JP6079603B2 - 異方性光拡散シートおよび光拡散方法 - Google Patents

異方性光拡散シートおよび光拡散方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6079603B2
JP6079603B2 JP2013257963A JP2013257963A JP6079603B2 JP 6079603 B2 JP6079603 B2 JP 6079603B2 JP 2013257963 A JP2013257963 A JP 2013257963A JP 2013257963 A JP2013257963 A JP 2013257963A JP 6079603 B2 JP6079603 B2 JP 6079603B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concavo
sheet
resin
convex pattern
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013257963A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015114585A (ja
Inventor
俊樹 岡安
俊樹 岡安
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2013257963A priority Critical patent/JP6079603B2/ja
Publication of JP2015114585A publication Critical patent/JP2015114585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6079603B2 publication Critical patent/JP6079603B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B20/00Energy efficient lighting technologies, e.g. halogen lamps or gas discharge lamps
    • Y02B20/72Energy efficient lighting technologies, e.g. halogen lamps or gas discharge lamps in street lighting

Description

本発明は、異方性光拡散性を有するシートおよび異方性光拡散シートを用いた光拡散方法に関する。
光を全方向に拡散照射するのではなく、ライン状に拡散照射する照明用装置として、特許文献1〜2に記載の照明装置が提案されている。
特許文献1の照明装置は、直線状に配列された複数の点光源の光を集光レンズにより点光源の配列方向と直交する方向に集光させ、更に集光させた光を光拡散部によりランダムに拡散する照明装置である。
特許文献2の照明装置は、直線状に配列された複数の点光源の光を集光レンズにより点光源の配列方向と直交する方向に集光させ、更に集光させた光のうち所望の照射範囲外へ照射される光を遮蔽手段によって遮る照明装置である。
特開2005−156600 特開2011−133347
特許文献1の照明装置はレンズで配列方向と直交する方向に集光させることによって照射範囲の制御を行っている。このような制御方法は、スキャナー光源のように細い線状に照射する場合は問題ない。しかし、長方形状や楕円状の範囲を照射する照明装置や表示装置に適用した場合、長手方向の中心部に光が集中してしまい、中心部と端部で明るさに差が生じてしまう。
また、特許文献2の照明装置のように遮蔽手段を用いた場合でも長手方向の中心部に光が集中する問題は解決されない。
更に、遮光手段を光吸収材料で構成した場合は、光の利用効率が低下する問題があり、遮光手段を光反射材料で構成した場合でも、明るさに斑が生じてしまう問題がある。
本発明は、長方形状や楕円状の範囲を斑なく照射する照明装置や表示装置に適した光拡散手段を得ることを目的としている。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] シートの片面に、一方向Yに沿って波状の凹凸が繰り返されることによって形成された第1凹凸パターンを有すると共に、第1凹凸パターンの表面に、前記方向Yに沿って波状の凹凸が繰り返されることによって形成された第2凹凸パターンを有し、前記第1および第2凹凸パターンが表面から見た場合に蛇行していることを特徴とする異方性拡散シートであって、前記異方性拡散シートの第1および第2凹凸パターンを有する面から光を入射し、前記第1凹凸パターンおよび第2凹凸パターンを有する面と反対の面から出射する時の1/10値角度が前記方向Yにおいて80°を超え、前記方向Yと直交するX方向において5〜15°であることを特徴とする異方性光拡散シート。
[2] 前記第1凹凸パターンの配向度が0.2〜0.5、且つ、前記第2凹凸パターンの配向度が0.2〜0.5である[1]に記載の異方性光拡散シート。
[3] 前記第1凹凸パターンの配向方向と前記第2凹凸パターンの配向方向との差が5°以内である[1]または[2]のいずれかに記載の異方性光拡散シート。
[4] 前記第1凹凸パターンの最頻ピッチが3〜20μm、前記第2凹凸パターンの最頻ピッチが0.3〜2.0μmである[1]〜[3]のいずれかに記載の異方性光拡散シート。
[5] 略平行光を[1]〜[4]のいずれかに記載の異方性光拡散シートの前記第1凹凸パターンが形成された面に入射し、前記第1凹凸パターンが形成されていない面から出射する光拡散方法。
[6] 前記異方性光拡散シートの面と前記略平行光の光軸の成す角度が、60〜90度の範囲となるように配置されている[5]に記載の光拡散方法。
本発明の異方性拡散シートにより、光エネルギーの利用効率が高く、長方形状または楕円状に均一に光を照射することができる照明装置を得ることができる。
本発明の異方性光拡散シートの一実施形態を示す拡大斜視図である。 図1の異方性光拡散シートを、第1凹凸パターンの凹凸が繰り返す方向(Y方向)に沿って切断した際の断面図である。 本発明の異方性光拡散シートの第1の凹凸パターンと、第2の凹凸パターンを、法線方向から撮影した電子顕微鏡写真の一例である。 本発明の異方性光拡散シートの第1の凹凸パターンを、法線方向から撮影した電子顕微鏡写真の一例である。 図4の電子顕微鏡写真のグレースケール画像をフーリエ変換した後の画像である。 図3の電子顕微鏡写真のグレースケール画像をフーリエ変換した後の画像である。 図5のフーリエ変換画像から得られた突条部11a間の距離(ピッチ)の頻度を縦軸に、中心からの距離を横軸にとって作成したグラフである。 図5のフーリエ変換像において、突条部11aのピッチの最大頻度DがX軸上を通るように、フーリエ変換像の中心部を軸として回転させたフーリエ変換画像である。 図8のフーリエ変画像から得られた補助線M上の周期の頻度を縦軸に、最大頻度Dからの距離を横軸にとって作成したグラフである。 図5のフーリエ変換像において、フーリエ変換像の中心部以外で突条部11aのピッチの最大頻度を示す位置Dと、フーリエ変換像の中心部に引いた線Lとの成す角θを記した図面である。 光拡散性を評価するための照度曲線の説明に用いる図である。 本発明の異方性光拡散シートに略平行光を照射した場合の出射光の広がりを示す図である。 本発明の異方性光拡散シートの実施例および比較例の評価方法を示す図である。
以下の説明において、図1などに示すXYZ直交座標系を適宜参照して、本発明の異方性光拡散シートの形状や配置などを説明する。本明細書では、このXYZ直交座標系において、Y方向および、X方向はXY平面に平行に存在するものとし、異方性光拡散シートの法線をZ軸方向として定義する。
(異方性光拡散シート)
本発明の異方性光拡散シートの一実施形態について説明する。
図1および図2に、本実施形態の異方性光拡散シートを示す。本実施形態の異方性光拡散シート1は、その少なくとも片面に凹凸パターン10を有する。ここで、凹凸パターン10は、第1の凹凸パターン11と、第1の凹凸パターン11の表面に形成された第2の凹凸パターン12とを有する。
第1の凹凸パターン11は、異方性光拡散シート1の表面に、Y方向に沿って複数の突条が配列することによって形成される。以下、第1の凹凸パターン11の突条部の1つを「突条部11a」として、任意の隣り合う突条部11a間の凹部の谷底部分を「凹部11b」として説明する。
ここで、「突条」とは、シート面上を延伸する細長い突出部のことを意味する。
また、「隣り合う突条部」とは、Y方向において、任意の突条部11aと、そのすぐ横に配置されている突条部11aのことを指す。
また、第2の凹凸パターン12は、第1の凹凸パターン11の表面に複数の突条が、Y方向に対して配列することによって形成されている。以下、第2の凹凸パターン12の突条部の1つを「突条部12a」として、任意の隣り合う突条部12a間の凹部の谷底部分を「凹部12b」として説明する。
本実施形態において、異方性光拡散シート1の凹凸パターン10を有する面を、法線方向から観察した際、突条部11aの稜線は、蛇行していることが好ましい。すなわち、突条部11aの各々の稜線は、X方向に対して延伸する進行軸を有しているが、この進行軸を中心に左右に蛇行していることが好ましい。同様に、異方性光拡散シート1の凹凸パターン10を有する面を、法線方向から観察した際、突条部12aの稜線は、蛇行していることが好ましい。
