JP6310832B2 - 板状発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この種の板状発泡体は、軽量でありながら強度に優れることから、例えば、展示用パネルの台紙や折箱などの形成材料として広く用いられている(下記特許文献1参照)。
かかる知見に基づいて本発明者らがさらに鋭意研究を行ったところ、サーキュラーダイから筒状に押出発泡させた直後の筒状の発泡体の外表面温度の差を特定の範囲に調整しつつ板状発泡体を製造することによって、カールが抑制された板状発泡体が得られることを見出した。また、このようにカールが抑制された板状発泡体では、両面側での表面密度の差が特定の範囲にあることを見出して、本発明を完成させるに至った。
ポリスチレン系樹脂を発泡剤とともにサーキュラーダイから押出発泡させて筒状の発泡体を形成させた後、該発泡体を挟圧して該発泡体の内面を熱融着させて形成された板状発泡体であって、
全体の密度が0.035g/cm3〜0.110g/cm3であり、
外表面から0.2mmまでの領域の表層密度が0.080g/cm3〜0.300g/cm3であり、
両面側間の前記表層密度の差が0.010g/cm3未満である。
ポリスチレン系樹脂を発泡剤とともにサーキュラーダイから押出発泡させて筒状の発泡体を形成させた後、該発泡体を挟圧して該発泡体の内面を熱融着させて板状発泡体を製造する板状発泡体の製造方法であって、
前記サーキュラーダイから押出発泡させた直後における前記筒状の発泡体の周方向の外表面温度差が2℃以内になるように温度調整を行う。
前記サーキュラーダイの吐出口から前記筒状の発泡体の最大径に到達するまでの距離をLとしたとき、前記吐出口からL/10以上の長さの範囲で前記筒状の発泡体を覆う保温部材を用いて前記温度調整を行うことが好ましい。
また、ここでは、本実施形態の板状発泡体の製造方法を説明しつつ、該製造方法によって製造された本実施形態の板状発泡体について説明する。
なお、図1〜図3において、矢印Xは押出方向、すなわち、発泡体の進行方向を示している。また、矢印Y方向は幅方向、すなわち、押出方向(発泡体の進行方向)と垂直な方向を示している。本実施形態では、押出方向として水平方向、を採用するが、押出方向は、水平方向に限定されるものではない。
また、図1、図2において、符号100はサーキュラーダイであり、該サーキュラーダイ100よりも上流側の押出機等の装置については説明を省略する。
即ち、前記サーキュラーダイ100は、前記吐出口100aの中心を通る水平な仮想線を中心とした円筒状に前記筒状発泡体200を押出発泡させ得るように配されている。
さらに、本実施形態に係る板状発泡体の製造装置は、穿孔装置106を前記ピンチロール101と前記ガイドローラー102との間に備えている。穿孔装置106は、前記ピンチロール101によって筒状発泡体200の内面を熱融着させるのに際して当該筒状発泡体200の内部の気体を外部に逃がすためのガス抜き穴を筒状発泡体200の左右において穿設するためのものである。該穿孔装置106は、回転可能なローラーに周設された複数の針状物を備えている。該穿孔装置106は、針状物によって穿孔されたガス抜き穴が、筒状発泡体200の折り返し部分2011、2012に位置するように、筒状発泡体200の左右に1つずつ配されることが望ましい。
この保温部材103によって、筒状発泡体200から熱が逃げることを抑制し、冷却の原因となる空気が筒状発泡体200に接触することを抑制しつつ、筒状発泡体200と保温部材103との間に空気を滞留させることができる。これにより、筒状発泡体200の周方向において冷却のバラツキが発生することを抑制して、筒状発泡体の周方向における外表面温度のバラツキを抑制できる。
本実施形態では、保温部材103は筒状に形成されており、具体的には円筒状に形成されている。また、保温部材103は、押出方向上流側の端面がサーキュラーダイ100の吐出口100aと面一となるように配され、且つ、該吐出口100aから押出方向下流側に向かって延在するように配されている。
保温部材103の直径は、筒状発泡体200の最大径(最大直径)Rに対し、絶対値として20%以上であることが好ましく、50%以上110%以下であることがより好ましい。
具体的には、サーキュラーダイ100の吐出口100aと、押出方向下流側(図1、図3の右側)に該吐出口100aからL/10以上離れた位置との間の範囲で、筒状発泡体200を覆うことが好ましい。
