JP2013008520A - 照明装置、及びそれを用いた検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】照度と防虫性に優れた照明装置を提供する。特に、製造現場や欠陥検出器等、高照度かつ虫の混入が好まれない場所・装置において好適に使用できる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の照明装置は、複数個の発光ダイオード光源が線状に配列された光源ユニットと、該光源ユニットの光出射側に設けられた光拡散体とを備える照明装置において、該光拡散体の配置による該光源ユニットの直下1mの照度は、光拡散体がない場合の照度を100として、80以上であって、かつ、該光源ユニットの少なくとも、長手方向の水平面における輝度分布から得られる輝度最大値Lmax、輝度最小値Lminを用いて、下記式より得られる輝度ばらつきが20%以下であることを特徴とする照明装置。
輝度ばらつき(%)={(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)}×100
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた照度と防虫効果のある照明装置、及びそれを用いた検出器に関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴い、照明装置においては、省電力且つ長寿命であることから、光源として発光ダイオード光源(以下、LED光源ともいう。)を用いたものが急速に普及しつつある。この発光ダイオード光源から発せられる光は、直進性が高く、殆ど拡散しないため、発光ダイオード光源を用いた照明装置は光拡散体を備えるのが一般的である。例えば、特許文献1には、光源に近い側に透明樹脂に光拡散剤を配合した光拡散層を配置した照明カバーが、また、特許文献2では、線状の細かい凹凸を設けたLED光源蛍光用拡散チューブが開示されている。
ところで、抄紙機や塗工機の生産ラインでは、異物、ストリーク、塗工ムラ等を検出するために、欠陥検出器が使われている。一般的に、欠陥検出器は、投光器より被検査材に光が照射され、光は被検査材の表面で反射、または透過することで、受光器で像として感知される。ところが、投光器には高照度な蛍光灯が使用されており、本来欠陥を除去する目的である装置が、その照度のために虫を引き寄せてしまい、検出器を通過した後に、周辺の虫を巻き込んだ形で製品となってしまう問題があった。
一方、発光ダイオード光源は、分光分布において虫が走行性を示す紫外線波長域をほとんど持たないことから、蛍光灯に対して、虫が近寄りにくいことが知られている。例えば、特許文献3には、発光スペクトル波長が450nm以上の白色光が出力され、夜間に点灯を行っても昆虫類が寄って来ないようにした自動販売機の虫除け用光源が開示されている。
しかしながら、虫が走行性を示す波長は、可視域にも若干有しているため、製造現場といったような、極度に虫の混入が嫌われる場所では、単にLEDを光源としただけでは、充分な防虫性とはいえなかった。特に、前述の欠陥検出器のように高照度が必要な場合においては、不要な方向にまで光を拡散してしまうと、やはり虫が誘引されて防虫性が低下する問題があった。
特開2005−276566号公報 特開2010−225567号公報 特開2003−228755号公報
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、複数の発光ダイオード光源が配置された光源ユニットを使用した照明装置において、照度に優れ、高い防虫性を有する照明装置を提供することを目的とする。特に、照度と防虫性の両方を兼ね備えた光源ユニットを使用した欠陥検出器を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、光拡散体を介して射出した光が所定の範囲で均斉化されることにより、極めて高い照度と防虫効果が維持できることを見出し、本発明に至った。
本発明は、以下の第1〜第6の発明を包含する。
[1]複数個の発光ダイオード光源が線状に配列された光源ユニットと、該光源ユニットの光出射側に設けられた光拡散体とを備える照明装置において、
該光拡散体の配置による該光源ユニットの直下1mの照度は、光拡散体がない場合の照度を100として、80以上であって、かつ、該光源ユニットの少なくとも、長手方向の水平面における輝度分布から得られる輝度最大値Lmax、輝度最小値Lminを用いて、下記式より得られる輝度ばらつきが20%以下であることを特徴とする照明装置。
輝度ばらつき(%)={(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)}×100
[2]光拡散体が該光源ユニットの長手方向に高拡散性を有する異方性光拡散体であることを特徴とする[1]記載の照明装置。
[3]光拡散体は、樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層とを備え、該機能層の表面に、表面から見た場合に略平行であるが蛇行している凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成シートであることを特徴とした[1]または[2]のいずれかに記載の照明装置。
