JP2019077158A - 化粧シート、化粧板、化粧シートの製造方法、化粧板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、製造コストの増大を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧シート、化粧シートの製造方法、化粧板、化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、化粧シートと、加熱加圧成形により前記原紙の他方の面に一体化された基材と、を備えることを特徴とする化粧板である。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、原紙と、前記原紙の一方の面に積層された絵柄模様層と、前記原紙の他方の面に一体化された基材と、化粧板の製造方法であって、前記原紙に熱硬化性樹脂を含浸させる熱硬化性樹脂含浸工程と、前記熱硬化性樹脂含浸工程で熱硬化性樹脂を含浸させた原紙を前記基材に積層して加熱加圧成形して、前記原紙と前記基材とを一体化する一体化工程と、を含むことを特徴とする。
このため、製造コストの増加を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧シート、化粧シートの製造方法、化粧板、化粧板の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(化粧シートの構成)
図1を用いて、化粧シート1の構成について説明する。
図1中に表すように、化粧シート1(化粧板用化粧紙)は、原紙2と、絵柄模様層4を備えている。
図1を参照して、原紙2の詳細な構成を説明する。
原紙2は、樹脂の含浸が可能な、吸水性の良い紙等の繊維質シート状体を用いて形成されている。
原紙2の材料としては、例えば、薄葉紙、チタン紙、上質紙、晒クラフト紙、未晒クラフト紙等を用いることが可能である。特に、印刷適性と樹脂含浸適性の両面で優れたチタン紙が、原紙2の材料としては最も好適である。また、後述する基材6の表面の質感を活用する場合等には、樹脂の含浸により透明化する性質を有する紙として、透明紙を用いることが可能である。
原紙2の厚さは、特に制約するものではないが、例えば、坪量20[g/m2]以上200[g/m2]以下の範囲内に設定する。
原紙2に含浸する熱硬化性樹脂としては、化粧シート1の製造用として使用されている公知の樹脂を用いることが可能である。すなわち、原紙2に含浸する熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂等を用いることが可能である。これらの熱硬化性樹脂は、一般に、水中に溶解、または、水中に分散した水系含浸液の形で、原紙2に含浸する。
原紙2に対する熱硬化性樹脂の含浸は、絵柄模様層4を形成した原紙2に対し、原紙2の一方の面の側から行っても良いし、原紙2の他方の面の側から行っても良い。
また、原紙2に対する熱硬化性樹脂の含浸は、原紙2の片面のそれぞれに対して、二回に分けて含浸させてもよく、また、原紙2の両面から同時に含浸させても良い。また、予め樹脂を含浸・乾燥させた樹脂含浸オーバーレイシートを使用しても良い。
原紙2に対する熱硬化性樹脂の含浸率(含浸後の重量に占める含浸樹脂の重量の比率)は、例えば、20[%]以上80[%]以下の範囲内とすることが可能であり、中でも、40[%]以上70[%]以下の範囲内が最も望ましい。また、物性に優れた化粧シート1を得るためには、原紙2の全体に対し、均一に熱硬化性樹脂が含浸されることが重要である。
図1を参照して、絵柄模様層4の詳細な構成を説明する。
絵柄模様層4は、化粧シート1に絵柄を付与する層であり、図1中に表すように、原紙2の一方の面に積層されている。
絵柄模様層4が形成する絵柄模様の種類には、特に制約はなく、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字、記号等を単独で、または、二種類以上を組み合わせて形成してもよい。
また、絵柄模様層4は、昇華性物質を含む昇華性物質保有部4aと、昇華性物質を含まない昇華性物質非保有部4bを有する。すなわち、絵柄模様層4の少なくとも一部は、昇華性物質を含む。
また、昇華性物質保有部4aは、所望の絵柄模様の中で、艶消状、または、艶状の質感を表現する箇所等に形成する。なお、昇華性物質保有部4aは、無色であっても着色であってもよい。
昇華性物質保有部4aが形成する絵柄模様の種類には、特に制約は無く、昇華性物質非保有部4bが形成する絵柄模様と同調していても非同調であっても良いが、一般的には、同調させた方が、より意匠性に優れた化粧シート1を得ることが可能である。
昇華性物質保有部4aに添加する昇華性物質(昇華性固体)としては、例えば、ナフタレン系、アントラセン系、トリアゾール系、トリアジン系等を使用することが可能である。
昇華性物質保有部4aに添加する昇華性物質の添加量は、0.05質量[%]以上40質量[%]以下の範囲内に設定することが、最も好適である。
昇華性物質非保有部4bは、原紙2の一方の面に配置されている。
また、昇華性物質非保有部4bは、撥液性を有しない通常の印刷インキを使用して、通常の印刷方法で形成することが可能である。
昇華性物質非保有部4bを形成する印刷インキの種類には、特に制約は無く、油性インキであっても水性インキであっても良いが、樹脂含浸適性を考慮すると、水性インキを使用することが望ましい。これは、水性インキは、油性インキと比較して含浸樹脂の水溶液との馴染みが良く、後の含浸工程において、迅速且つ均一に含浸可能であり、さらに、含浸樹脂との一体化によって、優れた強度を発現することが可能であることに起因する。
