JP2012022292A - 凹凸パターン形成シート、光拡散体製造用工程シート原版及び光拡散体の製造方法 - Google Patents

凹凸パターン形成シート、光拡散体製造用工程シート原版及び光拡散体の製造方法 Download PDF

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【課題】一方向の異方性拡散性に優れる光学拡散体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層とを備え、該機能層の表面に、表面から見た場合に略平行であるが蛇行している凹凸パターン11が形成された凹凸パターン形成シート10であって、凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの最頻ピッチが1μmを超え20μm以下で略一定で、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A)が0.1〜3.0であり、且つ凹凸パターン形成シートの拡散角度の最大値が25°以上50°以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、凹凸パターン形成シート、光拡散シート等として用いられる光学シートおよび光拡散シートおよびそれらの製造方法に関する。
コピー機やFAX等に使用されているスキャナーの線状光源の置き換え用途でLED点光源を直線状に複数配置したものが使用されている。
また、チューブ型蛍光灯の光源の置き換え用途でも、LED点光源を直線状に複数配置したものが使用されている。
上記のように、線状光源を、複数配置されたLEDのような点光源によって置き換える場合、例えばスキャナー光源用途では、LED同士の間の輝度低下による輝度ムラが発生しないように、LED点光源を隙間のないように並べる必要があるため、LEDを大量に使用しなければならない。LED真上とLED間の輝度ムラを抑制するために、拡散子の入った拡散板や拡散シートを使用することもできるが、LEDの並列方向のみでなく、直交する方向にも光が拡散するため、輝度の低下を生じる。
また、チューブ型蛍光灯をLED点光源で置き換える場合、LED光源を直視すると輝度が強すぎて目にダメージを与えるため、このような光源を、人間が直視する可能性のある場所で使用する場合は、拡散子の入った拡散板を使用することでLED光を分散させることが必要となる。しかし、拡散板を使用すると、トータル照度の低下を生じる。
以上のように、線状光源をLEDのような点光源で置き換える場合、輝度や照度の低下を引き起こすような拡散板を使用するより、表面凹凸、特に方向性を持った凹凸により、点光源を並列方向のみに拡散させることが有効である。
また、前記方向性を持った凹凸を使用すると、異方性拡散の方向を変えることにより、点光源を縞状模様や螺旋模様にすることも可能であり、意匠性を高めることができる。
非特許文献1には、拡散方向や拡散性の制御の指標として拡散角度が記載されている。
しかし、非特許文献1には、照度や輝度の低下を生じさせずに点光源を線状光源化させるために適した拡散角度が見出されていない。
また、凹凸により光の拡散や屈折を制御しようとする場合には、凹凸パターンのピッチが光の波長程度であると、干渉による着色が問題になり、またそのピッチが数10μmを超えると、輝線等として視認できてしまうおそれやモアレが発生するおそれがあるため、凹凸パターンのピッチを20μm以下とすることが求められる。しかしながら、凹凸パターンのピッチが数10μm〜数100μmであれば、切削等により安定に凹凸が形成することが可能であるが、20μm以下では所望のピッチを得ることは困難であった。
レンズ拡散板・LED|レンズ設計・拡散板ならオプティカルソリューションズ、[online]、[平成22年6月11日検索]、インターネット<URL:http://www.osc-japan.com/solusion/lsd>
そこで、本発明は、一方向の異方性拡散性に優れる光学シートおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層とを備え、該機能層の表面に、表面から見た場合に略平行であるが蛇行している凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成シートであって、凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの最頻ピッチが1μmを超え20μm以下で略一定で、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A)が0.1〜3.0、且つ前記凹凸パターン形成シートの拡散角度の最大値が25°以上50°以下であることを特徴とする凹凸パターン形成シート。
[2]上記機能層が、樹脂からなる請求項1記載の凹凸パターン形成シート。
[3]上記機能層を構成する少なくとも1種類の樹脂のガラス転移温度Tgと、基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgとの差(Tg−Tg)が、10℃以上である上記[1]〜[2]のいずれかに記載の凹凸パターン形成シート。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の凹凸パターン形成シートを備え、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチおよび平均深さの凹凸パターンが表面に形成された光拡散体を製造するための型として用いられる光拡散体製造用工程シート原版。
[5][4]に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、該電離放射線硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を工程シート原版から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
