いマット質感を得たい場合には、0.5μm以上、5μm未満がより好ましい。
賦型シート原反賦型層の表面粗さのSは、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
賦型シート原反賦型層表面をミラー光沢仕様にした場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、40μm未満がより好ましく、5μm以上、40μm未満が更に好ましい。
また、賦型シート原反賦型層表面を艶消しのマット仕様にした場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましく、特に粗いマット質感を得たい場合には、40μm以上、250μm未満が更に好ましく、40μm以上、150μm未満が特に好ましい。
上記範囲よりもSやSが大きいと、意匠シート表面への浅い微細柄凹凸模様の賦型にムラが生じ易くなり、意匠シートの回折光沢の発現を阻害する虞もある。
上記範囲よりもSやSが小さいと、賦型シート原反を作製するための費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、賦型シート賦型層の平滑性は上記の範囲であることが好ましい。
賦型シート原反賦型層表面をミラー光沢仕様や回折光沢仕様にする場合は、ミラーチルロール等を用いることができ、賦型シート原反賦型層表面を艶消しのマット仕様やマット質感仕様にする場合は、マットチルロール等を用いることができる。
[基材層]
本発明において、賦型シート原反基材層は、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、一般に樹脂皮革製造用の離型シートや工程紙に用いられる従来公知の材質の基材を用いることができる。
例えば、各種の紙基材や樹脂フィルムまたはシート、金属箔、織布、不織布、クレー、およびこれらいずれかの積層体等の1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、樹脂を塗布して用いることも出来る。
本発明においては、熱劣化を生じさせにくく、賦型シート原反賦型層との密着性が高いという観点では、紙基材を用いるのが好ましく、耐熱性及び表面平滑性が特に必要な場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル基材を用いるのが好ましい。
(基材層の平滑性)
賦型シート原反賦型層の表面を平滑にするためには、賦型シート原反基材層の表面をも平滑にすることが効果的で有り、賦型シート原反基材層の賦型層側の表面粗さSは、0.3μm以上、15μm未満が好ましく、1.0μm以上、15μm未満がより好ましい。
賦型シート原反賦型層表面をミラー光沢仕様にする場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.3μm以上、5μm未満が好ましく、1.0μm以上、5μm未満がより好ましい。また、賦型シート原反賦型層表面を艶消しのマット仕様にする場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、0.3μm以上、15μm未満が好ましく、特に粗いマット質感を得たい場合には、1.5μm以上、15μm未満が好ましく、5μm以上、15μm未満がより好ましい。
賦型シート原反基材層の賦型層側の表面粗さSは、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。
賦型シート原反賦型層表面をミラー光沢仕様にする場合や後工程で回折光沢を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、20μm未満がより好ましく、5μm以上、20μm未満が更に好ましい。
また、賦型シート原反賦型層表面を艶消しのマット質感仕様にする場合や後工程でマット質感を呈する微細柄凹凸模様を賦型する場合には、3μm以上、250μm未満が好ましく、5μm以上、150μm未満がより好ましい。特に粗いマット質感を得たい場合には、20μm以上、250μm未満が更に好ましく、20μm以上、150μm未満が特に好ましい。
上記範囲よりもSやSが大きいと、賦型シート原反賦型層の平滑性が低下する虞があり、更には、賦型シート原反賦型層への、微細柄凹凸模様の賦型にムラが生じ易くなり、賦型シートを用いて作製される意匠シートの回折光沢の発現を阻害する虞がある。
上記範囲よりもSやSが小さいと、賦型シート原反を作製するための費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、賦型シート原反基材層の平滑性は上記の範囲であることが好ましい。
賦型シート原反基材層の厚さは特に限定されることはないが、20μm以上、900μm以下であることが好ましく、25μm以上、200μm以下であることが更に好ましく、50μm以上、150μm以下であることがより好ましい。
上記範囲よりも厚いと、剛性が強くなり過ぎる虞が有り、コストが増大する一方で支持の効果向上は限定的である。また上記範囲よりも薄いと、賦型シート原反賦型層を積層及び加工する際に支持性が不足する虞がある。
(樹脂フィルムまたはシート)
賦型シート原反基材層に用いられる樹脂は、フィルムやシートとして用いることが出来、塗布して用いることも出来る。
賦型シート原反基材層に用いられる具体的な樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等を使用することができ、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムまたはシートを使用することがより好ましく、特に、PETフィルムまたはシート、特に易接着PETフィルムまたはシートが好ましく使用される。
また、必要に応じて、2種以上の樹脂のフィルムまたはシ-ト等を併用して使用することもできる。
賦型シート原反賦型層が紫外線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂組成物からなる場合には、賦型シート原反基材層には、紫外線透過性の、樹脂フィルムまたはシートを用いることが好ましい。
具体的な紫外線透過性の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブテン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の樹脂が挙げられる。
本発明においては、紫外線透過性の樹脂としては、特に、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムまたはシートを使用することが好ましく、耐熱性及び平滑性の観点からは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂のフィルムまたはシートを使用することがより好ましく、PETフィルムまたはシートを用いることが特に好ましい。
(紙基材)
賦型シート原反基材層の構成材料には、紙基材を用いることが出来る。
具体的な紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ-ル紙、クラフト紙、板紙、コート紙、キャストコート紙、加工紙、上質紙、等を使用することができる。
上記において、紙基材としては、好ましくは坪量約80g/m~600g/m位のもの、より好ましくは坪量約100g/m~450g/m位のものを使用することが望ましい。
紙基材のパルプとしては、賦形層に微細柄凹凸模様を形成する工程や合成皮革を作製する際の工程に耐えうる強度と平滑性を得るために針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を混合したものが好ましい。その場合、平滑性を高めるため、広葉樹パルプ(L材)の混合率は50%~90%が好ましい。
紙基材は、離型紙の充分な耐熱性を得るために、中性紙であることが必要であり、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイズした中性紙が好ましい。
