JP7155695B2 - 離型紙の製造方法、離型紙、被賦形体および合成皮革 - Google Patents

離型紙の製造方法、離型紙、被賦形体および合成皮革 Download PDF

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本願発明は離型紙の製造方法、離型紙、被賦形体および合成皮革に関する。より詳細には、表面に形状欠陥が少なく、微細でほぼ均一な凹凸形状を、被賦形体あるいは合成皮革に賦形するための離型紙、この離型紙の製造方法、およびこの離型紙を使用して製造される被賦形体、合成皮革に関する。
従来、合成皮革として塩化ビニル系樹脂やポリウレタン樹脂を主原料としたものが広く使用されている。このような合成皮革は、離型紙を用いて製造されることが多い。例えば、ポリウレタンレザーを製造するには、離型紙の表面樹脂層の表面にペースト状のポリウレタン樹脂を塗布し、乾燥・固化した後に布基材を貼合して離型紙から剥離する。離型紙に天然皮革と同様の絞り模様や凹凸形状を形成しておけば、得られる合成皮革の表面に良好な模様を付与することができる。あるいは、幾何学模様等の天然物を模倣しない模様でも構わない。
このような合成皮革の製造に使用される離型紙は、その表面模様を転写して合成皮革に表面模様を形成させるものであり、賦形に適した表面状態を有する必要がある。
従来技術である特許文献1について図18を用いて説明する。紙基材層11と表面樹脂層12を貼り合わせて、離型紙1の原反である積層シート7を押出ラミネート加工を行う際に、第1賦形加工ロール72を表面樹脂層12の表面に押し当てて冷却することにより、前記積層シート7の凹凸形状を賦形する。
さらに前記工程の後に、第2賦形加工ロール74の針状凸部形状の版面75が、前記積層シート7の表面樹脂層12の賦形部13に、前記工程にて賦形された凹部の深さよりも深い凹部を賦形することを特徴とする離型紙1が開示されている。賦形工程を2段階として、それぞれの工程で賦形するエンボスの深さが異なることから斬新なデザインのエンボス模様であると主張している。
ここで、離型紙1の表面樹脂層12の賦形部13に、大きさの異なる2種類の凹凸形状が存在する。凹凸のピッチ及び高さが大きいほうの凹凸形状を大エンボスと呼び、凹凸形状のピッチ及び高さが小さいほうを小エンボスと呼ぶことにする。ここで大エンボスは、主に離型紙の柄を支配する役割を持ち、小エンボスは主に離型紙の質感(テクスチャー)を支配する役割を持つ。
一般的には小エンボスは、大エンボスのピッチ及び高さのおよそ1/10~1/1000であり、大エンボスの面に沿って存在する。大エンボスと小エンボスについて図2を用いて説明する。図2は離型紙の断面図である。大エンボス25は、紙基材層21と表面樹脂層22を合わせて凹凸加工しており、小エンボス24よりも大エンボス25の大きさが大きい。前記大エンボス25の面に沿って前記小エンボス24が設けられる。
また、別の従来技術である特許文献2について図19を用いて説明する。紙基材層11と表面樹脂層12を貼り合わせた合成皮革用の離型紙1において、合成皮革の表面に賦形される模様に相当する凹凸形状を離型紙1の表面樹脂層12の賦形部13に形成し、その賦形された凹凸形状がより均一に、かつ意図した意匠に近くなる工夫がされた離型紙が提示されている。
その工夫について説明する。紙基材層11の表面樹脂層12側の面の紙繊維による凹凸形状が前記表面樹脂層12の賦形部13に影響を与え、前記賦形部13に意図しない凹凸形状が現れる。合成皮革に賦形する際に、その凹凸形状が、合成皮革の仕上がりを劣化させてしまう。対策として、紙基材層11の表面に平滑化層14を設け、さらに前記平滑化層14の表面に表面樹脂層12を設けることで、紙基材層11の紙繊維による凹凸形状が表面樹脂層12の賦形部13に現れることがなくなり、模様の賦形が良好となる離型紙1が開示されている。
特開平6-123080号公報 特開2006-2264号公報
しかしながら、特許文献1の離型紙1においては、大エンボスを最初に賦形して、次に小エンボスを賦形していることから、大エンボスの面に沿って小エンボスを設けることは困難である。また当該特許では、小エンボスは特殊な形状であり、針状の穴を散在させることを想定しており、広く表面に展開して、かつ緻密に小エンボスを賦形することは困難である。
また、特許文献2の離型紙1においては紙基材層11の表面に平滑化層14があり、表面樹脂層12の表面の賦形部13に紙基材層11の繊維の凹凸形状の影響は見られないため、前記表面樹脂層12の表面の賦形部13の模様の意匠性が損なわれない離型紙を提供できるとしている。
しかし図2のように、大エンボス25の面に沿って小エンボス24を設けるための技術は開示されておらず、よって大エンボス25の面に沿って小エンボス24をほぼ均一に設けた離型紙の製造は困難である。
さらに、上記の2つの特許文献に開示された技術とは別の従来技術を説明する。図2のように離型紙2の表面樹脂層22の表面の賦形部23の大エンボス25の面に沿って、小エンボス24を設けた離型紙の製造は、エンボスを賦形する作業を2段階で実施することがある。従来の技術で製造された離型紙2は、図3のように、大エンボス25に沿って設けられる小エンボス24の大きさが均一でなくなってしまうことがあり、図4のように、大エンボスの凹部47と凸部48と遷移部46に渡り、小エンボス44の大きさがほぼ均一である目的とした離型紙を製造できないことがある。詳細については、後ほど説明する。
従来の技術の加工工程について図20を用いて説明する。まず、積層シート7が準備される。前記積層シート7は、紙基材層21と、前記紙基材層21のどちらか一方の面に版面75によって凹凸形状が賦形されることになる表面樹脂層22を備えたシートである。樹脂73は、押出機70から押し出され、前記紙基材層21の上に積層されて、前記積層シート7が準備される。
前記積層シート7の表面樹脂層22の表面の賦形部23に、第1賦形加工ロール72を用いた加工により小エンボス24を形成する。すなわち、前記積層シート7を、押出機70の直下に位置する第1賦形加工ロール72と押圧加工ロール71との間で挟圧して、紙基材層21の表面へ樹脂73をラミネートすることで、前記表面樹脂層22を形成することができる。この工程を第1エンボス加工工程78と呼ぶ。
前記第1エンボス加工工程78により、前記小エンボス24が前記積層シート7の略全領域に設けられ、その後の工程にて前記積層シート7が第2賦形加工ロール74と押圧加工ロール76の間で挟圧されて、前記積層シート7の表面樹脂層22の表面の賦形部23に大エンボス25が賦形される。前記工程を第2エンボス加工工程79と呼ぶ。前記第2エンボス加工工程79では、加熱した第2賦形加工ロール74を前記表面樹脂層22の表面の賦形部23に押し当て、かつ前記押圧加工ロール76を前記紙基材層21の表面29に押し当てられる。
前記第2エンボス加工工程79において、前記積層シート7に賦形加工をする際には、前記積層シート7を変形しやすくするために、前記積層シートの7を昇温させる。そのために金属製の前記第2賦形加工ロールを加熱して、前記積層シート7の表面樹脂層22の表面に押し当てることが多い。
前記第1エンボス加工工程78を経た積層シート7は、図5のように、小エンボス24が前記積層シート7の表面樹脂層22の表面の賦形部23に賦形される。前記小エンボス24を賦形された前記積層シート7が前記第2エンボス加工工程79を経て、前記離型紙2が製造される。
しかしながら、従来の第2エンボス加工工程の方法では、前記離型紙2の表面樹脂層22の表面の賦形部23に、不具合が発生することがあった。具体的には、前記小エンボス24を賦形された前記積層シート7が、第2賦形加工ロール74と押圧加工ロール76の間で挟圧されて、前記積層シート7の表面樹脂層22の表面の賦形部23に、第2賦形加工ロール74を押し当てて賦形加工を行う際に、意匠の不具合が発生することがあった。
当初の目的としては、図4のように、離型紙4の表面樹脂層42の表面の賦形部43の大エンボス45の面に沿って、小エンボス44をほぼ均一に設けた離型紙4の製造を予定していた。しかし、実際には図3のように、大エンボス25の凹部27の表面形状と大エンボス25の凸部28の表面形状が異なってしまうことがあった。
離型紙の位置ごとに、表面形状の大きさがバラつくことにより、離型紙2の表面樹脂層22の表面の賦形部23の光沢感の均一感が失われ、意匠性が劣化することもあった。
上記の意匠性の劣化について説明する。図20の前記第2エンボス加工工程79の第2賦形加工ロール74と前記積層シート7と前記押圧加工ロール76の接触部Bの拡大図を図6に示す。
図6は、前記第2賦形加工ロール74の大エンボス9の凸部91が、前記積層シート7に接触している状態を示している。
図7は、図6のC部の拡大図であり、説明の便宜を図るために、図中に方向を説明する指標を記載している。RVは積層シート7の表面に対して垂直方向、RHは前記表面に対して水平方向である。これは、前記第2賦形加工ロール74の大エンボス9に対する方向と同じ方向である。RVは前記大エンボス9に対して垂直方向であり、RHは前記大エンボス9に対して水平方向である。
また、前記第2賦形加工ロール74の外筒面の直径方向の断面は厳密には円弧状であるが、前記第2賦形加工ロール74の外径と比較して前記大エンボス9の大きさはかなり小さいので、図面上では円弧とせず直線で近似して表示している。
図7は、第2エンボス加工工程の完了間近の状態を示している。前記第2賦形加工ロール74の大エンボス9は、凸部91と凹部92と遷移部93から構成されている。前記離型紙2の表面樹脂層22の大エンボス25は、凸部28と凹部27と遷移部26から構成されている。
大エンボス9の凸部91は、前記表面樹脂層22の大エンボス25の凹部27を賦形し、前記大エンボス9の凸部91と凹部92の間の遷移部93は、前記表面樹脂層22の大エンボス25の凸部28と凹部27の間の遷移部26を賦形する。
