JP2018049044A - ペリクル用支持枠及びペリクル並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低発塵性と高耐光性を兼ね備えたペリクル用支持枠であって、露光光源に短波長レーザーを用いた場合であってもヘイズが生成しない程度にまで、イオン溶出量を極限にまで低減したペリクル用支持枠及び当該ペリクル用支持枠を用いたペリクル並びにその効率的な製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材と、当該フレーム材の表面に形成された陽極酸化皮膜と、当該陽極酸化皮膜の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層と、を有すること、を特徴とするペリクル用支持枠。【選択図】図1

Description

本発明は、LSI及び超LSI等の半導体装置及び液晶パネルの製造において、リソグラフィ工程で使用されるフォトマスクやレティクルに異物が付着するのを防止するペリクル用支持枠及びペリクル並びにその製造方法に関し、より具体的には、イオン溶出量を極限まで低減したペリクル用支持枠及びペリクル並びにその製造方法に関する。
LSI及び超LSI等の半導体装置や液晶パネルは、半導体ウエハや液晶用原版に光を照射することでパターンが形成される(リソグラフィによるパターン形成)。ここで、ゴミが付着した露光原版を用いた場合は当該ゴミが光を吸収及び/又は反転するため、パターンが良好に転写されない(例えば、パターンの変形やエッジの不明瞭)。その結果、半導体装置や液晶パネルの品質及び外観等が損なわれ、性能や製造歩留まりの低下が生じてしまうという問題があった。
このため、リソグラフィに関する工程は通常クリーンルームで行われるが、当該環境下においても露光原版へのゴミの付着を完全に防止することはできないため、露光原版の表面にゴミよけのためのペクリルが設けられるのが一般的である。ペクリルはペクリル枠及び当該ペクリル枠に張設したペクリル膜から構成され、露光原版の表面に形成されたパターン領域を囲むように設置される。リソグラフィ時に焦点を露光原版のパターン上に合わせておけば、ペクリル膜にゴミが付着した場合であっても、当該ゴミが転写に影響することはない。
近年、LSIのパターンは微細化が急速に進んでおり、これに応じて露光光源の短波長化が進んでいる。具体的には、これまで主流であった、水銀ランプによるg線(波長:436nm)、i線(波長:365nm)から、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)及びFエキシマレーザー(波長:157nm)等に移行しつつある。
これらの短波長の露光光源は高出力であり、光のエネルギーが高いことから、ペリクルを形成するアルミニウム材の表面の陽極酸化皮膜に硫酸やリン酸等の無機酸が残存すると、露光雰囲気中に残存するアンモニア等の塩基性物質と反応して硫酸アンモニウム等の反応生成物(ヘイズ)を形成し、当該反応生成物がペリクルにくもりを生じさせてパターン転写像に影響を与える問題がある。
これに対し、例えば、特許文献1(特開2010−237282号公報)においては、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム材で形成され、光学的薄膜体を備えてペリクルとして使用されるペリクル用支持枠の製造方法であって、酒石酸を含んだアルカリ性水溶液を用いた陽極酸化処理によりアルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、有機系染料を用いて染色処理した後、水蒸気により封孔処理すること、を特徴とするペリクル用支持枠の製造方法、が開示されている。
上記特許文献1に記載のペリクル用支持枠の製造方法においては、ヘイズの最大原因物質である硫酸を用いることなく、酒石酸を含んだアルカリ性水溶液を用いてアルミニウム材を陽極酸化することで、耐食性及び耐久性に優れながら、ヘイズの発生を可及的に低減したペリクル用支持枠を得ることができる、とされている。
また、特許文献2(特開平07−43892号公報)においては、ペリクル枠の側面又は全面に、電着塗装法により塗料をコーティングしてなることを特徴とするペリクル、が開示されている。
上記特許文献2に記載のペリクルにおいては、ペリクル枠の側面又は全面に電着塗装法で塗料をコーティングしていることから、当該塗膜はアルマイト層のような凹凸や多孔質ではなく、コーティング表面は均一で滑らかであることから、ペリクルの輸送や移動による発塵が完全に防止される、とされている。
特開2010−237282号公報 特開平07−43892号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているペリクル用支持枠の製造方法によって得られるペリクル用支持枠においてもイオンの溶出を完全に抑制することはできず、昨今の半導体製造等で必要となる微細パターンの形成に関しては、更なるイオン溶出量の低減が求められている。