[4]凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの最頻ピッチAが1μmを超え30μm以下で略一定で、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A)が0.1〜3.0であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の照明装置。
[5]光拡散体は、凹凸パターン形成シートを光拡散体製造用工程シート原版として、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチAおよび平均深さBの凹凸パターンが表面に形成された複製シートであることを特徴とした[1]〜[4]のいずれかに記載の照明装置。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の照明装置を用いたことを特徴とする検出器。
本発明の照明装置は、照度と防虫性に優れる。特に両者が求められる欠陥検出器に好適に用いられる。
本発明の照明装置の実施形態の断面を模式的に示す図である。 照明装置を構成する光拡散体の一例である凹凸パターン形成シートの凹凸パターンを示す斜視図である。
「実施形態」
<照明装置>
本発明の第1の照明装置の実施形態について説明する。尚、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1に、本実施形態の照明装置の断面図を示す。本実施形態の照明装置1は、光源ユニット10と、光源ユニット10の光出射側に設けられた光拡散体20とを備える。
(光源ユニット)
本発明で使用する光源ユニット10は、複数個の発光ダイオード光源が線状に配列されたものである。本実施形態で使用される光源ユニット10は、複数個の発光ダイオード光源11,11・・・が直線的に1列に配列されたものである。各発光ダイオード光源11は支持体12に固定されているものであり、砲弾型でもよいし、表面実装型でもよいし、チップオンボード型でもよい。また、光源ユニット10は、複数個の発光ダイオード光源11,11・・・が直線的に複数列に配列された直線状のものでもよい。複数個の発光ダイオード光源11,11・・・が直線的に複数列に配列されている場合、光源ユニット10の長手方向(以下、「X方向」という。)と直交する短手方向(以下、「Y方向」という。)でも発光ダイオード光源11,11同士が直線的に並ぶように配置されていてもよいが、その配置に限定されるものではない。例えば、発光ダイオード光源11,11がY方向ではジグザグに配置されてもよい。
本発明において、照度と防虫性の両方を満足させるために、光源ユニットのX方向水平面における輝度ばらつきは20%以下とする。輝度ばらつきは、発光ダイオード光源の発光強度、光拡散体の選択にもよるが、発光ダイオード光源11,11同士の間隔、発光ダイオード光源11と光拡散体20との距離等によって適宜調整できる。
輝度ばらつきは、より好ましくは10%、さらに好ましくは5%以下である。輝度ばらつきが20%を越えると、指向性を持つ個々の発光ダイオード光源が点状に見え、視覚的にも違和感があるうえに、欠陥検出器等の光源に用いた場合は、検出精度に問題が生じる。なお、ここでの照度は光源ユニット中央部の直下1mの照度である。なお、欠陥検出器においては、光源から被検査材までの距離は装置の仕様によるが、この場合、照度は距離の2乗に反比例する。
輝度ばらつきは次のように求められる。
照明装置をX方向が水平になるように配置し、光源ユニットの中央部のX方向100mm幅を測定範囲とし、輝度分布を輝度測定装置(トプコン社製、輝度色度ユニフォミティ測定装置UA−1000A)にて測定する。次いで、輝度分布より得られる輝度最大値Lmax、輝度最小値Lminから下記式にて輝度ばらつき(%)を求める。
輝度ばらつき(%)={(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)}×100
隣接する発光ダイオード光源11,11同士の間隔は、発光ダイオード光源11の発光強度にもよるが、3〜30mmが好ましい。隣接する発光ダイオード光源11,11同士の間隔が30mmを越えると、光源ユニット10の長手方向の輝度の均斉化が困難となる。一方、3mm未満は光源個数の多く必要となるため、高コストになる。
発光ダイオード光源11と光拡散体20との距離は、発光ダイオード光源11の発光強度にもよるが、5〜50mmとされていることが好ましい。発光ダイオード光源11と光拡散体20との距離が50mmを越えると輝度は均斉化されるものの、照度が下がるうえに、光源ユニットの大型化につながり、現実的でない。一方、5mm未満であると、輝度の均斉化が困難になるうえに、なんらかのはずみで発光ダイオード光源11と光拡散体20との接触・擦れが危惧される。なお、欠陥検出器において、LED光源と拡散材の間にプリズムシートやレンズといった集光システム等を介在させる場合は必ずしもこの限りではない。
