当業者であれば、本開示のさまざまな態様が、意図された機能を果たすように構成された任意の数の方法および器具によって実施可能であることを容易に認識するものである。換言すると、意図された機能を実施するために本明細書中に他の方法および器具を組込むことも可能である。同様に、本明細書で言及されている添付図面の図が全て一定の縮尺で示されておらず、本開示のさまざまな態様を示すために誇張されている可能性があり、この点で図面の図は限定的なものとみなされるべきものではないことも、指摘しておかなければならない。最後に、本開示は、さまざまな原理および信念に関連して記述できるものの、本開示が理論によって束縛されることがあってはならない。
本明細書中で使用する「バルーンアセンブリ」とは、鋳型(本明細書中に記載)、サイズ制限層(本明細書中に記載)、カテーテル、遠位キャップ(「オリーブ」)、カバーまたは他の器具などの1つ以上の他の構成要素と結合されたバルーンを意味する。
本明細書中で使用される「サイズ制限(する)」という用語は、材料または構成要素がそれを超えて大幅に拡張、膨満および/または変形することのない膨満または変形の上限を有することを意味する。例えばサイズ制限されたバルーンは、最大直径まで膨張させることができ、ひとたびこの直径に達した時点で、圧力がさらに増大してもその直径の大幅な増加がひき起こされることはない。図1に反映されているように、非コンプライアントバルーン(線C)は、サイズ制限されたバルーンであり、従来のコンプライアントバルーン(線A)および半コンプライアントバルーン(線B)は、サイズ制限されたバルーンではない。したがって、本明細書中で使用される「コンプライアントバルーン」とは、コンプライアントバルーンと半コンプライアントバルーンの両方、またはサイズ制限されていないバルーンで、内部圧力の増大につれて破損点、例えばバルーン壁の破断まで拡張、膨満および/または変形し続けるバルーンを意味する。本開示の一部の実施形態によると、記載されている「コンプライアント」バルーンがそのように呼ばれる理由は、記載のバルーンが一般に従来の「コンプライアント」バルーンのようにそれらの周囲環境(例えば周囲の生体構造または血管)の形状に適合し、例えば記載の「コンプライアント」バルーンの一部分は、鋳型から外向きに拡張して突出部分を形成することができるということにある。
本明細書中で使用される「膨張する」という用語は、液体(例えば生理食塩水)、ゲルまたは気体などの流動性物質を導入すること(例えば流体の流入)によって充填するかまたは拡張をひき起こすことを意味する。
本明細書中で使用される「膨張(した)」という用語は、バルーンが収縮状態から拡張し始める内部圧力または体積よりも大きい内部圧力または体積にあるバルーンを意味する。本明細書中で使用する「第1の膨張状態」とは、場合によってアパーチャ(単複)の部位におけるわずかな陥凹に関して以外、全体として平滑なまたは均一な表面を伴うバルーンを結果としてもたらす第1の圧力または第1の体積にある膨張したバルーンを意味する。本明細書中で使用する「第2の膨張状態」とは、変化に富むトポグラフィを有するバルーンを結果としてもたらす第1の圧力または第1の体積よも大きい第2の圧力または第2の体積にある膨張したバルーンを意味する。本明細書中で使用する「変化に富むトポグラフィ」とは、テクスチャード加工された、凹凸のある、畝のあるまたは他の3次元の表面を有するバルーンアセンブリの表面を意味する。
本明細書中で使用する「細長い要素」という用語は、一般に、管腔内デバイス送出要素(例えばバルーンカテーテルなどのカテーテルベースの管腔内デバイス送出要素)と共に相対的に軸方向移動するように構成された任意の要素であり、内部に管腔が貫通しているまたはしていない任意の長手方向に延在する構造を含む。したがって、細長い要素としては、管腔を伴う管(例えばカテーテル)、中実ロッド、中空または中実ワイヤ(例えばガイドワイヤ)、中空または中実スタイレット、金属管(例えばハイポチューブ)、ポリマー管、プルコードまたはテザー、ファイバー、フィラメント、導電体、放射線不透過性要素、放射性要素およびX線写真要素が含まれるが、これらに限定されない。細長い要素は、任意の材料であり得、楕円形、非楕円形または無作為の断面形状を含む(ただしこれに限定されない)任意の横断面形状を有することができる。
本明細書中に記載の通り、体内で使用されるバルーンアセンブリは、一般にバルーンアセンブリの外部表面との接触を通して身体と相互作用する。したがって、バルーンアセンブリの表面トポグラフィは、バルーンアセンブリと身体または身体の内部のデバイスとの間の物理的相互作用に影響を及ぼすことができる。バルーンのトポグラフィまたは3次元表面特性を制御する能力は、バルーンアセンブリが新規のまたは改良された様式で身体と相互作用できるようにする。制御可能な可変的トポグラフィのバルーンアセンブリを使用してさまざまな利点を実現することができる。例えば、カテーテルと共に使用できるバルーンアセンブリなどのバルーンアセンブリを、身体の管腔内に挿入することができる。バルーンアセンブリは、さまざまな形で身体と相互作用することができ、これは改善された結果を生み出すトポグラフィを設計することで促進される。この点で、例えば、変化に富むトポグラフィを有するバルーンは、血管壁との係合を改善することおよび/または例えば血管壁または体内プロテーゼの壁からの動脈硬化性プラークまたは血栓の除去能力を改善することができる。
選択された部位においてバルーンの拡張を選択的に制約することによって、バルーンアセンブリのトポグラフィを変化させることができる。例えば、図2Aを参照すると、バルーンアセンブリ200の概略図が示されている。図2B(1)〜2B(3)は、収縮状態(図2B(1))、全体として均一なまたは平滑な表面を有する第1の膨張状態(図2B(2))、および変化に富むトポグラフィを有する第2の膨張状態(図2B(3))における変化に富むトポグラフィのバルーン200を示す。図2B(4)は、変化に富むトポグラフィのバルーン200の突出部分212のクローズアップ断面図を示す。
バルーンアセンブリ200は、バルーン210と鋳型220を含む。バルーン210は、鋳型220に沿って、鋳型220の下にまたは上に配置され得る。アセンブリ200はさらにカテーテル202を含むことができ、このカテーテル202に対してバルーン210および鋳型220が取付けられる。カテーテル202は、バルーン210と流体連通状態で示されており、こうしてカテーテル202を通してバルーン210内に流体を導入することができる。カテーテル202は、シリンジ、インデフレータ、ポンプまたはカテーテル202を通してバルーン210内へと流体を導くための他の任意の器具などの好適な任意の医療デバイスに結合され得る。
鋳型220は、少なくとも1つのアパーチャ221を含む上にあるかまたは下にある構造であり得る。鋳型220は、膨張中、バルーン210の一部分を制約する。この点において、バルーン210は第2の膨張状態まで膨張させられ、鋳型220の拘束作用は、以下でさらに詳述する通り、バルーン210を鋳型220内でアパーチャ221において膨満させる。
本開示のバルーンアセンブリの動作は、バルーンアセンブリ300の縦断面を示す図3A(1)〜3A(3)および3B(1)〜3B(3)中にさまざまな実施形態について概略的に示されている。図3A(1)〜3A(3)において、バルーン310は、アパーチャ321を特色とする鋳型320の下にある。図3B(1)〜3B(3)において、バルーン310は鋳型320の上にあり、鋳型320は膨張中バルーンに接着している。これらの図において、バルーン310と鋳型320は軸「A」と整列させられた状態で示されている。軸「A」は、カテーテルの長手方向軸を含み得る。
第1の膨張状態は、図3A(2)および3B(2)中に示されている。図3A(2)を参照すると、バルーン310は、鋳型320の下に「R1」として示された外側半径を有し、鋳型320は「R2」の内側半径を有する。3B(2)を参照すると、バルーン310は、鋳型320上に「R1」として示された内側半径を有し、鋳型320は、外側半径「R2」を有する。第1の膨張状態において、半径「R1」は実質的に半径「R2」に等しい。第1の膨張状態ではいかなる突出部分も見られない。換言すると、鋳型320より上のバルーン材料または突出部分の高さ「H1」は、ゼロまたはゼロに近い値を有する。第1の膨張状態において、バルーン310は、実質的に平滑なまたは皺の無い表面を含む。同様に第1の膨張状態において、アパーチャ321は、図中に「W1」として示されている幅を有する。
図3A(3)および3B(3)は、第2の膨張状態にあるバルーンアセンブリ300を示している。バルーン110が第1の膨張状態を超えて膨張させられるにつれて、半径「R2」はアパーチャ321を中心にして半径「R1」との関係において増大する。これは、バルーン310が膨満時点でアパーチャ321を中心にして膨満し始めるかまたはアパーチャ321からまたはアパーチャ321より上に突出し始めるからである。半径「R1」は、本質的に図3A(2)および3B(2)に示された第1の膨張状態と同じ寸法にとどまる。一部の実施形態では、アパーチャ321の幅(「W2」)は、図3A(2)および3B(2)に示されている先行する膨張状態におけるアパーチャ221の幅(「W1」)に近いかさらにはそれに等しいものにとどまる。他の実施形態においては、W2はW1より大きい可能性がある。すなち、アパーチャ320は、バルーンアセンブリ300が膨張するにつれてサイズを増大させることができる。半径「R2」は、詳細には以下で記載される通りサイズ制限層またはサイズが制限されたバルーンが使用される場合に、最大であり得るということが理解される。
再び図2Aおよび2B(1)〜2B(4)を参照すると、さまざまな実施形態において、バルーン210は、好適な任意のコンプライアントバルーンを含むことができる。上述の通り、コンプライアントバルーンは、ポリマー材料を含むことができる。コンプライアントバルーンのための例示的材料としては、エラストマー、例えばポリウレタンおよびシリコーン、天然ゴムまたはラテックス製品、合成ゴム、例えばニトリルブタジエンまたは他の合成のまたは天然に発生するポリマー材料が含まれる。さまざまな実施形態において、バルーン210は、完全なコンプライアンスを有していないかもしれないが、鋳型220よりも高いコンプライアンスを有し、所与の圧力において拘束する鋳型220の直径よりも大きい直径まで膨張するのに充分な可撓性を有し、こうして(以下で記述する通りの)突出部分212が生成される。したがって、半コンプライアントバルーンまたは非コンプライアントバルーンを使用することができる。さまざまな実施形態において、バルーン210は状態調節を行うことができる。状態調節には、伸張、予備膨張、ブロー成形、加熱、またはバルーン210をより使用に適したものにするための他のプロセスが含まれ得る。
さまざまな実施形態において、バルーンアセンブリ200は、バルーン210、鋳型220およびサイズ制限層215を含むことができる。同様にして、バルーン210は、複合材料を含むことができ、ここで複合材料の層がサイズ制限層215および/または鋳型220である。サイズ制限層215は、バルーン210の周囲で、バルーン210と鋳型220の間、または鋳型220のまわりのいずれかに配置可能である。鋳型220と同様に、サイズ制限層215は、膨張中コンプライアントバルーン210の膨満度を制御するように構成されている。しかしながら、サイズ制限層215は、鋳型220が許容できるように構成されている膨満度よりも大きい膨満度を可能にするように構成されている。この点において、サイズ制限層215は、充分な可撓性と、所与の圧力における拘束鋳型220の直径よりも大きい直径である膨満上限とを有することができ、こうしてサイズ制限層215はアパーチャ221を中心にして膨満するかまたはアパーチャ221を通って突出できる。さらに、サイズ制限層215は、第1の膨張状態で実質的に平滑であるかまたは皺の無い表面を有するように構成され得る。換言すると、サイズ制限層は、第1の膨張状態で少なくともわずかに歪みを受けている。
サイズ制限層215は、シース、スリーブ、層または他の形でバルーン210の全体または一部分を少なくとも部分的に包み込むように構成された他の構成要素であり得る。サイズ制限層215は、ひとたびバルーン210が一定の直径または寸法まで膨満した時点で実質的に均一な形でバルーン210を制約するように作用することができる。サイズ制限層215は、最高202kPa、最高506kPa、最高1013kPa、最高1519kPa、最高2026kPa、最高3039kPa、最高3546kPa、最高4559kPa、最高5572kPa、最高6079kPa、または最高で約202〜6079kPaの間の任意の値の圧力で作動できるように構成され得る。
さまざまな実施形態において、サイズ制限層215は、少なくとも1つの配向で非弾性であるかまたは少なくとも1つの配向で好適な変形上限を有する任意の可撓性で好ましくは薄い材料を含むことができる。より高い膨張圧力に耐えるために、サイズ制限層215を高強度材料で製造することができる。サイズ制限層215は、鋳型220を構築するために本明細書に記載されている任意の材料を用いて構築可能である。サイズ制限層215は、一部の箇所で円周方向に非弾性である押出加工または成形された管状形態であり得る。あるいは、サイズ制限層215は、テープの巻回された形態を含むことができ、ここで、テープは一部の箇所で非弾性であり、テープの長さ方向に膨満上限を有する。