また、上記特許文献2に記載されているペリクルに関しても、製造工程におけるpH調整等に酢酸や乳酸等のアニオン添加が必要となる。当該添加によって塗膜中にアニオンが残存してしまうことから、ペリクル全体としてのイオン溶出量の低減には限界がある。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、低発塵性と高耐光性を兼ね備えたペリクル用支持枠であって、露光光源に短波長レーザーを用いた場合であってもヘイズが生成しない程度にまで、イオン溶出量を極限にまで低減したペリクル用支持枠及び当該ペリクル用支持枠を用いたペリクル並びにその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、ペリクル用支持枠及び当該ペリクル用支持枠を用いたペリクル並びにその効率的な製造方法について鋭意研究を重ねた結果、ペリクル用支持枠の最表面にフッ素樹脂コーティング層を形成させることが極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材と、
前記フレーム材の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層と、を有すること、
を特徴とするペリクル用支持枠を提供する。
フレーム材の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層は、フッ素元素と炭素鎖とから構成される熱可塑性ポリマーであり、耐熱性及び難付着性等における優れた特性を兼ね備えている為、発塵とイオンの溶出とを極めて効果的に抑制することができる。
また、本発明のペリクル用支持枠においては、
前記フレーム材と、
前記フレーム材の表面に形成された陽極酸化皮膜と、
前記陽極酸化皮膜の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層と、
を有していることが好ましい。
イオン溶出量を低減させた陽極酸化皮膜の表面にフッ素樹脂コーティング層を形成させることで、アニオンの溶出量を効果的に抑制することができる。加えて、上述のとおり、当該フッ素樹脂コーティング層は、フッ素元素と炭素鎖とから構成される熱可塑性ポリマーであり、耐熱性及び難付着性等における優れた特性を兼ね備えている。
また、本発明のペリクル用支持枠においては、明度指数L値が50以下であること、が好ましい。黒色化によりペリクル用支持枠の明度指数L値(ハンターの色差式による明度指数)を50以下とすることで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができる。
ペリクル用支持枠の黒色化には、例えば、染料、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることができるが、有機染料を用いた場合、高いエネルギーの光がペリクル用支持枠に照射されると当該有機染料が化学変化して色調変化や脱色が生じる虞がある。よって、耐光性付与の観点からは、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることが好ましい。
更に、本発明のペリクル用支持枠においては、
80℃の純水に4時間浸漬させて溶出したイオン濃度を測定するイオン溶出試験において、表面積100cmあたりの純水100ml中への溶出濃度が、酢酸イオン0.2ppm以下、ギ酸イオン0.2ppm以下、シュウ酸イオン0.2ppm以下、硫酸イオン0.1ppm以下、硝酸イオン0.2ppm以下、亜硝酸イオン0.2ppm以下、塩素イオン0.2ppm以下、リン酸イオン0.1ppm以下、及びアンモニウムイオン0.1ppm以下であること、が好ましい。ペリクル用支持枠のイオン溶出量をこれらの値に抑えることで、リソグラフィ中のヘイズ発生を略完全に抑制することができる。
また、本発明は、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材に陽極酸化処理を施す第一工程と、
前記陽極酸化処理によって形成された陽極酸化皮膜の表面にフッ素樹脂コーティング処理を施す第二工程と、を有すること、
を特徴とするペリクル用支持枠の製造方法も提供する。
本発明のペリクル用支持枠の製造方法においては、フレーム材に陽極酸化処理を施し、更にフッ素樹脂コーティング処理施すことにより製造することができる。より具体的には、フッ素樹脂塗料をペリクル用支持枠の表面に塗布又は含浸させて安定化させた後、適当な温度で焼付処理することでフッ素樹脂コーティング層を形成させることができる。当該フッ素樹脂コーティング処理は、スプレー塗装法を用いることが望ましい。また、陽極酸化処理とフッ素樹脂コーティング処理との間にプライマー処理を施すことで、密着性を向上させることができる。しかしプライマーはフッ素樹脂より短波長レーザー等を照射した際に劣化しやすいため、当該プライマー処理を施さないことでプライマー劣化によるコンタミ発生を抑制することができる。
