JP2013227549A - ポリスチレン系樹脂発泡シート、及び、積層発泡シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡剤を含むポリスチレン系樹脂組成物が押出発泡されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートであって、少なくとも一方の表面がJIS B0601:2001の輪郭曲線の最大高さが30μm以上100μm以下となる表面粗さを有し、該表面から厚み方向0.2mm深さまでの平均密度が0.14g/cm3以上0.20g/cm3以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートを提供する。
【選択図】 図1
Description
特に、積層発泡シートに真空成形やプレス成形などの熱成形を実施して得られる発泡樹脂成形品は、一般に表面の平滑性や強度においてポリスチレン系樹脂発泡シート単体を熱成形した発泡樹脂成形品に比べて優れており、この種の特性が求められる用途に広く用いられている。
このような要望に関しては、前記積層発泡シートにおいても同じであるが、ポリスチレン系樹脂発泡シートに発泡剤を残存させていると、積層発泡シートを形成させるべく樹脂フィルムを当該ポリスチレン系樹脂発泡シートに熱接着させようとした際に前記発泡剤によって熱接着が阻害される場合がある。
このようなことに対し、例えば、下記特許文献1(段落〔0084〕等参照)においては、ガラス転移温度の高いポリスチレン系樹脂が用いられてなるポリスチレン系樹脂発泡シートの表面を通常のものよりも平滑にして樹脂フィルムとの熱接着性を改善することが検討されている。
本発明の積層発泡シートは、熱成形に用いられるもので、ポリスチレン系樹脂発泡シート(以下「単に発泡シート」ともいう)の片面、又は、両面に樹脂フィルムが熱接着されて形成されている。
本実施形態においては、例えば、1.0mm〜3.5mm程度の厚みを有する発泡シートに、10μm〜200μmの樹脂フィルムを熱接着させたものを採用することができる。
本実施形態においては、少なくとも、前記樹脂フィルムが熱接着される側の表面1a(以下「熱接着面1a」ともいう)から厚み方向0.2mm深さまでの平均密度(以下「表層密度」ともいう)が0.14g/cm3以上0.20g/cm3以下の発泡シート1を積層発泡シートの形成に用いることが重要であり、且つ、この表面1aが所定の表面粗さを有している発泡シート1を用いることが重要である。
具体的には、発泡シート1の前記熱接着面1aは、JIS B0601:2001の輪郭曲線の最大高さが30μm以上100μm以下となる表面粗さを有していることが重要である。
一方で、表層密度だけを極端に向上させることは通常の製造方法では難しいために表層密度の過度に高い発泡シートを通常の製造方法で得ようとすると発泡シートの軽量性が損なわれてしまうおそれを有する。
即ち、本実施形態において表層密度が0.14g/cm3以上0.20g/cm3以下の発泡シートを積層発泡シートの形成に用いるのは、当該積層発泡シートを樹脂フィルムと発泡シートとの剥離強度に優れたものとし、且つ、軽量性と強度に優れた発泡樹脂成形品の形成に有用なものとするためである。
例えば、キーエンス社から商品名「ダブルスキャン高精度レーザー測定器LT−9500」、「ダブルスキャン高精度レーザー測定器LT−9010M」といった商品名で市販されている測定装置と、コムス社から商品名「MAP−2DS」で市販されている非接触輪郭形状粗さ測定システムとを用い、測定条件は測定範囲10000μm、測定ピッチ10μm、測定速度1000μm/秒、評価長さ(Ln)4.0mm、基準長さ(L)0.8mm、光量40に設定、平均フィルター4、ノイズフィルター1として測定することができる。
なお、発泡シートの輪郭曲線の最大高さ(Rz)は、より具体的には、後段の実施例において記載の方法に基づいて測定することが出来る。
例えば、本実施形態における前記発泡シート1としては、全体としての見掛け密度が0.05g/cm3を超え0.15g/cm3未満で連続気泡率が0〜50%程度のものを採用することができる。
また、本実施形態における前記発泡シート1としては、ポリスチレン系樹脂の1種以上からなるベースポリマー、各種添加剤、及び、発泡のための成分を含有させたポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させて形成させたものを採用することができる。
また、前記ビニル系単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートなどが挙げられる。
なかでも、前記ベースポリマーとしては、スチレン単独重合体(GPPS)が好適である。
なお、これらの発泡剤は単独で使用されても複数併用されてもよい。