図4A〜4Dを参照して、テープの巻回されたサイズ制限層215を形成するため、薄いフィルムを比較的狭い幅に細長く切ってテープを形成することができる。テープは、マンドレル12の表面上で螺旋状に2つの相対する方向20および22に巻回されて、少なくとも2層14および16の管を形成する。層14および16は両方共、長手方向軸18との関係において同じ、ただし反対方向で測定されたピッチ角で巻回可能である。例えばフィルム層14および16が、マンドレルの長手方向軸18との関係において反対方向で測定された70°のピッチ角で適用される場合には、両方の70°のピッチ角の間の狭角はAは40°である。
螺旋状に巻回されたフィルムの2つ超の層を適用してよい。フィルムの互層を相対する方向から巻回することができ、偶数のフィルム層を使用して各方向に等しい数の層を適用することができる。
フィルムの巻回を接合するためには、好適な接着剤を使用してよい。このような接着剤には、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)が含まれる。あるいは、フィルム巻回が完了した後、螺旋状に巻回されたマンドレル12を好適な時間および温度で熱処理して、隣接する層14および16を合わせて熱ボンディングすることができる。ボンディング方法の如何に関わらず、サイズ制限層415を、マンドレル12から除去し、バルーン上に設置し、必要に応じて長手方向に張力付加し、バルーン上で所定の場所に貼付することができる。
バルーンの膨張中に、サイズ制限層415は直径が増加する可能性があり、その結果、狭角Aは図4Dにより示されている通り実質的に削減されることになる。こうしてサイズ制限層415は、狭角Aがゼロに近づくにつれてその既定の膨満上限に達する。この既定の限界は、第2の膨張状態で変化に富むトポグラフィを有するバルーンを生み出すため鋳型の膨満限界よりも大きいものの、第2の膨張状態を超えて膨満しないものである。
再び図2Aおよび2B(1)〜2B(4)を参照すると、サイズ制限層215は任意には、バルーン210に接着されるかまたはバルーン210と積層され得る。接着される場合、バルーン210は、特にバルーン210がエラストマ材料で作られている場合、バルーンアセンブリ200の収縮時にサイズ制限層215の再圧密を補助することができる。あるいは、サイズ制限層215の表面に適用されたエラストマ層が、サイズ制限層215を、収縮の後図4Cに示されている通りのその膨張前のサイズまで実質的に退縮させる。
上述の通りのサイズ制限層215を構築するために使用されるフィルムは、実質的に非弾性であるかまたは少なくとも1つの配向で膨満上限を有しかつ最高202kPa、最高506kPa、最高1013kPa、最高1519kPa、最高2026kPa、最高3039kPa、最高3546kPa、最高4559kPa、最高5572kPaまたは最高6079kPaの圧力で作動可能なバルーン210を生み出すのに充分な強度を有する、任意の可撓性で好ましくは薄い材料を含むことができる。例えばフィルムはePTFEを含むことができる。他の好適なフィルム材料としては、他のフルオロポリマーまたは非コンプライアントポリマーが含まれ得る。
さまざまな実施形態において、サイズ制限層215は、膨張時にバルーン210を一般に円筒形の膨張断面形状に制約するように構築または状態調節され得る。任意には、図5Aを一時的に参照すると、サイズ制限層515は、バルーン510の全体的断面形状を改変させる、例えば制約してテーパーのついた断面形状、楕円形断面形状またはダンベル形断面形状を作り出すように構成され得る。さらに、バルーン210が破損した場合(例えば破裂)、サイズ制限層215は、望ましくない破片が分断されたバルーンアセンブリ200から放出されるのを防ぐように作用することができる。
他の実施形態においては、サイズ制限層215とバルーン210は単一の構成要素に組合わされる。換言すると、バルーン210は、コンプライアンスを示すサイズ制限材料を含むことができる。このような実施形態において、バルーン210は、所望の直径までコンプライアントバルーンまたは半コンプライアントバルーンのような挙動を示す。ひとたび所望の直径に到達すると、バルーン210は非コンプライアントバルーンのような挙動を示し、圧力の増大を可能にするが、その結果バルーンの寸法が大幅に増大することはない。
さまざまな実施形態において、鋳型220は、接点に沿って、バルーン210を制約するように作用する任意のサイズ制限された形態を含む。あるいは、鋳型220は、バルーン210が接点に沿って制約されるような形でバルーン210および/またはサイズ制限層215よりも低いコンプライアンスを示す形態を含み得る。したがって、鋳型220は、バルーン210の膨張中第1の膨張状態を超えて大幅に変形され得ない任意の材料で構築される。鋳型220は、バルーン210上に位置づけされるスリーブ、層またはシースとして構成され得る。例えば、鋳型220は、実質的にバルーン210に対し同軸で配置される全体として円筒形、楕円形、球形またはそれに類する形態を含み得る。あるいは、鋳型220は、アパーチャ221を含まない選択された部分においてバルーン200に接着されることによって、バルーン210の一部分を制約する内側層であり得る。
さらに、鋳型220のアパーチャ221は、変化に富むトポグラフィを作り出すように空間的に構成され得るものの、鋳型220の制約部分はバルーン210の全体的断面形状にも影響を及ぼす可能性がある。例えば、図5Bに示されているように、鋳型520は、第1の膨張状態において、例えばテーパーを形成するためにバルーン510に沿って異なる場所で、より大きいまたはより小さい直径を有することができる。こうして、バルーン510が円筒形の形状に膨張できる一方で、鋳型520は、非円筒形形状を有することができ、この非円筒形形状はバルーンアセンブリ500の全体的断面形状であり得る。このような全体的にテーパーのついた断面形状を用いて、例えば長さ全体にわたり変化する心臓血管管径によりうまく適合することができる。さらに、アセンブリ500の病巣または血栓「剥離」効果は、断面形状の寸法が変化することに起因して近位から遠位にまたはその逆で、強化され得る。
図2Aおよび2B(1)〜2B(4)に戻ると、鋳型220は、実質的に第1の膨張状態を超えて変形しないか、あるいはバルーン210の膨張に応答してバルーン210およびサイズ制限層215よりも小さい程度でしか変形しない。図2B(3)および2B(4)で示されている通り、バルーン210およびサイズ制限層215は、アパーチャ221を中心にして鋳型220を超えて膨満して、第2の膨張状態で突出部分212を作り出す。図示されている通り、第2の膨張状態で、膨張したバルーンアセンブリ200は、バルーンアセンブリ200の表面が複数の頂部と谷部を有するという点で、変化に富むトポグラフィを有することができる。
さまざまな実施形態において、鋳型220は、サイズ制限された材料または形状構成を含むことができる。例えば、鋳型220は、少なくとも1つの方向または配向、好ましくはバルーンアセンブリ200の長手方向軸に対して横断方向で実質的に非弾性であり得、さまざまな実施形態において、鋳型220は同様に、少なくとも1つの方向で高い引張り強度を有する材料を含むこともできる。一変形実施形態では、鋳型は、アパーチャ221の周囲がバルーン210の拡張の時点で変形するのを防ぐために両方向で高い強度を有する材料を含むことができる。さまざまな実施形態において、鋳型220は、バルーン210および/または鋳型よりもコンプライアンスの低い材料を含むことができる。こうして所与の圧力において、バルーン210は、鋳型220よりも大きい膨満度を有することになる。
一実施形態において、鋳型220は高強度であってなお可撓性を有する材料、例えばePTFEを含むことができる。高い強度は少なくとも1つの方向での耐変形性を提供し、こうして、鋳型220は、バルーン膨張圧力が発生させる特定の力の適用を超える下にあるバルーン部分の拡張に耐えることができる。
さまざまな実施形態において、鋳型220は、鋳型を形成するための薄くて高強度のフィルムまたはテープから製造可能である。例えば、その内容が参照により本明細書に援用されている「Porous PTFE Materials And Articles Produced Therefrom」という名称の2007年12月11日に発行された米国特許第7,306,729号(U.S.Patent No.7,306,729)中に記載の1つのタイプのePTFEから鋳型220を構築することができる。さまざまな実施形態において、米国特許第7,306,729号(U.S.Patent No.7,306,729)に記載のePTFEの2〜60層が鋳型220を構成できる。層は、円周方向に(すなわち長手方向軸に対して約90°で巻回される)または(前述の通り)螺旋状に巻回することができる。さまざまな実施形態において、鋳型220を連続的プロセスで製造し、次に所望の長さにカットしてからバルーンの上に配置することができる。任意には、鋳型220をバルーン210および/またはサイズ制限層215に接着または積層することができる。
鋳型220は、所望のバルーントポグラフィを生成しかつ先に記述した圧力閾値で作動するのに充分な強度および相対的なコンプライアンス欠如を提供するかぎりにおいて、米国特許第7,306,729号に記載のものとは異なる微細構造を有するポリテトラフルオロエチレンを含む他のフルオロポリマーなどの他の材料を含むことができる。
さまざまな実施形態において、鋳型220は同様にサイズ制限されているもののコンプライアンスを示すこともできる。このような実施形態では、鋳型220は、サイズ制限された層およびコンプライアントバルーン210と類似の形で形成され得る。ただし、変化に富むトポグラフィを作り上げるためには、鋳型220の膨満上限は、バルーン210の膨満上限より小さいものでなければならず、あるいはコンプライアンス度がバルーン210のものより低いものである。
鋳型220は少なくとも1つのアパーチャ221を含むことができ、さまざまな実施形態において、鋳型220は1つのアパーチャパターンおよび/または複数のアパーチャを含むことができる。アパーチャ221は、膨張に先立ち鋳型中に存在するかまたは膨張の時点で形成されるかサイズを増大させることもできる。
アパーチャ221は、鋳型材料内で1つの開口部または脆弱化部位を構成できる。この点において、開口部は、鋳型材料の孔、切断部または任意の他の不連続区分であり得る。例えば、鋳型220を穿刺することによって孔を形成できると考えられる。あるいは、アパーチャ221は、バルーン210の膨張に応答して脆弱化部分が少なくとも部分的に変形または離脱し第1の膨張状態を超えての膨満を可能にするような形で、材料の一部分が除去されたかまたは他の方法で脆弱化されている鋳型220の一部域を構成できる。アパーチャ221は、カッティング、スタンピング、レーザーカット、穿孔、および/または打ち抜き/穿刺などを含めた任意の好適な手段によって形成可能である。さまざまな実施形態において、鋳型220は、網目状構造を含むことができる。
任意には、鋳型は、サイズが変動するアパーチャを含むことができる。サイズが増大すると、アパーチャはより幅広の(あるいは「粗い」)突出を可能にし得る。可変的アパーチャサイズと図5Bに示されている通りのテーパーのついた鋳型断面形状とを組合せることにより、突出部分の異なる高さに起因して、近位から遠位へまたはその逆にアセンブリの「剥離」効果を強化することができる。
再び図2Aおよび2B(1)〜2B(4)を参照すると、鋳型220は、膨張の時点でアパーチャ221が形成されるかまたはそのサイズが増大するような形で構成され得る。例えば、バルーン210のまわりにテープ巻回し、製織または編組された膜を含む鋳型220を構築すること、例えば、テープ縁部の間に空間を残すことによりアパーチャ221が形成されかつ/またはバルーン210の膨張時点でテープ縁部間にアパーチャ220が形成されるかまたはサイズを増大させるような形で巻回し、製織または編組することが可能である。一実施形態において、テープ材料の角度は、膨張時点でバルーンの長手方向軸との関係において変化でき、かつ/または、テープ材料は、バルーンアセンブリが拡張するにつれて幅を狭め、こうしてアパーチャ221を作り出すことができる。
さらに、変化に富むトポグラフィは、バルーンの長さに沿って長手方向に変化可能であり、かつ/または、バルーンの周囲で円周方向に変化可能である。例えば、図6(A〜B)を参照すると、バルーンアセンブリ600は、バルーン610の第1の区分650上に第1のアパーチャパターン621を有し、第2の区分651上に第2のアパーチャパターンを有するかまたはアパーチャを全く有していない鋳型620を含むことができる。同様にして、長手方向および/または円周方向の変化は無作為であり得、あるいは既定のパターンをたどることができる。このようなバルーンアセンブリは、インターベンション処置を組合せて実施するために使用可能である。例えば、バルーンアセンブリの長さの半分にアパーチャが全く無くアセンブリの残りの部分にアパーチャがあるように構成されているこのようなバルーンは、血栓切除術(アセンブリのアパーチャのある部分を用いる)そして次に経皮経管的血管形成(PTA)(アパーチャの無い部分を用いる)の両方を、全てデバイス交換無く実施するために使用可能である。
