JP2018032941A - 色分解処理装置、色分解処理方法、色分解lutの作成方法及びプログラム - Google Patents

色分解処理装置、色分解処理方法、色分解lutの作成方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】色分解処理において、シャドウ領域からハイライト領域までの色空間全体で良好な階調性を得ることができるようにする。【解決手段】入力画像信号値を、画像形成装置が具備する実色材の出力値に変換する色分解処理装置であって、前記実色材の数よりも少ない複数の仮想色材について、前記入力画像信号値に対応する出力値を導出する導出手段と、導出された前記複数の仮想色材の出力値を、前記実色材の出力値に変換する変換手段と、を備え、前記複数の仮想色材のそれぞれは、前記実色材による出力にて再現される波長範囲を複数の波長帯に分割したときの各波長帯に対応する濃度を有し、前記導出手段は、前記各波長帯に対応する濃度に基づき、前記入力画像信号値に対応する前記複数の仮想色材の出力値を導出する、ことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、画像信号を、プリンタが扱う複数の色材成分に対応する信号に変換する画像処理に関する。
インクジェット方式や電子写真方式に代表されるプリンタは、画像信号(通常、RGBの色信号)を入力として受け取り、その画像信号をプリンタで用いる色材(例えばCMYKのインクやトナー)の量に変換することで印刷データを生成している。プリンタの色材量の設定次第で、階調性・色再現精度・粒状性などの画質が変化するため、画像信号から色材量への変換処理は重要である。
この変換処理は色分解処理と呼ばれており、現在、主流となっているのは3次元LUT(ルックアップテーブル)を用いた方式である。3次元LUTは、入力信号であるRGBの3次元データに対応するプリンタの色材量を保持するものである。一般的には入力値(RGB値)全てに対しての出力値(色材量)を保持するのではなく、装置の記憶容量を節約する目的で、RGBの各軸に対し16〜256個程度の格子点上にのみ出力値を保持する。例えば、各軸を15分割して16個の格子点を配置した場合、16×16×16=4096個の格子点上に出力値が保持される。この3次元LUTと、四面体補間などに代表される補間演算を用いることで、任意のRGB入力値に対応する色材量を求めることが可能となる。補間演算においては、求めたいRGB値を内包する近傍の格子点に格納された色材量情報と、求めたいRGB値と該近傍の格子点間の距離情報に応じた係数(重みづけ)との積和演算で色材量を算出する。補間演算による色材量の算出結果は、格子点に格納された色材量情報により影響を受けるため、階調性・色再現精度・粒状性などの画質向上のためには、格子点に格納される色材量の設定が重要となる。この点、特許文献1には、間引かれた複数の格子点毎に目標色を設定し、各目標色を実現する色材量(インク量)を色予測モデルに基づいて算出する技術が開示されている。この技術では、階調の劣化が目立つ相対的に光学濃度の高い色材について、格子点間の変曲点がないように優先して色材量を決定することで、シャドウ領域における階調性・粒状性が良好な3次元LUTを作成している。
特開2015−142250号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、相対的に光学濃度の低い色材については、格子点毎に独立に色予測モデルに基づいて色材量が決定される。この時、プリンタが具備する色材数分(例えば4色〜12色)の色材量を決定する必要がある。一般に、多くの色材数分の色予測は難易度が高く、実際の色との誤差が生じる。この誤差が一定方向(色差の符号が格子点間で同じ)であれば階調の連続性は保たれるが、異なる方向(色差の符号が格子点間で異なる)となる場合、上記補間演算にて色材量を算出すると、格子点をまたぐ領域で階調に不連続性が生じる場合があった。その結果、特許文献1の技術では、シャドウ領域に比べて、中間調やハイライト領域において十分な階調性が得られない場合があった。
そこで本発明は、シャドウ領域からハイライト領域までの色空間全体で良好な階調性を得ることができる色分解処理を提供することを目的とする。
本発明に係る色分解処理装置は、入力画像の信号値を、画像形成装置が具備する実色材の出力値に変換する色分解処理装置であって、前記入力画像に対する印刷設定を取得する取得手段と、取得した前記印刷設定に応じて、前記入力画像の信号値を前記実色材の出力値に変換する変換手段と、を備え、前記変換手段は、前記入力画像の信号値と複数の仮想色材の出力値との関係を維持しつつ前記変換を行い、前記複数の仮想色材は、前記実色材の数よりも少なく、それぞれが前記実色材による出力にて再現される波長範囲を複数の波長帯に分割したときの各波長帯に対応する濃度を有し、前記複数の仮想色材の出力値は、前記各波長帯に対応する濃度に基づいて決定されており、前記関係は、単調増加で、かつ2次微分が負にならない関係であることを特徴とする。
本発明の色分解処理によれば、シャドウ領域からハイライト領域までの色空間全体で良好な階調性を得ることができる。
印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。 色変換LUTを模式的に表す図である。 本実施例に係る、色分解処理の流れを示すフローチャートである。 仮想色材の分光反射率を示す図である。 仮想色材のブロック濃度の一例を示す図である。 実施例1に係る、仮想色材量導出処理の詳細を示すフローチャートである。 W−Yラインにおける目標ブロック濃度の一例を示す図である。 目標ブロック濃度を実現する仮想色材量の一例を示す図である。 実施例1に係る、実色材量(インク量)への変換処理の流れを示すフローチャートである。 変換元となる仮想色材量の一例を示す図である。 各インクの仮想色材換算量の一例を示す図である。 グレイインクの出力値の決定手順を示す図である。 S905〜S910のループ処理における変化を説明する図である。 S905〜S910のループ処理における変化を説明する図である。 S905〜S910のループ処理における変化を説明する図である。 S905〜S910のループ処理における変化を説明する図である。 S905〜S910のループ処理における変化を説明する図である。 入力画像信号に対するインク量の分解例を示す図である。 インク量とブロック濃度Dyとの関係の一例を示す図である。 出力条件に応じた色分解LUTを得るための構成の一例を示す図である。 実施例2に係る、印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。 実施例2に係る、印刷設定画面の一例を示す図である。 印刷設定に応じて新たに作成される色分解LUTの一例を示す図である。 実施例2に係る、色分解処理の流れを示すフローチャートである。 特定の用紙に対応して設定された各インクに対する仮想色材量の一例を示す図である。 画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の詳細を示すフローチャートである。 画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の詳細を示すフローチャートである。 実施例3に係る、ユーザが指定した印刷条件に応じた色分解LUTを、複数の色分解LUTの合成によって作成する処理の詳細を示すフローチャートである。 インク総量制限の異なる2つの色分解LUTのグレイラインにおける、ブラックとグレイのインク量を示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組合せの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
本実施例では、階調の不連続性が少ない色分解を可能にするために、プリンタが実際に具備する色材(実色材)に代えて、それぞれの吸収波長帯が原則としてオーバラップしない仮想的な色材(仮想色材)の、入力画像信号値に対する出力値がまず導出される。具体的には、入力画像信号値と仮想色材の出力値との関係が、単調増加で、かつ変曲点が発生しないあるいは極力少ない(2次微分が負にならない)ように、仮想色材についての色材量が導出される。その後、入力画像信号と仮想色材の量との間で上述の関係を保ったまま、実色材の出力値へと変換される。以下、詳しく説明する。
なお、以下の説明では、画像形成装置としてインクジェット方式のプリンタを想定し、入力画像信号に対してプリンタが具備するインクの量を導出する態様を例に説明を行うものとする。ただし、本発明はインクジェット方式のプリンタに限定されるものではなく、熱昇華型プリンタやレーザープリンタ、UV硬化型インクジェットプリンタ等の他の記録方式にも適用可能である。
(印刷システムの構成例)
図1は、本実施例に係る印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。図1の印刷システムは、例えば一般的なパーソナルコンピュータ等の画像処理装置100と、上述したインクジェットプリンタ等の画像形成装置200とで構成され、両者はプリンタインタフェース又は回路によって接続されている。画像処理装置100は、カラーマッチング処理部101、色分解処理部102及びハーフトーン処理部103で構成され、これら各部は画像処理装置100にインストールされたプリンタドライバによって実現される。
画像処理装置100において、印刷対象の画像データは、まずカラーマッチング処理部101で処理される。この画像データは例えば8ビットのRGBカラー画像データである。カラーマッチング処理部101は、入力されたRGB画像データに対するカラーマッチング処理を行い、RGB画像の色を補正する。このカラーマッチング処理により、様々な色再現特性を有する画像形成装置や記録媒体を用いた場合にも、統一的な色再現を得ることができる。カラーマッチング処理に際しては、不図示のHDD等に格納された、3次元のカラーマッチングルックアップテーブル(LUT)110が参照される。カラーマッチングLUT110は、例えば17×17×17個の格子点上のみにRGB値が記述されており、格子点間の値は線形補間等により導出する。なお、例えばLUTの代わりにカラーマッチング用のマトリックスを保持し、入力RGB値に対してマトリックス変換を行うことで、カラーマッチング処理を実現してもよい。カラーマッチング処理が施されたRGB画像データは、色分解処理部102に送られる。
色分解処理部102は、カラーマッチング処理が施されたRGB画像データから、画像形成装置200が備える各インクに対応した画像(インク値画像)をそれぞれ生成する。この色分解処理では、不図示のHDD等に格納された色分解LUT111が参照され、入力画像信号であるRGB値がインクの出力値へと変換される。図2は、色分解LUTを模式的に表すRGB立方体(色立方体)の図である。色分解LUTでは、入力されるRGB値の各組合せに対して、画像形成装置200が備える各インクの出力値(インク量)が定義される。図2の色立方体の各頂点(0,0,0)、(255,0,0)、(0,255,0)、(0,0,255)、(0,255,255)、(255,0,255)、(255,255,0)、(255,255,255)は、入力画像信号に対応する点である。それぞれの頂点(プライマリ点)が、ブラック(K)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の色に対応している。本実施例における色分解LUTの特性と作成法については、後述する。
ハーフトーン処理部103は、色分解処理部102によって得られた各色のインク値画像を画像形成装置200で取り扱い可能な2値の画像(または2値以上で入力階調数より少ない階調数の画像)に変換する。ハーフトーン処理の方法としては、公知のディザマトリクス法あるいは誤差拡散法などがある。ハーフトーン処理部103が生成した2値画像データは画像形成装置200へ出力され、画像形成装置200において、当該2値画像データに従った画像が、紙等の記録媒体上に形成される。
(本実施例の色分解処理の考え方)
上述の通り、色分解処理部102では、入力画像信号値(ここではRGB値)を実色材であるインクの吐出量を示す値(インク値)に変換する。このとき、連続する入力RGB値に対して滑らかに変化するようにインク値が決定されていれば、画像形成装置200によって形成される画像の階調も滑らかになる。インク値の滑らかさは、例えば1次微分や2次微分などの差に基づく特徴量によって導出される。一方、カラーマッチング処理は、前述の通り、様々な色再現特性を有するプリンタや記録媒体に対して統一的な色再現を得るための処理である。したがって、使用されるカラーマッチングLUT110は、入力RGB値と形成される画像の色とが一致するように決定される。このとき、色分解LUT111が全色域で滑らかなインク値が得られるよう設計されていれば、カラーマッチングLUT110で入力RGB値と形成画像の色とを一致させるだけで、色再現性が担保され、階調の滑らかな印刷出力が得られることになる。
このような考え方に基づき、本実施例では、連続する入力RGB値に対して出力階調の滑らかさを保証することができる色分解手法を提案する。具体的には、入力RGB値と形成される画像の色とを一致させる処理をカラーマッチング処理部101が担うことを前提として、入力RGB値に対するインク値を導出するように設計する。そのため、本実施例に係る色分解手法に従って形成される画像の色は、入力画像信号が示す色とは必ずしも一致しないことになる。なお、本実施例における色分解手法に従って導出されたインク値は、RGB軸それぞれにおいて16〜256個の範囲で適宜間引かれた離散的な入力画像信号値と対応付けられる。そして、色分解LUT111として保持され、色分解処理部102における色分解処理で参照される。