なお、前記積層シート7の前記第2賦形加工ロール74と接触面の反対面には、押圧加工ロール76が接触しており、前記第2賦形加工ロール74が積層シート7に押圧した力は、前記押圧加工ロール76で受けている。
第1エンボス加工工程78で賦形された、離型紙2の質感を支配する小エンボスは、第2エンボス加工工程で前記積層シート7に大エンボスを賦形した後も残ることが望ましい。つまり、柄を支配する大エンボスは、第2エンボス加工工程で賦形された形状であり、質感を支配する小エンボスは、第1エンボス加工工程で賦形された形状であることが望ましい。
しかしながら、実際には加熱された前記第2賦形加工ロール74を前記積層シート7の表面樹脂層22に押し当てるので、前記表面樹脂層22の表面は温度が上昇して、前記表面樹脂層22は軟化する。軟化した前記表面樹脂層22の表面に前記第2賦形加工ロール74の大エンボス9の凸部91が押圧され、前記離型紙2の大エンボス25の凹部27が賦形される。このときに、前記第1エンボス加工工程78で賦形された前記離型紙2の大エンボス25の凹部27の小エンボス24は、前記大エンボス9の凸部91に押しつぶされて消滅し、前記大エンボス9の凸部91の表面形状が代わりに転写されてしまう。
さらに、前記表面樹脂層22の表面に前記第2賦形加工ロール74の大エンボス9の遷移部93が押圧され、前記離型紙2の大エンボス25の遷移部26が賦形される。このときに、前記第1エンボス加工工程78で賦形された前記離型紙2の大エンボス25の遷移部26の小エンボス24は、前記大エンボス9の遷移部93に押しつぶされて消滅し、前記大エンボス9の遷移部93の表面形状が代わりに転写されてしまう。
第2エンボス加工工程が進み、第2賦形加工ロール74の大エンボス9の凸部91の賦形が完了し、第2賦形加工ロール74の大エンボス9の遷移部93の大部分の賦形が終了した段階では、第2賦形加工ロール74が積層シート7を凹凸形状の転写のために押圧する力を、ほぼ使い切ってしまっている。すなわち、賦形する面積が増大するにつれて、賦形に必要とする押圧力が増大していき、賦形部へかかる単位面積当たりの力が減少するので、前記表面樹脂層22に凹凸形状を賦形しづらくなる。また、第2賦形加工ロール74への積層シート7からの反発力が大きくなるため、前記第2賦形加工ロール74は、当初予定の行程を完了できなくなることがある。
前記大エンボス9が当初予定の行程を完了できた場合でも、前記表面樹脂層22の大エンボス25の凹部27や、前記表面樹脂層22の大エンボス25の遷移部26と比較して、前記表面樹脂層22の大エンボス25の凸部28は、前記第2賦形加工ロール74の版面75によって押し込まれる移動量が小さく、また押し込まれている時間も短い。
そのため、前記第2賦形加工ロール74の版面75の大エンボス9の凹部92は、前記表面樹脂層22の大エンボス25の凸部28への賦形が難しくなり、第1賦形加工ロール72で賦形された前記表面樹脂層22の凸部28の小エンボス24が残ることになる。
なお、離型紙のデザインや製造条件によっては、前記表面樹脂層22の凸部28の小エンボス24は、前記大エンボス9の凹部92に押しつぶされて消滅し、前記大エンボス9の凹部92の表面形状が代わりに転写されてしまうこともある。
上記の理由により、前記積層シート7の表面樹脂層22の表面の小エンボス24が、第2エンボス加工工程で消滅することから、前記離型紙2の表面樹脂層の表面形状は当初に想定した質感とは異なってしまう。
本願発明はこのような状況を鑑みてなされたものであって、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程にて第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた離型紙の製造方法、を提供することを課題としている。
また本願発明は、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程にて第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた離型紙を提供することを課題としている。
さらに本願発明は、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程にて第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた被賦形体及び合成皮革を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために本願発明の離型紙の製造方法は、紙基材層と、前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を積層した積層シートから離型紙を製造する方法であって、前記表面樹脂層に予め小エンボス加工がされた積層シートを供給する工程と、前記紙基材層の面に賦形加工ロールを押し当て、かつ前記表面樹脂層の面に押圧加工ロールを押し当てて、挟圧することで前記積層シートに大エンボス加工を施す工程と、を備えることを特徴としている。
また、本願発明の離型紙の製造方法では、紙基材層と、前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を積層した積層シートから離型紙を製造する方法であって、前記紙基材層の一方の面に前記表面樹脂層を形成させた積層シートを製造する工程と、前記積層シートを製造する工程と同時もしくは直後に、前記表面樹脂層の表面に小エンボスの形状を賦形するための第1賦形加工ロールの版面を重ねて前記表面樹脂層の表面に小エンボスの形状を賦形する第1エンボス加工工程と、前記小エンボスの形状を賦形する工程の後に、前記積層シートの前記紙基材層の表面に前記小エンボスの形状より大きい形状である大エンボスの形状を賦形するための第2賦形加工ロールの版面を重ねて、かつ前記表面樹脂層の面に押圧加工ロールを押し当てて、挟圧することで前記小エンボスよりも大きい形状の大エンボスの形状を前記積層シートに賦形する第2エンボス加工工程と、前記工程を経て凹凸形状が賦形された前記積層シートである前記離型紙を前記賦形加工ロールから剥がす工程と、を備えることを特徴としている。
従来の離型紙の製造方法では、大エンボス賦形用の賦形加工ロールを積層シートの表面樹脂層に押し当て、押圧加工ロールを前記積層シートの紙基材層に押し当てて、前記2つのロールで挟圧して、積層シートに凹凸形状を賦形している。
これに対して、本願発明の離型紙の製造方法では、加熱した大エンボス賦形用の賦形加工ロールを積層シートの紙基材層に押し当て、常温の押圧ロールを前記積層シートの表面樹脂層に押し当てて、前記2つのロールで挟圧して、積層シートに凹凸形状を賦形することを特徴とする。
上記のような手順にすることにより、大エンボス賦形用の賦形加工ロールの大エンボス面の表面形状の如何に関わらず、前記大エンボス面の表面形状は、紙基材層にクッション性があるために、前記紙基材層にて吸収・緩和されるので、前記表面樹脂層の表面の形状には影響を与えない。そのため、第1賦形加工工程で賦形された小エンボスの形状が保持される。
さらに、小エンボスを賦形する第1賦形加工ロールと、大エンボスを賦形する第2賦形加工ロールの組合せで離型紙のデザインが決定するので、離型紙のデザインのバリエーションを低コストにて増やすことが可能である。
また、前記紙基材層側から加熱された賦形加工ロールが押圧されることから、離型紙の温度が上昇して、前記離型紙が柔らかくなり賦形しやすくなる一方、前記表面樹脂層の表面は常温の押圧加工ロールに接触するので、前記表面樹脂層の表面の温度上昇は抑えられる。そのために、前記表面樹脂層の表面は柔らかくなることがなく、変形が抑えられるために、第1賦形加工工程で賦形された小エンボスの形状が保持される。
さらに、本願発明の離型紙は、紙基材層と、前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を設けた離型紙であって、前記紙基材層には大エンボスが形成されており、前記紙基材層の大エンボスの形状に沿って表面樹脂層の表面に小エンボスが形成され、前記小エンボスの大きさは前記大エンボスの大きさよりも小さく、前記小エンボスは前記表面樹脂層に存在することを特徴としている。
本願発明によれば、大エンボスの面に沿って小エンボスを設けた離型紙において、大エンボスの凸部と凹部及び遷移部の各領域にわたり、小エンボスの大きさがほぼ均一であり、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程にて第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた離型紙を提供できる。そのため想定したデザインの離型紙を製造できることから、意匠性に優れた離型紙を提供できる。
小エンボスと大エンボスを2段階で賦形する離型紙の本願発明の製造方法である。 一般的な離型紙の説明図である。 従来の方法で製造した離型紙の断面図である。 本願発明の離型紙の断面図である。 第1エンボス加工工程で小エンボスを賦形した積層シートの断面図である。 従来の方法で、小エンボスが賦形された積層シートに、大エンボスを賦形する説明図(図20のB部の拡大図)である。 図6のC部の拡大図で、大エンボスを賦形する終期段階の説明図である。 本願発明の離型紙を用いて製造した被賦形または合成皮革である。 本願発明の方法で、小エンボスが賦形された積層シートに、大エンボスを賦形する説明図(図1のA部の拡大図)である。 合成皮革の製造方法の説明図である。 本願発明の離型紙の顕微鏡写真(凸部と凹部が両方存在)である。 従来の離型紙の顕微鏡写真(凸部と凹部が両方存在)である。 第1エンボス加工工程後で、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面の顕微鏡写真である。 本願発明の離型紙の顕微鏡写真(凸部の拡大部)である。 本願発明の離型紙の顕微鏡写真(凹部の拡大部)である。 従来の離型紙の顕微鏡写真(凸部の拡大部)である。 従来の離型紙の顕微鏡写真(凹部の拡大部)である。 先行文献1の離型紙の製造方法の説明図である。 先行文献2の離型紙の製造方法の説明図である。 小エンボスと大エンボスを2段階で賦形する離型紙の従来の製造方法である。