[6][4]に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、凹凸パターン転写用材料を積層する工程と、凹凸パターンに積層した凹凸パターン転写用材料を前記工程シート原版から剥離して2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の、前記工程シート原版の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の硬化性樹脂を塗工する工程と、該硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
[7][4]に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、凹凸パターン転写用材料を積層する工程と、凹凸パターンに積層した凹凸パターン転写用材料を前記工程シート原版から剥離して2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の、前記工程シート原版の凹凸パターンと接していた側の面に、熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
[8] 少なくとも直線状に配列された複数個のLED点光源と、該LED点光源上に配置された[5]〜[7]のいずれかに記載の方法により製造された光拡散体とからなる線状、縞状または螺旋状から選ばれる1種であるLED光源。
本発明の光拡散シートは、目的の光拡散性に優れる。
本発明の凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの一部を拡大して示す拡大斜視図である。 図1に示す凹凸パターン形成シートを、凹凸パターンの形成方向と直交方向に切断した際の断面を拡大した図である。 凹凸パターンの表面を表面光学顕微鏡により撮影して得た画像の、グレースケール変換画像である。 図3の画像をフーリエ変換した画像である。 図4の画像における円環の中心からの距離に対する輝度をプロットしたグラフである。 図4の画像における補助線L上の輝度をプロットしたグラフである。 本発明の使用方法を説明する図である。 本発明の凹凸パターン形成シートをLED点光源上に配置した場合のLED点光源の見え方の写真である。 本発明の凹凸パターン形成シートの製造方法の一実施形態における積層シートを示す断面図である。 本発明の光拡散体を製造する方法の一例を説明する図である。
<第1の実施形態>
図示に従って実施形態の一例を説明する。
図1は、本発明に係る凹凸パターン形成シートの一例を示す拡大斜視図である。
(凹凸パターン形成シート)
本実施形態では、図1に示すように、凹凸パターン形成シート10の機能層の表面に、蛇行した波状の凹凸パターン11が形成されている。
光拡散シートに用いる本実施形態の凹凸パターン形成シート10では、凹凸パターン11の最頻ピッチAが1μmを超え20μm以下であることが好ましく、1μmを超え10μm以下であることがより好ましい。最頻ピッチAが1μm未満であると、可視光の波長以下となり、可視光が凹凸パターン11にて屈折せずに光が透過してしまい、前記上限値を超えると、輝線として視認される場合があるからである。
凹凸パターン11の最頻ピッチAに対する凹凸パターンの平均深さBの比(B/A、以下、アスペクト比という。)は0.1〜3.0であることが好ましく、0.3〜2.0であることがより好ましい。アスペクト比が0.1未満であると、目的の光学特性が得られないことがある。一方、アスペクト比が3.0より大きくなると、凹凸パターン形成シート10の製造にて凹凸パターン11を形成しにくくなる傾向にある。
ここで、平均深さBとは、凹凸パターン11の底部11aの平均深さのことである。
また、底部11aとは、凹凸パターン11の凹部の極小点であり、平均深さBは、凹凸パターン11を短径方向に沿って切断した断面(図2照)を見た際の、凹凸パターン形成シート10全体の面方向と平行な基準線Lから各凸部の頂部までの長さB,B,B・・・の平均値(BAV)と、基準線Lから各凹部の底部までの長さb,b,b・・・の平均値(bAV)との差(bAV−BAV)のことである。
平均深さBを測定する方法としては、原子間力顕微鏡により撮影した凹凸パターン11の断面の画像にて各底部11aの深さを測定し、それらの平均値を求める方法などが採られる。
本実施形態のように、凹凸パターン11が一方向に沿っている場合の蛇行とは、以下の方法で求められる凹凸パターンの配向度が0.3以上になっていることである。この配向度は、凹凸パターンの配向のばらつきの指標であり、その値が大きいほど、配向がばらついている、すなわち隣り合ったパターンのピッチがパターンの方向に沿ってばらついており、光拡散の高い光拡散体として好ましいことを示す。
配向度を求めるためには、まず、表面光学顕微鏡により凹凸パターンの上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等)に変換する。グレースケールのファイルの画像(図3参照)では、白度が低いところ程、凹部の底部が深い(白度が高いところ程、凸部の頂部が高い)ことを表している。次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換する。図4にフーリエ変換後の画像を示す。図4の画像の中心から両側に広がる白色部分は凹凸パターン11のピッチおよび向きの情報が含まれる。
次いで、図4の画像の中心から水平方向に補助線Lを引き、その補助線上の輝度をプロット(図5参照)する。図5のプロットの横軸はピッチの逆数を、縦軸は頻度を表し、頻度が最大となる値Xの逆数1/Xが凹凸パターン11の最頻ピッチを表す。
