JP2018014307A - 表示装置用照明ユニットおよび表示装置 - Google Patents

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Toshiki Okayasu
俊樹 岡安
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麻子 安食
圭吾 二俣
Keigo Nimata
圭吾 二俣
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Abstract

【課題】正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、一方向だけでなくこれと直交する方向においても、それぞれ適切な視野角を有する表示装置用照明ユニットを提供する。【解決手段】表示装置用照明ユニット100Aは、点光源21と、点光源21からの光を集光する集光レンズ20と、集光レンズ20と対向する第1の表面の少なくとも一部に同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンを有し、厚さ方向において第1の表面と反対側の第2の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有し、集光レンズ20から入射する光を、同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンと、不規則な波状凹凸パターンとを通して外部に出射する表面微細凹凸シート10Aと、備える。【選択図】図7

Description

本発明は、表示装置用照明ユニットおよび表示装置に関する。
近年、省電力かつ長寿命の光源として、発光ダイオード(以下、「LED」ともいう。
)光源が広く普及している。該LED光源から発せられる光をたとえば表示装置用の照明ユニット等に使用する場合には、LED光源を線状、面状等に複数並べ、かつ、光拡散体と組み合わせて使用されることが多い。
たとえば、特許文献1には、LED光源と、発散手段であるレンズと、フレネルレンズと、拡散板とを有する照明装置が記載されている。
特開2012−174370号公報
しかしながら最近では、表示装置の多様化に伴い、LED光源を用いた照明ユニットにおいて、種々の特性を満足することが求められるようになってきている。
たとえば、ゆるやかな曲面状に形成された自動車のフロントガラスに、走行速度などの画像情報を表示させる表示装置として、ヘッドアップディスプレイシステムがある。ヘッドアップディスプレイシステムにおいては、画像情報をフロントガラスに鮮明に表示させるために、正面輝度が優れていることや、輝度の面内均一性が優れており輝度ムラが抑制されていることが求められる。輝度の面内均一性を向上するためには、特に正面方向に対して傾斜した方向である斜め方向から見たときの輝度ムラが抑制されている必要がある。また、画像情報を良好に表示するためには、フロントガラスの上下方向と左右方向のそれぞれについて光を適切に拡散させるために、これら各方向の視野角を個別に制御する必要もある。
ところが、光を拡散させることは、正面輝度の低下につながる。そのため、正面輝度に優れ、輝度ムラが抑制され、かつ、適切な視野角を有する照明ユニットを構成することは難しい。
特に、光散乱性粒子などを分散させた光拡散板は光の入射角度によって、拡散性能が変化するため、斜め方向から見たときの輝度ムラや視野角の制御が難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、LED光源等の点光源と組み合わせて使用した場合に、正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、一方向だけでなくこれと直交する方向においても、それぞれ適切な視野角を有する表示装置用照明ユニットと、該表示装置用照明ユニットを備えた表示装置の提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1]光源と、
前記光源からの光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズと対向する第1の表面の少なくとも一部に同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンを有し、厚さ方向において前記第1の表面と反対側の第2の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有し、前記集光レンズから入射する光を、前記同心円状凹凸パターンまたは前記同心楕円状凹凸パターンと、前記不規則な波状凹凸パターンとを通して外部に出射する表面微細凹凸シートと、
を備える、表示装置用照明ユニット。
[2]前記光源は、LED光源である、表示装置用照明ユニット。
[3]前記光源は、複数の点光源が並んで形成される少なくとも1列の光源列を有し、前記表面微細凹凸シートの前記波状凹凸パターンの主拡散方向と、前記光源列の前記点光源の配列方向とのなす角度が±20°の範囲内である、表示装置用照明ユニット。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載の表示装置用照明ユニットを備える、表示装置。
本発明によれば、LED光源等の点光源と組み合わせて使用した場合に、正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、一方向だけでなくこれと直交する方向においても、それぞれ適切な視野角を有する表示装置用照明ユニットと、該表示装置用照明ユニットを備えた表示装置を提供できる。
第1実施形態例における表面微細凹凸シートを模式的に示す拡大斜視図である。 第1実施形態例における表面微細凹凸シートのサンプルの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが500μmである。)。 第1実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である(画像の各辺のフルスケールが200μmである。)。 第1実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す模式的な縦断面図である。 (a)はフレネルレンズパターンの模式的な縦断面図、(b)はフレネルレンズパターンの元になる平凸レンズの模式的な縦断面図である。 フレネルレンズパターンの作用について説明する説明図である。 第1実施形態例の表示装置用照明ユニットの構成を示す概略構成図であり、(a)は表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図、(c)は(a)におけるC−C断面図である。 第1実施形態例の第1変形例の表示装置用照明ユニットの構成を示す概略構成図であり、(a)は表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)は(a)におけるD−D断面図、(c)は(a)におけるE−E断面図である。 第1実施形態例の第2変形例の表示装置用照明ユニットの構成を示す概略構成図であり、(a)は表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)は(a)におけるF−F断面図、(c)は(a)におけるG−G断面図である。 第2実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 (a)は第2実施形態例の一サンプルである表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像中に両矢印が200μmである。)、(b)は(a)におけるY方向(図1中のA方向と同方向)に延びる線αに沿って切断した表面微細凹凸体断面の高さプロファイルを示している。 (a)は波状凹凸パターンの断面の高さプロファイルの一部において、1.8μm間隔の各点において接線を引いた状態を示す模式図である。(b)は(a)中の点Uの近傍を拡大して接線の傾きを説明するための拡大図である。 表面微細凹凸シートのサンプル(FWHM=20°、FWHM=10°)のスロープ角θの頻度分布グラフである。 表面微細凹凸シートのサンプル(FWHM=20°、FWHM=10°)のスロープ角θの頻度分布グラフである。 表面微細凹凸シートのサンプルにおける平均スロープ角θ、θの平均値θaveと相対正面輝度の関係を示すグラフである。 第3実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが60μmである。)。 第3実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す模式的な縦断面図である。 第4実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 第4実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す模式的な縦断面図である。 第4実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンにおける凸部の平均高さを求める方法の説明図である。 第5実施形態例における表示装置用照明ユニットの構成を示す概略構成図であり、(a)は表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)は(a)におけるI−I断面図、(c)は(a)におけるJ−J断面図である。 第5実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが250μmである。)。
本明細書および特許請求の範囲における各用語は、以下の内容を意味する。
「波状凹凸パターン形成面」とは、表面微細凹凸シートにおいて、不規則な波状凹凸パターンが形成された側の面を意味する。
「同心円状凹凸パターン形成面」とは、表面微細凹凸シートにおいて、同心円状凹凸パターンが形成された側の面を意味する。
「同心楕円状凹凸パターン形成面」とは、表面微細凹凸シートにおいて、同心楕円状凹凸パターンが形成された側の面を意味する。
「不規則な波状凹凸パターン」とは、表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行な少なくとも一つの面に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な微細な波状の凹凸形状であるパターンのことをいう。
たとえば、下記の〔1〕、〔2〕のパターンが挙げられる。
〔1〕波状凹凸パターン形成面に沿って筋状に延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とが、波状凹凸パターン形成面に沿う一方向に交互に繰り返されるパターンを少なくとも有し、以下の(a)および(b)の特徴を有するパターン(以下、「波状凹凸パターン(1)」ともいう。)。
なお、波状凹凸パターン(1)では、少なくとも、表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行で、かつ、凸条部と凹条部とが交互に繰り返される上記一方向(以下、「凸条部の配列方向」ともいう。)に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
(a)各凸条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部の稜線が蛇行し、隣接する凸条部の稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b)各凹条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部の谷線が蛇行し、隣接する凹条部の谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
波状凹凸パターン(1)では、上記切断面における各凸条部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(1)の不規則性により、該波状凹凸パターン(1)は、後述する主拡散方向だけでなく、該主拡散方向に対して直交する低拡散方向にも、適度に光を拡散させる。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(1)は、1軸延伸フィルム(1軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
〔2〕波状凹凸パターン形成面上に、特定の方向に沿わない微細な凹凸が形成されたパターン(以下、「波状凹凸パターン(2)ともいう。」)。
波状凹凸パターン(2)では、表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行な任意の方向に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
波状凹凸パターン(2)では、上記切断面における各凸部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行な任意の方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(2)の不規則性により、該波状凹凸パターン(2)は、主拡散方向および低拡散方向に光を拡散させる。また、凹凸が上述のように特定の方向に沿わないため、主拡散方向と低拡散方向の拡散角度の差は小さい。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(2)は、2軸延伸フィルム(2軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
「同心円状凹凸パターン」とは、同心円状凹凸パターン形成面上に、同心円状の凹環と凸環とが交互に形成されたパターンを意味する。
「同心円状凹凸パターン」には、通常の「フレネルレンズパターン」が含まれる。
「同心円状凹凸パターン」のうち、凸環の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行で、かつ、同心円の径方向に沿って切断される切断面における形状。)がいずれも二等辺三角形または正三角形であるものを「同心円状プリズムパターン」という。
「同心円状プリズムパターン」のうち、各凸環の上記縦断面形状における頂角が互いに同一であるものを「頂角一定型同心円状プリズムパターン」という。
「同心円状プリズムパターン」のうち、各凸環同士で、上記縦断面形状における頂角が互いに異なっており、同心円状凹凸パターン形成面における外周側に位置する凸環から中央側に位置する凸環に向けて、徐々に頂角が大きくなっているものを「頂角変動型同心円状プリズムパターン」という。各凸環の頂角は、環方向(周方向)に一定である。
同心円状凹凸パターン形成面には、上述の「同心円状凹凸パターン」が、面方向に沿って複数形成されていてもよい。すなわち、同心円状凹凸パターン形成面を複数の領域に区切った場合に、各領域に上述の「同心円状凹凸パターン」がそれぞれ形成されていてもよい。
「同心楕円状凹凸パターン」とは、同心楕円状凹凸パターン形成面上に、同心楕円状の凹環と凸環とが交互に形成されたパターンを意味する。
ここで、「同心楕円状」とは、凸環の頂部および凹環の谷部の各軌跡が、共通の直交する2つの座標軸の交点である共通の中心の回りに周回し、この2軸の一方に沿う方向に扁平な形状を有する閉曲線群に沿っている形状を意味する。以下では、扁平方向の座標軸を短軸、短軸と直交する座標軸を長軸と称する場合がある。
ここで、「扁平な閉曲線」は、2次曲線である楕円でもよいが、楕円には限定されない。たとえば、「扁平な閉曲線」は、適宜の偶数次の多項式および偶数次の多項式の組み合わせで表される曲線であってもよい。
「同心楕円状凹凸パターン」の「閉曲線群」には、楕円体をスライスして形成される同心楕円群が含まれる。たとえば、直交座標軸におけるxyz座標軸において、径の大きさがそれぞれa,b,c(ただし、a>b≧c)である楕円体を、xy平面またはzx平面で、それぞれz座標またはy座標を変えて切断して得られる楕円群は「閉曲線群」の例である。
「同心楕円状凹凸パターン」の「閉曲線群」には、中心軸線に直交する2方向において、曲率が異なることにより、一方向に細長い凸面が形成されている場合に、中心軸線に直交する平面で、中心軸線における位置を変えて切断して得られる閉曲線群も含まれる。
「同心楕円状凹凸パターン」の具体例としては、たとえば、楕円体面を有するレンズ面の形状から形成された「フレネルレンズパターン」が含まれる。また、たとえば、光軸に直交する2方向において、曲率が異なることにより、一方向に細長い凸面のレンズ面形状から形成された「フレネルレンズパターン」が含まれる。
詳しい説明は省略するが、「同心楕円状凹凸パターン」においても、上記「同心円状凹凸パターン」の場合と同様にして、「同心楕円状プリズムパターン」、「頂角一定型同心楕円状プリズムパターン」、「頂角変動型同心楕円状プリズムパターン」が定義される。
「同心楕円状凹凸パターン形成面」には、上述の「同心楕円状凹凸パターン」が、面方向に沿って複数形成されていてもよい。すなわち、「同心楕円状凹凸パターン形成面」を複数の領域に区切った場合に、各領域に上述の「同心楕円状凹凸パターン」がそれぞれ形成されていてもよい。
本発明において、「同心円状凹凸パターン」及び「同心楕円状凹凸パターン」の各凸環の縦断面形状における頂角、頂部又は頂点部は、尖った形状であってもいいが、頂部または頂点部が尖った形状であると欠けの発生の懸念もあり、丸みをもった形状(この場合、頂角、頂部又は頂点部は角R部を有する形状という)であってもよい。また、「同心円状凹凸パターン」及び「同心楕円状凹凸パターン」の各凹環の縦断面形状における谷部又は底部は、尖った形状であってもよく、また丸みをもった形状(この場合、谷部又は底部は角R部を有する形状という)であってもよい。
「波状凹凸パターンの主拡散方向」とは、以下の方法で決定される方向である。
(1)拡散角度測定用として、一方の面が波状凹凸パターン形成面であり、他方の面が平滑な面(平滑面)であるサンプルシートを用意する。