バルーンアセンブリは、さまざまな膨張状態の間、例えば第1の膨張状態と第2の膨張状態の間を選択的に交替できる。特定の膨張状態は、バルーンアセンブリ内に注入された体積および/またはバルーンアセンブリ内部の圧力レベルを測定することにより決定され得る。流体を既定の量だけ選択的に導入するかまたは引き抜くことにより、バルーンアセンブリは1つの膨張状態からもう1つの膨張状態まで推移できる。一実施形態においては、さまざまな膨張状態間で脈動するようにバルーンアセンブリを構成することができる。
さまざまな実施形態において、バルーンアセンブリは任意には保護カバーを含むことができる。保護カバーは、鋳型の少なくとも一部分を覆うスリーブまたはシースであり得る。保護カバーは、バルーンアセンブリと共に体内に送出され、体内にある間にバルーンアセンブリ200を露出させるように抜去され得る。
記述された構成要素を用いて、バルーンのコンプライアンス、鋳型、アパーチャパターン、膨張圧力およびサイズ制限層の拡張性を適応させてバルーンアセンブリのトポグラフィを制御することができる。例えば、アパーチャパターンは、「細かいテクスチャ」パターンを得るために多くの小さなアパーチャを含むことができ、あるいはより「粗いテクスチャ」パターンを得るためにより大きな開口部をより少ない数で含むこともできる。ここでわかるように、本明細書においては、考えられる任意のアパーチャパターンまたはアパーチャパターンの組合せが企図されている。例えば、鋳型の第1の部分は、正方格子様のアパーチャパターンを含むことができ、鋳型の第2の部分は菱形パターンを含むことができる。
他の実施形態において、鋳型を通って拡張するバルーンは、例えばバルーンの長手方向軸に対して平行に走る尾根と谷を画定し得る。一実施形態において、これらは、バルーンが拡張された時点で処置中にバルーンと血管壁の間に血液の灌流を提供する。
他の実施形態においては、図2Cに示されている通り第1の膨張状態で突出部分212が形成でき、その後第1の膨張状態よりも大きい圧力を有する第2の膨張状態まで膨張させられた時点で、鋳型220は膨満することができ、図2Bに示されている通りバルーン210の表面は平滑である。一実施形態において、鋳型220は部分的または選択的に膨満可能である。例えば、8mmまで膨満可能である4mmの鋳型でバルーンおよび/またはサイズ制限層を覆うことができる。バルーン210は202kPaまで膨張され、鋳型は、突出部分が形成するようにその第1の膨満断面形状を獲得する。405kPaまでさらに膨張した時点で、鋳型はその第2の膨満断面形状つまりその最大サイズまで膨満できる。鋳型220の最大サイズはバルーン210および/またはサイズ制限層215の最大サイズに対応し得る。他の実施形態においては、鋳型220は壊れやすく、選択された膨張圧力で破損または伸張して次に突出部分212の一部または全ての高さを少なくとも部分的に削減して、より高い圧力においてバルーン表面と標的組織(単複)との接触が増大できるように作られ得る。このような実施形態は、血栓切除術(第1のフィルム鋳型状態で)そして次に経皮経管的血管形成(PTA)(第2のフィルム鋳型状態で)の両方を、全てデバイス交換無く実施するために使用可能である。
さまざまな追加の実施形態において、トポグラフィをさらに制御しさらに変動させるため、1つのコンプライアントバルーンと共に多数の鋳型を使用することができる。図7Aおよび7Bを参照すると、バルーンアセンブリ700はバルーン710と少なくとも2つの鋳型720および725を含む。鋳型720をバルーン710上に同軸的にまたは実質的に同軸的に配置することができ、かつ二次鋳型725を、鋳型720上の同軸的にまたは実質的に同軸的に配置することができる。図7Aに示されているように第2のフィルム鋳型状態までバルーン710が膨張した時点で、鋳型720および二次鋳型725の両方が、バルーン70を制約するように作用し、バルーン710が各鋳型内でアパーチャ721を通って拡張できるようにするためのアパーチャパターンを有する。
一実施形態において、鋳型720と二次鋳型725は、膨張したバルーンアセンブリ700のトポグラフィを整形するように作用できる。鋳型720は、「粗い」変化に富むトポグラフィを作り上げることができ、二次鋳型725は、突出部分712の一部分を制約し「細かい」アパーチャパターンを作り上げるように選択的に位置づけされる。突出部分712はこうして二次鋳型725によってさらに制約されて少なくとも2つの突出部分または異なるサイズまたは形状の突出部分を形成し、より細かいまたは変化に富んだアパーチャパターンを作り出す。
任意には、各鋳型は、バルーン710の膨満を変動させることによって変化に富むトポグラフィが変動できるような形で異なる膨満上限を有することができる。このような実施形態において、バルーンアセンブリ700は3つ以上の膨張状態を有することができる。トポグラフィを変動させかつ改良するために、バルーンアセンブリ内で任意の数の鋳型を層状化できることが企図されている。さらに、バルーンアセンブリ700は任意には、本明細書中に記述されている通り、サイズ制限層を含むことができる。
図18を参照すると、別の実施形態において、バルーン1810は、より膨満性の高い壁の他の部分1818に比べて低減されたまたは低いコンプライアンスを示す部分1817を有する壁を含むことができる。他の部分1818は、本質的に、低減されたまたは低いコンプライアンスを示す部分との関係において外向きに拡張する「アパーチャ」である。より膨満性の高い部分1818は、膨満上限を含み得る。低減されたコンプライアンスを示す部分1817は、レーザー高密度化を通してかまたは吸収した領域内のコンプライアンスを低減させるポリマーを吸収させることによって形成され得る。一実施形態において、低減されたコンプライアンスを示す部分1817は、より膨満性の高い領域1818と実質的に同じ厚みを有する。本明細書中に記載の他の実施形態と、類似の要領で、バルーン1810は、テープ巻回または押出加工を介して形成され得、離散的部位でコンプライアンスを変動させることのできるePTFEまたは他の任意の材料を含むことができる。
同様にして、一実施形態において、バルーンは、ノブ様の特長の形で複数の突出部分を含むことができる。先に記述した実施形態とは異なり、部位の膨満性がバルーン材料に沿って変動する必要はない。ここでは、突出部分はバルーン内に予め成形されている。バルーン上にノブ様の特長を形成するためには、ノブ様の特長の部位に対応するアパーチャまたは陥凹部位を上に有するバルーン型枠をマンドレル上に設置するかまたはマンドレル上に構築することができる。一実施形態においては、加熱した要素を用いてノブ様の特長をアパーチャまたは陥凹内に押込み、その特長をバルーン壁内にセットすることができる。同様にして、圧力および熱を加えながら陥凹部およびアパーチャの部位においてバルーン壁の中に比較的低融点の熱可塑性材料を吸収させ、圧力がなおも加えられている間に硬化できるようにし、壁に陥凹が形成される。別の実施形態においては、陥凹した部位がバルーン表面上に形成されるような形で、アパーチャに真空を加える(あるいは、バルーンに圧力を加える)ことができる。このとき、この形状構成にある間にバルーンを硬化させることができる。
図19を参照すると、さらなる実施形態では本明細書中に記載のバルーンアセンブリ1900は灌流可能であり得る。例えば、バルーン1910、サイズ制限層1915そして任意には鋳型1920が多孔質材料を含み得る。さらに、バルーン1910、サイズ制限層1915そして任意には鋳型1920が、可変的に灌流可能な材料を含むことができる。さまざまな実施形態において、突出に先立ち、材料の多孔率または内部圧力は充分に低いものであるために、灌流が発生しないかまたは最小限にしか灌流しない。例えばバルーン1910が拡張しアパーチャ1921を通って突出した時点で、局在化する力が、アパーチャ1921を通って突出する材料の微細構造の多孔率をより高くし、治療薬をバルーン1910から放出させることができる。他の実施形態においては、微細構造の多孔率は改変されず、むしろバルーン材料の水流入圧力は、バルーンが一定の閾値圧力に達するまでは灌流を起こさないようになっている。こうして、バルーン1919は、第2の膨張状態が得られるまで灌流を起こさないように構成され得る。さらに、一部分のみ、例えば膨張の時点でアパーチャ1921を通して突出するバルーン1910の領域のみに沿って灌流するように、バルーン1910を構成することが可能である。
さまざまな実施形態において、バルーンアセンブリはさらに、鋳型上に配置された、鋳型の内側に配置された、鋳型を一時的に満たす、あるいは他の形で鋳型と一体化された治療薬を含むことができる。同様にして、バルーンアセンブリは、バルーンまたは鋳型の内側または外側表面上またはバルーンの内部に配置された治療薬を含み得る。一実施形態において、治療薬は、バルーンの下にある細長い部材の一部分上に治療薬をコーティングすることができる。治療薬の処方は、液体または固体形態を含むことができる。液体形態は、所望される処置に好適な所望の粘度を有することができる。
図8を参照すると、バルーンアセンブリ800は、鋳型820の内部に配置されたバルーン810を含み、治療薬808がバルーン810と鋳型820の間に配置されている。バルーン810が膨張した時点で、鋳型820のアパーチャ812を通して治療薬808を搬送し、身体の位置特定された部分で放出させることができる。一実施形態において、膨張時点でアパーチャ821が形成し、したがって、バルーンアセンブリ800が膨張されるまで治療薬808を格納することができる。
同様にして、図9を参照すると、治療薬908をアパーチャ921内に配置することができる。バルーン910が膨張した時点で、突出部分912によりアパーチャ921を超えて治療薬908を搬送して、周囲の組織および/または身体の位置特定された部分に導くことができる。さまざまな実施形態において、治療薬の処方は、アパーチャ921内部の場所を維持するための固体または粘性形態であり得る。あるいは、アパーチャ921の内部に位置づけされた治療薬を、治療部位に設置されるまでシースにより保護することができ、設置時点でシースを抜去することができる。
さらに、アパーチャ921は、膨張が進行中となるまで、治療薬908の放出を制限するように構成され得る。例えばアパーチャは、円錐形または他のテーパー付き形状を含むことができ、ここでアパーチャは、図9に示されている通り、内側面上よりも外側面上に小さい部域を画定する。アパーチャ921は、治療薬908の放出を容易にするために膨張時点で拡大するように構成され得る。さらに、バルーンアセンブリ900は、治療薬908の放出を制限または予防するため、解除可能なカバーを含むことができる。
任意の処置、例えば診断的または治療的処置を補助するかまたは治療効果および/または治癒効果の提供を補助する任意の治療薬が、本明細書中に開示されたバルーンアセンブリと共に使用するために企図されており、好適である。詳細には、位置特定化された送出のため、より安全で効果的であるかあるいは別のメリットを達成する治療薬が、本明細書中において開示されているバルーンとって有用である。なかでも、好適な治療薬としては、抗増殖剤、抗炎症剤、繊維分解剤、血栓溶解剤、消炎剤、抗過形成剤、抗新生物剤、抗有糸分裂剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、抗血管形成剤、抗再狭窄剤、微小管阻害剤、抗遊走剤または血栓症治療薬が含まれる。
