JP6641758B2 - 回折光沢シート、賦型シート、及び回折光沢シートの製造方法 - Google Patents
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Description
0<(Wap/Wbp)<1
0<(Wbr/War)<1
さらに、線状凸部13の高さ(下底13aと上底13bとの距離)をH(線状凹部14の深さ(上底14aと下底14bとの距離)と同じ。)としたとき次の関係が成り立つものとする。
1μm≦P≦5μm
1μm≦H≦5μm、かつ、
(P/H)≦1
また、高さHが1μmより小さいと、指紋などの汚れによる回折光沢の低減までの期間が短くなる。一方高さHを5μmより大きくすると製造上の観点から形状を不具合なく精度よく作製することが困難になる虞がある。
基材層22は回折構造層10を支持するとともに、回折光沢シート21の用途に応じて適切な材料が用いられればよい。
基材層としては、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生または半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの合成繊維、ガラス纖維等の繊維からなる織布、不織布、網布等の布(基布とも言う)、紙、ポリエステルやポリオレフィンの樹脂からなる樹脂フィルム、金属板(、乃至金属箔)、ガラス板、ガラス織布等の、一般に、合成皮革や人工皮革の基材乃至基布に用いられるものから、樹脂皮革の種類や用途に応じて適宜選択することができる。
基材層の厚さとしては、基部11(樹脂表皮層)を支持可能な厚さであれば特に限定されないが、例えば25μm以上500μm以下の範囲とすることが出來る。
賦型シート基材層31の表面は算術平均粗さRa(JIS B0601 2001)が、0.1nm以上30nm以下であることが好ましい。Raが30nmより大きいと当該表面粗さの凹凸が賦型層32にまで影響を与え、回折光沢の発現を阻害する虞があるからである。Raは0.1nmより小さくてもよいが、これRaがこれより低い基材層を作製するには費用が高くなる一方で効果は限定的だからである。コストと性能の両立の観点からさらに好ましくは0.5nm以上20nm以下である。
賦型層基部33は、賦型層線状凹凸部34における複数の賦型層線状凸部35の支持部となる板状の部位である。
一方、賦型層線状凹部36はその延在方向(長手方向)と直交する面で切断した断面(以下、主切断面とも言う。)の形状が、上記した線状凹凸部12の線状凸部13の凸の断面形状に対応した凹(溝)形状を有している。
これら賦型層線状凸部35及び賦型層線状凹部36の具体的な断面形状の規定及び好ましい範囲は、これに対応する形状である線状凹部14及び線状凸部13で説明した内容に倣って考えればよい。
その後、加熱乾燥等の適切な硬化方法により回折構造層10の形状を確定させ、図10(b)に示したように、回折構造層10を賦型シート30から離型する。これにより回折構造層10のみからなる回折光沢シート1を得ることができる。
次に回折構造層10のうち賦型シート30に接した側とは反対側の面に図11(b)に示したように基材層22を接着剤により貼り合わせる。
その後、図11(c)に示したように、回折構造層10及び基材層22の積層体を賦型シート30から離型する。これにより回折構造層10及び基材層22からなる回折光沢シート21を得ることができる。
次に上記作製した電鋳板を巻き付けたシリンダーをロールエンボス装置に取り付けてこれを用いて、積層体の賦形層に対して熱エンボス転写した。これにより賦形層に電鋳板に形成されていたパターンが転写される。ここで熱エンボス転写の条件は、シリンダー温度120℃、圧力14.7(MPa)、回転周速度5m/分である。
上記作製した賦型シートを、合成皮革製造装置に取り付け、当該組成物を賦型シートのうちパターンが形成された側の面に塗布した。塗布はダイコート法により行った。
塗布後、100℃〜120℃の範囲で2分加熱乾燥し、その後に接着剤を用いて基材層(基布)を貼り合わせた。そして乾燥、熟成後に賦型シートから離型した。
以上により回折光沢シートを得た。
<形状の計測>