以下、本願発明について図面を用いながら説明する。但し、本願発明はこれら具体的に例示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本願発明の離型紙は、主に合成皮革の製造に用いられるが、その他、靴、鞄、ソファー、椅子、乗物の座席等の表面材、箱、包装容器、壁紙や床材等の建築物内裝材、冷蔵庫やテレビジョン受像器等の家電製品、及びダッシュボードやドア内装パネル等の自動車部品の表面装飾材等の製造にも使用できる。それらの物品を取りまとめて被賦形体と呼ぶが、以下の説明には合成皮革を代表例として説明する。
<離型紙>
本願発明の離型紙は、合成皮革が有する被賦形樹脂層に意匠性がある凹凸形状を賦形するためのシートである。昨今では合成皮革に、より天然皮革に近い品質が求められてきており、より微細な凹凸形状の再現が求められている。また、天然皮革の模倣でなく人工的な模様でも、より微細な凹凸形状による意匠性、さらにその意匠が引き立つために模様の均一感が求められている。さらに、高光沢の鏡面仕上げなども求められている。
図4は本願発明の離型紙4の断面図であり、紙基材層41の一方の面には表面樹脂層42が設けられており、前記表面樹脂層42の表面には、合成皮革の被賦形樹脂層に凹凸形状を賦形するための賦形部43が設けられている。
ここで、離型紙4の賦形部43は、前記離型紙4の大エンボス45の凸部48、凹部47、および遷移部46を、図8で図示した賦形の対象である合成皮革6の被賦形樹脂層62に賦型して、前記被賦形樹脂層62の表面に凹凸形状を形成する。前記賦形部43は、前記賦形部43の凹凸形状に対応する形状を有する原版を用いて型押しすることで、形成することができる。
また、前記紙基材層41と表面樹脂層42との間には、層間の接着性を向上させるためにアンカーコート層(不図示)を形成してもよい。さらに、前記紙基材層41と表面樹脂層42との間には、平滑性向上や目止めの役割、及び接着性の向上を目的とした中間層(不図示)を形成してもよい。
離型紙4は、図8で図示した合成皮革6を構成する被賦形樹脂層62の表面に被賦形部63を形成するための賦形型として用いられ、その合成皮革6の被賦形部63に対応する賦形部43を有するため、合成皮革6の被賦形樹脂層62の被賦形部63の大エンボス65に沿ってほぼ均一な小エンボス66を形成した合成皮革6を容易に作製することができる。
以下、離型紙4の構成要素を順に説明する。
<紙基材層>
紙基材層41は、離型紙4の支持体となるものである。
前記紙基材層41のパルプとしては、賦形部43を形成する工程や、合成皮革を作製する際の工程に耐えうる強度と平滑性を得るために、針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を混合したものが好ましい。その場合、強度と平滑性のバランスを取るため、広葉樹パルプ(L材)の混合率は50%~90%が好ましい
前記紙基材層41は、前記離型紙4の充分な耐熱性を得るために、中性紙であることが必要であり、サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを用いてサイジングした中性紙が好ましい。
前記紙基材層41の坪量は、強度、合成皮革加工の作業性、離型紙の繰り返し使用耐久性、およびエンボス加工適性の面から100g/m2~200g/m2であることが好ましい。坪量が100g/m2よりも小さいと合成皮革の製造時にカールや波打ちや、製造ラインでの紙切れが発生しやすくなる。逆に坪量が200g/m2より高くなるとエンボス加工適性が悪く、また離型紙が厚くなることによりその巻き径が大きくなって作業能率が低下し、さらにコストが嵩む。
前記紙基材層41の厚さは、上記と同じ理由により、100μm~900μm、好ましくは150μm~400μmのものを使用することができる。
<クレーコート層>
クレーコート層(不図示)は前記紙基材層41の少なくともどちらか一方の面に設けてもよく、無くてもよい。離型紙の用途や要求性能により、クレーコート層は、その有無、および性能などが適宜選定される。前記クレーコート層の目的は、前記紙基材層41の表面の粗面を平滑化し、そのために、前記表面樹脂層42の賦形部43に前記紙基材層41の表面の粗さの影響が出ないで、意匠性が向上するものである。
クレーコート層用塗料組成物は、例えばクレーからなり、このクレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができる。クレーは、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト、マイカ等を用いることができる。クレーとしては、タルクは硬度が低く(モース硬度1)、耐熱性に優れるため、耐熱性の向上やエンボス加工時の寸法安定性を向上させることができる。さらに、クレーコート層の硬度の高いとが外力による変形や傷を防止でき、前記紙基材層41の表面の平滑性をより保つことができる。
また、クレーコート層用塗料組成物は、クレーの他に、顔料として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、発泡性硫酸バリウム、サチンホワイト等を含んでいることが好ましい。顔料として炭酸カルシウムや二酸化チタンを用いることにより、クレーコート層の面の平滑性度を上げることができる。さらに、炭酸カルシウムは安価であるため、好適に用いられる。
クレーコート層を塗布するための塗布液は、溶媒に上記クレーと、バインダーと、必要に応じて他の顔料や添加剤を含む。溶媒としては、通常、水、アルコール等が用いられる。バインダーとしては、通常、ラテックス系のバインダー(例えば、スチレンブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス)、水溶性のバインダー(例えば、デンプン(変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン)、ポリビニルアルコール、カゼイン等)が用いられる。添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤等が用いられる。
クレーコート層の塗布方法は、特に限定されないが、エアナイフコート法、ブレードコート法、ショートドウェルコート法、等の塗布方法が用いられる。
クレーコート層の塗布量や厚さは、特に限定されないが、通常、乾燥後の坪量が5g/m2~40g/m2であり、10g/m2~40g/m2が好ましい。乾燥後の坪量が5g/m2未満であると、平滑性が劣る場合がある。乾燥後の坪量が40g/m2を超えると、クレーコート層の凝集破壊等による密着性低下の可能性があり、離型紙の品質低下の虞れがある。
クレーコート層に代えて、より平滑性の高いキャストコート層を採用することもできる。
キャストコート層を有するキャストコート紙の製造方法は、キャストコート層を得る光沢仕上げを行う処理方法によって、ウェット法(直接法)、ゲル化法(凝固法)またはリウェット法(間接法)に大別される。すなわち、キャストコート層が、湿潤状態にあるうちに、加熱された金属製の鏡面ドラムに圧着し乾燥して光沢に仕上げるのが、ウェット法である。また、湿潤状態にあるキャストコート層を凝固液中に通してゲル化状態にした後、加熱された金属製の鏡面ドラムに圧着し乾燥して光沢に仕上げるのがゲル化法である。そして、湿潤状態にあるキャストコート層を一旦乾燥した後、再湿潤液でキャストコート層を再湿潤し、可塑状態にしてから加熱された金属製の鏡面ドラムに圧着し乾燥して光沢に仕上げるのがリウェット法である。
キャストコート紙の要求仕様により、それぞれの製造方法が適宜選定される。
なお、クレーコート層に代えて、紙基材層のいずれか一方の面にポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂の押出コーティングよる合成樹脂層を形成してもよい。さらに、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムなど表面に平滑性があるフィルムを、ドライラミネート、もしくは接着性のある樹脂を介して紙基材層と押し出しラミネートによる接着を行ってもよい。
クラフト紙や上質紙等のように表面が比較的粗い材料を紙基材層として用いる場合には、紙基材層の平滑性を向上させる効果は大きい。
前記キャストコート層を前記紙基材層41に形成することにより、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス VK-8710)を用いて測定した場合、前記キャストコート層の表面の算術平均粗さRa(Raは、日本工業規格JIS-B-0601-2001に基づく算術平均粗さである)が2μm以下となる。また、前記キャストコート層の表面の算術平均粗さRaが0.5μm未満では、過剰な平滑性となりコストアップ要因となる。算術平均粗さRaの測定は1mm角の領域を10回測定した数値の平均である。これ以降に記述される算術平均粗さRaは、上記の測定器、方法で測定したものである。
前記クレーコート層の厚さも特に限定されないが、10μm~60μmが望ましく、性能とコストのバランスが優れる。
<アンカーコート層>
アンカーコート層(不図示)は、前記紙基材層41と表面樹脂層42の接着面に必要に応じて設けられ、前記紙基材層41と表面樹脂層42との接着性を高める機能を有する。