例えば、好適な治療薬には次のものが含まれ得る:アブシキシマブ、アセメタシン、アセチルビスミオンB、アクラルビシン、アデメチオニン、アドリアマイシン、アエスシン、アフロモソン、アカゲリン、アルデスロイキン、アミドロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナキンラ、アナストロゾール、アネモニン、アノプテリン、抗真菌剤、抗血栓剤、血栓溶解剤、例えば組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、アポシマリン、アルガトロバン、アリストラクタム−AII、アリストロキン酸、ヒ素およびヒ素含有酸化物、塩、キレートおよび有機化合物、アスコマイシン、アスパラギナーゼ、アスピリン、アトルバスタチン、オーラノフィン、アザチオプリン、アジスロマイシン、バッカチン、バフィロマイシン、バシリキシマブ、ベンダムスチン、ベンゾカイン、ベルベリン、ベツリン、ベツリン酸、ビロボール、ビオリムス、ビスパルセノリジン、ブレオマイシン、ボムブレスタチン、ボスウェル酸およびその誘導体、ブルセアノレスA、BおよびC、ブリオフィリンA、ブスルファン、抗トロンビン、ビバリルジン、カドヘリン、カンプトテシン、カペシタビン、o−カルバモイル−フェノキシ酢酸、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セファランチン、セリバスタチン、CETP阻害物質、クロラムブチル、リン酸クロロキン、シクトキシン、シプロフロキサシン、シスプラチン、クラドリビン、クラリスロマイシン、コルヒチン、コンカナマイシン、クマジン、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、クドキサイソフラボンA(cudxaisoflavone A)、クルクミン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シタラビン、ダカルバジン、ダシリツマブ、ダクチノマイシン、ダプソン、ダウノルビシン、ジクロフェナク、1,11−ジメトキシカンチン−6−オン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドナイマイシン(dunaimycin)、エピルビシン、エポチロンAおよびB、エリスロマイシン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フィルグラスチム、フルロブラスチン、フルバスタチン、フルダラビン、フルダラビン−5’−リン酸二水素、フルオロウラシル、ホリマイシン、ホスフェストロール、ゲムシタビン、グハラキノシド、ギンコール、ギンコール酸、グリコシド1a、4−ヒドロキシオキシシクロフォスファミド、イダルビシン、イホスファミド、ジョサマイシン、ラパコール、ロムスチン、ロバスタチン、メルファラン、ミデカマイシン、ミトキサントロン、ニムスチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、プロカルバジン、マイトマイシン、メトトレキセート、メルカプトプリン、チオグアニン、オキサリプラチン、ビスマスおよびビスマス化合物またはキレート、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルバミド、ミルテホシン、ペントスタチン、ペグアスパルガーゼ、エキセメスタン、レトロゾール、フォルスメタン、SMC増殖阻害物質−2CO、ミトキサントロン、ミコフェノール酸モフェチル、c−mycアンチセンス、b−mycアンチセンス、β-ラパコン、ポドフィロトキシン、ポドフィル酸−2−エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM−CSF)、ペグインターフェロンα−2b、ラノグラスチム(r−HuG−CSF)、マクロゴール、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、サイトカイン阻害物質、COX−2阻害物質、NFkB、アンギオペプチン、筋細胞増殖を抑制するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1−ヒドロキシル−l−メトキシカンチン−6−オン、スコポレクチン、NO供与体、四硝酸ペンタエリスリトール、シンドキシオロイミン(syndxloimines)、S−ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、β−エストラジオール、α−エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メドロキシプロゲステロン、シピオン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、トラニラスト、カメバコーリン(kamebakaurin)および癌の治療で用いられるその他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害物質(チロフォスチン)、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、6−α−ヒドロキシパクリタキセル、2’−スクシニルパクリタキセル、2’−スクシニルパクリタキセルチルエタノールアミン、2’−グルタリルパクリタキセル、2’−グルタリルパクリタキセルチルエタノールアミン、N−(ジメチルアミノエチル)グルタミドを伴うパクリタキセルのT−Oエステル、N−(ジメチルアミノエチル)グルタミドヒドロクロリドを伴うパクリタキセルのT−Oエステル、タキソテール、亜酸化炭素(MCS)、亜酸化炭素の大環状オリゴマー、モフェブタゾン、ロナゾラク、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、ペニシラミン、水酸化クロロキン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、β−シトステリン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、エリプチシン、D−24851(Calbiochem)、コルセミド、サイトカラシンA−E、インダノシン、ノカダゾール、S100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ1および2のグアニジルシクラーゼ刺激組織阻害物質、遊離核酸、ウィルス伝達物質に組み込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノーゲン活性化因子阻害物質−1、プラスミノーゲン活性化因子阻害物質−2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害物質、IGF−1、抗生物質、例えばセファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォチキシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ペニシリン系、例えばジクロキサシリン、オキサシリンなどの群からの活性物質、スルホンアミド、メトロニダゾール、エノキサパリン、脱硫酸化されN−再アセチル化されたヘパリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、Xa因子阻害抗体、ヘパリン、ヒルジン、r−ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、ウロキナーゼ、血管拡張剤、例えばジピリラミドール、トラピジル、ニトロプルシド、PDGFアンタゴニスト、例えばトリアゾロピリミジンおよびセラミン、ACE阻害物質、例えばカプトプリル、シラザピル、リシノピル、エナラプリル、ロサルタン、チオプロテアーゼ阻害物質、プロスタシクリン、バピプロスト、インターフェロンα、βおよびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニン遮断薬、アポトーシス阻害物質、アポトーシス調節因子、例えばp65、NF−kBまたはBcl−xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフジノン、ニフェジピン、トコフェロールトラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、レフルノミド、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン(mutamycin)、プロカインイミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソトロール、天然または合成で得られるステロイド、例えばイノトジオール、マキロシドA、グハラキノシド、マンソニン、ストレブロシド、ヒドロコルチゾン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、非ステロイド性物質(NSAIDS)、例えばフェノポルフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンおよび他の抗ウィルス物質、例えばアシクロビル、ガンシクロビルおよびジドブジン、クロチルマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、抗原生動物薬、例えばクロロキン、メフロキン、キニーネ、さらには天然テルペノイド、例えばヒッポカエスクリン、バリントゲノールC21−アンゲレート(barringtogenol-C21-angelate)、14−デヒロドアグロスチスタチン(14-dehydroagrostistachin)、アグロスケイルン(agroskeiln)、アグロスチスタチン、17−ヒドロキシアグロスチスタチン、オヴァトジオラリド(ovatodiolide)、4,7−オキシシクロアニソメル酸、バッカリノイドB1、B2、B3およびB7、ツベイモシド、ブルセアンチノシドC、ヤダンジオシドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンAおよびB、コロナリンA、B、CおよびD、ウルソル酸、ヒプタチン酸A、イソイリドゲルマナール、カンテンフォリオル(cantenfoliol)、エフサンチンA、エキシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチンC、カメバウニン、ロイカメニンAおよびB、13,18−デヒドロ−6−アルファ−セネシオイルオキシシャパリン(13,18-dehydro-6-alpha-senecioyloxychaparrin)、タクサマイルンAおよびB(taxamaiiln A and B)、レジェニロール(regenilol)、トリプトリド、シマリン、ヒドロキシアノプテリン(hydroxyanopterin)、プロトアネモニン、塩化ケリブリン、シノコクリンAおよびB、ジヒドロニチジン、塩化ニチジン、12−ベータ−ヒドロキシプレグナジエン−3,20−ジオン、ヘレナリン、インジシン、インジシン−N−オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、ポドフィロトキシン、ジャスチシジンAおよびB、ラレアチン(larreatin)、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロシドA、マーチャンチンA、カンタンシン(cantansin)、リコリジシン(lycoridicin)、マルゲチン、パンクラチスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン、オキクソウシンスニン、ペリプロコシドA、ウルソール酸、デオキシプソロスペルミン、サイコルビン、リシンA、サンギナリン(sanguinailn)、マヌー小麦酸(manwu wheat acid)、メチルソルビフォリン、スファセリアクロメン、スチゾフィリン(stizophyllin)、マンソニン(mansonine)、ストレブロシド、ジヒドロウサンバレンシン(dihydrousambaraensine)、ヒドロキシウサンバリン(hydroxyusambailne)、ストリクノペンタミン、ストリクノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、リリオデニン、オキソウシンスニン、ダフノレチン、ラリシレジノール、メトキシラリシレジノール(methoxylailciresinol)、硬化薬(sclerosing agent)、シリンガレジノール、シロリムス(ラパマイシン)、ヒ素またはヒ素化合物またはヒ素含有錯体と組み合わせたラパマイシン、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、シンバスタチン、ロスバスタチン、ビンブラスチン、ビンシルスチン、ビンデシン、タリドミド、テニポシド、ビノレルビン、トロホスファミド、トレオスルファン、トレモゾロミド、チオテパ、トレチノイン、スピラマイシン、ウンベリフェロン、デスアセチルビスミオンA、ビスミオンAおよびB、ゼオリン、ファスジル。
図10Aおよび10Bを参照して、さまざまな実施形態において、鋳型1020は任意には、アパーチャ1021の縁部の近くで鋳型1020に結合されるかまたはそれと一体化されアパーチャ1021内に延在し得る少なくとも1つの剛性要素1026を含むことができる。剛性要素(単複)1026は、(図10Aに示されている)第1の膨張状態においてバルーン1010と実質的に同一平面に存在する1つの位置から枢動または延在するように構成され得るが、突出部分1012が形成するにつれて、剛性要素1026をより半径方向を向くように(図10Bに示されている通り)回転または延在させることができる。剛性要素1026は、粗度が高くなるかつ/または鋭利になるように構成され得る。ただし、各々の剛性要素1026は第1の膨張状態でバルーン1010と同一平面内にあり、その後第2の膨張状態で外向きに枢動させられ、心臓血管系血管の管腔壁などの周囲組織(単複)に対して剛性要素1026が提供する「摩耗」量は、膨張中に変動し得る。
剛性要素1026は、鋳型1020の下にあり鋳型1020を通過する点において鋳型1020またはバルーン1010に対して要素1026のベースを取付けることによって構築され得る。一部の実施形態において、剛性要素1026は、管腔、例えば中空針またはカニューレを含み、管腔が流体媒質と連通状態になるよう下にあるバルーン1010の壁を通過することができる。一実施形態において、剛性要素1026は、バルーンアセンブリの内部から周囲部域、例えば血管壁まで材料(例えば治療薬)を送出するように構成され得る。一実施形態において、剛性要素1026には、管腔内に貯蔵された、または少なくとも部分的にその上にコーティングされた、または少なくとも部分的にその中に吸収させられた形で、送出されるかまたは溶出する作用物質が前負荷され得る。さらなる実施形態において、剛性要素1026は、治療薬が負荷され血管内で離脱するように設計され、残って容出する生体吸収性材料製であり得る。別の実施形態において、剛性要素1026の管腔は、膨張媒体であるかまたはバルーンのまわりに位置設定されバルーン1010の膨張によって圧縮されて管腔を通る治療薬の溶出を導く液体タンクと連通状態にあり得る。