紙基材の坪量は、好ましくは坪量約80g/m~600g/m位のもの、より好ましくは坪量約100g/m~450g/m位のものを使用することが望ましいが、特に、合成皮革作成用途においては、強度、合成皮革加工作業性、離型紙の繰り返し使用耐久性及びエンボス加工適性の面から100g/m2~200g/m2であることが更に好ましい。
坪量が100g/m2よりも低いと合成皮革の製造時にカールや波打ちが発生し易くなる。逆に坪量が200g/m2より高くなるとエンボス加工性が悪く、また離型紙が厚くなることによりその巻き径が大きくなって作業能率が低下する。
紙基材の厚さは、合成皮革作成用途では、好ましくは100μm~900μm、より好ましくは150μm~600μmのものを使用することができるが、汎用的には10μm~200μmのものを使用することが好ましい。
クラフト紙や上質紙等のように表面が比較的粗い材料を紙基材として賦型シート原反基材層に用いる場合には、紙基材の上の平滑性を向上させることができる。
(平滑化層)
平滑化層は賦型シート原反基材層の賦型層側の面に、必要に応じて設けられ、賦型シート原反基材層の表面を平滑化するものである。
平滑化層の厚さは、特に限定されないが、10μm~60μmが好ましい。
平滑化層は、例えば、クレーコート層や、平滑化樹脂層からなり、各々を単独で用いても良く、2種を組み合わせて用いてもよい。
クレーコート層はクレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができる。具体的には、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等を用いることができる。
タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上やエンボス加工時の寸法安定性を向上させることができる。
逆に、平滑化層の硬度の高い方が、平滑化層の上に形成される賦型シート原反賦型層において紙基材の地合いの影響を受けにくく、この結果、賦型シート原反賦型層の表面が均一となるので、版面の凹凸構造の転写性(賦形性)が向上する。
クレーコート層は、クレーの他に、顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム、サチンホワイト等を含んでいることが好ましい。顔料として炭酸カルシウムや二酸化チタンを用いることにより、クレーコート層の表面の平滑度を更に上げることができる。また、炭酸カルシウムは安価であるため、好適に用いられる。
クレーコート層を塗布するための塗布液は、溶媒に上記クレーと、バインダーと、必要に応じて他の顔料や添加剤を含む。溶媒としては、通常、水、アルコール等が用いられる。バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、カゼイン等)が用いられる。添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤等が用いられる。
クレーコート層の塗布方法は、特に限定されないが、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗布方法が用いられる。
クレーコート層の塗布量や厚さは、特に限定されないが、通常、乾燥後の坪量が5g/m2~40g/m2が好ましく、10g/m2~40g/m2が更に好ましい。
乾燥後の坪量が5g/m2未満であると、平滑性が劣る場合がある。乾燥後の坪量が40g/m2を超えると、クレーコート層の凝集破壊等による密着性低下の可能性があり、コストパフォーマンス面に劣る。
平滑化樹脂層としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。クレーコート層と併用する場合は、クレーコート層上の賦型層側に形成することが、クレーコート層のみの場合よりも平滑度の高い基材層表面を得ることが可能であり、好ましい。
平滑化樹脂層の形成は、押出コーティングや塗布による方法が好ましい。
平滑化樹脂層の厚さは、特に限定されないが、10μm~60μmが好ましい。
(アンカーコート層)
賦型シート原反基材層と賦型シート原反賦型層との密着性を向上させる目的で、必要に応じて、基材層表面にアンカーコート層を設けることができる。本発明においては、プライマーコート、アンカーコート等の塗布処理等の総称としてアンカーコートと記載する。
アンカーコート層を設ける際には、コロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理と併用することもできる。
例えば、賦型シート原反基材層が平滑化層としてクレーコート層を有している場合、クレーコート層の表面は滑性が良い為、押出しラミネートした樹脂との接着性が劣る傾向であるが、アンカーコート層を形成することにより、接着性を高めることができる。
アンカーコート層は、例えば、水溶性、または、水分散型のエマルジョンもしくはディスパージョンのアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。
このアンカーコート剤としては、ポリプロピレン系、変性ポリオレフィン系、エチレン-酢酸ビニル共重合体系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、ポリエステル系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンのほか、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルアクリル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、そして、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックスなどのゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、或いはこれらのラテックスのカルボキシル変性物、また、水溶性アンカーコート剤としては、ポリビニルアルコール、水溶性エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性イソシアネート、水溶性リグニン誘導体などの水溶液を使用することができる。
これらの中でもポリプロピレン系または変性ポリオレフィン系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンは、紙に対するポリプロピレン系樹脂層の積層強度を一層強くでき、かつ、耐熱性にも優れる点で好ましい。
アンカーコート剤の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などで塗布することができ、その塗布量としては、乾燥時の塗布量で0.1g/m2~5g/m2が好ましい。
[賦型シート原反の作製]
賦型シート原反は、例えば、賦型シート原反基材層の片方の面に樹脂または樹脂組成物からなる賦型シート原反賦型層を形成して作製される。
賦型シート原反賦型層の形成方法は特に限定されることはなく、例えば、押出しコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクロバーコート、バーコート、ナイフコート、グラビアコート等の塗布方法を挙げることができる。
賦型シート原反賦型層の表面が上記のような平滑性を有する賦型シート原反は、例えば、特に、クレーコート紙等を用いた賦型シート原反基材層に、賦型シート原反賦型層用の樹脂を押出チルロール成型して得ることが出来る。
ここで、チルロールの表面の平滑さを調整することによって、賦型シート原反賦型層の表面の平滑さを調整できる。例えば、溶融押出して積層された後、連続して、表面が鏡面加工されたチルロールと押圧ロールとの間を、賦型シート原反賦型層が鏡面のチルロールに接するように通すことにより、得ることができる。