ここで、「突条部11aの稜線」とは、突条部11aの頂部をつないで続く線のことを意味する。また、「突条部12aの稜線」とは、突条部12aの頂部をつないで続く線のことを意味する。
また、突条部11aの稜線は、図4の電子顕微鏡写真において、白く見えるラインのことを指す。また、突条部12aの稜線は、図3の電子顕微鏡写真において、第1の凹凸パターン11の突条部11aの表面に、白く見えるラインのことを指す。
本発明の1つの態様において、第1の凹凸パターン11を形成しているそれぞれの突条は、X方向において高低差を有していてもよい。また、第2の凹凸パターン12を形成しているそれぞれの突条は、X方向において高低差を有していてもよい。ここで、「X方向において高低差を有する」とは、異方性光拡散シート1を、Y方向に沿って切断した断面図(図2)において、突条部11aの高さ、及び突条部12aの高さが、X方向において変化していることを意味する。突条部11aの高さ、及び突条部12aの高さについては、後述する。
本発明の1つの態様において、異方性光拡散シート1をY方向に沿って切断した際、その断面図は、図2に示すような形状を有している。すなわち、突条部11aの断面形状は、Y方向において不規則に変化しており、突条部11aの断面形状の輪郭線に沿って、突条部12aの波状の断面が複数形成されていることが好ましい。
図2に示すように、第1の凹凸パターン11を形成する複数の突条部11aの断面形状はそれぞれ異なっており、同一ではない。同様に、第2の凹凸パターン12を形成する突条部12aの断面形状もまた、それぞれに異なっており、同一ではない。本発明の一つの態様において、異方性光拡散シート1をY方向に沿って切断した際の、第1の凹凸パターン11を形成する突条部11aの断面形状、及び第2の凹凸パターン12を形成する突条部12aの断面形状は、ひだ状、または紡錘形の一部を有する形状、または、一方向に引き伸ばしたドーム状であることが好ましい。
また、異方性光拡散シート1をY方向に沿って切断した際、突条部11aの断面の大きさ、及び形状の少なくとも1つが、X方向に沿って変化していることが好ましい。同様に、異方性光拡散シート1をY方向に沿って切断した際、突条部12aの断面の大きさ、及び形状の少なくとも1つが、X方向に沿って変化していることが好ましい。このような形状が、第1の凹凸パターン11、及び第2の凹凸パターン12を構成する突条の稜線の不規則性を生み出し、均一でフリンジパターンを発生しない異方性光拡散シートが得られる。
ここで、「フリンジパターン」とは、規則性のある凹凸パターンを有する光拡散シートを光が透過する際に発生する縞状のパターンを意味する。
複数の突条部11aの稜線の間隔は、Y方向において不規則に変化している。また、隣り合う2つの突条部11aの稜線の間隔は、X方向において不規則に、かつ連続的に変化していることが好ましい。ただし、Y方向、及びX方向において、突条部11aの稜線の間隔が変化しない部分を含んでいてもよい。また、突条部11aの稜線は、その途中で任意の他の突条部11aの稜線に枝分かれしていてもよく、複数の突条部11aの稜線が重なっていてもよい。このような突条部11aの稜線の枝分かれ、又は合一が、突条部11aの稜線の間隔の不規則性を生み出す要因となっている。
ここで、「隣り合う2つの突条部11aの稜線の間隔」とは、Y方向に沿って隣り合う2つの突条部11aの、頂部と頂部の間隔(距離)のことを意味する。
図3は、異方性光拡散シート1の、第1の凹凸パターン11と第2の凹凸パターン12を、法線方向から撮影した電子顕微鏡写真の一例である。
図3に示すように、第2の凹凸パターン12は、第1の凹凸パターン11の表面に、複数の突条部12aが配列することによって形成されている。
複数の突条部12aの稜線の間隔は、Y方向において不規則に変化している。また、隣り合う2つの突条部12aの稜線の間隔は、X方向において不規則に、かつ連続的に変化していることが好ましい。ただし、Y方向、及びX方向において、突条部12aの稜線の間隔が変化しない部分を含んでいてもよい。また、突条部12aの稜線は、その途中で任意の他の突条部12aの稜線に枝分かれしていてもよく、複数の突条部12aの稜線が重なっていてもよい。
上述した通り、第1の凹凸パターン11の突条部11aの稜線の間隔、及び第2の凹凸パターン12の突条部12aの稜線の間隔は一定ではない。本発明の異方性光拡散シートの1つの態様において、隣り合う2つの突条部11aの稜線の間隔を表す「ピッチ」は、最頻ピッチPとして表すことができる。ここで、「最頻ピッチP」とは、隣り合う2つの突条部11aの稜線の間隔(稜線間距離)のうち、最も出現頻度が高い稜線間距離のことを意味する。
本発明の1つの態様において、第1の凹凸パターン11の最頻ピッチPは、3〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましく、8〜13μmであることがさらに好ましい。最頻ピッチPが前記下限値未満、すなわち、3μm未満であっても、前記上限値を超えても、すなわち、20μmを超えても、光拡散性が損なわれる。
前記最頻ピッチPは、以下の式(1)から求められた値である。
最頻ピッチP=1/E ・・・(1)
具体的に、最頻ピッチPは異方性光拡散シートの電子顕微鏡画像より求めることができる。以下に、電子顕微鏡を用いた最頻ピッチの算出方法について説明する。
まず、異方性光拡散シート1の凹凸パターン10が形成されている面を、法線方向から電子顕微鏡で観察する。観察条件は、加速電圧15〜20kV、ワーキングディスタンス5〜15mm程度で行うことが好ましい。電子顕微鏡観察における観察倍率は、第1の凹凸パターン11の突条部11aの配列数が、20〜50列となるように適宜調整することが好ましい。
次に、得られた電子顕微鏡写真(図4)を、2次元フーリエ変換してフーリエ変換画像(図5)を得る。ここで、得られた電子顕微鏡写真がJPEG等の圧縮画像である場合は、TIFF画像等のグレースケール画像に変換してから、2次元フーリエ変換を行うことが好ましい。なお、図5のフーリエ変換画像において、中心からの方位は、図4に存在する周期構造、すなわち、第1の凹凸パターン11を形成する突条部11aが配列する方向を意味し、中心からの距離は、図4に存在する周期構造の周期の逆数を意味する。
また、図5の画像の濃淡は周期構造の頻度を表し、淡いほど、図4に含まれる周期構造の中で、対象となる周期構造の頻度が高いことを意味する。
続いて、観察条件はそのままで、第2の凹凸パターン12の電子顕微鏡観察を行う。観察倍率は、Y方向における突条部12aの配列数が、20〜50列になるように適宜変更する。得られた電子顕微鏡写真(図3参照)を、2次元フーリエ変換してフーリエ変換画像(図6)を得る。ここで、得られた電子顕微鏡写真がJPEG等の圧縮画像である場合は、TIFF画像等のグレースケール画像に変換してから、2次元フーリエ変換を行うことが好ましい。
次に、図5のフーリエ変換画像の中心部以外で、突条部11aのピッチの最大頻度を示す位置Dを通るように直線Lを引き、直線L上の突条部11aのピッチの頻度を縦軸に、中心からの距離(周期の逆数)を横軸にグラフを作成する(図7)。図7のグラフにおいて頻度が最大となる距離Eの逆数から最頻ピッチPを求めることができる。
また、第1の凹凸パターン11は、突条部11aのアスペクト比Aが0.1〜1.0であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.3〜0.6であることが更に好ましい。アスペクト比Aが前記下限値未満であると光拡散性が十分ではなく、Aが前記上限値を超えると凹凸が擦過等により破壊されるおそれがある。
ここで、突条部11aのアスペクト比Aは、突条部11aの平均高さB/最頻ピッチPで求められる値である。
突条部11aの平均高さBは次のようにして求める。すなわち、異方性光拡散シート1の凹凸パターン10が形成された面を、法線方向から電子顕微鏡により観察し、その観察像からY方向に沿って切断した断面図(図2参照)を得る。ここで、電子顕微鏡の観察条件は、前述の最頻ピッチPを求める際に用いた条件と同じであってもよい。
図2に示すように、第1凹凸パターン11を形成する突条部11aの高さは、両隣の2つの凹部11bから、突条部11aの頂部までの第3の方向の距離の和の1/2である。すなわち、第1の凹凸パターン11を形成する突条部11aの高さbは、突条部11aに対して一方側の凹部11bから計測した突条部11aの高さをL、他方側の凹部11bの底から計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各突条部11aの高さbを求める。そして、50個の突条部11aの高さRとLを測定して高さbを算出し、それらの高さを平均して平均高さBを求める。
本実施形態における第1凹凸パターン11は、異方性光拡散シート1を法線方向から観察して、突条部11aの稜線が蛇行している。本明細書では、第1凹凸パターン11の突条部11aの稜線の蛇行の程度を配向度Cという。この配向度Cの値が大きいほど、突条部11aの稜線が蛇行していることを意味する。ここで、「配向度C」は、突条部11aの稜線のX方向に対する蛇行の程度である。すなわち、「配向度Cの値が大きい」とは、突条部11aの稜線が、前述の進行軸を中心に左右に大きな振り幅で蛇行した状態にあることを意味する。