同様に、さまざまな実施形態において、鋳型は同様にワイヤーまたはブレードを含むことができる。図11を一時的に参照すると、バルーン1110の上にあるワイヤー1123を含む鋳型1120を有する研磨バルーンアセンブリ1100が示されている。例示されているワイヤー1123は、バルーン110の膨張に応答して外向きに膨満される。
さまざまな実施形態において、本明細書中に記載のバルーンアセンブリの実施形態は任意には電気部品(例えば当該技術分野において公知の方法を介してバルーン表面に適用される回路)を含むことができる。このような回路は、バルーンが膨張させられ回路の一部分が鋳型のアパーチャを通して突出させられるまで保護されかつ/または標的部域(例えば組織)と接触しないものと考えられる。このような構成体は、例えば血管または空洞壁の選択的なアブレーションにおいて利用可能である。このような場合、鋳型は、所望のアブレーション(または他の処置)パターンと整合するようにパターン化され得ると考えられる。他の実施形態において、突出部分上またはその近くに超音波トランスジューサまたは診断用センサーを配置することができる。
鋳型は、その形状、サイズおよび全体的形状構成に応じて、下にあるバルーンに対して保護を提供する、例えば耐穿刺性を提供するようにも製造可能であるという点も指摘しておかなければならない。
さまざまな実施形態において、本明細書中で開示されたバルーンアセンブリを脈管構造内で使用することができる。例えば、図12は、血管1205内で膨張させられたバルーンアセンブリ1200を示す。カテーテル1202が、バルーン1210に結合された状態で示されている。バルーン1210は、第2の膨張状態で膨張させられ、鋳型1220を超えて外向きに延在する突出部分1212を形成する状態で示されている。バルーン1210の突出部分1212は、血管壁および血管と相互作用している状態で示されている。これらのタイプの利用分野では、バルーンアセンブリ1200は、管腔または空洞内の流体(例えば血液)流を閉塞するために役立ち得る。バルーンが少なくとも一時的に移植される場合、バルーン突出部分1212および/または鋳型1220は、組織のバルーン1210内への内方成長を推進するように構築され得、バルーン1210を定着させかつ/またはその移動を防止できる。バルーンアセンブリ1200をカテーテル1202に取付けられた状態に放置することができ、あるいは当該技術分野において公知の手段によりカテーテル1202から離脱させることができるということを理解すべきである。後者の場合、バルーンアセンブリ1200は、より長期の閉塞装置としてまたは空間充填デバイスとして役立つと考えられる。
図17を参照すると、一実施形態において、バルーンアセンブリ1700は、中間区分に沿って配置された鋳型1720を含むことができ、こうしてバルーン1710の近位1708および遠位1709の領域が制約されないことになる。鋳型1720は前述の通りアパーチャ1721を含む。バルーンアセンブリ1700は、バルーン1710が取付けられているカテーテル1702を含む。
膨張の時点で、バルーン1710は膨張し、鋳型1720により被覆され制約されたバルーン1710の中間区分の各々の側に位置設定された領域内において優先的にサイズを拡張する。鋳型1720により制約されていない近位および遠位バルーンセグメントは周囲の組織、例えば心臓血管系血管の管腔壁と接触するのに充分な程度に直径を増大させることができ、一方中間の制約された区分はより小さな直径にとどまる。この形状構成において、血管壁と接触状態にあるバルーン1710の拡張した部分は、鋳型により被覆されているバルーンの中心により占有される血管部域からの血流を閉塞するために役立つ。
さらなる実施形態においては、鋳型1720により制約されたバルーン1710の中間区分を、その後血流から隔離された血管部域内に治療薬を放出するように設計することができる。バルーン1710および/または鋳型1720は、灌流するように構成されている。例えば、バルーン1710および/または鋳型1720は、多孔質材料を含むことができる。さらに、バルーン1710および/または鋳型1720は、可変的に灌流可能な材料を含むことができる。さまざまな実施形態において、突出に先立ち、材料の多孔率は、灌流を起こさないかまたは最小限しか灌流しないよう充分に内部圧力が低くなるようなものである。例えば、バルーン1710が拡張しアパーチャ1721を通って突出した1721時点で、局在化する力が、アパーチャ1721を通って突出する材料の微細構造、すなわち突出部分1712の多孔率をより高くし、治療薬をバルーン1710から放出させることができる。他の実施形態においては、微細構造の多孔率は改変されず、むしろ微細構造は(例えば適切な泡立ち点、水流入圧力および/または平均流細孔径を有する多孔質膜を選択することによって)、内部圧力が一定の内部圧力に達するまでは耐灌流性を有している。さらに、一部分のみ、例えば膨張の時点でアパーチャ1721を通して突出するバルーン1710の領域のみに沿って灌流するように、バルーン1710を構成することが可能である。一実施形態において、バルーン材料は、ePTFEなどのフルオロポリマーを含む。
さまざまな実施形態において、本明細書中に記載の灌流バルーンを少なくとも部分的にポリビニルアルコール(PVA)でコーティングして、その親水性を高めることができる。その結果、選択された部位におけるまたは表面全体を横断する灌流圧力が低下することになる。
同様にして、さまざまな実施形態において、本明細書中に記載の灌流バルーンはさらに、疎油性の外側層またはコーティングを含むことができ、あるいはそれが低い表面エネルギーを有するようにすることができる。例えば、参照により本明細書に援用されているWuによる米国特許第5,586,279号(U.S.Patent No.5,586,279)に記載される通り、選択されたジイソシアネートとペルフルオロアルキルアルキルアルコール化合物との反応生成物は、それが浸出制御層であるか、補強層であるかあるいは封止層であるかに関わらず、微孔構造を保ちながら微細構造の表面エネルギーを低下させるために、最も外側の膜に対して適用可能である。全体が参照により本明細書に援用されているWuに対する米国特許第5,342,434号(U.S.Patent No.5,342,434);WuおよびKalerに対する米国特許第5,460,872号;Gore Enterprise Holdingに対する国際公開第2006/127946号(WO2006/127946):およびFreeseに対するカナダ特許第2609327号(Canadian Patent No.2609327)の中に、疎油性コーティングの他の例が記載されている。
他の実施形態において、長期移植のために設置されカテーテルから離脱されたバルーンアセンブリは、血液の灌流を可能にするのに役立つ1つ以上の管腔(例えば配置カテーテルの除去時点で作り出される中央管腔)を特長として有するように構築可能である。このような利用分野において、バルーンアセンブリは、膨張可能な体内プロテーゼとして役立つことができる。別の実施形態においては、このタイプのバルーンアセンブリにフィルタを取付けて塞栓を捕捉することができる。
さまざまな実施形態において、本開示に係るバルーンアセンブリは、予め構成された変化に富むトポグラフィまたはテクスチャード加工されたトポグラフィを有することができる。換言すると、特定のトポグラフィ(例えばテクスチャード加工された表面)を、膨張前のバルーンの内部または上部に付与することができる。このような実施形態において、バルーンアセンブリは、所望のトポグラフィがバルーンの膨張によって実質的に改変されないような形で修正可能である。このような実施形態において、バルーンは、先に記述した通りの変化に富むトポグラフィを提供するためにアパーチャ内に実質的に突出している必要はない。その代り、バルーンは、テクスチャード加工された網状組織がバルーンアセンブリの隆起した表面を提供するような形で、テクスチャード加工された網状組織のための支持を提供することができる。
さまざまな実施形態において、トポグラフィ上の特長を提供するテクスチャード加工された網状組織をバルーンに被覆させるおよび/または巻回することができる。例えばテクスチャード加工された網状組織は、バルーン全体にわたりまたはバルーンの内部に巻回されるか他の形で配置可能なビーズ、フィラメント、フィブリル、リング、ニット、織組織および/または編組を含むことができる。テクスチャード加工された網状組織は、バルーンに直接適用され得、あるいは、1つ以上の予め状態調節された部分を有するバルーンの結果として得ることもできる。テクスチャード加工された網状組織は、バルーンのトポグラフィを改変するために使用可能である。テクスチャード加工された網状組織は、収縮の時点でバルーンの再圧密において有用であるエラストマ構成要素を含むことができる。この点において、テクスチャード加工された網状組織は、任意のパターンまたはパターンの組合せ、例えばさまざまな幾何学的形状および/またはパターンを有する格子、螺旋または連続するリングとして構成され得る。
図13A〜13Cを参照すると、予め構成されたテクスチャード加工されたバルーンアセンブリ1300の実施形態が示されている。バルーン1310は、テクスチャード加工された網状組織1314の下にありカテーテル1302上に組立てられた状態で示されている。このような実施形態において、テクスチャード加工された網状組織1314は、バルーン1310を制約するように作用せず、むしろバルーンと共に膨満するかまたは、バルーンの公称外径に等しい内径を有する。
テクスチャード加工された網状組織1314は、さまざまな方法で形成可能である。例えば、複数のアパーチャを有するカバーがテクスチャード加工された網状組織1314を画定できる。同様にして、一連の離散的リング、螺旋状の巻回または、編成、編組または製織されたスリーブをバルーン1310全体にわたり配置することで、テクスチャード加工された網状組織1314を画定することができる。図13Aは、バルーン1310のまわりに配置された個別のリングの形をしたテクスチャード加工された網状組織1314を示す。
他の実施形態においては、テクスチャード加工された網状組織1314を画定するために、編成された管形態などの編成、製織および/または編組されたスリーブでバルーン1310を被覆することができる。このような編成スリーブは、緩くまたはきつく編成され得、同様にして、編組/製織スリーブは、緩くまたはきつく製織され得る。スリーブを作り上げるために、テープ、より糸、編み糸、フィラメント、ワイヤなどの1本のストランドまたは複数のストランドを使用することができる。
例えば(i)製織、編組および/または編成方法;(ii)個別のストランドの寸法および/または材料および表面特性;および(iii)ニットまたは織組織内の張力度などの、テクスチャード加工された網状組織1314の特性を制御するために、編成スリーブのさまざまな要因を制御することができる。このような要因は、テクスチャード加工された網状組織1314を変動させるためかつ/またはテクスチャード加工された網状組織1314の特性、例えば網状組織1314の弾性を変動させるために、変動可能である。さらに、さまざまな実施形態において補強材ストランドを製織、編組または他の形でテクスチャード加工された網状組織1314内に統合して、バルーン1310に膨満上限を提供することができる。テクスチャード加工された網状組織1314を、組織の内方成長を促進するように構成することもできる。テクスチャード加工された網状組織を、上述のもののような治療薬を送出するように構成することもできる。
補強材ストランドは、可撓性ストランドの形に形成可能な任意の好適な生体適合性材料で構成され得る。ストランドは、金属、ポリマーまたは複合材料であり得る。ストランドは弾性または非弾性であり得る。一実施形態において、ストランドは、編成スリーブの形に形成されるePTFEテープを含むことができる。
ePTFEフィルムが少なくとも部分的に編成ePTFEの内部にくるような形で、ePTFEフィルムを編成スリーブに巻回することができる。
テクスチャード加工された網状組織1314は、ワイヤ、熱可塑性プラスチックフィラメントまたはリングで形成され得る。図13Aに示されているように、テクスチャード加工された網状組織1314は、熱可塑性ポリマー、例えばフルオロエチレンプロピレン(FEP)を含むことができる。ウレタンを吸収させたePTFEなどのePTFEの形態も同様に使用可能である。
任意には、テクスチャード加工された網状組織1314をバルーン1310にボンディングするかまたは統合するために、下にあるまたは上にあるフィルム材料にスリーブまたは管を熱ボンディングすることができる。例えば、テクスチャード加工された網状組織1314上に外側フィルムを巻回することができる。ボンディングを促すため15分間、約380℃でアセンブリを熱処理に付すことができる。より低い融点の材料、例えばFEPが使用されるさまざまな実施形態においては、このような材料をリフローし類似のボンディング効果を達成するために、より低い温度が使用されると考えられる。遠位端部は、圧接されるかまたは封止用フィルムを巻回することができる。接着剤を用いてカテーテルに近位端部を接着することができる。