さらには、加熱分解型の発泡剤としても機能するアゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物なども前記気泡核剤として用いることができる。
まず、この発泡シートを製造するための装置について図2、図3を参照しつつ説明する。
図2は、本実施形態の発泡シートの製造方法に用いられる製造装置の一例を示す構成図であり、サーキュラーダイから発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡して筒状の発泡体を形成させた後、該筒状の発泡体を冷却マンドレルの外周に沿わせて冷却し、冷却された発泡体を上下に二分割してロールに巻き取る様子を示したもので図3は、図2の破線丸囲いAで示した部分の詳細を示すべく拡大した断面図を表している。
そして、この上流側押出機70aの下流側には、ベース樹脂と発泡剤とを含有するポリスチレン系樹脂組成物をさらに溶融混練して合流金型90に吐出するための押出機(以下「下流側押出機70b」ともいう)が備えられており、該下流側押出機70bは、溶融状態の前記ポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡に適した溶融温度となるように調節した上で前記合流金型90を介して前記サーキュラーダイ100に供給すべく備えられている。
該樹脂流路101は、前記ダイスリット110の直径よりも小径な筒状となっており、前記合流金型側において直径を一定させ、その後、前記ダイスリット110に向けて一定の割合で拡径された状態となっている。
従って、前記ダイスリット110からは、外向きに広がるラッパ状の形状となって前記発泡体FBが押出されることになる。
この冷却装置CR1、CR2は、室温〜40℃程度の温度の空気(冷却風)を前記ダイスリット110から押出された直後の発泡体FBに内外から周方向に略均一な風量で吹き付けうるように構成されている。
なお、この冷却マンドレル200は、その外径が前記ダイスリット110の口径(D:吐出口の中央部を通る円の直径)に対して3.0〜5.0倍のものを用いることができる。
まず、タンデム押出機70のホッパー71から発泡シート1の形成に用いる材料を投入し、上流側押出機70aの内部で樹脂の溶融温度以上の温度に加熱し、ガス導入部72から発泡剤を圧入して、溶融樹脂と混合する。
その後、下流側押出機70bで押出発泡に適した温度に調整してサーキュラーダイ100のダイスリット110から円筒状に押出し、押出された発泡体FBをその内外から冷却装置CR1、CR2によって冷却した後、冷却マンドレル200に沿わせてさらなる冷却を実施する。
具体的には、発泡シートの表面粗さ(輪郭曲線の最大高さ)を30μm以上もの荒れた状態にさせるには、前記冷却装置CR1による冷却条件を一般的な発泡シートの製造時よりもマイルドなものにすることが有効である。
即ち、通常の発泡シートを製造する場合に比べて時間をかけて冷却することが前記表面粗さを発泡シートに付与する上において有効である。
従って、一定以上の風量は確保させつつも、マイルドな冷却条件とすることが所望の表面粗さと表層密度とを発泡シートに形成させる上において重要である。
具体的には、冷却装置CR1の空気吹出口301の幅を広げてそれ以前と同じ風量での冷却を実施させつつ吹出させる空気の速度を低下させて発泡体FBに対して局所的に強い冷却が行われることを防止したり、空気の速度は同じでも、発泡体FBに対して低い角度で空気が当たるように角度調整を行ったりすればよい。
その具体的な例を挙げると、延伸、又は、非延伸のポリスチレン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとがドライラミネートされた複合フィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。
具体的には、加熱されたローラーを樹脂フィルムの背面側に当てて該ローラーで樹脂フィルムを加熱しつつ前記ローラー当接面とは逆側の面を前記発泡シート1の熱接着面1aに当接させて熱接着させる方法などが採用可能である。
そして、この積層発泡シートの優れた剥離強度は、該積層発泡シートを熱成形して得られる発泡樹脂成形品にも反映されることから、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形、プレス成形といった各種の熱成形によって本実施形態の積層発泡シートで食品収容用容器などの発泡樹脂成形品を形成させた場合には、樹脂フィルムに部分的な剥離(浮き)が生じにくく、歩留まり良く発泡樹脂成形品を作製させることができる。
