JP2018044086A - ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びポリスチレン系樹脂積層発泡成形体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びポリスチレン系樹脂積層発泡成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、脆性が改善されており、電子レンジで加熱調理しても容器の変形を抑制可能な耐熱性を有し、加熱による積層フィルムのデラミネーションを抑制するに十分な接着強度を有する成形体を得ることが可能な、耐熱発泡シートを提供することを目的とする。【解決手段】 本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートは、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とし、該ポリスチレン系樹脂は、スチレン−メタクリル酸共重合体と、特定の耐衝撃性ポリスチレンとの混合物であり、スチレン−メタクリル酸共重合体と該耐衝撃性ポリスチレンとの重量比、ポリスチレン系樹脂中のゲル含有量、発泡シートの全体見掛け密度が特定範囲内であり、且つ該全体見掛け密度に対する発泡シートの一方の面側の表層部の見掛け密度の比が特定範囲内であり、発泡シートの他方の面側の表層部の見掛け密度が一方の面側の表層部の見掛け密度よりも特定数値以上高いことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートに関し、詳しくは電子レンジ加熱用食品容器を形成するためのポリスチレン系樹脂発泡シートに関し、更に該ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリオレフィン系樹脂フィルムが積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シート、及びその成形体に関する。
ポリスチレン発泡シートは、軽量性、断熱性、剛性に優れるので、熱成形により得られた成形体が食品容器をはじめとして広く使用されている。しかし、ポリスチレン発泡シートを構成するポリスチレン樹脂は耐熱性が不十分なため、電子レンジによる加熱調理用の食品容器用途には、スチレン−メタクリル酸共重合体を主成分とする耐熱性発泡シートの成形体が広く利用されるようになった(例えば、特許文献1)。
しかし、スチレン−メタクリル酸共重合体を主成分とする耐熱性発泡シートは、一般的なポリスチレン発泡シートよりも脆く、外部から力がかかると割れやすく耐衝撃性に欠けるという問題があった。その解決手段として、ポリスチレン−メタクリル酸共重合体に、ハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)を添加する手法がある(例えば、特許文献2)。しかし、耐衝撃性ポリスチレンは、少量の添加では脆性改善効果が低く、多量に添加すると耐熱性が損なわれるという問題や、発泡性が低下するという問題があった。そこで、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマー(以下、SBSともいう。)を添加する手法が一般に用いられてきた(例えば、特許文献3)。
特開昭62−94539号公報 特開昭63−264335号公報 特開平3−109441号公報
しかし、スチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーは、発泡シートの脆性改善効果は高く、少量の添加で脆さを改善できるものの、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂に比べ耐熱性に劣るため、SBSの配合により本来の目的である耐熱性が犠牲になっていた。
また、スチレン−メタクリル酸共重合体樹脂は耐油性に劣るため、電子レンジ用途に用いる場合には、耐熱性発泡シートの表面に耐油性に優れるポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルムを積層する必要がある。ポリオレフィンフィルムの積層の手段として、耐熱性発泡シートに、ポリオレフィン−ポリスチレン多層フィルムを熱融着する方法、接着剤が塗布されたポリオレフィンフィルムを熱融着する方法、これらのフィルムと耐熱性発泡シートを耐衝撃性ポリスチレンを介在させて積層する方法などが用いられている。しかし、スチレン−メタクリル酸共重合体を主成分とする耐熱性発泡シートには通常のポリスチレン発泡シートに比べると、これらのフィルムとの接着性に劣るという問題がある。また、耐熱性発泡シートにこれらのフィルムを接着させるには、通常の発泡シートに比べるとより多くの熱量を与える必要があり、発泡シート表面を熱融着させるに適した温度まで伝熱することが難しくなるので、接着工程における難度が高いという問題もある。