(2)ゴニオメータ(たとえば、型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)を用いて、上記サンプルシートの平滑面側から測定光を入射させ、波状凹凸パターン形成面からの透過散乱光を測定し、照度曲線を得る。
具体的には、サンプルシートから垂直に出射する光(出光角度=0°)の照度を1とした際の相対照度を、波状凹凸パターン形成面上のある方向(α方向)において、出光角度−90°から90°まで1°間隔で測定する。これによりα方向における照度曲線が得られる。
このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、α方向から1°ずらした方向(β方向)において行う。
ついで、このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、β方向から1°ずらした方向(γ方向)において行う。
このように相対照度を測定する方向を波状凹凸パターン形成面内で1°ずつずらし、1°毎の照度曲線を得る。これにより、合計180種の照度曲線が得られる。
(3)180種の各照度曲線のそれぞれにおいて、相対照度が0.5以上となる角度範囲を求める。その範囲が拡散角度である。たとえば、α方向について得られた照度曲線において、相対照度が0.5以上となる角度範囲が−13°〜+17°である場合には、α方向における拡散角度は、13°+17°=30°となる。
(4)180種の各方向について、上記のようにして拡散角度を求め、180種の拡散角度のうち、最も大きな拡散角度が得られた方向が、主拡散方向である。
(5)低拡散方向は、「主拡散方向に直交する方向」と定義する。
主拡散方向および低拡散方向は、いずれも、波状凹凸パターン形成面上の方向である。
なお、本明細書において、平滑とは、JIS B0601に記載の方法により測定される中心線平均粗さが0.1μm以下であることをいう。
以下の各実施形態例の表示装置用照明ユニットに用いられる表面微細凹凸シートは、いずれも不規則な波状凹凸パターンと、同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンとを有している。
そのため、正面輝度に優れ、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、主拡散方向だけでなくこれと直交する低拡散方向においても、それぞれ適切な視野角を有する表示装置用照明ユニットを構成できる。該表示装置用照明ユニットは、ヘッドアップディスプレイシステム等の表示装置用の照明ユニットとして、好適に使用される。
また、各実施形態例における表面微細凹凸シートは、後述するように、1枚構成である。そのため、複数枚のシートを用いずに、1枚のみで視野角確保効果、輝度ムラ解消効果、正面輝度向上効果を奏することができ、取扱性、照明ユニットの薄型化にも優れる。
以下の各実施形態例の表示装置用照明ユニットは、光源と、集光レンズと、表面微細凹凸シートとを有している。集光レンズは、光源から拡がる光の照射角を低減するため、同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンに入射する光の入射角度を低減できる。このため、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラの抑制効果がある。
表示装置用照明ユニットおよび表示装置を構成する際に、各実施形態例における表面微細凹凸シートのうち、どの実施形態例のシートを選択するかは、その表示装置に求められる主拡散方向および低拡散方向の視野角や、これら視野角のバランス、正面輝度、さらには正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラ抑制の要求の程度等に応じて、決定できる。
以下の第1〜第5実施形態例の表示装置用照明ユニットは、一方の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有し、他方の表面の少なくとも一部に、同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンとして、フレネルレンズパターンを有する表面微細凹凸シートを備える。
第1〜第5実施形態例における各表面微細凹凸シートは、互いに、波状凹凸パターンが異なる。
以下の各例では、表面微細凹凸シートとして1層構造のものを示しているが、表面微細凹凸シートは1層構造のものに限定されず、2層以上からなる多層構造でもよい。
<第1〜第5実施形態例>
〔第1実施形態例〕
本実施形態例の表示装置用照明ユニットについて説明する。
図1は、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの表面微細凹凸シートを模式的に示す斜視図である。
図示例の表面微細凹凸シート10Aは、透明な樹脂を主成分とする(好ましくは透明な樹脂から構成される)1層構造のシートである。表面微細凹凸シート10Aの厚さ方向における一方の表面が波状凹凸パターン形成面11(第2の表面)であり、他方の表面は同心円状凹凸パターン形成面12(第1の表面)とされている。
後述するように、波状凹凸パターン形成面11には、主に、視野角確保効果、輝度ムラ解消効果を奏する波状凹凸パターンが形成されている。後述するように、同心円状凹凸パターン形成面12には、正面輝度向上効果を奏する複数のフレネルレンズパターン12Aが形成されている。
[波状凹凸パターン]
第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aは、波状凹凸パターン形成面11に、先に説明した波状凹凸パターン(1)が形成されている。以下では、表面微細凹凸シート10Aにおける波状凹凸パターン(1)を特に波状凹凸パターン(1A)という。
図2は、本実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像であり、図3は、波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である。
図4は、本実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1A)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に沿って切断した模式的な縦断面図である。
図4に示すように、凸条部11aの上記縦断面形状は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。また、各凸条部11aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。また、各凸条部11aの上記縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。また、各凸条部11aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、隣り合う凸条部11a間の各凹条部において、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチは、1〜100μmであることが好ましく、5〜70μmであることがより好ましく、8〜70μmであることがより好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限値以上であると、表面微細凹凸シート10Aを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シート10Aを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。また、平均ピッチが上記範囲内であると、主拡散方向に充分な拡散角度を示す。
なお、平均ピッチは、図2のような、凸条部11aが20本以上含まれる波状凹凸パターン形成面11の平面画像を得て、隣り合う凸条部11aの20本分について、凸条部11aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求めることができる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面11の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(たとえば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等に記載されており、これを参照できる。なお、該公報の段落[0024]にも記載のとおり、当該方法で求められる最頻ピッチと、上記平均ピッチは、同等に扱うことができる。以下、各実施形態例においても同様である。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.01〜1.0であることが好ましく、0.03〜0.5であることがより好ましく、0.03〜0.2であることがさらに好ましい。アスペクト比が上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られる。アスペクト比が上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
凸条部11aの平均高さは次のように求める。
たとえばミクロトームを用いて、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断した切断面を有する薄片サンプルを得て、該薄片サンプルの切断面の光学顕微鏡画像を得る。そして、該光学顕微鏡画像の切断面から、ランダムに50個の凸条部を選択し、これら各凸条部の高さHを求める。
具体的には、図4に示すように、1つの凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの一方側に位置する凹条部の底部B1との垂直距離をLiとし、該凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの他方側に位置する凹条部の底部B2との垂直距離をRiとした場合に、H=(Li+Ri)/2で求められるのが、その凸条部11aの高さである。
このようにして求めた50個の凸条部の高さの平均値が「凸条部の平均高さ」である。
本実施形態例における表面微細凹凸シート10Aにおいて、波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な方向(図1中のA方向)である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば2〜20°であることが好ましく、3〜10°であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して直交する方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さく、かつ、たとえば0.5〜10°であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、凸条部の平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
主拡散方向の拡散角度と、低拡散方向の拡散角度とがそれぞれ上記範囲内の波状凹凸パターン(1A)であれば、該パターンが形成されたシートに光を入射させた際に、主拡散方向に光が充分に拡散しつつ低拡散方向にも光が拡散する。そのため、このような波状凹凸パターン(1A)は、主拡散方向および低拡散方向のそれぞれについての視野角確保効果に優れるとともに、LED光源、レーザー光源等の直進性の高い光源を照明装置等に用いた際の輝度ムラ解消効果にも優れる。
[同心円状凹凸パターン(フレネルレンズパターン)]
図5(a)は、フレネルレンズパターン12Aの光軸Oに沿う断面図である。フレネルレンズパターン12Aは、図5(b)に示す平凸レンズの領域が平凸レンズの光軸Oに関して同心円状に分割されて構成されている。これによって、フレネルレンズパターン12Aは図5(b)に示す平凸レンズと同様のレンズ効果を有し、かつ、この平凸レンズよりも薄く形成されている。
表面微細凹凸シートの他方の表面(波状凹凸パターン形成面とは反対側の面)において、フレネルレンズパターン12Aは、後に図7に示すように、複数並べて設けられていてもよい。
図6を用いて、フレネルレンズパターン12Aの作用について説明する。図6は、一方の面がフレネルレンズパターン12Aが形成された同心円状凹凸パターン形成面(図6中下側の面)であり、他方の面が平滑面13であるシートの断面図である。
まず、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aに用いる点光源21(光源)と、集光レンズ20とについて説明する。
[点光源、集光レンズ]
点光源21としては、微小な発光領域から照明に用いる可視光を発散光として照射できる適宜の光源が用いられる。たとえば、点光源21としては、LED光源、レーザー光源などが用いられてもよい。
点光源21の照射角は、たとえば、LED光源の場合、120°であることが多い。
集光レンズ20は、点光源21で発生した発散光を集光する正レンズである。集光レンズ20は、点光源21の照射角よりも狭い照射角が得られるように、点光源21の発光点との距離をおいた状態に配置される。
集光レンズ20を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、合成樹脂製、ガラス製等が挙げられる。集光レンズ20のレンズ形状は、特に限定されない。例えば、球面レンズでもよいし、非球面レンズでもよい。一例としては、凸レンズが用いられる。
集光レンズ20は、点光源21と別に設けられてもよいし、点光源21あるいは点光源21の駆動基板などと一体的に設けられてもよい。
本実施形態例では、点光源21は、複数用いられる。このため、集光レンズ20も各点光源21と同数設けられる。これら複数の集光レンズの一部または全部は、複数のレンズ部を有する成形レンズとして一体化されていてもよい。
図6に示すように、点光源21から出射される光は、集光レンズ20によって照射角が狭められた発散光として、集光レンズ20から出射される。
点光源21および集光レンズ20は、フレネルレンズパターン12Aの光軸Oと同軸であって、集光レンズ20から出射される光の光学的な発光位置が、フレネルレンズパターン12Aの焦点位置に一致するように配置される。すなわち、点光源21の発光点は、フレネルレンズパターン12Aおよび集光レンズ20で構成される光学系の合成焦点位置に一致するように配置される。
このとき、点光源21で発生した光は、集光レンズ20で集光され、照射角が低減された発散光になって、フレネルレンズパターン12Aに入射する。軸上光を除くと、この発散光の進行ベクトルは、フレネルレンズパターン12Aの凸環12aの配列方向(図中m方向、光軸Oに直交する径方向)成分とフレネルレンズパターン12Aの光軸Oに沿う方向(図中n方向、平滑面13の法線方向)成分とを有する。これらの軸外光は、フレネルレンズパターン12Aの各凸環12aの傾斜面12a’に入射すると、光軸Oに沿う方向と平行になるように屈折し、図6中にZで示す矢印のように、平滑面13から出射する。すなわち、光の向きが正面に向けて立ち上がる。軸上光は、フレネルレンズパターン12Aの平面部に入射してそのまま正面に向けて直進する。
フレネルレンズパターン12Aは、このような集光機能により正面輝度向上効果を奏する。
同心円状凹凸パターン形成面12には、同心円状プリズムパターンが形成されていてもよい。同心円状プリズムパターンは、頂角一定型同心円状プリズムパターンでもよいし、頂角変動型同心円状プリズムパターンでもよい。
ただし同心円状プリズムパターンに比べると、フレネルレンズパターン12Aの方がより集光機能が高く、正面輝度向上効果により優れる。また、フレネルレンズパターン12Aの方が光の向きを揃えやすく、光のロスも少ない。また、フレネルレンズパターン12Aの方が輝度ムラと正面輝度の両立効果にも優れる。
フレネルレンズパターン12Aの凸環12aのピッチ、凸環12aの傾斜面12a’の傾斜角度等は、集光レンズ20から出射される光の照射角に応じて設計される。すなわち、集光レンズ20から出射した光の好ましくは全光線について、すなわち、点光源21からの光の好ましくは全光線がフレネルレンズパターン12Aの光軸Oと平行になるように屈折して平滑面13から出射するように、設計されることが好ましい。
集光レンズ20から出射する光の照射角は、2〜50°であることが好ましく、5〜40°がより好ましく、10〜30°がさらに好ましい。該照射角が上記範囲の下限値以上であると、集光レンズ20から出射した光の広がりが充分であり、表面微細凹凸シート10Aから出射する光の輝度ムラがより解消されやすい。該照射角が上記範囲の上限値以下であると、フレネルレンズパターン12Aによって平行化されない成分が少なくなるため正面輝度向上効果に優れる。
たとえば、フレネルレンズパターン12Aの好ましいピッチ(凸環12a同士の頂部の径に沿う方向の間隔)は、5〜500μmである。該ピッチが上記範囲の下限値以上であると、フレネルレンズパターン12Aを良好に形成でき、上記範囲の上限値以下であると、照明光においてフレネルレンズパターン12Aの円環状の輝線がより視認されにくくなる。
[表面微細凹凸シートおよび表示装置用照明ユニット]
本実施形態例における表面微細凹凸シート10Aは、一方の表面の少なくとも一部に上述した波状凹凸パターンが形成され、波状凹凸パターンが形成された部分に対応する他方の表面の少なくとも一部に同心円状凹凸パターンとしてフレネルレンズパターン12Aが形成されている。
フレネルレンズパターン12Aは、点光源21が1つの場合には、1つだけでもよい。しかし、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aは、複数の点光源21を備えてもよい。この場合、フレネルレンズパターン12Aも複数の点光源21と同数設けられる。
以下、複数の点光源21を備える場合の本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの全体構成とともに、表面微細凹凸シート10Aの詳細構成について説明する。