その際に使用する鏡面のロールとしては、ロールにクロムメッキを施した後、ウェットブラスト、ドライブラスト処理が施されたミラー系またはセミミラー系のロールをいう。また、鏡面のロールは、賦型シート原反基材層の表面より平滑なロールの表面であれば、超微細マット系のロールも含む。この鏡面のロールを用いることにより、賦型シート原反賦型層の表面の平滑度を調節することができる。
賦型シート原反賦型層が紫外線硬化性樹脂組成物からなる場合は、賦型シート原反賦型層の形成方法としては、例えば、ダイコート法やグラビアコート法が挙げられ、他には、賦型シート原反基材層をロールに巻き付かせた状態で、流動性を有する紫外線硬化性樹脂組成物に浸して、賦型シート原反基材層の片面にだけ紫外線硬化性樹脂組成物を積層して、一定厚みでしごいて形成する方法も挙げられる。
紫外線硬化性樹脂組成物に流動性を有せしめる方法としては、溶剤を加えて流動性を有せしめても、流動性を有する樹脂原料を用い流動性を有せしめても、加熱によって流動性を有せしめてもよい。
上記方法で作製された賦型シート原反は、そのまま連続して賦型シート原反賦型層に微細柄凹凸模様を賦型してもよいし、必要に応じて一旦取り出して、賦型シート原反賦型層の乾燥等を行ってもよい。
賦型シート原反賦型層を形成後に、賦型シート原反賦型層が鏡面のチルロールに接するように、鏡面または超鏡面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型シート原反賦型層の表面を平滑化してミラー仕様表面化することもできる。
<賦型シート>
本発明において、賦型シートとは、賦型シート原反に、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様とが転写されて、その賦型層に、大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様とを同時に賦型し得る表面態様が形成されたシートである。
本発明に係る賦型シートの基本的な層構成は賦型シート原反と同一であるが、賦型シート原反賦型層には、エンボスロール1から微細柄凹凸模様の表面態様が、エンボスロール2から大柄凹凸模様の表面態様が転写されたことによって、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が形成されている。
賦型シートは、ロール巻きされたような連続シート状であってもよく、枚葉シート状であってもよい。枚葉シート状の賦型シートは、枚葉シート状の賦型シート原反から作製されたものであっても、連続シート状の賦型シートを切断して得たものであってもよい。
図14に賦型シートの1例を表す斜視図を示した。この賦型シートを用いることで、図15に示された大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様をラミネートチューブ用積層体の表面樹脂層表面に同時に形成することができる。
[賦型層]
本発明において、賦型シート賦型層は、賦型部と基部とで構成されている。賦型部とは、柄として凹凸を有する厚み部分のことであり、基部とは、賦型部の支持部となる厚み部分のことであり、賦型部と基部との間に明確な境界は無く、一体となって賦型層を構成している。
賦型シート賦型層には、意匠シート表面に柄凹凸模様を転写によって同時に形成し得る表面態様の構造が形成されている。ここで、賦型シート賦型層の表面態様の構造は、意匠シート表面に形成される柄凹凸模様とは、凹凸構造が反転した表面態様の構造である。
賦型シート賦型層の基部の厚さは、特に限定されることはないが、例えば、5μm以上、300μm以下が好ましく、25μm以上、280μm以下がより好ましく、50μm以上、150μm以下が更に好ましい。厚さが上記範囲よりも薄いと賦型シートが破れやすくなり、上記範囲よりも厚いと柔軟性に欠け、使い勝手が悪くなる傾向にある。
賦型シート賦型層の賦型部の厚さや基部の厚さは、特に限定されることは無く、柄凹凸模様の構造との関係で適宜決定されることが好ましい。
[基材層]
賦型シートは賦型シート原反賦型層に柄凹凸加工を施して作製されるものであることから、基材層の素材構成は賦型シート原反基材層と同じであるが、図14に示したように、基材層は、賦型層に賦型された柄凹凸模様が反映されて、同様の柄凹凸模様構造を有していてもよい。特に、転写時のバックアップロールの表面が柔らかい構成の場合に、容易に反映することができる。
柄凹凸模様の構造によっては、基材層に柄凹凸模様を反映させることで、賦型層の柄凹凸模様を更に容易に高精度に形成することが出来る。
<賦型シートの作製>
賦型シートは、賦型シート原反の賦型層に、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様を賦型し得る表面態様を、エンボスロール2とエンボスロール1からの別々の表面態様の転写によって形成されたものであり、下記の工程1と工程2を含む方法によって作製することができる。
工程1と工程2のどちらが先に行われても、すなわち、大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様のどちらが先に転写されてもよい。
工程1)前記賦型シート原反または大柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート1を、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様1を表面に有するエンボスロール1と、バックアップロール1とで、前記エンボスロール1の表面に被転写シート1の賦型層が接するように挟んで、表面態様1を加圧により被転写シート1の賦型層に転写する工程、工程2)前記賦型シート原反または微細柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート2を、前記大柄凹凸模様を賦型可能な表面態様2を表面に有するエンボスロール2と、バックアップロール2とで、前記エンボスロール2の表面に被転写シート2の賦型層が接するように挟んで、表面態様2を加圧により被転写シート2の賦型層に転写する工程。
[賦型シートの作製システム例1]
図16は、エンボスロールとバックアップロールからなる1対のロールを用いて、連続シート状の被転写シートから、連続状の賦型シートを作製するシステムの1例である。このシステムの場合には、賦型シートに、繋ぎの無いデザインを表現可能であり、高度な意匠性を発現可能である。
図16においては、エンボスロールとバックアップロールの間を、賦型層がエンボスロール側になるようにセットされた被転写シートが、矢印で示した方向に連続的に送られる。ここでエンボスロールの表面には、被転写シートの賦型層に、微細柄凹凸構造を転写形成し得る微細柄凹凸構造の表面態様、または大柄凹凸構造を転写形成し得る大柄凹凸構造の表面態様が形成されている。即ち、エンボスロールの表面の柄凹凸構造の表面態様は、目的とする意匠シートの表面の柄凹凸構造と同形状乃至略同形状となっている。
送られた被転写シートは、エンボスロールとバックアップロールに挟まれて、被転写シートの賦型層は、加圧によって、エンボスロールの表面形状に沿った表面形状に形成され、連続的に離型し、取り出される。
必要に応じて被転写シートを加熱、冷却することも可能であり、加熱することによって賦型層が柔らかくなって表面形状の形成が容易になり、冷却によって表面形状が固定され、離型が容易になる。
大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様の両方を備えた賦型シートは、異なるエンボスロール(エンボスロール1とエンボスロール2)を用いて、2回転写することによって得られる。
(エンボスロールとバックアップロール)
本発明において、エンボスロールとは、狭義には、表面に凹凸からなるエンボス構造の表面態様を有するロールのことであるが、ドラム状賦型版が取り付けられたロールや、賦型シートが接する側の平滑なロールや、バックアップロールとの対となった組み合わせをも包含する総称としても表記する。また、バックアップロールとは、上記エンボスロールと同時に用いられる、対のロールのことであり、被転写シートが接する側のロールである。