図13Dを参照すると、テクスチャード加工された網状組織1314上に配置された外側フィルムを有するテクスチャード加工されたバルーンアセンブリ1300の断面が示されている。バルーン層1398が上に巻回られる基材として、マンドレル1392が示されている。バルーン層1398は、例えばePTFEおよび/または熱可塑性FEPを含むことができる。テクスチャード加工された網状組織1314は、層1398を覆って1つのトポグラフィ上の特長を提供することができる。外側フィルム1316は、テクスチャード加工された網状組織1314のまわりに巻回されて、例えばテクスチャード加工された網状組織1314を層1398に結合させる。上述の通り、ボンディングを促すためにバルーン1310を熱処理に付すことができ、その後マンドレル1392を除去することができる。
図13A〜13Cを参照すると、予め構成されたテクスチャード加工されたバルーンアセンブリ1300は、コンプライアント、半コンプライアントあるいは非コンプライアントのいずれであるかに関わらず、任意の好適なバルーン1310を含むことができる。バルーン1310は同様に、本明細書中に記載されているサイズ制限されたコンプライアントバルーンを含むこともできる。202kPa超で最高6079kPaなどの高い膨張圧力を達成するためには、バルーン1310は非コンプライアントバルーンまたはサイズ制限されたコンプライアントバルーンでなければならない。一実施形態において、テクスチャード加工された網状組織は、合着した不規則な網状組織を形成し得る。テクスチャード加工された網状組織は外側表面上に配置され得るが、灌流に有意な影響を及ぼすことはない。例えば、一実施形態においては、多孔質膜の泡立ち点、フレーザー数および/またはガーレー数が実質的に同じであるかまたは最小限しか改変されないような形で、テクスチャード加工された網状組織を構築することができる。このような実施形態において、バルーン1310は、多孔質膜を有することができ、流体を灌流させるように構成され得、かつその外側表面上にテクスチャード加工された網状組織を含むことができる。網状組織は熱可塑性の要素から形成可能である。「Porous Article」という名称のBacinoによる米国特許出願公開第2012/064273号(U.S.Patent Publication No.2012/064273)は、合着した不規則な網状組織およびバルーンの外側表面に対しこの網状組織を適用するためのさまざまな技術を記述する目的で全体が参照により本明細書に援用されている。Bacinoの刊行物の詳細の一部を、以下に記載する。
一実施形態において、下にあるバルーン1310に取付けるかまたは本明細書中に記載の自立型製品の形に製造されてよい合着した不規則な網状組織は、共に付着された熱可塑性粒子の合着した不規則な網状組織である。合着した不規則な網状組織を定義する上で用いられる「合着した(coherent)」という用語は、この製品が、自立できるように効果的に互いに連結された要素を含み、したがって延伸フルオロポリマー基材上にコーティングされるフッ素プラスチック接着剤などの基材に付着する可能性のある離散的な粒子を含まないことを意味している。合着した不規則な網状組織を定義する上で使用される「不規則な」という用語は、合着した不規則な網状組織の構造が、他の連結部分、粒子または要素との交差点または付着部の間の連結部分の長さに沿って一貫性ある直径または横断面積を有していない連結部分を含み、したがって、一貫性ある断面積を有する繊維からなるスパンボンデット、製織、またはフェルト化製品を含まないことを意味している。合着した不規則な網状組織を定義する上で使用される「網状組織」という用語は、合着した不規則な網状組織の個別の要素が、効果的に共に付着されて、隣接する構造を提供することを意味している。合着した不規則な網状組織はさらに、それが多孔質で浸透性を有するような形で厚み全体を通して付着された要素間に気孔を含むものとして定義される。合着した不規則な網状組織はさらにまた、開放部域を有するものとしても定義される。
高い分子量または低いメルトフローインデックス(MFI)を有する粒子を含め、広範囲の熱可塑性粒子を使用して、合着した不規則な網状組織を作り上げることができる。本明細書中に記載のMFI方法にしたがってテストされた場合に10分あたり0.2〜30gのMFI値を有する粒子が、より望ましいものであるかもしれない。しかしながら、10分あたり0.1g超または50g未満のMFI値を有する粒子を使用してもよい。さらに一部の利用分野では、FEP、EFEP、PFA、THV、PVDF、CTFEおよびその混合物を含めた(ただしこれらに限定されない)フッ素プラスチック粒子が所望される。
一実施形態において、合着した不規則な網状組織は、バルーン1310、例えばバルーン1310の多孔質膜などに付着させられ、少なくとも35μmというSp値で定義される表面粗度を有する。粒子のサイズ、形状およびブレンドは、所望される表面粗度を得るように選択され得る。さらに、2つ以上の異なるタイプの粒子を使用することより、延伸フルオロポリマー層に対する合着した不規則な網状組織の付着、支持層に対する浸透性層の付着が補助され、あるいは所望の浸透性、多孔率、表面積、耐摩耗性、表面粗度、自立型フィルム強度または導電率などを得ることができる。
バルーン1310の外側表面の少なくとも一部分の上に配置された合着した不規則な網状組織は、共に融合させられて連結部分、気孔および開放部域を有する網状組織を作り上げている付着した熱可塑性要素を含むことができる。本明細書中で使用される開放部域は、完全に材料の厚みを通って延在する合着した不規則な網状組織内の多孔性部域として定義づけされる。合着した不規則な網状組織は、下にある多孔質膜の表面を完全に閉塞せず、合着した不規則な網状組織を通して多孔質膜を識別できる部域は開放部域である。本明細書で使用される開放部域の「サイズ」は、開放部域を横断して引くことのできる最長の直線の距離として定義される。バルーンの膨張時点で、開放部域のサイズは、テクスチャード加工された網状組織の要素が分離した状態になるにつれて、大きくなる可能性がある。このサイズ増大は、バルーンの「ザラザラ感」をさらに増大し得る。
一実施形態において、合着した不規則な網状組織はさらに、溶融加工不能な粒子を含む。溶融加工不能な粒子は、無機粒子、例えばシリカ、炭素など、または溶融加工不能ポリマー、例えばポリイミド、PPS、PTFEなどであってよい。これらの実施形態において、熱可塑性粒子または要素は付着させられて合着した不規則な網状組織を作り上げ、溶融加工不能な粒子はその中またはその上に付着させられる。
以上の記述によると、一実施形態において、バルーンアセンブリは、流体を灌流させるように構成され外側表面を有する多孔質膜を有するバルーンと、それを中心として突出部分が膨満し得る少なくとも1つのアパーチャを有する鋳型と、バルーンの外側表面の少なくとも一部分の上に配置され複数の空隙を含むテクスチャード加工された網状組織とを含むことができる。テクスチャード加工された網状組織は、熱可塑性要素の合着した不規則な網状組織であり得る。さらに、多孔質膜の外側表面のこの部分は、少なくとも35μmのSp値を含むことができる。
一実施形態において、バルーン1310は、ePTFEが巻回されたバルーンを含むことができる。ePTFEバルーンは、ePTFEフィルムの層をマンドレルのまわりに巻回することによって製造可能である。巻回は、螺旋巻回または長手方向巻回であり得る。ボンディングを促すためePTFEバルーンを15分間約380℃での熱処理に対し、片端を圧接させることができる。より低い溶融温度の材料、例えばフルオロエチレンプロピレンFEPが使用されるさまざまな実施形態においては、より低い温度が使用されると考えられる。テクスチャード加工された網状組織1314をバルーン1310全体にわたり摺動させるかまたはこのバルーンのまわりに巻回して、テクスチャード加工された網状組織1314がバルーン1310に対し実質的に同軸となるようにすることができる。その後、アセンブリ1300の近位端部にポリマー非弾性テープを巻回することおよび接着剤によって、アセンブリ1300をカテーテル1302に取付けることができる。
本開示が、少なくとも1つのアパーチャを有する鋳型と組合されている記述された通りの予め構成されたテクスチャバルーンを含むバルーンアセンブリを企図しているという点を指摘しておくべきである。例えば、リブ付きバルーンは、アパーチャを中心として突出部分を形成することができる。さらに、所望される場合には、バルーンの膨満を制限するためにサイズ制限層も存在し得る。
さまざまな実施形態において、鋳型またはバルーンのカバーの一部分に切込み線を入れるか、これにエッチングを施すかあるいは他の方法で部分的にカットまたは脆弱化させることができる。例えば下にある膨張するバルーンからの圧力に応えて、鋳型の切込み線入り部分は破断または他の形で破損し得る。バルーンによって加えられる圧力によって、鋳型の一部分を鋳型から突出させることができる。
さまざまな実施形態において、突出する部分は、切込み線入り部分を選択的に整形することにより鋭利なものとなるように構成可能である。例えば、三角形状を形成させ、1つの頂点に切込み線を入れることができる。バルーンの膨張に応えて、三角形の切込み線入り頂点は破損して、切込み線入りの突端を鋳型から突出させることができる。
突端(または結果として得られる他の形状)は、組織との関係において一方向に配向させることができる。例えば、血管内に挿入した時点で血管壁に沿った摩擦または剥離が発生するような形でカテーテルの遠位端部の方を向くように隆起した突端を配向することができる。このような利用分野は、血栓切除術、アテローム切除術または他の処置を実施するために用いることが可能である。突端をカテーテルの近位端部に向けて配向することによって、管腔との間にはるかに攻撃的な相互作用が発生すると考えられる。他の実施形態においては、突端を多数の方向に配向することが可能である。本開示のバルーン構成体が閉塞装置として役立つ利用分野においては、アンカーとして役立つ突端を、所定の場所すなわち周囲の組織(単複)の運動または血流方向に対抗してデバイスを保持するように配向することが考えられる。そのように切込み線を入れた結果得られるあらゆる形状が、本明細書において企図されているという点に留意されたい。
したがって、一実施形態において、バルーンアセンブリは、バルーンと、その少なくとも一部分の上にあり膨張時に分断される表面を含む鋳型とを含むことができる。例えば、図14Aおよび14Bを参照すると、バルーンアセンブリ1400はバルーン1410と、切込み線入り部分1422を有する上にある鋳型1420とを含む。図14Bに示されているように、膨張時点で、切込み線入り部分1422は部分的に鋳型の表面から離隔し、外向きに延在する突出部分を形成する。
一実施形態において、切込み線1422の破断によって作り出される鋳型1420の破断された部分は、内部でバルーン1410が少なくとも部分的に露出され得るアパーチャ1421である。さまざまな実施形態において、切込み線1422は、所望の結果を達成するために破断させる必要のない鋳型材料内の貫通切断部として形成可能である。
例示されている通り、切込み線を入れ、切込み線を後で破断させることにより、実質的に非鋭利化された状態で体内に鋭利な物体を挿入することが可能になり、かつその後特定の時点で鋭利な物体の展開を提供することができる。さらに、切込み線を入れ、後に破断させることで治療薬の送出を補助することができる。例えば、治療薬をバルーンと鋳型との間に配置できる。鋳型はバルーン全体にわたり治療薬を封止することができ、こうして体内に置かれた時点で治療薬はバルーンと鋳型の間の空間内に実質的に保持される。鋳型の切込み線入り部分の破断時点で、治療薬は身体の位置特定された部分の中に放出され得る。
同様にして、図14C〜14Eを参照すると、別の実施形態において、バルーンアセンブリは、バルーン1410とその少なくとも一部分の上にある鋳型1420とを含むことができ、ここで鋳型1420は少なくとも1つのアパーチャ1421を含み、弧状要素1423がアパーチャ1421に跨っている。前述の通り、バルーン1410は膨張させられ、第2の膨張状態でアパーチャ1421を通って突出部分1412を形成するように構成されている。一実施形態において、弧状要素1423は、それが突出部分1412を拘束せず(またはわずかにまたは部分的にしか拘束せず)、したがって第2の膨張状態で突出部分1412の頂上に位置するような形で寸法決定されている。突出部分1412の頂上に位置する弧状要素1423は、バルーンアセンブリの研磨品質に寄与できる。
弧状要素1423は、一定の弧長を有する内側弧縁部を含むことができ、ここで内側弧縁部の弧長は、内側縁部が突出部分1412の頂上に横たわるような形でアパーチャを通って突出する突出部分の弧長と類似している。一実施形態において、第1の膨張状態で、弧状要素1423は、バルーン1410の表面上に平らにまたは鋳型1420と同一平面内に存在することができ、第2の膨張状態まで膨張した時点で、バルーン1410は突出部分1412を形成し、弧状要素1423は歪みを削減するため自ら再配向し、突出部分1412の頂上に位置する。一実施形態において、弧状要素1423は、フィラメント、ワイヤ、フィルム、テープ、撚りなどを含むことができる。さらに、弧状要素1423は鋳型1420と一体であり得る。すなわち、鋳型パターン内にカットされるかまたはそれに取付けられ得る。図14E(1)〜14E(4)はさまざまな弧状要素1423パターンを示す。