(色分解処理手順)
図3は、本実施例に係る、色分解処理の流れを示すフローチャートである。色分解処理によって滑らかな出力階調を実現するには、入力画像信号に対して出力画像濃度が滑らかに変化することが必要である。すなわち、入力画像信号に対して出力画像濃度が滑らかに変化する色分解処理を実現できれば、滑らかな出力階調を達成できる。しかしながら、プリンタに具備されるインク数が多くなるほど、画像濃度を滑らかに変化させるインク量を導くのは困難になる。そこで、本実施例では、画像形成装置200が具備するインクの数よりも少ない数の仮想的な色材を定義し、当該仮想色材の出力値(仮想色材量)の入力RGB値に対する特性が全色域において滑らかに変化するように仮想色材量を求める(S301)。上述の通り、仮想色材それぞれに対応する吸収波長帯は、互いにオーバラップしていないことが望ましい。そして、求めた仮想色材量を、略線形な特性を持つ変換式もしくは変換テーブルに基づいて、実色材量としてのインク値へ変換する(S302)。例えば、入力RGB値を、シアン(c)、マゼンタ(m)、イエロー(y)、ブラック(k)、ライトシアン(lc)、ライトマゼンタ(lm)、グレイ(gy)、レッド(r)のインク量に変換する場合を考える。この場合には、3次元の連続的な入力信号(R,G,B)に対して8次元のインク量(Wc,Wm,Wy,Wk,Wgy,Wlc,Wlm,Wr)が図3に示す手順に従い導出される。
(仮想色材量)
上記各ステップについての詳細な説明に先立ち、仮想色材量について説明する。本実施例では、仮想的な色材を、減法混色の三原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクとする。ここで、分光反射率Ref(λ)をn個の波長ブロックに区切り、各波長ブロック内の分光反射率を平均化した値をブロック反射率Ref1、Ref2、・・・、Refnと定義する。さらに、ブロック反射率Ref1、Ref2、・・・、Refnを、以下の式(1)により変換した値D1、D2、・・・Dnをブロック濃度と定義する。
Dx=−log10(Refx) ・・・式(1)
上記式(1)においてxは、1〜nを示す添え字である。本実施例では、分光反射率Ref(λ)を上記3色のインクが主に吸収する波長帯に対応する3つの波長ブロックに分割する。このとき、イエローインクが主に吸収する波長帯(380〜480nm)に対応するブロック濃度をDyとする。同様に、マゼンタインクが主に吸収する波長帯(480〜580nm)に対応するブロック濃度をDm、シアンインクが主に吸収する波長帯(580〜730nm)に対応するブロック濃度をDcとする。さらに、本実施例では、ブロック濃度Dy、Dm、Dcそれぞれに対応する仮想的な分光反射率Ryi(λ),Rmi(λ),Rci(λ)を持つ仮想色材をyi、mi、ciと定義する。図4は、仮想色材の分光反射率を示すグラフである。図4(a)は、仮想色材yiはイエローインクが主に吸収する波長帯(380〜480nm)のみを吸収し、当該波長帯以外の波長の光を100%反射することを示している。同様に、図4(b)は、仮想色材miはマゼンタインクが主に吸収する波長帯(480〜580nm)のみを吸収することを示し、仮想色材ciはシアンインクが主に吸収する波長帯(580〜730nm)のみを吸収することを示している。
上述のとおり、仮想色材のブロック濃度は上記式(1)により求められる。例えば、各仮想色材が主に吸収する波長帯の反射率が10%であったとする。このとき、仮想色材yiのブロック濃度はDy=1.0、Dm=0.0、Dc=0.0となる(図5(a)を参照)。同様に、仮想色材miのブロック濃度はDy=0.0、Dm=1.0、Dc=0.0、仮想色材ciのブロック濃度はDy=0.0、Dm=0.0、Dc=1.0となる(図5(b)及び(c)を参照)。
ところで、光散乱を無視できる範囲において、色材の厚さ(量)と光学濃度が比例することがLambert則として既に知られている。この法則が、記録媒体上の仮想色材yi、mi、ciに対して常に成り立つとすると、yi、mi、ciのブロック濃度は記録媒体上の単位面積当たりの色材量に比例する。すなわち、任意のブロック濃度Dy、Dm、Dcと仮想色材量Vyi[%]、Vmi[%]、Vci[%]とは、以下の式(2−1)〜式(2−3)に従い、相互に線形変換が可能である。
Vyi=α_y×Dy×100 ・・・式(2−1)
Vmi=α_m×Dm×100 ・・・式(2−2)
Vci=α_c×Dc×100 ・・・式(2−3)
なお、上記式(2−1)においてα_yは、仮想色材yiのイエロー濃度に関する比例定数であり、その値が大きいほど単位量当たりのイエロー濃度が高いことを意味する。例えば、仮想色材yiの所定の打ち込み量V0におけるブロック濃度をDy0としたとき、比例定数α_yは、(100/V0)×Dy0により求めることができる。同様に、上記式(2−2)においてα_mは、仮想色材miのマゼンタ濃度に関する比例定数、上記式(2−3)においてα_cは、仮想色材ciのシアン濃度に関する比例定数である。
ここまでの説明に従えば、任意の分光反射率Ref(λ)は、ブロック反射率を求めた後、上記式(1)よりブロック濃度Dy、Dm、Dcに変換できる。さらに上記式(2−1)〜式(2−3)によりブロック濃度から仮想色材の量Vyi、Vmi、Vciに一意に変換可能である。そして、本実施例では、上述の仮想色材量Vyi、Vmi、Vciが、入力画像信号(ここではRGBの3チャンネル)に対して滑らかに変化するように実色材である各インクの出力値を導出する。なお、仮想色材の分光反射率は上述の例に限らず、例えば仮想色材が濃度を持つ波長帯を狭め、一部の波長帯のみに濃度を持つように(例えば仮想色材yiが400〜460nmのみを吸収)定義してもよい。また、逆に波長帯を広げ、2つ以上の仮想色材が同一の波長に対して濃度を持つように定義してもよい。上述の通り仮想的な色材としては、吸収波長帯にオーバラップのないことを基本としている。これはオーバラップがあると、特定の波長域を二重に評価してしまうことになり、色材量が過大となる可能性があるためである。また、オーバラップがないことで、入力RGB値と仮想色材量との間、仮想色材量と実色材量との間での変換(演算)が容易となる。ただし、演算の煩雑さを許容し、波長に対して矩形の吸光特性(図4を参照)ではなく、各波長帯の中心をピークとする正規分布の吸光特性を持つような場合において、その裾部分がわずかにオーバラップする程度であれば、色材量が過大に評価される可能性は低い。よって、仮想色材のそれぞれに対応する波長帯において、上述のような限定された意味でのオーバラップの存在は許容され得る。
また、上記の例では、各仮想色材の反射率Refを主に吸収する波長帯では10%、他の波長帯では100%として定義し、ブロック濃度を0.0もしくは1.0とした。しかし、仮想色材の反射率とブロック濃度は上記に限定されず、他の値を用いてもよい。もちろん、仮想色材yi、mi、ciに対してそれぞれ異なる反射率を適用してもよい。
また、仮想色材の数は3つに限らず、3つ以上かつ画像形成装置200が具備するインク数未満であればよい。本実施例のように画像形成装置200が5色のインクを具備する場合、例えば実色材であるインクによって再現される波長範囲(例えば380〜730nm)を均等に4分割するブロック濃度を定義し、それぞれに対応する仮想色材を定義してもよい。また、波長帯の幅を380〜730nmよりも狭い波長帯としてもよいし、他の波長帯を含んだより広い波長帯としてもよい。
(仮想色材量の導出処理)
次に、上述のステップ301における仮想色材量導出処理について説明する。この処理は、入力画像信号を仮想色材量に分解する処理と言い換えることもできる。図6は、本実施例に係る、仮想色材量導出処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、ステップ601では、入力画像信号に対して目標となるブロック濃度T_Dy、T_Dm、T_Dcがそれぞれ設定される。例えば、入力画像信号がsRGB空間上のRGB値として入力されたとする。この場合、目標ブロック濃度T_Dy、T_Dm、T_Dcは、以下の式(3−1)〜(3−3)で求めることができる。
T_Dy(B)=−log{(B/B_max)^2.2} ただしB≠0 ・・・式(3−1)
T_Dm(G)=−log{(G/G_max)^2.2} ただしG≠0 ・・・式(3−2)
T_Dc(R)=−log{(R/R_max)^2.2} ただしR≠0 ・・・式(3−3)
上記式(3−1)〜式(3−3)において、B_max、G_max、R_maxはそれぞれ入力RGB値が取り得る最大値である。ここで、B=0の場合には、例えばT_Dy(0)=T_Dy(1)+(T_Dy(1)−T_Dy(2))=−2log{(1/B_max)^2.2}+log{(2/B_max)^2.2}とすればよい。同様に、G=0の場合にはT_Dm=−2log{(1/G_max)^2.2}+log{(2/G_max)^2.2}、R=0の場合にはT_Dc=−2log{(1/R_max)^2.2}+log{(2/R_max)^2.2}とすればよい。なお、上記各式で求めたT_Dy、T_Dm、T_Dcに対してそれぞれ定数を乗算したものを目標ブロック濃度としてもよい。図7に、ホワイトのプライマリ点とイエローのプライマリ点とを結ぶW−Yラインにおける目標ブロック濃度T_Dy、T_Dm、T_Dcの一例を示す。
次に、ステップ602では、ステップ601で設定された目標ブロック濃度T_Dy、T_Dm、T_Dcを実現する仮想色材量が導出される。前述の通り、仮想色材yi、mi、ciではLambert則が常に成り立つとすると、前述の式(2−1)〜式(2−3)により、ブロック濃度Dy、Dm、Dcは、それぞれ仮想色材yi、mi、ciの量Vyi、Vmi、Vciに線形変換できる。図8は、上記に従った場合の目標ブロック濃度T_Dyと、当該T_Dyを実現する仮想色材量Vyiの関係を示すグラフであり、目標ブロック濃度T_Dyと仮想色材量Vyiとは線形関係にあることが分かる。以上が、仮想色材量導出処理の内容である。
(実色材量への変換処理)
続いて、上述のステップ302における、仮想色材量から実色材量への変換処理について説明する。本実施例では、仮想色材量から実色材量への変換において、仮想色材量Vyi、Vmi、Vciのうち最低一つは変換元の仮想色材量を超えないように実色材量を決定する。この時、線形結合モデルを用いて、仮想色材量から実色材量に変換することで、仮想色材量の滑らかさを保ったまま実色材量へ変換する。
図9は、本実施例に係る、実色材量(インク量)への変換処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップ901では、変換元となる仮想色材量Vyi、Vmi、Vciが取得される。図10に変換元となる仮想色材量Vyi、Vmi、Vciの一例を示す。図10に示す仮想色材量は、以下のようにして求められる。
まず、入力画像信号としてのRGB値がR=177、G=129、B=105のとき、目標となる各ブロック濃度T_Dy=0.848、T_Dm=0.651、T_Dc=0.349が、上述の式(3−1)〜(3−3)から得られる。一方、各仮想色材の打ち込み量V0=25[%]における仮想色材yiのブロック濃度DyをDy=0.25とすると、比例定数α_y=(100/V0)×Dy0=1.00が得られる。同様に、比例定数α_m=α_c=1.00とする。そして、得られた目標ブロック濃度と比例定数とから、上述の式(2−1)〜(2−3)より、図10に示す仮想色材量Vyi=84.8[%], Vmi=65.1[%], Vci=34.9[%]が得られる。なお、例えば仮想色材量Vyi=84.8%は、対応する画素に平均して84.8%の確率で、仮想色材としてのイエローインクが打ち込まれてインクドットが形成されることを意味している。本実施例では、1平方inchを1200×1200に区切る画素にドットが形成される確率を想定している。
続くステップ902では、実色材としてのインクxを仮想色材で換算した場合の仮想色材の量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xが取得される。前述の通り、任意の分光反射率は上記式(1)及び式(2−1)〜式(2−3)により、仮想色材yi、mi、ciの量Vyi、Vmi、Vciに一意に変換可能である。すなわち、任意のインクxの単位量W0[%]における分光反射率を、仮想色材換算量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xへ一意に変換できる。本実施例では、画像形成装置200が具備する全てのインクxについて、当該インクxの単位量当たりにおける仮想色材での換算値として、Vyi_x、Vmi_x、Vci_xを取得する。具体的には、次のとおりである。
まず、画像形成装置200により、打ち込み量がW0[%]となる印刷データを出力する。次に、出力された印刷物における印刷箇所の分光反射率Refp(λ)と紙白箇所の分光反射率Ref0(λ)とを分光測色計等の測色器を用いて計測する。さらに、以下の式(4)により、インクの分光反射率Ref(λ)を算出する。
Ref(λ)=Refp(λ)/Ref0(λ) ・・・式(4)