次いで、図4において、補助線Lと値Xの部分にて直交する補助線Lを引き、その補助線L上の輝度をプロット(図6参照)する。ただし、図6の横軸は、各種の凹凸構造との比較を可能にするため、Xの値で割った数値とする。図6の横軸は、凹凸パターンの形成方向(図3における上下方向)に対する傾きの程度を示す指標(配向性)を、縦軸は頻度を表す。図6のプロットにおけるピークの半値幅W(頻度が最大値の半分になる高さでのピークの幅)が凹凸パターン11の配向度を表す。半値幅Wが大きい程、蛇行して配向がばらついていることを表す。
上記配向度が0.3未満であると、凹凸パターン11の配向のばらつきが小さくなるため、光の拡散性が小さくなる。
また、配向度は1.0以下であることが好ましい。配向度が1.0を超えると、凹凸パターン11の方向がある程度ランダムになるため、光拡散性は高くなるが、異方性が低くなる傾向にある。
配向度を0.3以上にするためには、例えば、後述する製造において、加熱収縮性フィルムと機能層とを適宜選択すればよい。
また、配向度が0.3以上の凹凸パターンが一表面に形成された金型を用いて透明樹脂を成形する方法を採用してもよい。
(凹凸パターン形成シートの構成材料)
凹凸パターン形成シート10の基材としては、可視光の透過率の高い(具体的には、可視光の全光線透過率が85%以上)透明樹脂により構成される。
また、凹凸パターン形成シート10には、耐熱性、耐光性を向上させる目的で、光透過率等の光学特性を損なわない範囲内で、添加剤を含有することができる。添加剤としては、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、光拡散剤などが挙げられる。中でも、光安定剤を添加することが好ましく、その添加量は、透明樹脂100質量部に対して0.03〜2.0質量部であることが好ましい。光安定剤の添加量が0.03質量部以上であれば、その添加効果を充分に発揮できるが、2.0質量部を超えると、過剰量になり、不要なコストの上昇を招く傾向にある。
また、凹凸パターン形成シート10には、より光拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学特性を大きく損なわない範囲内で、無機化合物からなる無機光拡散剤、有機化合物からなる有機光拡散剤を含有させることができる。
無機光拡散剤としては、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、ガラス、マイカ等が挙げられる。
有機光拡散剤としては、スチレン系重合粒子、アクリル系重合粒子、シロキサン系重合粒子、ポリアミド系重合粒子等が挙げられる。これらの光拡散剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの光拡散剤は、優れた光散乱特性を得るために、花弁状又は球晶状等の多孔質構造とすることもできる。
光拡散剤の含有量は、光透過性を損ないにくいことから、透明樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
さらに、凹凸パターン形成シート10には、より光拡散効果を高める目的で、光透過率等の光学特性を大きく損なわない範囲内で、微細気泡を含有させることができる。微細気泡は、光の吸収が少なく光透過率を低下させにくい。
微細気泡の形成方法としては、凹凸パターン形成シート10に発泡剤を混入する方法(例えば、特開平5−212811号公報、特開平6−107842号公報に開示された方法)や、アクリル系発泡樹脂を発泡処理させて微細気泡を含有する方法(例えば、特開2004−2812号公報に開示された方法)などを適用できる。さらに微細気泡は、より均一な面照射が可能となる点では、特定の位置に不均一に発泡させる方法(例えば、特開2006−124499号公報に開示された方法)が好ましい。
なお、前記光拡散剤と微細発泡を併用することもできる。
(凹凸パターン形成シートの厚さ)
凹凸パターン形成シート10の厚さは0.02〜3.0mmが好ましく、0.05〜2.5mmがより好ましく、0.1〜2.0mmが特に好ましい。凹凸パターン形成シート10の厚さが0.02mm未満であると、凹凸パターン11の深さよりも小さいことがあるため適当でなく、3.0mmよりも厚いと凹凸パターン形成シート10の質量が大きくなるため取り扱いにくくなるおそれがある。
凹凸パターン形成シート10は2層以上の樹脂層から構成されていてもよい。凹凸パターン形成シート10が2層以上の層から構成されている場合も、凹凸パターン形成シート10の厚さは0.02〜3.0mmであることが好ましい。
(凹凸パターン形成シートの拡散角度)
本発明の凹凸パターン形成シート10は拡散角度の最大値が25°以上であることが好ましい。拡散角度の最大値を25°以上とすることで後述する点光源を線状光源化するために十分な拡散性が得られる。
さらに好ましくは、拡散角度の最大値を30°〜50°とする。拡散角度の最大値が50°を超えると、拡散性が大きくなりすぎ、光源の照度が低下しすぎるため、望ましくない。
なお、ここで拡散角度とは、凹凸パターン形成シート10の凹凸パターンが形成されていない側の面から、シート面の法線方向に沿って測定光を入射させ、凹凸パターンが形成された面から出射させ、その照度を測定する際、シート面の法線方向(この方向を出光角度0°とする)における相対照度を1とした場合に相対照度が0.5以上となる±の角度範囲である。例えば、出光角度が±15°の範囲で相対照度が0.5以上である場合、拡散角度は30°となる。
また、拡散角度の最大値とは、シート面内の全方向で拡散角度を測定した場合の、最大拡散角度である。
(使用方法)
上記凹凸パターン形成シート10は、光拡散シートとして用いられる。具体的には、図7に示すように、凹凸パターン形成シート10は、凹凸パターン11が形成されていない側の面αに複数個の点光源20を直線上に配置させて使用される。また、凹凸パターン形成シート10の面α側に点光源20を配置させることにより、凹凸パターン形成シート10の面αから入光させた光を凹凸パターン面から出光させることができる。さらに、凹凸パターン形成シート10内を通過した光を凹凸パターン11にて点光源の並列方向に異方性拡散させて、点光源を線状光源化して、凹凸パターン11が形成された側の面から出射させることができる。