支持体12の材質としては特に制限はなく、樹脂や金属等を適宜使用することができる。支持体12の光拡散体20側の面12aは、光の利用効率が高くなることから、金属の鏡面あるいは白色反射面とされて光反射性を有することが好ましい。
(光拡散体)
本実施形態で使用される光拡散体20は、図1に示すように配置される。
本発明において用いられる光拡散体は、光拡散体の配置によって光源ユニットの直下1mの照度が光拡散体なしの照度100として、80以上である限りは従来公知の方法による光拡散体を適宜選択できる。上記照度の比が80未満となる光拡散体では、光拡散体によるエネルギー消失が大きく非効率であり、LED光源のメリットである省電力を生かせない。また、拡散体は、照度と防虫性を得るためには、異方性であることが好ましい。そのような光拡散体としては、例えば、特開2008−302591号公報記載の凹凸パターン形成シートが挙げられる。凹凸構造は片面のみでもよいし、両面でもよい。また、異方性や集光性を強める目的で、片面に構造を有するシートを2枚重ねてもよい。光拡散体は、少なくとも凹凸形状を有する面を光出射側20aに向くように配置するのが好ましい。また、プリズム形状等の集光性を有する構造とを併用することもできる。
[凹凸パターン形成シート]
凹凸パターン形成シート21は、少なくとも、光源ユニット10のY方向に沿って伸びるように設置され、X方向に凹凸(凹部21c、凸部21b)が繰り返し形成された波形状のパターンである(図2参照)。凹凸パターン21aは凸部21bの先端が丸みを帯びている。
凹凸パターン21aの最頻ピッチAは好ましくは1μmを超え30μm以下であり、さらに好ましくは1μmを超え20μm以下である。最頻ピッチAが1μm未満であると、光が透過することがあるため、充分な光拡散性が得られない場合があり、30μmを超えると、光拡散性が低くなる傾向にある。
本実施形態では、凹凸パターン21aの稜線が蛇行して、隣り合った凸部21b同士のピッチが凹凸パターン21aの方向に沿ってばらついている。ここで、凹凸パターン21aの凹凸のピッチのばらつきの程度を配向度という。配向度が大きいほど、凹凸のピッチがばらついている。
凹凸パターン21aの最頻ピッチA、平均深さBおよび配向度を求めるためには、凹凸パターン21aの上面および断面の光学顕微鏡による観察、または、凹凸パターン21aの原子間力顕微鏡による観察を行う。一般には、それぞれの顕微鏡の解像度の違いから、凹凸パターンのピッチや深さが1μm以上の場合には光学顕微鏡による観察が適しており、1μm以下の場合には原子間力顕微鏡による観察が適している。そのため、凹凸パターンのサイズに応じて適宜選択して観察を行う。
凹凸パターン21aの最頻ピッチAおよび配向度は、例えば、特開2009−122298号公報に記載された求め方に従って求めることができる。
まず、顕微鏡により得られた凹凸構造の画像をグレースケール画像に変換した後、2次元フーリエ変換を行う。このフーリエ変換像の頻度(Z)のスムージングを行い、フーリエ変換像の中心部以外で最大頻度を示す位置(XFmax,YFmax)を求める。そして、最頻ピッチA=1/{√(XFmax +YFmax )}の式から最頻ピッチAを求める。なお、最頻ピッチは各ピッチの平均値とみてもよい。平均ピッチについては、顕微鏡画像から得られた断面図から、隣り合う凹部同士の水平方向の間隔をピッチとしたとき、無作為に抽出した10個以上のピッチの平均値から求めることもできる。
配向度については、まず、上記で得たフーリエ変換像を利用し、XF軸上に最大照度部分が一致するようにθ回転したフーリエ変換像を作成する。次いで、(XFmax,YFmax)を通るY軸に平行補助線Y’Fを引き、補助線Y’Fを横軸とし、補助線Y’上の照度(Z軸)を縦軸としたY’−Z図を作成する。次いで、Y’−Z図のY’軸の値を最頻ピッチAの逆数(1/A)で割ったY”-Z図を作成し、このY”-Z図からピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)を求める。この半値幅は配向度を表す。配向度が大きい程、蛇行してピッチがばらついていることを表す。
配向度は0.1〜3.0であることが好ましい。配向度が0.1〜3.0であれば、凹凸パターン21aのピッチのばらつきが適度に大きいため、凹凸パターン形成シート21の光拡散性がより高くなる。配向度が3.0を超えると、凹凸パターン21aの方向性が低くなりすぎて、照度が低くなる傾向にある。配向度を上記所定の範囲にするためには、凹凸パターン形成シート21を製造する際の収縮応力の作用方法を適宜選択すればよい。
凹凸パターン形成シート21の最頻ピッチAに対する凹凸パターンの平均深さBの比(B/A、以下、アスペクト比という。)は0.1〜3.0であることが好ましく、0.3〜2.0であることがより好ましい。アスペクト比が0.1未満であると、目的の光学特性が得られないことがある。一方、アスペクト比が3.0より大きくなると、凹凸パターン形成シート21の製造にて凹凸パターン21aを形成しにくくなる傾向にある。