本発明において、大柄凹凸模様または微細柄凹凸模様からなるエンボス凹凸形状を賦型シート原反に転写する際には、エンボスロールとバックアップロールからなる1対のロール状のプレス装置を用いることができる。
エンボスロールの表面には、大柄凹凸模様または微細柄凹凸模様をなすエンボス凹凸形状の表面態様が有り、被転写シートをエンボスロールとバックアップロールとで挟む際に、被転写シートの賦型層がエンボスロールのエンボス凹凸形状の表面態様に接するように挟んで加圧する。
本発明においては、バックアップロールの表面は、目的や使い方によって、柔らかいもの、硬いもの、粗いもの、平滑なものを選ぶことができる。
表面が柔らかいバックアップロールは、エンボスロールやドラム状エンボス賦型版が取り付けられたロールの、表面エンボス凹凸形状を、圧着により転写され得る表面構成を備える。転写は一時的でも恒久的でもよい。
表面が柔らかいバックアップロールを用いた場合には、エンボス凹凸形状を転写される被転写シート(賦型シート原反、大柄凹凸模様転写済み賦型シート、微細柄凹凸模様転写済み賦型シートの何れか)は、賦型層のみならず基材層も、該表面エンボス凹凸形状が反映され得る。
表面が柔らかいバックアップロールの具体例としては、例えば、ウールンペーパーロール等のペーパーロール、高弾性ロール、ゴムロール等が挙げられる。
表面が硬いバックアップロールは、エンボスロールやドラム状エンボス賦型版が取り付けられたロールの、表面エンボス凹凸形状を、圧着により転写されない表面構成を備える。
表面が硬いバックアップロールを用いた場合には、被転写シートは、主に賦型層に該表面エンボス凹凸形状が反映され得る。
特別に微細な模様を賦型したい場合や、高精度の賦型を要求する場合には、バックアップロールの表面には、平滑で硬くて圧着により表面形状が変化しない構成を備えたものが好ましい。
加熱と冷却の手段には、公知の種々の方法を適用することが可能である。
具体的な加熱手段としては、例えば、エンボスロールとバックアップロールの片方または両方を内部からスチームや誘電加熱等で加熱する方法、加圧前に熱風を被転写シートに当てる方法、エンボスロール手前の送りロールを内部からスチームや誘電加熱等で加熱する方法、等が挙げられる。熱風は必須では無く、上記加熱手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
加熱の温度は、被転写シートの賦型層が形状を維持しつつも加圧によって変形する程度に適度に柔らかくなる程度の温度がよく、該賦型層の組成によって異なるが、賦型シート賦型層が80~130℃になるように調製することが好ましい。
温度が高すぎると、賦型層が柔らかくなり過ぎて溶融して落下したり、賦型層が変形したり、エンボスロールと被転写シートとの離型性が低下して、柄凹凸模様の賦型に形状的な欠陥が発生したり、離型直後に形状が崩れたりして、柄凹凸形状の維持が困難になる虞がある。
冷却の温度は、被転写シートの賦型層が形状を維持可能な程度に適度に硬くなる程度の温度がよく、賦型層の組成によって異なるが、被転写シートの賦型層が20~50℃になるように調製することが好ましい。
具体的な冷却方法としては、例えば、エンボスロールまたはバックアップロールを冷却する方法、加圧後に被転写シートに冷風を当てる方法、加圧後の離型ロールを冷却する方法、自然放冷等が挙げられる。冷風は必須では無く、上記冷却手段の2種以上を組み合わせて適用することも可能である。
エンボスロールとバックアップロールとで加圧する際の圧力は、賦型シート賦型層の樹脂種によっても異なるが、線圧が、5kgf/cm以上、380kgf/cm以下が好ましく、5kgf/cm以上、265kgf/cm以下がより好ましく、10kgf/cm以上、100kgf/cm以下が更に好ましい。
圧力が上記範囲よりも低いと、柄凹凸模様によっては転写が不十分になって欠落が出る虞があり、上記版よりも高いと、柄凹凸模様によっては、模様の一部または全部が潰れてしまう虞があり、高精度の賦型が困難になり易い。
(微細柄凹凸模様の転写)
賦型シート原反または大柄模様転写済み賦型シートからなる被転写シート1の賦型層に微細柄凹凸模様を転写する場合には、エンボスロールには、表面に微細柄凹凸構造を転写形成し得る微細柄凹凸構造の表面態様を備えた、エンボスロール1を用いる。
微細柄凹凸模様の転写工程においては、エンボスロールは、ドラム状賦型版を有するものであることが好ましい。
本発明においては、被転写シート1の素材構成によっては、微細柄凹凸模様は加圧のみで賦型可能であり、賦型層中の樹脂の軟化点が高い場合等は、更にエンボスロールを加熱することで賦型可能であり、また更に熱風や送りロールの加熱、更には冷却機構を加えることで、仕上がり精度を高めることも可能である。
被転写シート1の微細柄凹凸模様が賦型された部分は図17で示された斜図のようになり、この微細柄凹凸模様によって作製された意匠シートの微細柄凹凸模様部分は、図18のようになる。
(大柄凹凸模様の転写)
被転写シート賦型層に大柄凹凸模様を転写する場合には、エンボスロールには、表面に大柄凹凸構造を転写形成し得る微細柄凹凸構造の表面態様を備えた、エンボスロール2を用いる。
本発明においては、被転写シート2に大柄凹凸模様を転写する際は、被転写シート2の素材構成によっては、加圧のみで賦型可能であるが、賦型層中の樹脂の軟化点が高い場合等では、加圧ではなく熱圧することが好ましい。更には冷却機構を加えることで、仕上がり精度を高めることも可能である。
大柄凹凸模様の凹部底面部や凸部天面部をより平滑にするためには、エンボスロールは、ヘリオ彫刻よりも、エッチングにより製版したものがより好ましい。
バックアップロールには、表面が柔らかいバックアップロールと表面が硬いバックアップロールの何れも用いることが可能であるが、好ましくは、表面が柔らかいバックアップロールが用いられる。
被転写シート2の大柄凹凸模様が賦型された部分は図19で示された斜図のようになり、この大柄凹凸模様によって作製された意匠シートの大柄凹凸模様部分は、図20のようになる。
(賦型シートの作製システム例2)
賦型シート用の基材に溶融した賦型層用樹脂を供給して、エンボスロールによって大柄凹凸模様または微細柄凹凸模様を賦型しながら賦型層を積層して被転写シートを作製する場合のシステムの1例を図21に示した。
図21においては、賦型層を有する前の賦型シート原反、すなわち賦型シート用の基材が原反巻から矢印で示す方向に送られ、賦型層用樹脂の溶融物がTダイスから賦型シート用の基材の表面へと供給され、同時にエンボスロールの表面が該溶融樹脂へと当てられ、バックアップロールと挟まれて熱圧されて、エンボスロールの柄凹凸模様が賦型シート賦型層に転写されつつ積層されて、次いで冷風機で冷却され、次いで、離型されて、取り出され、大柄凹凸模様または微細柄凹凸模様が賦型された被転写シートが得られる。
本システムで転写する柄凹凸模様は大柄凹凸模様と微細柄凹凸模様のどちらでもよいが、本システムで転写されなかった柄凹凸模様は、上記賦型シートの作製システム例1等で転写することができる。
(賦型シートの作製システム例3)
賦型シートの作製システム1の別形態として、枚葉シート状の賦型シート原反を用いて、枚葉シート状の賦型シートを作製してもよい。
この形態の場合には、小径のエンボスロールと少量の枚葉シート状の賦型シートを準備するだけで済み、少量多品種の生産に好適であり、コストメリットも大きい。
下記のように、異なる、賦型シート、大柄凹凸模様、微細柄凹凸模様、賦型シート、プレス装置、賦型方法によって、異なるラミネートチューブ用積層体及びラミネートチューブ容器を作製し、評価した。
<賦型シート原反の作製>
表1に示された賦型層と基材層の組み合わせと、チルロール及び溶融押出機を用いて、賦型シート原反1~5を作製した。
詳細は下記の通り。
[賦型シート原反1の作製]
用いた原材料は下記の通り。
・紙基材1:クラフト紙。坪量は125g/m、基材層表面のSは2.6μm。
・紙基材2:クラフト紙。坪量は125g/m、基材層表面のSは8.6μm。
・PETフィルムB:厚さ75μm、塗布対象面のSaは0μm。