アンカーコート層は、例えば、水溶性、または、水分散型のエマルジョンもしくはディスパージョンのアンカーコート剤を塗布することにより形成できる。
このアンカーコート剤としては、ポリプロピレン系、変性ポリオレフィン系、エチレン-酢酸ビニル共重合体系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、ポリウレタン系、ポリエステル系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンのほか、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ウレタンアクリル樹脂エマルジョン、シリコンアクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルアクリル樹脂エマルジョン、その他のアクリル樹脂エマルジョン、そして、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、ポリブタジエンラテックスなどのゴム系ラテックス、ポリアクリル酸エステルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、或いはこれらのラテックスのカルボキシル変性物、また、水溶性アンカーコート剤としては、ポリビニルアルコール、水溶性エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性セルロース誘導体、水溶性ポリエステル、水溶性イソシアネート、水溶性リグニン誘導体などの水溶液を使用することができる。
これらの中でもポリプロピレン系または変性ポリオレフィン系樹脂のエマルジョンもしくはディスパージョンは、紙に対するポリプロピレン系樹脂層の積層強度を一層強くでき、かつ、耐熱性にも優れる点で好ましい。
上記アンカーコート剤の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などで塗布することができ、その塗布量としては、乾燥後の塗布量で0.1g/m2~5g/m2が好ましい。
<表面樹脂層>
表面樹脂層42は、その表面に賦形部43が形成されており、合成皮革6を作製する際の賦形型として機能する。
前記表面樹脂層42に含まれる添加物は、特に限定されないが、例えば無機や有機の微粒子との混合物等が含まれていてもよい。
前記表面樹脂層42の樹脂としては、アルキド系樹脂、メチロールメラミン樹脂、メトキシメチロールメラミン樹脂等のメラミン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性又は放射線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂等を含む)等を挙げることができる。また、前記表面樹脂層42の樹脂としては、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができる。これらの樹脂は、合成皮革6の被賦形樹脂層62の樹脂への賦形性を考慮して、一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前記表面樹脂層42には、さらに必要に応じて分散剤、粘度調整剤、着色剤、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
前記表面樹脂層42の厚さは、例えば、耐久性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また、材料コストの観点から、前記表面樹脂層42の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。まとめると、前記表面樹脂層42の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以上50μm以下である。
なお、前記表面樹脂層42の厚さは賦形部43の形状や大きさとの関係で適宜設定されることが好ましい。
前記表面樹脂層42の形成方法としては、押出しコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、マイクロバーコート法、バーコート法、ナイフコート法、グラビアコート法、等を挙げることができる。
また、準備したフィルムを貼り合わせる方法でもよい。押出ラミネート法、ドライラミネート法、ウエットラミネート法等を挙げることができる。
前記表面樹脂層42を、第1エンボス加工工程78で形成する方法としては、例えば、溶融押出して、前記紙基材層41と前記表面樹脂層42をラミネートした後、連続して、第1賦形加工ロール72と押圧加工ロール71との間を、前記表面樹脂層42が第1賦形加工ロール72に接するように通し挟圧することにより、その表面に小エンボス加工による凹凸形状を設けることができる。なお、離型紙4の用途によっては、第1賦形加工ロール72の外筒の表面形状は、ミラー状であってもよい。
前記離型紙4の前記表面樹脂層42の表面には、図4に示すように、賦形部43が形成されている。前記賦形部43は、図8に図示する合成皮革6の被賦形樹脂層62の表面に被賦形部63を形成するための賦形型として機能する凹凸形状である。すなわち、前記賦形部43は、前記合成皮革6における被賦形樹脂層62の被賦形部63に対応する凹凸形状である。前記賦形部43が賦形する対象である前記合成皮革6の被賦形樹脂層62に型押して、その表面に凹凸形状を形成することができる。
上記に説明したように、本願発明に係る離型紙4は、その表面に凹凸形状が形成された前記被賦形樹脂層62を有する合成皮革6の作製に好ましく用いることができる。
<被賦形体および合成皮革>
図8のように、本願発明において被賦形体5とは、被賦形樹脂層52の被賦形部53の表面模様が、本願発明の離型紙4を用いて形成された物品である。
被賦形体は、ロール状の連続シートであってもよく、枚葉シートでもよい。枚葉シートの被賦形体は、被賦形体シート原反から作製されたものであっても、連続シートの被賦形体シートを切断して得たものであってもよい。また、被賦形体5は、シート状に限らず、立体物であってもよい。
図8は、被賦形体5の一例を表した断面図である。被賦形体5は、被賦形樹脂層52、および基材層51を備えてこれらが積層されている。被賦形樹脂層52の表面には、意匠性を有する被賦形部53が設けられている。
前記被賦形樹脂層52の厚さとしては、特に限定されず、用途および凹凸形状の深さによって異なる。
前記被賦形体5の基材層51は、前記被賦形樹脂層52の凹凸形状が形成された側とは反対面に積層された層であり、被賦形樹脂層52を支持している。
前記基材層51の厚さとしては、被賦形樹脂層52を支持可能な厚さであれば特に限定されないが、シート状の場合は、例えば25μm以上500μm以下の範囲とすることが出来る。
前記基材層51の材料には、前記被賦形樹脂層52を支持するとともに、被賦形体5の用途に応じた適切な材料が用いられればよく、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生または半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの合成繊維、ガラス纖維等の繊維からなる織布、不織布、網布等の布(基布とも言う)、紙、ポリエステルやポリオレフィンの樹脂からなる樹脂フィルム及びガラス織布などの柔らかい材料、金属板、もしくは金属箔、ガラス板、硬質プラスチック、プラスチック厚肉成形品など固い材料から、樹脂の種類や用途に応じて適宜選定することができる。
前記被賦形樹脂層52を構成する樹脂組成物には、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線又は電子線等の電離放射線硬化性樹脂等を使用することができ、用途や製造条件等に応じて適宜選定することができる。
具体的な被賦形体の用途としては例えば、合成皮革製品、靴、鞄、ソファー、椅子、乗物の座席等の表面材、箱、包装容器、壁紙や床材等の建築物内裝材、冷蔵庫やテレビジョン受像器等の家電製品、及びダッシュボードやドア内装パネル等の自動車部品の表面装飾材等を挙げることができる。
上記の被賦形体の用途の中でも、比較的需要が大きい分野として、合成皮革があり、以下は合成皮革について説明する。
本願発明に係る合成皮革6は、図8に示すように、基材層61と、前記基材層61の一方の面に被賦形部63が形成された被賦形樹脂層62とを備えることを特徴とする。なお、図8は被賦形体5と層構成は同一であるので、同じ図を使用して説明するが、符号は合成皮革対応の符号に読み替える。
以下、合成皮革6の構成要素を順に説明する。
<基材>
基材層61は、合成皮革6を構成し、一方の面に被賦形樹脂層62が設けられている。前記基材層61は特に限定されないが、天然の布地や不織布、人工の布地等、公知の合成皮革に用いられている布帛(基布)を適宜選定して用いることができる。また、基材として、布帛以外の樹脂シート、又はその樹脂シートで被覆された構造物であってもよい。そうした樹脂シートを構成する樹脂材料としては、塩化ビニル、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル-ウレタン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
前記基材層61がシート状である場合の厚さは、合成皮革の使用する用途に応じて適宜設定することができるが、例えば、下限については、耐久性、触感等の観点から、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。また、上限については、取り扱い性等の観点からは20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。