また、上記凹凸パターン形成シート10の主たる拡散方向を前記点光源の並列方向と直交する方向に配置させることにより、点光源を縞状模様にして、凹凸パターン11が形成された側の面から出射させることができる。
さらに、上記凹凸パターン形成シート10の主たる拡散方向を前記点光源の並列方向に対して30〜60°をなすように配置させることにより、点光源を螺旋模様にして、凹凸パターン11が形成された側の面から出射させることができる。
図8は、前記凹凸パターン形成シートが配置されていないとき、および配置されているときのLED点光源の外観写真である。
図8−1は、前記凹凸パターン形成シートを配置する前のLED点光源、図8−2、3および4は前記凹凸パターン形成シートを配置することによりそれぞれ線状、縞状、螺旋状となったLED点光源である。点光源を前記縞状模様や螺旋模様にすることにより意匠性を高めることができる。
(製造方法)
凹凸パターン形成シート10を製造する方法の例について説明する。
本発明の機能層13は、樹脂、金属及び金属化合物が挙げられる。
機能層13が、樹脂の場合、凹凸パターン形成シート、原版及び2次工程用成形物としても使用できるので好ましい。また、金属または金属化合物の場合、拡散角度を満足するものを得るために原版及び2次工程用成形物として使用できる。
また、機能層13が、金属及び金属化合物の場合、機能層13のヤング率を前記範囲にするためには、機能層13を、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成することが好ましい。
また、機能層13を、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物で構成することが好ましい。
ここで、ヤング率は、JIS Z 2280−1993の「金属材料の高温ヤング率試験方法」にて温度を23℃に変更して測定した値である。硬質層が金属化合物からなる場合も同様である。
[第1の製造方法]
本実施形態の凹凸パターン形成シートの製造方法は、図8に示すように、樹脂製の基材である加熱収縮性フィルム12の片面に、表面が平滑な樹脂製の機能層13(以下、表面平滑機能層13という。)を設けて積層シート14を形成する工程(以下、第1の工程という。)と、加熱収縮性フィルム12を加熱収縮させて、積層シート14の少なくとも表面平滑機能層13を折り畳むように変形させる工程(以下、第2の工程という。)とを有する方法である。
ここで、表面平滑機能層13とは、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ0.1μm以下の層である。
第1の工程
第1の工程にて、加熱収縮性フィルム12の片面に機能層13を設けて積層シート14を形成する方法としては、例えば、加熱収縮性フィルム12の片面に、樹脂の溶液または分散液をスピンコーターやバーコーター等により塗工し、溶媒を乾燥させる方法、加熱収縮性フィルム12の片面に、あらかじめ作製した機能層13を積層する方法などが挙げられる。
加熱収縮性フィルム12としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系シ収縮フィルム、ポリスチレン系収縮フィルム、ポリオレフィン系収縮フィルム、ポリ塩化ビニル系収縮フィルム、ポリカーボネート系収縮フィルムなどを用いることができる。
加熱収縮性フィルム12の中でも、40〜70%収縮するものが好ましい。50〜70%収縮するシュリンクフィルムを用いれば、変形率を40%以上にでき、凹凸パターン11の最頻ピッチAが1μmを超え20μm以下、アスペクト比0.1以上の凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
ここで、変形率とは、(変形前の長さ−変形後の長さ)/(変形前の長さ)×100(%)のことである。
また、以下の工程により凹凸パターン11のアスペクト比を、3.0にすることができる。
加熱収縮性フィルム12に加熱収縮性フィルム12よりガラス転移温度が低いプライマー樹脂層を塗工し、該プライマー樹脂層の上に機能層13を設けた積層シート14を形成する。該積層シートを加熱収縮させることにより凹凸パターン形成シート10を形成する。
加熱収縮後の加熱収縮性フィルム12を凹凸パターン形成シート10から剥離し、別の加熱収縮性フィルムを貼り合せ、積層シートを形成する。この積層シートを加熱収縮させることにより、加熱収縮性フィルム1枚分を加熱収縮させた場合より、平均深さBを大きくすることが可能である。この工程を複数回繰り返すことで、凹凸パターン11のアスペクト比を、3.0にすることができる。
また、機能層13が、樹脂の場合、加熱収縮性フィルムを構成する樹脂(以後、第1の樹脂とも言う。)より、ガラス転移温度が10℃以上高い樹脂(以後、第2の樹脂とも言う。)を少なくとも一種を含むように構成する。第1の樹脂のガラス転移温度と第2の樹脂のガラス転移温度の関係にあることにより、凹凸パターン11の最頻ピッチAを、確実に1μmを超え20μm以下にできる。
第2の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
機能層13の表面は、所望の凹凸パターン11を容易に形成できることから、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ0.1μm以下にする。
また、機能層13の厚さは0.05〜5.0μmとすることが好ましく、0.1〜1.0μmとすることがより好ましい。機能層13の厚さが前記範囲であれば、凹凸パターン11の最頻ピッチAを、確実に1μmを超え20μm以下にできる。しかし、機能層13の厚さを0.05μm未満とすると最頻ピッチAが1μm以下になることがあり、5.0μmを超えると、最頻ピッチAが20μmを超えることがある。
また、蛇行した波状の凹凸パターン11をより容易に形成できることから、機能層13のヤング率を0.01〜300GPaにすることが好ましく、0.1〜10GPaにすることがより好ましい。
第2の工程