さらに、前記積層手段により得られた積層発泡シートを熱成形した後、保管しておいた成形体に食品を入れて電子レンジで加熱すると、耐熱発泡シートの軟化とともに気泡内部の気体が放出されることによる、積層フィルムの剥がれ(以下、デラミネーションと呼ぶ。)などの不具合が発生することがあった。本発明者等は、その原因を調べた結果、スチレン−メタクリル酸共重合体を主成分とし、これにスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーが添加された耐熱性発泡シートにポリオレフィンフィルムが積層された積層発泡シートは、経時によりフィルムの接着強度が低下し、接着強度不足が原因でデラミネーションが発生することがあることを突き止めた。
以上説明したように、耐熱性発泡シートには耐油性に欠けるという問題がある。耐熱性発泡シートに耐油性を付与するには、その表面にポリオレフィンフィルムを積層する必要があり、耐熱性発泡シートにはポリオレフィンフィルムとの接着性に劣るという問題がある。さらに、耐熱性発泡シートには脆いという問題がある。脆性を改良するためにスチレン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーを用いると、接着条件によっては接着性が不十分となりやすく、また、スチレン−メタクリル酸共重合体本来の耐熱性が発揮されないという問題がある。
本発明は、脆性が良好に改善されており、電子レンジで加熱調理しても容器の変形を抑制可能な耐熱性を有し、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルムとの接着性に優れ、加熱による積層フィルムのデラミネーションを抑制するに十分な接着強度を有する成形体を得ることが可能な、スチレン−メタクリル酸共重合体を主成分とする耐熱発泡シートを提供することを目的とする。更に、本発明は、該耐熱性発泡シートにポリオレフィン系樹脂フィルムが積層された耐熱性ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、該積層発泡シートを熱成形することにより得られる成形体であって電子レンジ加熱時のデラミ発生が防止されたポリスチレン系樹脂積層発泡成形体を提供することをその目的とする。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡成形体が提供される。
[1]ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡シートにおいて、
該ポリスチレン系樹脂は、スチレン−メタクリル酸共重合体と、粒径0.8μm以上1.8μm未満のゴムを含むと共にゲル分を含む耐衝撃性ポリスチレンとの混合物であり、
該ポリスチレン系樹脂中の該スチレン−メタクリル酸共重合体と該耐衝撃性ポリスチレンとの重量比が75:25〜90:10であり、
該ポリスチレン系樹脂中のゲル含有量が3〜6重量%であり、
該発泡シートの全体見掛け密度が50〜210kg/mであり、
且つ該全体見掛け密度に対する発泡シートの一方の面側の表層部の見掛け密度の比が1.1〜1.8であると共に、
発泡シートの他方の面側の表層部の見掛け密度が前記一方の面側の表層部の見掛け密度よりも20kg/m以上高いことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート。
[2前記1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの前記一方の面側に、ポリオレフィン系樹脂フィルムが接着積層されていることを特徴とする前記1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
[3]前記ポリスチレン系樹脂発泡シートと前記ポリオレフィン系樹脂フィルムとの剥離強度が3.0N/25mm以上であることを特徴とする前記2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
[4]前記2又は3に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形することにより得られたポリスチレン系樹脂積層発泡成形体。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートは、スチレン−メタクリル酸共重合体と、特定の耐衝撃性ポリスチレンとの混合物を基材樹脂とし、該スチレン−メタクリル酸共重合体と該耐衝撃性ポリスチレンとの重量比が特定範囲内であり、該混合物中のゲル含有量が特定範囲内であり、さらに、全体見掛け密度が特定範囲内であり、一方の面側の表層部の見掛け密度と他方の面側の表層部の見掛け密度とが特定の関係を有することにより、耐熱性及び耐衝撃性に優れ、さらに、一方の面側はポリオレフィン系樹脂フィルムとの接着性に優れ、他方の面側は特に靱性に優れるものである。
