JP5922859B2 - 化粧シート及びそれを用いてなる積層板 - Google Patents
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(1)透明ポリエステルフイルムの裏面に絵柄印刷層及び粘着剤層が積層されたものであり、透明ポリエステルフイルムが表層にくる為に平坦な意匠となっていた。
(2)透明ポリエステルフイルム上に絵柄印刷層を設け、さらに表面に凹凸模様が賦形された透明樹脂層が積層され、前記透明ポリエステルフイルムの裏面に粘着剤層を積層したものであり、反射層がないために光輝性がなかった。
(4)線長が不規則に異なる多数の線素を、近傍の線素間に於いては、揺らぎを有する平行関係となる様に配置したパターンから成る万線状凹凸模様を有する化粧材が提案され、(特許文献3参照)
(5)平面視パターンが、互いに完全には重ならない、第1の万線状凹凸模様と第2の万線状凹凸模様との集合体からなり、且つ深さ方向の水準面が3段階か又は4段階からなる複合万線状凹凸模様を有する化粧材が提案されている。(特許文献4参照)
(3)及び(4)の提案は、いずれも木目の「照り」による木肌感等を、人工的で技とらしくなく自然な感じに表現できる化粧材を提供せんとするものであり、化粧シートを透過する光の方向を制御するものではない。また、万線状凹凸模様も曲線を基調とするものであった。
(1)複数の略直線状万線からなる万線群を複数有し、該万線により凹凸部が形成された化粧シートであって、一つの万線群の万線と他の万線群の万線とのなす角度が30°以上90°以下であることを特徴とする化粧シート、
(2)前記凹凸部の表面粗さRzが、7〜100μmである上記(1)に記載の化粧シート、
(3)前記凹凸部の凹凸間隔Lが40〜200μmである上記(1)又は(2)に記載の化粧シート、
(4)前記万線群の全面積が、前記化粧シート全表面の40%以上を占める上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート、
(5)一つの万線群と他の万線群との距離が1mm以下である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シート、及び
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧シートを透明基板に貼着してなる積層板
を提供するものである。
万線の線方向が7方向以上ある場合は、必然的に30°未満の角度をなす2方向の万線が存在するので、本発明の化粧シートが得られない。本発明においては、一つの万線群の万線と、他方の万線群の万線とのなす角度が、好ましくは35°以上、更に好ましくは、45°以上であるときに鮮明な放射線状透過光線が得られる点で好ましい。
なお、本発明においては、2つの略直線状万線のなす角度α°及び(180−α)°の内、小さい方の角度を「2つの略直線状万線のなす角度」という。
なお、万線群の大きさを小さくし且つ万線群の数を多くすると、より均一な意匠が得られる。
本発明における可視光線は、太陽光、白熱球照明、蛍光灯照明、LED照明、レーザー光線等のいずれを用いても良く光源を限定するものではないが、好ましくは指向性の高い光源であるLED照明、レーザー光線等、又は集光等により指向性を高めた太陽光、白熱球照明、蛍光灯照明、LED照明等の光源が上げられる。指向性の高い光源や集光等により指向性を高めた光源であると、放射状透過光の表出が鮮明になる点で好ましい。
透明フィルム11が、熱可塑性樹脂シート等で熱圧によって塑性変形可能の場合には、エンボス版として作製した賦形版によって、熱圧を加えて、賦形すれば良い。エンボスには、平版プレス機、ロールエンボス機等の公知の各種プレス、エンボス機を使用する。円筒状のエンボス版を使用するロールエンボス法は、付与対象物を長尺帯状シート等として連続生産出来るので生産性が良い。付与対象物への加熱加圧条件は、付与対象物の熱圧的挙動により異なるが、通常の熱可塑性樹脂の場合、軟化点又は熱変形温度と融点又は熔融温度との間の適当な温度に加熱し、エンボス版を押圧して賦形し、冷却して形状を固定する。また、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂で塑性変形不可能の場合でも、その硬化前の固体で塑性変形可能な段階でエンボス版により熱圧又は圧を与えて賦形するか、液状段階で取り扱えるならば、エンボス版を成形型として使用して硬化させる等して、賦形できる。エンボス版による賦形は、通常、付与対象物がシート又は板状の場合に適する。
また、図2の製造工程において、透明フィルム11に凹凸部11aを有する複数の略直線状万線からなる万線群が複数形成された後、同じ製造ライン上で透明フィルム11の凹凸部11aとは反対側に粘着剤層12を積層し、粘着剤層12の表面に離型シート13を貼着して、図1に示す構成の化粧シート10を製造しても良い。
(1)原稿画像の作製:先ず、複数の略直線状万線からなる万線群が複数存在する画像をデジタルデータとしてコンピュータ内で作成する。
(2)版下画像の作製:次に、上記画像データの万線パターンを二次元仮想平面上に生成して配置して、デジタルデータとして版下画像を得る。感光性レジストとしてネガ型のものを用いる場合は、万線はポジ画像を用いる。なお、感光性レジストとしてポジ型のものを用いる場合は、万線はネガ画像を用いる。
(4)レジスト膜のパターンニング:レジスト膜のパターンニングは、ビーム走査露光法による他、版下フィルムを用いた露光法等により行うこともできる。
なお、図2に示す典型的な製造工程においては、版材としてシリンダー(金属ロール)を用いている。
なお、図3において、直線状万線を、曲率半径3.5mm以上の曲線状万線(例えば、曲率半径4.0〜7.0mmの曲線状万線)に変更しても本発明の効果を奏し得る。後述する図4〜図6においても同様である。