本発明のペリクル用支持枠の製造方法においては、更に、顔料、自然発色及び電解着色のうちの少なくとも一つによって、明度指数L値を調整する発色工程を有すること、が好ましい。当該発色工程によって明度指数L値を低下させることで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができるペリクル用支持枠を得ることができる。ここで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等の観点からは、黒色化により明度指数L値を50以下とすること、が好ましい。
更に、本発明は、
上述の本発明のペリクル用支持枠と、
前記ペリクル用支持枠に支持されたペリクル膜と、
を有するペリクル、も提供する。
本発明のペリクル用支持枠は、低発塵性と高耐光性を兼ね備え、イオン溶出量が極限にまで低減されていることから、本発明のペリクル用支持枠を用いた本発明のペリクルは、露光光源に短波長レーザーを用いたリソグラフィに好適に用いることができる。
本発明によれば、低発塵性と高耐光性を兼ね備えたペリクル用支持枠であって、露光光源に短波長レーザーを用いた場合であってもヘイズが生成しない程度にまで、イオン溶出量を極限にまで低減したペリクル用支持枠及び当該ペリクル用支持枠を用いたペリクル並びにその効率的な製造方法を提供することができる。
本発明のペリクル用支持枠の概略断面図である。 本発明のペリクル枠を用いて構成された本発明のペリクルの一例を示す概略断面図である。 本発明のペリクル枠の一例を示す概略平面図である。
以下、図面を参照しながら本発明のペリクル用支持枠及びペリクル並びにその製造方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
1.ペリクル用支持枠
本発明のペリクル用支持枠の概略断面図を図1に示す。ペリクル用支持枠1においては、フレーム材2の表面に陽極酸化皮膜4が形成され、陽極酸化皮膜4の表面にフッ素樹脂コーティング層6が形成されている。
フレーム材2はアルミニウム又はアルミニウム合金製であり、素材には従来公知の種々のアルミニウム又はアルミニウム合金を用いることができる。ここで、当該素材としては、1000系アルミニウム、3000系アルミニウム合金、5000系アルミニウム合金、6000系アルミニウム合金、7000系アルミニウム合金及びAl−Ca合金等を例示することができる。
1000系アルミニウムとしては、JIS規格に記載のA1050、A1050A、A1070、A1080、A1085、A1100、A1200、A1N00及びA1N30を例示することができ、3000系アルミニウム合金としては、JIS規格に記載のA3003、A3103、A3203、A3004、A3104、A3005及びA3105を例示することができ、5000系アルミニウム合金としては、JIS規格に記載のA5005、A5N01、A5021、5N02及びA5042を例示することができ、6000系アルミニウムとしては、JIS規格に記載のA6101、A6003、A6005、A6N01、A6151及びA6063を例示することができ、7000系アルミニウム合金としては、A7001、A7003、A7005、A7010、A7020、A7049、A7050、A7075、A7090、A7091、A7178、A7475及びA7N01を例示することができる。
また、Al−Ca合金は、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々のAl−Ca合金を使用することができるが、AlCa晶出物の結晶構造及び結晶粒径や形状制御等により、低ヤング率と優れた圧延加工性とを両立させたAl−Ca合金を使用することが好ましい。
また、フレーム材2の製造方法は特に限定されず、従来公知の種々のアルミニウム又はアルミニウム合金材の製造方法を用いることができる。フレーム材2としては、例えば、粉末焼結体を熱間押出材として加工したものや、アルミニウム合金鋳塊に塑性加工を施したものを用いることができる。また、必要に応じて適宜熱処理を施してもよい。
ペリクル用支持枠1の形状は、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、露光原版の形状に応じて従来公知の種々の形状とすることができるが、一般的には、ペリクル用支持枠1の平面形状はリング状、矩形状又は正方形状であり、露光原版に設けられた回路パターン部を覆う大きさと形状とを備えている。なお、ペリクル用支持枠1には気圧調整用通気口、当該通気口用の除塵用フィルタ、及びジグ穴等が設けられていてもよい。