前記基材層61がロール状である場合の厚さは、巻き取り作業の容易さの観点から、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。下限についてはシート状の場合と同様、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。
<被賦形樹脂層>
前記被賦形樹脂層62は、上記の基材とともに合成皮革6を構成し、前記基材層61の一方の面に形成されている。前記被賦形樹脂層62の表面は、被賦形部63が形成されている。
前記被賦形樹脂層62は、樹脂材料で主に構成されている。合成皮革の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等を挙げることができる。具体的には、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂等を好ましく採用することができる。
前記被賦形樹脂層62は、可塑剤、発泡剤、安定剤、及び着色剤等から選ばれる1又は2以上を任意に含んでいてもよい。
前記被賦形樹脂層62は、その色は特に限定されず、着色剤を用いて赤色や黒色等の所望の色にすることができる。着色剤は、顔料であっても染料であってもよく特に限定されないが、凹凸形状の先端まで着色するという観点からは、粒子径が大きく凹凸の先端まで入り込まない可能性のある顔料を用いるよりも、そうした可能性のない染料を用いる方がより好ましい。
前記被賦形樹脂層62の厚さは、合成皮革の使用用途に応じて適宜設定することができる。前記被賦形樹脂層62の厚さの下限は、耐久性の観点から10μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。同様に、上限は、合成皮革の風合いを損ねないようにするため、200μmが好ましく、150μmがより好ましい。
まとめると、前記被賦形樹脂層62の厚さは10μm以上200μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上150μm以下である。
前記被賦形樹脂層62は、前記基材層61の上に直接塗布されて形成されていてもよいし、接着層等を介して前記被賦形樹脂層62と前記基材層61とが貼り合わされていてもよい。
<本願発明の離型紙の製造方法>
合成皮革6が有する被賦形樹脂層62に凹凸形状を形成するための、本願発明に係る離型紙4の製造方法を説明する。
図1に示すように、本願発明に係る離型紙4の製造方法は、合成皮革6の被賦形樹脂層62に形成する被賦形部63に対応する凹凸形状を有する版面75が形成された第2賦形加工ロール74を準備する工程と、紙基材層41と、前記紙基材層41上に形成する表面樹脂層42とを備えた積層シート7を準備する工程と、前記表面樹脂層42の表面に第1賦形加工ロール72を用いた加工により小エンボス44を形成する工程と、前記紙基材層41の表面と前記第2賦形加工ロール74の版面75とを重ねて前記表面樹脂層42の表面に前記版面75の凹凸を賦形する工程と、前記第2賦形加工ロール74から前記積層シート7を剥がす工程と、を備える。
<第2賦形加工ロールの準備>
先ず、合成皮革6の被賦形樹脂層62に形成する被賦形部63に対応する凹凸を有する版面75が形成された第2賦形加工ロール74が準備される。前記版面75には、前記合成皮革6の表面に賦形される前記被賦形部63に対応する凹凸形状が形成されている。言い換えると、この方法で製造された離型紙4を用いると、前記版面75の凹凸形状に対応する凹凸形状を有する合成皮革6を製造することができる。前記第2賦形加工ロール74は、前記離型紙4の上に賦形部43を形成することができる強度を有し、さらにその形成過程での各工程の温度条件や圧力条件等に耐える強度を有するものであれば特に制限されるものでない。前記第2賦形加工ロール74となる材料としては、例えば、ステンレス、鍍金を施した鉄、鍍金を施した銅等を用いることができる。
前記第2賦形加工ロール74の版面75に凹凸形状を作製する手段は特に限定されないが、例えば、前記第2賦形加工ロール74となる材料に、エッチング、機械彫刻、ミール彫刻等の手段を用いて凹凸形状を形成することができる。さらに、前記手段を実施した後に、電解鍍金、無電解鍍金、陽極酸化処理を実施し、表面の耐久性を向上させたり、表面形状の平滑化または凹凸形状の追加を実施することができる。
<積層シートの準備>
さらに積層シート7が準備される。前記積層シート7は、紙基材層41と、前記紙基材層41の一方の面に第2賦形加工ロール74の版面75によって凹凸形状が賦形されることになる表面樹脂層42を備えたシートである。
前記紙基材層41と前記表面樹脂層42は直接に接合されていてもよく、また間に中間層を介して接合されていてもよい。中間層としては、接合力を向上させるための層、紙基材層の表面の平滑化層、表面樹脂層の賦形性を向上させるための層などがある。
樹脂73は、押出機70から押出され、前記紙基材層41の上に積層されて、積層シート7が準備される。
前記表面樹脂層42については、異なる樹脂の多層であってもよい。一例として、離型紙の層構成が、
紙基材層/樹脂A層/樹脂B層/〔賦形部43面〕
の構成においては、樹脂Aと樹脂Bに要求される物性が異なることがある。樹脂Bは合成皮革を製造する際に温度が上がるために耐熱性を要求されることが多く、樹脂Aは紙基材層と樹脂Bの両方に接着性が求められることが多い。また、樹脂Aは、樹脂Bほどの耐熱性が求められないため、より安価な樹脂を採用してコストを低減することもできる。
前記表面樹脂層42の多層化の方法は、図1の樹脂73を多層として、押出機70から共に押し出してもよい(不図示)。また、多層の樹脂フィルムを準備し、貼り合わせてもよい。あるいは、樹脂Aを接着性樹脂として溶融押出して、樹脂Bからなるフィルムを貼り合わせてもよい。
貼り合わせ方法は、ドライラミネート法、押出ラミネート法など、公知の種々の方法を適用することが可能である。
<小エンボスの形成工程(第1エンボス加工工程)>
積層シート7の表面樹脂層42の表面に第1賦形加工ロール72を用いた加工により小エンボスを形成する。すなわち、押出機70より樹脂73を押し出すのと同時もしくは直後に、前記積層シート7を前記押出機70の直下に位置する押圧加工ロール71と前記第1賦形加工ロール72との間で挟圧して、紙基材層41の表面へ表面樹脂層42をラミネートすることで、小エンボス44を形成することができる。前記第1エンボス加工工程を経て作製された積層シート7を図5に示す。従来技術による積層シート7と同じものであるが、本願発明の符号に読み替える。
その際に使用する前記第1賦形加工ロール72としては、前記ロール外筒表面に、エッチング、機械彫刻、ミール彫刻等の手段を用いて凹凸形状を形成されたロールや、ロール外筒表面にクロム鍍金を施した後、トラバース研削、ポリシング加工等がされたミラー系ロールや、またはロール外筒表面にウェットブラスト、ドライブラスト処理等が施されたマット系のロールなどが使用される。
なお、前記第1賦形加工ロール72の表面の性状は、この後の第2エンボス加工工程79での賦形形状等も考慮の上で、離型紙4に求められる意匠性に基づき適宜選定される。
<第1エンボス加工工程から第2エンボス加工工程への積層シートの搬送>
第1エンボス加工工程78を経た積層シート7は、第2エンボス加工工程79に送られる。第2エンボス加工工程79は大エンボス加工を行う工程である。積層シート7の搬送は、第1エンボス加工工程78から第2エンボス加工工程79を直接つないだインライン方式がある。また、第1エンボス加工工程78を完了後に積層シート7を巻き上げてロールにしてから保管し、第2エンボス加工工程79へは、前記ロールから繰り出して供給する方法である、オフライン方式がある。
従来の技術の第2エンボス加工工程79の装置では、積層シート7の上側に前記第2賦形加工ロール74が設置される。離型紙2の表面樹脂層12が前記第2賦形加工ロール74と接触するため、表面樹脂層22が紙基材層21より上側(天側)になる。このような第2エンボス加工工程79の装置構成とすること、及びこのような装置と積層シート7の位置関係にすることにより、第1エンボス加工工程78と第2エンボス加工工程79を反転装置なしに、インライン方式とすることができる。
従来の装置を利用して本願発明の離型紙4を製造する場合は、第1エンボス加工工程78(図1(a))から第2エンボス加工工程79(図1(b))に積層シート7を搬送する際に、積層シート7の表裏を反転する必要がある。
インライン方式の場合は、反転バー装置(不図示)を通過させることで、積層シート7の表裏を反転させることができる。オフライン方式では、第1エンボス加工工程78完了後に、積層シート7を巻き取りロールにした後に、第2エンボス加工工程79で、積層シート7のロールを、表裏反転して繰り出すことで、積層シート7の表裏を反転させて、第2エンボス加工工程79に供給できる。
インライン方式のメリットとしては、時間にロスがなく第2エンボス加工工程に移行できることと、樹脂73の押し出し工程の余熱があり積層シート7が高温であることから、第2賦形加工ロール74での加熱量を少なくすることができて、省エネルギーとなることである。
オフライン方式のメリットとしては、第1エンボス加工工程後にロールで保管することから、樹脂73の押し出し加工の熱を十分に冷却できることであり、離型紙4の意匠や樹脂の材質によっては、充分に冷却した方が望ましい場合がある。また、第1エンボス加工工程78と第2エンボス加工工程79の生産能力に差がある場合は、第1エンボス加工工程78完了後に、積層シート7をロールにて保管することにより、生産工程のスケジュール作成に柔軟性を持たせることができ、生産工程の効率化、コストダウンに寄与できる。
<大エンボスの形成工程(第2エンボス加工工程)>