第1の凹凸パターン11の配向度Cは0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましい。配向度Cが前記下限値未満、すなわち、0.2未満であると、光拡散性が損なわれることがある。
一方、第1の凹凸パターン11の配向度Cは0.50以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。配向度Cが前記上限値以下、すなわち、0.50以下であれば、光がX方向に比べてY方向に強く拡散する異方性光拡散特性が得られる。すなわち、第1の凹凸パターン11の配向度Cは、0.20〜0.50であることが好ましく、0.30〜0.40であることがより好ましい。
配向度Cは、以下の方法により求められる。
まず、最頻ピッチPを求める際に得た図5のフーリエ変換像を利用し、突条部11aのピッチの最大頻度Dが、X軸上を通るように、フーリエ変換像の中心部を軸として回転させたフーリエ変換像を作成する(図8)。ここで、「X軸」とは、フーリエ変換像の中心部を通り、画像に対して水平な線のことを指す。次いで、最大頻度Dを通り、Y方向に平行な補助線Mを引き、補助線M上の周期の頻度を縦軸に、最大頻度Dからの距離を横軸にとってグラフを作成する(図9)。図9のグラフから、得られたピークの半減値V(補助線M上の周期の頻度の値が、最大頻度Dの半分になる位置でのピークの幅)を求める。得られた値を以下の式(2)に当てはめて、配向度Cを求める。
配向度C=V/E ・・・(2)
本実施形態における第1の凹凸パターン11は、突条部11aの頂部および凹部11bが丸みを帯びており、突条部11aと凹部11bを含む波状の凹凸は、正弦波状になっている。ここで、「正弦波状」とは、第1の凹凸パターン11をY方向に沿って切断した断面図において、第1の凹凸パターン11の突条部11aの断面形状の接線の傾きと、凹部11bの断面形状の接線の傾きが、連続的に変化することを意味する。
第1の凹凸パターン11の突条部11aと凹部11bを含む波状の凹凸が正弦波状であると、光拡散性に優れたシートが得られるため好ましい。
また、本実施形態において、第2の凹凸パターン12の最頻ピッチPは、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.4〜1.0μmであることがより好ましく、0.5〜0.8μmであることがさらに好ましい。最頻ピッチPが前記下限値未満であっても前記上限値を超えても、光拡散性が損なわれる。
最頻ピッチPは、以下の式(3)から求められた値である。
最頻ピッチP=1/E ・・・(3)
具体的に、最頻ピッチPは異方性光拡散シートの電子顕微鏡画像より求めることができる。最頻ピッチPは、図6のフーリエ変換画像を用いて、第1の凹凸パターン11の最頻ピッチPの算出方法と同様の方法にて、求めることができる。
すなわち、図6のフーリエ変換画像の中心部以外で、突条部12aのピッチの最大頻度を示す位置を通るように直線を引き、前記直線状の突条部12aのピッチの頻度を縦軸に、中心からの距離(周期の逆数)を横軸にグラフを作成する。このグラフにおいて頻度が最大となる距離Eの逆数から最頻ピッチPを求めることができる。
また、第2の凹凸パターン12は、突条部12aのアスペクト比A2が0.10〜0.50であることが好ましく、0.20〜0.40であることがより好ましく、0.25〜0.35であることがさらに好ましい。アスペクト比Aを前記範囲とすることにより、良好な光拡散性が得られる。
ここで、突条部12aのアスペクト比Aは、突条部12aの平均高さB/最頻ピッチPで求められる値である。
突条部12aの平均高さBは次のようにして求める。すなわち、異方性光拡散シート1の凹凸パターン10が形成された面を、法線方向から電子顕微鏡により観察し、その観察像からY方向に沿って切断した断面図(図2参照)を得る。ここで、電子顕微鏡の観察条件は、前述の最頻ピッチPを求める際に用いた条件と同じであってもよい。
図2に示すように、第2の凹凸パターン12を形成する突条部12aの高さは、両隣の2つの凹部12bから、突条部12aの頂部までの距離の和の1/2である。ここで、凹部12bから突条部12aの頂部までの距離は、突条部11aの頂部と、凹部11bを結ぶ線に平行であり、かつ突条部12aの頂部を通過する仮想線に対して垂直方向の距離である。すなわち、第2の凹凸パターン12を形成する突条部12aの高さは、突条部12aに対して一方側の凹部12bから計測した突条部12aの高さをL、他方側の凹部12bから計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各突条部12aの高さbを求める。そして、50個の突条部12aの高さRを測定し、それらの高さを平均して平均高さBを求める。
本実施形態における第2の凹凸パターン12も、異方性光拡散シート1を法線方向から観察して、突条部12aの稜線が蛇行している。本明細書では、突条部12aの稜線の、X方向に対する蛇行の程度を「配向度C」という。この配向度Cの値が大きいほど、突条部12aの稜線が蛇行していることを意味する。
本発明の1つの態様において、配向度Cは、0.2以上であることが好ましく、0.25以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましい。配向度Cが前記下限値未満、すなわち、0.2未満であると、光拡散性が損なわれることがある。
また、第2の凹凸パターン12の配向度Cは0.50以下であることが好ましく、0.45以下であることがより好ましく、0.40以下であることがさらに好ましい。配向度Cが前記上限値以下、すなわち、0.50以下であれば、光がX方向に比べてY方向に強く拡散する異方性光拡散特性が得られる。すなわち、第2の凹凸パターン12の配向度Cは、0.20〜0.50であることが好ましく、0.30〜0.40であることがより好ましい。
第2の凹凸パターン12の配向度Cは、最頻ピッチPを求める際に得たフーリエ変換像(図6)を用いて、第1の凹凸パターン11の配向度Cと同じ方法にて求めることができる。
第1の凹凸パターン11の配向方向と第2の凹凸パターン12の配向方向との差(以下、単に「配向方向の差」と言うこともある)は、光拡散の異方性が高くなることから、できるだけ小さいことが好ましい。すなわち、配向方向の差が小さいと、光拡散の異方性が高くなり、第1の凹凸パターン11と第2の凹凸パターン12の異方性拡散の相乗効果が得られるため好ましい。本発明においては、配向方向の差が5°以内であることが好ましく、2°以内であることがより好ましい。また、配向方向の差は、1〜5°であることが好ましく、1〜2°であることがより好ましい。
ここで、第1の凹凸パターン11の配向方向とは、第1の凹凸パターン11の蛇行した稜線の各箇所での方向を平均した方向を意味する。また、第2の凹凸パターン12の配向方向とは、第2の凹凸パターン12の蛇行した稜線の各箇所での方向を平均した方向を意味する。
第1の凹凸パターン11の配向方向と、第2の凹凸パターン12の配向方向は、電子顕微鏡画像を元に算出することができる。
まず、上述の最頻ピッチPを求める際に得られた電子顕微鏡画像図3、及び図4において、これら画像に共通する突条の稜線方向を一致させる。
図4のフーリエ変換像である図5において、フーリエ変換像の中心部以外で、突条部11aのピッチの最大頻度を示す位置Dから、フーリエ変換像の中心部に引いた線Lと、X軸から構成される角度θを、第1の凹凸パターン11の配向方向とする(図10参照)。
次に、図3のフーリエ変換像である図6において、フーリエ変換像の中心部以外で、突条部12aのピッチの最大頻度を示す位置Dから、フーリエ変換像の中心部に引いた線Lと、X軸から構成される角度θを、第2の凹凸パターン12の配向方向とする。
得られたθとθとの差、すなわち、θ−θで表される角度から配向方向の差を求めることができる。
また、本発明の異方性光拡散シート1の第1の凹凸パターン11と、第2の凹凸パターン12を有する面から光を入射した際の光の1/10値角度は、Y方向(主拡散方向)で80°を超え、X方向(副拡散方向)で5°〜15°であることが好ましい。また、1/10値角度が、Y方向で81〜100°、X方向で6°〜12°であることがより好ましく、Y方向で82〜95°、X方向で6.5°〜10°であることが更に好ましい。光の1/10値角度が前記の範囲であれば異方性光拡散性が優れるため好ましい。
ここで、「光の1/10値角度」は、以下の方法により求めることができる。
まず、ゴニオメーター(型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)を用いて透過散乱光を測定することにより、照度曲線を得る。具体的には、異方性光拡散シートから垂直に出射する光(この光の出光角度を0°とする。)の照度を1とした際の相対照度を、X方向またはY方向に沿って出光角度−90°から90°までの相対照度を1°間隔で測定して、照度曲線を得る。ここで、照度曲線とは、図11に示すような、横軸を出光角度とし、縦軸を相対照度として、プロットとした曲線である。
そして、得られた照度曲線から光の1/10値角度(図11中のW)を求める。