図7は、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの構成を示す概略構成図であり、(a)は、表面微細凹凸シート10Aの波状凹凸パターン形成面11側からの概略平面図、(b)は(a)におけるB−B断面図、(c)は(a)におけるC−C断面図である。
ここで、B−B断面は、A方向に直交する断面であり、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な断面であって、後述するフレネルレンズパターン12Aの光軸OA2を含む断面を示す。C−C断面は、A方向に平行であってフレネルレンズパターン12Aの各光軸Oを含む平面による断面を示す。
図7(a)、(b)、(c)に示すように、表示装置用照明ユニット100Aは、表面微細凹凸シート10Aと、複数(図示例では3つ。)の点光源21が一直線状に並んで形成される1列の光源列21Aと、各点光源21から出射された光を集光する、各点光源21毎に設けられた複数(図示例では、点光源の数と同じ3つ。)の集光レンズ20とを有する。
このため、表面微細凹凸シート10Aにおけるフレネルレンズパターン12Aは、フレネルレンズパターン12A、12A、12Aの3つが図示されている。フレネルレンズパターン12A、12A、12Aの光軸は、それぞれ光軸OA1、OA2、OA3として図示されている。以下では、フレネルレンズパターン12A、12A、12Aをまとめてフレネルレンズパターン12A、光軸OA1、OA2、OA3をまとめて光軸Oという場合がある。
なお、図7においては、表示装置用照明ユニット100Aが具備する電源部、制御部、電源部および制御部を収納する筐体等の図示は省略している。
また、この例では、表示装置用照明ユニットの有する光源列21Aは1列であるが、2列以上であってもよい。また、少なくとも1列の光源列があれば、光源列外に、点光源が存在していてもよい。
表面微細凹凸シート10Aの波状凹凸パターンの主拡散方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向との成す角度が、図7(a)のように平面視した場合において、±20°の範囲内とされている。この例では、波状凹凸パターンの主拡散方向と、フレネルレンズパターン12Aの配列方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向とがいずれも図7(a)におけるA方向であり、互いに平行となっている。
また、表面微細凹凸シート10Aの同心円状凹凸パターン形成面12(フレネルレンズパターン12Aが形成されている面)側に、光源列21Aが配置されており、各点光源21から出射した光は集光レンズ20で集光された後、同心円状凹凸パターン形成面12から入射し、波状凹凸パターン(1A)が形成された波状凹凸パターン形成面11から出射するようになっている。
波状凹凸パターンの主拡散方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向との成す角度は、±10°の範囲内が好ましく、±5°の範囲内がより好ましく、0°(すなわち、平行。)であることがさらに好ましい。また、フレネルレンズパターン12Aの凸環12aの中心部の配列方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向との成す角度は、図7(a)のように平面視した場合において、±20°の範囲内が好ましく、±10°の範囲内がより好ましく、±5°の範囲内がさらに好ましく、0°(すなわち、平行。)であることが最も好ましい。
なお、たとえば、点光源が縦横に複数ずつ並んでいる場合には、縦の列および横の列のいずれか一方の配列方向と、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの主拡散方向との成す角度が、上記範囲内であればよい。
表面微細凹凸シート10Aの厚みは、接触式膜厚計で測定した厚みとして、20〜5000μmの範囲が好ましく、50〜3000μmがより好ましい。
表面微細凹凸シート10Aの材質については、後述する。
[表面微細凹凸シートの製造方法]
本実施形態例における1層構造の表面微細凹凸シート10Aは、たとえば、以下の製造方法(A)により製造できる。また、多層構造の表面微細凹凸シートは、たとえば、以下の製造方法(B)により製造できる。また、製造方法(A)の一部と製造方法(B)の一部とを組み合わせた方法によっても製造できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1A)の形成には、特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等を参照できる。
(製造方法(A))
製造方法(A)は、以下の工程(a1)、工程(a2)および工程(a3)を有する。
工程(a1):
波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を表面に有する原版(W)を製造する工程(a1)。
工程(a2):
フレネルレンズパターンの転写形状(反転形状)を表面に有する原版(L1)を製造する工程(a2)。
工程(a3):
原版(W)の上記転写形状が形成された面と、原版(L1)の上記転写形状が形成された面との間に、樹脂又は樹脂組成物を射出する射出成形法により、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成され、他方の面にフレネルレンズパターンが形成された表面微細凹凸シートを得る工程(a3)。
工程(a1):
工程(a1)としては、たとえば、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑で少なくとも1種の樹脂を主成分とする(好ましくは当該樹脂から構成される)硬質層を少なくとも1層積層させて、積層フィルムを得る工程(a1−1)と、積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)が形成された凹凸パターン形成シートを得る工程(a1−2)と、該凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面にニッケル等の金属を堆積させた後に剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状が転写された原版(W)を得る工程(a1−3)とを有する工程等が挙げられる。
なお、硬質層は、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる温度条件下で軟化しない層である。軟化しないとは、硬質層のヤング率が100MPa以上であることを意味する。
工程(a1−1):
加熱収縮性樹脂フィルムとは、80〜180℃の温度で加熱した際、特定の方向に収縮(シュリンク)するフィルムのことを意味する。このようなフィルムを構成する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。また、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどの樹脂から構成されるフィルムも挙げられる。当該樹脂は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
耐熱性の点では、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルムが好ましい。
本実施形態例では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルムを用いる。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
加熱収縮性樹脂フィルムは、延伸倍率1.1〜15倍で延伸されていることが好ましく、1.3〜10倍で延伸されていることがより好ましい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が5%以上80%以下のフィルムが好ましい。収縮率が前記下限値以上であれば、凹凸パターン形成シートをより容易に製造できる。収縮率が上限値を超える加熱収縮性樹脂フィルムは製造が困難である。
本明細書において、収縮率とは、下記で定義される。
(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}×100/(収縮前の長さ)(ただし、長さは加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さである。)
加熱収縮性樹脂フィルムは、硬質層を容易に形成できることから、表面が平滑であることが好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂(以下、「樹脂L」ともいう。)のガラス転移温度Tgは、−40〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。ガラス転移温度は示差熱分析等により測定できる。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。すなわち、Tgが上記範囲内であれば、樹脂Lから構成される加熱収縮性樹脂フィルムを80〜180℃の温度で加熱収縮させることができるため、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
加熱収縮性樹脂フィルムの厚みは20〜500μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、破れにくく薄型化もできる。なお、厚みは、得られた凹凸パターン形成シートをシート面に対して垂直に切った断面(縦断面)の顕微鏡写真から、10カ所以上無作為に抽出して、加熱収縮性樹脂フィルムの厚さを測定した際の、得られた各数値の平均値である。
樹脂Lのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度、すなわち、80〜180℃の温度範囲において、0.01〜100MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましい。樹脂Lのヤング率が前記下限値以上であれば、実用上使用可能な硬さであり、前記上限値以下であれば、硬質層が変形する際に同時に追従して変形可能な軟らかさである。
上述のようなTgおよびヤング率を有する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの1種以上を好適に使用できる。
硬質層を構成する樹脂(以下、「樹脂M」ともいう。)としては、例えば、アクリル系樹脂が挙げられる。当該アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体などが挙げられる。また、スチレン−アクリロニトリル共重合体などの樹脂も使用することができる。樹脂Mは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂Mは、凹凸パターン形成シートを容易に形成できる点では、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと樹脂Lのガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)が10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mは、40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2Mが前記範囲内であれば、凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
樹脂Mのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度(80〜180℃)において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂Mのヤング率が上記下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1A)の形状を維持するのに充分な硬さであり、上限値以下であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
硬質層の厚さは、0.05μmを超え10.0μm以下とすることが好ましく、0.1〜8.0μmがより好ましく、0.5〜5.0μmとすることがさらに好ましい。硬質層の厚さを上記範囲にすることにより、光拡散性の点で、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが適切な範囲となる。
硬質層の厚さは連続的に変化していても構わない。硬質層の厚さが連続的に変化している場合には、工程(a1−2)後に形成される波状凹凸パターン(1A)のピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。
硬質層を設け、積層フィルムを得る方法としては、樹脂Mを含む硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに連続的に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
硬質層形成用塗料の調製方法としては、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等の1種以上の溶媒で、樹脂Mを希釈する方法等が挙げられる。硬質層形成用塗料の固形分濃度(樹脂Mの濃度:硬質層形成用塗料の質量(100質量%)に対して、該塗料中の溶媒が揮発した後に残る固形分の質量の比率)は、塗料の総質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
塗料の塗工方法としては、たとえば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風、赤外線等を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜10g/mにすることが好ましい。上記範囲内であれば、硬質層の厚みを上記好ましい範囲にとすることができ、硬質層に、波状凹凸パターン(1A)を形成しやすい。
工程(a1−2):
工程(a1−2)では、工程(a1−1)で得られた積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)と同じパターンが形成された凹凸パターン形成シートを得る。
工程(a1−2)では、5%以上の収縮率で収縮させることが好ましい。収縮率を30%以上にすると、収縮不足の部分(たとえば凹凸が充分に形成されない部分、アスペクト比が充分には大きくない部分等。)を小さくすることができる。一方、収縮率を大きくし過ぎると、得られる凹凸パターン形成シートの面積が小さくなり、歩留まりが低下するため、収縮率の上限は80%が好ましい。
積層フィルムを加熱する方法としては、熱風、蒸気、熱水または遠赤外線中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風または遠赤外線に通す方法が好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを熱収縮させる際の加熱温度は、使用する加熱収縮性樹脂フィルムの種類、目的とする凹凸パターン形成シートの凸条部の平均ピッチやアスペクト比に応じて適宜設定することが好ましい。
具体的には、該加熱温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tg以上の温度にすることが好ましい。Tg以上の温度で熱収縮させると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
また、該加熱温度は、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M+15℃)未満であることが好ましい。
工程(a1−2)の好適な一例としては、上述の工程(a1−1)で得られた積層フィルムを好ましくは80〜180℃、より好ましくは120〜170℃の熱風の中を通過させることにより、加熱収縮性フィルムと硬質層とを変形させて、凹凸パターン形成シートを得る工程であることが好ましい。
積層フィルムを加熱する時間は、1〜3分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。
熱風の風速は、1〜10m/sが好ましく、2〜5m/sがより好ましい。
なお、工程(a1−2)においては、上記のように積層シートを熱収縮させた後、光拡散性の調整のため、積層シートをその収縮方向と反対方向に延伸してもよい(後述の他の製造方法および他の実施形態例における工程(a1−2)でも同様)。
工程(a1−3):
工程(a1−3)は、上述の工程(a1−2)で得られた凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面に、たとえばニッケル等の金属を公知の電気鋳造法等で堆積させ、その後、該金属を剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が転写された金属製の原版(W)を得る工程である。
なお、耐熱性等の観点からは、原版(W)の材質はニッケル等の金属が好適であるが、樹脂等であってもよい。また、原版(W)は、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を有しているものであればよく、上記のような転写を2回以上繰り返して得たもの等であってもよい。
工程(a2):
工程(a2)は、金属板等の板材の表面に、加工することにより、フレネルレンズパターンの転写形状を表面に有する原版(L1)を製造する工程である。当該加工とは、例えば、バイト(切削工具)による切削加工、砥石による研削加工等が挙げられる。該転写形状は、製造する表面微細凹凸シートにおけるフレネルレンズパターンの反転形状である。また、原版(L1)は、フレネルレンズパターンの転写形状を有しているものであればよく、上記加工により形成されたパターンをさらに1回以上転写して得たもの等であってもよい。
工程(a3):