得られた回折光沢シートの断面を切断し、SEM(株式会社ヒタチハイテクノロジーズ製SU8000)にて形状観察した。形状観察した画像から、ピッチ・高さ(深さ)・Wap、War、Wbp、Wbrを計測した。結果を表1に示した。表1において、「パターン形状」は、賦形層線状凹凸部が延びる方向が、賦形シートの帯状の長手方向(幅方向に対して直交する方向)に対して平行であれば「縦」、直交であれば「横」、両方が組み合わされた格子状であれば「縦横」とした。また、「ピッチ」は賦型層線状凹凸部の賦型層線状凸部の配列ピッチ、「高さ」は賦形層線状凸部の高さ(賦型層線状凹部の溝の深さ)を表している。
虹感の評価は、変角分光測定により行った。変角分光測定器(S−OGM、デジタルファッション株式会社)を用い、回折光沢シートの回折構造層に対して、入射角度0度(回折光沢シートの法線方向)から白色(キセノン光源)を照射し、1次回折光の波長400nm及び700nmについて出射角度(θout)を計測して両者の角度差を得た。この角度差が3.0度以上では虹感が良好とし○、3.0度未満では不可で×とした。
20号のシリコンゴム栓により、一定量の疑似指紋液を作製した回折光沢シートに対してプレスした。ここでプレスの押圧する荷重は4.9(MPa)とした。また疑似指紋液としては、尿素1g、乳酸4.6g、ピロリン酸ナトリウム8g、食塩7g、エタノール20mlを蒸留水で1Lに希釈したもの(JIS K 2246)を準備した。
このように疑似指紋液を回折光沢シートに配置した後に、虹の強さを評価するために変角分光測定器(S−OGM、デジタルファッション株式会社)による光の強度を測定した。具体的には、疑似指紋液を配置しなかった場合における1次回折光(波長550nm)の光の強度を1とし、疑似指紋液を配置した場合の光の強度を測定して0.7以上を○、0.7未満を×とした。
作製した回折光沢シートから、幅1500mm、長さ1000mmのサンプルを切り出して目視検査を行った。0.2mm以上の欠落を欠陥とし、その数を数えた。欠陥数が4以上の場合を×、3以下の場合を○とした。
10 回折構造層
11 基部
12 線状凹凸部
13 線状凸部
14 線状凹部
21 回折光沢シート
22 基材層
30 賦型シート
31 賦型シート基材層
32 賦型層
33 賦型層基部
34 賦型層線状凹凸部
35 賦型層線状凸部
36 賦型層線状凹部
Claims (5)
- 表面に光沢を付与するシートであって、
基部と、前記基部の一方に設けられた線状凹凸部と、を有し、
前記線状凹凸部は、長い下底を前記基部側に、短い上底を前記基部とは反対側に有する台形断面を具備し、該台形断面を維持して一方向に延びる線状凸部を有し、複数の前記線状凸部が前記延びる方向とは異なる方向に間隔を有して配列されており、
複数の前記線条凸部はいずれも前記一方向に延び、
複数の前記線状凸部の間には、短い上底を前記基部側に、長い下底を前記基部とは反対側に有する台形断面の溝である線状凹部が形成され、
複数の前記線状凸部の配列ピッチPは1μm以上5μm以下、前記線状凸部の台形断面における高さHは1μm以上5μm以下とされるとともに、P/Hが1.0以下である、回折光沢シート。 - 前記基部のうち前記線状凹凸部が設けられた側とは反対側の面に基材層が設けられている、請求項1に記載の回折光沢シート。
- 表面に光沢を付与するシートのための賦型シートであって、
賦型層基部と、前記賦型層基部の一方に設けられた賦型層線状凹凸部と、を有し、
前記賦型層線状凹凸部は、長い下底を前記賦型層基部側に、短い上底を前記賦型層基部とは反対側に有する台形断面を具備し、該台形断面を維持して一方向に延びる賦型層線状凸部を有し、複数の前記賦型層線状凸部が前記延びる方向とは異なる方向に間隔を有して配列されており、
前記賦型層線状凸部はいずれも前記賦型層基部の帯状の長手方向に延び、
複数の前記賦型層線状凸部の間には、短い上底を前記賦型層基部側に、長い下底を前記賦型層基部とは反対側に有する台形断面の溝である賦型層線状凹部が形成され、
複数の前記賦型層線状凸部の配列ピッチPは1μm以上5μm以下、前記賦型層線状凸部の台形断面における高さHは1μm以上5μm以下とされるとともに、P/Hが1.0以下である、賦型シート。 - 前記賦型層基部のうち前記賦型層線状凹凸部が設けられた側とは反対側の面に賦型シート基材層が設けられている、請求項3に記載の賦型シート。
- 回折光沢シートを製造する方法であって、
請求項3又は4に記載の賦型シートの前記賦型層線状凹凸部に、硬化前の樹脂組成物を供給し、該組成物を硬化してから前記賦型シートから離型する、回折光沢シートの製造方法。
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