ペリクル用支持枠1の高さ(厚さ)は、1〜10mmであることが好ましく、2〜7mmであることがより好ましく、3〜6mmであることが最も好ましい。ペリクル用支持枠1の高さ(厚さ)をこれらの値とすることで、ペリクル用支持枠1の変形を抑制できると共に、良好なハンドリング性を担保することができる。
ペリクル用支持枠1の断面形状は、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限されず、従来公知の種々の形状とすることができるが、上辺及び下辺が平行な四辺形とすることが好ましい。ペリクル用支持枠1の上辺にはペリクル膜を張設するための幅が必要であり、下辺には接着用粘着層を設けて露光原版に接着するための幅が必要である。当該理由から、ペリクル用支持枠1の上辺及び下辺の幅は1〜3mm程度とすることが好ましい。
ペリクル用支持枠1の平坦度は、20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。ペリクル用支持枠1の平坦度を向上させることで、ペリクルを露光原版に貼り付けた場合のペリクル用支持枠1の変形量を小さくすることができる。なお、上記のペリクル用支持枠1の平坦度は、ペリクル用支持枠1の各コーナー4点と4辺の中央4点の計8点において高さを測定することで仮想平面を算出し、当該仮想平面からの各点の距離のうち、最高点から最低点を差引いた差により算出することができる。
陽極酸化皮膜4の膜質等は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の陽極酸化皮膜を用いることができるが、フレーム材2をアルカリ性の浴中で陽極酸化処理して形成されたものであることが好ましい。例えば、硫酸浴を使用して陽極酸化処理を行った場合には、これに起因してアルミニウム材(フレーム材2)の表面の陽極酸化皮膜4に硫酸やリン酸等の無機酸が残存し、これらが露光雰囲気中に存在するアンモニア等の塩基性物質と反応して硫酸アンモニウム等の反応生成物(ヘイズ)を生じ、当該反応生成物(ヘイズ)がペリクルにくもりを生じさせてパターン転写像に影響を与えてしまう。これに対し、陽極酸化処理にアルカリ性の浴を用いることで、当該反応生成物(ヘイズ)を形成する無機酸の残存を防止することができる。
陽極酸化皮膜4の膜厚は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されないが、1〜15μmとすることが好ましい。膜厚を1μm以上とすることで均質な陽極酸化皮膜4を形成させることができ、15μm以下とすることで、陽極酸化皮膜4の強度低下を抑制することができる。
陽極酸化皮膜4の表面に形成されるフッ素樹脂コーティング層6は、フッ素元素と炭素鎖とから構成される熱可塑性ポリマーであり、耐熱性及び難付着性等における優れた特性を兼ね備えている。
また、フッ素樹脂コーティング層6はフッ素樹脂塗料をスプレー塗装で形成したものであるため、当該形成過程において特にアニオン(陰イオン)は導入されず、フッ素樹脂コーティング層6内におけるアニオン(陰イオン)の残存を抑制することができる。なお、フッ素樹脂コーティングに用いられる塗料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(PFEP)、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ECTFE)、のいずれかを含んだものを好適に用いることができる。
ペリクル用支持枠1においては、明度指数L値が50以下であること、が好ましい。黒色化によりペリクル用支持枠1の明度指数L値(ハンターの色差式による明度指数)を50以下とすることで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができる。
ペリクル用支持枠1の黒色化には、例えば、染料、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることができるが、有機染料を用いた場合、高いエネルギーの光がペリクル用支持枠に照射されると当該有機染料が化学変化して色調変化や脱色が生じる虞がある。よって、耐光性付与の観点からは、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることが好ましい。
上述のとおり、陽極酸化皮膜4及びフッ素樹脂コーティング層6においてはアニオン(陰イオン)の残存が防止されていることから、ペリクル用支持枠1からのアニオン(陰イオン)溶出は極微量となる。ここで、ペリクル用支持枠1を80℃の純水に4時間浸漬させて溶出したイオン濃度を測定するイオン溶出試験において、表面積100cmあたりの純水100ml中への溶出濃度が、酢酸イオン0.2ppm以下、ギ酸イオン0.2ppm以下、シュウ酸イオン0.2ppm以下、硫酸イオン0.1ppm以下、硝酸イオン0.2ppm以下、亜硝酸イオン0.2ppm以下、塩素イオン0.2ppm以下、リン酸イオン0.1ppm以下、及びアンモニウムイオン0.1ppm以下であること、が好ましい。ペリクル用支持枠1のイオン溶出量をこれらの値に抑えることで、リソグラフィ中のヘイズ発生を略完全に抑制することができる。特に、酢酸イオン、ギ酸イオン、硫酸イオン、シュウ酸イオン及び亜硝酸イオンの溶出量を制御することで、ヘイズの発生を可及的に低減することができる。