・水性アンカーコート剤1:ポリプロピレン系樹脂エマルジョン。
・ブレンド樹脂1:ポリプロピレン樹脂80質量%とポリエチレン樹脂20質量%の混合物。
・ポリプロピレン樹脂1:賦型層用ポリプロピレン樹脂。
紙基材1の表面にクレーコート層を設けて、キャストコート紙1(坪量164g/m2)を作製した。
賦型シート原反1の基材層としてのキャストコート紙1のクレーコート層の上に、水性アンカーコート剤1を介して、平滑化樹脂層として、ブレンド樹脂1を310℃で共押出機の第1押出機から押出して積層し、またその上に賦型層としてポリプロピレン樹脂1を共押出機の第2押出機から305℃で、ラインスピード80m/分で押出して積層した。
次いで、賦型層が超鏡面のチルロールに接するように、超鏡面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型層の表面を平滑化して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反1(ミラー仕様表面)を得た。基材層表面(平滑化樹脂層表面)のSは0.4μm、賦型層表面のSは0.08μmだった。
[賦型シート原反2の作製]
チルロールの表面仕様を超微細マットに変えた以外は、賦型シート原反1の場合と同様に操作して、賦型シート原反2(マット質感仕様表面)を作成した。基材層表面(平滑化樹脂層表面)のSは0.4μm、賦型層表面のSは0.6μmだった。
[賦型シート原反3の作製]
基材層としての紙基材1の上に、賦型層としてポリプロピレン樹脂1を押出機から305℃で、ラインスピード80m/分で押出して積層した。
次いで、賦型層が梨地面のチルロールに接するように、梨地面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型層表面を平滑化して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反3(マット質感仕様表面)を作成した。基材層表面のSは7μm、賦型層表面のSは0.8μmだった。
[賦型シート原反4の作製]
基材層としてのPETフィルムBの上に、賦型層として紫外線硬化性樹脂組成物1を塗布、乾燥して積層した。
次いで、賦型層が超鏡面のチルロールに接するように、超鏡面のチルロールと押圧ロールとの間に通して賦型層表面を平滑化して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反4(回折光沢仕様表面)を作成した。基材層表面のSは0μm、賦型層表面のSは0.08μmだった。
[賦型シート原反5の作製]
基材層を紙基材2に変えた以外は、賦型シート原反3の場合と同様に操作して、連続シートの帯状積層体(幅1500mm、長さ1500m)である、賦型シート原反5(マット質感仕様表面)を作成した。基材層表面のSは8.6μm、賦型層表面のSは8μmだった。
Figure 0007027980000001
<賦型シートへの柄凹凸模様転写の準備>
賦型シートの賦型層に、微細柄凹凸模様と大柄凹凸模様の各々を転写する為のドラム状賦型版を作製した。詳細は下記の通り。
[微細柄凹凸模様用のドラム状賦型板の作製]
賦型シートの賦型層に微細柄凹凸模様を転写する為のエンボスロール1用に、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型版1~4を、下記の通りに作製した。概略を表2に示した。
(微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板1の作製)
表面を銅めっきしたシリンダーを準備し、170mm幅内に、微細柄凹凸模様としては、図3と図6に示されたような回折光沢用に、断面形状が2等辺3角形の線条パターンで、ピッチPが1.4μm、深さDが0.08μmになるようにシリンダー表面に切削して、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板1を作製した。
(微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板2の作製)
断面形状が2等辺3角形の線条パターンで、ピッチPが9.0μm、深さDが5μmになるように、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板1と同様に操作して、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板2を作製した。
(微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板3の作製)
微細柄凹凸模様としては、図8aと図8bに示されたようなマット質感用に、菱形凸部の繰り返しパターンで、ピッチPが300μm、凸部幅Wが200μm、深さDが5μmになるように、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板1と同様に操作して、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板3を作製した。
(微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板4の作製)
微細柄凹凸模様としては、図8aと図8bに示されたようなマット質感用に、菱形凸部の繰り返しパターンで、ピッチPが500μm、凸部幅Wが350μm、深さDが10μmになるように、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板1と同様に操作して、微細柄凹凸模様用ドラム状賦型板4を作製した。
Figure 0007027980000002
[大柄凹凸模様用の大柄凹凸模様用ロールエンボス装置の作製]
賦型シートの賦型層に大柄凹凸模様を転写する為のエンボスロール2用に、大柄凹凸模様用シリンダー1、2を、下記の通りに作製した。概略を表3に示した。
(大柄凹凸模様用ロールエンボス装置1の作製)
表面を銅めっきしたシリンダー表面に、170mm幅内に、断面が台形のバイトで、下記仕様の大柄凹凸模様を切削して、ロールエンボス装置のエンボスロール側に取り付けて、バックアップロールと接触させて空運転し、バックアップロール表面にエンボス構造を転写して、大柄凹凸模様用ロールエンボス装置1を準備した。
タイプ:ランダム水滴模様1
深さD:10μm
(大柄凹凸模様用ロールエンボス装置2の作製)
深さDを50μmに変えた以外は大柄凹凸模様用ロールエンボス装置1と同様に操作して、大柄凹凸模様用ロールエンボス装置2を作製した。
タイプ:ランダム水滴模様2
深さD:50μm
Figure 0007027980000003
<ラミネートチューブ用積層体原反及び原反中間体の作製>
ラミネートチューブ用積層体原反及び原反中間体を下記の通り作製した。用いた原材料は下記の通り。
・PETフィルム1:片面コロナ処理、厚さ12μmのPETフィルム。
・PETフィルム2:片面アルミニウム蒸着膜付き。厚さ12μmのPETフィルム。
・PETフィルム3:片面酸化アルミニウム蒸着膜付き。厚さ12μmのPETフィルム。
・ドライラミネート接着剤1:ポリエステルポリオール/脂肪族系ポリイソシアネート/有機溶剤系の接着剤。
・アルミニウム箔1:IN30。厚さ20μm。
・LLDPEフィルム1:厚さ130μmのシーラント用無延伸LLDPEフィルム。
・アンカーコート剤1:2液混合イソシアネート硬化型ウレタン系アンカーコート剤。
・LDPE1:表面層用低密度ポリエチレン。
[ラミネートチューブ用積層体原反1の作製]
基材層としてのPETフィルム1の非コロナ処理面の上に、ポリウレタン系グラビアインキを用いた印刷による絵柄層を形成し、PETフィルム1のコロナ処理面の上に、接着剤層としてドライラミネート接着剤1を塗布、乾燥して、その上に内面樹脂層としてLLDPEフィルム1を積層した。
次いで、絵柄層表面に、ロールコート法にてアンカーコート剤1を塗布し、プライマー層を形成した後に、表面樹脂層としてLDPE1からなる溶融樹脂を押出しTダイスから供給して積層して、ラミネートチューブ容器用の積層体原反1を得た。
