JP7082546B2 - ペリクル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
ペリクル膜と、前記ペリクル膜を保持するフレームとを有するペリクルであって、
前記フレームの高さが3.5mm以下であり、
前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方が、1.0×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有する領域を含むペリクル。
〔2〕
前記フレームの少なくとも外側の表面抵抗値が1.0×1011Ω/□以下である〔1〕のペリクル。
〔3〕
前記フレーム全体の表面抵抗値が1.0×1011Ω/□以下である〔1〕又は〔2〕のペリクル。
〔4〕
前記ペリクル膜の表面抵抗値が1.0×1010Ω/□以下である〔1〕~〔3〕のいずれかのペリクル
〔5〕
前記フレームが、1.0×1010Ω/□以下の表面抵抗値を有する領域を含む〔1〕~〔4〕のいずれかのペリクル。
〔6〕
前記ペリクルの膜厚が0.4μm以下である〔1〕~〔5〕のいずれかのペリクル。
〔7〕
前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方が、帯電防止剤により表面処理されており、
前記帯電防止剤が、高分子型帯電防止剤である〔1〕~〔6〕のいずれかのペリクル。
〔8〕
前記ペリクル膜の形成材料が、フッ素系ポリマーであり、前記帯電防止剤が、高分子型帯電防止剤である〔7〕のペリクル。
〔9〕
前記フレームの形成材料が、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、前記帯電防止剤が、高分子型帯電防止剤である〔7〕のペリクル。
〔10〕
前記高分子型帯電防止剤が、アンモニウムイオンを主成分とするカチオン系ポリマーである〔7〕~〔9〕のいずれかのペリクル。
〔11〕
ペリクル膜と、前記ペリクル膜を保持するフレームとを有するペリクルの製造方法であって、
前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方に、帯電防止剤を用いて表面処理する工程を含む製造方法。
本実施形態のペリクルは、ペリクル膜と、前記ペリクル膜を保持するフレーム(ペリクル用枠体)とを有するペリクルであって、前記フレームの高さが3.5mm以下で
あり、前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方が、1.0×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有する領域を含む。
本実施形態におけるペリクル膜は、例えば、フレームの一方の端面にフレームに形成された開口部を覆うように展張支持されたものである。ペリクル膜は、形成材料として、例えば、セルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等、あるいはこれら2種以上の混合物)、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン-ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュ・ポン社製のテフロン(登録商標)AF(商品名)、旭硝子社製のサイトップ(商品名)、アウジモント社製のアルゴフロン(商品名)等)等のポリマーを含んでもよい。これらの中でも、現在用いられている等倍投影露光液晶露光機の光源である超高圧水銀ランプに対しては、耐光性やコストの点から、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートやサイトップやテフロンAF等のフッ素系ポリマーが好ましく使用される。これらのポリマーは、それぞれに適した溶媒(ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、フッ素系溶媒等)により溶解させて、ポリマー溶液として用いてもよい。特に、上記のセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートに対しては、乳酸エチル等のエステル系溶媒が好ましい。また、サイトップやテフロンAF等のフッ素系ポリマーに対しては、トリス(パーフルオロブチル)アミン等のフッ素系溶媒が好ましい。ポリマー溶液は必要に応じてデプスフィルター、メンブレンフィルター等により濾過される。
本実施形態のフレームの高さは、3.5mm以下(例えば、2.0mm以上3.5mm以下)であり、3.4mm以下であることが好ましく、3.3mm以下であることがより好ましい。フレームの高さが上記範囲内であるとペリクル膜に留まっている電気がフレームを介して放電しやすくなる。
必要に応じてフレームの内壁面又は全面に、異物を捕捉するための粘着剤(アクリル系、酢酸ビニル系、シリコーン系、ゴム系等)やグリース(シリコーン系、フッ素系等)を塗布してもよい。また、必要に応じてフレームの内部と外部を貫通する微細な穴を開けて、フレームとフォトマスクで形成された空間の内外の気圧差がなくなるようにすると、膜の膨らみや凹みを防止できる。また、この時、微細な穴の外側に異物除去フィルターを取り付けると、気圧調整が可能な上、ペリクルとフォトマスクで形成された空間の中に異物が侵入することを防げるので好ましい。ペリクルとフォトマスクで形成された空間容積が大きい場合には、これらの穴やフィルターを複数個設けると、気圧変動による膜の膨らみや凹みの回復時間が短くなり、好ましい。
ぺリクル膜とフレームとを接着するための膜接着剤は、ペリクル膜の材質とフレームの材質によって適宜選択できる。たとえば、膜接着剤としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系等の接着剤などが挙げられる。また、接着剤の硬化方法はそれぞれの接着剤に適した硬化方法(熱硬化、光硬化、嫌気性硬化等)が採用される。
本実施形態のペリクルにおいて、ペリクル膜及びフレームの一方又は両方(好ましくは両方)は、1.0×1011Ω/□以下(好ましくは5.0×1010Ω/□以下、より好ましくは1.0×1010Ω/□以下)の表面抵抗値を有する領域を含む。このように表面抵抗値を小さくすることにより、電圧の減衰時間が短くなり、例えば、パターンが静電破壊するリスク等を抑制できる。本実施形態のペリクルにおいて、上記表面抵抗値を特定値以下とする方法としては、上述したように、ペリクル膜及びフレームの少なくとも一方に、帯電防止剤を用いて表面処理する方法等が挙げられる。表面抵抗値は後述の実施例に記載の方法により求められる。