衝撃破壊強度の測定法の説明図である。 図1は、本発明の発泡シートの基材樹脂について熱流束示差走査熱量測定法により得られたDSC曲線のグラフである。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート、ポリスチレン系樹脂積層発泡成形体について詳細に説明する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シート(以下、発泡シートまたは耐熱性発泡シートともいう。)を構成する基材樹脂はポリスチレン系樹脂であり、該ポリスチレン系樹脂は、スチレン−メタクリル酸共重合体と、粒径0.8μm以上1.8μm未満のゴムを含むと共にゲル分を含む耐衝撃性ポリスチレンとの混合物である。
通常、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂と、ポリスチレン成分を主体とする耐衝撃性ポリスチレンとは相容性が悪いため、それらを混合した材料は機械強度が弱くなるなどの材料特性が低下する懸念があった。しかし、本発明においては、特定の耐衝撃性ポリスチレンをスチレン−メタクリル酸共重合体に混合した混合樹脂を基材樹脂とし、後述する表層部の見掛け密度を特定範囲に調整した発泡シートとすることにより、機械強度的には十分に実用可能なものとなった。
前記スチレン−メタクリル酸共重合体は、スチレンとメタクリル酸との共重合体であり、そのビカット軟化温度は110℃以上であることが好ましく、より好ましくは116℃以上である。耐熱性ポリスチレンとしての一般的なスチレン−メタクリル酸共重合体におけるメタクリル酸成分の含有量は、該共重合体中に5〜25重量%程度であり、好ましくは5〜15重量%である。また、成形性などを改良するために、アクリル酸が第三成分として少量共重合されることや、メタクリル酸メチルやアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルが第三成分として少量共重合されることもある。
前記耐衝撃性ポリスチレンとして、ゲル分を含むゴム変性ポリスチレン系樹脂が用いられる。このようなゴム変性ポリスチレン系樹脂は、通常、ポリブタジエンなどのゴム状重合体の存在下、スチレン単量体をラジカル重合させることにより得られ、ポリスチレン鎖がグラフト重合したゴム状重合体粒子が分散相をなし、ポリスチレンが連続層をなすモルフォロジーが形成される。
該耐衝撃性ポリスチレンのビカット軟化温度は90℃以上であることが好ましい。ビカット軟化温度が90℃以上であることにより、十分な耐熱性を有する発泡シートとなる。耐衝撃性ポリスチレンのビカット軟化温度の上限は概ね97℃である。
上記ビカット軟化温度は、JIS K7206:1999に基づきA50法により測定される値である。
該耐衝撃性ポリスチレンは、スチレン成分の他に、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン以外の単量体に由来する成分を含んでもよい
該耐衝撃性ポリスチレンを構成するゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレンのランダムまたはブロック共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴムなどが挙げられ、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体が好適に用いられる。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
本発明においては、前記耐衝撃性ポリスチレンの中でも、ゴム粒径が0.8μm以上1.8μm以下の耐衝撃性ポリスチレンが用いられる。ゴム粒径が0.8μm未満になると、発泡シートの耐衝撃性が低下しすぎるおそれがある。一方、ゴム粒径が1.8μm超になると、スチレン−メタクリル酸共重合体が本来有する耐熱性が損なわれるおそれや、ポリオレフィン系樹脂フィルムとの接着性が低下し、電子レンジ加熱時にフィルムがデラミネーションしやすくなるおそれがある。かかる観点から、ゴム粒径の下限は0.9μmが好ましい。ゴム粒径の上限は1.6μmが好ましく、より好ましくは1.4μmである。
前記特定の耐衝撃性ポリスチレンを配合した発泡シートが耐熱性に優れている理由としては、基材樹脂中において特定範囲のゴム粒径のゴム領域がドメイン状に分散しているので、加熱時における発泡シートの軟化が軽減されるため、スチレン−メタクリル酸共重合体が有する耐熱性が発現されることが考えられる。これに対し、従来脆性改善に用いられていたスチレン−ブタジエン共重合体は、ブタジエンセグメントがミクロ相分散構造中に均等に分散しているので、加熱時における発泡シートの軟化が急激に起こるため、スチレン−メタクリル酸共重合体が有する耐熱性が発現できなくなるものと考えられる。