その後、得られた分光反射率Ref(λ)から、前述の式(1)及び式(2−1)〜式(2−3)により単位打ち込み量W0[%]当たりの仮想色材換算量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xを求める。上記の処理を画像形成装置200が具備するすべてのインク(ここでは5色)について行う。あるいは、各インクの仮想色材換算量を上述の方法で予め取得してテーブル形式等で保持しておいたものを読み出してもよい。図11(a)〜(e)に各インクの仮想色材換算量の一例を示す。図11(a)は、上述の単位打ち込み量W0[%]当たりのグレイインクの仮想色材換算量を示している。同様に図11(b)はシアンインク、同(c)はマゼンタインク、同(d)はイエローインク、同(e)はブラックインクについての単位打ち込み量W0[%]当たりの仮想色材換算量をそれぞれ示している。この例では、仮想色材量をVyi=84.8[%]、Vmi=65.1[%]、 Vci=34.9[%]としている。そして、グレイ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクの、単位打ち込み量W0=25.0[%]における各ブロック濃度T_Dy、T_Dm、T_Dcがそれぞれ以下であるものとしている。
Figure 2018032941
このとき、上記ブロック濃度から得られる各インクの仮想色材換算量は上記式(2−1)〜式(2−3)から以下の表のようになり、図11の(a)〜(e)と合致している。
Figure 2018032941
以降のステップ903〜910では、ステップ902で取得した各インクの仮想色材換算量に基づいて、仮想色材量を実色材量としてのインク量の組合せに変換する。具体的には、各インクの仮想色材換算量が、目標となる仮想色材量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xと一致するように、各インク量Wを求める。
ステップ903では、画像形成装置200が具備する各インクの変換優先順の情報が取得される。この変換優先順は、例えば濃度の低いインクほど優先順位が高くなるように設定する。具体的には、ステップ902で取得した仮想色材換算量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xについて最大値を取得し、当該最大値が低いインクほど優先順位が高くなるようにすればよい。例えば上記表2で示した各インクの場合の変換優先順は、優先順位の高い方からグレイ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとなる。上記のように変換優先順を設定した場合は、濃度の薄いインクへ優先的に変換されるため、粒状性に優れた色分解を実現できる。もちろん、変換優先順の決定方法は、上記の例に限らない。例えば、仮想色材換算量の最大値ではなく、平均値に基づいて決定してもよい。あるいは仮想色材換算量ではなく、公知の光学濃度ODに基づいて決定してもよい。また、上述の例とは逆に、濃度の高いインクほど優先順位が高くなるように設定してもよい。この場合、濃度の高いインクへ優先的に変換されるため、インクの総量を削減できることになる。このように、変換優先順の決定に際して、高濃度インクと低濃度インクの優先順位を変更するだけで、粒状性、インク消費量、先鋭性、光沢の色づきといった所望の要件に最適な変換特性を実現できる。例えば、鮮鋭性を優先する場合には高濃度インクの優先順位を高く、光沢の色づきを優先する場合には変換対象の色とは色相が異なるインクの優先順位を高くすればよい。これにより、例えばシアンインクによって形成される画像領域に、波長依存性が比較的小さいイエローインクが加わって、正反射光がマゼンタに色付くことを低減できるようになる。
ステップ904では、予め定めたインク総量の制限(Max_W[%])の値が取得される。この総量制限Max_Wの値は設計者によって与えられる。例えば、インク量の異なる複数のパッチを画像形成装置200により出力し、記録媒体が十分に吸収可能なインク量を設計者が見極めて、この総量の制限値を決定する。または、記録媒体毎にインク削減量、印刷スピード、印刷パス数に関する情報を記述したテーブルや算出式を定め、当該テーブルや算出式に基づいて決定してもよい。
ステップ905では、ステップ903で取得した変換優先順に従い、全インクの中から注目するインク(注目インクn)を選択する。すなわち、画像形成装置200が具備するインクのうち、注目インクとして未だ選択されておらず、かつ優先順位が最も高いインクが注目インクnとして決定される。
ステップ906では、ステップ905で選択された注目インクnのインク量WnがLambert則に従い決定される。このとき、仮想色材量Vyi、Vmi、Vciのうち、少なくとも1つはステップ901で取得した変換元の仮想色材量と一致するように注目インクのインク量が決定される。より具体的には、仮想色材量Vyi、Vmi、Vciを、注目インクnで一致させるインク量Wn_y、Wn_m、Wn_cを、以下の式(5−1)〜式(5−3)を用いて求める。
Wn_y=W0/Vyi_n×Vyi ・・・式(5−1)
Wn_m=W0/Vmi_n×Vmi ・・・式(5−2)
Wn_c=W0/Vci_n×Vci ・・・式(5−3)
上記式(5−1)〜式(5−3)において、Vyi_n、Vmi_n、Vci_nはそれぞれ注目インクnの仮想色材換算量である。なお、上記式(5−1)はLambert則に基づいており、βn_y=W0/(100×Vyi_n)とすれば、以下の式(5−1´)に変形できる。この場合において、βn_yは定数である。同様に、上記式(5−2)及び式(5−3)は、それぞれ以下の式(5−2´)及び式(5−3´)に変形できる。ただし、βn_m=W0/(100×Vmi_n)、βn_c=W0/(100×Vci_n)である。
Wn_y=βn_y×Vyi ・・・式(5−1´)
Wn_m=βn_m×Vmi ・・・式(5−2´)
Wn_c=βn_c×Vci ・・・式(5−3´)
なお、上記式(5−1´)において、βn_yは、所定量W0[%]の注目インクnを換算する仮想色材量Vyi_nの、同一量(W0[%])の仮想色材yiに含まれる仮想色材量Vyiに対する比に関する値である。つまり、βn_yが大きいほど、所定量における注目インクnを換算するVyi_nが小さいことを示す。したがって、βn_yが大きいほど、変換元の仮想色材量と注目インクnの仮想色材換算量を一致させるための、インク量Wnが大きくなることを意味する。
このようにして、上述の式(5−1)〜式(5−3)あるいは式(5−1´)〜式(5−3´)から求めたインク量Wn_y、Wn_m、Wn_cから、注目インクnのインク特性に従って、注目インクのインク量Wnが決定される。具体的には、注目インクnの仮想色材換算量Vyi_n、Vmi_n、Vci_nについて最大値を取得し、当該最大値の仮想色材換算量を変換元の仮想色材量と一致させたインク量を、Wnとして選択する。例えば、Vyi_n>Vmi_n、Vmi_n>Vci_nの場合には、仮想色材換算量が最も大きいVyi_nに対応するWn_yを注目インクnのインク量Wnとする。このようにすることで、注目インクnの主となる仮想色材の量(例えば、注目インクがイエローインクならば、仮想色材量Vyi)が、変換元の仮想色材量と一致する。または、Wn_y、Wn_m、Wn_cのうち、最小値を注目インクnのインク量Wnとする。このようにすることで、ブラックインクのように主となる仮想色材が複数存在する場合に、各仮想色材量を考慮してインク量を決定できる。なお、ステップ901で取得した仮想色材量のうち、最大となる仮想色材量を求め、該仮想色材量を一致させるインク量を、インク特性に関わらずにWnとして選択してもよい。
ステップ907では、注目インクについて決定されたインク量の累計値がステップ904で取得したインク総量制限Max_Wの範囲内か否かが判定される。具体的には、現時点までに決定されたインク量の総和Sum_Wと、インクの総量制限Max_Wとを比較し、総和Sum_Wが総量制限Max_W以下であるかどうかを判定する。判定の結果、総和Sum_Wが総量制限Max_W以下である場合にはステップ909へ進む。一方、総和Sum_Wが総量制限Max_Wより大きい場合にはステップ908へ進む。
ステップ908では、インク置換処理が実行される。この処理は、累計インク量(総和Sum_W)とインク総量制限Max_Wとが等しくなるように、変換の優先順位の高いインクを、略同一な色相を呈すより優先順位の低いインクへ変換する処理である。このとき、置換前後で仮想色材量が略一致するように置換される。この処理によって、例えば、優先順位が高いグレイインクは、略同一な色相を呈し、より優先順位が低いブラックインクへと置換される。グレイインクからブラックインクへの置換は、以下の式(6−1)及び式(6−2)を用いてなされる。
Wgy´=Wgy−(Sum_W−Max_W)×γ/(γ−1) ・・・式(6−1)
Wk´=Wk+(Sum_W−Max_W)/(γ−1) ・・・式(6−2)
上記式(6−1)及び(6−2)において、WgyとWkはそれぞれ置換前のグレイインクとブラックインクのインク量であり、Wgy´とWk´はそれぞれ置換後のグレイインクとブラックインクのインク量である。ここでは、仮想色材換算量Vyi_n、Vmi_n、Vci_nの比率を略同一であるとみなし、置換比率γを用いてグレイインクをブラックインクへ置換している。置換比率γは、例えばV_k/V_gyにより求められる。ここで、V_kはブラックインクの仮想色材換算量Vyi_k、Vmi_k、Vci_kの総和であり、V_gyはグレイインクの仮想色材換算量Vyi_gy、Vmi_gy、Vci_gyの総和である。なお、置換比率γは、例えば仮想色材換算量Vyi_n、Vmi_n、Vci_nから最大値を取得し、この最大値の比を用いてもよい。特にシアン、マゼンタ、イエローの各インクでは、主となる仮想色材換算量の比が重要となるため、最大値の比を用いることが望ましい。
なお、予めグレイと略同一な色相を呈すインク量の組合せを保持しておき、当該組合せ比率に基づいて置換することも可能である。例えば、インク量W0[%]におけるグレイインクの仮想色材換算量と略一致するブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインク量の組合せを保持しておく。そして、総和Sum_Wと総色材量制限Max_Wとが等しくなるように、グレイインクを、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクの組合せに置換してもよい。以上述べたような置換処理によって、インク量の累計値が、インク総量制限Max_Wの値を超えないように制御される。
ステップ909では、画像形成装置200が具備する全インクが注目インクとして選択済であるか否かが判定される。全インクを注目インクとして選択済である場合には、本処理を終了する。一方、注目インクとして選択済でないインクが存在する場合には、ステップ910へ進む。
ステップ910では、変換元となる仮想色材量が更新される。具体的には、以下の式(7−1)〜式(7−3)を用いて得られる仮想色材量Vyi´´、Vm´´、Vci´´に更新される。
Vyi´´=Vyi−Vyi´ ・・・式(7−1)
Vmi´´=Vmi−Vmi´ ・・・式(7−2)
Vci´´=Vci−Vci´ ・・・式(7−3)
上記式(7−1)〜式(7−3)において、Vyi、Vmi、Vciはステップ901で取得した仮想色材量である。また、Vyi´、Vmi´、Vci´は、ステップ906若しくはステップ908で得られた各インク量Wと仮想色材換算量とから算出される仮想色材換算量の総和である。例えばVyi´であれば、ΣWx+Vyi_xとなる。なお、更新後の仮想色材換算量Vyi´、Vmi´、Vci´の値は0以上とし、上記式(7−1)〜式(7−3)を用いた結果、負の値となった場合には、更新後の仮想色材換算量を0とする。こうして得られた更新後のVyi´´、Vmi´´、Vci´´は、次の注目インクnについての処理において、一致対象となる仮想色材量として用いられる。
ここで、上記ステップ905〜ステップ910の各処理について、具体例を示して説明する。なお、以下の説明においては、ステップ901で取得する変換元の仮想色材量を、前述の図10に示すVyi=84.8[%]、Vmi=65.1[%]、Vci=34.9[%]とする。また、ステップ902で取得する仮想色材換算量を、前述の図11(a)〜(e)に示す各値とする。さらに、ステップ903で取得するインクの変換優先順は、優先順位の高いインクからグレイ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックとする。また、インク総量制限Max_W=100[%]とする。
まず、変換優先順に従って、グレイインクが注目インクとして選択される(S905)。次に、注目インクであるグレイインクのインク量Wgyが決定される(S906)。図12は、具体的な決定手順を示す図である。図12(a)は、ステップ901で取得した変換元の仮想色材量であり、上述の通り、Vyi=84.8[%]、Vmi=65.1[%]、Vci=34.9[%]である。また、図12(b)は、その仮想色材量Vyiを、図11(a)に示すグレイインクの仮想色材換算量で一致させた場合のグレイインクによる仮想色材量Vyi、Vmi、Vciを示す。このとき、仮想色材量Vyiを一致させるインク量Wgy_yが、図12(b´)に示されている。すなわち、図12(a)に示す仮想色材量Vyiとなるように、前述の式(5−1)を用いて求めたインク量Wgy_y=W0/Vyi_gy×Vyi=25.0/15.0×84.8=141.3[%]が、図12(b´)である。このとき、βn_y=W0/Vyi_gy=25.0/15.0=1.67であるので、インク量Wgy_y=141.3[%]における仮想色材量は、図12(b)に示すように、Vyi=84.8[%]、Vmi=90.4[%]、Vci=96.1[%]となる。同様に、仮想色材量Vmiを一致させる場合の仮想色材量が図12(c)に、インク量Wgy_mが図12(c´)に示されている。また、仮想色材量Vciを一致させる場合の仮想色材量が図12(d)に、インク量Wgy_cが図12(d´)に示されている。ここでは、グレイインクのインク量Wgyとして、Wgy_y、Wgy_m、Wgy_cの最小値を用いることとする。この場合、Wgy_y=141.3[%]>Wgy_c=51.3[%]、Wgy_m=101.7[%]>Wgy_c=51.3[%]であるので、Wgy=Wgy_c=51.3[%]となる。なお、注目インクについての仮想色材換算量Vyi_n、Vmi_n、Vci_nのうち最大値を基準に決定することとした場合でも、いま、Vyi=15[%]、Vmi=16[%]、Vci=17[%]である。そうなると、当該最大値の仮想色材換算量Vci=34.9[%]となるように、変換元の仮想色材量と一致させたインク量Wgyを選択するので、やはりWgy=Wgy_c=51.3[%]となる。