第2エンボス加工工程について、図1及び図9を用いて説明する。前記積層シート7の紙基材層41の表面49と第2賦形加工ロール74の版面75とを重ねて、押圧加工ロール76と前記第2賦形加工ロール74との間で挟圧して、前記積層シート7に前記版面75の凹凸形状を賦形する。このとき、前記積層シート7の紙基材層41の表面49と前記第2賦形加工ロール74の版面75の少なくとも一部とが接するように、前記積層シート7に第2賦形加工ロール74を重ねて圧力を掛ける。これにより、前記積層シート7の紙基材層41に、第2賦形加工ロール74の版面75に形成された凹凸形状が賦形され、前記紙基材層41の表面樹脂層42側の面が凹凸形状に変形して、前記表面樹脂層42を押す。前記表面樹脂層42の賦形部43は、前記紙基材層41の反対側にあり、押圧加工ロール76と接触する側の面に凹凸形状を形成する。前記押圧加工ロール76は、弾性材料で作製されているか、もしくは前記第2賦形加工ロール74の版面75の凹凸形状に相当する凹凸形状を備えているため、前記表面樹脂層42の賦形部43が凹凸形状に変形することができる。
前記第2賦形加工ロール74の温度は、前記表面樹脂層42の材料となる樹脂の融点未満で融点近傍に設定され、前記押圧加工ロール76は加熱や冷却はされずに常温である。加熱された前記第2賦形加工ロール74は、前記積層シート7の紙基材層41に接触するが、前記表面樹脂層42には直接接触しない。前記第2賦形加工ロール74の高温は、紙基材層41を通過してから、前記表面樹脂層42に伝わる。また、前記表面樹脂層42の賦形部43は、常温である前記押圧加工ロール76に接することから、前記表面樹脂層42の賦形部43の温度上昇は緩やかであり、前記表面樹脂層42の賦形部43は軟化しにくい。
そのため、第2エンボス加工工程79で、積層シート7に大エンボス45を賦形しても、小エンボス44の形状が崩れることが少ないので、前記離型紙4の表面樹脂層42の賦形部43の小エンボス44は、第1エンボス加工工程78の第1賦形加工ロール72で賦形された小エンボスの形状が保持される。したがって、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程にて第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた離型紙を製造できることから、意匠性が優れた離型紙となる。
一方で大エンボスについては、本願発明では積層シート7の紙基材層41の側から第2賦形加工ロール74の版面75を押し当てることから、積層シート7の表面樹脂層42の賦形部43には、紙基材層41の収縮を経由した形状が形成されることになり、従来技術により製造した場合と比べて大エンボスの詳細な意匠形状が再現されず、より滑らかな形状となる傾向がある。しかしながら、もともとの大エンボスの詳細部分を特徴とする形状は重視されない意匠であるため、このような差異は許容される。
上記の第2エンボス加工工程79を経た後に、積層シート7は離型紙4となる。
前記押圧加工ロール76の材質は、木質系繊維からなるペーパーロール、綿花や羊毛などの天然繊維からなるウールンロール、ゴム、エラストマー等の変形しやすい柔らかい材質が選定される。また、金属、セラミック、硬質プラスチックなどの変形しづらい硬い材質でもよい。その際は、前記押圧加工ロール76の外筒面に前記第2賦形加工ロール74の版面75の凹凸形状に相当する凹凸形状を設ける。前記押圧加工ロール76の材質は、離型紙4の層構成、樹脂の種類、用途により適宜選定される。
なお、前記版面75を有する前記第2賦形加工ロール74は、シリンダー形状が基本であるが、板状としてもよい。その際は板状の賦形型と、板状の受け板で、積層シート7を挟み込み、前記積層シート7の表面樹脂層42の賦形部43に賦形する。その場合の積層シート7の搬送は、前記積層シート7の流れ方向での前記の板状の賦形型の長さを1回の送り量として、前記の板状の賦形型で加圧する動作と同期させて行う。
<剥離工程>
次に、積層シート7を第2賦形加工ロール74から剥がす。この剥離工程により、表面樹脂層42の表面に賦形部43が形成された離型紙4を得ることができる。
上記の離型紙4の製造方法における各工程では、必要に応じて、加熱工程、冷却工程及び乾燥工程等を適宜含めることができる。また、本願発明に係る離型紙4の製造方法は上記の製造方法に限定されるものではない。
<離型紙の輸送、保管>
剥離工程後に離型紙4は、ロールまたは枚葉で輸送、保管される。輸送の容易さや、後工程で多くの加工形態を選べることから、ロールの場合が多い。輸送の容易さとは、枚葉積みでの輸送は荷崩れが発生するリスクがあるが、ロールでの輸送は荷崩れが発生しにくいことである。また、多くの加工形態とは、ロールのまま後工程の加工機に供給することや、任意の寸法に裁断できることなど、選択可能なことである。
<合成皮革の製造方法>
合成皮革6の製造は、以下の手順により行われる。図10を用いて説明する。
基材層61と、前記基材層61の少なくとも一方の面に設けられた被賦形樹脂層62とを有する積層シート64を準備する工程と、前記被賦形樹脂層62に凹凸形状を形成するための離型紙4を準備する工程と、前記積層シート64の被賦形樹脂層62と前記離型紙4の表面樹脂層42とを重ね合わせて加圧する工程と、重ね合わせて加圧した後の前記離型紙4を前記積層シート64から剥がし、前記積層シート64の被賦形樹脂層62の表面に被賦形部63を形成する工程である。
まず、積層シート64と離型紙4とが準備される。前記積層シート64は、基材層61上に被賦形樹脂層62が形成されている。前記被賦形樹脂層62は、凹凸形状が設けられる以前の樹脂層である。
次に、準備された前記積層シート64の被賦形樹脂層62と、前記離型紙4の表面樹脂層42とを重ね合わせて、加圧する。
その後、重ね合わせて加圧した後の前記離型紙4を前記積層シート64から剥がし、前記積層シート7の被賦形樹脂層62の表面に被賦形部63を形成する。すなわち、前記離型紙4の賦形部43が前記被賦形樹脂層62に賦型することで、前記被賦形樹脂層62の表面に賦形部43のパターンが反転した凹凸形状を形成する。
賦形部43を備えた離型紙4の表面樹脂層42を、積層シート64の被賦形樹脂層62に重ね合わせた状態で、前記被賦形樹脂層62に賦型するための処理を施す。そうした処理としては、特に限定されず、樹脂層の材料等を考慮して処理することができる。例えば、熱を加える熱エンボス処理、熱で軟化させた樹脂を冷やしたロールで押圧するチルロールエンボス処理、紫外線で硬化して賦形形状を硬化させる処理、電子線で硬化して賦形形状を硬化させる処理等を挙げることができる。
中でも、熱を加える熱エンボス処理の場合は、紙基材層の地合いによる斑を平滑にすることができるので好ましい。
また、積層シート64の被賦形樹脂層62の材料に応じて、例えばポリビニル系樹脂を用いた場合には、ペーストコーティング法を用いることができ、ウレタン樹脂を用いた場合には、乾式処理を用いることができる。処理の温度、圧力等の条件については特に限定はなく、採用する処理及び樹脂層に含まれる樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。
図10に示すように、離型紙4を剥がすことにより、被賦形樹脂層62の表面に被賦形部63が形成された合成皮革6を得ることができる。離型紙4の剥離速度や剥離時の温度等の諸条件、並びに、剥離手段については特に限定されない。
<被賦形体の離型紙、および被賦形体の製造方法>
本願発明の離型紙は、合成皮革以外の被賦形体にも展開が可能である。被賦形体用の離型紙の製造方法は、合成皮革用と同じである。
離型紙4の剥離速度や剥離時の温度等の諸条件、並びに、剥離手段については特に限定されない。
本願発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<離型紙の作製>
<実施例>
紙基材層には、上質紙(坪量125g/m2 AKD 北越紀州製紙製)を準備した。
この紙基材層の一方の面にコロナ処理加工を行い、表面樹脂層として第1のポリプロピレン樹脂(ポリエチレンメルトブレンド サンアロマー製)を305℃で共押出機の第1押出機から、またその上に第2のポリプロピレン樹脂(ホモポリプロピレン サンアロマー製)を共押出機の第2押出機から300℃で、ラインスピード80m/分で押出し、積層シートを得た。第1のポリプロピレン樹脂は、紙基材層と第2のポリプロピレン樹脂との接着性を向上させる特性を持ち、第2のポリプロピレン樹脂は耐熱性を有する。これらの樹脂を多層化して使うことにより、層間の接着性と、耐熱性のバランスが取れた離型紙を製作できた。
次いで、直後にこの積層シートの表面に、第1賦形加工ロールで押圧して厚さ30μmの樹脂層の表面を第1エンボス加工処理し、表面樹脂層を得た。この工程が第1エンボス加工工程である。
なお、積層シートの層構成は、
上質紙(坪量125g/m2)/第1のポリプロピレン樹脂層(15μm)/第2のポリプロピレン樹脂層(15μm)/〔賦形部側〕
である。
前記積層シートをロールに巻きあげてから、第2エンボス加工工程に送る。続いて、第2エンボス加工工程にて大エンボスを賦形するための第2賦形加工ロールとして、前記第2賦形加工ロールの外筒の表面にクロス柄(布地柄)の凹凸形状が賦形された金属製エンボスロールを準備し、表面が平滑なペーパーロールから成る押圧加工ロールとの間に積層シートを誘導して、熱圧エンボスにより表面樹脂層に凹凸形状を賦形し、凹凸形状が形成された離型紙を得た。なお、今回準備した第2賦形加工ロールは、大エンボスの表面に渡って、大エンボスよりは小さく、第1賦形加工ロールの小エンボスよりは大きい凹凸形状が設けられている。この凹凸形状は、前記第2賦形加工ロールが従来技術の離型紙の製法方法で使用された際に小エンボスが無くなり、質感がミラー状になってしまうことを防止するために設けられている。この凹凸形状を第2賦形加工ロールの微細凹凸形状と呼ぶこととする。