ここで平均深さBとは、凹凸パターン21aの凸部21bのピークから凹部21cの底までの深さの平均のことを意味する。平均深さBは次のようにして求める。すなわち、凹凸パターン21aを顕微鏡により観察し、その観察からX軸方向に沿って切断した断面図を得る。1つの凹部21cの底までの深さは、両隣の2つの凸部21b,21bのピークから凹部21cの底までのZ方向の距離の和の1/2である。すなわち、1つの凹部21cの底の深さbは、凹部21cに対して一方側の凸部21bのピークから計測した凹部21cの底の深さをL、他方側の凸部21bのピークから計測した凹部21cの底の深さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして求めた各凹部21cの深さbの平均値が平均深さBであるが、全ての凹部21cの深さを求めることは現実的でないため、無作為に抽出した10個以上のbから平均深さBを求める。
各凹凸パターン形成シート21は、1層で形成されていてもよいし、2層以上で形成されていてもよい。2層以上で形成されている場合、樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層を具えていることが好ましい。
本発明の機能層としては、例えば、硬質層がある。中でも、凹凸パターン形成シート21が2層で形成されている場合には、透明樹脂からなる基材と、各凹凸パターン形成シート21を得る際の加工温度でのヤング率が基材よりも0.01〜300GPa高い硬質層とで構成されることが好ましい。ここで、加工温度は、例えば、後述する凹凸パターン形成シートの製造方法における熱収縮時の加熱温度である。ヤング率は、JIS K 7113−1995に従って測定した値である。
基材を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどが挙げられる。
硬質層は、樹脂であってもよいし、金属または金属化合物であってもよい。
硬質層を構成する樹脂としては、基材を構成する樹脂の種類によって適宜選択されるが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。後述する凹凸パターン形成シートの製造において容易に凹凸パターン21aを形成できることから、硬質層を構成する樹脂のガラス転移温度Tgと、基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgとの差(Tg−Tg)は10℃以上であることが好ましい。
硬質層が樹脂で構成される場合には、硬質層の厚さは0.05μmを超え5.0μm以下であることが好ましい。硬質層の厚みが0.05μmを超え5μm以下であれば、凹凸パターン形成シート21を容易に製造できる。
硬質層を構成する金属としては、金、アルミニウム、銀、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマス等が挙げられる。
硬質層を構成する金属化合物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素が挙げられる。
硬質層が金属または金属化合物である場合には、硬質層の厚みは1〜50nmであることが好ましい。硬質層の厚みが1nm以上であれば、硬質層に欠陥が生じにくくなり、厚みが50nm以下であれば、光透過性を充分に確保できる上に、凹凸パターン形成シート21を容易に製造できる。
2層で構成された凹凸パターン形成シートを製造する方法としては、加熱収縮性フィルムからなる透明樹脂製の基材の片面に硬質層を設けて積層フィルムを形成し、前記積層フィルムを加熱して前記基材を収縮させることにより、前記硬質層を折り畳むように変形させる方法が挙げられる。このように硬質層を折り畳むように変形させることで、凹凸パターン21aを形成できる。
凹凸パターン形成シート21が1層で構成されている場合には、透明樹脂で構成されることが好ましい。透明樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂(熱硬化性プレポリマーまたはモノマーの硬化物)であってもよい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。熱硬化性プレポリマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等が挙げられる。熱硬化性モノマーとしては、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等が挙げられる。
1層で構成された凹凸パターン形成シートを製造する方法としては、上記2層で構成された凹凸パターン形成シートの凹凸パターン21aが形成された面に、ニッケルなどでめっきを行ってニッケルスタンパーを作製し、得られたニッケルスタンパーを型として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂に転写させる方法(以下、「転写法」という。)により複製シートが得られる。
また、凹凸パターン形成シート21には、耐熱性、耐候性を向上させる目的で、光透過率等の光学特性を損なわない範囲内で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、光拡散剤などが挙げられる。中でも、光安定剤を添加することが好ましく、その添加量は、透明樹脂100質量部に対して0.03〜2.0質量部であることが好ましい。光安定剤の添加量が0.03質量部以上であれば、その添加効果を充分に発揮できるが、2.0質量部を超えると、過剰量になり、不要なコストの上昇を招く傾向にある。