本実施形態のペリクルの製造方法は、ペリクル膜と、ペリクル膜を保持するフレームとを有するペリクルの製造方法であって、ペリクル膜及びフレームの一方又は両方に、帯電防止剤を用いて表面処理する工程(表面処理工程)を含む。
アルミ合金製のペリクル枠(フレーム)(外径115mm×149mm、内径111mm×145mm、高さ3.3mm)のペリクル膜との接着面に接着剤を介して、フッ素系ポリマーで形成されたペリクル膜(0.28μm)を貼付けた。その後、ペリクル膜に帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)を噴霧することにより、実施例1のペリクルとした。
アルミ合金製のペリクル枠(外径115mm×149mm、内径111mm×145mm、高さ3.3mm)全体に帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)を噴霧した。その後、このペリクル枠のペリクル膜との接着面に接着剤を介して、フッ素系ポリマーで形成されたペリクル膜を貼付けることにより、実施例2のペリクルとした。
アルミ合金製のペリクル枠(外径115mm×149mm、内径111mm×145mm、高さ3.3mm)全体に帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)を噴霧した。その後、帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)をフッ素系ポリマーで形成されたペリクル膜に噴霧した。その後、このペリクル枠のペリクル膜との接着面に接着剤を介して、ペリクル膜を貼り付けることにより、実施例3のペリクルとした。
アルミ合金製のペリクル枠(外径115mm×149mm、内径111mm×145mm、高さ3.3mm)の外側に帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)を噴霧した。その後、ペリクル枠のペリクル膜との接着面に接着剤を介して、フッ素系ポリマーで形成されたペリクル膜を貼付けた。その後、帯電防止剤としてポリ(アルキルアンモニウム・テトラアルコキシボランとトリアルキル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム塩の混合物(製品名:SB-8 ショーワグローブ製)をペリクル膜に噴霧することにより、実施例4のペリクルとした。
アルミ合金製のペリクル枠(外径115mm×149mm、内径111mm×145mm、高さ3.3mm)のペリクル膜との接着面に接着剤を介して、フッ素系ポリマーで形成されたペリクル膜を貼付けことにより、比較例1のペリクルとした。
得られた実施例1~4及び比較例1のペリクルの表面抵抗値をハイレスターU(三菱化学製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
得られた実施例1~4及び比較例1のペリクルを、アクリル系粘着剤を介してフォトマスク(クロムブランクス)に貼付けた。その後、このペリクル付クロムブランクスに電圧を印加し、減衰する時間を半減期として測定した。印加条件は以下のとおりである。なお、ペリクル付クロムブランクスの半減期が短いほど、静電放電のリスクは小さい。
・印加電圧:-800V
・電圧の印加:直流電源ZHO-201PN(春日電機製)
・電圧の変化を低電位測定器KSD-3000(春日電機株式製)でモニタリング
◎:半減期が3秒未満
〇:半減期が3秒以上5秒未満
×:半減期が5秒以上
Claims (11)
- ペリクル膜と、前記ペリクル膜を保持するフレームとを有するペリクルであって、
前記フレームの高さが3.5mm以下であり、
前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方が、帯電防止剤により表面処理されており、
前記表面処理されたペリクル膜及び前記表面処理されたフレームの一方又は両方が、1.0×1011Ω/□以下の表面抵抗値を有する領域を含み、
前記帯電防止剤が、高分子型帯電防止剤であり、
前記ペリクル膜が、フッ素系ポリマー又はセルロース誘導体を含む、ペリクル。 - 前記フレームの少なくとも外側の表面抵抗値が1.0×1011Ω/□以下である、請求項1に記載のペリクル。
- 前記フレーム全体の表面抵抗値が1.0×1011Ω/□以下である、請求項1又は2に記載のペリクル。
- 前記ペリクル膜の表面抵抗値が1.0×1010Ω/□以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のペリクル
- 前記フレームが、1.0×1010Ω/□以下の表面抵抗値を有する領域を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のペリクル。
- 前記ペリクルの膜厚が0.4μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のペリクル。
- 前記高分子型帯電防止剤が、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、エチレンオキシド-エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、カルボベタイングラフト共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸アミン塩、スチレンを必須の構成単量体とするスチレンポリマーのブロックと親水性ポリマーのブロックの交互ブロック共重合体、ポリスチレン系樹脂にポリエチレングリコールを導入した(メタ)アクリル酸エステルをグラフトした樹脂、ポリエーテル化合物を帯電防止セグメントとした親水性ポリマー、ポリマレイン酸塩、ポリマレイン酸アミン塩、及びアンモニウムイオンを主成分とするカチオン系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のペリクル。
- 前記ペリクル膜の形成材料が、前記フッ素系ポリマーである、請求項1~7のいずれか1項に記載のペリクル。
- 前記フレームの形成材料が、アルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1~8のいずれか1項に記載のペリクル。
- 前記高分子型帯電防止剤が、前記アンモニウムイオンを主成分とするカチオン系ポリマーである、請求項7に記載のペリクル。
- ペリクル膜と、前記ペリクル膜を保持するフレームとを有するペリクルの製造方法であって、
前記ペリクル膜及び前記フレームの一方又は両方に、帯電防止剤を用いて表面処理する工程を含み、
前記帯電防止剤が、高分子型帯電防止剤であり、
前記ペリクル膜が、フッ素系ポリマー又はセルロース誘導体を含む、製造方法。
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