工程(a3)では、原版(W)の上記転写形状が形成された面と、原版(L1)の上記転写形状が形成された面との間に、公知の射出成形法により透明な樹脂又は当該樹脂組成物を射出する。これにより、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成され、他方の面にフレネルレンズパターンが形成された1層構造の本実施形態例における表面微細凹凸シートが得られる。
射出をする代表的な透明樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂など、およびこれらを一つ以上含む共重合体やポリマーブレンド、複合材料などの一種以上を使用できる。
(製造方法(B))
表面微細凹凸シートが多層構造である場合には、たとえば電離放射線硬化性樹脂を用いたナノインプリント法を用いた方法により製造できる。
具体的には、上記工程(a1−1)および工程(a1−2)と同様にして、表面に波状凹凸パターン(1A)と同じパターンが形成された凹凸パターン形成シートを得る。ついで、該凹凸パターン形成シートにおける波状凹凸パターン(1A)が形成された面に、離型剤を含む未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物をたとえば3〜30μmの厚さに収まるように、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーターなどのコーターで塗布し、その上に、PET等の基材を配置する。そして、電離放射線を照射して硬化させた後、凹凸パターン形成シートを剥離して、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が形成された、電離放射線硬化性樹脂硬化物と基材とからなる1次転写品(スタンパ)を得る。
一方、PET等を主成分とする透明な基材を別途用意し、その片面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物を塗布する。ここで塗布する厚さは、上記1次転写品における波状凹凸パターン(1A)の転写形状の凹凸を充分に覆える厚さとする。そして、塗布された未硬化の電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物の層に対して、上記1次転写品における波状凹凸パターン(1A)の転写形状が形成された面を押し当て、その状態のまま、電離放射線を照射して硬化させた後、1次転写品を剥離する。
このように1次転写品をスタンパとして使用することにより、PETを材料とする透明な基材と、その片面上に形成された透明な電離放射線硬化性樹脂硬化物の層から構成される2層構造のシートが得られる。電離放射性硬化性樹脂硬化物の層の表面には、波状凹凸パターン(1A)が形成されている。なお、ここでのスタンパとしては、1次転写品に限定されず、転写をさらに繰り返して得たものであってもよい。
電離放射線としては、一般には紫外線および電子線を意味することが多いが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含む。
一方、上記工程(a2)と同様に、フレネルレンズパターンの転写形状を表面に有する原版(L1)を製造する。
ついで、上記で得られた2層構造のシートの電離放射線硬化性樹脂硬化物の層が形成されていない側の面に、未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物をフレネルレンズパターンの転写形状を充分に覆える厚さで塗布する。そして、塗布された未硬化の電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物の層に対して、先に得られた原版(L1)のフレネルレンズパターンの転写形状を有する面を押し当て、その状態のまま、電離放射線を照射して硬化させた後、原版(L1)を剥離する。電離放射線の照射は、原版(L1)の設けられていない側から行う。
このように原版(L1)をスタンパとして使用することにより、PET等を材料とする透明な基材の他方の面に、フレネルレンズパターンを形成できる。その結果、波状凹凸パターン(1A)を有する電離放射性硬化性樹脂硬化物から構成される層、PET等の基材、フレネルレンズパターンを有する電離放射性硬化性樹脂硬化物から構成される層、がこの順で形成された3層構造の表面微細凹凸シートが得られる。なお、ここでのスタンパとしては、原版(L1)に限定されず、原版(L1)におけるフレネルレンズパターンの転写をさらに繰り返して得たものであってもよい。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。未硬化の電離放射線硬化性樹脂とともに、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を併せて使用してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を併せた樹脂組成物を使用することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、たとえば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、たとえば液状の未硬化の熱硬化性樹脂又は当該樹脂組成物を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
スタンパによる転写の具体的な方法については、たとえば、特開2012−022292号公報等を参照できる。
(その他の方法)
表面微細凹凸シートは、たとえば、上記製造方法(A)の一部と、上記製造方法(B)の一部とを適宜組み合わせた方法によっても製造できる。たとえば、上記工程(a1−2)により、表面に波状凹凸パターン(1A)が形成された凹凸パターン形成シートを得る。一方、製造方法(B)において説明したように、PET等の基材の片面に、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなり、表面にフレネルレンズパターンを有する層を備えた積層体を製造する。そして、一方の表面に波状凹凸パターン(1A)が位置し、他方の表面にフレネルレンズパターンが位置するように、凹凸パターン形成シートと、積層体とを貼り合せる。このような方法でも、表面微細凹凸シートを製造できる。
次に、以上に説明した表示装置用照明ユニット100Aの作用について説明する。
表示装置用照明ユニット100Aにおいて、各点光源21から出射した光は、それぞれが集光レンズ20で集光され、フレネルレンズパターン12Aが形成された同心円状凹凸パターン形成面12に入射する。そして、先に図6を用いて説明したように、同心円状凹凸パターン形成面12に入射した光は、フレネルレンズパターン12Aの凸環12aを透過することによって、光軸Oに沿う方向に平行に屈折される。すなわち、各フレネルレンズパターン12A、12A、12Aで屈折された光軸OA1、OA2、OA3に平行な光が表面微細凹凸シート10Aの内部を透過して、波状凹凸パターン形成面11から出射する。
波状凹凸パターン形成面11における波状凹凸パターン(1A)は、主として屈折によって入射光を拡散する。
光の進行ベクトルのうち、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に延びる表面微細凹凸シート10Aに対する垂直面に平行な成分(以下、配列方向成分)は、波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向における拡散作用によって拡散する。この配列方向成分の拡散方向は、光軸Oに平行な方向と、光軸Oに対して種々の角度をもつ斜め方向とになる。
一方、光の進行ベクトルのうち、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの延在方向に延びる表面微細凹凸シート10Aに対する垂直面に平行な成分(以下、延在方向成分)は、波状凹凸パターン(1A)の低拡散方向における拡散作用によって拡散する。この延在方向成分の拡散方向も、光軸Oに平行な方向と、光軸Oに対して種々の角度をもつ斜め方向とになる。ただし、延在方向成分の拡散角度範囲は、配列方向成分の拡散角度範囲よりも狭くなっており、光軸Oに対してより浅い角度範囲にとどまる。このため、延在方向成分の出射光は、主として表面微細凹凸シート10Aの法線方向(厚さ方向)に平行な光成分となる。
表面微細凹凸シート10Aの法線方向(厚さ方向)に平行な光は、正面輝度の向上に寄与する。また、波状凹凸パターン形成面11側からみて、点光源21と点光源21の間等の光源が存在しない部分において、表面微細凹凸シート10Aの法線方向に平行な光が生じることにより、輝度ムラ解消効果が得られる。また、表面微細凹凸シート10Aの法線方向から傾いた成分は、視野角の拡大に寄与する。
また、本実施形態例では、表面微細凹凸シート10Aが不規則な波状凹凸パターン(1A)を有するため、その不規則性によって特定の拡散方向における輝度が偏ることが低減される。したがって、照明光を斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制される。
さらに、照明光を斜め方向から見た時の輝度ムラは、表示装置用照明ユニット100Aが集光レンズ20を備えることによっても抑制される。
光が、集光レンズ20を介することなく、点光源21から直接的にフレネルレンズパターン12Aに入射すると、像高の高いフレネルレンズパターン12Aの外周領域の入射光の入射角度が大きくなる。たとえばLED光源の照射角は120°程度であるため、この場合には入射角度は約60°になる。
このように広角入射する場合、たとえば組立誤差等によって、点光源21の光軸が傾いたり、光軸Oの軸外にずれたりすることで、フレネルレンズパターン12Aの外周領域における拡散方向が設計値から大きくずれやすくなる。すなわち、正面方向に対する斜め方向から見た輝度ムラが大きくなる。
これに対して、集光レンズ20は、点光源21の照射角よりも狭い照射角で光を形成する。このため、集光レンズ20がない場合に比べるとフレネルレンズパターン12Aの外周領域における入射光の入射角度が浅くなる。この結果、たとえば組立誤差等によって、点光源21の光軸が傾いたり、光軸Oの軸外にずれたりしても、拡散方向の設計値からのずれが少なくなる。このため、集光レンズ20は、正面方向に対する斜め方向から見た輝度ムラを抑制する作用を有している。
このように本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aは、正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、主拡散方向および低拡散方向に適切な視野角を有する。
特に、表面微細凹凸シート10Aの波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向とが、図7(a)のように平面視した場合において、±20°の範囲内であるため、点光源21の配列方向の拡散角度が大きくなる。これにより、点光源21が有る位置と、点光源21間の光源が無い位置とにおける輝度の差(輝度ムラ)を効果的に抑制できる。一方で、輝度ムラ抑制の要求が大きくない場合が多い、点光源21の配列方向と直交する方向については、波状凹凸パターン(1A)の低拡散方向を対応させて拡散角度を適度に抑制することによって、拡散角度を高めることによる輝度の低下を抑制できる。
本施形態例の表示装置用照明ユニット100Aは、このような特性を有するため、ゆるやかな曲面状に形成された自動車のフロントガラスに、走行速度などの画像情報を拡散させつつ鮮明に表示させるヘッドアップディスプレイシステム等の表示装置への使用に適している。
図7(c)に示すように、本実施形態例のヘッドアップディスプレイシステム200A(表示装置)は、画像信号に基づいて表示画素の透過率が制御される液晶パネル23と、液晶パネル23に照明光を照射する本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aと、を備える。
ヘッドアップディスプレイシステム200Aは、表示装置用照明ユニット100Aによって、正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、一方向だけでなくこれと直交する方向においても、それぞれ適切な視野角を有する照明光が照射される。このため、種々の方向から見ても良好な画像が表示される。
なお、本実施形態例において、表面微細凹凸シート10Aのどちらの面側に光源列21Aを配置するかは、目的に応じて設定できる。波状凹凸パターン(1A)が光源列21A側と反対の側にあると、輝度ムラ解消効果および正面輝度向上効果が高く、波状凹凸パターン(1A)が光源列21A側にあると、視野角確保効果が高い。
[第1変形例]
上述した第1実施形態例における第1変形例の表示装置用照明ユニット100Bについて説明する。
図8は、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Bの構成を示す概略構成図であり、(a)は、表面微細凹凸シート10Bの波状凹凸パターン形成面11側からの概略平面図、(b)は(a)におけるD−D断面図、(c)は(a)におけるE−E断面図である。
ここで、D−D断面は、A方向に直交する断面であり、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な断面であって、後述するフレネルレンズパターン12Bの光軸Oを含む断面を示す。E−E断面は、A方向に平行であってフレネルレンズパターン12Bの光軸Oを含む平面による断面を示す。
図8(a)、(b)、(c)に示すように、本変形例の表示装置用照明ユニット100Bは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Bを備える。表示装置用照明ユニット100Bは、上記第1実施形態例のヘッドアップディスプレイシステム200Aにおける表示装置用照明ユニット100Aに代えて用いられてもよい。
以下、上記第1実施形態例と異なる点を中心に説明する。
表面微細凹凸シート10Bは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aにおけるフレネルレンズパターン12Aよりも直径が大きいフレネルレンズパターン12Bを同心円状凹凸パターン形成面12に備える。
図8に示す例では、フレネルレンズパターン12Bは、A方向における3個構成の光源列21Aに対して1つ配置されている。フレネルレンズパターン12Bの光軸Oは、3個構成の光源列21Aのうちの中央の点光源21の光軸と同軸に配置されている。
このような構成によれば、光源列21Aの中央の点光源21から出射される光は上記第1実施形態例と同様に正面に出射される。
一方、光源列21Aの配列方向における両端部の点光源21から射される光は、軸外光としてフレネルレンズパターン12Bに入射するため、光軸Oに対して斜めに交差する直線に平行な光として外部に出射される。すなわち、これらの光は、光軸Oに交差してX字状に進む。
この場合、各点光源21の配列ピッチが適宜の範囲内であれば、光の進行方向の角度差は少ないため、波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向における拡散作用によって、出射方向の差がならされる。このため、上記第1実施形態例と同様な照明光を形成できる。
[第2変形例]
上述した第1実施形態例における第2変形例の表示装置用照明ユニット100Cについて説明する。
図9は、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Cの構成を示す概略構成図であり、(a)は、表面微細凹凸シート10Cの波状凹凸パターン形成面11側からの概略平面図、(b)は(a)におけるF−F断面図、(c)は(a)におけるG−G断面図である。
ここで、F−F断面は、A方向に直交する断面であり、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な断面であって、後述するフレネルレンズパターン22Cの光軸Oを含む断面を示す。G−G断面は、A方向に平行であってフレネルレンズパターン12Cの光軸Oを含む平面による断面を示す。
図9(a)、(b)、(c)に示すように、本変形例の表示装置用照明ユニット100Cは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Cを備える。表示装置用照明ユニット100Cは、上記第1実施形態例のヘッドアップディスプレイシステム200Aの表示装置用照明ユニット100Aに代えて用いられてもよい。
以下、上記第1実施形態例と異なる点を中心に説明する。
表面微細凹凸シート10Cは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aにおける同心円状凹凸パターン形成面12に代えて、同心楕円状凹凸パターン形成面22を備えて構成されている。
同心楕円状凹凸パターン形成面22には、たとえば、種々のフレネルレンズパターン、および同心楕円状プリズムパターンが形成されていてもよい。同心楕円状プリズムパターンは、頂角一定型同心楕円状プリズムパターンでもよいし、頂角変動型同心楕円状プリズムパターンでもよい。
図9に示す例では、表面微細凹凸シート10Cは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aの3つのフレネルレンズパターン12Aに代えて、フレネルレンズパターン22Cを備える。
フレネルレンズパターン22Cは、A方向に長軸が延び、A方向に直交する方向に短軸が延びる扁平な同心楕円状の閉曲線群に沿って延びる複数の凸環22cで構成される。
フレネルレンズパターン22Cは、各点光源21にそれぞれ1つずつ対向して配置されていてもよい。ただし、図9に示す例では、フレネルレンズパターン22Cは、A方向における3個構成の光源列21Aに対して1つ配置されている。フレネルレンズパターン22Cの光軸Oは、3個構成の光源列21Aのうちの中央の点光源21の光軸と同軸に配置されている。
フレネルレンズパターン22Cは、対向して配置された3つの点光源21および集光レンズ20から出射された光を照明光として出射するフレネルレンズである。