次に、グレイインクのインク量Wgyとインク総量制限Max_Wとを比較し(S907)、さらに必要に応じてインク置換処理がなされる(S908)。その後、終了判定を行い(S909)、未処理のインクがある場合には仮想色材量が更新されて(S910)、次のインクを注目インクとした処理が繰り返される。上記ステップ905〜ステップ910までのループ処理における、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」、「累計インク量」の各変化を、図13〜図18を参照して説明する。
図13(a)〜(d)はそれぞれ、最初のループにおける、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」、「累計インク量」を示している。前述の通り、最初のループでは、注目インクとしてグレイインクが選択される(S905)。グレイインクのインク量Wgyは、Wgy_y、Wgy_m、Wgy_cのうち最小値であるWgy_c=51.3[%]である。よって、図13(c)に示す通り、グレイインクのインク量Wgy=51.3[%]が決定する(S906)。この段階では、他のインクのインク量は0であるので、累計インク量=Wgyで51.3[%]となる(図13(d)を参照)。そして、累計インク量≦総量制限Max_W(=100[%])なので(S907でYes)、最初のループでは置換処理は行われない。また、終了判定では注目インクとして未選択のインクが存在するため(S909でNo)、変換元の仮想色材量が更新される(S910)。この更新処理では、図13(a)に示すVyi=84.8[%]、Vmi=65.1[%]、Vci=34.9[%]から、注目インクによる仮想色材量(Vyi=30.8[%]、Vmi=32.8[%]、Vci=34.9[%])を減算した値に更新される。図14(a)は、更新後の変換元の仮想色材量を示し、Vyi=54.0[%]、Vmi=32.3[%]、Vci=0[%]となっている。
図14(a)〜(d)はそれぞれ、2回目のループにおける、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」、「累計インク量」を示している。2回目のループでは、変換優先順に従い、注目インクとしてシアンインクが選択される(S905)。ここでは、シアンインクの仮想色材換算量の最大値Vci_cに対応する仮想色材量Vciを満たすインク量Wc_cを、シアンインクのインク量Wcとする。ここで、図14(a)に示す通り、変換元の仮想色材量Vci=0であるため、Wc=0となり、注目インクによる仮想色材量も全て0である(図14(b)を参照)。そして、Wc=0より、累計インク量=Wgy+Wcは51.3[%]のまま変わらない(図14(c)を参照)。よって、累計インク量≦総量制限Max_W(=100[%])となり(S907でYes)、2回目のループでもインク置換処理は行われない。そして、注目インクとして未選択のインク(マゼンタ、イエロー、ブラック)が存在するため(S909でNo)、変換元の仮想色材量が更新される(S910)。この時点で、注目インクによる仮想色材量はすべて0であるため、実質的に図14(a)と同じ状態が維持される(図15(a)を参照)。
図15(a)〜(d)はそれぞれ、3回目のループにおける、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」、「累計インク総量」を示している。3回目のループでは、変換優先順に従い、注目インクとしてマゼンタインクが選択される。ここでは、シアンインクと同様、その仮想色材換算量の最大値Vmi_mに対応する仮想色材量Vmiを満たすインク量Wm_mを、マゼンタインクのインク量Wmとする。いま、インク量Wm=29.3[%]である(図15(c)を参照)。その結果、図15(d)に示すように、累計インク量Wgy+Wc+Wm=80.6[%]となる。この段階でも、累計インク量≦総量制限Max_W(=100[%])であるので、3回目のループでも置換処理は行われない。そして、注目インクとして未選択のインク(イエロー、ブラック)が存在するため(S909でNo)、変換元の仮想色材量が更新される(S910)。この更新処理では、図15(a)に示すVyi=54.0[%]、Vmi=32.3[%]、Vci=0[%]から、注目インクによる仮想色材量(Vyi=7.04[%]、Vmi=32.3[%]、Vci=5.28[%])を減算した値に更新される。ここで、更新後の仮想色材量Vci´が本来であれば負の値となるはずであるが、前述のルールに従い0となる。図16(a)は、更新後の変換元の仮想色材量を示し、Vyi=47.0[%]、Vmi=0[%]、Vci=0[%]となっている。
図16(a)〜(d)はそれぞれ、4回目のループにおける、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」、「累計インク量」を示している。4回目のループでは、変換優先順に従い、注目インクとしてイエローインクが選択される。シアンやマゼンタインクと同様、その仮想色材換算量の最大値Vyi_yに対応する仮想色材量Vyiを満たすインク量Wy_yを、イエローインクのインク量Wyとする。いま、インク量Wy=33.5[%]である(図16(c)を参照)。その結果、図16(d)に示すように、累計インク量Wgy+Wc+Wm+Wy=114.2[%]となる。この段階で、累計インク量>総量制限Max_W(=100[%])となり(ステップ907でNo)、インク置換処理が実行される(S908)。すなわち、優先順位が最も高いグレイインクを、同一色相でかつ優先順位の低いブラックインクに置換する処理が前述の式(6−1)及び式(6−2)を用いてなされる。いま、置換比率γ=V_k/V_gy=(53+55.5+58.5)/(15+16+17)=3.48である。よって、変換処理後のグレイのインク量Wgy´は、51.3−(114.2−100)×3.48/(3.48−1)=31.4[%]となる。また、変換処理後のブラックのインク量Wk´は、0+(114.2−100)/(3.48−1)=5.72[%]となる。図16(c´)及び(d´)は、こうして得られた置換処理後の各インクのインク量と累計インク量をそれぞれ示している。累計インク量が、総和Sum_W=114.2[%]から、インクの総量制限である100[%]に変更されているのが分かる。そして、続く終了判定処理では、注目インクとして未選択のインク(ブラック)が存在するため(S909でNo)、変換元の仮想色材量が更新される(S910)。この更新処理では、図16(a)に示す変換元の仮想色材量から図16(b)に示す注目インクの仮想色材量を減算した値に更新される。この際、本来であればVmi´及びVci´が負の値となるが、前述のルールに従い、その値は共に0となる。その結果、更新後の仮想色材量は図17(a)に示す状態、すなわちVyi=0[%]、Vmi=0[%]、Vci=0[%]となる。
図17(a)〜(d)はそれぞれ、最終ループにおける、「変換元の仮想色材量」、「注目インクによる仮想色材量」、「各インクのインク量」と、「累計インク量」を示している。最終ループでは、注目インクとして優先順位が最後のブラックインクが選択される。ブラックインクのインク量Wkには、グレイインクと同様、Wk_y、Wk_m、Wk_cのうち最小値を用いる。ただし、図17(a)に示す通り、この時点の変換元の仮想色材量の値がいずれも0であるため、Wk=0となる。ところで、ブラックインクについては、4回目のループにおける置換処理によって、インク量Wk=5.72[%]がすでに与えられている。そのため、本ループで求めたWkの値を、すでに与えられている値に加算した値が最終的なインク量Wkの値となる。本実施例では、最終ループで求めたインク量Wkの値が0であるため、4回目のループの置換処理で与えられた値である5.72[%]が最終的なインク量Wkの値となる(図17(c)を参照)。したがって、累計インク量の値も、4回目のループ後の値と同じ100[%]である(図17(d)を参照)。そして、続く終了判定処理では、注目インクとして未選択のインクが存在しないため、仮想色材量をインク量へと変換する処理が終了する。すべてのインクの出力値がすべて決定した時点で、当初の仮想色材量Vyi、Vmi、VciのうちVyi=84.8[%]が、決定した各インクによる仮想色材量の合計値(30.8+0+7.04+47.0+0=84.8)と一致しているのが分かる。
図18は、本実施例における、入力画像信号に対するインク量の分解例を示している。図18(a)は、図2に示す色立方体でW(R=G=B=255)とK(R=G=B=0)を結ぶグレイライン(R=G=B=0〜255)における、入力画像信号に対する仮想色材量の分解例である。また、図18(b)は、入力画像信号に対するインク量の分解例である。
以上述べたような考え方に基づく色分解処理を、色分解LUT111を用いて行う場合には、入力RGB値に対応するインク量を、予め前述の図3のフローに従って求め、テーブル化する必要がある。例えば、色分解LUT111が17×17×17個の格子点を持つLUTであれば、各格子点に対応したブロック濃度から仮想色材量を導出し、プリンタが備える各インクのインク量へと変換した後、入力画像信号(RGB値)とインク量とを対応付ければよい。あるいは、8ビットの入力RGB値に一対一で対応するインク量を持つ色分解LUT111の場合は、1600万色分(=256×256×256)のブロック濃度から仮想色材量を導出してインク量へと変換し、RGB値とインク量とを対応付ければよい。
(変形例)
なお、色分解LUT111を用いず、画像信号が入力される度に色分解処理部102において前述の図3のフローに従った色分解を行う構成であってもよい。この場合には、色分解LUT111に代えて、画像形成装置200が備えるインクの変換優先順の情報のみを保持しておけばよい。そして、画像信号が入力される毎に色分解処理部102は、入力RGB値から仮想色材量を導出し(S301)、各インクのインク量へと変換する(S302)。
あるいは、インクの変換優先順に加え、予め求めた入力RGB値に対応する仮想色材量の情報をLUT形式で保持してもよい。この場合には、画像信号が入力される毎に色分解処理部102は、ステップ301の処理をスキップして、各インクのインク量への変換処理のみを行えばよい。
また、本実施例では、インクの変換優先順とインク置換処理における優先順とを同一として説明したが、必ずしも同一の優先順とする必要はない。例えば、ブロンズ現象や薄膜干渉を防止するために変換の優先順位が高く設定されたインクについて、インク置換処理における優先順位を低くしてもよい。
また、本実施例では、変換元の仮想色材量の更新処理(S910)において、更新後の仮想色材量が負の値となる場合には値を0にすることとした。このように負の値を0にすることで誤差が発生し、入力RGB値と実際に形成される色との間に乖離が生じる。そこで、注目インクのインク量を決定する処理(S906)において、優先順位の高いインクでは、当該注目インクの主となる仮想色材が、変換元の仮想色材量と一致するようにインク量を決定するのではなく、一致するインク量よりも少ない量としてもよい。例えば、注目インクのインク量Wnを、変換元の仮想色材量を超えないインク量(例えば、変換元の仮想色材の9割を満たすインク量)とする。そして、変換元の仮想色材量を超えないインク量を決定するループ処理を、仮想色材量の数と注目インクとして未選択であるインクの数とが等しくなるまで行う。その後、未選択であるインクのインク量は、インク量と各仮想色材量に関する方程式を用いて決定すればよい。このようにすることで、当初に取得される仮想色材量と、画像形成装置200が備える全てのインクによる仮想色材量とが略一致し、入力RGB値と実際に形成される色との乖離を抑制できる。なお、前述の通り本実施例では、画像信号の入力RGB値と記録媒体上に実際に形成される色とを一致させる処理はカラーマッチング処理部101が担うことを前提としているため、上述のような誤差の発生が大きな問題となることはない。注目インクにおいて主ではない仮想色材量における誤差を無視することで、全てのインクの総仮想色材量を略一致させる場合に比べ、優先度の低いインクが多く入ることを抑制できる。また、演算量の抑制にもなる。