積層体中間体原反1の層構成は下記の通り。
表面樹脂層(110μm)/プライマー層(4g/m)/絵柄印刷層(5μm)/基材層(12μm)/接着剤層(4μm)/内面樹脂層(130μm)
[ラミネートチューブ用積層体原反2の作製]
基材層としてのPETフィルム1の非コロナ処理面の上に、ポリウレタン系グラビアインキを用いた印刷による絵柄層を形成し、PETフィルム1のコロナ処理面の上に、接着剤層としてドライラミネート接着剤1を塗布、乾燥して、その上にバリア層としてアルミニウム箔1を積層した。更にアルミニウム箔1の上に接着剤層としてドライラミネート接着剤1を塗布、乾燥して、その上に内面樹脂層としてLLDPEフィルム1を積層した。
次いで、絵柄層表面に、ロールコート法にてアンカーコート剤1を塗布し、プライマー層を形成した後に、表面樹脂層としてLDPE1からなる溶融樹脂を押出しTダイスから供給して積層して、ラミネートチューブ容器用の積層体原反2を得た。
積層体中間体原反1の層構成は下記の通り。
表面樹脂層(110μm)/プライマー層(4g/m)/絵柄印刷層(5μm)/基材層(12μm)/接着剤層(4μm)/バリア層(20μm)/接着剤層(4μm)/内面樹脂層(130μm)
[ラミネートチューブ用積層体原反3、4の作製]
基材層としてのPETフィルム2またはPETフィルム3を用いて、バリア層の無い側の面上に絵柄層を形成した以外は、ラミネートチューブ用積層体原反1の場合と同様に操作して、ラミネートチューブ容器用の積層体原反3、4を得た。
積層体中間体原反1の層構成は下記の通り。
表面樹脂層(110μm)/プライマー層(4g/m)/絵柄印刷層(5μm)/基材層(12μm)/バリア層(40nm)/接着剤層(4μm)/内面樹脂層(130μm)
[ラミネートチューブ用積層体原反中間体1の作製]
表面樹脂層を形成しなかったこと以外は、ラミネートチューブ用積層体原反1の場合と同様に操作して、ラミネートチューブ容器用の積層体原反中間体1を得た。
Figure 0007027980000004
<ラミネートチューブ積層体賦型層への賦型用の各種プレス装置の準備>
下記表5の各種プレス装置を準備した。
Figure 0007027980000005
[実施例1]
下記の手順で、先ず、賦型シート原反1に微細柄凹凸模様と大柄凹凸模様を転写して賦型シートを作製した。
次いで、得られた賦型シートからラミネートチューブ用積層体原反1へと柄凹凸模様を転写してラミネートチューブ用積層体を得た。
そして、得られたラミネートチューブ用積層体からラミネートチューブ容器を作製し、各種評価を行った。
(賦型シート原反1への微細柄凹凸模様の転写)
上記で作製したドラム状賦型版1と表面が硬い平滑ロールとを加圧部品として微細柄凹凸模様用ロールエンボス装置を準備した。平滑ロール(硬)は加熱し、ドラム状賦型版1は冷却して用いた。
上記で得た賦型シート原反1に熱風を当てて、微細柄凹凸模様用ロールエンボス装置に、賦型シート原反1の賦型層がドラム状賦型版1表面に当たるように、賦型シート原反1をドラム状賦型版1と平滑ロールとで挟んで、連続的に熱圧して転写し、次いで賦型シート原反1の基材層側から冷風を当てて冷却し、熱圧されて接着されている賦型シート原反1をドラム状賦型版1から剥離して、微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1を得た。
各工程条件は下記の通り
熱風の温度:110℃
ドラム状賦型版1表面温度:30℃
平滑ロール(硬)表面温度:120℃
ロール圧力:線圧270kgf/cm
シート送り速度:5m/分
冷風の温度:10℃
(微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1への大柄凹凸模様の転写)
上記で得た微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1を、大柄凹凸模様用ロールエンボス装置1に、上記で得た微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1の賦型層がエンボスロール表面に当たるように、微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1をエンボスロールとバクアップロールとで挟んで、連続的に熱圧して転写し、熱圧されて接着されている微細柄凹凸模様転写済み賦型シート1をエンボスロールから剥離して、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様が転写済みの、賦型シート1を得た。
各工程条件は下記の通り。
エンボスロール表面温度:120℃
ロール圧力:線圧270kgf/cm
シート送り速度:5m/分
(ラミネートチューブ容器用の積層体原反1への柄凹凸模様の転写)
上記で得た、賦型シート1と、ラミネートチューブ用積層体原反1とを用いて、図14のように、連続的に、ラミネートチューブ用積層体原反1に基材層側から熱風を当てて加熱して、賦型シート1の賦型層とラミネートチューブ積層体原反1の表面樹脂層とが対向するように重ねて、熱エンボス機2aの2つのロールで挟んで熱圧して、賦型シートの柄凹凸模様を、ラミネートチューブ用積層体原反1の賦型層に転写した。
この際、ラミネートチューブ積層体原反1が接する側のロールは加熱し、賦型シート1が接する側のロールは冷却した。
次いで、ラミネートチューブ積層体原反1の内面樹脂層側から冷風を当てて冷却し、熱圧されて接着されている賦型シート1とラミネートチューブ積層体原反1とを、一対の剥離ロールを通して、剥離して、ラミネートチューブ用積層体1を得た。
工程条件は、下記の通り。
熱風の温度:110℃
賦型シート1が接する側のロールの表面温度:30℃
ラミネートチューブ用積層体原反1が接する側のロールの表面温度:120℃
ロール圧力:線圧270kgf/cm
冷風の温度:10℃
シート送り速度:5m/分
(ラミネートチューブ容器の作製)
マンドレルを利用して、ラミネートチューブ用積層体1の一方の側辺部と他方の側辺部とを重ね合わせて筒状に成形し、重ね合わせ部におけるラミネートチューブ用積層体の内面樹脂層と表面樹脂層とを熱溶着法により溶着することによって筒状成形体を作製し、更に、該筒状成形体の胴部に肩部と首部とを成形して接合することにより、ラミネートチューブ容器1を得た。
得られたラミネートチューブ容器について、各種評価を実施した。結果を表6に示した。
[実施例2~7、9~11、13~18、比較例1]
賦型シート原反、大柄凹凸模様、微細柄凹凸模様、賦型シート原反への柄凹凸模様の転写順序、ラミネートチューブ用積層体原反、ラミネートチューブ用積層体作製用プレス装置(プレス装置3)の組み合わせを、表6の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に操作して、ラミネートチューブ用積層体を得て、更には、ラミネートチューブ容器を得て、同様に評価した。結果を表6に示した。
但し、実施例14と15においては、賦型シートとラミネートチューブ用積層体原反を裁断して、枚葉処理して用いた。
[実施例8]
(賦型シート8の作製)
熱エンボス機1を用いて、図18のように、一次賦型シート1と紙基材1とを、それぞれ一次賦型シート巻(使用前)、紙基材巻に取付け、それぞれを矢印で示す方向に送り、賦型シート原反賦型層用樹脂のポリプロピレン樹脂1の溶融物をTダイスから紙基材1表面へと供給し、同時に一次賦型シートの賦型層を該ポリプロピレン樹脂1溶融物へと当てて、2つのニップロールで挟んで熱圧し、一次賦型シート賦型層の凹凸柄模様を該ポリプロピレン樹脂1溶融物からなる賦型シート賦型層に転写しつつ積層して、次いで冷風機で冷却し、次いで、一次賦型シートを離型して、賦型シート8を作製した。
(ラミネートチューブ用積層体8の作製)
上記で作製した賦型シート8と、連続シート状のラミネートチューブ用積層体原反1とを用いて、実施例1と同様に操作して、ラミネートチューブ用積層体8を得て、更には、ラミネートチューブ容器8を得て、同様に評価した。結果を表5に示した。