フレネルレンズパターン22Cの凸環22cは、例えば、楕円体などからなるレンズに対応するレンズ面を同心楕円状に分割して形成されている。
このような構成によれば、光源列21Aの各点光源21から出射される光は、集光レンズ20で集光された後、フレネルレンズパターン22Cに入射する。フレネルレンズパターン22Cは、入射光のおけるA方向およびA方向に直交する方向においてそれぞれ異なる屈折力を有する。このため、フレネルレンズパターン22Cに入射した光は、フレネルレンズパターン22Cの屈折力に応じてさらに集光されてから波状凹凸パターン(1A)に入射する。波状凹凸パターン(1A)は、入射光を、主拡散方向および低拡散方向におけるそれぞれの拡散特性に応じて拡散する。
本変形例によれば、フレネルレンズパターン22Cの屈折力を、点光源21の照射角の異方性、もしくは波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向および低拡散方向における拡散特性に応じて適宜設定することにより、輝度分布、視野角の調整などが容易となる。
〔第2実施形態例〕
次に、第2実施形態例の表示装置用照明ユニットについて説明する。
図7(a)に示すように、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Dは、上記第1実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Dを備える点のみが異なる。図7(c)に示すように、表示装置用照明ユニット100Dは、液晶パネル23とともに、ヘッドアップディスプレイシステム200D(表示装置)を構成することができる。
図10は、第2実施形態例における表面微細凹凸シート10Dの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。
表面微細凹凸シート10Dは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aとは、波状凹凸パターン形成面11に形成された波状凹凸パターンのみが異なる。すなわち、表面微細凹凸シート10Dの波状凹凸パターン形成面11には、上述の波状凹凸パターン(1A)ではなく、上述の波状凹凸パターン(2)(すなわち、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターン)が形成されている。以下では、表面微細凹凸シート10Dにおける波状凹凸パターン(2)を特に波状凹凸パターン(2A)という。
表面微細凹凸シート10Dにおいても、たとえば表面微細凹凸シート10Dの他方の面には、同心円状凹凸パターンとしてフレネルレンズパターン12Aが形成されている点等、その他の点は第1実施形態例と同様である。
表面微細凹凸シート10Dが有する波状凹凸パターン(2A)は、図10に示すように、波状凹凸パターン形成面に沿って折れ曲がりながら、特定の方向に沿わずに延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とにより形成されている。凸条部は、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。また、各凹条部は、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(2A)の凸条部の平均ピッチおよびアスペクト比等の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例と同様である。
なお、平均ピッチは、次の方法で求めることが好適である。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(たとえば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−279597号公報の段落[0002]等に記載されており、これを参照できる。
波状凹凸パターン(2A)は、上述のように、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターンであり、光拡散性の異方性が弱められている。そのため、第1実施形態例と比較すると、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい。
しかしながら、波状凹凸パターン(2A)の主拡散方向と、フレネルレンズパターン12Aの配列方向と、光源列21Aの点光源21の配列方向とのなす角度が波状凹凸パターン(2A)を平面視した場合において±20°の範囲内である点等は、第1実施形態例と同様である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば2〜20°であることが好ましく、3〜10°であることがより好ましい。
一方、低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば1〜10°であることが好ましく、2〜7°であることがより好ましい。
波状凹凸パターン(2A)の主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、上記第1実施形態例と同様、上記平均ピッチ、アスペクト比等を調整すること等により制御できる。
表面微細凹凸シート10Dの好ましい厚み等は、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
表面微細凹凸シート10Dは、1層構造でも、2層以上の多層構造であってもよい。
また、表面微細凹凸シート10Dは、概略、第1実施形態例と同様の方法で製造できる。ただし、第2実施形態例では、上述した工程(a1−1)において、加熱収縮性樹脂フィルムとして、2軸延伸フィルムを用いる。2軸延伸フィルムを用いることにより、図10に示すような特定の方向に沿わない凹凸が形成される。また、使用する2軸延伸フィルムの縦延伸倍率および横延伸倍率を調整し、縦収縮率および横収縮率を調整することにより、主拡散方向の拡散角度と、低拡散方向の拡散角度とのバランスが適宜調整された波状凹凸パターン(2A)を形成できる。縦収縮率および横収縮率の好ましい各範囲は、各々、第1実施形態例における収縮率の好ましい範囲と同じである。加熱収縮性樹脂フィルムの材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(2A)の形成には、特開2008−304651号公報(特許第5098450号公報)等を参照できる。
次に本実施形態例において、波状凹凸パターン(2A)のより好ましい凹凸のプロファイルの条件について、本発明者等の検討内容とともに説明する。
本発明者等は、種々の表面微細凹凸シートサンプルの凹凸形状をレーザー顕微鏡を用いて詳細に観察した。図11(a)は本実施形態例における表面微細凹凸シート10Dの一サンプルの波状凹凸パターン形成面11をレーザー顕微鏡(キーエンス社製「VKーX110」)で観察したレーザー顕微鏡写真である(横; 780μm、縦; 570μm)。図11(b)は図11(a)における主拡散方向であるY方向(図7(a)におけるA方向と同方向)に延びる線αに沿って切断した高さプロファイルを示している。
たとえば、図11(b)の高さプロファイルにおいて1.8μm間隔の各点において接線を引く、その状況を図12(a)に模式的に示した。図12(a)は波状凹凸パターンの断面の高さプロファイルの一部において、1.8μm間隔の各点(接点)において接線を引いた例の状態を示す。図12(b)は、図12(a)中の点Uの近傍を拡大して接線の傾きを説明するための模式的な拡大図である。
点Uでの接線の傾きAから点Uにおけるスロープ角θを、下記式(D1)により定義する。ここで、点Uでの接線の傾きAは、図12(b)に示す底辺1.8μmの直角三角形の斜辺の傾きであり、A=高さ(μm)/1.8μmとして求められる。なお、直角三角形の高さは傾きの正負に対応して正負の値を持つものとする。
=tanθ ・・・(D1)
本発明者等の検討によれば、観察対象サンプルの波状凹凸パターンの平均ピッチが5〜50μm、平均高さが0.3〜10μmである表面微細凹凸シートの場合、接線を1.8μm間隔で引くことが適切であった。
1.8μmより大きい間隔、たとえば2.0μm以上で接線を引いた場合、波状凹凸パターンのスロープ角を正確に解析できないため好ましくない。また1.8μmよりも小さい間隔、たとえば、1.7μm以下で接線を引いた場合、波状凹凸パターンのスロープ角をより精密に解析できる方向になるはずであるが、本発明者等の試行によれば数値的な影響は殆どなかった。
なお、最頻ピッチが5μmを下回るときは、接線の間隔を1.8μm以下にすることがより好ましい。たとえば、接線の間隔を最頻ピッチの1/4倍以下程度に設定することが好ましい。
なお、接線の傾きAが負の値のときは、正の値に返してからスロープ角θUを求める。
本発明者等の検討では、図11(a)における線αに平行に0.13μm間隔でとった線毎に高さプロファイルをとり、各高さプロファイルについて1.8μm間隔でスロープ角θを算出した。こうして図11(a)に示す観察視野内の全体にわたって取得された高さプロファイルから、各点Uにおけるスロープ角θを算出し、データを蓄積した。
なお、図11(a)に示す波状凹凸パターンは、一見すると、互いに蛇行する複数の凸条部と、前記複数の凸条部間の凹条部を有する波状凹凸パターンには見えないところがある。しかし、写真上は平らな形状を有するように見える領域も、レーザー顕微鏡により、高さプロファイルをとると、微細凹凸形状を呈しており、互いに蛇行する複数の凸条部と、前記複数の凸条部間の凹条部を有する波状凹凸パターンを形成していることが確かめられている。
このようにして、本発明者等は輝度分布を有する表面微細凹凸シートにおけるスロープ角を測定することにより、表面微細凹凸シートにおける主拡散方向(図示Y方向)および低拡散方向(図示X方向)における平均スロープ角θ、θが、相対正面輝度と負の相関関係を有することを見出した。すなわち、平均スロープ角θ(θ)が小さいと相対正面輝度が上昇し、平均スロープ角θ(θ)が大きいと相対正面輝度が低下する。
たとえば、図13、図14に示すグラフは、Y方向およびX方向における輝度分布の半値全幅FWHM、FWHMがそれぞれ20°、10°の表面微細凹凸シートのサンプルのスロープ角の各頻度分布グラフの一例を示す。図13は表面微細凹凸シートのY方向について、上記方法で解析したときの接線のスロープ角θの頻度分布グラフである。図14は表面微細凹凸シートのX方向について、上記方法で解析したときの接線のスロープ角θの頻度分布グラフである。
図13から分かるように、輝度分布のFWHMが20°と広いY方向におけるスロープ角θに関しては、たとえば、65°程度の大きなスロープ角θの頻度が高くなっている。図14から分かるように、輝度分布のFWHMが10°と狭いX方向におけるスロープ角θに関しては、スロープ角θが小さくなるほど頻度が低くなっている。
この結果から、平均スロープ角θ(θ)が小さいと相対正面輝度が上昇し、平均スロープ角θ(θ)が大きいと相対正面輝度が低下することが予想される。
そこで、下記式(D2)で定義される平均スロープ角θ、θの平均値θaveと相対正面輝度との関係を調べた。
θave=(θ+θ)/2 ・・・(D2)
図15に、相対正面輝度が異なる種々の表面微細凹凸シートサンプルにおける平均値θaveと相対正面輝度との関係をグラフにして示す。
図15から分かるように、平均スロープ角θ、θの平均値θaveと相対正面輝度との関係は、右下がりの曲線で表され、平均値θaveが増大すると相対正面輝度が減少し、平均値θaveが減少すると相対正面輝度が増大する。
この結果から、平均値θaveが13.5°以下であれば、十分な相対正面輝度(1以上)が得られることが分かった。また、十分な相対正面輝度を得るためには、平均値θaveが11.5°以下であることが好ましく、より良い相対正面輝度を得るためには平均値θaveが9.5°以下であることがより好ましい。
さらに、本発明者等は平均スロープ角θとY方向の視野角が負の相関関係を有し、かつ平均スロープ角θが2.4°以上であれば、十分なY方向の視野角が得られることを見出した。なお、平均スロープ角θとX方向の視野角についても負の相関関係を示すが、平均スロープ角θが何度であっても(つまり0°以上であれば)、十分なX方向の視野角が得られることが分かった。
なお、平均スロープ角θの上限値については、12°以下がより好ましく、10°以下がさらに好ましく、8°以下が特段好ましい。また、平均スロープ角θの上限値については、8°以下がより好ましく、7°以下がさらに好ましく、6°以下が特段好ましい。
一般的にディスプレイはディスプレイの長手方向、たとえば方向Yおよび前記方向Yに対して略直交する方向Xにおいて同等の視野角を必要とする場合が少ない。そのため、本発明において表面微細凹凸シートのX方向の平均スロープ角は何度であっても、十分なX方向の視野角が得られたと本発明者等は考える。
以上のことから、表面微細凹凸シートにおいて、θave≦13.5°、θ≧2.4°を同時に満たすことが、相対正面輝度と視野角とを良好にする点でより好ましいことが分かる。このため、このような条件を満足する表面微細凹凸シートを用いた表示装置用照明ユニットは、プロジェクター用の配光制御部材や液晶ディスプレイのバックライト用の配光制御部材としてより好適である。
〔第3実施形態例〕
次に、第3実施形態例の表示装置用照明ユニットについて説明する。
図7(a)に示すように、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Eは、上記第1実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Eを備える点のみが異なる。図7(c)に示すように、表示装置用照明ユニット100Eは、液晶パネル23とともに、ヘッドアップディスプレイシステム200E(表示装置)を構成することができる。
図16は、第3実施形態例における表面微細凹凸シート10Eの波状凹凸パターン形成面11の光学顕微鏡画像である。図17は、第3実施形態例における表面微細凹凸シート10Eの波状凹凸パターンを示す模式的な縦断面図である。
表面微細凹凸シート10Eは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aとは、波状凹凸パターン形成面11に形成された波状凹凸パターンのみが異なる。すなわち、表面微細凹凸シート10Eの波状凹凸パターン形成面11には、上述の波状凹凸パターン(1)に該当するが、上述の波状凹凸パターン(1A)とは異なる波状凹凸パターン(1)が形成されている。以下では、表面微細凹凸シート10Eにおける波状凹凸パターン(1)を特に波状凹凸パターン(1B)という。
第1実施形態例における波状凹凸パターン(1A)は、図4に示したように、凸条部11aの縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。これに対して、本実施形態例における波状凹凸パターン(1B)は、図17に示すように、凸条部11bの縦断面形状において、先端側(頂部)と基端側とを結ぶ線が、微細な多数の凹凸を有する微細凹凸状である。波状凹凸パターン(1B)は、この点において第1実施形態例における波状凹凸パターン(1A)と異なる。微細な多数の凹凸は、後述の波状凹凸パターン(1−a)によるものである。
表面微細凹凸シート10Eにおいても、たとえば表面微細凹凸シート10Eの他方の面には、同心円状凹凸パターンとしてフレネルレンズパターン12Aが形成されている点等、その他の点は第1実施形態例と同様である。
図17に示すように、波状凹凸パターン(1B)は、凸条部32aと凹条部32bとから構成される波状凹凸パターン(1A)と、その上に形成された、凸条部33aと凹条部33bとから構成される別の微細な波状凹凸パターン(1−a)により形成されている。
波状凹凸パターン(1−a)は、筋状に延びる複数の凸条部33aと、該複数の凸条部33a間の複数の凹条部33bとが一方向に交互に繰り返されるパターンであって、波状凹凸パターン(1A)の凸条部32aの配列方向と、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの配列方向とはほぼ同じ方向である。
波状凹凸パターン(1−a)は、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部33aが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部33aの稜線が蛇行し、隣接する凸条部33aの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部33bが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部33bの谷線が蛇行し、隣接する凹条部33bの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−a)では、各凸条部33aの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部33aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−a)は、各凸条部33aの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部33aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部33aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部33aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部33bにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
凸条部32aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチは、0.3〜4μmであることが好ましく、0.4〜2μmであることがより好ましく、0.5〜2μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