また、本実施例では、仮想色材量からインク量へと線形結合によって変換しており、各インクについて、異なる2つのインク量と仮想色材換算量との関係が取得できれば変換可能である。例えば、紙白と所定のインク量W0[%]との2パッチをインク毎に測定すれば、変換処理を行うことができる。ただし、一般的なインクではインク量が十分に多い領域ではLambert則が成り立たないことが知られている。図19は、インク量(横軸)とブロック濃度Dy(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。このグラフにおいて、実線1900はブロック濃度Dyの実測値を表している。図19のグラフにおいて、所定インク量W0にはインク量とブロック濃度との関係が線形に変化している領域を用いることが望ましい。例えば吐出量が4pl、1インチに1200×1200発打った時を100%としたとき、25%を所定インク量W0として用いる。ただし、所定インク量W0=25%として導出された仮想色材換算量を、注目インクのインク量の決定(S906)に用いると、点線1901で示す特性に従ってインク量が決定され、高濃度部では想定する濃度が得られないことになる。この場合において、想定する最大濃度を所望のインク量で得るためには、最大濃度Dy_W0´を実現するインク量W0´を所定インク量として用いればよい。ただし、このような所定インク量W0´を単に用いるだけでは、一点鎖線1902で示す特性でインク量と最大濃度が変化するものとしてインク量が決定されるため、今度は中間調が暗くなってしまう。中間調が暗くなってしまったとしても、前述の通りカラーマッチングで補正すればよいという考え方もある。しかし、色分解LUT111において格子点値を間引いて持ち、格子点以外の領域の値を線形補間で求める場合には、濃度に線形である方が補間誤差の観点から望ましい。そこで、仮想色材換算量からインク量への変換を、Lambert則に基づいた前述の式(5−1)〜(5−3)を用いないで行なうようにする。例えば、高濃度部でインク量が多くなるような1次元のテーブルあるいは非線形関数等を用いて、仮想色材換算量からインク量を決定してもよい。
また、本実施例では、仮想色材量及びインク量には、Lambert則が成り立つ値として打ち込み量[%]を用いた。しかしながら、Lambert則が成り立つ値であれば、打ち込み量[%]に限定されない。例えば、ハーフトーン処理に用いるインク値画像の画素値を用いてもよい。あるいは、重量(ピコグラム)や体積(ピコリットル)を用い、色分解処理時に被覆率や膜厚などのLambert則が成り立つ値に換算してもよい。この場合、仮想色材量をインク量に線形結合で変換することとなる。そのため、仮想色材量が滑らかに変化すれば、変換後のインク量も滑らかに変化することとなり、階調性が良好な色分解LUTを得ることができる。
また、本実施例の手法における仮想色材yi、mi、ciは、プリンタや使用する色材のセットに依存しない。例えば、前述の5色のインクセットに、レッドインクが追加された場合でも、レッドを含む変換優先順を決定すれば、レッドを含むインクセットへ変換可能である。このとき、レッドインクのインク特性(図11(f)を参照)から、レッドインクの主となる仮想色材はyiとmiとし、Wn_y、Wn_mのうち最小値を注目インクとしてのレッドインクのインク量Wrとすればよい。このようにすることで、レッドインクのインク特性を考慮してインク量Wrを決定できる。このように、異なるインクセットであっても、参照する優先順位を変更するだけで対応可能である。
また、インクの変換優先順を、色分解LUT111における位置によって異ならせてもよい。例えば、シアンのプライマリ点とブラックのプライマリ点とを結ぶライン上では、シアンとブラックのインクを優先するようにしたり、あるいはシアンとブラックのインクだけに変換するようにしてもよい。さらには、目標となる仮想色材の比率に対して相関の高いインクほど優先順位が高くなるようにしてもよい。
また、実色材にクリア色材(クリアインクなど)が含まれる場合、入力画像信号の色分解という意味では特に考慮する必要がない(変換優先順には無関係)ものの、インクの総量制限においては考慮の必要がある。すなわち、ステップ907における判定処理において、クリアインクの出力値をインクの総量制限Max_Wから差し引く必要がある。具体的には、総量制限Max_Wから所定のクリアインク量clを減算し、減算後の値(Max_W−cl)とインク量の総和Sum_Wとを比較し、総和Sum_Wが減算後の総量制限以下であるかどうかを判定するようにすればよい。なお、所定のクリアインク量は、入力画像データと共に入力された光沢度データから決定してもよいし、予めページ単位で使用するクリアインク量を定めておいてもよい。
さらに、記録媒体の種類(普通紙、コート紙など)や印刷スピード、マルチパス印刷方式におけるパス数などの出力条件に応じてインク総量制限の値を変更して、異なる出力条件に対応した色分解LUTを、同一の仮想色材量テーブルから作成するようにしてもよい。ここで、仮想色材量テーブルとは、入力画像信号と仮想色材量とを対応付けたテーブルである。例えば、プリンタが具備する各インクの特性やインクの変換優先順などの情報を格納したデータベース、さらには上述の出力条件を格納したデータベースを用意しておき、実際の出力条件に応じた色分解LUTをその都度作成する(図20を参照)。このような構成とすることで、階調の滑らかさを維持したまま、画像形成装置毎に、粒状性が優先される印刷モードや、インク消費量が優先される印刷モードなど、各印刷モードに対応した色分解LUTを必要に応じて得ることができる。
本実施例によれば、出力階調の不連続性を減らし、滑らかな階調性を担保した色分解処理を容易に実現できる。
実施例1の変形例において、予め作成・保持した仮想色材量テーブルに基づき、粒状性優先やインク消費量優先といった様々な印刷モードに対応した色分解LUTを得るような態様について述べた。上記変形例を実現する場合、例えば「はやい」「標準」「高品位」「最高品位」といった4種類の印刷品位を表す項目の中から、UI画面を介してユーザに任意の項目を選択させ、当該選択された項目に対応する色分解LUTを設定することが考えられる。この場合、4種類の印刷品位に対応する項目それぞれ対応した色分解LUTが予め作成され不図示のHDD等に保存されることになる。例えば上記4種類の印刷品位が、はやい:4パス、標準:8パス、高品位:16パス、最高品位:32パスといった具合に、印刷パス数を切り替えることで実現されるように構成されていたとする。この場合、上記4種類のパス数に対応する実色材量を規定した各色分解LUTが用意することとなる。さらに、例えばメーカ純正の「光沢紙」、「半光沢紙」、「マット紙」、「普通紙」といった記録媒体の種類に応じた実色材量を規定した各色分解LUTも用意することになる。また、画像形成装置に例えばインク節約モードがある場合には、「省インク」に対応した色分解LUTを用意することになる。
上述したような種々の印刷条件の全組み合わせに対応しようとすると、用意すべき色分解LUTの数が増加し、それらを保持するために必要なHDD等の記憶容量が膨大になる。一方で、リソースの制約を考慮して、限定された組み合わせにのみ対応可能な数の色分解LUTを用意・保持する場合には、ユーザの細かな要望に対応できないことになる。例えば、ユーザがメーカ純正以外のサードパーティによる記録媒体(例えば「半光沢紙」と「マット紙」との中間の特性を持つ用紙)を用いた印刷を希望する場合、対応する印刷モードが存在せず、使用する用紙にマッチした印刷はできないことになる。あるいは、32パスで印刷処理を行った「最高品位」の画像に満足できず、より高画質な印刷処理(例えば64パスでの印刷)をユーザが希望しても、対応する印刷モードが存在しないため、その要望に応えることはできないことになる。また、仮にリソースの制約がなく、予めユーザの細かな要望に対応可能な色分解LUTを用意したとしても、例えば、色分解LUT作成後に開発された新規の用紙には対応することができない。加えて、例えばインクの残量に応じた色分解LUT(各インクが均等に消費されるように制御するための色分解LUT)や、画像の特徴量に応じた色分解LUTなど、画像形成装置の状態や入力画像に応じて色分解LUTの中身を変化させる必要がある場合にも対応できない。
そこで、予め用意・保持している色分解LUTに基づき、ユーザの様々な要望に沿った色分解LUT、あるいは画像形成装置の状態や入力画像の特徴に応じた色分解LUTを、必要に応じて作成する態様について、実施例2として説明する。なお、実施例1と共通する部分については説明を省略あるいは簡略化し、以下では差異点を中心に説明するものとする。
(本実施例の概要)
本実施例では、既存の印刷モードに対応した、入力画像信号と実色材量(インク量)との対応関係を規定した複数の色分解LUTを、不図示のHDD等に予め保持しておくものとする。そして、既存の印刷モードのうちいずれかの印刷モードをユーザが選択した場合には、当該選択に係る印刷モードに対応した色分解LUTをHDD等から読み出して色分解処理が実行される。他方、既存の印刷モードでは対応できない細かな印刷条件をユーザが指定した場合には、入力画像信号と仮想色材量との対応関係を規定したLUT(仮想色材量LUT)をHDD等から読み出して、まず、入力画像信号に対する仮想色材量を取得する。そして、入力画像信号と仮想色材量との関係(単調増加で、かつ変曲点が発生しないか、もしくは極力少ない)を保ったまま、仮想色材量を実色材量に変換して、新たな色分解LUTを作成する。このように、ユーザの要望に応じた新たな色分解LUTを、予め保持した仮想色材量LUTに基づき必要に応じて作成することで、滑らかな階調を保ちながら、ユーザの細やかな要望に対応した実色材量を得ることが可能となる。以下、詳しく説明する。
(印刷システムの構成例)
図21は、本実施例に係る印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。実施例1の図1に示す印刷システムと基本的な構成は同じであり、カラーマッチング処理部101、色分解処理部102’及びハーフトーン処理部103で構成される。実施例1との違いは、以下の2点である。
まず、本実施例の色分解処理部102’には、カラーマッチング処理を終えたRGB画像データに加え、当該RGB画像データの印刷処理に適用する印刷モード等の印刷設定情報が入力される。そして、色分解処理部102’は、入力された印刷設定情報を解析し、色分解処理に使用するLUTを、各印刷モードに応じて用意された色分解LUT111a〜111dから取得、あるいは仮想色材量LUT2101を参照して作成する。なお、実施例1と同様、色分解処理部102’は、入力されたRGB画像データから、画像形成装置200が備える各インクに対応した画像(インク値画像)をそれぞれ生成するものとする。
(印刷設定)
本実施例に係る色分解処理の説明に先立ち、ユーザが選択可能な印刷モード及び指定可能な印刷条件について説明する。図22は、画像処理装置100のモニタ(不図示)等に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。この印刷設定画面2200を介して、ユーザは、印刷処理に関する様々な設定を行う。印刷設定画面2200には、「ページ設定」タブ、「仕上げ」タブ、「給紙」タブ、「印刷品位」タブ、「詳細設定」タブが存在し、ユーザは任意のタブを選択して目的に応じた印刷設定を行う。図22の印刷設定画面2200では、「詳細設定」タブが選択されている。この「詳細設定」タブにおいては、細かな印刷条件を指定することができ、ここでの設定内容に応じて、新たな色分解LUTが仮想色材量LUT2101に基づいて作成されることになる。なお、図示されていない「印刷品位」タブにおいては、前述の「はやい」「標準」「高品位」「最高品位」の4種類の印刷モードが存在し、ユーザはこれら4つの中から任意の印刷モードを1つ選択する。そして、「印刷品位」タブから選択可能な既存の印刷モードでは所望の印刷結果が得られないと考えたユーザは、印刷設定画面2200において「詳細設定」タブを指定し、より細かな条件を指定する。具体的には、詳細設定を有効にするためのチェックボックス2201にチェックを入れ、「印刷品位」欄2210、「用紙設定」欄2220、「インク削減等」欄2230のそれぞれにおいて、目的に応じたより細かな条件を指定する。そして、OKボタン2202の押下によって、印刷処理に適用する条件(印刷設定)が確定する。以下、「詳細設定」タブの下で指定可能な印刷設定について説明する。
<「印刷品位」に関する詳細設定>
まず、「印刷品位」欄2210では、スライドバー2211における黒三角マークをマウス等で操作することにより、あるいは入力ボックス2212に直接数値を入力することにより、任意の印刷品位を指定できる。ここでは、上述の「はやい」「標準」「高品位」「最高品位」の4段階にそれぞれ1〜4の数値を対応付け、“4”を超える値や“1”を下回る値(例えば4.5や0.8など)を設定可能にしている。この値によって印刷処理時のパス数と走査スピードとが連続的に変化することになる。具体的には「印刷品位」で指定した値が大きいほど、パス数が多く、走査スピードが遅くなる。パス数が変化すると、同一領域を吐出可能なノズル数が変化し、単位面積当たりに吐出可能なインク量(インク総量制限)が変化する。つまり、パス数が多いほど同一領域に吐出できるノズルが多く、単位面積当たりより多くのインクが吐出される。例えば、2パスで画像を形成する場合には、1パスで画像を形成する場合に比べて2倍のインク吐出が可能である。また、所定のインク量を1パスと2パスとで分割形成する場合、1パス目と2パス目との間には時間差が生じる。そのため、用紙がインクを吸収できる限界量を考慮した場合でも、パス数が多いほど、単位面積当たりより多くのインクを吐出できる。また、走査スピードが遅くなると、パス間の吐出により多くの時間差が生じることになる。そのため、用紙がインクを吸収できる限界量を考慮した場合に、走査スピードが遅いほど、単位面積当たりより多くのインクを吐出可能である。
ところで、インク総量制限よりも多いインク量で画像形成を行うと、用紙がインクを吸収しきれず、インクが溢れたり、文字が滲んだり、一様な単色面がムラとなったり、あるいはカラーバランスが崩れるといった弊害が生じる可能性がある。他方、インク総量制限よりも少ないインク量で画像形成を行うと、相対的に濃度の高いインクが優先して使用され、粒状性が悪化する可能性がある。あるいは、十分なインク量を確保できないことから、所望の彩度や濃度が得られない可能性がある。そのため、設定されたインク総量制限の値に応じた適切な色分解LUTを用いて色分解処理を行う必要がある。
そこで、本実施例では、「印刷品位」欄2210で指定された値が大きいほどインク総量制限を緩和し、より多くのインク量で画像形成が行われるように色分解処理を行う。このように、「印刷品位」欄2210で指定された値に応じて、インク総量制限を適応的に変化させた色分解LUTが作成されることになる。