2.ペリクル用支持枠の製造方法
本発明のペリクル用支持枠1の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材2にフッ素樹脂コーティング処理を施すもので、フレーム材2に陽極酸化処理を施す第一工程(S01)と、陽極酸化処理によって形成された陽極酸化皮膜4の表面にフッ素樹脂コーティング処理を施す第二工程(S02)と、を有している。以下、各工程等について詳細に説明する。
(1)第一工程(S01:陽極酸化処理)
第一工程(S01)は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材2に陽極酸化処理を施し、陽極酸化皮膜4を形成させる工程である。陽極酸化処理の条件は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の陽極酸化処理を用いることができるが、アルカリ性の浴中で処理を施すことが好ましい。
陽極酸化処理に関して、より具体的には、i)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、及び水酸化ルビジウムからなる群から選ばれたいずれか1種以上の無機アルカリ成分を含んだ無機アルカリ浴を用いた陽極酸化処理を行うか、或いは、ii)酒石酸、クエン酸、シュウ酸、及びサリチル酸からなる群から選ばれたいずれか1種以上の有機酸の塩と、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、及び水酸化ルビジウムからなる群から選ばれたいずれか1種以上の無機アルカリ成分と、を含んだアルカリ混合浴を用いるのが好適である。
ここで、アルカリ性の浴として、i)の無機アルカリ成分を含んだ無機アルカリ浴を使用する場合については、酸成分を含まないため、陽極酸化処理中にAl以外の金属間化合物を溶解することが殆どない。なお、無機アルカリ成分に関し、汎用性の観点からは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。更に、陽極酸化皮膜の生成速度等を考慮すると、アルカリ水溶液(無機アルカリ浴)のpHは12〜14とすることが好ましく、12.5〜13.5とすることがより好ましい。
無機アルカリ浴を用いて陽極酸化処理する際の処理条件は、形成させる陽極酸化皮膜4の膜厚、特性や処理時間等に応じて適宜調整すればよいが、電圧は0.5〜20Vとすることが好ましく、1〜20Vとすることがより好ましく、3〜17Vとすることが最も好ましい。このように比較的低い電圧範囲で陽極酸化皮膜処理を施すことにより、フレーム材2の素材によっては(例えば、Al母材中にMgZn等の金属間化合物が存在する場合)黒色化された陽極酸化皮膜を得ることができる。一方で、電圧を1V以上とすることで、陽極酸化皮膜4を安定的に形成させることができる。
また、陽極酸化処理を施す際は、浴温度を0〜20℃とすることが好ましく、0〜15℃とすることがより好ましく、5〜10℃とすることが最も好ましい。浴温度が0℃より低くなると皮膜の生成速度が遅くなり効率的ではなく、一方で、20℃より高くなると皮膜の溶解速度が速くなることで成膜に時間を要することに加え、粉吹き等が生じる虞がある。また、陽極酸化処理の処理時間は2〜120分とすることが好ましく、5〜90分とすることがより好ましい。
上記のように、i)無機アルカリ浴を使用する場合においては、陽極酸化浴に有機酸や無機酸を含まないため、電解液の管理が容易であるだけでなく、露光光源として用いられる各種レーザー等の照射によって分解される成分が存在しない。その結果、ペリクル用支持枠1に優れた耐光性を付与することができると共に、ヘイズ等の発生を可及的に抑制することができる。
一方、ii)の有機酸の塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を使用する場合においては、MgZn等の金属間化合物による黒色化に加えて、陽極酸化皮膜に有機成分が取り込まれることによって発色する。なお、耐光性やヘイズ発生等の観点から、対象とする有機酸は上記のものを用いることが好ましい。
なお、酒石酸としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸アンモニウム等の酒石酸塩を好適に用いることができる。酒石酸塩の濃度は13〜200g/Lであることが好ましく、25〜150g/Lであることがより好ましい。酒石酸塩の濃度が13g/Lより低いと溶浴酸化皮膜が形成され難く、200g/Lより高いと陽極酸化処理の際に酒石酸塩が析出する虞がある。なお、酒石酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ水溶液(アルカリ混合浴)のpHは12〜14であることが好ましく、12.5〜13.0であることがより好ましい。