また、凹凸パターン形成シート21には、より光拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学特性を大きく損なわない範囲内で、無機化合物からなる無機光拡散剤、有機化合物からなる有機光拡散剤を含有させることができる。
無機光拡散剤としては、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、ガラス、マイカ等が挙げられる。
有機光拡散剤としては、スチレン系重合粒子、アクリル系重合粒子、シロキサン系重合粒子、ポリアミド系重合粒子等が挙げられる。これらの光拡散剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの光拡散剤は、優れた光散乱特性を得るために、花弁状又は球晶状等の多孔質構造とすることもできる。
光拡散剤の含有量は、光透過性を損ないにくいことから、透明樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
さらに、凹凸パターン形成シート21には、より光拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学特性を大きく損なわない範囲内で、微細気泡を含有させることができる。微細気泡は、光の吸収が少なく光透過率を低下させにくい。
微細気泡の形成方法としては、凹凸パターン形成シート21に発泡剤を混入する方法(例えば、特開平5−212811号公報、特開平6−107842号公報に開示された方法)や、アクリル系発泡樹脂を発泡処理させて微細気泡を含有する方法(例えば、特開2004−2812号公報に開示された方法)などを適用できる。さらに微細気泡は、より均一な面照射が可能となる点では、特定の位置に不均一に発泡させる方法(例えば、特開2006−124499号公報に開示された方法)が好ましい。なお、前記光拡散剤と微細発泡を併用することもできる。
(凹凸パターン形成シートの厚さ)
凹凸パターン形成シート21の厚さは0.02〜3.0mmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.5mmである。凹凸パターン形成シート21の厚さが0.02mm未満であると、凹凸パターン21aの深さよりも小さいことがあるため適当でなく、3.0mmよりも厚いと凹凸パターン形成シート21の質量が大きくなるため取り扱いにくくなるおそれがある。
凹凸パターン形成シート21が2層以上の層から構成されている場合も、凹凸パターン形成シート10の厚さは0.02〜3.0mmであることが好ましい。
(使用方法)
上記凹凸パターン形成シート21は、光拡散体20として用いられる。具体的には、凹凸パターン形成シート21は、少なくとも凹凸パターン21aを有する面を出光側に配置するのが好ましい。また、光源ユニットのX方向に拡散させて出射させるには、凹凸パターン21a構造を光源ユニット10のX方向と直交するように配置する。ここで、凹凸パターン21aの配向度を大きくすると、光源ユニット10のY方向への配光を調節することができる。また、凹凸パターン形成シート21は、複数枚使用することもできる。例えば、それぞれの凹凸パターン形成シート21の凹凸パターン21aを直交するように配置すれば、XおよびY方向に拡散させて出射させることができる。また、各シートの凹凸パターンを平行するように配置すれば、さらに必要方向の異方性を上げ、輝度ばらつきを抑えることができる。
なお、本発明の光拡散体20、および凹凸パターン形成シート21は上記実施形態に限定されない。
<欠陥検出器>
本発明の照明器具は、公知の反射方式、透過方式の欠陥検出器において、その投光器として好適に用いることができる。特に、前述のとおり、凹凸パターン21a構造を光源ユニット10のX方向と直交するように配置することで、生産ラインの幅方向、すなわち欠陥検出器の検出幅方向に均一に投光させることができる。また、生産ラインの流れ方向への拡散は配光度によって必要範囲に調節・抑制できることから、配光の最適化が容易であり、高い直下照度と防虫効果を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものではない。
(製造例1)
<光拡散体1での凹凸パターン形成シート21の作製>
ポリメタクリル酸メチル(藤倉化成社製LH−101−10、質量平均分子量560000、重合分散度(Mw/Mn)3.4、ガラス転移温度100℃)のトルエン溶液を、グラビアコーティングにより、1軸方向(幅方向)に主に加熱収縮する厚さ50μmの矩形状枚葉のポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルム(三菱樹脂社製ヒシペットLX−61S、ガラス転移温度70℃)の片面上に、乾燥後の塗工厚さが2μmになるように塗工した。これにより、ポリエチレンテレフタレートシュリンクフィルムの両面に表面平滑層が形成された積層シートを得た。