エマルジョン樹脂としては、例えば、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ウレタン系等を用いることが可能である。
また、昇華性物質非保有部4bを形成する水性インキとしては、例えば、ラテックス樹脂を主成分とするバインダー樹脂を用いてもよい。この場合、ラテックス樹脂としては、例えばスチレン−ブタジエン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等を用いることが可能である。
また、下地着色を目的としてベタインキ層を設ける場合には、ベタインキ層の形成方法として、上記各種の印刷方法の他に、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法、リップコート法、ダイコート法等、任意のコーティング方法を用いることが可能である。
図1を参照しつつ、図2を用いて、化粧板10の製造方法を説明する。
図2中に表すように、化粧板10(樹脂含浸化粧板)は、化粧シート1と、基材6と、樹脂層8を備えている。
基材6は、化粧シート1のうち、原紙2の他方の面に一体化されている。
基材6を原紙2に一体化する際には、例えば、化粧シート1を基材6に載置し、化粧シート1の表面に金属板(鏡面板)を載置して、加熱加圧成形する。
基材6の種類には、特に制約は無く、目的とする化粧板10の用途に応じて任意である。したがって、基材6としては、例えば、木質基材、繊維質基材、無機質基材、金属基材、合成樹脂基材等を単独で、または、二種以上の複合体または積層体等を適宜使用することが可能である。
繊維質基材としては、板紙、織布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布等を用いることが可能である。
無機質基材としては、石膏ボード、スレート板、珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量気泡コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板等を用いることが可能である。
合成樹脂基材としては、アクリル樹脂板、スチロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、ナイロン樹脂板、ポリスチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、ポリエステル樹脂板、ガラス繊維強化プラスチック板等を用いることが可能である。
基材6上に化粧シート1を積層する際には、必要に応じて適宜選択した接着剤を介して積層しても良いし、接着剤等を介さずに直接積層しても良い。また、必要に応じて、メラミン樹脂化粧板等における構成と同様、コア紙を介して積層することも可能である。
もっとも、必要に応じて、所望する任意の艶消状、テクスチャー状の金属板、金属製無端ベルト硬化型樹脂等で作製されたエンボスシートを使用することによって、所望する任意の表面仕上げ状態である化粧板10を得ることも可能である。
図1を参照して、化粧シート1の製造方法を説明する。
化粧シート1の製造方法は、原紙2と、原紙2の一方の面に積層された絵柄模様層4を備える化粧シート1を形成する方法であり、昇華性物質印刷工程を含む。
昇華性物質印刷工程は、絵柄模様層4の少なくとも一部に、昇華性物質を印刷する工程である。
昇華性物質印刷工程では、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等、任意の印刷方法を用いて、絵柄模様層4の少なくとも一部に、昇華性物質を印刷する。
図2を参照して、化粧板10の製造方法を説明する。
化粧板10の製造方法は、原紙2と、原紙2の一方の面に積層された絵柄模様層4と、原紙2の他方の面に一体化された基材6を備える化粧板10を形成する方法であり、熱硬化性樹脂含浸工程と、一体化工程を含む。
熱硬化性樹脂含浸工程は、原紙2に熱硬化性樹脂を含浸させる工程である。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
第一実施形態の化粧シート1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)原紙2と、原紙2の一方の面に積層された絵柄模様層4を備え、絵柄模様層4の少なくとも一部が、昇華性物質を含む。
このため、化粧シート1を基材6に積層して加熱加圧成形する際に、昇華性物質が昇華することで、成形された化粧板10の上に、表面凹凸がある部分と、表面凹凸がない部分とを設けて、グロスマット表現を行うことが可能となる。
その結果、製造コストの増加を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧シート1を提供することが可能となる。
また、第一実施形態の化粧板10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
このため、化粧シート1を基材6に積層して加熱加圧成形する際に、昇華性物質が昇華することで、成形された化粧板10の上に、表面凹凸がある部分と、表面凹凸がない部分とを設けて、グロスマット表現を行うことが可能となる。
その結果、製造コストの増加を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧板10を提供することが可能となる。
また、第一実施形態の化粧シート1の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