図14C(1)〜14C(3)を参照すると、一実施形態において、弧状要素1423は、異なる長さをもつ内側弧縁部と外側弧縁部とを有することができる。未膨張状態において、弧状要素1423の縁部は両方共、第1の膨張状態にあるバルーン1410上に平らに横たわっており、膨張時点で内側縁部は実質的に、突出部分1412と接触した状態となり、ここで、外側縁部は突出部分と連続接触状態になく、外側縁部の少なくとも一部分が、突出部分1412から半径方向外向きに一定の距離だけ離隔されている。内側弧縁部が外側弧縁部より短かい距離を有することから、外側弧縁部は、第2の膨張状態で外側縁部に皺、襞、フリルなどを形成させる追加長を有する。一実施形態において、弧状要素1423は、鋳型パターンの一部であり得、ここで弧状要素1423はアパーチャ1421に跨っている。図14D(1)〜14D(2)を参照すると、他の実施形態において、弧状要素1423は、鋳型に結合されたワイヤまたはフィラメントを含み得る。一実施形態において、ワイヤまたはフィラメントは、複数のアパーチャ1421に跨る起伏形状であり得る。一実施形態においては、以上で言及した実施形態の両方を組合わせて、皺、フリルを含むと同時にワイヤ(単複)またはフィラメント(単複)を含む弧状要素を作り上げてよい。
本明細書中に開示されているバルーンアセンブリのさまざまな実施形態は、好適な任意の要領で構築可能である。例えば、方法1500を用いる図15に示されている通り、ステップ1502はバルーンおよびサイズ制限層と鋳型とを結合するステップを含む。例えば、バルーンを、鋳型およびサイズ制限層と実質的に同軸に配置することができる。さまざまな実施形態において、例えば層がePTFEを含む場合、バルーンアセンブリ上で焼結を実施することができる。例えば、バルーンを、バルーンおよび/または鋳型を構成する材料の融点よりも高い温度にすることができる。この要領で焼結することにより、ePTFE層のボンディングを生成できる。ステップ1504は、カテーテル上にバルーンを配置するステップを含むことができる。ステップ1504はさらに、例えばカテーテルからバルーンの内部体積まで流体を導くことができるような形でカテーテルをバルーンと流体連通状態に置くステップを含むことができる。
さまざまな実施形態において、バルーンアセンブリを使用するための図16に示されている通りの方法1600を用いることができる。方法1600は、バルーンを体内に挿入するステップを含むステップ1602を含む。ステップ1602では、身体の任意の部分および身体の管腔を使用することができる。例えば、管腔は、ヒトの血管、尿道、食道、椎間腔などを含み得る。ステップ1604は、バルーンの内部体積内に流体を導入するステップを含むことができる。ステップ1604は、バルーンの一部分を鋳型の外側表面を超えて外向きに拡張させるのに充分な圧力までバルーンを膨張させるステップを含むことができる。ステップ1606は、バルーンを収縮させその後身体からバルーンを除去するステップを含むことができる。
さまざまな実施形態において、鋳型を伴うバルーンアセンブリは、アセンブリの長さに沿って(任意には外周のまわりに)位置設定された複数のアパーチャを含むことができ、側板血管に位置設定するために使用可能である。バルーンはひとたび体内の所望の場所まで平行移動させられた時点で、放射線不透過性染料などの外部から検出可能な作用物質を有する流体を用いて膨張させられる。側枝の場所にある突出部分は側枝の内部に膨満し、一方側枝の近くではないバルーンの区分で形成される突出部分は、膨満の程度はより低くなる。こうして、その内部に進入した突出部分によって側枝は視認可能になる。
さまざまな実施形態において、バルーンアセンブリは、研磨性トポグラフィを有するように構成され得る。一実施形態において、バルーンの表面は粗化されるかまたは、例えば以上で記述した通りの所望のテクスチャード加工された網状組織が具備される。バルーンの表面は、膨張および鋳型を通した突出の時点で初めて標的組織(単複)に曝露される。さまざまな実施形態において、体内に入った時点では外部の環境と相互作用しない粗度の高いかつ/または鋭利な縁部を鋳型が有するものの、コンプライアントバルーンの膨張に応えてこの粗度の高いかつ/または鋭利な縁部が展開されて研磨性のトポグラフィを形成するような形で、バルーンアセンブリを構成することができる。
さまざまな実施形態において、バルーンまたは鋳型のいずれかまたは両方の上にePTFE、ナイロンおよび/またはエラストマなどの材料の多数の層を用いて、変化に富むトポグラフィのバルーンまたは予め構成されたテクスチャード加工されたバルーンアセンブリを構築することができる。他の実施形態においては、バルーンおよび/または鋳型のさまざまな長手方向セグメントを、異なるコンプライアンス特性を特色とする異なる材料で構築することができる。多数の材料層が使用される場合、層の数および/または厚みを、バルーンおよび/または鋳型の長さ全体にわたり変動させることができる。他の実施形態においては、バルーンの壁厚の一部の部分または層を除去するかまたは他の形で予め状態調節することができる。このような構成体は、変化に富む膨張断面形状、ひいてはアパーチャを中心とした変化に富む突出部分を可能にする。例えば、バルーンコーンを、バルーンの本体よりもさらに高いコンプライアンスを有するようにすることができる。バルーンの本体はその長さに沿って異なるコンプライアンス特性を有し得る。バルーンの諸部分を、半コンプライアントバルーンまたは非コンプライアントバルーンとして構築することができる。膨張時点で、同じ圧力の下で、バルーンの比較的高いコンプライアンスを示す部分は、比較的低いコンプライアンスを示す部分に比べて大きい程度まで膨満する(すなわち高さ勾配を形成する)。
任意には、本明細書中に記載されているバルーンアセンブリは、カテーテルに対してバルーンの遠位終端をしっかりと固定するための遠位キャップを含むことができる。遠位キャップは、「オリーブ(olive)」と称することができる。オリーブは、バルーンまたはカテーテルの遠位端部に当接できる。オリーブは、当業者が容易に理解しかつ利用可能である周知のさまざまな生体適合性接着剤のいずれかを用いてバルーンまたはカテーテルに対し接着ボンディングされ得る。あるいは、オリーブは、バルーンまたはカテーテルに対して螺刻、熱ボンディング、スピン溶接されるか、または本開示の目的にとって等価であると考えられる他のさまざまな公知の技術によって固定され得る。その上、バルーンの遠位終端にカテーテルまたは他の器具を配置することもできる。
さらなる実施形態において、本明細書中に開示されているバルーンアセンブリでは、内部圧力の増大に応えて灌流を起こすサイズ制限されたコンプライアントバルーンを含むことができる。
さまざまな実施形態において、本明細書中で開示されているバルーンアセンブリは、膨張した状態および/または収縮した状態の両方の場合で操縦可能である。他の実施形態において、本明細書に記載のバルーンアセンブリは、それらが使用される血管生体構造に適合可能となるように製造することができる。他の実施形態において、本開示のバルーンアセンブリは長さ調整が可能となるように製造することができる。さまざまな実施形態において、本開示の多数のバルーンアセンブリを、単一のバルーンカテーテルの長さに沿って配置することができる。一部の実施形態において、バルーンアセンブリはさらに、バルーンの圧密を補助するためにエラストマカバーまたは内側エラストマライニングをさらに含むことができる。
さまざまな実施形態において、本明細書中に開示されているバルーンアセンブリは、圧力保持弁と共に使用可能である。圧力保持弁は、バルーンおよび/またはカテーテルの管腔などの体積の中に流体圧力(例えば油圧)を挿入できるようにするが、圧力が解放されるのを防ぐ。これは特に、バルーンアセンブリ(または他の拡張可能なデバイス)が離脱可能でかつより長期の閉塞デバイスとして役立つように意図されている場合に有用である。
限定的な意図なく、本明細書中で開示されているデバイス(例えば変化に富むトポグラフィのまたはテクスチャード加工されたバルーンアセンブリ)は、医療利用分野または医療的処置、例えば組織切除術、血管形成術、癌療法、血栓除去術、栓塞除去術、血管形成術/ステント留置術;腎内血管形成術/ステント留置術;血液流路内血管形成術/ステント留置術;脚内血管形成術/ステント留置術;グラフト−動脈吻合部狭窄の血管形成術;体内プロテーゼ、例えば胃腸壁ライナーなどの取付け補助のために用いられるステント留置術、副腎皮質の癌;子宮内膜の癌;喉頭の癌;膵臓の癌;上皮小体の癌;甲状腺の癌;口唇組織の癌(例えば、舌;歯肉;頬の内側;口の奥;硬軟口蓋;臼後三角);癌;血液の癌;鼻腔の癌;カンジダ症;嚢;カルチノイド症候群;カルチノイド腫瘍;心臓血管疾患(CVD);心臓血管修復用パッチ;頸動脈ステント留置術(CAS);ギプス;カテーテル;細胞;絨毛癌腫;慢性骨髄性白血病(CML);深部静脈血栓症(DVT);遅延放出型グラフト;遅延放出型ステント−グラフト;遅延放出型ステント;透析アクセスアプリケーション;透析設備;透析グラフト;薬物送出デバイス;薬物−溶出グラフト;薬物−溶出インプラント;薬物−溶出縫合;薬物−溶出ステント;体内プロテーゼステント−グラフト;心門バルーニング(ostia ballooning)、心門内での体内プロテーゼの展開;血管内動脈瘤修復(EVAR);エンドグラフト;血管内グラフト留置;血管内ステント−グラフト;血管内療法;食道ステント留置術;耳管機能不全;腸管ステントおよびステント−グラフト;免疫付与;感染症(例えば肺;咽頭;鼻腔;腎臓;膀胱;腹部;および皮膚内);女性生殖器の感染症;尿管および下気道の感染症;全身性感染症(敗血症);炎症性腸疾患(例えばクローン病);心房欠損症;インフルエンザ;傷病;不眠症;内胸動脈グラフト(ITA、乳房動脈);腸内ステント;腸内ステント−グラフト;側枝位置設定;医療デバイス;修正放出型ステント−グラフト;修正放出型ステント;腎尿管ステント留置術;神経学的デバイス;膵臓ステント留置術;膵臓癌;膵臓;膵炎;高安動脈炎の経皮血管形成術;ペニスインプラント;末梢血管ステントおよびステント−グラフト;尿道腔内位置決め;肺疾患;橈骨動脈グラフト;直腸ステントおよびステント−グラフト;動脈瘤(袋)の縮小または収縮;神経線維または器官の再生;崩壊構造の強化;腎細胞癌;腎細胞癌腫(RCC)腫瘍;腎障害;腎臓グラフト;腎臓ステントおよびステント−グラフト;腎移植;腎移植;動脈瘤の修復;生体細胞修復;組織または器官;腎動脈狭窄(例えば動脈口での);ステント−グラフト;ステント留置術;ステント;大腿動脈内ステント;外科手術;持続放出型グラフト;持続放出型ステント−グラフト;胸部動脈瘤修復;血栓症;血栓状態;その全体が参照として本明細書に援用されている「Gray’s Anatomy and discovers」で参照されている他の疾患、細胞、組織、器官、骨び疾患の治療またはそれらの組合せにおいて有用である。
さまざまな実施形態において、本開示のバルーンアセンブリは、薬物溶出または薬物送出バルーンと併せて使用可能である。一実施形態において、薬物溶出バルーンは1つ以上の鋳型の下に横たわり、膨張の時点で、隣接する標的組織に治療薬を送出するだけでなく鋳型のアパーチャから延在する突出部分を介してそれを行なう。こうして、例えば、局在化された力が突出部分と組織の間に作り出されかつ/またバルーンからの作用物質の放出点を突出部分に局在化させることを考えると、薬物摂取を改善することが可能となる。
ステントまたはステント移植片(または他の体内プロテーゼ)を設置、切断または「タッチアップ」するのに使用される場合、本開示の変化に富むトポグラフィのまたはテクスチャード加工されたバルーンを、ステントの保持、ステントの展開およびステントの開放を増強するような形で構築することができる。
例えば、鋳型(単複)によって形成される突出部分は、バルーンおよびこのようなプロテーゼの内壁に接着しその滑脱を防ぐように、任意の形状、サイズ、表面テクスチャおよび/または材料のものであり得る。さまざまな実施形態において、突出部分は、ステントの特長と適合または一致するように設計され得、例えば、突出部分は、ステント支柱間の開口部内またはステントリング(互いに好適な形に連結されている)間の開口部内にかみ合わさることができる。他の実施形態において、ステントの近位および/または遠位端部に相対して位置設定された突出部分は同様に、ステントの保持も容易にすることができる。こうして、それらの追跡および設置はより容易かつより精確になる。さらに、変化に富むトポグラフィは、(従来のバルーンでは一般的であるような)バルーンの表面全体ではなくバルーンと体内プロテーゼの間に局在化された最小限の接触を結果としてもたらし得る第2の膨張状態における突出部分パターンを作り出すことによって、バルーンと体内プロテーゼ間の接着力または「静止摩擦力」を削減することもできる。さまざまな実施形態において、突出部分の場所を、体内プロテーゼの一部分のみと係合させるように工学処理することができる。テクスチャード加工された網状組織をバルーンおよび/またはサイズ制限層の表面に適用して、同様にこれらの性能特長を修正することもできる。