<「用紙設定」に関する詳細設定>
次に、「用紙設定」欄2220では、特性が未知の用紙あるいは特殊な用紙に対して好適な色分解処理を行って印刷するための条件設定ができる。特性が未知等の用紙に対して好適な色分解処理を行いたいユーザは、当該用紙を画像形成装置200にセットした状態で、「用紙設定」欄2210内の「カスタム用紙」のラジオボタン2221を選択し、さらに「特性作成」ボタン2222を押下する。この「特性作成」ボタン2222が押下されると、画像形成装置200において、所定のパッチ画像が用紙上に形成され出力される。ここで、所定のパッチ画像には、用紙のインク総量制限を取得するためのパッチ画像と、各インクの仮想色材換算量を取得するためのパッチ画像の2種類がある。
まず、インク総量制限を取得可能なパッチ画像としては、インクの総量が段階的に異なる複数のパッチを並べた画像が考えられる。そして、このパッチ画像を用紙上に形成し、インクが溢れたり、ムラとなったりしていないパッチを選択することで、インク総量制限を取得する。また、各インクの仮想色材換算量を取得可能なパッチ画像としては、各インクを所定量だけ吐出したパッチを並べた画像が考えられる。このパッチ画像を用紙上に形成し、各インク仮想色材換算量を取得する。具体的には、実施例1の図9のフローにおけるステップ902に準じて、実色材としてのインクxを仮想色材で換算した場合の仮想色材の量Vyi_x、Vmi_x、Vci_xを取得する。こうして取得したインク総量制限と仮想色材換算量は、目的とする用紙と対応付けて不図示のメモリに保存しておく。そして、以降の印刷出力で当該用紙を用いる場合に、「用紙選択」ボタン2223を押下し、上記保存されたインク総量制限と仮想色材換算量とを呼び出して、新たな色分解LUTを作成する。
<「インク削減等」に関する詳細設定>
「インク削減等」欄2230では、使用するインク量の削減やエッジの先鋭性の向上などを指定できる。まず、スライドバー2231における黒三角マークをマウス等で操作することにより、あるいは入力ボックス2232に直接数値を入力することにより、任意のインク削減量を指定できる。ここでは、インク削減量として“12”が指定されている。ユーザがインクの削減を指定すると、インク総量がより少ない量で制限されるようにインク総量制限が定められる。すなわち、ユーザが指定したインク削減量に応じて、使用される各インクの総量を削減した色分解LUTが作成される。この場合において、削減量“0”は、まったく削減しないことを意味し、削減量“100”は許容される最大限まで削減することを意味する。なお、許容される最大限の削減量は、印刷対象画像に含まれるオブジェクトが問題なく認識できるかどうかといった点を考慮して予め決定される。図23(a)は、インク削減量の指定値が“12”の場合に作成される色分解LUTの一例を示す図であり、W(R=G=B=255)とK(R=G=B=0)とを結ぶグレイライン(R=G=B=0〜255)における各インクのインク量が示されている。そして、太線の実線はインク削減をする前のブラックのインク量、太線の破線は指定値“12”でインク削減を行った場合のブラックのインク量を示している。同様に、細線の実線はインク削減をする前のグレイのインク量、細線の破線は指定値“12”でインク削減を行った場合のグレイのインク量を示している。破線で示すインク削減後の色分解では、グレイインクの使用量が抑えられ、その代わりに同一色相でより濃度の高いブラックインクの使用量が増えているのが分かる。また、同一の仮想色材量を再現するために必要となるインク量は、ブラックインクの方が少なくて済むため、全インクのトータル使用量で比較すると、破線で示すインク削減後の色分解の方がより少ない量のインクで同一の仮想色材量を実現することができる。
さらに、「色の変更を許可」のチェックボックス2233にチェックが入れられた場合は、プライマリ点の8点に対するインク量を含めて、使用するインク量を指定されたインク削減量に応じて削減した色分解LUTが作成される。図23(b)は、「色の変更を許可」にチェックが入れられた場合に作成される色分解LUTの一例を示す図である。図23(a)におけるインク削減前の状態と比べると、R=G=B=0に対する各インクのインク量が削減されているのが分かる。
また、「印刷枚数向上」のチェックボックス2234にチェックが入れられた場合は、各インクの残量を参照しつつ各インクを同時に使い切るように、同一色相を呈する濃淡が異なるインクの使用比率が決定される。そして、決定された使用比率とインク残量の比率とが可能な限り一致するように色分解処理が実行される。これにより、特定のインクのみが突出して使用されることが抑制される。また、特定のインクがほとんど残っていない場合でも、同一色相を呈する他方のインク残量が十分であれば、印刷処理を継続することができ、本機能を利用しない場合に比べ、印刷枚数が向上する。さらに、「印刷枚数を指定」のチェックボックス2235にチェックが入れられた場合には、入力ボックス2236で指定された枚数の印刷処理を同一の印刷設定で行えるように色分解処理を行う。具体的には、インク総使用量と各インクの残量とを比較し、不足するインクを他のインクの組み合わせに置換する処理を行う。これにより、ユーザ所望の印刷枚数を限られたインクで出力できる可能性が高まる。
また「エッジ鮮鋭性向上」のチェックボックス2237にチェックが入れられた場合は、色分解処理において印刷対象画像における画素毎のエッジ量を参照し、エッジ量が大きいほど濃インクが多くなるように調整する処理を行う。これにより、印刷対象画像のエッジ部では、平たん部に比べて、淡インクが少なくかつ濃インクが多い色分解処理が行われるため、エッジ部で鮮鋭度の高い出力画像を得ることができる。
以上の通り、「詳細設定」タブにおいて細かな印刷条件の指定がなされた場合には、指定された内容に応じた色分解LUTが仮想色材量LUTに基づいて作成されることになる。そうなると、新たな色分解LUTを作成するための処理時間が必要となる。そこで、上述した「詳細設定」タブ内の各種設定は、詳細設定を有効にするためのチェックボックス2201にチェックが入れられた場合にのみ行えるように制限してもよい。さらに、当該チェックボックス2201にチェックを入れた際に、新たな色分解LUTの作成のための処理時間が掛かることを示すメッセージ等を表示して警告を行ってもよい。
(本実施例の色分解処理の流れ)
図24は、本実施例に係る色分解処理の流れを示すフローチャートである。以下に述べる一連の処理も画像処理装置100にインストールされたプリンタドライバによって実現される。
まず、ステップ2401では、印刷対象の画像データ(カラーマッチング処理を施されたRGB画像データ)、及び、上述の印刷設定画面2200を介してなされた当該画像データに対して適用する印刷モードや詳細設定の情報(印刷設定情報)が取得される。
次に、ステップ2402では、取得した印刷設定情報内に既存の印刷モードのいずれかが選択されたことを示す情報が含まれるか否かが判定される。本実施例の場合、既存の印刷モードについては、各印刷モードに対応する色分解LUT111a〜111dが存在する。そのため、本ステップの判定は、取得した印刷設定情報の内容に合った色分解LUTが存在するかどうかの判定と同義である。判定の結果、既存の印刷モードのいずれかが選択されたことを示す情報が印刷設定情報に含まれる場合には、ステップ2403に進む。一方、既存の印刷モードのいずれかが選択されたことを示す情報が印刷設定情報に含まれない場合(すなわち、「詳細設定」タブからより細かな印刷条件を指定した詳細設定の情報が含まれる場合)には、ステップ2404に進む。
ステップ2403では、選択された印刷モードに対応する色分解LUTが、予め用意・保持された色分解LUT111a〜111dの中から取得される。一方、ステップ2404では、詳細設定情報で指定されたより細かな条件に合った色分解LUTを作成するため、入力画像信号と仮想色材量との対応関係を規定した仮想色材量LUT2101が取得される。さらに、続くステップ2405では、詳細設定情報で指定されたより細かな印刷条件に合った新たな色分解LUTが、取得した仮想色材量LUTに基づいて作成される。新たな色分解LUTを作成する手法については後述する。
ステップ2406では、印刷対象の画像データに適用する色分解処理の内容を画素単位で変更する必要があるか判定される。例えば、前述の「エッジ先鋭性向上」が指定された場合は、入力画像信号と仮想色材量との関係を保ったまま、画素毎のエッジ量に基づいて、同一色相を呈する濃淡が異なるインクの使用比率を変更する必要がある。このように、画素単位で色分解処理の内容を変更する必要がある場合には、ステップ2407に進む。一方、画素単位で色分解処理の内容を変更する必要がない場合には、ステップ2408に進む。
ステップ2407では、ステップ2403で取得した色分解LUT又はステップ2405で新たに作成した色分解LUTに基づいて、印刷対象の画像データに対し色分解処理の内容を画素単位で適応的に変更した色分解処理が実行される。この色分解処理の内容を画素単位で適応的に変更する色分解処理の詳細については後述する。
また、ステップ2408では、ステップ2403で取得した色分解LUT又はステップ2405で新たに作成した色分解LUTに基づいて、印刷対象の画像データに対し、全画素共通(画像全体で同一内容)の色分解処理が実行される。ここでの色分解処理は、実施例1で述べた色分解処理と異なるところはないため、本実施例では処理の詳細を省略する。
(詳細設定に応じた色分解LUTの作成処理)
次に、上述のステップ2405における、詳細設定に応じた新たな色分解LUT作成処理の詳細について説明する。前述の通り、新たな色分解LUTの作成の際に、入力画像信号と仮想色材量との関係(単調増加で、かつ変曲点が発生しないか、もしくは極力少ない)を維持することで、滑らかな階調を保ちながらユーザの細やかな指定に対応したインク量を得ることが可能となる。具体的には、ステップ2404で取得した仮想色材量LUTにおける、各入力画像信号に対応する仮想色材量を、画像形成装置200が具備するインクの出力値(インク量)に変換することで、各入力画像信号に対するインク量を取得する。そして、得られたインク量を各入力画像信号と改めて対応付けることで、新たな色分解LUTが作成される。
ここでの変換には、例えば仮想色材量の線形結合が用いられる。例えば、実色材としてのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インク量(Wc、Wm、Wy、Wk)は、以下の式(8−1)〜式(8−4)によって求められる。
Wy=ay_y×Vyi+am_y×Vmi+ac_y×Vci+aw_y×W_max ・・・式(8−1)
Wm=ay_m×Vyi+am_m×Vmi+ac_m×Vci+aw_m×W_max ・・・式(8−2)
Wc=ay_c×Vyi+am_c×Vmi+ac_c×Vci+aw_c×W_max ・・・式(8−3)
Wk=ay_k×Vyi+am_k×Vmi+ac_k×Vci+aw_k×W_max ・・・式(8−4)
なお、上記式(8−1)において、ay_y、am_y、ac_yはそれぞれ仮想色材量Vyi、Vmi、Vciに対するイエローインクの重みを表す定数である。また、W_maxはインク総量制限を表し、aw_yはインク総量制限のイエローインクに対する重みを表す定数である。他の式(8−2)〜式(8−4)についても同様である。ここで上記式(8−1)〜式(8−4)における各重みの算出方法について説明する。
まず、上記式(8−1)〜式(8−4)をベクトルの形式で表すと、以下の式(8)´となる。
W=a×V ・・・式(8´)
ただし、上記式(8´)において、W、a、Vはそれぞれ以下のとおりである。
Wy
W= Wm
Wc
Wk

ay_y am_y ac_y aw_y
a= ay_m am_m ac_m aw_m
ay_c am_c ac_c aw_c
ay_k am_k ac_k aw_k

Vyi
V= Vmi
Vci
W_max

このとき、aの逆行列をa-1とすると、上記式(8´)は、以下の式(8´´)に変形できる。
V=a-1×W ・・・式(8´´)
そして、a-1を、
a11 a12 a13 a14
-1= a21 a22 a23 a24
a31 a32 a33 a34
a41 a42 a43 a44
とすれば、上記式(8´´)は以下のように表すことができる。
Vyi=a11×Wy+a12×Wm+a13×Wc+a14×Wk ・・・式(8−1´´)
Vmi=a21×Wy+a22×Wm+a23×Wc+a24×Wk ・・・式(8−2´´)
Vci=a31×Wy+a32×Wm+a33×Wc+a34×Wk ・・・式(8−3´´)
W_max=a41×Wy+a42×Wm+a43×Wc+a44×Wk ・・・式(8−4´´)
ここで、上記式(8−1)に注目すると、a11〜a14はそれぞれ、Wy〜WkのVyiに対する重みとなっている。すなわち、a11〜a14には、図25に示す仮想色材換算量を用いることができる。いま、図25の(a)〜(d)に従うならば、a11=Vyi_y=35.0、a12=Vyi_m=6.0、a13=Vyi_c=7.0、a14=Vyi_k=53.0となる。同様に、上記式(8−2´´)及び式(8−3´´)に注目すると、a21=Vmi_y、a22=Vmi_m、a23=Vmi_c、a24=Vmi_k、a31=Vyi_y、a32=Vyi_m、a33=Vyi_c、a34=Vyi_k、となる。さらに、上記式(8−4´´)に注目すると、左辺がW_max、右辺がWy〜Wkの重みづけ和になっているものの、W_maxはWy〜Wkの総和であることから、a41=1.0、a42=1.0、a43=1.0、a44=1.0となる。
つまり、
Vci_y Vci_m Vci_c Vci_k