また、本発明で用いられる耐衝撃性ポリスチレンはゲル分を含むものである。ゲル分の量は、ポリスチレン系樹脂中のゲル含有量として評価され、該ゲル含有が3〜6重量%であることを要する。該ゲル含有が3重量%未満になると脆性改善効果が不十分となるおそれがある。かから観点から、該ゲル含有量は4重量%以上であることが好ましい。一方、該ゲル含有が6重量%を超えると耐熱性が低下するおそれがある。
本明細書におけるゴム粒径は、耐衝撃性ポリスチレンの超薄切片の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、得られた写真において、分散ゴム粒子500個の粒径を測定し、下記(1)式により算出した値である。なお、ゴム粒子が配向しているものについては、短径と長径との平均値をもって粒径とする。
ゴム粒径=ΣniDi/ΣniDi ・・・(1)
上記(1)式中、niは粒径Diのゴム粒子の数である。
本明細書において、ゲル含有率は、次のようにして測定される。
まず、試料約1.5gを精秤し、100mLの共栓付き三角フラスコに入れ、メチルエチルケトン(MEK)30mLを加えて一昼夜放置し、試料がMEKに溶解しているのを確認した後、10分間振とうする。これを精秤した遠心管に入れ、4000回転/分で40分間遠心分離する。デカンテーションにより遠心分離した上澄み液を捨て、遠心管内壁を少量のMEKで洗浄する。遠心管をドラフト内で1日予備乾燥した後、70℃の真空乾燥機で15時間以上乾燥する。乾燥後、デシケーター内で常温まで冷却した後、遠心管を精秤し、下記の(2)式によりゲル含有率を求める。尚、発泡シートのゲル含有率を測定する場合は、発泡シートから切り出した試験片を試料として使用し、耐衝撃性ポリスチレンのゲル含有率を測定する場合には、耐衝撃性ポリスチレンのペレットを使用する。
ゲル含有率(重量%)=(b−a)/S×100 ・・・(2)
ただし、S:試料の重量、a:遠心管の重量、b:乾燥ゲルと遠心管の合計重量
前記ポリスチレン系樹脂中のスチレン−メタクリル酸共重合体と耐衝撃性ポリスチレンとの重量比は75:25〜90:10である。スチレン−メタクリル酸共重合体の重量比が小さすぎると、発泡シートの耐熱性が低下しすぎるおそれがある。一方、耐衝撃性ポリスチレンの重量比が小さすぎると、発泡シートの耐衝撃性が不十分となるおそれがある。かかる観点から、スチレン−メタクリル酸共重合体と耐衝撃性ポリスチレンとの重量比は、80:20〜88:12が好ましく、より好ましくは82:18〜86:14である。
本発明においては、基材樹脂に、本発明の所期の目的が阻害されない程度に、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂や、ポリフェニレンエーテル系樹脂を添加することができる。但し、その配合量は、基材樹脂全体の20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下である。また、基材樹脂は、スチレン−ブタジエン共重合体や、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体などのエラストマー成分を含まないことが好ましい。
なお、前記基材樹脂中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、無機充填剤、着色剤等を添加することができる。
本発明においては、発泡シートの全体見掛け密度が50〜210kg/mであることを要する。該全体見掛け密度が小さすぎると、機械的強度が低下しすぎて得られた成形体が食品容器として使用できないおそれがある。一方、該全体見掛け密度が大きすぎると、軽量性が失われ、コスト高になるおそれがある。かかる観点から、該全体見掛け密度は65〜210kg/mであることが好ましく、より好ましくは70〜210kg/mである。
本発明においては、全体見掛け密度に対する発泡シートの一方の面側の表層部の見掛け密度の比が1.1〜1.8であることを要する。該比が小さすぎると、発泡シートの靱性が低下し、発泡シートを曲げると、破断しやすくなる。
一方、該比が大きすぎると、表層の樹脂量が全体の樹脂量に対して相対的に多くなるために、後述するポリオレフィン系樹脂フィルムを積層する際に、発泡シート表面を熱融着させるのに適した温度まで伝熱させると発泡シートの気泡が破壊されやくなり、発泡シートの気泡を破壊せずに樹脂フィルムを積層することが難しくなり、熱融着の難度が高くなる。その結果、発泡シートとフィルムとの接着強度が不十分となり、電子レンジ加熱時のデラミネーションが発生し易くなる。かかる観点から、該比は1.2〜1.6であることが好ましい。なお、前記表層部とは、発泡シートの表面から厚み方向に200μmまでの部分を意味する。
該一方の面側の表層部の見掛け密度は、110〜320kg/mであることが好ましく、より好ましくは120〜300kg/mである。