図20を参照して、一実施形態においては、体内プロテーゼ2050を所望の治療部位において所定の場所に保持するためのアンカー2051を展開させるのに、突出部分2012が使用される。アンカー2051と相関させるために鋳型2020に沿った任意の場所にアパーチャ2021を位置設定し、こうしてバルーン2010が膨満し突出部分2012を形成してアンカー2051を周囲の組織内に展開させることができる。
同様にして、アパーチャおよび/または突出部分パターンを、心門バルーニング、ステント端部(単複)の拡大加工および/またはフランジの展開を目的として設計することができる。図21を参照すると、一実施形態において、バルーンアセンブリ2100は、少なくとも2つのアパーチャ2121がバルーン2110の一区分に沿って全体的に円周方向の突出部分2012の断面形状を形成している、本明細書中に記載のバルーン2110と鋳型2120を含むことができる。この区分はアセンブリの近位および/または遠位端部に位置設定され得る。
これらのバルーン構成体の血管形成術への応用に関しては、これらの構成体がいくつかの臨床的な利点を提供することが理解される。バルーンアセンブリ設計の結果として作り出された突出部分は優先的に閉塞(例えばプラーク)と接触することから、閉塞の表面全体にわたって分配される応力集中が作り出される。さらに、(血管形成バルーンについて見られることの多い)閉塞全体にわたるバルーンの軸方向運動の間を含めた閉塞を中心とするバルーンの変形が、本開示のバルーンアセンブリの場合、著しく限定される。これらの要因はそれ自体、閉塞をより良く破砕するのを助け、その後それをより完全に除去できるようにする。この点において、鋳型によりもたらされる選択的拘束力のため、本開示のバルーンアセンブリが、コンプライアントバルーンまたは半コンプライアントバルーンについての典型的な公称膨張圧力よりもはるかに高い圧力で膨張され得るという点を指摘しておくことが重要である。これは、鋳型のアパーチャが比較的に小さい場合に特にあてはまる。したがって、コンプライアントバルーンがバルーンアセンブリの一部を成すことができるとしても、例えば血管形成術など、高い膨張圧力を必要とししたがって典型的にはコンプライアントバルーンを用いて実施されない臨床的処置を実施するために、アセンブリを使用することが可能である。
さらに、さまざまな実施形態において、本開示にしたがってなされた設計の結果としてもたらされる突出部分は、解剖学的構造の視覚化において使用可能である。バルーンに視覚化剤(例えば造影剤)を充填することができる。膨張の時点で、突出部分ははっきりと視覚化される(例えば蛍光透視法を介して)。このように視覚化された突出部分を、例えば、血管小孔などの組織構造内に収まるまで、血管に沿って移動させることができる。このようにして、臨床医は、突出部分(単複)の形状に対し或る程度形状が適合する解剖学的特長の位置を容易に特定することができる。このアプローチの1つの追加の利点は、体内にいかなる視覚化剤も放出する必要がないという点にある。
本開示により提供されている別の臨床的利点は、最終的に拡張した高さと拡張中の高さの両方の既定の高さに至るまで突出部分を拡張するようにバルーンを構築できるという点にある。この「漸進的な突出」は、臨床的に有用であり得る。これは、膨張圧力および/または膨張流体体積と相関させるようにバルーンの設計を工学処理することによって行なうことができる。こうして、臨床医には、これらのデバイスの使用中可変的な制御が提供されることになる。
以上で指摘した通り、使用されるトポグラフィが可変的なバルーンはバルーンの急激な移動を防ぎかつ/または組織の内方成長および/または血栓形成を促進するために増大した表面積を提供できるという点において、本開示はさらなる臨床的利点を提供するものである。このことは、閉塞装置として使用されるバルーンアセンブリにおいて有益であり得る。
さらに、本開示に係るバルーンアセンブリは、脈管構造中の血栓またはプラークを「スクラブする(擦り取る)」、または他の形で移動させるあるいは除去するために使用可能である。粗いまたはテクスチャード加工されたトポグラフィは、血栓またはプラークとバルーンアセンブリの係合を増強させる上で助けとなりかつ/または血管を閉塞する上でも助けとなる可能性がある。例えば本開示に係るバルーンアセンブリは、頸動脈ステント留置術において使用されるもののような逆血流システムと併せて使用可能である。このような逆血流システムにおいては、本開示に係るバルーンアセンブリは、外部頸動脈および/または総頸動脈を閉塞するために使用可能である。本開示に係るバルーンアセンブリは、従来のバルーンアセンブリとの関係において増強された閉塞特性を提供することができる。
さらに、本開示に係るバルーンアセンブリは、ステント留置処置におけるバルーン定置式導入装置として使用可能である。バルーンアセンブリを所望のステント部位に対し遠位のところで体内に位置づけすることができる。次にバルーンアセンブリを膨張させて、バルーンアセンブリを定着させ、こうしてステントを所望のステント部位に送出し展開させることのできるガイドワイヤまたは他の器具のための支持を提供することができる。本開示に係るバルーンアセンブリは、従来のバルーンアセンブリに比べて増強された定着特性を提供できる。
以下の実施例は、本開示の例示的バルーンがいかに構築されたかを詳述する。
実施例1:アパーチャを伴う鋳型の製造方法
米国特許第7,306,729号(U.S.Patent No.7,306,729)で開示されている通りの一般的タイプのePTFEフィルムを得た。1つの表面に対し、熱可塑性FEP(フルオロエチレンプロピレン)の不連続層を適用し、フィルムをテープの形に細長く切った。テープを6mmのマンドレルのまわりに巻回して、フィルムの流れ方向がマンドレルの外周のまわりに配向されるようにした。およそ18層のフィルムを結果としてもたらす一定長のテープを巻回した。テープが巻回された管をオーブン内で320℃で12分間熱処理した。フィルム管をオーブンから取出し、次にマンドレルから取外して、長さ80mmにカットした。
6mmの管を好適なマンドレル上に設置し、CO2レーザーを用いて2mm×2mmの正方形のアパーチャを管を貫通してカットし、アパーチャ間には1mmのフィルム材料を残した。管の長手方向軸に対し平行に管の外周のまわりに6本のアパーチャ横列をカットした。80mmの管内を中心にして60mmの長さにわたってパターンをカットした。この管を「アパーチャ」を伴う「鋳型」と呼ぶ。
実施例2:コンプライアントバルーンを覆うサイズ制限層を含み、その両方がアパーチャを伴う鋳型によって囲まれているバルーンアセンブリの製造方法
1995年12月9日発行の「Porous PTFE Film And A Manufacturing Method Threfore」という名称の米国特許第5,476,589号(U.S.Patent No.5,476,589)中に開示されている通りの一般的タイプのePTFEフィルムを得た。フィルムを幅25mmのテープの形にカットし、11.4mmのピッチで9mmのステンレス鋼のマンドレルのまわりに螺旋状に巻回した。巻回を、反対方向のバイアスに反復して、およそ4層のフィルム管を生成した。
その後、この管をオーブン内で380℃で9分間処理し、その後オーブンから取出した。管をマンドレルから取外し、7mmのマンドレル上に設置し、軸方向に引き伸してその直径を7mmに減少させた。7mmのマンドレル上のフィルム管上に犠牲ePTFEテープを螺旋状に巻回した。
その後、管アセンブリを、その原初の長さの85%まで軸圧縮した。次に管アセンブリを、380℃で1分間の熱処理に付し、その後オーブンから取出した。犠牲ePTFE層を取除き、廃棄した。7mmの管構成体を80mmの長さにカットした。この管を「サイズ制限層」と呼ぶことができる。
10mmの直径と60mmの長さを有するバルーン(「COAX」、Bavarian Medizin Technologies(BMT)、ドイツ)を用いて、ポリウレタンのコンプライアントバルーンカテーテルを得た。
サイズ制限層をバルーンアセンブリ上に摺動させた(バルーンはつぶれた状態にある)。サイズ制限層の管端部を中心にして5回巻回された幅6mmのePTFEテープに対し塗布されたLOCTITE接着剤4981(Henkel Corporation、Dusseldorf、40589、ドイツ)を用いて、サイズ制限層の端部をカテーテルにしっかり固定した。次に、およそ5mmの直径までバルーンを膨張させた。
実施例2に記載の鋳型層をサイズ制限層およびコンプライアントバルーン(バルーンはその5mmの直径にある)の上に摺動させた。管端部を中心にして5回巻回された幅6mmのePTFEテープに対し塗布されたLOCTITE接着剤4981を用いて、鋳型層の端部をカテーテルにしっかり固定した。次に、およそ6mmの直径までバルーンを膨張させた。
その後、バルーンアセンブリを405kPaまで膨張させ、下にあるコンプライアントバルーンの突出部分がアパーチャから延在すること認められた。
実施例3:コンプライアントバルーンを覆うサイズ制限層を含み、その両方がアパーチャを伴う鋳型によって囲まれている、第1の膨満断面形状と第2の膨満断面形状とを有するバルーンアセンブリの製造方法
膨満性鋳型を形成するために、2007年12月1日発行の米国特許第7,306,729号(U.S.Patent No.7,306,729)に記載のePTFEフィルムを用いて、螺旋状に巻回された8mmのフィルム管を構築する。8mmのフィルム管をレーザーによりカットして、2mm×2mmの開口部を形成する。鋳型の内径がおよそ4mmに達するまで長手方向に鋳型を引き伸ばすことにより、鋳型の直径を削減する。4mmの縮小された鋳型の中に4mmのマンドレルを挿入する。4mmのマンドレル上で鋳型に犠牲フィルムを重複巻回する。重複巻回された鋳型を、原初の長さのおよそ60%まで長手方向に圧縮する(つまり、押しつぶす)。圧縮した鋳型を(0秒〜120秒)の範囲内の時間で、380℃で焼成する。このステップにより、鋳型が膨満し始める負荷が設定される。焼成時間が短かければ短かいほど、膨満に必要な負荷は小さくなる。ひとたび硬化されたならば、犠牲フィルムと鋳型を4mmのマンドレルから取外す。
40mmの作業長さ、長さ4mmの2つの肩部そして7mmの2つのシール(全長は62mmとなる)を伴って8mm×40mmとなるように構築された膨張可能なコンプライアントバルーン要素を得る。
4mmのマンドレル上に、同じく4mmまで縮小された8mm×62mmのサイズ制限層(実施例2で記述されたものと類似の要領で構築されたもの)を置く。鋳型を、(シールにおけるサイズ制限層への付着を形成するため24mm+7mm)の長さまで鋳型をカットして、それに31mmの全長を与える。4mmのマンドレル上に置かれたサイズ制限層上に、カットされた鋳型を摺動させ、こうして鋳型の内側端部はサイズ制限層の中心線と整列する。4498Loc Tite接着剤(glue)を用いて、幅1/2’’の充分に薄くて強い焼結多孔質ePTFEフィルムをおよそ5〜20層巻回してサイズ制限層の中心線で鋳型を接着させる。鋳型が付着した状態で、4mmのマンドレルからサイズ制限層を取外す。
4mmの鋳型およびサイズ制限アセンブリを、圧密された8mmのバルーンの上に置き、およそ10層以上の充分に薄くて強い焼結多孔質ePTFEフィルムと4498Loc Tite接着剤をカバーおよびカテーテルの各端部のまわりに巻回することによって、近位および遠位の両方の端部(各7mm)をしっかりと固定する。
別の実施形態において、全体が参照により本明細書に援用されているBrankaらの米国特許第5,814,405号(U.S.Patent No.5,814,405)中に記載のePTFEフィルムを代りに使用して、実施例3で記述した通りの壊れ易い鋳型を構築することができる。
当業者にとっては、開示の精神または範囲から逸脱することなく、本開示においてさまざまな修正および変動を加えることができるということは明白である。例えば本開示の実施形態は下大動脈を基準にして記述されてきたが、実施形態は拡大縮小可能であり、さまざまな中心または末梢の血管および管腔における応用が本明細書において企図されている。さらに、実施形態は、ヒトだけでなく哺乳動物の生体構造を有するさまざまな生命体に関しても使用可能である。したがって、本明細書中に記載の実施形態は、添付のクレームおよびその等価物の範囲内に入ることを条件として本開示の修正および変動を網羅するものとして意図されている。
本明細書では、具体的実施形態に関してメリット、他の利点そして課題に対する解決法が記述されてきた。しかしながら、メリット、利点、課題に対する解決法および、いずれかのメリット、利点または課題に対する解決法を発生させるかまたはより明白なものにすることのできる任意の要素または要素の組合せは、本開示のいずれかのまたは全てのクレームの重大な、所要のまたは不可欠な特長または要素とみなされるべきものではない。本開示の範囲内の多くの変更および修正は、その精神から逸脱することなく行なうことができ、本開示はこのような修正の全てを内含する。以下のクレーム内の全ての要素の対応する構造、材料、行為および等価物は、具体的に請求されている他のクレーム要素と組合せた形で機能を果たすためのあらゆる構造、材料または行為を含むように意図されている。本開示の範囲は、以上で示された実施例によってではなくむしろ、添付のクレームおよびそれらの合法的等価物によって決定されるべきものである。