-1= Vmi_y Vmi_m Vmi_c Vmi_k
Vyi_y Vyi_m Vyi_c Vyi_k
1.0 1.0 1.0 1.0
となり、a-1の逆行列を求めることで、行列a、すなわち重み(ay_c〜aw_k)を得るることができる。
そして、上述の「印刷品位」、「用紙設定」、「インク削減等」に対応したインク総量制限W_maxの値に応じて、上記式(8−1)〜式(8−4)内の重みを一律に変倍することで、インク総量制限W_maxの値に応じたインク量を求めることができる。
例えば、「印刷品位」で「超最高品位(4以上)」及び「超はやい(1以下)」が指定された場合には、以下のように重みを変倍すればよい。
まず、「超最高品位(4以上)」におけるインク総量制限W_max’が、「最高品位」におけるインク総量制限W_maxの1.2倍(すなわち、W_max’/W_max=1.2)であったとする。このとき、「超最高品位(4以上)」における上記式(8−1)〜(8−4)における重み定数を、「最高品位」における重みに対して1.2倍とする。すなわち、「最高品位」における仮想色材量Vyiに対するシアンインクの重みay_cが例えば1.0であれば、「超最高品位(4以上)」における仮想色材量Vyiに対するシアンインクの重みay_c´=1.0×1.2=1.2となる。同様に、「超はやい(1以下)」におけるインク総量制限W_max”が「最高品位」におけるインク総量制限W_maxの0.6倍であったとすれば、上記式(8−1)〜(8−4)における重みを、「最高品位」における重みに対して0.6倍すればよい。この結果、予め規定された入力画像信号値に対応する仮想色材量が、指定された設定内容に応じて、総量の異なる各インクの出力値に変換される。また、画像形成装置200が同一色相を呈する濃度が異なるインク(例えば、シアンインクとライトシアンインク)を具備する場合には、後述のように、インク総量制限W_maxの値が小さいほど多くの濃インクが使用されるよう各インクの出力値を決定する制御がなされる。具体的には、インク総量がSum_W1の時の濃インクの量をD1、インク総量がSum_W2の時の濃インクの量をD2とし、Sum_W1<Sum_W2である場合、D1≧D2となるように、各インクの出力値が決定される。
また、「用紙設定」で特定の用紙が設定された場合には、設定時に保存された各インクの仮想色材換算量に基づいて、各重みを変更することで、当該特定用紙の特性に応じたインク量を求めることができる。ここで、特定の用紙に対応して設定された、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクに対する仮想色材量が、図25の(a)〜(d)でそれぞれ示す値であったとする。このとき、上述の式(8−1)〜(8−4)中の各重みは、以下のようになる。この場合において、インク総量制限は250[%]とする。ただし、計算の結果、インク量W<0となった場合には、W=0とする。
ay_y、am_y、ac_y、aw_y:0.023、-0.011、-0.014、0.231
ay_m、am_m、ac_m、aw_m:-0.010、0.032、-0.027、0.295
ay_c、am_c、ac_c、aw_c:-0.021、-0.029、0.033、0.761
ay_k、am_k、ac_k、aw_k:0.007、0.007、0.008、-0.287
同様に、特定の用紙に対応して設定された、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクに対する仮想色材量が、図25の(e)〜(h)でそれぞれ示す値であったとする。このとき、上述の式(8−1)〜(8−4)中の各重みは、以下のようになる。この場合において、インク総量制限は250[%]とする。
ay_y、am_y、ac_y、aw_y:0.022、-0.012、-0.024、0.421
ay_m、am_m、ac_m、aw_m:-0.010、0.031、-0.032、0.253
ay_c、am_c、ac_c、aw_c:-0.030、-0.029、0.032、0.892
ay_k、am_k、ac_k、aw_k:0.018、0.010、0.024、-0.565
このように、特定用紙の設定時に保存された各インクの仮想色材換算量に基づいて各重みを変更することで、特定用紙の特性に応じたインク量を求めることができる。さらには、インクの変換優先順の情報を取得し、優先順位に基づいて仮想色材量をインク量へ変換してもよい(実施例1の図9のフローにおけるステップ903〜ステップ906を参照)。
以上のようにして、詳細設定に応じた新たな色分解LUTが作成される。
(画素単位で異なる色分解処理)
続いて、印刷対象の画像データに対し画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理について説明する。本実施例では、入力画像信号と仮想色材量との関係を保ったまま、同一の色相を持つ異なるインク(例えば濃インクと淡インク)の使用比率を画素単位で変更する。このようにすることで、画素単位で滑らかな階調を保ちながら、入力画像信号に対応したインク量を得ることができる。画素単位で色分解処理の内容を適応的に変更するケースとしては、前述の「印刷枚数向上」や「エッジ鮮鋭性向上」が指定された場合が該当する。以下、詳しく説明する。
<「印刷枚数向上」が指定された場合>
まず、「印刷枚数向上」がユーザによって指定された場合について説明する。これは、画像形成装置200に備えられたインクの残量が、色分解LUTに規定された入力画像信号に対応するインク量に満たず、印刷出力できないような場合の対策として利用される。具体的には、画像形成装置200に具備された同一色相を呈する異なるインクの各残量を画素毎に求め、得られた残量の比率に基づいて例えば濃インクと淡インクの使用比率を変更する。このとき、仮想色材換算量が使用比率の変更前後で変化せず、かつ濃インクと淡インクの使用比率に応じたインク量を決定する。これにより、例えばグレイインクの残量がほとんどないがブラックインクの残量が潤沢であるような場合に、できるだけブラックインクを多く用いるような色分解処理が可能になり、略同一の発色を持った印刷結果を得ることができる。そして、「印刷枚数向上」を指定しなかった場合に比べ、同一色相の異なるインクを均等に使い切るように消費されるため、印刷枚数の向上に繋がる。なお、インクの残量は、例えば各インクタンクに残存するインクの体積や重量、または各インクの出力ドット数の累計数に基づいて導出することが可能である。また、インク残量を求める際のこれら基礎情報は、インク毎の絶対値であってもよいし、一方のインクに対する他方のインクの残量比などの相対値であってもよい。
図26は、「印刷枚数向上」が指定された場合の、画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップ2601では、各インクの仮想色材換算量が取得される。このステップは、実施例1の図9のフローにおけるステップ902と同じである。
次に、ステップ2602では、色分解処理の対象となる注目画素が決定される。この際、最初の注目画素の位置(x,y)を例えば(0,0)とし、以後は順次この画素位置(x,y)を更新することで、印刷対象画像データ内の全画素に対する色分解処理が実行される。画素位置の更新は、例えばx=x+1とし、更新後のxが入力画像の横幅よりも大きくなると、x=0かつy=y+1とすればよい。
ステップ2603では、注目画素(x,y)における入力画像信号(R,G,B)が取得される。続くステップ2604では、前述の図24のフローのステップ2403で取得した色分解LUT又はステップ2405で作成された色分解LUTを参照し、入力画像信号(R,G,B)に対応する各インクの出力値(インク量)が取得される。
次に、ステップ2605では、各インクの残量が取得される。具体的には、画像形成装置200が備える各インクタンク(不図示)に残存するインク量が、インク毎に取得される。この際、画像処理装置200に実装されたインクに加え、ユーザが交換可能として提示した予備のインクタンクとその本数を考慮するようにしてもよい。
そして、ステップ2606では、ステップ2601で取得した各インクの仮想色材換算量とステップ2605で取得した各インク残量とに基づき、注目画素(x,y)の入力画像信号(R,G,B)に対応するインク毎の出力値(インク量)が決定される。具体的には、入力画像信号(R,G,B)に対する仮想色材量を維持したまま、同一色相を呈する異なるインクの残量比率と使用比率とが等しくなるように、各インク量が決定される。
ここで、共に無彩色であるブラックとグレイのインクが具備されている場合を例に説明する。なお、以下の説明においては、ブラックインクの残量をAk、グレイインクの残量をAgyで表すこととする。また、入力画像信号に対応するインク量を、ブラックインクはWk、グレイインクはWgyで表すものとする。そして、最終的に求めるインク量を、ブラックインクはWk´、グレイインクはWgy´で表すものとする。この場合において、前述の通り、変更の前後で仮想色材換算量の総和が変わらないようにインク量が決定される。ここでは、変更前のブラックインクの仮想色材換算量と、変更後のブラックインクとグレイインクの仮想色材換算量の和とが一致することになる。すなわち、最終的に求めるインク量Wk′とWgy´は、以下の式(9)を満たす。
Vk×Wk+Vgy×Wgy=Vk×Wk´+Vgy×Wgy´ ・・・式(9)
上記式(9)において、Vkはブラックインクの仮想色材換算量Vyi_k、Vmi_k、Vci_kの総和であり、Vgyはグレイインクの仮想色材換算量Vyi_gy、Vmi_gy、Vci_gyの総和である。
また、前述の通り、同一色相を呈する異なるインクの残量比率と使用比率とが等しくなるようにインク量が決定される。ここでは、ブラックインクのグレイインクに対する残量比率Ak/Agyが、ブラックインクのグレイインクに対する使用比率Wk´/Wgy´と一致することになる。すなわち、残量比率Ak/Agyと使用比率Wk´/Wgy´は、以下の式(10)を満たす。
Ak/Agy=Wk´/Wgy´ ・・・式(10)
そして、上記式(9)及び式(10)を、それぞれWk´、Wgy´について解くと、以下の式(11−1)と式(11−2)となる。
Wk´=Ak×(Vk×Wk+Vgy×Wgy)/(Vk×Ak+Vgy×Agy)
・・・式(11−1)
Wgy´=Agy×(Vk×Wk+Vgy×Wgy)/(Vk×Ak+Vgy×Agy)
・・・式(11−2)
ここで、前述のステップ2605でブラックのインク残量Ak=0.5[ml],グレイのインク残量Agy=0.4[ml]が取得され、ブラックの総和Vk=58、グレイの総和Vgy=17とすると、Wk´とWgy´は以下のようになる。まず、ステップ2604では、入力画像信号のRGB値(25,25,25)に対応する、ブラックのインク量Wk=51[%]、グレイのインク量Wgy=144[%]、それ以外のインクについてはインク量0[%]が取得されたとする。そして、ステップ2605では、ブラックのインク残量Ak=0.5[ml],グレイのインク残量Agy=0.4[ml]が取得されたとする。この場合、ステップ2606では、最終的に求めるインク量Wk´=75.5、Wgy´=60.4が得られる。つまり、無彩色インクとして、ブラックとグレイの両インクを具備するプリンタにおいては、上記式(11−1)及び式(11−2)により、注目画素(x,y)の入力画像信号(R,G,B)に対応するブラックのインク量Wk´とグレイのインク量Wgy´が決定される。
上記のようにして注目画素(x,y)の入力画像信号(R,G,B)に対応する各インクの出力値が決定されると、ステップ2607で、各インクの残量が更新される。具体的には、ステップ2605で取得した各インクの残量から、ステップ2606で決定した各インクのインク量を減した値を、各インクにおける新たなインク残量とする。上述の具体例の場合、ドット1発当たりの吐出量が30[pl]=30×10^(−9)[ml]であれば、更新後のブラックのインク残量Ak=0.5−30×10^(−9)に更新される。これにより、既に色分解処理を終えた画素に使用されるインク量を考慮して、残りの画素についての色分解処理を行うことができる。
そして、ステップ2608では、印刷対象となる画像データの全画素について色分解処理が完了したか否かが判定される。未処理の画素があれば、ステップ2602に戻り、次の画素を注目画素として処理が続行される。一方、全画素について処理が完了していれば、本処理を終了する。
以上が、「印刷枚数向上」が指定された場合の、画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の内容である。
なお、上記の例では、インク毎の仮想色材換算量Vyi_n、Vmi_n、Vci_nの総和であるVkとVgyを用いた式(11−1)と式(11−2)によって、入力画像信号に対応するインク量を求めた。ここで、VkとVgyに代えてVyi_n、Vmi_n、Vci_nの中の最大値を用いてもよい。最大値を用いる場合、当該最大値となる仮想色材換算量が処理の前後で変化しないようにインク量を決定すればよい。例えば、シアン、マゼンタ、イエローといったインクの場合、主となる仮想色材換算量が重要となる。そのため、これらインクについて同様の処理を行う場合、例えば色相が同一であるシアンインクとライトシアンインクの量を決定する場合には、総和の代わりに最大値を用いることが望ましい。
さらに、インク総量制限に関する情報や同一色相インク間の優先順位を取得し、インク総量制限に収まるように各インクのインク量を決定してもよい。
また、上述のステップ2604では、色分解LUTを参照して入力画像信号に対するインク量を取得したが、仮想色材量を取得した上で前述の式(8−1)〜式(8−4)あるいは実施例1の図9のフローに従って、インク量を求めてもよい。