本発明の発泡シートにおいては、靱性と接着性のバランスを取ることが重量である。そのためには、発泡シートの他方の面側の表層部の見掛け密度が一方の面側の表層部の見掛け密度よりも20kg/m以上高いことを要する。表層の見掛け密度が高い他方の面側が表面に現れていることにより、後述するポリオレフィン系樹脂フィルムが積層された積層発泡シートの靱性がより担保される。同時に、表層の見掛け密度が低い一方の面側に対してポリオレフィン系樹脂フィルムが積層されることにより接着性が担保され、接着強度の高い積層発泡シートを得ることが可能になる。かかる観点から、発泡シートの他方の面側の表層部の見掛け密度が一方の面側の表層部の見掛け密度よりも25kg/m以上高いことが好ましく、30kg/m以上高いことがさらに好ましい。その差の上限は概ね50kg/m程度である。
前記表層部の見掛け密度の測定は次のように行なう。
発泡シートの表面から厚み方向200μmの部分をスライスし、幅5mm×長さ20mmの試験片に切りそろえるとともに、試験片の重量と厚みをゲージで測定する。試験片の重量を試験片の体積(幅×長さ×厚み)で割算し、単位換算して表層部の見掛け密度(以下、表層密度ともいう。)を求める。
上記測定を、発泡シートの幅方向に亘って等間隔の10箇所について行い、それらの算術平均値を発泡シートの表層密度とする。
本発明の発泡シートにおいては、平均気泡径は0.02〜0.4mmが好ましく、更に好ましくは0.04〜0.2mmである。平均気泡径が上記範囲内であることにより、発泡シート、さらに積層発泡シートの熱成形性と、得られた容器の強度、外観、印刷適性などの物性とのバランスが特に優れたものとなる。尚、発泡シートの平均気泡径は、主として気泡調整剤の量を調節することによって行われ、耐熱性発泡シートの拡幅比や引取速度の調節、押出直後に発泡中の発泡体に空気を吹きかけて発泡体の表面を急冷すること等によって微調整することができる。
前記平均気泡径は、つぎのように求められる。積層発泡シートの幅方向に亘って等間隔で10箇所、押出方向に垂直方向の断面を顕微鏡で撮影し、各々の断面写真について発泡シートの厚さtを測定する。次に、各断面写真の厚さ方向に直線lを引き、直線lと交わる発泡シートにおける全ての気泡数nを数える。このようにして得られたtとnから各断面写真について気泡径(t/n)を計算し、10箇所の(t/n)の平均を発泡シートの平均気泡径とする。
次に、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート(以下、単に積層発泡シートともいう。)について説明する。
該積層発泡シートは、前記ポリスチレン系樹脂発泡シートの表層部の見掛け密度が低い方の面側に、ポリオレフィン系樹脂フィルムが接着積層されたものである。
前記したように、本発明の発泡シートの一方の表面側と他方の表面側とでは表層部の見掛け密度が異なっており、接着性に優れる一方の表面側にポリオレフィン系樹脂フィルムが接着層を介して接着積層される。なお、表層の見掛け密度が高い前記他方の面側が表面に現れていることにより、積層発泡シートは特に耐衝撃性に優れたものとなる。
該ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、ブロックポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
通常、ポリオレフィン系樹脂フィルム(POフィルム)は、発泡シートと接着させるために接着層が設けられている。接着層を構成する接着剤としては、一般的に使用されるアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、酢酸エチルなどの従来公知の接着剤や、エチレンー酢酸ビニルなどの従来公知の接着性樹脂が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムとポリスチレン系樹脂フィルムとを予め接着させた、所謂PO/PSドライフィルムを用いることもできる。
油分が多い食材用の容器など、特に高い耐熱性が要求される容器に用いられる場合には、耐衝撃性ポリスチレン層を介してポリオレフィン系樹脂フィルムが発泡シートに接着積層されることが好ましい。この場合、耐衝撃性ポリスチレン層の坪量は、70〜200g/mとすることが好ましく、より好ましくは90〜180g/mである。
前記発泡シートと前記ポリオレフィン系樹脂フィルムとの剥離強度は3.0N/25mm以上であることが好ましい。該剥離強度が3.0N/25mm未満になると、電子レンジによる加熱時のデラミネーションが発生するおそれがある。かかる観点から、該剥離強度は3.5N/25mm以上であることがより好ましく、更に好ましくは4.0N/25mm以上である。該剥離強度の上限は、概ね12N/25mmである。
剥離強度の測定は次のように行われる。積層発泡シートから押出方向に沿って幅25mmの試験片を切り出し、JIS Z0237:2009に準拠し、剥離速度条件300mm/minの90°剥離試験にて積層発泡シートから樹脂層を剥離させ、その際の剥離強度を測定する。
本発明の発泡シートの独立気泡率は、熱成形時の二次発泡性や得られる成形体の強度等の観点から、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。