凸条部33aの平均ピッチは、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチと同様の方法で求めることができる。すなわち、隣り合う凸条部33aが20本以上含まれる平面画像を得て、凸条部33aの20本分について、凸条部33aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求められる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(たとえば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、最頻ピッチの求め方として、たとえば国際公開第2014/002850号等に記載されており、これを参照できる。最頻ピッチと平均ピッチは、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.005〜0.4であることが好ましく、0.01〜0.1であることがより好ましい。アスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
波状凹凸パターン(1−a)のアスペクト比Aは、凸条部33aの平均高さ/平均ピッチで求められる値であって、概略、第1実施形態例において説明した波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比と同様の方法で求められる。
すなわち、図17において、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの高さは、両隣の2つの凹条部33bの底部から、凸条部33aの頂部までの距離の和の1/2である。ここで、凹条部33bの底から凸条部33aの頂部までの距離は、凸条部32aの頂部と、凹条部32bを結ぶ線に平行であり、かつ、凸条部33aの頂部を通過する仮想線に対して垂直方向の距離である。すなわち、波状凹凸パターン(1−a)を形成する凸条部33aの高さは、凸条部33aに対して一方側の凹条部33bの底部から計測した凸条部33aの高さをL、他方側の凹条部33bの底部から計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各凸条部33aの高さbを求める。
そして、50個の凸条部33aの高さRを測定し、それらの高さを平均して平均高さを求める。
表面微細凹凸シート10Eにおいて、波状凹凸パターン(1B)の主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、凸条部32aの配列方向にほぼ平行な図17中A方向である。
主拡散方向の拡散角度と、主拡散方向に対して垂直な低拡散方向の拡散角度との好ましい範囲およびより好ましい範囲は、それぞれ、第1実施形態例に説明した範囲と同様である。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)それぞれの凸条部11b,33aの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
表面微細凹凸シート10Eの好ましい厚み等は、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
表面微細凹凸シート10Eは、概略、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)では、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂を2種類(以下、「樹脂M1」および「樹脂N1」という。)使用する。このように2種類の樹脂を使用することにより、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)から構成される波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1B)の形成には、国際公開第2014/002850号等を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層の形成に用いる樹脂M1および樹脂N1としては、各々、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
樹脂M1および樹脂N1は、波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、ガラス転移温度が互いに異なることが好ましく、具体的には、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mが樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nよりも高いことが好ましい。さらには、(樹脂M1のガラス転移温度Tg2M)−(樹脂N1のガラス転移温度Tg2N)が10℃以上であることが好ましく、12℃以上であることがより好ましい。
一方、Tg2M−Tg2Nが20℃以下であることが好ましく、18℃以下であることがより好ましい。すなわち、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nとの差は、10〜20℃であることが好ましい。より好ましくは、12〜18℃である。
波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2N−Tg)が共に10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂M1および樹脂N1のガラス転移温度Tg2M,Tg2Nは共に40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2M,Tg2Nが上記範囲内であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
樹脂M1および樹脂N1のヤング率は、工程(a1−2)の温度、すなわち80〜180℃において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂M1および樹脂N1のヤング率が上記範囲の下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1B)の形状を維持するのに充分な硬さであり、ヤング率が上記範囲の上限値以下であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
硬質層の厚さは、第1実施形態例と同じ範囲が好ましく、厚さが連続的に変化していても構わない点も同様である。
硬質層を設ける方法としては、硬質層形成用塗料として、樹脂M1および樹脂N1を含む塗料を使用する点以外は、第1実施形態例と同様である。
なお、上記製造方法において、波状凹凸パターン(1B)の特性(ピッチ、アスペクト比等。)は、たとえば樹脂M1と樹脂N1の配合比率、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率を調整することで制御できる(たとえば、国際公開第2014/002850号等参照。)。
〔第4実施形態例〕
次に、第4実施形態例の表示装置用照明ユニットについて説明する。
図7(a)に示すように、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Fは、上記第1実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Fを備える点のみが異なる。図7(c)に示すように、表示装置用照明ユニット100Fは、液晶パネル23とともに、ヘッドアップディスプレイシステム200F(表示装置)を構成することができる。
図18は、第4実施形態例における表面微細凹凸シート10Fの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。図19は、本実施形態例における表面微細凹凸シート10Fの波状凹凸パターンを示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターンの凸条部の配列方向に沿って切断した模式的な縦断面図である。
表面微細凹凸シート10Fは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aとは、波状凹凸パターン形成面11に形成された波状凹凸パターンのみが異なる。すなわち、表面微細凹凸シート10Fの波状凹凸パターン形成面11には、上述の波状凹凸パターン(1)に該当するが、上述の波状凹凸パターン(1A)とは異なる波状凹凸パターン(1)が形成されている。以下では、表面微細凹凸シート10Fにおける波状凹凸パターン(1)を特に波状凹凸パターン(1C)という。
第1実施形態例における波状凹凸パターン(1A)は、図4に示したように、凸条部11aの縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。これに対して、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)は、図19に示すように、凸条部42aの縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線の途中に、外方に突出する複数の凸部43がランダムに形成されている。波状凹凸パターン(1C)は、この点において第1実施形態例における波状凹凸パターン(1A)と異なる。凸部43は、凹条部42b上や凸条部42aの頂部上に形成されていてもよい。
表面微細凹凸シート10Fにおいても、たとえば表面微細凹凸シート10Fの他方の面には、同心円状凹凸パターンとしてフレネルレンズパターンが形成されている点等、その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1C)は、凸条部42aおよび凹条部42bによる波状凹凸パターン(1A)とその上にランダムに形成された多数の凸部43とからなり、波状凹凸パターン(1A)は、主拡散方向への拡散を主に担い、該波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43は、該波状凹凸パターン(1A)による光拡散性の異方性を適度に弱め、低拡散方向の拡散角度を増加させる作用を奏する。
主拡散方向の拡散角度は、たとえば2〜20°であることが好ましく、3〜10°であることより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、たとえば1〜10°であることが好ましく、2〜7°であることがより好ましい。
なお、本実施形態例では、波状凹凸パターン(1A)上に凸部43が形成された態様が示されているが、凸部の代わりに凹部が形成されていてもよく、凹部も凸部と同じ作用を奏する。
凸条部42aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43の平均径は、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、4〜6μmがさらに好ましい。
凸部の平均径Dは、図18のような平面画像において、20個の凸部43を任意に選択し、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの配列方向に沿って、各凸部43の径(凸条部42aの配列方向に沿う最大長さ)を測定した各値を平均することで求められる。
平均径Dは、次の方法で求めることもできる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(たとえば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析により求める。この方法は、最頻径の求め方として、たとえば特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)に記載されており、これを参照できる。平均径と最頻径は、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、凸部43の平均径をそれぞれ上記範囲内で調整することにより、主拡散方向および低拡散方向それぞれの拡散角度を適度に制御できる。
凸条部42aの平均高さは、3〜7μmが好ましく、4〜6μmがより好ましい。凸条部42aの平均高さが上記範囲であると、光拡散性が充分に得られる。
本実施形態例において、凸条部42aの平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、図19のような縦断面図を得て、凸部43が存在していない部分の凸条部42aの断面図から、該凸条部42aの高さHを求める。具体的には、凸条部42aの高さHは、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの一方側に位置する凹条部42bの底部B11との垂直距離をH1とし、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの他方側に位置する凹条部42bの底部B21との垂直距離をH2とした場合に、H=(H1+H2)/2で求められる。
このような計測を凸部43が存在していない凸条部42aの50箇所に対して行い、50のデータの平均値を「凸条部の平均高さ」と定義する。
一方、凸部43の平均高さは、0.5〜5μmが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。凸部43の平均高さが上記範囲であると、波状凹凸パターンの光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を制御しやすい。
本実施形態例において、凸部43の平均高さは、以下のように測定、定義される。
図20は、第4実施形態例における表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンにおける凸部の平均高さを求める方法の説明図である。
まず、図19のような断面図を得て、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状と、凸部43に由来する形状とに波形分離する。なお、波形分離は、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状をサインカーブとして行う。ついで、図19の断面図から、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状を差し引き、図20に示すように、凸部43に由来する形状のみの断面図を得る。そして、図20の断面図において、凸部43の高さH’を、H’=(H1’+H2’)/2として求める。H1’は、図20の断面図において、凸部43の頂部T’と該凸部43の一方側のベースラインLαとの垂直距離であり、H2’は、凸部43の頂部T’と該凸部43の他方側のベースラインLβとの垂直距離である。
このような計測を50個の凸部43に対して行い、50のデータの平均値を「凸部の平均高さ」と定義する。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合は、30〜70%が好ましく、より好ましくは40〜60%、さらに好ましくは45〜55%である。凸部43の占有面積割合が上記範囲であると、波状凹凸パターン(1A)の光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を上記範囲に制御しやすい。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合γ(%)は、以下のように測定、定義される。
まず、図18のような光学顕微鏡画像を得て、視野全体の面積S2(たとえば縦0.4〜1.6mm、横0.5〜2mm)中に認められる凸部43の個数nを数え、視野全体において、n個の凸部43によって占有されている面積S1=nrπを求める。占有面積割合γ(%)は以下の式により求められる。
γ(%)=S1×100/S2(ただし、式中のrは、凸部の平均径の1/2(すなわち半径)である。)
表面微細凹凸シート10Fにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの配列方向にほぼ平行な図12中A方向である。一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、平均高さ、凸部43の平均径、平均高さ、占有面積等を調整すること等により制御できる。
表面微細凹凸シート10Fの好ましい厚み等は、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
表面微細凹凸シート10Fは、概略、第1実施形態例における表面微細凹凸シートと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)において、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂Mとともに粒子を含有する塗料を用いる点で異なる。粒子を用いることにより、凸部43を有する波状凹凸パターン(1A)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)の形成には、特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層やその材質(樹脂M)、樹脂Mのガラス転移温度およびヤング率等も、第1実施形態例と同様である。
粒子を構成する材料には、樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満では、熱により粒子形状が変化しない材料の1種以上を用いることができる。
たとえば、粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有する樹脂およびガラス転移温度を有する無機材料からなる群から選ばれる1種以上である場合、そのガラス転移温度Tgが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと同様の条件を満たすこと、すなわち、(Tg−Tg)が10℃以上となるように選択されることが必要であり、(Tg−Tg)が20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。(Tg−Tg)が10℃以上であると、上述の加工温度において、粒子が変形した溶融したりしない。
粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有さない材料、たとえば内部架橋型樹脂などである場合には、そのビカット軟化温度(JIS K7206に規定)が、上述の条件を満たすこと、すなわち、樹脂Lのガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度Tgについての好ましい温度範囲などの記載は、粒子がガラス転移温度を有さず、ビカット軟化温度を有する材料からなる場合、そのビカット軟化温度にも該当するものとする。
さらに、粒子を構成する材料としては、ガラス転移温度、ビカット軟化温度が測定できないものであっても、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満において、熱により粒子形状が変化しない材料であれば、使用可能である。
Tgは、40〜400℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。Tgが40℃以上であれば、工程(a1−2)の温度を室温またはそれ以上にすることができて有用であり、Tgが400℃を超えるような粒子を使用することは、経済性の面から必要性に乏しい。
粒子を構成する樹脂としては、そのガラス転移温度Tg(またはビカット軟化点。)が上述の条件を満たすように、加熱収縮性樹脂フィルムの種類等に応じて選択され、たとえば、アクリル系熱可塑性樹脂粒子、ポリスチレン系熱可塑性樹脂粒子、アクリル系架橋型樹脂粒子、ポリスチレン系架橋型樹脂粒子などが挙げられる。また、無機材料としては、ガラスビーズなどが挙げられる。
粒子の粒径dは、形成される硬質層の厚みtより大きいことが必要であり、硬質層の厚みtに応じて設定される。また、凸部43の平均径が、上述の好適な範囲となるように、適宜設定される。好ましい粒径dは、たとえば、5〜10μmで、より好ましくは5〜8μmである。
工程(a1−1)においては、硬質層形成用塗料として、樹脂Mおよび粒子を含む塗料を使用し、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、厚みt’が0.05μmを超え、10μm以下である硬質層を形成する。この時点での硬質層は、折り畳むように変形していない。
すなわち、厚みt’は変形前の硬質層の厚さである。
硬質層は、このように硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに直接塗工して設ける代わりに、あらかじめ作製した硬質層(樹脂M中に粒子が分散してなるフィルム)を加熱収縮性フィルムに積層する方法で設けてもよい。
樹脂Mおよび粒子を構成する樹脂としては、それぞれすでに例示したものを使用できるが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと、粒子のガラス転移温度Tgとが、樹脂Lのガラス転移温度Tgよりも10℃以上高くなるように各材質を選択し、組み合わせることが重要である。このようにそれぞれの材質を選択したうえで、厚みt’が0.05μmを超え10μm以下である硬質層を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に設けると、次の工程(a1−2)を経ることにより、凸条部42aの平均ピッチ、平均高さが上記範囲の波状凹凸パターン(1C)が形成されやすい。
本実施形態例において、硬質層形成用塗料中の樹脂Mの好ましい固形分濃度の範囲は、第1実施形態例と同様である。粒子の量は、樹脂Mの正味量100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがより好ましい。このような範囲であると、形成される凸部43の占有面積割合を上述の好適な範囲内に制御することができる。
なお、塗工する硬質層の厚みt’は、0.05μmを超え10μm以下の範囲内であれば、連続的に変化していても構わない。その場合、変形工程により形成される凸条部42aのピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。硬質層の厚みt’は、次の工程(a1−2)を経てもほとんど変化せす、t’=tと考えることができる。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部42aの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
工程(a1−1)以外は、第1実施形態例と同様に行う。
〔第5実施形態例〕
次に、第5実施形態例の表示装置用照明ユニットについて説明する。
図21(a)は、第5実施形態例における表示装置用照明ユニットの構成を示す概略構成図であり、(a)は表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)は(a)におけるI−I断面図、(c)は(a)におけるJ−J断面図である。
ここで、I−I断面は、A方向に直交する断面であり、フレネルレンズパターン12Aの光軸Oを含む断面を示す。I−I断面は後述する波状凹凸パターン(1ーb)の凸条部11cの配列方向に平行な断面でもある。J−J断面は、A方向に平行であってフレネルレンズパターン12Aの各光軸Oを含む平面による断面を示す。I−I断面は第5実施形態例における波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの配列方向に平行な断面でもある。
なお、図21は、上記第1実施形態例の光源列21Aに対向する一部の表面微細凹凸シート10Gのみが描かれている。
図21(a)に示すように、本実施形態例の表示装置用照明ユニット100Gは、上記第1実施形態例の表示装置用照明ユニット100Aの表面微細凹凸シート10Aに代えて、表面微細凹凸シート10Gを備える点のみが異なる。図21(b)に示すように、表示装置用照明ユニット100Gは、液晶パネル23とともに、ヘッドアップディスプレイ200G(表示装置)を構成することができる。
図21は、第5実施形態例における表面微細凹凸シート10Gの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。
表面微細凹凸シート10Gは、上記第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aとは、波状凹凸パターン形成面11に形成された波状凹凸パターンのみが異なる。すなわち、表面微細凹凸シート10Gの波状凹凸パターン形成面11には、上述の波状凹凸パターン(1)に該当するが、上述の波状凹凸パターン(1A)とは異なる波状凹凸パターン(1)が形成されている。以下では、表面微細凹凸シート10Gにおける波状凹凸パターン(1)を特に波状凹凸パターン(1D)という。
第5実施形態例における波状凹凸パターン(1D)は、上述の波状凹凸パターン(1A)に加えて、別の波状凹凸パターン(1−b)を有する。
波状凹凸パターン(1A)における凸条部11dの配列方向と、波状凹凸パターン(1−b)における凸条部11cの配列方向とは、ほぼ直交し、これらの配列方向のなす角度は、波状凹凸パターンを平面視した場合において90±10°の範囲内である。
表面微細凹凸シート10Gにおいても、たとえば表面微細凹凸シート10Gの他方の面には、同心円状凹凸パターンとしてフレネルレンズパターン12Aが形成されている点等、その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1D)は、凸条部11dと凸条部11cとが互いにほぼ直交(±10°の範囲内)しているパターン、すなわち、波状凹凸パターン(1A)と波状凹凸パターン(1−b)とが重畳したパターンである。このため、波状凹凸パターン(1D)は、光拡散性の異方性が弱められており、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい傾向にある。
波状凹凸パターン(1−b)は、波状凹凸パターン(1A)と同様に、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部11cが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部11cの稜線が蛇行し、隣接する凸条部11cの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部11eが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部11eの谷線が蛇行し、隣接する凹条部11eの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−b)において、各凸条部11cの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向(厚さ方向)に平行で、かつ、凸条部11cの配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部11cの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−b)は、各凸条部11cの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部11cは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11cの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11cにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部11eにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1D)を構成している本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチおよびアスペクト比の求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりであり、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cについても同様である。波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の平均ピッチおよびアスペクト比は、適宜調整できるが、波状凹凸パターン(1A)よりも波状凹凸パターン(1−b)の方が、小さいことが好ましい。
たとえば本実施形態例においては、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチは、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜70μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限以上であると、表面微細凹凸シートを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シートを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。
一方、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cの平均ピッチは、1〜80μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、5〜50μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、表面微細凹凸シート10Gを容易に製造できる。
本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の各凸条部11c,11dのアスペクト比は、それぞれ、0.01〜1.0であることが好ましく、0.03〜0.5であることがより好ましく、0.03〜0.2であることがさらに好ましい。
本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比が、上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られ、上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。波状凹凸パターン(1−b)のアスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
本実施形態例における表面微細凹凸シート10Gにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができる。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば2〜20°であることが好ましく、たとえば3〜10°であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向における光の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さく、かつ、たとえば0.5〜10°であることが好ましく、1〜5°であることがより好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−b)それぞれの凸条部11c,11dの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
表面微細凹凸シート10Gの好ましい厚み等は、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
表面微細凹凸シート10Gは、概略、第1実施形態例における表面微細凹凸シート10Aと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1)のうちの工程(a1−1)のみ異なる。
すなわち、第1実施形態例の工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑な硬質層を積層させるが、本実施形態例の製造方法における工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面に波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を形成する。硬質層の形成には、未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂又は当該樹脂組成物を用いる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1D)の形成には、特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)等を参照できる。
以下に本実施形態例における工程(a1−1)を説明する。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。加熱収縮性樹脂フィルムとしては、透光性(透明)のものを用いる。
ついで、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター等のコーターで、未硬化の電離放射線硬化性樹脂(又は当該樹脂組成物)のうちの1種以上を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に塗工し、塗工層を形成する。そして、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパを用意し、該スタンパを塗工層に押し当て、その状態のまま、加熱収縮性樹脂フィルム側から電離放射線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させ、硬化層を形成する。その後、スタンパを剥離する。
この際、スタンパにおける凸条部の延在方向と、加熱収縮性樹脂フィルムの加熱収縮の方向とが一致するように、スタンパを押し当てる。
これにより、加熱収縮性フィルムの片面に、波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を有する積層フィルムが得られる。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、第1実施形態例の製造方法(B)で例示したものを好適に使用できるが、なかでも、硬化後のガラス転移温度が、加熱収縮性樹脂フィルムを構成している樹脂Lよりも10℃以上高く、また、ヤング率が0.01〜300GPa、好ましくは0.1〜10GPaの樹脂が好適である。
硬質層の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
ガラス転移温度およびヤング率が上記の条件を満たし、かつ、硬質層の厚さが上記範囲内であれば、本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチを上記範囲内に調整しやすい。硬質層の厚さが上記範囲の下限値未満であると、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり過ぎる傾向にあり、上記範囲の上限値を超えると、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮が阻害され、波状凹凸パターン(1A)が良好に形成されない傾向にある。
なお、電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を併せて使用してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を併せて含む樹脂組成物を使用することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、たとえば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、たとえば液状の未硬化の熱硬化性樹脂又は当該樹脂組成物を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