前記第2エンボス加工工程の際には、図1に示すように、第2賦形加工ロールは前記積層シートの紙基材層の表面に接触し、前記押圧加工ロールは表面樹脂層と接触する。
加工条件は、第2賦形加工ロールの温度は120℃、エンボス加圧力は160kN/mである。この実施例サンプルをS1とする。
なお、実施例では押圧加工ロールとして、羊毛や木綿などの天然繊維からなるウールンロールを使用したが、木質系繊維からなるペーパーロールや、合成樹脂からなる合成樹脂ロールを用いてもよい。
<比較例>
実施例で準備した積層シートと同一の積層シートを準備した。積層シートの材料、厚み、第1エンボス加工工程終了までの加工工程は実施例と同一であり、第2エンボス加工工程のみが異なっている。
比較例では、実施例の積層シートを第2エンボス加工工程において、図20のように第2賦形加工ロールと前記積層シートの表面樹脂層を接触させ、紙基材層に押圧加工ロールを接触させる。前記第2賦形加工ロールと前記押圧加工ロールは、実施例と部品および配置は同一であり、積層シートの表裏面が反転しているのみである。また、エンボス加工条件も実施例と同一である。第2エンボス加工工程を終了すると、比較例の離型紙が完成した。この比較例サンプルをS2とする。
また、第1エンボス加工工程後で、第2エンボス加工工程前の積層シートのサンプルをS3とする。
作製した離型紙サンプルを、下記の項目で評価した。
1.外観観察:
目視及び顕微鏡(キーエンス VK-8710)による表面の拡大観察
2.算術平均粗さ測定:形状解析レーザ顕微鏡を使用(キーエンス VK-8710)
<外観観察>
外観観察のうち目視検査は、照度400ルクス(明るいオフィス相当)の試験環境下で、上記の手順で製作した離型紙サンプルから切り出した100mm角のサンプルを机の上に置き、被験者5名(品質管理・技術担当者)が500mm上方位置から目視して判定した。離型紙の小エンボスの均一感を主な観点として判定を行った。
また、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス VK-8710)を用いて、約140倍及び約280倍の倍率で撮影した。
撮影した顕微鏡写真について説明する。図11は本願発明の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凸部と凹部の両方写している。図12は従来の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凸部と凹部の両方を写している。図13は、第1エンボス加工工程後で、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面を写している。図14は、本願発明の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凸部を拡大して写している。図15は、本願発明の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凹部を拡大して写している。図16は、従来の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凸部を拡大して写している。図17は、従来の離型紙の顕微鏡写真であり、大エンボスの凹部を拡大して写している。
<算術平均粗さ測定>
離型紙サンプルの実施例、比較例について、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス VK-8710)で測定した。大エンボスの凸部及び大エンボスの凹部で、各々の領域のみが含まれるように測定範囲を指定して、10回測定した数値の平均である。測定範囲の指定では、他の領域にまたがらないように留意している。
上記の評価結果を表1と表2にまとめる。
Figure 0007155695000001
Figure 0007155695000002
表1では、本願発明の離型紙(サンプルS1)の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面粗さRaは1.1μmであり、前記表面樹脂層の大エンボスの凹部の表面粗さRaは1.3μmである。前記大エンボスの凸部と凹部の表面粗さがほぼ同じのため、離型紙の表面樹脂層の表面に渡り、小エンボスによる光沢感に均一感がある。
従来の離型紙(サンプルS2)の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面粗さRaは1.2μmであり、前記表面樹脂層の大エンボスの凹部の表面粗さRaは6.0μmである。前記大エンボスの凸部と凹部の表面粗さが異なるため、離型紙の表面樹脂層の表面に渡り、小エンボスによる光沢感に均一感がない。
第1エンボス加工工程後で第2エンボス加工工程前の積層シート(サンプルS3)の表面樹脂層の表面粗さRaは1.0μmである、この粗さは、従来の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面粗さ、本願発明の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面粗さ、前記大エンボスの凹部の表面粗さとほぼ同一である。それらの3種類の箇所の表面粗さは、第2エンボス加工工程にて大エンボスを賦形後も、第1エンボス加工工程で賦形された小エンボスが残っていることを示している。
従来の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凹部の表面粗さは、第1エンボス加工工程後で第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面粗さと比較してかなり粗いことから、第2エンボス加工工程で小エンボスに代わり第2加工ロールの微細凹凸形状が賦形されていることを示している。
上記の測定結果より、従来の離型紙では表面樹脂層の小エンボスは不均一であり、本願発明の離型紙では表面樹脂層の小エンボスはほぼ均一であり、第1エンボス加工工程の第1賦形加工ロールの小エンボスが保持されていることが分かる。
表2では、離型紙サンプルの顕微鏡写真を観察した結果をまとめている。
従来の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面形状(図16)、本願発明の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部の表面形状(図14)、本願発明の前記表面樹脂層の大エンボスの凹部の表面形状(図15)は、第1エンボス加工工程後かつ第2エンボス加工工程前の積層シートの表面性状(図13)とほぼ同じである。従来の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部、本願発明の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凸部及び前記大エンボスの凹部の表面性状は、第2エンボス加工工程にて大エンボスを賦形後も、第1エンボス加工工程で賦形された小エンボスが残っていることを示している。
従来の離型紙の表面樹脂層の大エンボスの凹部の表面性状(図17)は、第1エンボス加工工程後かつ第2エンボス加工工程前の積層シートの表面性状(図13)とは異なり、上に記載した他の3か所の表面粗さよりも粗いことから、第2エンボス加工工程で小エンボスがほとんどの部分でつぶれてしまっており、それに代わり第2加工ロールの微細凹凸形状が賦形されていることを示している。
上記の観察結果より、従来の離型紙では表面樹脂層の小エンボスは不均一であり、本願発明の離型紙では表面樹脂層の小エンボスはほぼ均一であり、第1エンボス加工工程の第1賦形加工ロールの小エンボスが保持されていることが分かる。
本願発明では、当初に想定していた質感を有する、すなわち第1エンボス加工工程において第1賦形加工ロールで賦形された小エンボスを備えた離型紙を製造できることから、意匠性が優れた離型紙を提供できる。
表1によると、意匠性が優れる本願発明の離型紙の表面粗さは大エンボスの凹部で1.3μm、大エンボスの凸部で1.1μmである。なお、顕微鏡写真の観察から、前記表面粗さの元となる小エンボスの賦形由来は第1賦形加工ロールの外筒面の形状であることが分かっている。第1エンボス加工工程後かつ第2エンボス加工工程前の積層シートの表面は、第1賦形加工ロールの小エンボスが賦形された積層シートの形状であり、サンプルNo.S3が該当する。
表1によると、サンプルNo.S3の表面樹脂層の表面粗さは1.0μmなので、本願発明の離型紙の表面粗さも1.0μmになる可能性があると考えられる。今回測定した本願発明の離型紙の大エンボスの凸部の表面粗さの値1.1μmは上記の数値よりやや粗く、測定誤差や第2エンボス加工工程で小エンボスが第2賦形加工ロールの微細凹凸形状の影響を受けた可能性も考えられる。
したがって、本願発明の離型紙の大エンボスの凸部と、大エンボスの凹部の表面粗さの差は0.3μmとみなすことができ、前記の2つの表面粗さの差が0.3μm小さければ、小エンボスが離型紙の略全面に渡ってほぼ均一である離型紙を得ることができる。
また、小エンボスの均一感の別の判断として、離型紙の表面の各部分の表面粗さの大きさの差の比率が一つの判断基準の数値となる。
前段落で説明したように、意匠性が優れる本願発明の離型紙の大エンボスの凹部の表面粗さは1.3μm、前記大エンボスの凸部の表面粗さは1.0μmになると考えられる。したがって、本願発明の離型紙の大エンボスの凸部と凹部の表面粗さの比率は、小さいほうの数値を基準として最大値は133%となり、33%以内の違いであれば、小エンボスが離型紙の略全面に渡ってほぼ均一である離型紙を得ることができる。