また、サーキュラーダイ100の吐出口100aからL/10以上L/1.25以下の長さで該筒状発泡体200を覆うことがより好ましく、L/3.5以上L/1.5以下の長さがさらに好ましい。
なお、図1〜図3では、保温部材が、サーキュラーダイ100の吐出口100aからこれよりも押出方向下流側に向けて延在している態様を示す。
また、筒状発泡体200と保温部材103との間隔は、保温部材103が筒状発泡体200の膨張の妨げにならず、保温作用を発揮し得るように適宜設定されればよい。例えば、筒状発泡体200と保温部材103とを最短で結ぶ距離が、5cm〜30cmであることが好ましく、10cm〜20cmであることがより好ましい。
また、保温部材103は、吐出口100aの押出方向下流側の位置に配されることが好ましい。
また、筒状発泡体200の材質は特に限定されるものではないが、局所的な冷却を防止する点で、熱伝導率の低い素材によって形成されていることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂を発泡剤とともにサーキュラーダイ100から押出発泡させて筒状発泡体200を形成させた後、該発泡体200を挟圧して該発泡体200の内面を熱融着させて形成された板状発泡体203の製造方法であって、
前記サーキュラーダイ100から筒状に押出発泡させた直後の前記筒状発泡体200の周方向の外表面温度差が2℃以内になるように温度調整を行う。
なお、板状発泡体203の全体の密度、厚み、長さ及び幅は、後述する実施例に示す方法によって測定した値である。
前記芳香族ビニル単量体は、共重合可能な単量体と組み合わせて使用してもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物、イミド系単量体、アクリル系単量体が例示できる。
例えば、前記気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズなどの無機化合物、ポリテトラフルオロエチレン、などの有機化合物などが採用可能である。
前記発泡剤としては、熱分解してガスを発生させる化合物粒子を採用することも可能であり、該化合物粒子としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などを用いることができる。
全体の密度は、後述する実施例に記載された方法で測定することができる。
板状発泡体203の表層密度も、後述する実施例に記載された方法で測定することができる。
また、上記表層密度が測定される板状発泡体203の外表面は、上述した上半分(上シート)201の外表面(上面)側及び下半分(下シート)203の外表面(下面)である。また、上記両面側における表層密度の差は、上シート201の外表面から0.2mmまでの領域の表層密度と、下シート203の外表面から0.2mmまでの領域の表層密度との差である。
板状発泡体203の全体の密度は、後述する実施例に記載された方法で測定し得る。
また、同様の観点から、上記表層密度の差は、好ましくは0.008g/cm3以下、より好ましくは0.005g/cm3以下である。
なお、本実施形態の板状発泡体の製造方法によって作製される板状発泡体は、特にその用途を展示パネルの台紙に限定するものではなく、各種用途に用いることができるものであり、本発明は上記例示に限定されるものではない。
ポリスチレン樹脂:商品名「HRM−48」、東洋スチレン社製
直径64cmであり、幅を表1のように変更した円筒状の保温部材を用いた。また、保温部材を、その押出方向上流側の端面がサーキュラーダイの吐出口と面一になるように配した。
2台の押出機が連結されたタンデム押出機の上流側の押出機にポリスチレン樹脂と気泡調整剤であるタルクとを前記ポリスチレン樹脂100質量部に対するタルクの割合が1.5質量部となるようにして供給し、この上流側の押出機に前記ポリスチレン系樹脂100質量部に対する割合が4.5質量部となる割合で発泡剤であるブタンを圧入して該押出機内で溶融混練し、この溶融混練物を連続的に下流側の押出機に供給し、該下流側の押出機で樹脂温度を150℃に冷却して、押出機先端に取り付けたサーキュラーダイより押出発泡させ、筒状の発泡体を形成させた。サーキュラーダイと一対のピンチロールのニップ部との最短距離を150mmに設定した。
形成させた筒状発泡体は押出直後に保温部材を用いて外表面温度の差を調整しつつ、ピンチロールに導入させた。
また、穿孔装置によってガス抜き穴を穿設させつつ前記筒状発泡体を当該ピンチロールで上下から挟んで内面を熱融着させ1枚の板状発泡体とした。