工程(a1−1)の後、第1実施形態例と同様にして工程(a1−2)を行い、加熱収縮性フィルムを収縮させることにより、表面に、波状凹凸パターン(1D)が形成された凹凸パターン形成シートを得る。
ついで、第1実施形態例と同様にして工程(a1−3)を行い、波状凹凸パターン(1D)の転写形状が転写された原版(W)を得る。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部11dの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
なお、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパは、第1実施形態例における工程(a1)と同様の手法で製造できる。また、たとえば特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)を参照できる。
工程(a1−1)以外は、第1実施形態例と同様に行う。
<作用効果>
以上、各実施形態例を示して説明したように、本発明の表示装置用照明ユニットによれば、不規則な波状凹凸パターンと、同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンとを有する表面微細凹凸シートと集光レンズとを備えているため、正面輝度に優れ、正面輝度のムラが抑制され、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが抑制され、かつ、主拡散方向だけでなくこれと直交する低拡散方向においても、それぞれ適切な視野角を有する照明ユニットを構成できる。
特に、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの主拡散方向と、光源列の点光源の配列方向とが、波状凹凸パターンを平面視した場合において、±20°の範囲内であるため、点光源の配列方向の拡散角度が大きくなる。これにより、点光源が有る位置と、点光源間の光源が無い位置とにおける輝度の差(輝度ムラ)を効果的に抑制できる。一方で、輝度ムラ抑制の要求が大きくない場合が多い、点光源の配列方向と直交する方向については、波状凹凸パターンの低拡散方向を対応させて拡散角度を適度に抑制することによって、拡散角度を高めることによる輝度の低下を抑制できる。
また、各実施形態例における表面微細凹凸シートは、1枚構成である。そのため、別体からなる複数枚のシートを用いずに、1枚のみで視野角確保効果、輝度ムラ解消効果、正面輝度向上効果を奏することができ、取扱性、照明ユニットの薄型化にも優れる。
表示装置用照明ユニットおよび表示装置を構成する際に、各実施形態例における表面微細凹凸シートのうち、どの実施形態例におけるシートを選択するかは、その表示装置に求められる主拡散方向および低拡散方向の視野角や、これら視野角のバランス、正面輝度、さらには輝度ムラ抑制の要求の程度等に応じて、決定できる。
以下、本発明について、実施例を例示して具体的に説明する。
(実施例1)
[波状凹凸パターンのニッケル2次原版]
下記塗工液(1)をポリエチレンテレフタレート二軸方向加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製「PX−40S」)、厚さ:25μm、ガラス転移温度Tg=75℃)の片面に、 塗工乾燥後の硬質層の厚みt’が4μmになるようにバーコーター (メイヤーバー♯22)により塗工し、積層シートを得た。
塗工液(1):
アクリル樹脂A(ガラス転移温度Tg=100℃)、トルエンに加え、固形分濃度10質量%の塗工液(1)を得た(つまり、アクリル樹脂Aを固形分とし、トルエンを溶媒分とする、固形分濃度10質量%の塗工液(1)を得た)。なお、上記アクリル樹脂Aは固形分濃度23質量%であるが、本例での質量比および濃度は、正味量(固形分量)で計算した値である。
次いで、該積層シートを熱風式オーブンを用いて95℃で1分間加熱することにより、ポリエチレンテレフタレート二軸方向加熱収縮性フィルムを一方向において、加熱前の長さの64%に熱収縮させ(変形率として36%)、一方向に略直交する他方向において、加熱前の長さの74%に熱収縮させ(変形率として26%)、硬質層を折り畳むように変形させた。
次いで、上記変形率36%で熱収縮させた方向と反対方向に積層シートを延伸し、元の(熱収縮および延伸前の)長さの87%(変形率として13%)に変形させた。
これにより、波状凹凸パターンが層の表面に形成された波状凹凸パターンシート(原版)を得た。形成された波状凹凸パターンは、波状凹凸パターン(2A)であり、形成された凸条部は、それぞれが蛇行して、特定の方向に沿わず、不規則に形成されていた。
また、フーリエ変換画像の画像解析により求めた凸条部の平均ピッチは、45μmであり、本明細書に記載の方法で求めた平均高さは、3μmであった。
次いで、得られた波状凹凸パターンシート(原版)の表面に、ニッケル電気鋳造法にて、ニッケルを500μmの厚さになるように堆積させた。ついで、堆積させたニッケルを波状凹凸パターンシート(原版)から剥離し、表面に波状凹凸パターンシートの波状凹凸が転写されたニッケル2次原版を得た。
[同心円状凹凸パターンの原版]
射出成形用金型に、焦点距離25mm、外径10mmのフレネルレンズパターンの反転パターンを、横(凸条部の延在方向)55mm×縦(凸条部の配列方向)25mmの範囲において横方向に10mmの中心間距離をあけて切削により複数形成し、同心円状凹凸パターンを形成するための射出成形用金型(原版)を得た。
ここで、フレネルレンズパターンは、後述する光源の集光レンズを通して光源から出射された照射角50°の光を略平行に集光するように設計された。
[表面微細凹凸シート]
前記波状凹凸パターンのニッケル2次原版を、前記同心円状凹凸パターンの反転パターンが形成された射出成形機の金型に、互いの凹凸パターンが対向するように、また、波状凹凸パターンの主拡散方向(本明細書で説明した方法で決定。)と同心円状凹凸パターンの中心部の配列方向とが平行になるように組込み、アクリル樹脂の射出成形を行い、実施例1の表面微細凹凸シート(射出成形品)を得た。
得られた射出成形品は、横55mm×縦25mm×厚さ2mmの直方体であり、一対の55mm×25mmの面のうちの一面にニッケル2次原版の表面凹凸が転写された波状凹凸パターンが形成され、他面に射出成形用金型の表面凹凸が転写された同心円凹凸パターンが形成されていた。また、波状凹凸パターンの主拡散方向は、横方向と平行であった。
[表示装置用照明ユニット]
実施例1の表面微細凹凸シートと、3個の白色発光ダイオード光源が一直線状に並んで形成される光源列と、各白色発光ダイオード光源から出射された光を集光する、各白色発光ダイオード光源毎に設けられた3個の集光レンズとよって構成される実施例1の表示装置用照明ユニットを得た。ここで、光源列は、表面微細凹凸シートの同心円状凹凸パターン形成面側に配置された。
ここで、白色発光ダイオードの照射角は120°であり、各白色発光ダイオード同士の中心間距離は10mmであり、集光レンズから表面微細凹凸シートまでの距離は25mmであり、集光レンズを通過後の白色発光ダイオード光源からの出射光の照射角は50°である。白色発光ダイオードおよび集光レンズの光軸は、各フレネルレンズパターンの光軸に一致されている。これにより、各白色発光ダイオード光源から出射した光は集光レンズで集光された後、同心円状凹凸パターン形成面から入射し、波状凹凸パターン形成面から出射するようになっている。
そして、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの主拡散方向と、光源列の白色発光ダイオード光源の配列方向とがいずれも平行である。
このような実施例1の表示装置用照明ユニットは、たとえば、ヘッドアップディスプレイシステム等の表示装置への使用に適している。
(実施例2)
[波状凹凸パターンのニッケル2次原版]
上記実施例1と同様にして、波状凹凸パターンが層の表面に形成された波状凹凸パターンシート(原版)を得た。形成された波状凹凸パターンは、波状凹凸パターン(2A)であり、形成された凸条部は、それぞれが蛇行して、特定の方向に沿わず、不規則に形成されていた。
また、フーリエ変換画像の画像解析により求めた凸条部の平均ピッチは、45μmであり、本明細書に記載の方法で求めた平均高さは、3μmであった。
次いで、得られた波状凹凸パターンシート(原版)の表面に、ニッケル電気鋳造法にて、ニッケルを500μmの厚さになるように堆積させた。ついで、堆積させたニッケルを波状凹凸パターンシート(原版)から剥離し、表面に波状凹凸パターンシートの波状凹凸が転写されたニッケル2次原版を得た。
[同心円状凹凸パターンの原版]
射出成形用金型に、焦点距離25mm、外径55mmのフレネルレンズパターンの反転パターンを、横(凸条部の延在方向)55mm×縦(凸条部の配列方向)25mmの範囲の中央部に光軸が位置するように切削により形成し、同心円状凹凸パターンを形成するための射出成形用金型(原版)を得た。
ここで、フレネルレンズパターンは、後述する光源の集光レンズを通して光源から出射された照射角50°の光を略平行に集光するように設計された。
[表面微細凹凸シート]
前記波状凹凸パターンのニッケル2次原版を、前記同心円状凹凸パターンの反転パターンが形成された射出成形機の金型に、互いの凹凸パターンが対向するように組込み、アクリル樹脂の射出成形を行い、実施例2の表面微細凹凸シート(射出成形品)を得た。
得られた射出成形品は、横55mm×縦25mm×厚さ2mmの直方体であり、一対の55mm×25mmの面のうちの一面にニッケル2次原版の表面凹凸が転写された波状凹凸パターンが形成され、他面に射出成形用金型の表面凹凸が転写された同心円凹凸パターンが形成されていた。また、波状凹凸パターンの主拡散方向は、横方向と平行であった。
[表示装置用照明ユニット]
実施例2の表面微細凹凸シートと、3個の白色発光ダイオード光源が一直線状に並んで形成される光源列と、各白色発光ダイオード光源から出射された光を集光する、各白色発光ダイオード光源毎に設けられた3個の集光レンズとよって構成される実施例2の表示装置用照明ユニットを得た。ここで、光源列は、表面微細凹凸シートの同心円状凹凸パターン形成面側に配置された。
ここで、白色発光ダイオードの照射角は120°であり、各白色発光ダイオード同士の中心間距離は10mmであり、集光レンズから表面微細凹凸シートまでの距離は25mmであり、集光レンズを通過後の白色発光ダイオード光源からの出射光の照射角は50°である。白色発光ダイオードおよび集光レンズの光軸は、各フレネルレンズパターンの光軸に一致されている。これにより、各白色発光ダイオード光源から出射した光は集光レンズで集光された後、同心円状凹凸パターン形成面から入射し、波状凹凸パターン形成面から出射するようになっている。
そして、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの主拡散方向と、光源列の白色発光ダイオード光源の配列方向とがいずれも平行である。
このような実施例2の表示装置用照明ユニットは、たとえば、ヘッドアップディスプレイシステム等の表示装置への使用に適している。
(実施例3)
[波状凹凸パターンのニッケル2次原版]
ポリエチレンテレフタレート二軸方向加熱収縮性フィルムを一方向および前記一方向に略直交するにおいて、加熱前の長さの64%に熱収縮させた(変形率として36%)、次いで、一方向と反対方向に積層シートを延伸し、元の(熱収縮および延伸前の)長さの87%(変形率として13%)に変形させたこと以外は実施例2と同様の方法にてニッケル2次原版を得た。
フーリエ変換画像の画像解析により求めた波状凹凸パターンシート(原版)の凸条部の平均ピッチは、45μmであり、本明細書に記載の方法で求めた平均高さは、3μmであった。
[同心円状凹凸パターンの原版]
実施例2と同様にして、同心円凹凸パターンを形成するための射出成形用金型(原版)を得た。
[表面微細凹凸シート]
波状凹凸パターンシート原版が異なる以外は、上記実施例2と同様にして、アクリル樹脂の射出成形を行い、実施例3の表面微細凹凸シート(射出成形品)を得た。
[表示装置用照明ユニット]
実施例3の表面微細凹凸シートを用いる点が異なる以外は、上記実施例2と同様にして、実施例3の表示装置用表面照明ユニットを得た。
このような実施例3の表示装置用照明ユニットは、たとえば、ヘッドアップディスプレイシステム等の表示装置への使用に適している。
(比較例1)
比較例1は、上記実施例2において、の波状凹凸パターンが形成された表面微細凹凸シートの代わりに市販の等方性拡散シート(株式会社ツジデン製)が使用された。比較例1は、この等方性拡散シートが実施例2のフレネルレンズパターンと別体のフレネルレンズと対向して設けられている点が、上記実施例2と異なる。すなわち、比較例1は、等方拡散性シートおよびフレネルレンズが一体化されていない構成になっている。
(比較例2)
比較例2は、上記実施例2において、集光レンズを削除して構成された。このため、比較例1のフレネルレンズパターンは、点光源である白色発光ダイオードからの照射角120°の光に対応するように設計された。
(評価)
上記の各実施例、各比較例(以下、各例と称する)で得られた表面微細凹凸シート主拡散方向(Y方向)および低拡散方向(X方向)の拡散角度と、上記の各例で得られた表示装置用照明ユニットの正面輝度、正面輝度ムラ、斜め輝度ムラ、視野角とを測定した。これらの測定結果を下記[表1]に示す。
[表1]における拡散角度は、本明細書に記載の方法に従って算出した。
正面輝度、正面輝度ムラ、視野角の測定は、輝度計(TOPCON社製「UA−1000」)を用いて実施した。
正面輝度は、実施例1の表示装置用照明ユニットの正面輝度(cd/m)を100%としたときの相対値で示した。90%以上の輝度であれば十分な輝度が得られたと判断できる。
正面輝度ムラは、各例の表示装置用照明ユニットの各光源の中心を通り光源列の配列方向と平行な直線上の正面輝度分布を測定し、その最小値および最大値から、(最小値/最大値)×100(%)として算出した。正面輝度ムラの評価では、50%以上であれば十分な輝度ムラ解消効果が得られたと判断した。
斜め輝度ムラは、各例の表示装置用照明ユニットの各光源の中心を通り光源列の配列方向と平行な直線上の輝度分布を、前記輝度計を主拡散方向に斜め15°傾けた位置で測定し、その最小値および最大値から、(最小値/最大値)×100(%)として算出した。斜め輝度ムラの評価では、15%以上であれば十分な斜め輝度ムラ解消効果が得られたと判断した。
視野角の評価では、各例の表示装置用照明ユニットの中心の「正面輝度」、「主拡散方向(Y方向)に斜め15°傾けた時の輝度」、「低拡散方向(X方向)に斜め7.5°傾けた時の輝度」をそれぞれ測定した。次いで、視野角の評価値として、「主拡散方向に斜め15°傾けた時の輝度」/「正面輝度」)×100(%)([表1]のY方向欄に記載)および「低拡散方向に斜め7.5°傾けた時の輝度」/「正面輝度」×100(%)([表1]のX方向欄に記載)を算出した。これら視野角の評価値が、いずれも20%以上であれば、十分な視野角が得られたと判断した。
波状凹凸パターンと組み合わせるパターンとして、フレネルレンズパターンを採用した実施例1〜3によれば、正面輝度、輝度ムラ抑制効果、適切な視野角(主拡散方向および低拡散方向)のいずれをもバランスよく備えていた。
これに対して、比較例1は、正面輝度が低く斜め輝度ムラも実施例1〜3に比べて劣っていた。比較例2は、斜め輝度ムラが15%を大きく下回る8%になっていた。これは、比較例2では、集光レンズを有しないため、フレネルレンズに入射する光の照射角が広くなっているためと考えられる。フレネルレンズの外周部に入射する光は、たとえば光の発光点が、フレネルレンズの光軸からわずかにずれただけで、フレネルレンズによる立ち上げ方向が大きく変化してしまう。このような組立誤差などによって、正面方向に対する斜め方向から見た時の輝度ムラが発生していると考えられる。
以上、本発明の好ましい各実施形態例、各変形例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例、各変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G 表面微細凹凸シート
11 波状凹凸パターン形成面(第2の表面)
12 同心円状凹凸パターン形成面(第1の表面)
12A、12B、12C、22C フレネルレンズパターン
20 集光レンズ
21 点光源
21A 光源列
22 同心楕円状凹凸パターン形成面(第1の表面)
23 液晶パネル
100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G 表示装置用照明ユニット
200A、200D、200E、200F、200G ヘッドアップディスプレイシステム(表示装置)

Claims (4)

  1. 光源と、
    前記光源からの光を集光する集光レンズと、
    前記集光レンズと対向する第1の表面の少なくとも一部に同心円状凹凸パターンまたは同心楕円状凹凸パターンを有し、厚さ方向において前記第1の表面と反対側の第2の表面の少なくとも一部に不規則な波状凹凸パターンを有し、前記集光レンズから入射する光を、前記同心円状凹凸パターンまたは前記同心楕円状凹凸パターンと、前記不規則な波状凹凸パターンとを通して外部に出射する表面微細凹凸シートと、
    を備える、表示装置用照明ユニット。
  2. 前記光源は、LED光源である、
    請求項1に記載の表示装置用照明ユニット。
  3. 前記光源は、複数の点光源が並んで形成される少なくとも1列の光源列を有し、
    前記表面微細凹凸シートの前記波状凹凸パターンの主拡散方向と、前記光源列の前記点光源の配列方向とのなす角度が±20°の範囲内である、
    請求項1または2に記載の表示装置用照明ユニット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置用照明ユニットを備える、表示装置。
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