[実施例12]
(賦型シート12の作製)
一次賦型シート1と賦型シート原反1とを用いて、実施例1と同様に操作して、賦型シート12を得た。
(ラミネートチューブ用積層体12の作製)
熱エンボス機2aを用いて、図10に示されたように、賦型シート1とラミネートチューブ用積層体中間体1とを、それぞれ賦型シート巻(使用前)とラミネートチューブ用積層体中間体巻に取付け、それぞれを矢印で示す方向に送り、ラミネートチューブ用積層体表面樹脂層用樹脂のLDPE1溶融物をTダイスからラミネートチューブ用積層体中間体1表面へと供給し、同時に賦型シート賦型層を該LDPE1溶融物へと当てて、2つのニップロールで挟んで熱圧し、賦型シート賦型層の凹凸柄模様を該LDPE1溶融物からなるラミネートチューブ用積層体表面樹脂層に転写しつつ積層して、次いで冷風機で冷却し、次いで、賦型シート1を離型して、ラミネートチューブ用積層体12を得た。
そして、実施例1と同様に操作して、ラミネートチューブ容器12を得て、同様に評価した。結果を表5に示した。
[結果まとめ]
本発明の実施例1~18のラミネートチューブ容器は、各評価で良好な結果を示したが、賦型シートの基材層と賦型層の表面粗さSが大きすぎた比較例1は、マット質感が不十分な結果を示した。
<評価方法>
[視認性]
(絵柄層)
ラミネートチューブ容器を机の上に置き、500mm上方位置から、照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、被験者10名(20代から60代まで)中の、6名以上が絵柄層を良好に視認できた場合を合格とした。
(回折光沢の虹強さ)
回折光沢の虹強さの評価は、変角分光測定により行った。変角分光測定器(S-OGM、デジタルファッション株式会社)を用い、ラミネートチューブ容器の表面樹脂層に対して、入射角度0度(回折光沢シートの法線方向)から白色(キセノン光源)を照射し、出射角度ごとのXYZ表色系を求めた。明度に対応するYの値を、白色(キセノン光源)のY値で規格化したゲインを求めた。正反射光を除いた規格化したゲインの最大値によって、虹の強さを決定した。
線状凸部が延びる方向を縦方向として、縦方向と横方向の両方について評価した。
ゲインが0.2以上の場合を合格とした。
(回折光沢の視野の広さ)
回折光沢の視野の広さについて、以下の手順で目視検査を行い、判定した。
ラミネートチューブ容器を机の上に置き、500mm上方位置から虹の視野の広さを判定した。照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、被験者10名(20代から60代まで)中の、視野が広いと感じる人数をカウントした。
線状凸部が延びる方向を縦方向として、縦方向と横方向の両方について評価した。
6名以上が視野が広いと感じた場合を合格とした。
(マット質感)
マット質感を呈する微細柄凹凸模様のマット質感について、以下の目視検査を行い、判定した。
照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、ラミネートチューブ容器を机の上に置き、被験者10名(20代から60代まで)が500mm上方位置から目視して、広くマット質感を感じる人数が6名以上の場合に合格とした。
[触感識別性]
ラミネートチューブ容器の表面を素手で触って、微細柄凹凸模様の存在が確認されれば合格とした。
[持ち易さ(滑り難さ)]
作製されたラミネートチューブ容器を素手で持ち上げて、滑らずに持ち上げられれば合格とした。
[ガスバリア性]
ラミネートチューブ用積層体を用いて、酸素透過度と水蒸気透過度を、各々下記の条件で測定した。
酸素透過度:ラミネートチューブ容器用積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製OXTRAN2/20を使用し、23℃、90%RHの条件下での酸素透過度(cc/m/day/atm)を測定した。1.0cc/m/day/atm以下の場合を合格とした。
水蒸気透過度:ラミネートチューブ容器用積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製PERMATRAN3/31を使用し、40℃、90%RHの条件下での水蒸気透過度(g/m/day/atm)を測定した。1.0g/m/day/atm以下の場合を合格とした。
Figure 0007027980000006
1 ラミネートチューブ容器用積層体
2 表面樹脂層
3 中間層
4 内面樹脂層
5 大柄凹凸模様の凸部
6 大柄凹凸模様の凹部
7 微細柄凹凸模様の凸部
8 微細柄凹凸模様の凹部
9 ラミネートチューブ用積層体基材層
10 絵柄層
11 バリア層(蒸着膜)
21 微細柄線状凹部
22 微細柄線状凸部
23 大柄凹凸模様凹部底面部
24 大柄凹凸模様凸部天面部
30 ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層積層及び賦型システム
31 ラミネートチューブ用積層体中間体巻
32 ラミネートチューブ用積層体中間体
33 Tダイス
34 表面樹脂層用樹脂溶融物
35 賦型シート巻
36 賦型シート(使用前)
37 ニップロール1
38 ニップロール2
39 冷風機
40 離型ロール
41 賦型シート(使用後)
42 賦型シート巻(使用後)
43 ラミネートチューブ用積層体
44 ラミネートチューブ用積層体巻
50 ラミネートチューブ用積層体原反への柄凹凸模様転写装置
51 賦型シート巻(使用前)
52 賦型シート(使用前)
53 ラミネートチューブ用積層体原反巻
54 ラミネートチューブ用積層体原反
55 熱風装置
56 エンボスロール(平滑表面)
57 バックアップロール
58 冷風装置
59 離型ロール
60 賦型シート(使用後)
61 賦型シート巻(使用後)
62 柄凹凸模様転写済みラミネートチューブ用積層体原反
63 柄凹凸模様転写済みラミネートチューブ用積層体原反巻
70 ラミネートチューブ容器
71 ラミネートチューブ容器用積層体
72 溶着部
73 筒状胴部
74 肩部
75 口部
76 頭部
77 キャップ
78 底溶着部
79 内容物
80 ラミネートチューブ包装体
90 賦型シート
91 意匠シート
100 賦型シート賦型システム1
101 被転写シート原反巻
102 被転写シート原反
103 送りロール
104 熱風装置
105 エンボスロール
106 バックアップロール
107 冷風装置
108 柄凹凸模様賦型済みシートまたは賦型シート
109 柄凹凸模様賦型済みシートまたは賦型シート巻
110 賦型シート微細柄模様部
111 賦型シート賦型部
112 賦型シート基材部
113 賦型シート賦型層賦型部
114 賦型シート賦型層基部
120 意匠シート微細柄模様部
121 意匠シート表面樹脂層
122 意匠シート基材層
130 賦型シート大柄模様部
141 意匠シート大柄模様部
151 賦型シート賦型層積層及び賦型システム2
152 紙基材巻
153 紙基材
154 Tダイス
155 賦型シート賦型層用樹脂溶融物
156 一次賦型シート巻(使用前)
157 一次賦型シート(使用前)
158 ニップロール1
159 ニップロール2
160 冷風機
161 離型ロール
162 一次賦型シート(使用後)
163 一次賦型シート巻(使用後)
164 賦型シート
165 賦型シート巻
171 賦型シート賦型層賦型システム
172 一次賦型シート巻(使用前)
173 一次賦型シート(使用前)
175 賦型シート原反巻

Claims (20)

  1. 絵柄による加飾と、容器表面に賦型された、深さ及び/または大きさの異なる、大柄凹凸模様および微細柄凹凸模様と、筒状胴部と、頭部とを有するラミネートチューブ容器であって、
    前記ラミネートチューブ容器は、ラミネートチューブ用積層体から作製され
    前記ラミネートチューブ用積層体は、少なくとも、片面の最表層である表面樹脂層と、絵柄層と、ラミネートチューブ用積層体基材層と、片面の最表層である内面樹脂層とを含み、