このため、化粧シート1を基材6に積層して加熱加圧成形する際に、昇華性物質が昇華することで、成形された化粧板10の上に、表面凹凸がある部分と、表面凹凸がない部分とを設けて、グロスマット表現を行うことが可能となる。
その結果、製造コストの増加を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧シート1の製造方法を提供することが可能となる。
また、第一実施形態の化粧板10の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
このため、化粧シート1を基材6に積層して加熱加圧成形する際に、昇華性物質が昇華することで、成形された化粧板10の上に、表面凹凸がある部分と、表面凹凸がない部分とを設けて、グロスマット表現を行うことが可能となる。
その結果、製造コストの増加を抑制するとともにグロスマット表現が可能な、化粧板10の製造方法を提供することが可能となる。
(実施例1)
実施例1の化粧板10は、以下の構成を有する(図2を参照)。
原紙2は、吸水性の良い坪量80[g/m2]の化粧紙用チタン紙を用いて形成した。
昇華性物質非保有部4bは、カゼインを主成分とした水性インキを使用して、ダイレクトグラビア印刷方式によって木目模様を印刷することで形成した。
昇華性物質保有部4aは、昇華性物質非保有部4bを形成した後に、インラインで昇華性物質である水性インキを使用し、ダイレクトグラビア印刷方式によって、昇華性物質非保有部4bの木目模様と同調した導管模様状に塗工して形成した。昇華性物質保有部4aに使用した水性インキには、140[℃]で昇華するアミノトリアゾール系物質を、10.0質量[%]含有するインキを用いた。
さらに、化粧シート1を、パーティクルボードを用いて形成した基材6の上に載せ、化粧シート1の表面に鏡面板を当接させて加熱加圧成形硬化させることで、化粧板10を形成した。
実施例2の化粧シート1は、昇華性物質保有部4aが含む昇華性物質を、200[℃]で昇華するベンゾトリアゾール系物質とした点を除き、実施例1の化粧シート1と同様の構成である。
(実施例3)
実施例3の化粧シート1は、昇華性物質保有部4aが含む昇華性物質を、100[℃]で昇華する安息香酸系物質とした点を除き、実施例1の化粧シート1と同様の構成である。
(実施例4)
実施例4の化粧シート1は、昇華性物質保有部4aが含む昇華性物質を、290[℃]で昇華するトリアジン系物質とした点を除き、実施例1の化粧シート1と同様の構成である。
比較例1の化粧シートは、昇華性物質保有部が含む昇華性物質を、60[℃]で昇華するヨウ素とした点を除き、実施例1の化粧シート1と同様の構成である。
(比較例2)
比較例2の化粧シートは、昇華性物質保有部が含む昇華性物質を、320[℃]で昇華するテレフタル酸系物質とした点を除き、実施例1の化粧シート1と同様の構成である。
実施例1から実施例4の化粧板10と、比較例1及び比較例2の化粧板に対し、それぞれ、加熱加圧成形後に表面凹凸の艶差によって発現されるグロスマット表現の程度について、性能評価を行った。評価結果は、表1中に表す。
表1中に表されるように、実施例1はグロスマット表現が良好(表中に「◎」で示す)であり、実施例2は軽微なグロスマット表現が可能(表中に「○」で示す)であることが確認された。また、実施例3及び実施例4は、極軽微なグロスマット表現が可能(表中に「△」で示す)であることが確認された。
一方、比較例1は、昇華性物質保有部が含む昇華性物質が、印刷工程、または、乾燥工程で昇華したため、グロスマット表現が不可能(表中に「×」で示す)であることが確認された。また、比較例2は、昇華性物質保有部が含む昇華性物質が、いずれの工程でも昇華せず、グロスマット表現が不可能(表中に「×」で示す)であることが確認された。
したがって、実施例1から実施例4の化粧板10は、比較例1及び比較例2の樹脂含浸化粧よりも、グロスマット表現の程度が良好であることが確認された。
Claims (7)
- 原紙と、
前記原紙の一方の面に積層された絵柄模様層と、を備える化粧シートであって、
前記絵柄模様層の少なくとも一部は、昇華性物質を含むことを特徴とする化粧シート。 - 前記絵柄模様層は、前記昇華性物質を含む昇華性物質保有部と、前記昇華性物質を含まない昇華性物質非保有部と、を有し
前記昇華性物質非保有部が形成する模様の位置と、前記昇華性物質保有部が形成する模様の位置と、が同調していることを特徴とする請求項1に記載した化粧シート。 - 前記昇華性物質は、100℃以上290℃以下の範囲内で昇華する結晶体を含有していることを特徴とする請求項2に記載した化粧シート。
- 前記原紙は、熱硬化性樹脂を含浸していることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した化粧シート。
- 請求項4に記載した化粧シートと、加熱加圧成形により前記原紙の他方の面に一体化された基材と、を備えることを特徴とする化粧板。
- 原紙と、前記原紙の一方の面に積層された絵柄模様層と、を備える化粧シートの製造方法であって、
前記絵柄模様層の少なくとも一部に、昇華性物質を印刷する昇華性物質印刷工程を含むことを特徴とする化粧シートの製造方法。 - 原紙と、前記原紙の一方の面に積層された絵柄模様層と、前記原紙の他方の面に一体化された基材と、化粧板の製造方法であって、
前記原紙に熱硬化性樹脂を含浸させる熱硬化性樹脂含浸工程と、
前記熱硬化性樹脂含浸工程で熱硬化性樹脂を含浸させた原紙を前記基材に積層して加熱加圧成形して、前記原紙と前記基材とを一体化する一体化工程と、を含むことを特徴とする化粧板の製造方法。
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