さらに、第1エンボス加工工程後かつ第2エンボス加工工程前の積層シートの表面形状が、第2エンボス加工工程後でも小エンボスとしての残り、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感を保有していることが観察された。第1エンボス加工工程で賦形された小エンボスが、第2エンボス加工工程後でも保持されているため、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感が保たれる。
また、第2エンボス加工工程で、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の小エンボスが変形させられたとしても、表1のように離型紙の表面樹脂層の表面粗さが1.3μm以下に収まれば、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感が失われない。第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層樹脂の表面粗さは1.0μmであり、第2エンボス加工前の小エンボスの表面粗さを基準として、第2エンボス加工工程後の大エンボスの凹部の表面粗さが0.3μm以内の違いであれば、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感は保たれる。
また、前段落の表面粗さの均一感の別の判断として、離型紙の表面樹脂層の表面粗さの最大値と第2エンボス加工前の小エンボスの表面粗さの比率が、判断基準となる。
前段落で説明したように、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面の表面粗さは1.0μmであり、離型紙の表面樹脂層の表面の表面粗さの最大値が1.3μm以下では、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感は保たれる。
したがって、本願発明の離型紙の表面樹脂層の表面の表面粗さの最大値と第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面の表面粗さの比率は、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面の表面粗さを基準として最大値は133%となる。すなわち、第2エンボス加工工程前の積層シートの表面樹脂層の表面の表面粗さを基準として、第2エンボス加工工程後の離型紙の表面粗さと33%以内の違いであれば、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感は保たれる。
本願発明の離型紙によれば、大エンボスの面に沿って小エンボスを備える離型紙において、離型紙の略全面に渡って表面粗さの均一感は保たれる。また、本願発明の離型紙を用いて、意匠性が優れる被賦形体及び合成皮革を製造することができる。
1 離型紙(従来品)
11 紙基材層(従来品)
12 表面樹脂層(従来品)
13 賦形部(従来品)
14 平滑化層
2 離型紙(従来品)
21 紙基材層(従来品)
22 表面樹脂層(従来品)
23 賦形部(従来品)
24 小エンボス(従来品)
25 大エンボス(従来品)
26 遷移部(従来品)
27 大エンボスの凹部(従来品)
28 大エンボスの凸部(従来品)
29 紙基材層表面(従来品)
4 離型紙(本願発明)
41 紙基材層(本願発明)
42 表面樹脂層(本願発明)
43 賦形部(本願発明)
44 小エンボス(本願発明)
45 大エンボス(本願発明)
46 遷移部(本願発明)
47 大エンボスの凹部(本願発明)
48 大エンボスの凸部(本願発明)
49 紙基材層表面(本願発明)
5 被賦形体
51 基材層(被賦形体)
52 被賦形樹脂層(被賦形体)
53 被賦形部(被賦形体)
54 大エンボス(被賦形体)
55 小エンボス(被賦形体)
6 合成皮革
61 基材層(合成皮革)
62 被賦形樹脂層(合成皮革)
63 被賦形部(合成皮革)
64 積層シート(合成皮革)
65 大エンボス(合成皮革)
66 小エンボス(合成皮革)
7 積層シート
70 押出機
71 押圧加工ロール(第1エンボス加工工程用)
72 第1賦形加工ロール
73 樹脂
74 第2賦形加工ロール
75 版面
76 押圧加工ロール(第2エンボス加工工程用)
77 鏡面加工ロール
78 第1エンボス加工工程
79 第2エンボス加工工程
9 大エンボス(第2賦形加工ロール)
91 大エンボスの凸部(第2賦形加工ロール)
92 大エンボスの凹部(第2賦形加工ロール)
93 遷移部(第2賦形加工ロール)
S1 本願発明の離型紙のサンプル
S2 従来の技術による離型紙のサンプル
S3 第1エンボス加工工程後で、第2エンボス加工工程前の積層シートのサンプル

Claims (11)

  1. 紙基材層と、
    前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を積層した積層シートから離型紙を製造する方法であって、
    前記表面樹脂層に予め小エンボス加工がされた積層シートを供給する工程と、
    前記紙基材層の面に賦形加工ロールを押し当て、かつ前記表面樹脂層の面に押圧加工ロールを押し当てて、挟圧することで前記積層シートに大エンボス加工を施す工程と、
    を備えることを特徴とする離型紙の製造方法。
  2. 前記賦形加工ロールは加熱され、前記押圧加工ロールは常温であることを特徴とする請求項1の離型紙の製造方法。
  3. 紙基材層と、
    前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を積層した積層シートから離型紙を製造する方法であって、
    前記紙基材層の一方の面に前記表面樹脂層を形成させた積層シートを製造する工程と、
    前記積層シートを製造する工程と同時もしくは直後に、前記表面樹脂層の表面に小エンボスの形状を賦形するための第1賦形加工ロールの版面を重ねて前記表面樹脂層の表面に小エンボスの形状を賦形する第1エンボス加工工程と、
    前記小エンボスの形状を賦形する工程の後に、前記積層シートの前記紙基材層の表面に前記小エンボスの形状より大きい形状である大エンボスの形状を賦形するための第2賦形加工ロールの版面を重ねて、かつ前記表面樹脂層の面に押圧加工ロールを押し当てて、挟圧することで前記小エンボスよりも大きい形状の大エンボスの形状を前記積層シートに賦形する第2エンボス加工工程と、
    上記の工程を経て凹凸形状が賦形された前記積層シートである前記離型紙を前記第2賦形加工ロールから剥がす工程と、
    を備えることを特徴とする離型紙の製造方法。
  4. 前記第2賦形加工ロールは加熱されており、前記押圧加工ロールは常温であることを特徴とする請求項3の離型紙の製造方法。
  5. 紙基材層と、
    前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を設けた離型紙であって、
    前記紙基材層には大エンボスが形成されており、
    前記紙基材層の大エンボスの形状に沿った表面樹脂層の表面には前記大エンボスの大きさよりも小さなエンボス形状である小エンボスが形成され、
    前記小エンボスは前記表面樹脂層の表面に沿って形成され
    前記大エンボスの凸部に形成される小エンボスの表面粗さと、前記大エンボスの凹部に形成される小エンボスの表面粗さとの差が、0.3μm以内であることを特徴とする離型紙。
  6. 紙基材層と、
    前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を設けた離型紙であって、
    前記紙基材層には大エンボスが形成されており、
    前記紙基材層の大エンボスの形状に沿った表面樹脂層の表面には前記大エンボスの大きさよりも小さなエンボス形状である小エンボスが形成され、
    前記小エンボスは前記表面樹脂層の表面に沿って形成され、
    前記大エンボスの凸部に形成される小エンボスの表面粗さと、前記大エンボスの凹部に形成される小エンボスの表面粗さの差が、上記の2つの表面粗さの数値の小さい方の数値を基準として33%以内であることを特徴とする離型紙。
  7. 紙基材層と、
    前記紙基材層の一方の面に表面樹脂層を設けた離型紙であって、
    前記紙基材層には大エンボスが形成されており、
    前記紙基材層の大エンボスの形状に沿った表面樹脂層の表面には前記大エンボスの大きさよりも小さなエンボス形状である小エンボスが形成され、
    前記小エンボスは前記表面樹脂層の表面に沿って形成され、
    前記小エンボスの形状を賦形する第1エンボス工程の後に、第2エンボス加工工程にて賦形される前記小エンボスよりも大きい形状の前記大エンボスが形成され、
    前記大エンボスを賦形した後の小エンボスは、前記大エンボスを賦形する前の小エンボスの形状に近似していることを特徴とする離型紙。
  8. 前記大エンボスを賦形した後の小エンボスの表面粗さと、前記大エンボスを賦形する前の小エンボスの表面粗さの差が、0.3μm以内であることを特徴とする請求項に記載の離型紙。
  9. 前記大エンボスを賦形した後の小エンボスの表面粗さと、前記大エンボスを賦形する前の小エンボスの表面粗さの差が、上記の2つの表面粗さの数値の小さい方の数値を基準として33%以内であることを特徴とする請求項に記載の離型紙。
  10. 請求項5からまでのいずれか1項に記載された離型紙の凹凸形状が、被賦形樹脂層の表面に賦形された被賦形体。
  11. 請求項5からまでのいずれか1項に記載された離型紙の凹凸形状が、被賦形樹脂層の表面に賦形された合成皮革。
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