なかでも、アルミニウム粉末とバインダー樹脂とを含有する金属光沢塗料が透明樹脂フィルムの一面側に部分的に塗布されて塗膜が形成されており、該塗膜による意匠を前記透明樹脂フィルムを通じて他面側から視認させるべく前記塗膜形成面を前記発泡シートに熱接着させて積層発泡シートを形成させる際には、前記金属光沢塗料による塗膜形成箇所に樹脂フィルムの浮きを発生させ易い状況にあったが、本実施形態の発泡シートを用いることで、この種の積層発泡シートにおいても優れた剥離強度を発揮させ得る。
これらの表面粗さを以下に示す方法にて測定した。
この表面粗さの測定結果を、表層密度の測定結果とともに下記表1に示す。
(表面粗さの測定)
作製した発泡シートから採取した試験片に対し、前記のキーエンス社の測定装置と、コムス社製の非接触輪郭形状粗さ測定システムとを用い、前記の条件(測定範囲10000μm、測定ピッチ10μm、測定速度1000μm/秒、評価長さ(Ln)4.0mm、基準長さ(L)0.8mm、光量40に設定、平均フィルター4、ノイズフィルター1)にて輪郭曲線の最大高さ(Rz)、及び、輪郭曲線の算術平均高さ(Ra)を測定した。
なお、発泡シートから採取する試験片の大きさは、幅100mm×長さ100mmとし、採取する試験片の数は、押出方向(MD)に直交し且つ発泡シートの表面に沿った方向(TD)に略等間隔となるように5個採取した。
そして、各試験片に対し、冷却装置(図3のCR1)で冷やされた側の発泡シート表面(1a)の押出方向(MD)における輪郭曲線を採取し、前記基準長さの範囲における平均線からの最も高い山頂までの距離と、最も深い谷底までの距離とを加算して前記輪郭曲線の最大高さ(Rz)の大きさを求めた。
また、前記平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、基準長さで平均した値の平均値にて輪郭曲線の算術平均高さ(Ra)を求めた。
これらロットナンバー#1〜#8の発泡シートについて、厚み20μmのポリスチレン樹脂フィルムをヒートラミネートし、「浮き」の発生有無を目視にて観察した。
結果を表1に示す。
前記ヒートラミネートによって得られた積層発泡シートから、巾15mm×長さ100mmの短冊状試験片を長手方向が発泡シートの押出方向(MD)となるように切り出した。
この短冊状試料の長手方向一端側からポリスチレン樹脂フィルムを他端側に向かって少しの区間(20mm未満)剥離して、剥がし始めのポリスチレン樹脂フィルムの端を引張試験機(オリエンテックコーポレーション社製、「テンシロンRTM−500」)にセットし、剥離方向が90度となるように短冊状試料を保持しつつ、200mm/分の引張速度でポリスチレン樹脂フィルムの剥離試験を実施した。
その結果、発泡シートに破壊が生じることなく、ポリスチレン樹脂フィルムと発泡シートとの界面部で剥離したものについては、接着強度不足として「×」判定とし、発泡シートが破壊したものは「○」判定とした。
結果を、表1に示す。
前記積層発泡シートを、ポリスチレン樹脂フィルムが容器内側となるようにして熱成形し、長さ150mm×幅130mm×深さ30mmのトレー容器を作製した。
このトレー容器を幅方向が垂直方向となるようにして立てた状態で保持し、その上端側に位置する容器の長辺側壁部全長を(株)オリエンテック製の「テンシロン万能試験機RTC−1310A」を用いて400mm/minの速度で下方側に押圧し、幅方向に10mm圧縮するまでの最大応力を圧縮強度(gf)として測定した。
この圧縮強度は、「腰強度」などとも呼ばれ、この腰強度が低ければ、ラップ掛けなどする際にラップのたわみ量が増加したり、トレー容器を手に取った際のたわみ量が大きく実用に耐え難くなるため、一般的に求められている650gfを合否判定基準として評価した。
結果を表1に示す。
Claims (2)
- 発泡剤を含むポリスチレン系樹脂組成物が押出発泡されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートであって、
少なくとも一方の表面がJIS B0601:2001の輪郭曲線の最大高さが30μm以上100μm以下となる表面粗さを有し、該表面から厚み方向0.2mm深さまでの平均密度が0.14g/cm3以上0.20g/cm3以下であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート。 - 発泡剤を含むポリスチレン系樹脂組成物が押出発泡されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の表面に樹脂フィルムが熱接着されている積層発泡シートであって、
少なくとも一方の表面がJIS B0601:2001の輪郭曲線の最大高さが30μm以上100μm以下となる表面粗さを有し、該表面から厚み方向0.2mm深さまでの平均密度が0.14g/cm3以上0.20g/cm3以下のポリスチレン系樹脂発泡シートの前記表面に前記樹脂フィルムが熱接着されていることを特徴とする積層発泡シート。
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