次いで、上記積層シートを100℃で1分間加熱することにより、加熱前の長さの40%に熱収縮させ(すなわち、収縮率60%で収縮させ)、硬質層が、収縮方向に対して直交方向に沿って周期性を有する波状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シート原版を得た。
次いで、得られた凹凸パターン形成シート原版の凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ300μmのニッケルめっきスタンパーを得た。このニッケルめっきスタンパーの凹凸パターンが形成された面にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。
次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜のニッケルめっきスタンパーと接していない面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせ、押圧して、密着させた。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上から紫外線を照射し、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、それにより得た硬化物をニッケルめっきスタンパーから剥離させた。
これにより、一方向に沿って凹凸が繰り返し形成されていると共にその凹凸が蛇行した波形状の凹凸パターン(最頻ピッチA:17.2μm、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A):0.6、配向度:0.3)を有する凹凸パターン形成シー21を得た。
(製造例2)
<光拡散体2での拡散子含有シートの作成>
粒径2μmのポリシロキサン重合体の架橋物からなる微粒拡散子1部が混合されたポリメチルメタクリレート樹脂を成形し厚さ2mmのシートを得た。得られたポリメチルメタクリレートシートは拡散性に方向性のない等方性拡散シートであった。
(製造例3)
<光源ユニットAの作製>
240個の発光ダイオード光源を、それぞれの間隔が10mmとなるように、アルミニウム基板上に直線的に1列に取り付け、これらを円筒状のアクリル樹脂製カバー直径約25mmの内部に挿入して、光源ユニットを作製した。
(製造例4)
<光源ユニットBの作製>
160個の発光ダイオード光源を、それぞれの間隔が15mmとなるように設置した以外は製造例3と同様にして光源ユニットを作製した。
(製造例5)
<光源ユニットCの作製>
円筒状のアクリル樹脂製カバーを直径約15mmとした以外は製造例3と同様にして光源ユニットを作製した。
(実施例1)
製造例1で得た光拡散体1を、製造例3で得た光源ユニットAの円筒状のアクリル樹脂製カバーの内周面に取り付けて、照明装置を得た。その際、光源ユニットAと反対側に、光源ユニットのY方向に沿って凹凸が繰り返し形成された凹凸パターン21aの凸部先端が向くように配置した。
(実施例2)
光拡散体を、製造例1で得た2枚の光拡散体を重ね合わせたものとした以外は実施例1と同様にして照明装置を得た。なお、2枚の光拡散体は、構造面が同方向、かつ各々の凸部の稜線が平行になるように重ね合わせた。
(実施例3)
製造例1で得た2枚の光拡散体を、各々の凸部の稜線が直交するように配置すると共に、各々の凹凸パターン形成シートの凸部先端が互いに反対側を向いた光拡散体を得た。次いで、この光拡散体を製造例3で得た光源ユニットAの円筒状のアクリル樹脂製カバーの内周面に取り付けて、照明装置を得た。その際、光源ユニット10側に、光源ユニットのX方向に沿って凹凸が繰り返し形成された凹凸パターン21aの凸部先端が向き、光源ユニット10と反対側、すなわち出光側に、光源ユニットのY方向に沿って凹凸が繰り返し形成された凹凸パターン21aの凸部先端が向くように光拡散体を配置した。
(実施例4)
製造例4で得た光源ユニットBに変更した以外は実施例1と同様にして照明装置を得た。
(比較例1)
製造例5で得た光源ユニットCに変更した以外は実施例1と同様にして照明装置を得た。
(比較例2)
光拡散体を製造例2で得た光拡散体2に変更した以外は実施例1と同様にして照明装置を得た。
(比較例3)
拡散体なしで光源ユニットAのみの照明装置とした。
(比較例4)
市販の蛍光灯直管タイプ110W(パナソニック製、型式:FLR110H・EX−N/A)を使用した。
[評価方法]
得られた照明装置の照度、輝度ばらつき、防虫性、および欠陥検出器への適用を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
(1)照度の測定方法
照明装置を水平になるように配置し、照明装置中央部の直下1mで、照度測定装置(日置電機製、ルクスハイテスタ3423)を用いて照度を測定した。
(2)拡散体の有無による照度の比
各実施例・比較例で使用するユニットについて、光拡散体なしの照度を100として光拡散体設置後の割合を算出した。
(3)輝度ばらつき