なお、異方性光拡散シート1は、後述する異方性光拡散シートの製造方法により得られたシートそのものであってもよいし、異方性光拡散シートの製造方法により得られたシートを原版として複製した複製シートであってもよい。
異方性光拡散シート1が、後述する異方性光拡散シートの製造方法により得られたシートそのものである場合には、通常、断面から見た場合に蛇行変形した硬質層と表面が硬質層の変形に追従して変形した基材層の2層で構成される。また、複製シートである場合には、通常、表面に凹凸が転写された樹脂からなる1層または、表面に凹凸が一方の面に転写された凹凸形成層と前記凹凸形成層の凹凸が転写されていない面に積層された平坦な基材層の2層で構成される。
本発明の異方性光拡散シートは、第1の凹凸パターンと、第1の凹凸パターンの表面に形成された第2の凹凸パターンを有し、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンの形状および大きさを上記説明したように調整することにより、第1の凹凸パターンおよび第2の凹凸パターンを有する側から光源の光を入射したときの光の利用効率が高く、且つ所望する照射範囲に均一に光を拡散することができる。
また、本発明の異方性光拡散シートは、その表面形状を転写して異方性光拡散シートを製造するための原版シートとして使用することもできる。
(異方性光拡散シートの製造方法)
次に、異方性光拡散シート1の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の異方性光拡散シート1の製造方法は、積層フィルム形成工程と加熱収縮工程とを有する。
[積層フィルム形成工程]
本実施形態における積層フィルム形成工程は、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑で2種の樹脂からなる硬質層(以下、「表面平滑硬質層」という。)を少なくとも1層積層させて積層フィルムを得る工程である。ここで、表面平滑硬質層とは、JIS B0601に記載の方法により測定される中心線平均粗さが0.1μm以下の層であって、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる温度条件下で軟化しない層である。また、軟化しないとは、表面平滑層のヤング率が100MPa以上であることを意味する。
加熱収縮性樹脂フィルムとは、80〜180℃の温度で加熱した際、特定の方向に収縮(シュリンク)するフィルムのことを意味する。このようなフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。このうち、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、又はポリスチレン系シュリンクフィルムを用いることが好ましい。
本実施形態では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルムを用いることが好ましい。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムは、1.1〜15倍の延伸倍率で延伸されていることが好ましく、1.3〜10倍で延伸されていることがより好ましい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が好ましくは20〜90%、より好ましくは35〜75%のフィルムであることが好ましい。本明細書において、収縮率とは、(収縮率[%])={(収縮前のフィルムの長さ)−(収縮後のフィルムの長さ)}/(収縮前のフィルムの長さ)×100である(ただし、「フィルムの長さ」は加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さのことを意味する)。収縮率が前記下限値以上、すなわち20%以上であれば、異方性光拡散シート1をより容易に製造できる。一方、収縮率が前記上限値を超える、すなわち、90%を超える加熱収縮性樹脂フィルムの製造は困難である。
加熱収縮性樹脂フィルムの表面は、平坦であることが好ましい。加熱収縮性樹脂フィルムの表面が平坦であれば、その表面に、表面平滑硬質層を容易に形成できるため好ましい。ここで、「平坦」とは、JIS B0601に記載の方法により測定される中心線平均粗さが0.1μm以下であることを意味する。
加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂(以下、「樹脂L」と記載する)のガラス転移温度Tgは40〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。ガラス転移温度は示差熱分析等により測定できる。ガラス転移温度Tgが40〜200℃であれば、より容易に凹凸パターン10を形成できる。すなわち、樹脂Lのガラス転移温度Tgが、40〜200℃であれば、樹脂Lから構成される加熱収縮性樹脂フィルムを、80〜180℃の温度で加熱収縮させることができるため、より容易に凹凸パターン10を形成することができるため好ましい。
樹脂Lのヤング率は、加熱収縮工程の温度、すなわち、80〜180℃の温度範囲において0.01〜100MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましい。樹脂Lのヤング率が前記下限値以上であれば、基材として使用可能な硬さであり、前記上限値以下であれば、表面平滑硬質層が変形する際に同時に追従して変形可能な軟らかさである。
上述のようなガラス転移温度Tg、及びヤング率を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、及びポリ塩化ビニル系樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
表面平滑硬質層を構成する2種の樹脂(以下、一方を「樹脂M」、他方を「樹脂N」として記載する)としては、各々、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
また、樹脂Mおよび樹脂Nは、第2の凹凸パターン12を容易に形成できることから、ガラス転移温度が互いに異なることが好ましく、具体的には、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mが樹脂Nのガラス転移温度Tg2Nよりも高いことが好ましい。さらには、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M)−(樹脂Nのガラス転移温度Tg2N)が10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましい。
一方、Tg2MとTg2Nとが離れすぎても、第2凹凸パターン12を形成しにくくなるため、Tg2M−Tg2N が19℃以下であることが好ましい。すなわち、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと、樹脂Nのガラス転移温度Tg2Nの差は、10〜19℃であることが好ましく、11〜15℃であることがより好ましい。
第1の凹凸パターン11および第2の凹凸パターン12からなる凹凸パターン10を容易に形成できる点では、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと樹脂Lのガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)、樹脂Nのガラス転移温度Tg2Nと樹脂Lのガラス転移温度Tgとの差(Tg2N−Tg)が共に10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂Mおよび樹脂Nのガラス転移温度Tg2M,Tg2Nは共に40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2M,Tg2Nが前記下限値以上且つ前記上限値以下、すなわち、40〜400℃の範囲であれば、より容易に凹凸パターン10を形成できる。
樹脂Mおよび樹脂Nのヤング率は、加熱収縮工程の温度、すなわち、80〜180℃の温度範囲において0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂Mおよび樹脂Nのヤング率が0.01GPa以上であれば、凹凸パターン10の形状を維持するのに充分な硬さであり、ヤング率が前記上限値未満であれば、より容易に凹凸パターン10を形成できる。
本発明の1つの態様において、樹脂Mとしては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、又はスチレン−アクリル共重合体であることが好ましい。また、樹脂Nとしては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、又はスチレン−アクリル共重合体であることが好ましい。これら樹脂Mと樹脂Nの組み合わせとしては、アクリル樹脂とアクリル樹脂、アクリル樹脂とスチレン−アクリル共重合体、又はアクリル樹脂とスチレン−アクリロニトリル共重合体の組み合わせが好ましく、アクリル樹脂とアクリル樹脂との組み合わせであることがより好ましい。