また、クエン酸としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸アンモニウム等のクエン酸塩を好適に用いることができる。クエン酸塩の濃度は20〜300g/Lとすることが好ましく、50〜200g/Lであることがより好ましい。クエン酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ水溶液(アルカリ混合浴)のpHは12〜14とすることが好ましく、12.5〜13.0とすることがより好ましい。
また、シュウ酸塩としては、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム等のシュウ酸塩を好適に用いることができる。シュウ酸塩の濃度は3〜350g/Lとすることが好ましく、10〜300g/Lであることがより好ましい。シュウ酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ水溶液(アルカリ混合浴)のpHは12〜14とすることが好ましく、12.5〜13.5とすることがより好ましい。
更に、サリチル酸塩としては、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸アンモニウム等のサリチル酸塩を好適に用いることができる。サリチル酸塩の濃度は1〜500g/Lとすることが好ましく、30〜400g/Lであることがより好ましい。サリチル酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ水溶液(アルカリ混合浴)のpHは12〜14とすることが好ましく、12.5〜13.5とすることがより好ましい。
有機酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を用いて陽極酸化処理を施す際の電圧は、2〜20Vと比較的低い電圧を用いることが好ましい。酒石酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を用いる場合、2〜19Vとすることが好ましく、5〜17Vとすることがより好ましく、7〜15Vとすることが最も好ましい。クエン酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を用いる場合、2〜19Vとすることが好ましく、3〜17Vとすることがより好ましく、5〜15Vとすることが最も好ましい。シュウ酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を用いる場合、2〜19Vとすることが好ましく、3〜17Vとすることがより好ましく、5〜15Vとすることが最も好ましい。サリチル酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴を用いる場合、3〜19Vとすることが好ましく、5〜17Vとすることがより好ましく、7〜15Vとすることが最も好ましい。
また、陽極酸化処理中の電気量については、i)無機アルカリ浴を使用する場合は3〜50C/cmとすることが好ましく、5〜30C/cmとすることがより好ましい。酒石酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴の場合、電気量は3〜50C/cmとすることが好ましく、5〜30C/cmとすることがより好ましい。クエン酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴の場合、電気量は3〜50C/cmとすることが好ましく、5〜30C/cmとすることがより好ましい。シュウ酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴の場合、電気量は3〜50C/cmとすることが好ましく、5〜30C/cmとすることがより好ましい。サリチル酸塩と無機アルカリ成分とを含んだアルカリ混合浴の場合、電気量は5〜70C/cmとすることが好ましく、7〜50C/cmとすることがより好ましい。
アルカリ混合浴の浴温度については、i)無機アルカリ浴を使用する場合と同様、0〜20℃とすることが好ましく、0〜15℃とすることがより好ましく、5〜10℃とすることが最も好ましい。また、陽極酸化処理の処理時間については、5〜40分とすることが好ましく、7〜20分とすることがより好ましい。
(2)第二工程(S02:フッ素樹脂コーティング処理)
第二工程(S02)は、陽極酸化処理によって形成された陽極酸化皮膜4の表面にフッ素樹脂コーティング層6を施す工程である。