直下1mの長手水平面における輝度分布を輝度測定装置(トプコン社製、輝度色度ユニフォミティ測定装置UA−1000A)にて測定し、輝度最大値Lmax、輝度最小値Lminを求めた。次いで、下記式より輝度ばらつきを算出した。
輝度ばらつき(%)={(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)}×100
(4)防虫性の評価
抄紙用カラー調整室(評価時の平均温度25℃平均湿度65%)の壁面に照明装置を設置し、光源ユニット10脇3cmの位置にX方向に沿って粘着式捕虫器ムシポン用の捕虫紙(ベンハーはかり社製S−20)幅5cm、長さ50cmをセットした。各照明装置はそれぞれ3台準備し、1ヶ月間点灯した後、捕虫紙に貼りついた虫の数を計測した。併せて設置した市販の110W直管型蛍光灯(パナソニック製)脇の捕虫紙の計測値を100として、その相対値を捕虫率として算出した。
(5)欠陥検出器の評価
オムロン社製透過型欠陥検出器の投光器の光源(FLR110H・EX−N/A 110W蛍光灯)を取り外し、実施例および比較例で得られた光源ユニットを仮設した。次いで、あらかじめ、0.7mmボールペンで欠陥A(流れに垂直な長さ0.5cmのマーク),欠陥B(流れに平行な長さ0.5cmのマーク)を幅方向、流れ方向ともにランダムな間隔で含むサンプル(上質紙、坪量50g/m、幅1,400mm、長さ3,000m)を200m/minで通紙し、欠陥A、Bの検出可否、虫の巻き込みを確認した。また、比較例4は、標準仕様の蛍光灯(型番:FLR110H・EX−N/A)の状態で同様の評価を行った。
<欠陥A、Bの検出可否>
○: 検出できた。
×: 検出できなかった。
<虫の巻き込みの有無>
○: 目視で虫の巻き込みが確認された。
×: 目視で虫の巻き込みが確認されなかった。
Figure 2013008520
表1に示すように、本発明の照明装置を用いた実施例1〜4は、従来の蛍光灯と比較して、高い照度を維持しながらも、優れた防虫性を示した。光拡散体として異方性光拡散体を使用した実施例1および2は、特に、照度、防虫、欠陥検出に優れ、欠陥検出器用途として好ましい形態であることが確認された。また、実施例3は実施例1および2よりもLED灯数を減らした場合であるが、異方性拡散体を用いることによる小電力の例として挙げられる。一方、輝度ばらつきの大きい比較例1は、照度は高いものの、防虫性は不十分で、欠陥検出精度にも問題があった。また、比較例2は、輝度ばらつきは小さく、防虫性には問題ないものの、照度が蛍光灯よりも劣り、欠陥検出器等、高照度が必要な用途には不適切であった。
1 照明装置
10 光源ユニット
11 発光ダイオード光源
12 支持体
20 光拡散体
20a 光射出側
21 凹凸パターン形成シート
21a 凹凸パターン
21b 凸部
21c 凹部

Claims (6)

  1. 複数個の発光ダイオード光源が線状に配列された光源ユニットと、該光源ユニットの光出射側に設けられた光拡散体とを備える照明装置において、
    該光拡散体の配置による該光源ユニットの直下1mの照度は、光拡散体がない場合の照度を100として、80以上であって、かつ、該光源ユニットの少なくとも、長手方向の水平面における輝度分布から得られる輝度最大値Lmax、輝度最小値Lminを用いて、下記式より得られる輝度ばらつきが20%以下であることを特徴とする照明装置。
    輝度ばらつき(%)={(Lmax−Lmin)/(Lmax+Lmin)}×100
  2. 光拡散体が、光源ユニットの長手方向に高拡散性を有する異方性光拡散体であることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  3. 光拡散体は、樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層とを備え、該機能層の表面に、表面から見た場合に略平行であるが蛇行している凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成シートであることを特徴とした請求項1または2のいずれかに記載の照明装置。
  4. 凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの最頻ピッチAが1μmを超え30μm以下で略一定で、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A)が0.1〜3.0であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の照明装置。
  5. 光拡散体は、凹凸パターン形成シートを光拡散体製造用工程シート原版として、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチAおよび平均深さBの凹凸パターンが表面に形成された複製シートであることを特徴とした請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の照明装置を用いたことを特徴とする検出器。
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