表面平滑硬質層の厚さは、0.05μmを超え5.0μm以下とすることが好ましく、0.5〜3.0μmとすることがより好ましい。表面平滑硬質層の厚さを前記範囲にすることにより、最頻ピッチPが適切な範囲となり、光拡散性をより高くすることができる。
表面平滑硬質層の厚さは連続的に変化していても構わない。表面平滑硬質層の厚さが連続的に変化している場合には、圧縮後、すなわち、加熱収縮工程後に形成される第1の凹凸パターン11の突条部11aのピッチおよび高さが連続的に変化するようになる。
上述の樹脂M、及び樹脂Nで構成された表面平滑硬質層を、加熱収縮性樹脂フィルムの表面に積層させる方法としては、樹脂Mおよび樹脂Nを含む硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに連続的に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
前記硬質層形成用塗料の調製方法としては、トルエン溶媒により希釈する方法等が挙げられる。また、前記硬質層形成用塗料の固形分濃度(樹脂Mと樹脂Nの濃度)は、塗料の総質量に対して、1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
塗料の塗工方法としては、例えば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風、赤外線等を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜10g/mにすることが好ましい。樹脂溶液の乾燥塗工量が1〜10g/mであれば、表面平滑硬質層の厚みを上述の好ましい範囲とすることができ、前記表面平滑硬質層に凹凸パターン10が形成されやすいため好ましい。
[加熱収縮工程]
加熱収縮工程は、上記積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、前記表面平滑硬質層を折り畳むように変形させて、加熱収縮性樹脂フィルムの表面に凹凸パターン10を形成する工程である。
加熱収縮工程では、40%以上の収縮率で積層フィルムを収縮させることが好ましい。収縮率が40%以上であれば、収縮不足の部分、すなわち、凹凸パターン10が形成されない、または形成されたとしても突条のアスペクト比が十分に大きくない部分を小さくすることができる。一方、収縮率を大きくしすぎると、得られる異方性光拡散シート1の面積が小さくなり、歩留まりが低くなるため、収縮率の上限は80%が好ましい。
積層フィルムを加熱する方法としては、熱風、蒸気、熱水または遠赤外線中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風に通す方法が好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを熱収縮させる際の加熱温度は、使用する加熱収縮性樹脂フィルムの種類、目的とする第1の凹凸パターン11の最頻ピッチP、アスペクト比Aおよび配向度C、目的とする第2の凹凸パターン12の最頻ピッチPおよび配向度Cに応じて適宜選択することが好ましい。
また、加熱収縮温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tg以上の温度にすることが好ましい。Tg以上の温度で熱収縮させると、第1の凹凸パターン11を容易に形成できる。
また、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mが樹脂Nのガラス転移温度Tg2Nよりも高い場合には、加熱収縮温度は、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M+15℃)未満であることが好ましい。
すなわち、本発明の1つの態様において、加熱収縮工程は、前記工程で得られた積層フィルムを、80〜180℃、より好ましくは120〜170℃の熱風の中を通過させることにより、加熱樹脂収縮性フィルムと表面平滑硬質層を変形させて、凹凸パターン10が表面平滑硬質層の表面に形成されたシートを得る工程であることが好ましい。積層フィルムを熱風で加熱する時間は、1〜3分間であることが好ましく、1〜2分間であることがより好ましい。また、熱風の風速としては、1〜10m/sであること好ましく、2〜5m/sであることがより好ましい。
[凹凸パターン特性の調整]
上記製造方法の条件を調整することによって、Y方向およびX方向の1/10値角度、第1の凹凸パターン11の最頻ピッチP、突条部11aのアスペクト比A、および配向度C、第2の凹凸パターン12の最頻ピッチP、突条部12aのアスペクト比A、および配向度C、第1の凹凸パターン11の配向方向と第2の凹凸パターン12の配向方向の差を調整することができる。
1/10値角度を調整するためには、主たる拡散方向であるY方向については、加熱収縮工程において、積層フィルムのY方向の収縮率を40%〜60%に調整することで、Y方向の1/10値角度を80°を超える角度に調整することができる。またX方向については、X方向の収縮方向と反対方向に適度な張力を作用させながら加熱収縮を行えばよい。前記X方向の適度な張力により、X方向の収縮率を0.5〜10%、望ましくは1〜5%に調整することで、1/10値角度を5°〜15°に調整することができる。
最頻ピッチPを調整するためには、ガラス転移温度が高い樹脂Mと低い樹脂Nの配合比率を変更すればよい。樹脂Mの配合比率が高い程、最頻ピッチPは、大きくなる傾向がある。すなわち、樹脂Mと樹脂Nの配合比率が、1:1〜1:3であれば、第1の凹凸パターン11の最頻ピッチPを、3〜20μmの範囲に調整することができる。
突条部11aのアスペクト比Aを上記所定、すなわち、0.2〜1.0の範囲にするためには、ガラス転移温度が高い樹脂Mと低い樹脂Nの配合比率を変更すればよい。樹脂Mの配合比率が高い程、アスペクト比Aは、小さくなる傾向がある。すなわち、樹脂Mと樹脂Nの配合比率が、1:1〜1:3であれば、突条部11aのアスペクト比A1を、0.2〜1.0の範囲に調整することができる。
配向度Cを上記所定、すなわち、0.20〜0.50の範囲にするためには、加熱収縮工程の収縮率を調整すればよい。収縮率が大きい程、配向度Cは、大きくなる傾向がある。すなわち、加熱収縮工程において、積層フィルムの収縮率が40〜60%であれば、配向度Cを0.20〜0.50の範囲に調整することができる。
最頻ピッチPを調整するためには、ガラス転移温度が高い樹脂Mと低い樹脂Nの配合比率を変更すればよい。樹脂Mの配合比率が高い程、最頻ピッチPは、大きくなる傾向がある。すなわち、樹脂Mと樹脂Nの配合比率が、1:1〜1:3であれば、第2の凹凸パターン12の最頻ピッチPを、0.3〜2.0μmの範囲に調整することができる。
突条部12aのアスペクト比Aを上記所定、すなわち、0.25〜0.35の範囲にするためには、加熱収縮工程の収縮率を調整すればよい。また、樹脂Mの配合比率が高い程、アスペクト比Aは、大きくなる傾向がある。すなわち、樹脂Mと樹脂Nの配合比率が、1:1〜1:3であれば、突条部12aのアスペクト比Aを、0.25〜0.35の範囲に調整することができる。また、加熱収縮工程において、積層フィルムの収縮率が40〜60%であれば、突条部12aのアスペクト比Aを、0.25〜0.35の範囲に調整することができる。
配向度Cを上記所定の範囲、すなわち、0.20〜0.50にするためには、加熱収縮工程の収縮率を一定の範囲に調整すればよい。収縮率が大きい程、配向度Cは、大きくなる傾向がある。すなわち、加熱収縮工程において、積層フィルムの収縮率が40〜60%であれば、配向度Cを0.20〜0.50の範囲に調整することができる。
第1の凹凸パターン11の配向方向と第2の凹凸パターン12の配向方向の差を調整するためには、樹脂Mと樹脂Nの配合比率を調整した上で、加熱収縮工程の収縮率を調整すればよい。樹脂Mの配合比率が高い程、収縮率が大きい程、配向方向の差は、大きくなる傾向がある。すなわち、樹脂Mと樹脂Nの配合比率が、1:1〜1:3であり、加熱収縮工程における積層フィルムの収縮率が、40〜60%であれば、第1の凹凸パターン11の配向方向と第2の凹凸パターン12の配向方向の差を5°以内とすることができる。
[他の製造方法]
上記の製造方法は、表面平滑硬質層が2種の樹脂から構成されたが、これに限定されるものではない。
また、異方性光拡散シートは、上記製造方法により得たものを原版シートとして用い、以下に示すような方法で他の素材に転写させることにより、製造することもできる。
原版シートには、異方性光拡散シート1を支持するための樹脂製または金属製の支持体が取り付けられてもよい。
原版シートを用いて、新たな異方性光拡散シートを製造する具体的な方法としては、例えば、下記(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工する工程と、活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を原版シートから剥離する工程とを有する方法。ここで、活性エネルギー線とは、通常、紫外線または電子線のことであるが、本発明では、可視光線、X線、イオン線等も含む。
(b)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、前記液状熱硬化性樹脂を加熱して硬化させた後、硬化した塗膜を原版シートから剥離する工程とを有する方法。