    前記筒状胴部は、枚葉型の前記ラミネートチューブ用積層体を、前記表面樹脂層が最外層になるように丸めて、前記ラミネートチューブ用積層体の片端辺の前記表面樹脂層と、もう一方の片端辺の前記内面樹脂層両端辺とを対向するように重ねて、ヒートシールすることによって形成されたものであり、
    前記頭部は、前記筒状胴部の一方の開口部に設けられたものであり、肩部と口部とを有するものであり、
    前記大柄凹凸模様と前記微細柄凹凸模様は、下記の工程3を含む製造方法によって、賦型シートから、同時に転写によって形成されたものであり、
    前記賦型シートは、
    賦型シート基材層と、片面の最表層に、前記大柄凹凸模様および前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様を有する賦型シート賦型層とを有する積層体であり、
    賦型シート原反から、下記の工程1と工程2とを含む製造方法によって作製されたものであり、
    前記賦型シート原反は、賦型シート原反基材層と、片面の最表層に、賦型シート原反賦型層とを有する積層体であり、
    前記賦型シート原反基材層は、前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さSaが、0.3μm以上、15μm未満であり、
    前記賦型シート原反賦型層は、表面粗さSaが0.03μm以上、5μm未満である、
    ラミネートチューブ容器
    工程1)前記賦型シート原反または大柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート1を、前記微細柄凹凸模様を賦型可能な表面態様1を表面に有するエンボスロール1と、バックアップロール1とで、前記エンボスロール1の表面に被転写シート1の賦型層が接するように挟んで、表面態様1を加圧により被転写シート1の賦型層に転写する工程、
    工程2)前記賦型シート原反または微細柄凹凸模様転写済み賦型シートからなる被転写シート2を、前記大柄凹凸模様を賦型可能な表面態様2を表面に有するエンボスロール2と、バックアップロール2とで、前記エンボスロール2の表面に被転写シート2の賦型層が接するように挟んで、表面態様2を加圧により被転写シート2の賦型層に転写する工程、
    工程3)加熱されたラミネートチューブ用積層体原反と、前記賦型シートとを、ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層と前記賦型シート賦型層とが対向するように重ねて、次いで、プレス装置3で挟んで熱圧することによって、前記賦型シート賦型層の表面態様を前記ラミネートチューブ用積層体原反表面樹脂層に転写して、前記ラミネートチューブ用積層体を作製する工程。
  2. 前記ラミネートチューブ用積層体が、更に、バリア層を含む、請求項1に記載の、ラミネートチューブ容器。
  3. 前記バリア層が、金属蒸着膜、金属酸化物蒸着膜、アルミニウム箔なる群から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項2に記載の、ラミネートチューブ容器。
  4. 前記ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層が、押し出しラミネト成形成膜、または、Tダイキャスト成形成膜からなる、請求項1~3の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  5. 前記ラミネートチューブ用積層体原反の表面樹脂層が、低密度ポリエチレンを含む、請求項1~4の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  6. 前記ラミネートチューブ用積層体原反の基材層が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  7. 前記ラミネートチューブ用積層体原反の内面樹脂層が、直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項1~6の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  8. 前記賦型シート原反基材層は、紙層を含み、
    前記賦型シート原反賦型層は、オレフィン系樹脂を含む、
    請求項1~7の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  9. 前記賦型シート原反基材層は、更に、クレー層を含む、請求項8に記載の、ラミネートチューブ容器。
  10. 前記オレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂またはポリメチルペンテン系樹脂を含み、
    エンボスロール1、バックアップロール1、エンボスロール2、バックアップロール2なる群から選ばれる1種または2種以上を加熱する、
    請求項8または9に記載の、ラミネートチューブ容器。
  11. 前記微細柄凹凸模様は、深さが0.08μm以上、10μm以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  12. 前記微細柄凹凸模様は、回折光沢を有し、深さが0.08μm以上、5μm以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  13. 前記微細柄凹凸模様が回折光沢を呈し、
    前記賦型シート原反基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さは、
    Saが0.3μm以上、5μm未満であり、
    前記賦型シート原反賦型層の表面の表面粗さは、
    Saが0.03μm以上、0.5μm未満であり、
    請求項1~12の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  14. 前記微細柄凹凸模様は、マット質感を有し、深さが0.2μm以上、10μm以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  15. 前記微細柄凹凸模様がマット状質感を呈し、
    前記賦型シート原反基材層の前記賦型シート原反賦型層側の面の表面粗さは、
    Saが1.5μm以上、15μm未満であり、
    前記賦型シート原反賦型層の表面の表面粗さは、
    Saが0.5μm以上、5μm未満であり、
    請求項1~11、14の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  16. 前記賦型シート原反、前記賦型シート、前記ラミネートチューブ用積層体原反なる群から選ばれる1つまたは2つ以上が、連続シートである、
    請求項1~15の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  17. 前記賦型シート原反、前記賦型シート、前記ラミネートチューブ用積層体原反なる群から選ばれる1つまたは2つ以上が、枚葉シートである、
    請求項1~16の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  18. 前記微細柄凹凸模様は、平滑な略平坦面位置する、
    請求項1~17の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  19. エンボスロール1が、ドラム状賦型版を有するものである、
    請求項1~18の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
  20. バックアップロール2が、表面態様2を圧着により転写され得る表面構成を備えたものである、
    請求項1~19の何れか1項に記載の、ラミネートチューブ容器。
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