図4は、本発明の化粧シート10の万線群の配置の第二の実施態様を示す模式図である。図4においては、2方向の直線状万線が90°の角度で交互に市松模様状万線群に配置され、個々の万線群は正方形である点では図3と同じであるが、各々の万線の方向は正方形の辺の方向と45°をなしており、各々の万線の長さは同一ではない。
図6は、本発明の化粧シート10の万線群の配置の第四の実施態様を示す模式図である。図6においては、6方向の直線状万線が全て互いに30°の角度になるように万線群がランダムに配置され、個々の万線群は種々の形状を有している。また、6方向の直線状万線の各々の所定面積中の全積算長さは全体として同一となっている。
図8は、比較例の化粧シートの万線群の配置の第二の態様を示す模式図である。図8においては、4方向の直線状万線の内、2方向で15°の角度を、別の2方向で25°の角度をなし、また別の2方向で50°の角度をなし、さらに別の2方向で90°の角度をなすように万線群がランダムに配置されている。個々の万線群は種々の形状を有している。図8では、1箇所の2方向で15°の角度をなし、他の1箇所の2方向で25°の角度をなしているので、放射状透過光線が不鮮明となり、意匠効果が低下する。
ここで、表面粗さRzとは、JIS B 0601:2001の附属書1(参考)に規定された「十点平均粗さRz」をいい、旧JIS規格 JIS B 0601:1994に基づき測定される。
また、本発明の化粧シート10の凹凸部11aの凹凸間隔L(図1参照)が40〜200μmであることが好ましく、40〜100μmであることがより好ましい。40μm以上であれば、放射状透過光線がより鮮明となるので好ましい。
凹凸部11aの高低差(凹部の深さ)H(図1参照)は、通常1〜100m程度である。
また、本発明の化粧シート10において、一つの万線群と他の万線群との距離が1mm以下であれば放射状透過光線がより鮮明となるので好ましく、0.3mm以下であれば同様の理由でより好ましい。
なお、図6では一つの万線群と他の万線群との距離が0.3mm以下であり、図1〜5、7及び8では一つの万線群と他の万線群とが接しており距離は0.01mm未満である。
凹凸部を形成する前の透明フィルム11の厚さは、30〜300μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。30μm以上であればエンボスシートの賦型の安定性が向上するので好ましい。
なお、表面粗さRz は上記の方法で測定し、凹凸部の形状は電子顕微鏡写真により確認した。また、凹凸部の凹凸間隔L(μm)は、図3〜図9と同等程度の視野を有する電子顕微鏡写真を20枚撮影し、各写真について任意の20箇所の凹凸部の凹凸間隔Lを測定し、それら400箇所の値の相加平均を算出した。さらに、万線の方向数及び一つの万線群の万線と他の万線群の万線とのなす最低角度(°)は、図3〜図9と同等程度の視野を有する電子顕微鏡写真を20枚撮影し、各写真の万線群の全ての万線の方向数及び最低角度を測定し、万線群全体における万線の方向数と最低角度を算出した。
厚さ100μmの塩化ビニル製透明フィルムを用い、図2に示す製造ラインにより第1表に示す、万線群配置のパターン、万線の形状、万線群の方向数、万線間のなす最低角度(°)、表面粗さRz(μm)、凹凸部の凹凸間隔L(μm)、化粧シート全表面中の万線群が形成された全面積(%)及び一つの万線群と他の万線群との距離(mm)を有する13種類の化粧シートを作製した。塩化ビニル製透明フィルムはいずれも加熱ドラムで50〜150℃に加熱され、さらにヒーターで120〜200℃に保温されてエンボス版とゴムロールとの間を通過して凹凸部が形成された。実施例2の万線は曲線であるが、曲率半径が大きいので直線と同様の取り扱いができ、万線の方向数を2つと特定できた。これに対し、比較例3及び4の万線は、曲率半径1.5mmの曲線から曲率半径 ∞ mmの曲線(即ち、直線)まで曲率半径が広範囲に分布しているので万線の方向数を特定できなかった。
得られた13種類の化粧シートにLED照明を照射して透過光の散光状態を目視で確認し、以下の評価基準で判定した。結果を第1表に示す。
◎: 非常に鮮明な放射状透過光線が得られた。
○: 鮮明な放射状透過光線が得られた。
△: やや不鮮明な放射状透過光線が得られた。
×: 不鮮明な放射状透過光線が得られたか、又は放射状透過光線が得られなかった。
これに対し比較例1〜4の化粧シート及び積層板は、不鮮明な放射状透過光線しか得られなかったり、放射状透過光線が得られなかったりして発明の効果を奏し得なかった。
11. 透明フィルム
11a.凹凸部
12. 粘着剤層
13. 離型シート
20. 本発明の化粧シートの製造ライン
21. 加熱ドラム
22. ヒーター
23. エンボス版
24. ゴムロール
Claims (5)
- 複数の略直線状万線からなる万線群を複数有し、万線により凹凸部が形成された化粧シートであって、一つの万線群の万線と他の万線群の万線とのなす角度が30°以上90°以下であり、該凹凸部の表面粗さRzが、7〜100μmであり、該万線群が、3本以上100本以下の略直線状万線からなるものであり、該万線の方向数が2〜6であり、該万線の方向数に対応した放射状透過光線を表出し、透明であることを特徴とする化粧シート。
- 前記凹凸部の凹凸間隔Lが40〜200μmである請求項1に記載の化粧シート。
- 前記万線群が形成された全面積が、前記化粧シート全表面の40%以上を占める請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 一つの万線群と他の万線群との距離が1mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートを透明基板に貼着してなる積層板。
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