(c)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、前記シート状の熱可塑性樹脂を原版シートに押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を原版シートから剥離する工程とを有する方法。
また、原版シートを用いて2次工程用成形物を作製し、その2次工程用成形物を用いて、新たな異方性光拡散シートを製造することもできる。2次工程用成形物としては、例えば、2次工程シートが挙げられる。また、2次工程用成形物としては、原版シートを丸めて円筒の内側に貼り付け、その円筒の内側にロールを挿入した状態でめっきし、円筒からロールを取り出して得ためっきロールが挙げられる。
2次工程用成形物を用いる具体的な方法としては、下記(d)〜(f)の方法が挙げられる。
(d)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、ニッケル等の金属めっきを行って、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を原版シートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、次いで、2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工する工程と、活性エネルギー線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(e)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を原版シートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、前記2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、加熱により該樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(f)原版シートの凹凸パターンが形成された面に、めっき層(凹凸パターン転写用材料)を積層する工程と、そのめっき層を原版シートから剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、前記2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、前記シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(a)の方法の具体例について説明する。まず、ウェブ状の原版シートの凹凸パターンが形成された面に、コーターにより未硬化の液状活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工する。次いで、前記硬化性樹脂を塗工した原版シートを、ロールを通すことにより押圧して、前記硬化性樹脂を原版シートの凹凸パターン内部に充填する。その後、活性エネルギー線照射装置により活性エネルギー線を照射して、硬化性樹脂を架橋・硬化させる。そして、硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂を原版シートから剥離させることにより、ウェブ状の異方性光拡散シートを製造することができる。
(a)の方法において、原版シートの凹凸パターンが形成された面には、離型性を付与する目的で、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂塗工前に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる層を1〜10nm程度の厚さで設けてもよい。
原版シートの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工するコーターとしては、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
未硬化の液状活性エネルギー線硬化性樹脂を塗工した後には、樹脂、ガラス等からなる基材を貼り合わせてから活性エネルギー線を照射してもよい。活性エネルギー線の照射は、基材、原版シートの活性エネルギー線透過性を有するいずれか一方から行えばよい。
硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂のシートの厚みは0.1〜100μm程度とすることが好ましい。硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂のシートの厚みが0.1μm以上であれば、充分な強度を確保でき、100μm以上であれば、充分な可撓性を確保できる。
上記に示す方法では、原版シートがウェブ状であったが、枚葉のシートであってもよい。ここで「枚葉」とは、印刷用紙の枚葉紙に準じ、一定寸法に裁断されたシートのことを意味する。
枚葉のシートを用いる場合、枚葉のシートを平板状の型として使用するスタンプ法、枚葉のシートをロールに巻きつけて円筒状の型として使用するロールインプリント法等を適用できる。また、射出成形機の型の内側に枚葉の原版シートを配置させてもよい。
しかし、これら枚葉のシートを用いる方法において、異方性光拡散シートを大量生産するためには、凹凸パターンを形成する工程を多数回繰り返す必要がある。活性エネルギー線硬化性樹脂と原版シートとの離型性が低い場合には、多数回繰り返した際に凹凸パターンに目詰まりが生じ、凹凸パターンの転写が不完全になる傾向にある。
これに対し、上記に示す方法(a)では、原版シートがウェブ状であるため、大面積で連続的に凹凸パターンを形成させることができる。そのため、異方性光拡散シートの繰り返し使用回数が少なくても、必要な量の異方性光拡散シートを短時間に製造できる。
(b)、(e)の方法において、液状熱硬化性樹脂としては、例えば、未硬化の、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(b)の方法における硬化温度は、原版シートのガラス転移温度より低いことが好ましい。硬化温度が原版シートのガラス転移温度以上であると、硬化時に原版シートの凹凸パターンが変形するおそれがあるからである。
(c)、(f)の方法において、熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。
シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧する際の圧力は1〜100MPaであることが好ましい。押圧時の圧力が1MPa以上であれば、凹凸パターン10を高い精度で転写させることができ、100MPa以下であれば、過剰な加圧を防ぐことができる。
また、(c)の方法における熱可塑性樹脂の加熱温度は、原版シートのガラス転移温度より低いことが好ましい。加熱温度が原版シートのガラス転移温度以上であると、加熱時に原版シートの凹凸パターン10が変形するおそれがあるからである。
加熱後の冷却温度としては、凹凸パターン10を高い精度で転写させることができることから、熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
(a)〜(c)の方法の中でも、加熱を省略でき、原版シートの凹凸パターンの変形を防止できる点で、活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する(a)の方法が好ましい。
(d)〜(f)の方法においては、金属製の2次工程用成形物の厚さを50〜500μm程度とすることが好ましい。金属製の2次工程用成形物の厚さが50μm以上であれば、2次工程用成形物が充分な強度を有し、500μm以下であれば、充分な可撓性を確保できる。
(d)〜(f)の方法では、熱による変形が小さい金属製シートを原版シートとして用いるため、異方性光拡散シート用の材料として、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。
なお、(d)〜(f)では原版シートの凹凸パターンを金属に転写させて2次工程用成形物を得たが、樹脂に転写させて2次工程用成形物を得てもよい。その場合に使用できる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルホン、(a)の方法で使用する活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合には、(a)の方法と同様に、活性エネルギー線硬化性樹脂の塗工、硬化、剥離を順次行って、2次工程用成形物を得る。
また、上記の方法で製造された2次工程用成型物を原版として、さらに上記(d)〜(f)と同様の2次工程用成型物製造工程を1回以上繰り返して2次工程用成型物を複製し、得られた複製物を2次工程用成型物として上記(d)〜(f)と同様の方法で異方性拡散シートを製造することもできる。
(異方性光拡散シートの使用方法)
本発明の異方性光拡散シートの使用方法について説明する。図12はLED光源が線状に1列配列された照明に集光レンズおよび本発明の異方性光拡散シートを配置した場合の光の広がりを示す概念図である。図12−AはLED光源の配列方向が左右方向になる位置から見た場合の光の広がしを示しており、図12−BはLEDの配列方向が紙面手前−奥方向になる位置から見た場合の光の広がりを示している。