また、製造中、押出発泡直後の発泡体の外表面温度、筒状発泡体の最大径R及び、サーキュラーダイの吐出口から該最大径に到達するまでの距離Lを、下記のようにして測定した。結果を表1に示す。
押出発泡直後の発泡体の外表面温度、すなわち、吐出口から押出方向下流側に2cm離れた位置での筒状発泡体の最上部と最下部の外表面温度を、堀場製作所社製放射温度計IT−550を用いて測定した。なお、予備実験により、最も外表面温度が高い部分として最上部、最も外表面温度が低い部分として最下部を選択した。
吐出口100aから押出方向下流側にあるピンチロール101までの範囲において、吐出口100aから押出発泡させて形成された筒状発泡体200の最大幅(水平方向の最大幅)を最大径Rとした。
吐出口100aから上記最大径Rまでの最短距離を距離Lとした。
保温部材を用いないこと以外は実施例1〜6と同様にして、比較例1〜6の板状発泡体を製造した。また、上記と同様にして、最大径R及び距離Lを測定した。結果を表1に示す。
下記のようにして、実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた板状発泡体の特性値を測定した。結果を表1に示す。
JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に基づいて測定した。
板状発泡体の幅方向の両端20mmを除いた部分を、幅方向50mm間隔の位置を測定点とした。この測定点をダイヤルシックネスゲージSM−112(テクロック社製)を使用し、厚みを最小単位0.1mmまで測定した。この測定値の平均値を、板状積層体の厚み〔mm〕とした。
板状発泡体の上表面側及び下表面側の表層密度を、下記のようにして測定した。
スライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB−320−D)にて、試験片を外表面より0.2mmの厚みにスライスしたものを幅25mm、長さ150mmにカットした後、その質量と体積を測定し、下記の計算式より表層密度を算出した。
表層密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(mm3)×103
ただし、測定用試験片は、成形後の72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃・50RH%±5RH%、または27℃±2℃・65RH%±5RH%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
上述のようにして測定した両面側の表層密度から、その差の絶対値を算出した。
カールの発生を、以下のようにして調べた。
・MD方向のカール
図4(a)に示すように、平坦な台上に、上方に突出するように板状発泡体を静置したとき、押出方向(X方向)の端縁における最も高く位置する内面と、台とを最短で結ぶ距離Dを、カールの程度として測定した。
・TD方向のカール
図4(b)に示すように、平坦な台上に、上方に突出するように板状発泡体を静置したとき、押出方向と垂直な方向(Y方向)の端縁における最も高く位置する内面と、台とを最短で結ぶ距離Dを、カールの程度として測定した。
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂を発泡剤とともにサーキュラーダイから押出発泡させて筒状の発泡体を形成させた後、該発泡体を挟圧して該発泡体の内面を熱融着させて形成された板状発泡体であって、
全体の密度が0.035g/cm3〜0.110g/cm3であり、
外表面から0.2mmまでの領域の表層密度が0.080g/cm3〜0.300g/cm3であり、
両面側間の前記表層密度の差が0.010g/cm3未満である板状発泡体。 - 請求項1に記載された板状発泡体の製造方法であって、
ポリスチレン系樹脂を発泡剤とともにサーキュラーダイから押出発泡させて筒状の発泡体を形成させた後、該発泡体を挟圧して該発泡体の内面を熱融着させて板状発泡体を製造し、
前記サーキュラーダイから押出発泡させた直後における前記筒状の発泡体の周方向の外表面温度差が2℃以内になるように温度調整を行う板状発泡体の製造方法。 - 前記サーキュラーダイの吐出口から前記筒状の発泡体の最大径に到達するまでの距離をLとしたとき、前記吐出口からL/10以上の長さの範囲で前記筒状の発泡体を覆う保温部材を用いて前記温度調整を行う、請求項2に記載の板状発泡体の製造方法。
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