第二工程(S02)で施すフッ素樹脂コーティング処理は、陽極酸化被膜4を形成させたペリクル用支持枠1の表面に、スプレー法等を用いてフッ素樹脂塗料をコーティングするものである。フッ素樹脂塗料を塗布した後の熱処理(乾燥処理又は焼付処理等)の条件は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、所望するフッ素樹脂コーティング層6の膜厚や膜質等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、280℃で60分の処理条件を用いることができる。
(3)その他の工程
本発明のペリクル用支持枠の製造方法においては、更に、顔料、自然発色及び電解着色のうちの少なくとも一つによって、明度指数L値を調整する発色工程を有すること、が好ましい。なお、顔料、自然発色及び電解着色を用いた発色方法については、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の発色方法を用いることができる。
発色工程によってペリクル枠支持枠1の明度指数L値を低下させることで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等を容易に行うことができるペリクル用支持枠を得ることができる。ここで、露光光の散乱防止や使用前の異物不着検査等の観点からは、黒色化により明度指数L値を50以下とすること、が好ましい。
なお、ペリクル用支持枠1の黒色化には、例えば、染料、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることができるが、有機染料を用いた場合、高いエネルギーの光がペリクル用支持枠に照射されると当該有機染料が化学変化して色調変化や脱色が生じる虞がある。よって、耐光性付与の観点からは、顔料、自然発色及び電解着色等を用いることが好ましい。
3.ペリクル
本発明のペリクル用支持枠を用いて構成された本発明のペリクルの一例の概略断面図及び本発明のペリクル枠の概略平面図を、図2及び図3にそれぞれ示す。ペリクル8は、ペリクル用支持枠1の上端面にペリクル膜貼り付け用接着層10を介してペリクル膜12を張設したものである。ペリクル8を使用する際は、ペリクル8を露光原版(マスク又はレチクル)14に粘着させるための接着用粘着層16がペリクル用支持枠1の下端面に形成され、接着用粘着層16の下端面にライナー(不図示)が剥離可能に貼着される。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
≪実施例1≫
枠型形状をなす外形寸法148.85mm×114.85mm×厚さ3.0mmのJIS H0001に示された調質記号T6で処理したJIS A7075アルミニウム合金(JIS A7075−T6)製フレーム材に陽極酸化処理を施した後、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)を含んだ液体フッ素樹脂塗料をスプレー塗装し、厚さ0.5〜20μmのフッ素樹脂コーティング層を形成させ、実施ペリクル用支持枠1を得た。なお、陽極酸化処理の条件は水酸化ナトリウム(NaOH)1wt%が溶解したアルカリ性水溶液(pH=14)を陽極酸化浴として、浴温度10℃において、電解電圧を20Vとし、30分の陽極酸化処理を行った。また、焼付処理の条件は380℃で20分間とした。
≪実施例2≫
実施例1と同様の陽極酸化処理を施したフレーム材に、エチレン・四フッ化エチレン系共重合樹脂(EFEP)を含んだ粉体フッ素樹脂塗料をスプレー塗装し、厚さ0.5〜20μmのフッ素樹脂コーティング層を形成させて実施ペリクル用支持枠2を得た。なお、フッ素樹脂コーティング層の焼付処理の条件は220℃で30分間とした。
≪実施例3≫
実施例1と同様のフレーム材の表面に酒石酸を含有するアルカリ性水溶液を用いて陽極酸化処理を施した後、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)を含んだ粉体フッ素樹脂塗料をスプレー塗装し、厚さ0.5〜20μmのフッ素樹脂コーティング層を形成させて実施ペリクル用支持枠3を得た。なお、フッ素樹脂コーティング層の焼付処理の条件も実施例1と同様とした。
≪実施例4≫
実施例3と同様の陽極酸化処理を施したフレーム材に、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)を含んだ液体フッ素樹脂塗料をスプレー塗装し、厚さ0.5〜20μmのフッ素樹脂コーティング層を形成させて実施ペリクル用支持枠4を得た。なお、フッ素樹脂コーティング層の焼付処理の条件も実施例1と同様とした。
≪比較例1≫
実施例1と同様の陽極酸化処理を施したフレーム材に、自然発色により着色を施して比較ペリクル用支持枠1を得た。なお、当該比較ペリクル用支持枠1にはフッ素樹脂コーティング処理は施していない。
≪比較例2≫
フッ素樹脂コーティング処理を施さなかったこと以外は実施例4と同様にして、比較ペリクル用支持枠2を得た。