LED光源13より出射した光は集光レンズ14により、照射角が狭められた略平行光に変換される。異方性光拡散シート1を、Y方向(第1の凹凸パターンの配向方向とほぼ同方向)とLED光源の配列方向が略一致するように集光レンズ上に配置し(図12参照)、前記略平行光を異方性光拡散シート1の第1および第2の凹凸パターンを有する面から入射させ、第1および第2の凹凸パターンのない面から出射させると、光は15のように異方性光拡散シート1がない場合(図12の点線)に比べて、Y方向にはかなり広く、また、X方向にも多少広く拡散する(図12の実線)。
上記のような異方性光拡散特性を付与することで、検査機、スキャナーおよび道路照明等のように光をライン状から楕円状に拡散させたい用途に対して、不要な方向(この場合はX方向)への光の拡散によるロスを低減し、光を効率よく(照度を低下させずに)照射することが可能となる。
また、異方性光拡散シートに照射される光のフレネル反射を抑えるために、前記略平行光の照射軸と前記異方性光拡散シートの面のなす角度が60°〜90°の範囲となるようにLED光源、集光レンズおよび異方性光拡散シートを配置することが望ましい。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ガラス転移温度128℃のアクリル樹脂(樹脂N)とガラス転移温度139℃のアクリル樹脂(樹脂M)を質量比1:1で混合し、トルエンに希釈して、硬質層形成用塗料(固形分濃度8質量%)を得た。この塗料を、主に一軸方向に収縮する加熱収縮性樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、製品名SC807、東洋紡績社製、厚さ30μm)の片面に、バーコーターにより、乾燥後の厚さが2μmになるように塗工した。次いで、乾燥させることにより、表面平滑硬質層を形成して積層シートを得た。
次いで、前記積層シートの主たる収縮方向に張力が掛かるように前記積層シートの両端をクランプで固定した。さらに、前記積層シートの主たる収縮方向と直交する方向にも張力が掛かるように、前記積層シートの主たる収縮方向と直交する方向の両端を、主たる収縮方向に沿って線状に並び同方向に移動可能な複数個のクリップで固定した。前記積層シートを170℃で1分間加熱すると共に、加熱後の積層シートの1軸収縮方向(=Y方向)の長さが、加熱前の積層シートの主たる収縮方向の長さの43%(すなわち、収縮率57%)となるように、また、X方向の長さが、加熱前の積層シートの97%(すなわち、収縮率3%)となるように、積層シートに掛かる張力を調整した。
これにより、表面平滑硬質層の表面に、複数の突条が収縮方向(Y方向)に沿って配列することにより形成された第1の凹凸パターンと、第1の凹凸パターンの表面に、複数の突条が前記Y方向に沿って配列することによって形成された第2の凹凸パターンとを含む凹凸パターンを形成して、異方性光拡散シートを得た。
上記の方法にて得られた異方性光拡散シートの凹凸パターン形成面に、離型剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂A(アクリレート系樹脂、総研化学社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、その上に透明PET基材(東洋紡株式会社製A4300、厚さ188μm)を押し当て、前記透明PET基材の紫外線硬化性樹脂Aと接触していない側の面から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂Aを硬化させた後、前記異方性光拡散シートを剥離して異方性光拡散シートの凹凸パターンが反転したパターンを有する1次転写品を得た。
次いで透明PET基材(東洋紡株式会社製A4300、厚さ188μm)の片面に未硬化の紫外線硬化性樹脂B(アクリレート系樹脂、ソニーケミカル社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、塗布された紫外線硬化性樹脂Bに対して、1次転写品の反転パターンを有する面を押し当て、前記透明PET基材の紫外線硬化性樹脂Bと接触していない側の面から紫外線を照射して硬化させた。硬化後、1次転写品を剥離して、透明PET基材上に紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる表面層が形成された、異方性光拡散シートと同じ凹凸パターンを有する2次転写品を得た。
(実施例2)
積層シートのX方向の長さが、加熱前の積層シートの93%(すなわち、収縮率7%)となるように、積層シートに掛かる張力を調整したこと以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(実施例3)
透明PET基材と紫外線硬化性樹脂Aの代わりに、ニッケル電鋳により異方性光拡散シートの凹凸パターンが反転したパターンを有するニッケル電鋳スタンパを作製し、前記ニッケル電鋳スタンパを一次転写品として使用する以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(比較例1)
硬質層形成用塗料を、ガラス転移温度128℃のアクリル樹脂をトルエンに希釈して得たものに変更した以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(比較例2)
硬質層形成用塗料を、ガラス転移温度139℃のアクリル樹脂をトルエンに希釈して得たものに変更した以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(比較例3)
積層シートの加熱温度を150℃に変更し、加熱後の積層シートの1軸収縮方向(=Y方向)の長さが、加熱前の積層シートの主たる収縮方向の長さの65%(すなわち、収縮率35%)となるように、積層シートに掛かる張力を調整したこと以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(比較例4)
積層シートのX方向の長さが、加熱前の積層シートと同一の長さ(すなわち、収縮率0%)となるように、積層シートに掛かる張力を調整したこと以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
(比較例5)
積層シートのX方向の長さが、加熱前の積層シートの85%(すなわち、収縮率15%)となるように、積層シートに掛かる張力を調整したこと以外は実施例1と同様の操作にて、異方性光拡散シートの2次転写品を得た。
<凹凸パターンの表面特性>
実施例1〜3および比較例3〜5の異方性光拡散シートを顕微鏡観察したところ、第1の凹凸パターンの表面に第2の凹凸パターンが形成されていることが確認された。
比較例1および2の異方性光拡散シートを顕微鏡観察したところ、第1凹凸パターンの表面に第2凹凸パターンが形成されていないことが確認された。
また、各例における第1の凹凸パターンの最頻ピッチP、アスペクト比Aおよび配向度C、第2の凹凸パターンの最頻ピッチP、アスペクト比Aおよび配向度C、第1凹凸パターンの配向方向と第2凹凸パターンの配向方向との差(表中では「配向方向の差」と略す。)を、上述の方法により測定した。使用した電子顕微鏡の仕様、及び観察条件は以下の通りである。
電子顕微鏡:日立ハイテクノロジーズ社製S−3600N
分解能:3.0nm(2次電子像)、4.5nm(反射電子像)、
加速電圧:0.5〜30kV、倍率:12〜300,000
観察条件:加速電圧15kV、ワーキングディスタンス10mm
最頻ピッチ、アスペクト比および配向度、及び配向方向の差の測定結果を表1に示す。
[最頻ピッチの測定]
上述した方法に沿って、最頻ピッチP及びPを算出した。
[アスペクト比の測定]
上述した方法に沿って、アスペクト比A及びAを算出した。
[配向度の測定]
上述した方法に沿って、配向度C及びCを算出した。
[配向方向の差]
上述した方法に沿って、配向方向の差を算出した。
<1/10値角度の測定>
ゴニオメーター(型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)を用いて透過散乱光を測定することにより、照度曲線を得た。具体的には、異方性光拡散シートの測定光を第1の凹凸パターンを有する方向から入射させ、第1の凹凸パターンを有する面と反対の面から出射させたときの、垂直に出射する光(この光の出光角度を0°とする。)の照度を1とした際の相対照度を、Y方向に沿って出光角度−90°から90°までの相対照度を1°間隔で測定して、照度曲線を得た。ここで、照度曲線とは、図11に示すような、横軸を出光角度とし、縦軸を相対照度として、プロットとした曲線である。
そして、照度曲線における1/10値角度(図11中のW)を求めた。
1/10値角度の測定結果を表1に示す。
<光拡散性の評価>
実施例および比較例の異方性光拡散シートの光拡散性の評価方法について説明する。
図13に示すように、LED光源(照射角度: 約120°)の出光部に集光レンズを配置し、集光レンズを通過し略平行光となった光を、異方性光拡散シートの第1の凹凸パターンを有する面から、略平行光の軸と異方性光拡散シート面が90°となるように入射させ、第1の凹凸パターンを有する面と反対の面から出射させ、前記出射光を床面に照射した。