第2の工程にて、加熱収縮性フィルム12を熱収縮させることにより、機能層13に、収縮方向に対して垂直方向に波状の凹凸パターン11を形成させる。
加熱収縮性フィルム12を加熱収縮させる際の加熱方法としては、熱風、蒸気または熱水中に通す方法等が挙げられる。前述の拡散角度の最大値を25°以上にするためには、第2の工程で、目標変形率を得るまでの加熱時間を1分より短くすることが好ましい。1分より短い加熱時間で加熱収縮フィルム12を熱収縮させることにより、凹凸パターン11のピッチのバラツキを大きくすることが可能となり、拡散角度の最大値を25°以上にすることが可能となる。
上記第1の製造方法では、第1の樹脂のガラス転移温度と第2の樹脂のガラス転移温度の間の温度では、機能層13のヤング率が加熱収縮性フィルム12より高くなる。そのため、第1の樹脂のガラス転移温度と第2の樹脂のガラス転移温度の間の温度で加工した際には、機能層13は厚みを増すよりも、折り畳まれるようになる。さらに、機能層13は加熱収縮性フィルム12に積層されているため、加熱収縮性フィルム12の収縮による応力が全体に均一にかかる。したがって、加熱収縮性フィルム12を収縮させて、機能層13を折り畳むように変形させることにより、凹凸パターン11を形成できる。
上記のようにして得た凹凸パターン形成シート10はそのまま光学シート特に光拡散シートとして用いることができる。その場合、加熱収縮性フィルム12と機能層13とによって光学シートが形成される。
[第2の製造方法]
第2の製造方法は、第1の製造方法で得た凹凸パターン形成シートを工程シート原版として、凹凸パターン形成シート10を製造する方法である。
工程シート原版は、枚葉状であってもよいし、連続したシート状であるウェブ状であってもよい。
第2の製造方法の具体的な方法としては、例えば、下記(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を工程シート原版から剥離する工程とを有する方法。ここで、電離放射線とは、通常、紫外線または電子線のことであるが、本発明では、可視光線、X線、イオン線等も含む。
(b)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を工程シート原版から剥離する工程とを有する方法。
(c)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、シート状の透明熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の透明熱可塑性樹脂を工程シート原版に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の透明熱可塑性樹脂を工程シート原版から剥離する工程とを有する方法。
また、工程シート原版を用いて2次工程用成形物を作製し、その2次工程用成形物を用いて凹凸パターン形成シート10を製造することもできる。2次工程用成形物を用いる具体的な方法としては、下記(d)〜(f)の方法が挙げられる。
(d)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、ニッケル等の金属めっきを行って、めっき層を積層する工程と、そのめっき層を工程シート原版から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、次いで、2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(e)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、めっき層を積層する工程と、そのめっき層を工程シート原版から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、加熱により該樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(f)工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、めっき層を積層する工程と、そのめっき層を工程シート原版から剥離して、金属製の2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の凹凸パターンと接していた側の面に、シート状の透明熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の透明熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の透明熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する方法。
(a)の方法の具体例について説明する。図9に示すように、まず、ウェブ状の工程シート原版110の凹凸パターン111が形成された面に、コーター120により未硬化の液状電離放射線硬化性樹脂112を塗工する。次いで、該硬化性樹脂を塗工した工程シート原版110を、ロール130を通すことにより押圧して、前記硬化性樹脂を工程シート原版110の凹凸パターン111内部に充填する。その後、電離放射線照射装置140により電離放射線を照射して、硬化性樹脂を架橋・硬化させる。そして、硬化後の電離放射線硬化性樹脂を工程シート原版110から剥離させることにより、ウェブ状の凹凸パターン形成シート10を製造することができる。
(a)の方法において、工程シート原版の凹凸パターンが形成された面には、離型性を付与する目的で、未硬化の電離放射線硬化性樹脂塗工前に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等からなる層を1〜10nm程度の厚さで設けてもよい。
工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工するコーターとしては、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
未硬化の液状電離放射線硬化性樹脂を塗工した後には、樹脂、ガラス等からなる基材を貼り合わせてから電離放射線を照射してもよい。電離放射線の照射は、基材、工程シート原版の電離放射線透過性を有するいずれか一方から行えばよい。
(d)の具体的な方法は、(a)の方法における工程シート原版を、該工程シート原版を用いて作製した2次工程用成形物に変更したこと以外は、上記(a)の方法と同様である。
(b),(e)の方法において、液状熱硬化性樹脂としては、例えば、未硬化の、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(b)の方法における硬化温度は、工程シート原版のガラス転移温度より低いことが好ましい。硬化温度が工程シート原版のガラス転移温度以上であると、硬化時に工程シート原版の凹凸パターンが変形するおそれがあるからである。
(c),(f)の方法における透明熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形加工の観点からは、MS、PMMA、PS、COP、PCが好ましく、吸湿性及びコストの観点からは、MSのうちスチレン含有率が30〜90質量%のものがさらに好ましい。
これらの透明熱可塑性樹脂は単層もしくは多層構造とすることもできる。例えば、PS層の両面にPMMA層を設けた3層構造の透明熱可塑性樹脂などを用いることができる。
さらに、前記透明熱可塑性樹脂の表面に、高屈折率の樹脂を設けたものを使用することもできる。高屈折率の樹脂としては、例えば、フルオレン系エポキシ化合物、フルオレン系アクリレート化合物、フルオレン系ポリエステル(OKP)、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)、ポリジフェニルシラン(PDPS)などが挙げられる。
(c)の方法において、シート状の熱可塑性樹脂を工程シート原版に押圧する際の圧力、(f)の方法において、シート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧する際の圧力は1〜100MPaであることが好ましい。押圧時の圧力が1MPa以上であれば、凹凸パターンを高い精度で転写させることができ、100MPa以下であれば、過剰な加圧を防ぐことができる。
また、(c)の方法における熱可塑性樹脂の加熱温度は、工程シート原版のガラス転移温度より低いことが好ましい。加熱温度が工程シート原版のガラス転移温度以上であると、加熱時に工程シート原版の凹凸パターンが変形するおそれがあるからである。
加熱後の冷却温度としては、凹凸パターンを高い精度で転写させることができることから、熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満であることが好ましい。
また、(f)の製造方法での成形方法としては、プレス成形法以外に、例えば、射出成形法を適用することができる。
[第3の製造方法]
機能層13が、金属または金属化合物からなる場合は、以下に記載する部分以外は第1の製造方法と同様の方法により凹凸パターン形成シートが得られる。また、得られた凹凸パターン形成シートを工程シート原版として用いて、第2の製造方法と同様の方法を使用することにより光拡散体として使用可能な凹凸パターン形成シートが得られる。
第1の工程
第1の工程において、積層シート14を形成する方法としては、例えば、加熱収縮性フィルム12の片面に金属や金属化合物を蒸着させる方法、加熱収縮性フィルム12の片面に、あらかじめ作製した機能層13を積層する方法などが挙げられる。
機能層13が金属からなる場合には、層表面が空気酸化されて空気酸化膜が形成されることがあるが、本発明では、そのような金属層の表面が空気酸化された層も、金属からなる層とみなす。
この製造方法において、より容易に凹凸パターン11を形成できることから、機能層13のヤング率を0.1〜500GPaにすることが好ましく、1〜150GPaにすることがより好ましい。
機能層13のヤング率を前記範囲にするためには、機能層13を、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成することが好ましい。または、機能層13を、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物で構成することが好ましい。
ここで、ヤング率は、JIS Z 2280−1993の「金属材料の高温ヤング率試験方法」にて温度を23℃に変更して測定した値である。機能層が金属化合物からなる場合も同様である。
機能層13の厚さは0.01μmを超え0.2μm以下、好ましくは0.02〜0.1μmとする。機能層13の厚さを前記範囲とすることにより、凹凸パターン11の最頻ピッチAを、確実に1μmを超え20μm以下にできる。しかし、機能層13の厚さが0.01μm未満であると最頻ピッチAが1μm以下になることがあり、0.2μmを超えると、最頻ピッチAが20μmを超えることがある。
また、機能層13の厚さは連続的に変化していても構わない。機能層13の厚さが連続的に変化している場合には、圧縮後に形成される凹凸パターン11のピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。
第2の工程
以上説明した凹凸パターン形成シートの製造方法では、金属または金属化合物からなる機能層13が、加熱収縮性フィルム12よりヤング率が桁違いに大きいため、加熱収縮性フィルム12より硬い機能層13を熱圧縮した際に、厚みを増すよりも、折り畳まれるようになる。さらに、機能層13は加熱収縮性フィルム12に積層されているため、加熱収縮性フィルム12の収縮による応力が全体に均一にかかる。したがって、本発明によれば、機能層13を折り畳むように変形させて、光拡散体を製造するための工程シートとして性能に優れた凹凸パターン形成シート10を簡便に、かつ、大面積で製造できる。
しかも、この製造方法によれば、容易に、凹凸パターン11の最頻ピッチAを、1μmを超え20μm以下、凹凸パターン11のアスペクト比を0.1以上にできる。
上述した第1、第2および第3の製造方法により得た凹凸パターン形成シート10はそのまま光学シートとして用いてもよいし、透明樹脂製またはガラス製の補強用の基板に接着剤を介して貼り合わせて最終的な光学シートとしてもよい。
なお、本発明の凹凸パターン形成シートは、上述した実施形態のものに限定されない。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の「部」および「%」は各々「質量部」および「質量%」を表わす
(実施例1)
一軸方向に熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製ヒシペットLX−60S、ガラス転移温度70℃)の片面に、トルエンに希釈したポリメチルメタクリレート(ポリマーソース株式会社製P4831−MMA、ガラス転移温度100℃)を厚さが2μmになるようにバーコーターにより塗工し、機能層を形成して積層シートを得た。
次いで、その積層シートを80℃で50秒間加熱することにより、加熱前の長さの50%に熱収縮させ(すなわち、変形率50%で変形させ)、機能層形成面に、収縮方向に対して直交方向に沿って波状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートを得た。得られた凹凸パターン形成シートは収縮方向の拡散性が大きな異方性拡散シートであった。
この凹凸パターン形成シートの、光拡散体としての性能を次のように評価した。すなわち、GENESIA GonioFar Field Profiler(ジェネシア社製)を用いて、拡散角度を測定した。その結果、収縮方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は50°であった。
凹凸パターンが形成された面の反対面より、前記異方性拡散シートの拡散性が大きな方向に一直線に複数配列されたLED光源を照射し、凹凸パターンが形成された面から観察したところ、LED点光源同士がつながり、線状光源化していた。
(実施例2)
実施例1により得た凹凸パターン形成シートを工程シート原版として用いて、以下のようにして光学素子を得た。
すなわち、実施例1により得た工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ200μmの2次工程シートを得た。この2次工程シートの凹凸パターンが形成された面にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。
次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜の2次工程シートと接していない面に厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを重ね合わせ、押圧した。
次いで、トリアセチルセルロースフィルムの上から紫外線を照射し未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、その硬化物を2次工程シートから剥離することにより、異方性拡散シートを得た。
実施例1と同様の方法で拡散角度を測定したところ、工程シート原版の収縮方向に対応する方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は38°であった。
凹凸パターンが形成された面の反対面より、前記異方性拡散シートの拡散性が大きな方向に一直線に複数配列されたLED光源を照射し、凹凸パターンが形成された面から観察したところ、LED点光源同士がつながり、線状光源化していた。
また、前記異方性拡散シートを拡散性が大きな方向と前記LED光源の配列方向が直交するように配置したところ、LED点光源が縞状模様となった。
さらに、前記異方性拡散シートを拡散性が大きな方向と前記LED点光源の配列方向が45°をなすように配置したところ、LED点光源が螺旋模様となった。
(実施例3)
実施例1により得た凹凸パターン形成シートを工程シート原版として用いて、以下のようにして異方性拡散体を得た。
すなわち、実施例1により得た工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ200μmの2次工程シートを得た。この2次工程シートを射出成形装置のスタンパーとして同装置の金型に設置し、前記射出成形機にポリスチレン(ポリマーソース株式会社製PS)を流しこみ射出成形を行うことにより、厚さ2mmの異方性光拡散体を得た。
実施例1と同様の方法で拡散角度を測定したところ、工程シート原版の収縮方向に対応する方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は42°であった。
凹凸パターンが形成された面の反対面より、前記異方性拡散体の拡散性が大きな方向に一直線に複数配列されたLED光源を照射し、凹凸パターンが形成された面から観察したところ、LED点光源同士がつながり、線状光源化していた。
(実施例4)
一軸方向に熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製ヒシペットLX−10S)の片面に、アルミニウムを厚さが0.05μmになるように真空蒸着させ、機能層を形成して積層シートを得た。
次いで、その積層シートを100℃で50秒間加熱することにより、加熱前の長さの60%に熱収縮させ(すなわち、変形率40%に変形させ)、機能層形成面に、収縮方向に対して直交方向に沿って波状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シートを得た。収縮方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は35°であった。
次いで得られた凹凸パターン形成シートを工程シート原版として用いて、以下のようにして異方性拡散体を得た。
すなわち、工程シート原版の凹凸パターンが形成された面に、ニッケルめっきを施し、そのニッケルめっきを剥離することにより、厚さ200μmの2次工程シートを得た。この2次工程シートを射出成形装置のスタンパーとして同装置の金型に設置し、前記射出成形機にポリスチレン(ポリマーソース株式会社製PS)を流しこみ射出成形を行うことにより、厚さ2mmの異方性光拡散体を得た。
実施例1と同様の方法で拡散角度を測定したところ、前記収縮方向に対応する方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は30°であった。
凹凸パターンが形成された面の反対面より、前記異方性拡散体の拡散性が大きな方向に一直線に複数配列されたLED光源を照射し、凹凸パターンが形成された面から観察したところ、LED点光源同士がつながり、線状光源化していた。
(比較例1)
粒径2μmのポリシロキサン重合体の架橋物からなる微粒拡散子1部が混合されたポリメチルメタクリレート樹脂を成形し厚さ2mmのシートを得た。得られたポリメチルメタクリレートシートは拡散性に方向性のない等方性拡散シートであった。
実施例1と同様の方法で拡散角度を測定したところ、拡散角度は面内で同一で22°であった。
一方の面より、一直線に複数配列されたLED光源を照射し、もう一方の面から観察したところ、点光源同士はつながって見えたが、LED点光源は、直線状に配列された方向の直交方向にも広がり線状光源化してはいなかった。また、実施例1〜4と比較して、平均照度の低下が大きかった。
(比較例2)
積層シートを加熱前の長さの40%に熱収縮させた(すなわち、変形率60%で変形させた)こと以外は、実施例1と同様の方法を用いて凹凸パターン形成シートを得た。
実施例1と同様の方法で拡散角度を測定したところ、収縮方向の拡散角度すなわち拡散角度の最大値は60°であった。
凹凸パターンが形成された面の反対面より、前記異方性拡散体の拡散性が大きな方向に一直線に複数配列されたLED光源を照射し、凹凸パターンが形成された面から観察したところ、LED点光源同士がつながり、線状光源化していたが、実施例1〜4と比較して、平均照度の低下が大きかった。
10 凹凸パターン形成シート
11 凹凸パターン
11a 底部
12 加熱収縮性フィルム
13 機能層
14 積層シート
20 点光源
110 ウェブ状の工程シート原版
111 凹凸パターン
112 未硬化の液状電離放射線硬化性樹脂
120 コーター
130 ロール
140 電離放射線照射装置

Claims (8)

  1. 樹脂製の基材と、該基材の片面または両面の少なくとも一部に設けられた機能層とを備え、該機能層の表面に、表面から見た場合に略平行であるが蛇行している凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成シートであって、凹凸パターン形成シートの凹凸パターンの最頻ピッチが1μmを超え20μm以下で略一定で、最頻ピッチAに対する凹凸の平均深さBの比(B/A)が0.1〜3.0であり、且つ凹凸パターン形成シートの拡散角度の最大値が25°以上50°以下であることを特徴とする凹凸パターン形成シート。
  2. 前記機能層が、樹脂からなる請求項1記載の凹凸パターン形成シート。
  3. 前記機能層を構成する少なくとも1種類の樹脂のガラス転移温度Tgと、基材を構成する樹脂のガラス転移温度Tgとの差(Tg−Tg)が、10℃以上である請求項1〜2のいずれかに記載の凹凸パターン形成シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の凹凸パターン形成シートを備え、該凹凸パターン形成シートと同等の最頻ピッチおよび平均深さの凹凸パターンが表面に形成された光拡散体を製造するための型として用いられる光拡散体製造用工程シート原版。
  5. 請求項4に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、該電離放射線硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を工程シート原版から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
  6. 請求項4に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、凹凸パターン転写用材料を積層する工程と、凹凸パターンに積層した凹凸パターン転写用材料を前記工程シート原版から剥離して2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の、前記工程シート原版の凹凸パターンと接していた側の面に、未硬化の硬化性樹脂を塗工する工程と、該硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
  7. 請求項4に記載の光拡散体製造用工程シート原版の、凹凸パターンが形成された面に、凹凸パターン転写用材料を積層する工程と、凹凸パターンに積層した凹凸パターン転写用材料を前記工程シート原版から剥離して2次工程用成形物を作製する工程と、該2次工程用成形物の、前記工程シート原版の凹凸パターンと接していた側の面に、熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該熱可塑性樹脂を2次工程用成形物に押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、冷却したシート状の熱可塑性樹脂を2次工程用成形物から剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
  8. 少なくとも直線状に配列された複数個のLED点光源と、該LED点光源上に配置された請求項5〜請求項7のいずれかに記載の方法により製造された光拡散体とからなる線状、縞状または螺旋状から選ばれる1種であるLED光源。
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