[評価]
実施ペリクル用支持枠1〜4及び比較ペリクル用支持枠1〜2について、イオン溶出量の評価を行った。具体的には、ペリクル用支持枠をポリエチレン袋に入れて純水100mlを加えて密封し、80℃に保って4時間浸漬させた。このようにしてペリクル用支持枠からの溶出成分を抽出した抽出水を、セル温度35℃、カラム(IonPacAS11−HC)温度40℃とし、1.5ml/分の条件でイオンクロマトグラフ分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ICS−2100)を用いて分析した。
上記抽出水から酢酸イオン、ギ酸イオン、塩酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオン及びアンモニウムイオンを検出し、実施ペリクル用支持枠の表面積100cm2あたりの純粋100ml中への溶出濃度を求めた。得られた結果を表1に示す。なお、評価に用いたイオンクロマトグラフ分析装置の定量限界(下限)は各イオン種により異なり、0.01〜0.001ppmである。表1の各数値における単位はppbであり、「0」は当該イオン種が定量されなかったことを意味している。
表1に示されているように、本発明のペリクル用支持枠である実施ペリクル用支持枠1〜4におけるイオン溶出量は極めて微量であることが確認できる(実施例1〜4)。これに対し、陽極酸化被膜4を最表層とする比較ペリクル用支持枠1及び2では、特に酢酸イオンが多量に溶出している(比較例1及び2)。このように、フッ素樹脂コーティング処理を施した実施ペリクル用支持枠1〜4と比較ペリクル用支持枠1及び2とでは、イオン溶出量に明確な差異が確認された。
実施ペリクル用支持枠1〜4及び比較ペリクル用支持枠1,2につき、ハンターの色差式による明度指数L*値を測定した。得られた結果を表2に示す。実施ペリクル用支持枠1〜4の明度指数L*値は、全て60以下となっていることが分かる。
1・・・ペリクル用支持枠、
2・・・フレーム材、
4・・・陽極酸化皮膜、
6・・・無機系コーティング層、
8・・・ペリクル、
10・・・ペリクル膜貼付け用接着層、
12・・・ペリクル膜、
14・・・露光原版、
16・・・接着用粘着層。

Claims (9)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材と、
    前記フレーム材の表面に形成されたフッ素樹脂コーティング層と、を有すること、
    を特徴とするペリクル用支持枠。
  2. 前記フレーム材と、
    前記フレーム材の表面に形成された陽極酸化皮膜と、
    前記陽極酸化皮膜の表面に形成された前記フッ素樹脂コーティング層と、を有すること、
    を特徴とする請求項1に記載のペリクル用支持枠。
  3. 黒色化により明度指数L値が60以下となっていること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のペリクル用支持枠。
  4. 顔料、自然発色及び電解着色のうちの少なくとも一つにより発色していること、
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペリクル用支持枠。
  5. 80℃の純水に4時間浸漬させて溶出したイオン濃度を測定するイオン溶出試験において、表面積100cmあたりの純水100ml中への溶出濃度が、酢酸イオン0.2ppm以下、ギ酸イオン0.2ppm以下、シュウ酸イオン0.2ppm以下、硫酸イオン0.1ppm以下、硝酸イオン0.2ppm以下、亜硝酸イオン0.2ppm以下、塩素イオン0.2ppm以下、リン酸イオン0.1ppm以下、及びアンモニウムイオン0.1ppm以下であること、
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペリクル用支持枠。
  6. アルミニウム又はアルミニウム合金からなるフレーム材に陽極酸化処理を施す第一工程と、
    前記陽極酸化処理によって形成された陽極酸化皮膜の表面にフッ素樹脂コーティング処理を施す第二工程と、を有すること、
    を特徴とするペリクル用支持枠の製造方法。
  7. 更に、顔料、自然発色及び電解着色のうちの少なくとも一つによって、明度指数L値を調整する発色工程を有すること、
    を特徴とする請求項6に記載のペリクル用支持枠の製造方法。
  8. 黒色化により明度指数L値を60以下とすること、
    を特徴とする請求項6又は7に記載のペリクル用支持枠の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載のペリクル用支持枠と、
    前記ペリクル用支持枠に支持されたペリクル膜と、を有すること、
    を特徴とするペリクル。
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