本明細書における発泡シートの独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(無作為に積層シートから25mm×25mm×シート厚みに切断したカットサンプルを、サンプルの厚みの総和が20mmに最も近づくように(ただし、20mmを超えない。)複数枚重ねてサンプルカップ内に収容して測定する。)された積層発泡シート(カットサンプル)の真の体積Vxを用い、下記(3)式により独立気泡率S(%)を計算し、n=5の平均値として求める。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (3)
Vx:上記方法で測定されたカットサンプルの真の体積(cm3)であり、発泡シートを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。
Va:測定に使用されたカットサンプルの外寸から計算されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)。
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)。
ρ:発泡シートを構成する樹脂の密度(g/cm3
次に、本発明の発泡シートの製造方法について説明する。
本発明の発泡シートは、従来公知の所謂押出発泡により得ることができる。即ち、押出機を用いて前記基材樹脂と必要に応じて添加される気泡調整剤等の各種の添加剤を加熱、溶融、混練し、物理発泡剤を圧入してさらに混練した後、目的とする樹脂温度に調整された発泡性溶融樹脂を、ダイを通して大気圧下に押出して発泡させることによって形成される。
発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素、水等の物理発泡剤を用いることができる。この中では、発泡シートの製造が容易で、発泡シートが熱成形性に優れたものとなることから、ブタンが好ましい。
発泡剤の添加量、気泡調節剤の添加量は、基材樹脂の種類・発泡剤の種類、気泡調整剤の種類や、目的とする各発泡層の密度によって適宜選択できるが、通常は、基材樹脂100重量部に対して、発泡剤は0.5〜10重量部、気泡調整剤は0.1〜3重量部である。又、上記発泡時の溶融樹脂混合物の樹脂温度は、基材樹脂の種類、発泡剤の種類、気泡調節剤の種類や、目的とする発泡層の密度によって適宜選択できるが、通常は120〜180℃である。
本発明においては、前記したように、全体見掛け密度に対する発泡シートの一方の面側の表層部の見掛け密度の比を1.1〜1.8とし、他方の面側の表層部の見掛け密度が一方の面側の表層部の見掛け密度よりも20kg/m以上高くすることを要する。表層密度を調整する方法として、押出発泡直後に冷却するために吹き付けるエア量を調整する方法が挙げられる。更に、他方の面側の表層部の見掛け密度を、一方の面側の表層部の見掛け密度よりも20kg/m以上高くするには、一方の面側の冷却エア量を減らす、及び/又は他方の面側の冷却エア量を増やすことで実現可能である。
本発明の発泡シートにおいては、前記したように、その片面にポリオレフィン系樹脂フィルムを積層することができる。
ポリオレフィン系樹脂フィルムを発泡シートに接着層を介して積層する方法としては、(1)ポリオレフィン系樹脂フィルムに接着層が積層された多層フィルムをポリオレフィン系樹脂フィルム面側が表面となるように加熱融着させて積層する方法、(2)ポリオレフィン系樹脂フィルムとポリスチレン系樹脂フィルムとを予め接着層を介して積層接着したフィルム(PO/PSドライラミフィルム)を、ポリオレフィン系樹脂フィルム面側が表面となるように加熱融着させて積層する方法、(3)発泡シートに耐衝撃性ポリスチレン層を押出ラミネートにより形成し、その上にポリオレフィン系樹脂フィルムに接着層が設けられた多層フィルムを、ポリオレフィン系樹脂フィルム面側が表面となるように押圧接着する方法、(4)発泡シートに耐衝撃性ポリスチレン層を押出ラミネートにより形成し、その上にPO/PSドライラミフィルムを、ポリオレフィン系樹脂フィルム面側が表面となるように押圧接着する方法等が挙げられる。
本発明の積層発泡シートは熱成形性に優れるものであり、熱成形により得られる成形体は電子レンジ加熱食品用容器として好適に用いられるものである。
熱成形方法としては、真空成形や圧空成形、更にこれらの応用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた成形方法等が挙げられる。かかる熱成形法は、短時間に連続して容器を得ることができるので、好ましい方法である。尚、積層発泡シートを熱成形する場合、得られる成形体の内側に耐油性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムが位置するように成形することが好ましい。
熱成形により得られた成形体は、主に電子レンジ加熱用途に用いられるトレイ、カップ、丼、弁当箱等の容器として使用することができる。