ここで、図13−A、BおよびCは、異方性光拡散シートを通過した光の床面への照射状態を、それぞれX方向、Y方向およびZ方向から観察した場合の光の見え方の略図である。
次いで、図13−Cの位置G、HおよびIにおける照度を測定した。このとき、LED光源から異方性拡散シートまでの距離は20mm、異方性拡散シートから床面までの距離は2.5m、位置GはLED光源の照射軸と床面との交点、位置G−H間距離を2.5m、位置G−I間距離を0.5mとなるように、位置G、H、Iを設定した。
照度測定結果を表1に示す。ここで、表1の照度は、実施例1における位置Gでの照度を100としたときの相対値である。
Figure 0006079603
図13−Cの楕円はLED光を照射したい領域であり、位置HおよびIの相対照度が共に45以上であれば、異方性拡散シートとしての性能が優れる。実施例1〜3の異方性光拡散シートを使用した場合、位置HおよびIでの相対照度が共に45以上であり、集光されたLED光を照射したいエリアに効率よく拡散させることができた。
これに対し、比較例1〜5の異方性光拡散シートを使用した場合は、位置HまたはIのいずれかの相対照度が45より小さくなり、LED光を照射させたいエリアに効率よく拡散させる性能が不十分であった。
本発明の異方性光拡散シートは、優れた光拡散特性を有するため、LED光源、集光レンズ等との組み合わせにより、ライン状または楕円状に光をロスなく照射させるために好ましく用いることができる。
1 異方性光拡散シート
10 凹凸パターン
11 第1の凹凸パターン
11a 突条部
11b 凹部
12 第2の凹凸パターン
12a 突条部
12b 凹部
13 LED光源
14 集光レンズ
15 光の広がり

Claims (7)

  1. シートの片面に、一方向Yに沿って波状の凹凸が繰り返されることによって形成された第1凹凸パターンを有すると共に、第1凹凸パターンの表面に、前記方向Yに沿って波状の凹凸が繰り返されることによって形成された第2凹凸パターンを有し、前記第1および第2凹凸パターンが表面から見た場合に蛇行していることを特徴とする異方性拡散シートであって、前記異方性拡散シートの第1および第2凹凸パターンを有する面から光を入射し、前記第1凹凸パターンおよび第2凹凸パターンを有する面と反対の面から出射する時の1/10値角度が前記方向Yにおいて80°を超え、前記方向Yと直交するX方向において5〜15°であることを特徴とする異方性光拡散シート。
  2. 前記第1凹凸パターンの配向度が0.2〜0.5、且つ、前記第2凹凸パターンの配向度が0.2〜0.5である請求項1に記載の異方性光拡散シート。
  3. 前記第1凹凸パターンの配向方向と前記第2凹凸パターンの配向方向との差が5°以内である請求項1または2のいずれかに記載の異方性光拡散シート。
  4. 前記第1凹凸パターンの最頻ピッチが3〜20μm、前記第2凹凸パターンの最頻ピッチが0.3〜2.0μmである請求項1〜3のいずれかに記載の異方性光拡散シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方性光拡散シートを含む照明装置又は表示装置。
  6. 略平行光を請求項1〜4のいずれかに記載の異方性光拡散シートの前記第1凹凸パターンが形成された面に入射し、前記第1凹凸パターンが形成されていない面から出射する光拡散方法。
  7. 前記異方性光拡散シートの面と前記略平行光の光軸の成す角度が、60〜90度の範囲となるように配置されている請求項に記載の光拡散方法。
JP2013257963A 2013-12-13 2013-12-13 異方性光拡散シートおよび光拡散方法 Expired - Fee Related JP6079603B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013257963A JP6079603B2 (ja) 2013-12-13 2013-12-13 異方性光拡散シートおよび光拡散方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013257963A JP6079603B2 (ja) 2013-12-13 2013-12-13 異方性光拡散シートおよび光拡散方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015114585A JP2015114585A (ja) 2015-06-22
JP6079603B2 true JP6079603B2 (ja) 2017-02-15

Family

ID=53528413

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013257963A Expired - Fee Related JP6079603B2 (ja) 2013-12-13 2013-12-13 異方性光拡散シートおよび光拡散方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6079603B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100432438B1 (ko) * 2001-01-18 2004-05-22 주식회사 송산 빛을 회절 및 확산시키는 프리즘 디퓨저
JP5157435B2 (ja) * 2007-12-28 2013-03-06 王子ホールディングス株式会社 凹凸パターンシートの製造方法、及び光学シートの製造方法
TW200946975A (en) * 2008-04-02 2009-11-16 3M Innovative Properties Co Methods and systems for fabricating optical films having superimposed features
JP5168256B2 (ja) * 2008-09-25 2013-03-21 王子ホールディングス株式会社 凹凸パターン形成シート、光拡散体および光拡散体製造用工程シート原版およびそれらの製造方法
JP2012042820A (ja) * 2010-08-20 2012-03-01 Oji Paper Co Ltd 異方性面発光ユニットおよび液晶表示装置
JP5974451B2 (ja) * 2010-11-04 2016-08-23 王子ホールディングス株式会社 照明装置
JP5738006B2 (ja) * 2011-03-01 2015-06-17 株式会社巴川製紙所 光学フィルム
JP2013008520A (ja) * 2011-06-23 2013-01-10 Oji Holdings Corp 照明装置、及びそれを用いた検出器
TWI617843B (zh) * 2012-08-22 2018-03-11 友輝光電股份有限公司 光學膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015114585A (ja) 2015-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI530713B (zh) 凹凸圖案形成片及其製造方法
JP5660235B2 (ja) 表面微細凹凸体および表面微細凹凸体の製造方法
JP6409675B2 (ja) 表示装置用照明ユニットおよび表示装置
JP6274102B2 (ja) 光拡散性シート
JP5637074B2 (ja) 凹凸パターン形成シートの製造方法、転写成形用スタンパの製造方法ならびに光拡散体の製造方法
JP6079602B2 (ja) 導光板
JP2018014307A (ja) 表示装置用照明ユニットおよび表示装置
JP6079603B2 (ja) 異方性光拡散シートおよび光拡散方法
JP2012022292A (ja) 凹凸パターン形成シート、光拡散体製造用工程シート原版及び光拡散体の製造方法
JP6536312B2 (ja) 表面微細凹凸体
JP5974451B2 (ja) 照明装置
JP5636907B2 (ja) 凹凸パターン形成シートおよびその製造方法、凹凸パターン形成シート複製用工程シート原版、光学素子、2次工程用成形物、複製シート
JP2017187561A (ja) 反射型スクリーン
JP2019003221A (ja) 表面微細凹凸体および表面微細凹凸体の製造方法
JP5858113B2 (ja) 凹凸パターン形成シート、光拡散体、光拡散体製造用スタンパの原版、光拡散体製造用スタンパ
JP6593055B2 (ja) 表面微細凹凸体とその照度曲線を求める方法
JP6515759B2 (ja) 表面微細凹凸体および表面微細凹凸体の製造方法
JP2016136254A (ja) 表面微細凹凸体
JP2014238429A (ja) 光拡散体
JP2016066050A (ja) 表面微細凹凸体および表面微細凹凸体の製造方法
JP2014026736A (ja) 照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6079603

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees