以下、本発明を詳細に説明する。
<表面微細凹凸体の構成及び光透過特性>
図1は、本発明の表面微細凹凸体の第一の態様である配光制御シート(配光制御体)の片面の光学顕微鏡写真(平面視;縦0.4mm×横0.5mmの視野部分を示す)であり、図2は、図1の配光制御シートの微細凹凸をレーザー顕微鏡(キーエンス社製「VK−8510」)で観察したレーザー顕微鏡写真である。図2中の線αは、図2に示す配光制御シートを線βに沿って図中横方向に切断した切断面における高さプロファイルを示している。なお、図1と図2とでは、倍率が異なる。
図3は、図1の光学顕微鏡写真中のI−I’線(後述する凸条部と凹条部とが繰り返される方向に沿う線)に沿って切断した部分を模式的に示す拡大縦断面図である。なお、図3は、配光制御シートの縦断面形状の理解しやすさの観点から、単純化して示している。
本明細書において、「表面微細凹凸体」とは、表面に微細な凹凸構造を有する物品のことを意味する。またさらに詳しく説明すると、「表面微細凹凸体」は後述する2次転写品のことを意味する。
第1の態様である配光制御シート(表面微細凹凸体)10は、図3に示すように、ポリエチレンテレフタレート(PET)を材料とする透明な基材11と、前記基材11の一方の面上に設けられた電離放射線硬化性樹脂の硬化物を材料とする透明な表面層12との2層構造であり、表面層12の露出している側の面に、波状の凹凸パターン13と、前記凹凸パターン13の上に形成された多数の凸部14とから構成された微細凹凸が形成されている。凸部14は、第1の態様では、概略半球状に形成されている。また、第1の態様では、基材11の露出している面(表面層12が設けられた方とは反対側の面)は、平滑面となっている。
微細凹凸における波状の凹凸パターン13は、図1中では縦方向に延び、図3中では紙面に対して垂直な方向に延びる複数の筋状の凸条部13aと、前記複数の凸条部13a間の凹条部13bとが、一方向(図1および2中横方向)に交互に繰り返されたものである。
各凸条部13aの縦断面形状は、図3に示すように、基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状である。
複数の凸条部13aは、図1に示すとおり、それぞれが蛇行しており、かつ、互いに非平行であり、不規則に形成されている。すなわち、各凸条部13aにおいて、稜線が蛇行し、各凹条部13bにおいて、谷線が蛇行している。また、隣接する凸条部13aの稜線の間隔が一定しておらず、隣接する凹条部13bの谷線の間隔が一定していない。
本明細書において、不規則であるとは、配光制御シート10を基材に対して法線方向から見た際に、凸条部13aが蛇行し、かつ互いに非平行であること、各凸条部13aの稜線が蛇行し、各凹条部13bの谷線が蛇行していること、また隣接する凸条部13aの稜線の間隔が一定せず、隣接する凹条部13bの谷線の間隔が一定していないことを意味する。
また、各凸条部13aにおいて稜線の高さが一定しておらず、各凹条部13bにおいて谷線の高さが一定していない。そのため、図3に示すように、各凸条部13aの縦断面形状は、それぞれ異なっており一律ではなく、不規則である。
微細凹凸は、このような波状の凹凸パターン13と、ランダムに分布した多数の凸部14とで、構成されている。
ここで、「凸条部13a」の稜線とは、凸条部13aの頂部をつないで続く線のことを意味する。
凸条部13aの稜線の途中に、凸部14が存在する場合は、凸部14の頂部を通るように引かれた線のことを指す。
図3に示す基材11としては、機械的強度、寸法安定性に優れたPETの他、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンアクリレート、ポリスチレンなどの樹脂およびガラスなど、透明性を有する材料を使用できる。基材11の厚みは、例えば30μm以上500μm以下である。
表面層12としては、電離放射線硬化性樹脂の硬化物の他、熱硬化性樹脂の硬化物、熱可塑性樹脂等が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂が挙げられる。表面層12の厚みは、波状の凹凸パターン13を形成するのに充分な厚みであればよく、最も厚い部分の厚みとして、10μm以上25μm以下程度であることが好ましい。また、表面層12の厚みは、表面層12を変形させる前の厚みのことを意味し、光学式非接触膜厚測定器を用いて測定することができる。
また、第1の態様では、配光制御シート10の微細凹凸は、波状の凹凸パターン13と、多数の凸部14とから構成されているが、本発明の表面微細凹凸体の微細凹凸は、波状の凹凸パターンと、多数の凹部とから構成されていてもよい。
以下、配光制御シート10において、波状の凹凸パターン13の繰り返し方向(図1における横方向)をY方向(第一方向)、Y方向と直交する方向(図1における縦方向)をX方向(第二方向)という。
また、本明細書では、このXY直交座標系において、第1の方向をY方向とし、第2の方向をX方向とする。また、X方向及びY方向に直交する方向を、第3の方向、または表面微細凹凸体の基材の法線方向ということもある。
図示例の配光制御シート10は、配光制御性能を発揮する観点から、波状の凹凸パターン13の最頻ピッチが10μm以上35μm以下とされている。波状の凹凸パターン13の最頻ピッチは、好ましくは15μm以上28μm以下、より好ましくは18μm以上22μm以下である。ピッチとは、隣り合う凸条部の頂部間の距離である。
最頻ピッチが上記範囲内であると、配光制御シート10に対して、微細凹凸が形成された面(以下、微細凹凸形成面という場合がある)または微細凹凸形成面と反対側の平滑面側から光を入射させた場合、入射面とは反対面からの出射光は、Y方向(広配光分布方向)に良好に配光する。
そして、図示例の配光制御シート10の微細凹凸は、上述のように広配光分布方向への配光を主に担う波状の凹凸パターン13に加えて、ランダムに形成された多数の凸部14を有している。そのため、波状の凹凸パターン13の異方性が凸部14により適度に弱められる。その結果、前記配光制御シート10に対して、いずれか一方の面から光を入射させた場合、反対面からの出射光は、X方向(広配光分布方向に直交する方向)にも配光し、方向Yよりも小さい。
凸部14の見かけの最頻径は、1μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以上6μm以下、さらに好ましくは4μm以上5μm以下である。ここで「見かけの」と形容する理由は、これらの最頻径は、例えば図3中で言えば、上方(基材の法線方向)から配光制御シート10を顕微鏡写真として観察して径として捉えているからである。
凸部14の見かけの最頻径が上記範囲内であると、波状の凹凸パターン13の異方性を適度に弱めることができ、Y方向およびX方向の両方のFWHMを上記範囲に制御しやすく、たとえば、Y方向のFWHMは好ましくは25°以上30°以下、X方向のFWHMは好ましくは10°以上15°以下に制御しやすい。
本明細書におけるFWHMは、配光特性測定装置(例えば、ジェネシア社製「GENESIA Gonio Far Field Profiler」)を用いて以下の方法により測定できる。
まず、配光制御シート10に対して微細凹凸形成面と反対側の平滑面側から光を照射し、入射させる。その際に、入射面とは反対面側から垂直に出光する出射光(すなわち、出光角度=0°)の照度を基準値とし、方向Yに沿う出光角度−90°から+90°の範囲内の出射光の照度を、上記基準値に対する相対値として、例えば1°おきに測定する。そして、Y各方向の出光角度に対する照度の値をプロットして照度曲線を得る。
前記照度曲線における半値幅(全半値幅)を広配光分布方向(Y方向)のFWHMという。また、X方向に沿う出光角度−90°から+90°の範囲内の出射光の照度を上記基準値に対する相対値として、例えば1°おきに測定する。そして、各X方向の出光角度に対する照度の値をプロットして照度曲線を得る。前記照度曲線における半値幅(全半値幅)を広配光分布方向に直交する方向(方向X)のFWHMとする。なお、本明細書では、上記の方向について図別する場合にX方向についてのFWHMは「FWHMX」と表示し、Y方向についてのFWHMは「FWHMY」と表示する。
特に、FWHMおよびFW(0.95)Mは、以下の方法により測定できる。
まず、配光制御シートに対していずれか一方の面、すなわち微細凹凸形成面または反対側の平滑面側から光を照射、入射させる。その際に、入射面とは反対面側から垂直に出光する出射光(出光角度=0°)の照度を基準値とし、微細凹凸が形成された面を通過する光を最も広く配光分布する方向Yに沿う出光角度−90°から+90°の範囲内の出射光の照度を、上記基準値に対する相対値として、上述同様、1°おきに測定する。そして、各Y方向の出光角度に対する照度の値をプロットして照度曲線を得る。照度曲線における半値幅(全半値幅)を主拡散方向(Y方向)のFWHMとする。また、0.95値幅(全0.95値幅)を主拡散方向(Y方向)のFW(0.95)Mとする。
同様に、X方向に沿う出光角度−90°から+90°の範囲内の出射光の照度を基準値に対する相対値として、1°おきに測定する。そして、各X方向の出光角度に対する照度の値をプロットして照度曲線を得る。該照度曲線における半値幅(全半値幅)を主拡散方向に直交する方向(X方向)のFWHMとする。また、0.95値幅(全0.95値幅)を主拡散方向に直交する方向(X方向)のFW(0.95)Mとする。
本明細書において、波状の凹凸パターン13の最頻ピッチ、凸部14の見かけの最頻径は、以下のように測定、定義される。
まず、表面微細凹凸体について、図1のような光学顕微鏡写真を得る。その際の観察視野は、縦0.4mm以上1.6mm以下、横0.5mm以上2mm以下とする。この画像がjpeg等の圧縮画像である場合は、これをグレースケールのTiff画像に変換する。そして、フーリエ変換を行い、図4のようなフーリエ変換画像を得る。
また、図4のフーリエ変換画像の模式図を図5として示す。
ここで、図4において符号A1及び符号A2の白色部は、その形状に方向性があることから、波状の凹凸パターンのピッチの情報を含む。白色の輝度は頻度を示す(ただし中心点は除く)。一方、図4の白色円環Bは、その形状に方向性がないことから、多数の凸部14の径の情報を含む。
そこで、図4の中心からA2の中で最大頻度となる点を通るように線L1−1を引き、線L1−1の頻度分布をプロットすると、図6のグラフが得られる。
また、図4の中心からL1−1と直交する方向に線L1−2を引き、線L1−2の頻度分布をプロットすると、図7のグラフが得られる。
図6において、頻度が高い1/XAが、配光制御シート10における、波状の凹凸パターンの最頻ピッチとなる。
また、図6および図7において、頻度が高い1/XB、1/YBが、配光制御シート10における、多数の凸部のそれぞれL1−1方向、L1−2方向の最頻径となる。すなわち、1/XAは波状の凹凸パターンの最頻ピッチ、1/(XB+YB)は多数の凸部の見かけの最頻径である。
なお、図4のフーリエ変換画像において、中心からの方位は、図1に存在する周期構造(すなわち、凹凸パターン13)の方向を意味し、中心からの距離は、図1に存在する周期構造の周期の逆数を意味する。本態様では、図1に示すように、波状の凹凸パターン13が図中横方向に繰り返されているため、フーリエ変換画像において中心からの図中横方向に延びる線L1−1において、最頻ピッチの逆数に相当する部分の輝度(頻度)が高くなっている。
また、図5中、XBは、線L1−1(図5では図示略)の円環を通る部分において、頻度が最大となる位置であり、また、図5中、YBは、線L1−2(図5では図示略)の円環を通る部分において、頻度が最大となる位置である。
図示例のような光学顕微鏡写真を少なくとも5枚撮影し、それぞれの写真について上記のように求めた最頻ピッチの平均値を波状の凹凸パターン13の「最頻ピッチ」と定義する。すなわち、「最頻ピッチ」とは、隣り合う凸条部の頂部間距離のうち、最も出現頻度が高い頂部間距離のことを指す。また、それぞれの写真について上記のように求めた見かけの最頻径の平均値を凸部14の「見かけの最頻径」と定義する。すなわち、「見かけの最頻径」とは、凹凸パターン13の上に形成された凸部14の直径のうち、最も出現頻度の高い直径のことを指す。
なお、本発明の表面微細凹凸体の微細凹凸は、凸部の代わりに、凹部を有していてもよく、凹部の「見かけの最頻径」も凸部の「見かけの最頻径」と同じ方法で求められる。言い換えれば、見かけの最頻径とは、微細凹凸が形成された表面の光学顕微鏡写真からフーリエ変換画像を得て、該フーリエ変換画像から多数の凹部または凸部についての直交する2方向の径の頻度分布を得て、該頻度分布に基づいて得られた多数の凹部または凸部についての最頻径の平均値のことである。
波状の凹凸パターン13を構成する凸条部13aの平均高さは、4μm以上7μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上6μm以下である。凸条部13aの平均高さが上記範囲であると、配光制御性能が充分に得られる。
本明細書において、波状の凹凸パターン13の凸条部13aの平均高さは、以下のように測定及び定義される。
まず、配光制御シート10の微細凹凸形成面を原子間力顕微鏡により観察し、その観察結果から、Y方向に沿って波状の凹凸パターン13を切断した面について、図8のような縦断面図を得る。そして、凸部14が存在していない部分の凸条部13aの断面図から、前記凸条部13aの高さHを求める。具体的には、凸条部13aの高さHは、前記凸条部13aの頂部Tと前記凸条部13aの一方側に位置する凹条部13bの底部B1との垂直距離をH1とし、前記凸条部13aの頂部Tと前記凸条部13aの他方側に位置する凹条部13bの底部B2との垂直距離をH2とした場合に、H=(H1+H2)/2で求められる。
このような計測を凸部14が存在していない凸条部13aの50箇所に対して行い、50のデータの平均値を「凸条部の平均高さ」と定義する。
一方、凸部14の平均高さは、0.5μm以上3μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上2μm以下、さらに好ましくは1.1μm以上1.5μm以下である。凸部14の平均高さが上記範囲であると、波状の凹凸パターン13の異方性を適度に弱めることができ、Y方向およびX方向の両方のFWHMを上記範囲に制御しやすい。
本明細書において、凸部14の平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、上述のようにして図8の断面図を得る。そして、図9に示すように、波状の凹凸パターン13に由来する形状と、凸部14に由来する形状とに波形分離する。なお、波形分離は、波状の凹凸パターン13に由来する形状をサインカーブとして行う。ついで、図9の断面図から、波状の凹凸パターン13に由来する形状を差し引き、図10に示すように、凸部14に由来する形状のみの断面図を得る。そして、図10の断面図において、凸部14の高さH’を、H’=(H1’+H2’)/2として求める。H1’は、図10の断面図において、凸部14の頂部T’と前記凸部14の一方側のベースラインLαとの垂直距離であり、H2’は、凸部14の頂部T’と前記凸部14の他方側のベースラインLβとの垂直距離である。
このような計測を50個の凸部14に対して行い、50のデータの平均値を「凸部の平均高さ」と定義する。
配光制御シート10の微細凹凸における凸部14の占有面積割合は、30%以上70%以下が好ましく、より好ましくは40%以上60%以下、さらに好ましくは45%以上55%以下である。凸部14の占有面積割合が上記範囲であると、波状の凹凸パターン13の異方性を適度に弱めることができ、Y方向およびX方向の両方のFWHMを上記範囲に制御しやすい。
本明細書において、配光制御シート10における凸部14の占有面積割合γ(%)は、以下のように測定、定義される。
まず、図1のような光学顕微鏡写真を得て、視野全体の面積S2(例えば縦寸法0.4mm以上1.6mm以下、横寸法0.5mm以上2mm以下)中に認められる凸部14の個数nを数え、視野全体において、n個の凸部14によって占有されている面積S1=nr2πを求める。ここで、rは、凸部14の見かけの最頻径の1/2(すなわち、半径)である。占有面積割合γ(%)は以下に示す(3)式により求められる。
このように図示例の配光制御シート10は、その片面に、Y方向への配光を主に担う特定の波状の凹凸パターン13と、前記波状の凹凸パターン13上に形成され、前記波状の凹凸パターン13の異方性を適度に弱め、X方向の配光を増加させる多数の凸部14とから主に構成される微細凹凸を有している。
また、図示例の配光制御シート10の波状の凹凸パターン13を構成している凸条部13aは、互いに非平行で、かつ、それぞれが蛇行していて、規則性がない。そのため、凹凸パターン13の異方性が適度に弱められていて、凸部14が形成されていることによる効果とあいまって、従来の異方性が高い配光制御シートを用いた場合の出射光の投影像の形状を示すイメージ図である図11と、図1に示す配光制御シート10を用いた場合の出射光の投影像の形状を示すイメージ図である図12とを比較するとわかるように、X方向のFWHMを増加させる効果がより顕著に発現するものと考えられる。
X方向のFWHMを広げる方法としては、高屈折率粒子等を添加する方法も考えられる。
しかしながら、高屈折率粒子等の添加は、配光制御シートの光透過率を下げる傾向にある。これに対して、本態様のように微細凹凸を特定に制御することで方向XのFWHMを増加させる方法では、高屈折率粒子等を添加する必要がなく、また、添加する場合でも、その添加量を少量とできる。そのため、光透過率を高く維持できる。
このような図示例の配光制御シート10は、例えば、プロジェクター用の配光制御部材;テレビ、モニター、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等のバックライト用の配光制御部材;等としても好適に使用される。
また、前記配光制御シート10は、コピー機等に使用される、LED光源を線状に配列したスキャナ光源において、導光部材の出射面を構成する配光制御部材等としても好適に使用される。
本発明の第1の態様としては、例えば前述の表面微細凹凸体の配光制御シート、または配光制御部材としての使用、もしくはその使用方法が挙げられる。また、本発明の表面微細凹凸体を配光制御シート、または配光制御部材として用いる場合、その応用先としては、前述の通り、プロジェクター用や、パソコンや携帯電話等のバックライト用、または導光部材の出射面等の配光制御部材等が挙げられる。
<表面微細凹凸体の製造方法>
図示例の配光制御シート10(表面微細凹凸体)は、微細凹凸を表面に有する配光制御シート形成用原版(配光制御体形成用原版)を型として用い、前記配光制御シート形成用原版(以下、「原版」ともいう)の微細凹凸を転写する転写工程を有する方法により製造できる。
本発明の第2の態様としては、例えば前記表面微細凹凸体の配光制御シートや、配光制御部材を製造するための原版としての使用が挙げられる。
図示例の配光制御シート10は、原版の微細凹凸を転写して1次転写品を得て、ついで、前記1次転写品の微細凹凸をさらに転写して得た2次転写品である。1次転写品の有する微細凹凸は、原版の微細凹凸の反転パターンであるが、2次転写品の微細凹凸は、原版の微細凹凸と同じパターンである。よって、この例では原版として、図示例の配光制御シート10と同じ微細凹凸を有する表面微細凹凸体を製造し、これを転写の型として2次転写を行い、図示例の配光制御シート10を製造している。
また、m次転写品において、mが偶数である場合には、前記転写品の有する微細凹凸は原版の微細凹凸と同じパターンであるが、mが奇数である場合には、前記転写品の有する微細凹凸は原版の微細凹凸の反転パターンとなる。そして、mが奇数であるm次転写品であって、かつ、転写に用いた原版の微細凹凸が凸部を有するものである場合、そのm次転写品(mが奇数)の微細凹凸は、凸部が反転した凹部を有するものとなる。すでに述べたとおり、本発明の表面微細凹凸体の具備する微細凹凸は、凸部の代わりに凹部を有する形態であってもよい。よって、本発明の表面微細凹凸体には、上述の原版と、原版のm次転写品(mが偶数)だけでなく、原版のm次転写品(mが奇数)も含まれる。
以下、2次転写品である図示例の配光制御シート10の製造方法について説明する。
[原版]
図示例の配光制御シート10を製造するにあたっては、まず、図13に示す表面微細凹凸体20を製造し、これを原版として用いる。前記原版は、樹脂を材料とする基材21と、前記基材21の片面全体に設けられた硬質層22とを有し、硬質層22の露出した側の表面が、図示例の配光制御シート10と同様の微細凹凸に形成されたものである。
硬質層22は、第2の態様では、マトリクス樹脂22aと前記マトリクス樹脂22a中に分散した粒子22bとからなり、折り畳まれたように変形しているとともに、硬質層22の厚みt(粒子が存在しない部分の厚み)は粒子の粒径dよりも小さく設定されている。そのため、前記硬質層22は、折り畳まれたように変形したことにより形成された波状の凹凸パターン13’(凸条部13a’および凹条部13b’)と、硬質層22に分散した各粒子22bが硬質層22の表面側に突出することにより形成された凸部14’とから構成される微細凹凸を有する。基材21における硬質層22との接触面は、折り畳まれたように変形した硬質層22の形状に追従した凹凸状となっている。
なお、硬質層22の厚みtとは、表面微細凹凸体20をその面方向に対して垂直に切った断面(縦断面)の顕微鏡写真から、硬質層22のうち粒子22bの存在しない部分を10カ所以上無作為に抽出して各部分の厚さを法線方向に測定した際の、得られた各数値の平均値である。
また、粒子22bの粒径dとは、均一に単分散している粒子について、レーザー回折・散乱式粒度分布分析装置で測定したモード径(最頻径)である。
このような図13の表面微細凹凸体20は、詳しくは後述するように、樹脂を材料とする基材フィルムの片面に、マトリクス樹脂中に粒子が分散した硬質層を設けて積層シートを形成する積層工程と、積層シートの少なくとも硬質層を折り畳むように変形させる変形工程とを有する方法により製造できる。この方法によれば、それぞれが蛇行し、互いに非平行で、不規則な凸条部13a’を形成できる。また、各凸条部13a’の縦断面は、基端側から先端側に向かって先細り形状になる。
図13の表面微細凹凸体20においては、基材21を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1よりも、マトリクス樹脂22aのガラス転移温度Tg2が、10℃以上高いことが必要である。また、粒子22bは、基材21を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1より10℃高い温度未満の温度では、熱により粒子形状が変化しない材料から主に構成されることが必要である。
ここで「粒子形状が変化しない」とは、加熱前後で粒子の形、及び粒子径が変化しないことを意味する。
すなわち、基材21を構成する樹脂と、マトリクス樹脂22aとにおいては、これらのガラス転移温度の差(Tg2−Tg1)が10℃以上となるように選択されることが必要であり、前記差は20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。ガラス転移温度の差(Tg2−Tg1)が10℃以上であると、ガラス転移温度Tg2とガラス転移温度Tg1の間の温度で、容易に、後述の変形工程において加熱収縮などの加工が行える。また、ガラス転移温度Tg2とガラス転移温度Tg1の間の温度を加工温度とすると、基材のヤング率がマトリクス樹脂22aのヤング率より高くなる条件で加工でき、その結果、後述の変形工程において、硬質層22に波状の凹凸パターン13’を容易に形成できる。加工温度とは、変形工程で少なくとも硬質層22を折り畳むように変形させる際の温度(例えば熱収縮時の加熱温度)のことである。
また、ガラス転移温度Tg2が400℃を超えるような樹脂を使用する必要性は経済面から乏しく、ガラス転移温度Tg1が−150℃より低い樹脂は存在しないことから、ガラス転移温度の差(Tg2−Tg1)は550℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましい。すなわち、本発明の第2の態様において、ガラス転移温度の差(Tg2−Tg1)は、10℃以上550℃以下が好ましく、30℃以上200℃以下がより好ましい。なお、後述の変形工程の加工温度における基材21とマトリクス樹脂22aとのヤング率の差は、波状の凹凸パターン13’を容易に形成できることから、0.01GPa以上300GPa以下であることが好ましく、0.1GPa以上10GPa以下であることがより好ましい。
ヤング率は、JIS K 7113−1995に準拠して測定した値である。
ガラス転移温度Tg1は−150℃以上300℃以下であることが好ましく、−120以上200℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度Tg1が−150℃より低い樹脂は存在せず、ガラス転移温度Tg1が300℃以下であれば、上述の加工温度まで、容易に昇温、加熱できる。
上述の加工温度における、基材21を構成する樹脂のヤング率は0.01MPa以上100MPa以下であることが好ましく、0.1MPa以上10MPa以下であることがより好ましい。基材21を構成する樹脂のヤング率が0.01MPa以上であれば、基材として使用可能な硬さであり、100MPa以下であれば、硬質層22が変形する際に同時に追従して変形することが可能な軟らかさである。
粒子22bを構成する材料には、基材21を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1より10℃高い温度未満では、熱により粒子形状が変化しない材料の1種以上を用いることができる。
例えば、粒子22bを構成する材料が、ガラス転移温度を有する樹脂およびガラス転移温度を有する無機材料からなる群から選ばれる1種以上である場合、そのガラス転移温度Tg3が、マトリクス樹脂のガラス転移温度Tg2と同様の条件を満たすこと、すなわち、(Tg3−Tg1)が10℃以上となるように選択されることが必要であり、(Tg3−Tg1)は20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。(Tg3−Tg1)が10℃以上であると、上述の加工温度において、粒子22bが変形した溶融したりせず、確実に凸部14’を形成する。
粒子22bを構成する材料が、ガラス転移温度を有さない材料、例えば内部架橋型樹脂などである場合には、そのビカット軟化温度(JIS K7206に規定)が、上述の条件を満たすこと、すなわち、基材21を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1より10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度Tg3についての好ましい温度範囲などの記載は、粒子22bがガラス転移温度を有さず、ビカット軟化温度を有する材料から主に構成される場合、そのビカット軟化温度にも該当するものとする。
さらに、粒子22bを構成する材料としては、ガラス転移温度、ビカット軟化温度が測定できないものであっても、基材21を構成する樹脂のガラス転移温度Tg1より10℃高い温度未満において、熱により粒子形状が変化しない材料であれば、本発明において使用可能である。
ガラス転移温度Tg2およびガラス転移温度Tg3は、40℃以上400℃以下であることが好ましく、80℃以上250℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度Tg2およびガラス転移温度Tg3が40℃以上であれば、上述の加工温度を室温またはそれ以上にすることができて有用であり、ガラス転移温度Tg2が400℃を超えるようなマトリクス樹脂22aやガラス転移温度Tg3が400℃を超えるような粒子22bを使用することは、経済性の面から必要性に乏しい。
上述の加工温度におけるマトリクス樹脂22aのヤング率は0.01GPa以上300GPa以下であることが好ましく、0.1GPa以上10GPa以下であることがより好ましい。マトリクス樹脂22aのヤング率が0.01GPa以上であれば、基材21を構成する樹脂の加工温度におけるヤング率より充分な硬さが得られ、波状の凹凸パターン13’が形成された後、前記凹凸パターン13’を維持するのに充分な硬さである。ヤング率が300GPaを超えるような樹脂をマトリクス樹脂22aとして使用することは、経済性の面から必要性に乏しい。
基材21を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどの樹脂が挙げられる。
このうち、収縮後に所望の凹凸形状が得られやすいということから、このうち、収縮後に所望の凹凸形状が得られやすいというから、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましい。すいというから、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましい。
また、前記樹脂としては、質量平均分子量が、1000以上100万以下のものが好ましく、1万以上10万以下のものがより好ましい。前記質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定した値のことを指す。具体的な測定条件として、溶離液としては、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール等から適宜選択したものを用いることできる。また、分子量の標準物質としては、既知の分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等から適宜選択したものを用いることができる。また、測定温度としては、35℃以上50℃以下の範囲で適宜選択できる。
マトリクス樹脂22aとしては、そのガラス転移温度Tg2が上述の条件を満たすように、基材21の種類等に応じて選択され、例えば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
これらの中でも透明性の点では、アクリル樹脂が好ましい。
また、前記マトリクス樹脂としては、質量平均分子量が1000以上1000万以下のものが好ましく、1万以上200万以下のものがより好ましい。前記質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、測定した値のことを指す。具体的な測定条件として、溶離液としては、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ヘキサフルオロイソプロパノール等から適宜選択したものを用いることができる。また、分子量の標準物質としては、既知の分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等から適宜選択したものを用いることができる。また、測定温度としては、35℃以上50℃以下の範囲で適宜選択できる。
マトリクス樹脂22aは単独で使用してもよいが、波状の凹凸パターンの最頻ピッチ、平均高さおよび配向度を調整するなどの目的に応じて適宜併用してもよい。例えば、同種ではあるがガラス転移温度の異なる樹脂を併用したり、異なる種類の樹脂を併用したりできる。
粒子22bを構成する樹脂としては、そのガラス転移温度Tg3(またはビカット軟化点)が上述の条件を満たすように、基材21の種類等に応じて選択され、例えば、アクリル系熱可塑性樹脂粒子、ポリスチレン系熱可塑性樹脂粒子、アクリル系架橋型樹脂粒子、ポリスチレン系架橋型樹脂粒子などが挙げられる。また、無機材料としては、ガラスビーズなどが挙げられる。
基材21の厚みは30μm以上500μm以下であることが好ましい。基材の厚みが30μm以上であれば、製造された原版が破れにくくなり、500μm以下であれば、原版を容易に薄型化できる。なお、基材21の厚みとは、図13の表面微細凹凸体(原版)20をシート面に対して垂直に切った断面(縦断面)の顕微鏡写真から、10カ所以上無作為に抽出して基材21の厚さを測定した際の、得られた各数値の平均値である。
また、基材21を支持するために、厚さ5μm以上500μm以下の樹脂製の支持体を別途設けてもよい。
硬質層22の厚みtは、0.05μmを超え5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。硬質層22の厚みtが0.05μmを超え5μm以下であれば、配光制御体として好適な波状の凹凸パターン13’を形成できる。また、基材21と硬質層22との間には、密着性の向上やより微細な構造を形成することを目的として、プライマー層を形成してもよい。
粒子22bの粒径dは、硬質層22の厚みtより大きいことが必要であり、硬質層22の厚みtに応じて設定される。また、図13の表面微細凹凸体20を原版として用いて製造された図示例の配光制御シート10の凸部14の見かけの最頻径が、上述の好適な範囲となるように、適宜設定される。好ましい粒径dは、例えば、5μm以上10μm以下で、より好ましくは5μm以上8μm以下である。
なお、図13の表面微細凹凸体20は、原版ではなく配光制御体として使用することもできる。その場合には、前記表面微細凹凸体20が配光制御体としての機能を充分に奏するように、基材21、マトリクス樹脂22a、粒子22bに用いる材料に透明材料を用いる。
[原版の製造方法]
図13の表面微細凹凸体20は、図14のような積層シート30、すなわち、樹脂を材料とする基材フィルム31の片面(平坦な面)に、マトリクス樹脂、及び前記マトリクス樹脂中に分散した粒子22bからなり、0.05μmを超え5.0μm以下の厚みを有する硬質層32を設けた積層シート30を形成する積層工程と、積層シート30の少なくとも硬質層32を折り畳むように変形させる変形工程とを有する方法により製造できる。ここで基材フィルム31は、図13の表面微細凹凸体20の基材21に相当する。また、ここで平坦とは、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ0.1μm以下の面である。
(積層工程)
積層工程では、まず、マトリクス樹脂22aと粒子22bと溶媒とを含む塗工液(分散液または溶液)を調製し、前記塗工液を基材フィルム31の片面にスピンコーターやバーコーター等により塗工して乾燥させ、図14のように、厚みt’が0.05μmを超え、5.0μm以下である硬質層32を形成する。この時点での硬質層32は、折り畳むように変形していない。
硬質層32は、このように塗工液を基材フィルム31に直接塗工して設ける代わりに、あらかじめ作製した硬質層(マトリクス樹脂中に粒子が分散してなるフィルム)を基材フィルムに積層する方法で設けてもよい。
基材フィルム31は、樹脂を材料とする一軸方向加熱収縮性フィルムであることが好ましい。前記一軸方向加熱収縮性フィルムを用いると、次の変形工程において積層シート30を加熱することにより、容易に、硬質層32を折り畳むように変形し、波状の凹凸パターン13’を形成できる。また、この方法によれば、それぞれが蛇行し、互いに非平行となる不規則な凸条部13a’を形成できる。
一軸方向加熱収縮性フィルムを構成する樹脂としては、基材21を構成する樹脂としてすでに例示したとおりである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルムなどのシュリンクフィルムが好ましく使用できる。
これらのシュリンクフィルムの中でも、一軸方向において、50%以上70%以下収縮するものが好ましい。50%以上70%以下収縮するシュリンクフィルムを用いれば、変形率を50%以上にでき、その結果、好適な最頻ピッチ、凸条部13a’の高さの波状の凹凸パターン13’を形成できる。
ここで、変形率とは、(変形前の長さ−変形後の長さ)×100/(変形前の長さ)(%)、あるいは、(変形した長さ)×100/(変形前の長さ)(%)のことである。
また、このように基材フィルム31として一軸方向加熱収縮性フィルムを用い、次の変形工程でこれを熱収縮させる場合には、より容易に凹凸パターン13’を形成できることから、マトリクス樹脂22aのヤング率を0.01GPa以上300GPa以下にすることが好ましく、0.1GPa以上10GPa以下にすることがより好ましい。
塗工液に用いるマトリクス樹脂22aおよび粒子22bを構成する樹脂としては、それぞれすでに例示したものを使用できるが、マトリクス樹脂22aのガラス転移温度Tg2と、粒子22bのガラス転移温度Tg3とが、基材フィルム31のガラス転移温度Tg1よりも10℃以上高くなるように各材質を選択し、組み合わせることが重要である。このようにそれぞれの材質を選択したうえで、厚みt’が0.05μmを超え5.0μm以下である硬質層32を一軸方向加熱収縮性フィルム(基材フィルム31)の片面に設けた積層シート30を用いると、次の変形工程を経ることにより、最頻ピッチが3μm以上20μm以下であり、凸条部13a’の平均高さが4μm以上7μm以下である波状の凹凸パターン13’が形成されやすい。
塗工液に用いる溶媒としては、マトリクス樹脂22aの種類にもよるが、マトリクス樹脂22aが例えばアクリル系樹脂の場合、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのうちの1種以上を使用できる。
塗工液中のマトリクス樹脂22aの濃度は、正味量(固形分量)として、5質量%以上10質量%以下であることが塗工性の点で好ましい。また、粒子22bの量は、マトリクス樹脂22aの正味量100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。このような範囲であると、形成される微細凹凸における凸部14a’または凹部の占有面積割合を上述の好適な範囲内に制御することができる。
ここで正味量(固形分量)とは、塗工液の質量(100質量%)に対して、前記塗工液中の溶媒が揮発した後に残る固形分の質量の比率のことをいう。
なお、積層工程で形成される硬質層32の厚みt’は、0.05μmを超え5.0μm以下の範囲内であれば、連続的に変化していても構わない。その場合、変形工程により形成される凹凸パターンのピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。硬質層32の厚みt’は、次の変形工程を経てもほとんど変化せず、t’=tと考えることができる。
(変形工程)
上述のようにして得られた積層シート30を加熱して、積層シート30の基材フィルム31を熱収縮させることにより、図13の表面微細凹凸体20が得られる。なお、変形工程としては、例えば、日本国特許第4683011号公報等に開示の公知の方法を採用できる。また、本発明では熱収縮後、積層シート30を、一軸方向加熱収縮性フィルムの軸方向と略平行の同一方向またはそれと略直交する方向を加えた二方向に延伸し、配向のばらつきが小さな凹凸パターンを形成することがより好ましい。
加熱方法としては、熱風、蒸気、熱水または遠赤外線中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風または遠赤外線に通す方法が好ましい。
基材フィルム31を熱収縮させる際の加熱温度(加工温度)は、ガラス転移温度Tg2とガラス転移温度Tg1との間の温度とすることが好ましく、具体的には、使用する基材フィルム31の種類および目的とする凹凸パターン13’のピッチ、凸条部13a’の高さ等に応じて適宜選択することが好ましい。
延伸方法としては、例えば、積層シートの一端部とその反対側の端部とを、引っ張って延伸する方法などが挙げられる。延伸させる際の加熱温度(加工温度)は、収縮時の温度と同じにすることが好ましく、具体的には、目的とする延伸倍率に応じて適宜選択することが好ましい。
この製造方法では、硬質層22の厚さが薄いほど、また、硬質層22のヤング率が低いほど、凹凸パターン13’の最頻ピッチが小さくなり、また、基材フィルム31の変形率が高いほど、凸条部13a’の高さが大きくなる。したがって、凹凸パターン13’の最頻ピッチおよび凸条部13a’の高さを所望の値にするためには、前記条件を適宜選択する必要がある。
なお、図13のような構成の表面微細凹凸体20は、以下に説明する(1)から(4)の方法で製造することもできる。
(1)平坦な基材フィルムの片面の全部に、未変形の硬質層を設けて積層シートを形成し、積層シート全体を表面に沿った一方向に圧縮する方法。
基材フィルムのガラス転移温度が室温未満の場合、積層シートの圧縮は室温で行い、基材フィルムのガラス転移温度が室温以上の場合、積層シートの圧縮は、基材のガラス転移温度以上、硬質層のガラス転移温度未満で行う。
(2)平坦な基材フィルムの片面の全部に、未変形の硬質層を設けて積層シートを形成し、積層シートを一方向に延伸し、延伸方向に対する直交方向を収縮させて、硬質層を表面に沿った一方向に圧縮する方法。
基材フィルムのガラス転移温度が室温未満の場合、積層シートの延伸は室温で行い、基材フィルムのガラス転移温度が室温以上の場合、積層シートの延伸は、基材フィルムのガラス転移温度以上、硬質層のガラス転移温度未満で行う。
(3)未硬化の電離放射線硬化性樹脂により形成された平坦な基材フィルムに、未変形の硬質層を積層して積層シートを形成し、電離放射線を照射して基材フィルムを硬化させることにより収縮させて、基材フィルムに積層された硬質層を表面に沿った少なくとも一方向に圧縮する方法。
(4)溶媒を膨潤させて膨張させた平坦な基材フィルムに、未変形の硬質層を積層して積層シートを形成し、基材フィルム中の溶媒を乾燥し、除去することにより収縮させて、基材フィルムに積層された硬質層を表面に沿った少なくとも一方向に圧縮する方法。
(1)の方法において、積層シートを形成する方法としては、例えば、平坦な基材フィルムの片面に、粒子を含む樹脂の溶液または分散液をスピンコーターやバーコーター等により塗工し、溶媒を乾燥させる方法、平坦な基材フィルムの片面に、あらかじめ作製した硬質層を積層する方法などが挙げられる。積層シート全体を表面に沿った一方向に圧縮する方法としては、例えば、積層シートの一端部とその反対側の端部とを、万力等により挟んで圧縮する方法などが挙げられる。
(2)の方法において、積層シートを一方向に延伸する方法としては、例えば、積層シートの一端部とその反対側の端部とを、引っ張って延伸する方法などが挙げられる。
(3)の方法において、電離放射線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが挙げられる。
(4)の方法において、溶媒は基材フィルムを構成する樹脂の種類に応じて適宜選択される。溶媒の乾燥温度は溶媒の種類に応じて適宜選択される。
上述の(2)から(4)の方法における硬質層においても、(1)の方法で用いるものと同様の成分を用いることができ、同様の厚さとすることができる。また、積層シートの形成方法は、(1)の方法と同様に、基材フィルムの片面に塗工液を塗工し、溶媒を乾燥させる方法、基材フィルムの片面に、あらかじめ作製した硬質層を積層する方法を適用できる。
また、一軸方向加熱収縮性フィルムの代わりに、二軸方向加熱収縮性フィルムを用いて表面微細凹凸体の原版を製造してもよい。先に説明した積層工程で使用する一軸方向加熱収縮性フィルムの代わりに二軸方向加熱収縮性フィルムを使用すれば、工程的には同様にして製造することができる。二軸方向加熱収縮性フィルムを用いて得た表面微細凹凸体の凹凸パターンは、特定の方向に沿わない凹凸パターンとなる。二軸方向加熱収縮性フィルムを用いた場合、得られる表面微細凹凸体は、表面微細凹凸が形成された面を通過する光を最も広く配光分布する方向Yに対して、略直交するX方向にもある程度のFWHMを有するため、必ずしも硬質層への粒子(参照:図13中の粒子22b)の添加を必要としない。このように粒子を添加しない場合は、先に説明した積層工程において、粒子(22b)を含まない塗工液を使用すれば、工程的には同様にして製造することができる。このように二軸方向加熱収縮性フィルムを使用して、粒子の添加をしない表面微細凹凸体の原版製造方法を簡単に以後「二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加の製造方法」と略していう。また、この二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加の製造方法を使用した場合も、熱収縮後、積層シート30を、二軸方向加熱収縮性フィルムの軸方向と略平行の同一方向に延伸することが好ましい。この延伸方向は二軸のいずれか一方の方向と略同一であっても良いし、二軸の両方向であっても良い。これらの軸方向の収縮率と延伸倍率を適宜組み合わせて、配向のばらつきが小さな凹凸パターンを形成することがより好ましい。
[原版を用いた転写による表面微細凹凸体の製法]
図13の表面微細凹凸体20を原版として用いて、図示例の配光制御シート10を製造する場合には、前記表面微細凹凸体(原版)20の微細凹凸を他の材料に転写する転写工程を行う。この例では、前記表面微細凹凸体(原版)20の硬質層22の表面に形成された微細凹凸を他の材料に転写し、原版の微細凹凸の反転パターンを表面に有する1次転写品を得て、次いで、前記1次転写品の反転パターンを他の材料に転写し、2次転写品である図示例の配光制御シート10を得る。転写工程としては、例えば、日本国特許第4683011号公報等に開示の公知の方法を採用できる。
本発明の第3の態様は、前述の表面微細凹凸体を原版として用いた、表面微細凹凸体の製造方法である。
具体的には、原版である図13の表面微細凹凸体20の微細凹凸に対して、離型剤を含む未硬化の電離放射線硬化性樹脂を例えば3μm以上30μm以下の厚さに収まるように、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーターなどのコーターで塗布し、電離放射線を照射して硬化させた後、原版を剥離して、1次転写品を得る。1次転写品は、原版の微細凹凸の反転パターンを有する。一方、PETを材料とする透明な基材11を用意し、その片面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を、微細凹凸を充分に覆う厚さで塗布する。そして、塗布された未硬化の電離放射線硬化性樹脂の層に対して、先に得られた1次転写品の反転パターンを有する面を押し当て、電離放射線を照射して硬化させた後、1次転写品を剥離する。電離放射線の照射は、1次転写品側、透明なPET基材側のうち、電離放射線透過性を有するいずれか一方側から行えばよい。これにより、PETを材料とする透明な基材11と、その片面上に形成された電離放射線硬化性樹脂硬化物の表面層12とからなり、表面層12の表面に微細凹凸が形成された図1および図3に示す配光制御シート(2次転写品)10が得られる。
また、原版である図13の表面微細凹凸体20の微細凹凸に対して、ニッケル等の金属めっきを行って、200μm以上500μm以下の厚さのめっき層を積層した後、原版を剥離してニッケル製の一次転写品を得てもいい。ニッケル製の1次転写品も、原版の微細凹凸の反転パターンを有する。ニッケル製の1次転写品からも上記と同様の方法にて、2次転写品10が得られる。
電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などが挙げられる。照射する電離放射線の種類は、樹脂の種類に応じて適宜選択する。電離放射線としては、一般には紫外線および電子線を意味することが多いが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含む。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、例えば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、微細凹凸が転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば液状の未硬化の熱硬化性樹脂を微細凹凸に塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、微細凹凸に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
また、上述のように、2次転写品を製造する場合には、例えば日本国特許第4683011号公報などに記載されている、めっきロールを用いる方法も挙げられる。具体的には、まず、原版として長尺なシート状物を製造し、前記原版を丸めて円筒の内側に貼り付け、前記円筒の内側にロールを挿入した状態でめっきを行い、円筒からロールを取り出してめっきロール(1次転写品)を得る。ついで、前記めっきロールの微細凹凸を転写することにより、配光制御シート(2次転写品)を得る。
原版としては、枚葉タイプのものもウェブタイプのものも用いることができる。ウェブタイプの原版を用いると、ウェブタイプの1次転写品および2次転写品を得ることができる。枚葉タイプにおいては、前記枚葉タイプの原版を平板状の型として使用するスタンプ法、枚葉タイプの原版をロールに巻きつけて円筒状の型として使用するロールインプリント法等を適用できる。また、射出成形機の型の内側に枚葉タイプの原版を配置させてもよい。ただし、これら枚葉タイプの原版を用いる方法において、図示例のような光拡性散シートを大量生産するためには、転写を多数回繰り返す必要がある。転写性(離型性)が低い場合には、転写すべき微細凹凸に目詰まりが生じ、微細凹凸の転写が不完全になる場合がある。これに対して、原版をウェブタイプとすると、大面積で連続的に微細凹凸を転写でき、転写を多数繰り返さなくても、必要な量の配光制御シートを短時間に製造できる。
[原版の製造方法および原版を用いた転写による表面微細凹凸体の製法の変形例]
上述の[原版の製造方法]の積層工程においては、マトリクス樹脂22aと粒子22bと溶媒とを含む塗工液を用いた。しかしながら、粒子を含まず、マトリクス樹脂と溶媒とを含む塗工液を用いて硬質層を形成し、変形工程により波状の凹凸パターンとし、その後に、前記凹凸パターン上に、多数の凹部または凸部を形成してもよい。硬質層の形成方法は、粒子を用いない以外は、上述の方法と同様に行える。変形工程も、上述の方法と同様に行える。ついで行われる、形成された凹凸パターン上に、多数の凹部または凸部を形成する方法としては、後述の(5)から(8)の方法が挙げられる。
(5)回転式精密切削加工機により切削加工する方法。
(6)凹部または凸部と同様な大きさ、径を有する突起物を前記波状の凹凸パターン上に押し付けて凹みを形成する方法。
(7)樹脂又は無機物の溶融物を微粒子化したものを前記波状の凹凸パターン上に付着させた後、冷却固化して前記樹脂又は無機物によって形成された凸部を形成する方法。
(8)樹脂又は無機物を分散媒に分散した液を前記波状の凹凸パターン上に付着させた後、分散媒を蒸発させて前記樹脂又は無機物によって形成された凸部を形成する方法。
なお、上述の(7)又は(8)の方法においてインクジェット印刷方式を応用することにより、高精度で波状の凹凸パターン上に多数の凹部または凸部を形成することができる。
また、粒子を含まず、マトリクス樹脂と溶媒とを含む塗工液を用いて硬質層を形成し、変形工程により波状の凹凸パターンとしたもの(多数の凹部または凸部は未だ形成されていないもの)を原版として転写品を得て、前記転写品に対して、上述の(5)から(8)の方法により、凹凸パターン上に多数の凹部または凸部を形成してもよい。そして、これを原版として転写することにより、表面微細凹凸体を製造することもできる。
<その他の態様について>
以上の説明においては、積層工程と変形工程により製造された表面微細凹凸体を原版とし、前記表面微細凹凸体の微細凹凸を転写した1次転写品を得て、ついで、前述の1次転写品の微細凹凸(原版の反転パターン)を転写した2次転写品を配光制御シート10とした。
しかしながら、本発明は、以上の形態に限定されない。
すなわち、上述の積層工程と変形工程により製造された図13のような表面微細凹凸体20そのものを配光制御シートとして使用することもできる。また、積層工程と変形工程により製造された表面微細凹凸体20を原版として得られた1次転写品や、m次転写品(mは3以上の整数。)を配光制御シートとして使用することもでき、転写品であれば、2次転写品に限定されない。
また、原版を用いて、曲面を有する成形体の前記曲面に、微細凹凸を転写してもよい。
また、積層工程と変形工程により製造された表面微細凹凸体やそのm次転写品を原版として用いて、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明な熱可塑性樹脂を射出成形し、微細凹凸が表面の少なくとも一部に形成された射出成形品を製造してもよい。
なお、先に具体的に示した積層工程と変形工程により製造された表面微細凹凸体20を原版として得られたm次転写品において、mが奇数の場合には、微細凹凸として、特定の波状の凹凸パターン上に、凸部ではなく、凹部が形成されている。これは、mが奇数であるm次転写品においては、粒子に基づいて形成される凸部の反転パターン、すなわち、凹部が形成されるためである。このように微細凹凸として、特定の波状の凹凸パターンとともに凹部を有する表面微細凹凸体であっても、波状の凹凸パターンによる異方性が凹部により弱められているため、方向Yに充分なFWHMを有し、かつ、方向Xにもある程度のFWHMを示す。よって、mが奇数であるm次転写品であっても、mが偶数であるm次転写品と同等の配光制御性能を示す。
また、硬質層の形成に用いる粒子としては、樹脂粒子、無機粒子が使用でき、変形工程や、微細凹凸を転写する工程において、溶融したり変形したりしない限り、どのような材料を使用するものであってもよい。ただし、上述のとおり、図13のように粒子そのものを備えた表面微細凹凸体20を配光制御シートとして使用する場合には、粒子として、透明粒子、好適にはアクリル系架橋型樹脂粒子、ガラスビーズ、ポリスチレン系架橋型樹脂粒子などを用いることが好適である。
また、以上の例では、表面微細凹凸体、配光制御シートとして、シート状物を例示したが、シート状物に限定されず、立体成形体であってもよい。
また、微細凹凸は、表面微細凹凸体の表面の少なくとも一部であれば、目的に応じて、いかなる部分に形成されていてもよい。例えば、表面微細凹凸体がシート状物である場合、一方の面のみに形成されていても、両面に形成されていても、各面において一部のみに形成されていてもよいし、シート状物の周面(端面)の少なくとも一部に形成されていてもよい。
さらに、表面微細凹凸体が立体成形体である場合にも、全表面の全面に形成されていても、一部のみに形成されていてもよい。なお、表面微細凹凸体が立体成形体である場合、前記立体成形体は、配光制御シートについて例示した用途と同様の用途に使用できる。すなわち、プロジェクター用の配光制御部材;テレビ、モニター、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話等のバックライト用の配光制御部材;コピー機等に使用される、LED光源を線状に配列したスキャナ光源において、導光部材の少なくとも出射面を構成する配光制御部材;等として好適に使用できる。
本発明者等は以上に説明した方法で作製した種々のFWHMを有する、それぞれの配光制御シート(2次転写品)サンプルを使用して、正面輝度と視野角を測定した。その結果、正面輝度は配光制御シートの透過率と相関関係のあることが分った。以降は簡便のため、正面輝度を測定する代わりに透過率を測定することとした。図19に、種々の配光制御シートサンプルと透過率の関係を示した。本発明者等は図19から、FWHMと透過率が負の相関関係を有することを見出した。すなわち、FWHMが広くなると、透過率が低下し、逆にFWHMが狭くなると、透過率が上昇することが分った。
本発明者等は、さらに種々の配光制御シートサンプルについて、透過率を測定した。その過程で、FWHMが同程度でも透過率が極端に高いサンプルを見出した。そこで、透過率がFWHMに比べて極端に高いサンプルについて、その配光分布を詳細に解析した。
透過率がFWHMに比べて極端に高いサンプルについて、その配光分布を詳細に解析したところ、FW(0.95)MとFWHMの比が大きくなると、透過率が上昇することが分った。微細凹凸が形成された面を通過する光を最も広く配光分布するY方向のFW(0.95)M/FWHMと透過率の関係を図20に示した。FW(0.95)Mは照度曲線の0.95値幅をいう。図20のプロットで示すサンプルはいずれも、Y方向に対して直交するX方向についてはFWHMが10°程度でかつ、FW(0.95)MとFWHMの比が0.25程度でほぼ等しいものであることが確認できている。すなわちX方向についての配光分布特性は変わらないということである。
本発明者等は図20において点線で囲んだサンプル群が、FW(0.95)M/FWHMが0.25以上であり、これらのサンプルが極端に高い透過率を示すことを見出した。これらのサンプル群は、二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加の製造方法を使用した場合であって、この二軸方向のいずれかの方向と平行の同一方向に延伸したサンプルであった。他方、このような延伸操作を行っていないサンプル群が図20中一点鎖線で囲んだサンプル群である。なお、図21にFW(0.95)M/FWHM=0.53の配光制御シートの配光分布グラフを、図22にFW(0.95)M/FWHM=0.17の配光分布グラフを示す。FW(0.95)M/FWHMの大きい高透過率の配光制御シートの配光分布の形状は矩形形状に近いことが分る。
透過率を上昇させる、つまり正面輝度を上昇させるためには、FWHMを狭めればよいが、一方で視野角が低下するため、視野角を維持するためには、ある程度のFWHMを有する必要がある。必要な正面輝度および視野角はディスプレイの構成や用途に依存するが、本発明で得られたサンプルではFWHMの値から一般的に予想される透過率に比べて、非常に高い透過率を有しており、すなわち高い正面輝度を満足しつつ、十分な視野角をも得られる配光制御シートが得られる。
透過率を上昇させる効果は、配光制御シートの光拡散機能によってもたらされるが、その光拡散のメカニズムは主に光の屈折の原理に従うと本発明者等は考えている。光の屈折は、配光制御シートの微細凹凸形状に依存するので、本発明者等は種々のFWHMを有する配光制御シートサンプルについて、下記の方法で凹凸形状の解析を行った。
本発明者等は、レーザー顕微鏡を用いて種々の配光制御シートサンプルの凹凸形状を詳細に観察した。図15(a)(配光制御シートのレーザー顕微鏡画像)は配光制御シートサンプルの微細凹凸をレーザー顕微鏡(キーエンス社製「VK−X110」)で観察したレーザー顕微鏡写真である(横;260μm、縦;200μm)。図15(b)(配光制御シートサンプルの高さプロファイル)は図15(a)の線αに沿って図中横方向に切断した高さプロファイルを示している。図15(b)の高さプロファイルにおいて1.8μm間隔の各点において接線を引く、その状況を図16(a)に示した。図16(a)は表面微細凹凸体断面の高さプロファイルの一部において、1.8μm間隔の各点(接点)において接線を引いた例の状態を示す。図16(a)中の点Uにおける接線の傾きを、その部分を拡大した図16(b)について説明する。点Uでの接線の傾きAU(=高さ/1.8)から点Uでのスロープ角θUを以下に示す(4)式により定義する(図16(b))(スロープ角θUの算出方法)。
観察対象サンプルが、微細凹凸体の最頻ピッチが10μm以上35μm以下、最頻高さが3μm以上10μm以下である配光制御シートの場合、接線を1.8μm間隔で引くことが適切であった。接線を1.8μmより大きい間隔、例えば2.0μm以上で引いた場合、微細凹凸体を正確に解析できないため、好ましくない。また逆に1.7μm以下の小さい間隔で接線を引いた場合、より精密に解析できる方向になるはずであるが、本発明者等の試行によれば数値的な影響は殆どなかった。なお、最頻ピッチが8μmを下回るときは、接線の間隔を1.8μm以下にすることが好ましい。例えば、接線の間隔を最頻ピッチの倍以下程度に設定することが好ましい。なお、接線の傾きAUが負の値のときは、正の値に返してからスロープ角θUを求める。
以降の計算は、図15(a)(配光制御シートのレーザー顕微鏡画像)の線αに平行に0.13μm間隔でとった線毎に高さプロファイルをとり、各高さプロファイルについて1.8μm間隔でスロープ角を算出して、図15(a)(配光制御シートのレーザー顕微鏡画像)の視野内の全てのスロープ角を算出してその頻度(接線の傾きAUの値の頻度)を求めるためのデータを蓄積した。
図17にFWHM=20°を示す配光制御シートのサンプルのスロープ角θUの頻度分布グラフの一例を示す。
図18にFWHM=10°を示す配光制御シートのサンプルのスロープ角θUの頻度分布グラフの一例を示す。
図17(FWHM=20°のスロープ角θUの頻度分布グラフ)及び図18D(FWHM=10°のスロープ角θUの頻度分布グラフ)より、FWHMが広いと、相対的に大きなスロープ角の頻度が高くなり(図17)、FWHMが狭いと、相対的に小さなスロープ角の頻度が高くなることを見出した(図18参照)。
上記の知見から、本発明では図15(a)に現れる視野内の全てのスロープ角θUの平均値とFWHMとの間に相関関係があることを見出した。すなわち、グラフの横軸にFWHMをとり、スロープ角θUの平均値を縦軸にとった場合、FWHMとスロープ角θUの平均値との間に正の相関関係があることを見出した。
以上の知見及びFWHMとスロープ角θUの平均値との相関関係についてより詳細に検討したところ、本発明者らは以下に述べる新たな知見を得るに至った。
<1>矩形形状の配光分布で高透過率化と高視野角化との両立について
配光分布が矩形形状(いわゆる、トップハット形状)である場合、配光分布が通常の正規分布形状の場合と比較して、必要な視野角(=出射角度)範囲に配光される光の量が相対的に多く、それ以外の不要な出射角度範囲に配光される光の量が相対的に少ない。
FWHMと相関関係を有する視野角が、例えば20°で、配光分布が矩形形状である場合、出射角度が±10°の範囲を超える範囲では出射光が急激に減少する。
出射角度が大きい光は、スロープ角θUが大きい位置で屈折した光であるが、スロープ角θUが大きい位置では、光は反射成分が相対的に多くなり、光のロスが増加する。
つまり、出射角度が大きい光を減少させるほど、光のロスが減少し、その結果、透過率は上昇する。配光分布が矩形形状であると、不要な出射角度範囲すなわち大きな出射角度範囲への配光が相対的に少ないため、結果的に透過率が相対的に高くなる、と考えられる。
<2>配光分布を矩形上にするための製造方法
以下の工程により得られる配光制御シートは、かなりの高確率で矩形形状の配光分布を示し、高視野角と高透過率を両立可能であることが新たに分かった。
その工程とは、二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加の硬質層とからなる積層シートを、広配光方向の変形率50%程度で加熱収縮後、同方向に変形率30%程度で延伸(この際、積層シートは50%収縮し、収縮後の長さを基準として130%に延伸するので、収縮前の長さを基準とすると、0.5×1.3=65%[最終変形率は35%])することで製造した原版およびその転写品を配光制御シートとして用いるという工程である。
上述の工程で矩形形状の配光分布が得られる理由は以下のように考えられる。
図23は二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加の硬質層とからなる積層シートの断面図である。また、図24から図26はそれぞれ、図23に示す積層シートを「高配光方向の変形率35%で加熱収縮し製造した配光制御シート用原版」、「高配光方向の変形率50%で加熱収縮し製造した配光制御シート用原版」および「高配光方向の変形率50%で加熱収縮後、同方向に30%延伸し製造した配光制御シート用原版」を広配光方向と上述の原版の法線方向とを含む面で切断したときの断面図の一例である。
図27から図29はそれぞれ、図24から図26の原版を使用した二次転写品(配光制御シート)のスロープ角の頻度分布グラフである。
また、図30は、図23に示す積層シートを高配光方向の変形率35%で加熱収縮させることによって製造した配向制御シート用の原版を用いた二次転写品の配光分布グラフである。図22は、図23に示す積層シートを高配光方向の変形率50%で加熱収縮させることによって製造した配向制御シート用の原版を用いた二次転写品の配光分布グラフである。図21は、図23に示す積層シートを高配光方向の変形率50%で加熱収縮させた後、加熱収縮方向に30%延伸することによって製造した配向制御シート用の原版を用いた二次転写品の配光分布グラフである。
図24に示すように、積層シートを変形率35%で収縮した場合、ピッチが類似した凹凸形状Eが形成される。
一方、図25に示すように、積層シートを変形率50%で収縮した場合、ピッチが類似した2種の凹凸形状E´および凹凸形状Fが形成される。ここで、図24に示す凹凸形状Eと図25に示す凹凸形状E´のピッチおよび高さは略等しくなっていることから、凹凸形状E´(≒凹凸形状E)は変形率35%程度までに形成され、変形率50%になっても大きくは変化しないと考えられる。一方、凹凸形状Fは凹凸形状E´よりアスペクト比が大きいことから、変形率35%以上50%以下になる際、一部の凹凸形状Eがさらに変形することで形成された、と考えられる。つまり、変形率が35%以上50%以下になる際、面内で一様に変形するわけではなく、より変形しやすい位置がさらに変形することで凹凸形状Fが形成されると考えられる。
また、図26に示すように、積層シートを変形率50%で収縮後、変形率30%で延伸した場合、2種の凹凸形状E´´および凹凸形状F´が形成される。凹凸形状E´´および凹凸形状F´はそれぞれ凹凸形状E´および凹凸形状Fが延伸されることでスロープ角が緩やかになった形状であると考えられる。
凹凸形状E、E´、E´´、FおよびF´は二次転写品でも同形状となるため、以下、二次転写品表面のそれぞれの形状とスロープ角の頻度分布および配光分布について考察する。
凹凸形状Eはスロープ角が凸条のピークとバレーで0°となり、それらの中間まで連続的に大きくなるように変化し、また、それぞれのスロープ角の相対頻度はスロープ角0°で最大となるため、図27のような頻度分布になると考えられる。
上述と同様に、図28は凹凸形状E´とFのスロープ角の頻度分布を合成した頻度分布になっていると考えられる。凹凸形状Fは凹凸形状E´より相対的にスロープ角が大きいため、図28で35°以上のスロープ角の頻度分布が凹凸形状Fに由来しており、図27の頻度分布と類似の頻度分布である35°以下のスロープ角の頻度分布が凹凸形状E´に由来するものと考えられる。
同様に、図29は凹凸形状E´´とF´のスロープ角の頻度分布を合成した頻度分布になっていると思われる。凹凸形状E´´、F´はそれぞれ凹凸形状E´、Fが延伸により引き伸ばされスロープ角が相対的に小さくなっているため、それぞれの頻度分布は低スロープ角側にシフトしていると考えられる。図31には、図29に示すスロープ角の頻度分布(灰色)、凹凸形状E´´のスロープ角の頻度分布の推定(白抜き)および凹凸形状F´のスロープ角の頻度分布の推定(黒色)を示す。図29に示すスロープ角の頻度が0°から20°に渡ってあまり変化がないという特徴的な頻度分布になる理由が、上記の推定で説明できると考えられる。
続いて、スロープ角の頻度分布と配光分布との関係を考える。図32から図36は、それぞれ、凹凸形状E、E´、F、E´´およびF´に入射した光の出射方向との関係を示す模式図である。凹凸形状Eに配光制御シートの凹凸形状形成面と反対面の法線方向から光P入を入射させた場合(図22の配光分布を測定する場合を想定)、光P入は凹凸形状Eを通過し屈折により法線Gに対して角度θ出で出射する出射光P出となる。凹凸形状Eのスロープ角は出射光P出が出射する位置によって異なり、角度θ出もスロープ角に対応して変化する。スロープ角が0°の時、出射角θ出は0°であり、スロープ角がある程度の大きさまでは、スロープ角が大きくなるほど出射角θ出も大きくなり、スロープ角とその頻度に応じて図30に示す配光分布が得られる。凹凸形状Eのピークより左側から出射する場合は出射角θ出が正になり、右側から出射する場合は出射角θ出が負になる。一方、スロープ角の頻度分布は、絶対値で算出するため、もしも、配光分布もθ出の絶対値を表示する場合を想定すると、追加図5の頻度分布と追加図8の配光分布は類似した形状を示していることがわかる。
また、図22は凹凸形状E´およびFから出射する光の配光分布の合成であると考えられる。凹凸形状E´は凹凸形状E´と略等しいことから、配光分布も図30に類似したものになると考えられる。一方、凹凸形状Fはスロープ角が相対的に大きな凹凸形状である。前述のように、スロープ角は大きくなるほど出射角θ出も大きくなるが、スロープ角が凹凸形状Fを構成する物質と空気との屈折率により決まるある数値以上になると、光P入は凹凸形状Fの入射位置から出射できずに全反射により、図34に示すような比較的小さい出射角θ出となるため、凹凸形状Fに由来するスロープ角35°以上の頻度分布に対応する配光分布は30°を超えるような大きな出射角度にはならずに、凹凸形状E´とFの合成である図22の配光分布は、図30の配光分布と比較して、すそ野がやや大きくなる程度の違いになると考えられる。
次に、図21は凹凸形状E´´およびF´から出射する光の配光分布の合成であると考えられる。凹凸形状E´´およびF´はそれぞれ凹凸形状E´およびFが引き伸ばされ、スロープ角が緩やかになった形状であると考えられるため、凹凸形状E´´からの出射光の出射角θ出は、図35に示すように、相対的に小さくなり、凹凸形状E´´由来の配光分布は凹凸形状E´由来の配光分布をやや幅狭にした形状になると考えられる。一方、凹凸形状F´は、凹凸形状Fに比べてスロープ角が相対的に小さくなったことで、図36に示すように、スロープ角が大きくなると出射角θ出が大きくなる関係を満たすようなスロープ角範囲に含まれ、その結果、凹凸形状Fから出射する光より出射角θ出が相対的に大きくなると考えられる。その結果、図29の頻度分布と図21の配光分布は類似した形状、つまり配光分布が矩形形状になると考えらえる。
以上より、二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加硬質層とからなる積層シートを広配光分布方向に、凹凸形状E´およびFが形成される程度に収縮後、同方向に延伸されることで、収縮・延伸後の積層シートを原版とした二次転写品(配光制御シート)の配光分布を、凹凸形状E´´およびF´の配光分布を合成した形状である矩形形状にすることができると考えられる。
ここでは、二軸方向加熱収縮性フィルムと粒子無添加硬質層とからなる積層シートについて考察したが、少なくとも2種の異なる平均アスペクト比を有する凹凸形状があり、そのアスペクト比を制御することができれば、一軸方向収縮性フィルムや粒子添加硬質層を使用した場合でも、原理的には矩形形状の配光分布が得られる。
図37は、本発明において配光分布が矩形形状(黒丸)およびそれ以外の形状(白丸)の場合の、FWHMと平均スロープ角との関係を示すグラフである。上述の考察より、図37から平均スロープ角が以下及び図37中に直線Aで示す以下の(5)式を満足すれば、配光分布が矩形形状となることが明らかとなった。配光制御シートにおいて(5)式を満たすようにするためには、積層シートに使用する加熱収縮性フィルム、硬質層成分、収縮、延伸条件等を適宜制御すればよい。
(各サンプル)
以上の説明したように、本発明では異なるFWHMを有する配光制御シートサンプルを作製して試行を繰り返したが、配光制御シートのFWHMは先に説明した実施例における硬質層の厚み加熱収縮フィルムの収縮率、延伸率等を変化させることにより任意に変化させて、各種サンプルを作製した。
以下、本発明について、実施例を例示して具体的に説明する。
アクリル樹脂B(ガラス転移温度Tg2=100℃)をトルエンに加え、固形分濃度10質量%の塗工液(1)を得た。なお、上記アクリル樹脂Bは固形分濃度21質量%であるが、本実施例での質量比および濃度は、正味量(固形分量)で計算した値である。以下の例についても、正味量で計算している。この塗工液(1)をポリエチレテレフタレート二軸方向加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製「PX−40S」)、厚さ:25μm、ガラス転移温度Tg1=75℃)の片面に、塗工乾燥後の硬質層の厚みt’が4μmになるようにバーコーター(テスター産業株式会社製「メイヤーバー♯22」)により塗工し、積層シートを得た。
次いで、熱風式オーブンを用いて上述の積層シートを120℃で0.5分間加熱することにより、ポリエチレンテレフタレート二軸方向加熱収縮性フィルムを一方向において、加熱前の長さの43%に熱収縮させ(変形率として45%)た。これにより、一方向に略直交する他方向において、加熱前の長さの38%に熱収縮させ(変形率として40%)、硬質層を折り畳むように変形させた。続けて、43%収縮させた方向に1.4倍延伸させ、波状の凹凸パターンが層の表面に形成された表面微細凹凸シート(原版)を得た。形成された凸条部は、それぞれが蛇行して、不規則に形成されていた。
得られた表面微細凹凸シート(原版)の微細凹凸形成面に、離型剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂A(綜研化学社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、紫外線を照射して硬化させ、硬化後、剥離して、表面微細凹凸シートの微細凹凸の反転パターンを有する1次転写品を得た。ついで、透明PET基材(東洋紡株式会社製「A4300」、厚さ:188μm)の片面に未硬化の紫外線硬化性樹脂B(ソニーケミカル社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、塗布された紫外線硬化性樹脂Bに対して、1次転写品の上記反転パターンを有する面を押し当て、紫外線を照射して硬化させ、硬化後、1次転写品を剥離した。これにより、透明PET基材上に、紫外線硬化性樹脂の硬化物を材料とする表面層が形成され、該表面層の表面に、上記の表面微細凹凸シート(原版)と同じ微細凹凸が形成された配光制御シート(2次転写品)を製造した。
(評価)
製造した配光制御シートについて、FWHM、透過率、FW(0.95)M/FWHMを上述した方法で測定した結果を表1に示す。
表1に示す評価から、所望の特性が得られていることを確認した。また、製造した配光制御シートでは、図21に示す配光分布が得られた、すなわち、製造した配光制御シートの配向分布が矩形形状になり、上述したように新たな知見が裏付けられたと考えられる。