次に、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートについて、実施例、比較例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
[発泡シートの製造]
製造装置として、第一押出機(スクリュー径115mm)と第二押出機(スクリュー径150mm)と第二押出機の出口に取付けられた口径180mmの環状ダイとを有するタンデム押出機を用いた。
(スチレン−メタクリル酸共重合体)
次に示すスチレン−メタクリル酸共重合体を用いた。
(1)PSジャパン(株)製スチレン−メタクリル酸共重合体:製品名「G−9001」(略称G9001、ビカット軟化温度118℃)
(2)東洋スチレン(株)製スチレン−メタクリル酸共重合体:製品名「T080」(略称T080、ビカット軟化温度117℃)
(耐衝撃性ポリスチレン)
次に示す耐衝撃性ポリスチレンを用いた。
(1)PSジャパン(株)製耐衝撃性ポリスチレン:製品名「H8117」(略称H8117、ゴム粒径1.3μm、ゲル含有量30重量%、ビカット軟化温度95℃)
(2)東洋スチレン(株)製耐衝撃性ポリスチレン:製品名「XL4」(略称KL4、ゴム粒径0.9μm、ゲル含有量21重量%、ビカット軟化温度94℃)
(3)東洋スチレン(株)製耐衝撃性ポリスチレン:製品名「475D」(略称475D、ゴム粒径2.3μm、ゲル含有量21重量%、ビカット軟化温度93℃)
なお、上記ビカット軟化温度は、JIS K7206:1999に基づきA50法により測定される値である。
(その他の樹脂)
(1)旭化成ケミカルズ(株)製スチレン−ブタジエンブロックコポリマー:製品名「タフプレン125」
実施例1〜5、比較例1〜6
表1に示す種類、量のスチレン−メタクリル酸共重合体と、表1に示す種類、量の耐衝撃性ポリスチレン又はスチレン−ブタジエンブロックコポリマーと、表1に示す配合量のタルク(気泡調整剤:松村産業社製ハイフィラー#12)を第一押出機のホッパー上にセットしたバッチ式連続混合装置にて均一に混和した後、第一押出機へ供給した。押出機のシリンダー温度は最高設定温度を240℃とし、混合樹脂を加熱、溶融させ、前記混合樹脂100重量部に対して表1に示す量の混合ブタン(ノルマルブタン35重量%とイソブタン65重量%との混合物)を発泡剤として圧入し、続いて第二押出機にて、表1に示す押出樹脂温度に冷却してから、環状ダイに供給し、ダイのスリットを通して300kg/時の吐出量で円筒状に押出して発泡させ、その直後に、円筒状発泡体の内側と外側に表1に示す量の吹きつけエアーを吹きかけて冷却した。その後、直径670mmの冷却装置(マンドレル)の外面に沿わせて更に冷却しながら引取り、さらに押出方向に沿って2枚に切り開いて幅1050mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの物性を表2に示す。
[ポリオレフィン系樹脂樹脂フィルムの積層]
CPP25μm(サントックスKT)とCPS20μm(大石産業SPH)とがドライラミネートにより積層されたフィルム「CPP/PS45μm無地」と前記耐熱性発泡シートとを、190℃の熱ロールとバックアップロールの間を通して、該フィルムを発泡シートに圧着ラミネートし、積層発泡シートを得た。このとき、ライン速度は17m/min、熱ロールとバックアップロールの間隙を0.5mmに設定した。
得られた積層発泡シートの耐衝撃性、ポリオレフィン系樹脂フィルムの接着性、耐熱性の評価を表2に示す。
[耐衝撃性(衝撃破壊強度)]
実施例、比較例で得られた積層発泡シートの耐衝撃性(靱性)について、下記の試験を行い、下記の基準で評価した。
積層発泡シートから60mm×60mmサイズの試験片11を切り出し、図1に示すように、内径40mmの円形状測定孔12aを有する筒状支持台12の上に、試験片11を表層密度の高い面側(表中、他方の面側)を下にして内径40mmの円形状測定孔13aが形成された固定具13で抑えて固定し、先端に直径20mmの半球を備え、ロードセルが接続されたロッド14を、上方から下降速度500m/minで降下させて試験片11を突き刺し、破壊時の荷重ならびに変位を記録した。得られた測定値について次の基準で評価した。
A:破壊時の荷重が40N以上
B:破壊時の荷重が30N以上40N未満
C:破壊時の荷重が20N以上30N未満
X:破壊時の荷重が20N未満
[ポリオレフィン系樹脂フィルムの接着性評価]
発泡シートとポリオレフィン系樹脂フィルムとの接着性は以下のようにして評価した。積層発泡シートからシートの幅方向に亘って等間隔に5箇所から押出方向に沿って長さ300mm×幅25mmの試験片を切り出し、各試験片に対してJIS Z0237に準拠した方法によりそれぞれの剥離強度を測定し、それらの測定値(n=5)を算術平均することにより剥離強度を求め、次の基準で評価した。
A:剥離強度が4.0N/25mm以上
B:剥離強度が3.5N/25mm以上4.0N/25mm未満
C:剥離強度が3.0N/25mm以上3.5N/25mm未満
X:剥離強度が3.0N/25mm未満
[耐熱性(変形)]
積層発泡シートを熱成形して長辺190mm×短辺140mm×深さ25mmのトレー形状の成形体を得、得られた成形体を用いて電子レンジ試験を実施した。具体的には上記成形品に市販のレトルトカレー90gを入れ、蓋をして、600Wで1分30秒間加熱した。なお、蓋は、トレーのフランジと嵌合可能で、蒸気逃がしを備えた熱成形されたポリスチレン製の蓋を用いた。加熱前後の成形体の長辺寸法及び短辺寸法をそれぞれ測定し、加熱前の長辺寸法と加熱後の長辺寸法との差の絶対値(長辺寸法差)と、加熱前の短辺寸法と加熱後の短辺寸法との差の絶対値(短辺寸法差)とを求めた。長辺寸法差と短辺寸法差のうち大きい方の値を加熱寸法差とし、次の基準で評価した。
A:加熱寸法差が1mm未満
B:加熱寸法差が1mm以上3mm未満
X:加熱寸法差が3mm以上
[耐熱性(デラミネーション試験)]
上記変形評価の試験で、加熱後の成形体を観察し、次の基準で評価した。
A:デラミネーションの発生なし
B:注意深く観察しないと認識できないレベルのデラミネーションが発生
X:容易に認識可能なレベルのデラミネーションが発生
(熱流束示差走査熱量測定法におけるステージの比率)
各発泡シートから試験を切り出し、JIS K7121−1987に基づく熱流束示差走査熱量測定法により、試験片の状態調節として「一定の熱処理を行なった後、ガラス転移温度を測定する場合」を採用し、加熱速度20℃/分で加熱してDSC曲線を得た
スチレン−メタクリル酸共重合体と耐衝撃性ポリスチレンとの混合物は、図2に示すように、低温側と高温側の2つのステージが現れる。低温側のステージは耐衝撃性ポリスチレンのガラス転移に基づいて現れるものであり、高温側のステージはスチレン−メタクリル酸共重合体のガラス転移に基づいて現れるものであり、これらのステージは、基材樹脂を構成するスチレン−メタクリル酸共重合体と、耐衝撃性ポリスチレンとは相容性に乏しいことにより現れるものである。
低温側ステージ(C)と高温側ステージ(D)の比率は、図1に示すように作図し、低温側ステージ(C)の高さと高温側ステージ(D)の高さを測定し、(C/(C+D))×100を低温側ステージ(C)の比率とし、(D/(C+D))×100を高温側ステージ(D)の比率とした。
これらのステージの比率は、スチレン−メタクリル酸共重合体と耐衝撃性ポリスチレンの配合比率に相関して定まる。すなわち、例えば、基材樹脂中のスチレン−メタクリル酸共重合体と耐衝撃性ポリスチレンとの重量比が80重量%であれば、高温側のステージの全体のステージに対する比率は約80%となる。
A 低温側ガラス転移温度
B 高温側ガラス転移温度
C 低温側ステージ
D 高温側ステージ
11 試験片
12 筒状支持台
12a 円形状測定孔
13 固定具
13a 円形状測定孔
14 ロッド





Claims (4)

  1. ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡シートにおいて、
    該ポリスチレン系樹脂は、スチレン−メタクリル酸共重合体と、粒径0.8μm以上1.8μm未満のゴムを含むと共にゲル分を含む耐衝撃性ポリスチレンとの混合物であり、
    該ポリスチレン系樹脂中の該スチレン−メタクリル酸共重合体と該耐衝撃性ポリスチレンとの重量比が75:25〜90:10であり、
    該ポリスチレン系樹脂中の前記耐衝撃性ポリスチレンに由来するゲル分の含有量が3〜6重量%であり、
    該発泡シートの全体見掛け密度が50〜210kg/mであり、
    且つ該全体見掛け密度に対する発泡シートの一方の面側の表層部の見掛け密度の比が1.1〜1.8であると共に、
    他方の面側の表層部の見掛け密度が前記一方の面側の表層部の見掛け密度よりも20kg/m以上高いことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート。
  2. 請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの前記一方の面側に、ポリオレフィン系樹脂フィルムが接着積層されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂発泡シートと前記ポリオレフィン系樹脂フィルムとの剥離強度が3.0N/25mm以上であることを特徴とする請求項2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  4. 請求項2又は3に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形することにより得られたポリスチレン系樹脂積層発泡成形体。




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