さらに、本実施例では、同一色相を呈する異なるインクの残量比率と使用比率とが等しくなるようにしていた。これを、仮想色材量に基づき、別色相のインクとの関係においても残量比率と使用比率とが等しくなるようにしてもよい。例えば、仮想色材量VyiとVmiが略同一になるように、レッドインクをイエローインクとマゼンタインクに変換してもよい。あるいは、仮想色材量Vyi、Vmi、Vciが略同一となるように、ブラックインクとシアン、マゼンタ、イエローの各インクとを変換してもよい。あるいはレッドインクとシアン、マゼンタの各インクとを変換してもよい。
また、本実施例では、詳細設定に応じて作成した色分解LUTを用いて、各インクの残量に基づき画素単位で色分解処理を行っていた。例えば、画像全体に対する各インク使用量の総和を求め、求めた各インク使用量の総和に基づいて色分解LUTを変更して、同一色相を呈する異なるインクの残量比率と使用比率とが等しくなるようにしてもよい。ただし、この場合には、変更した色分解LUTで再度色分解処理を行う必要がある。
<「印刷枚数向上」が指定され、かつ、印刷枚数が指定された場合>
ユーザが「印刷枚数向上」に加え、所望の印刷枚数を指定していた場合には、指定された印刷枚数を同一の印刷設定で印刷できるように色分解処理を行う。具体的には、前述の図24のフローのステップ2405において、指定された印刷枚数が同一の印刷設定で印刷できるような色分解LUTを作成する。以下、詳しく説明する。まず、印刷処理に見込まれる用紙1枚当たりのインク使用量を導出する。さらに、導出されたインク使用量に対し、指定された印刷枚数を乗算してインク総使用量を求める。そして、求めたインク総使用量と各インクの残量とを比較し、不足するインクを他のインクの組合せに置換して、新たな色分解LUTを作成する。例えば、シアンインクが不足する場合に、シアンインクと色相が略同一なライトシアンインクが具備されていて、かつインク残量が十分であるとき、シアンインクがライトシアンインクに置換される。また、レッドインクが不足する場合に、レッドインクと同一な発色が可能なインク組合せ(マゼンタとイエロー)が具備されており、かつ、両インクの残量が十分であるとき、レッドインクがマゼンタとイエローのインクに置換される。
なお、この置換処理によっても指定された印刷枚数を印刷できない場合には、不足するインク及び出力可能枚数の情報をユーザに報知するようにすることが考えられる。この場合、色分解処理を含む印刷処理は行わない。ただし、ユーザが「色の変更を許可」を選択している場合には、必要に応じてプライマリ点のインク量を変更し、指定された印刷枚数で印刷できるようにする。具体的には、プライマリ点のインク量を変更し、変更後のインク量に応じて仮想色材換算量が合うように、各インク量の重み(換算値)を変更する。そして、指定された印刷枚数で印刷できるように色分解LUTを変更する。
<「エッジ鮮鋭性向上」が指定された場合>
次に、「エッジ鮮鋭性向上」がユーザによって指定された場合について説明する。「エッジ鮮鋭性向上」が指定された場合には、同一色相を呈する異なるインクの使用比率を、印刷対象となる画像データにおける画素毎のエッジ量に基づいて画素単位で決定する。図27は、「エッジ先鋭性向上」が指定された場合の、画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の詳細を示すフローチャートである。
ステップ2701〜ステップ2704は、前述の図26のフローのステップ2601〜ステップ2604と同じである。ステップ2704で、色分解LUTを参照して、入力画像信号(R,G,B)に対応する各インクの出力値(インク量)が取得されると、ステップ2705では、注目画素のエッジ量が導出される。ここで、画素毎のエッジ量は、公知のフィルタ処理を用いて求めることができる。例えば、ラプラシアンフィルタを用いて注目画素値の2次微分量を求め、求めた2次微分量を当該注目画素のエッジ量として用いればよい。
ステップ2706では、導出されたエッジ量に基づいて、同一色相を呈する異なるインクの使用比率が決定される。このとき、エッジ量が大きいほど、濃インクが淡インクよりも大きくなるように決定する。続くステップ2707では、決定されたインク比率と仮想色材換算量に基づいて、各インクの出力値が決定される。具体的には、前述の式(9)及び式(10)と同様に、仮想色材量と使用比率に関する連立方程式を求め、インク量W´を求めればよい。
ここで、Wgy:Wk=E:1−Eとして具体例を示すと以下のようになる。まず、ステップ2704では、入力RGB値(25,25,25)に対応するブラックのインク量Wk=51[%]、グレイのインク量Wgy=144[%]、それ以外のインクについてはインク量0[%]が取得されたとする。そして、ステップ2705では、注目画素のエッジ度E=0.3が得られたとする。ここで、エッジ度Eは0〜1までの値をとり、E=0のときに注目画素は最も平たん部に属し、E=1.0のときに注目画素は最もエッジに属するとする。次に、ステップ2706では、注目画素のエッジ度E=0.3に基づくグレイとブラックの使用比率を決定する。ここでは、Wgy´:Wk´=(1−E):E=0.7:0.3を使用比率として決定する。そして、ステップ2707で、以下の式(12−1)及び式(12−2)から、ブラックのインク量Wk´=55.4[%]とグレイのインク量Wgy´=128.2[%]が求められる。
Wk´=E×(Wk×Vk+Wgy×Vgy)/(E×Vk+(1−E)×Vgy)
・・・式(12−1)
Wgy´=(1−E)×(Wk×Vk+Wgy×Vgy)/(E×Vk+(1−E)×Vgy)
・・・式(12−2)
なお、この例ではWgy:Wk=E:1−Eとしたが、1:Eなど他の比率を用いてもよい。
そして、ステップ2708では、印刷対象となる画像データの全画素について色分解処理が完了したか否かが判定される。未処理の画素があれば、ステップ2702に戻り、次の画素を注目画素として処理が続行される。一方、全画素について処理が完了していれば、本処理を終了する。
以上が、「エッジ先鋭性向上」が指定された場合の、画素単位で適応的に内容を変更する色分解処理の内容である。
なお、ここではフィルタ処理で得られた2次微分量をエッジ量としたが、注目画素を中心とする局所領域の周波数特性から高周波成分のパワーを求め、これをエッジ量として用いてもよい。すなわち、高周波のパワーが大きいほど濃インクが多くなるように使用比率を決定してもよい。
また、ここでは「エッジ鮮鋭性向上」が指定された場合を例に、印刷対象の画像データにおける画素毎にエッジ量を取得し、取得したエッジ量に基づいて、同一色相を呈する異なるインクの使用比率を変更する態様を説明した。画素単位で適応的に色分解処理の内容を変更することが有効な場面はほかにも考えられる。例えば、注目画素が写真(イメージ)の一部である場合には、粒状性を抑制するために淡インクを優先することが望ましい。また、注目画素が文字の一部である場合には、鮮鋭性やインク消費量を重視して、濃インクを優先するのが望ましい。そこで、画素毎にオブジェクトの属性情報を取得し、取得した属性情報に応じた色分解LUTの変更を前述した手法に準じて行ってもよい。
なお、仮想色材量LUTのみを予め保持しておき、当該仮想色材量LUTにおける仮想色材量を維持するように、指定された印刷条件に応じた色分解LUTを作成するようにしてもよい。このとき、予め保持しておく仮想色材量LUTは、入力画像信号と仮想色材量との関係が、単調増加で、かつ変曲点が発生しない(2次微分が負にならない)ようにする。そうすることで、新たに作成される色分解LUTにおいても、入力画像信号と仮想色材量との関係が、単調増加で、かつ変曲点が発生しない(2次微分が負にならない)ものとなる。これにより、ユーザの細かな要望を満足できる滑らかな階調を持った色分解LUTを得ることが可能となる。
本実施例によれば、予め保持している色分解LUTに基づき、ユーザの様々な要望等に応じた色分解LUTが、必要に応じて作成される。これにより、滑らかな階調を保ちながら、ユーザの細かな要望に対応した色分解処理を行うことが可能となる。
実施例2では、ユーザの細かな要望に応じた色分解LUTを仮想色材量LUTから新たに作成していた。次に、複数の色分解LUTを合成することで新たな色分解LUTを得る態様を実施例3として説明する。なお、実施例2と共通する部分は説明を省き、以下では差異点について述べるものとする。
図28は、本実施例に係る、ユーザが指定した印刷条件に応じた色分解LUTを、複数の色分解LUTの合成によって作成する処理の詳細を示すフローチャートである。本フローが実行されるまでの流れは、実施例2に係る図24のフローと同じである。すなわち、印刷対象の画像データ及び印刷設定情報が取得されると(S2401)、当該印刷設定情報内に既存の印刷モードのいずれかが選択されたことを示す情報が含まれるか否かが判定される(S2402)。そして、既存の印刷モードのいずれかが選択されたことを示す情報が印刷設定情報に含まれる場合には、選択された印刷モードに対応する色分解LUTが、予め用意・保持された色分解LUT111a〜111dの中から取得される(S2403)。一方、「詳細設定」タブからより細かな印刷条件を指定した詳細設定の情報が含まれる場合に、ステップ2404及び2405の処理に代えて、以下に示す図28のフローが実行される。
ステップ2801では、予め定めたインク総量制限(Max_W)が取得される。この処理は、実施例1に係る図9のフローのステップ904と同じである。ここでは、インク総量制限Max_w=180[%]が取得されたものとする。
ステップ2802では、少なくとも2つの色分解LUTが取得される。このときの取得対象の色分解LUTは、共通の仮想色材量LUTから作成された色分解LUTである必要がある。ここでは、共通の仮想色材量LUT_iに基づいて作成された2つの色分解LUT(LUT_w1とLUT_w2)が取得されたものとして以降の説明を行う。この場合において、LUT_w1を作成した際のインク総量制限をMax_W1、LUT_w2を作成した際のインク総量制限をMax_W2とし、Max_W1>Max_W2の関係にあるものとする。図29の(a)及び(b)は、取得したLUT_w1とLUT_w2のグレイライン(R=G=B=0〜255)における、ブラックとグレイのインク量をそれぞれ示している。LUT_w1のインク総量制限Max_W1は250[%]、Max_w2のインク総量制限Max_W2は150[%]である。そして、本実施例では、Max_W1≧Max_W≧Max_W2を満たすように、LUT_w1とLUT_w2から入力画像信号に対応するインク量Wを導出する。これにより、各LUTに対する重みが正の値となる(インク量が内挿によって算出される)ので、インク量が負の値や発散する値となるのを抑制することができる。
次に、ステップ2803では、入力画像信号(R,G,B)に対するインク量を、LUT_w_1とLUT_w2からそれぞれ取得する。すなわち、インク総量制限Max_W1における入力信号(R,G,B)に対するインク量W1をLUT_w1を参照して取得し、同様に、インク総量制限Max_W2における入力画像信号(R,G,B)に対するインク量W2をLUT_w2を参照して取得する。ここでは、入力RGB値を(50,50,50)とし、それに対応するLUT_w1におけるブラックのインク量W1_k=66.9、グレイのインク量W1_gy=183.1と、LUT_w2におけるブラックのインク量W2_k=108.4、グレイのインク量W2_gy=41.6が取得されたものとする。
次に、ステップ2804では、取得したインク量W1とW2の重みづけ和により、ステップ2801で取得したインク総量制限Max_Wに対応するインク量Wを導出する。このとき、重みづけ係数の和が1となるように合算して、導出されるインク量Wの仮想色材量換算値を、LUT_iに定められた仮想色材量と略一致させるようにする。具体的には、以下の式(13)によって、入力画像信号(R,G,B)に対するインク量Wが求められる。
W=(1−α)×W1+α×W2 ・・・式(13)
上記式(13)において、αは定数であり、α=(Max_W−Max_W1)/(Max_W2−Max_W1)である。上述の具体例では、まずαの値が、(180-250)/(150-250)=0.7となる。そして、上記式(13)のαに0.7、W1とW2に上記各値を当てはめることでインク総量制限Max_w=180[%]を満たす合成後の出力値、すなわち、ブラックのインク量Wk´=96.0とグレイのインク量Wgy´=84.0が求まる。こうして得られたインク量を各入力画像信号と改めて対応付けることで、新たな色分解LUTを作成する。
なお、上記式(13)ではαを、Max_W1とMax_W2から算出される定数としているが、入力RGB値の関数としてもよい。すなわち、αを入力RGB値に応じて変化させることで、ハイライト部とシャドウ部でのインク総量制限が変わるようにしてもよい。例えば、粒状性が目立ちやすいハイライト部ではインク総量制限を緩和してαを0に近い値とする、プリンタの最大濃度に関係するシャドウ部ではαを1に近い値とするといった具合である。
また、上述の例では、インク総量制限が異なる2種類の色分解LUTを用意しておき、それぞれのインク総量制限の値に基づいて、各色分解LUTの重みづけを決定したがこれに限定されない。例えば、インクの変換優先順の異なる複数の色分解LUTを用意しておき、ユーザが出力時に選択した優先すべき要件に応じて各色分解LUTの重みづけを決定してもよい。あるいは、インク残量に応じて各色分解LUTの 重みづけを決定してもよい。
さらに、インク総量制限Max_W1、Max_W2に代えて、入力画像信号(R,G,B)に対するインク総量Sum_W1とSum_W2を用いた以下の式(14)によって、α(R,G,B)を求めてもよい。
(Sum_W2≦Max_Wのとき)
α(R,G,B)=0
(W2>Max_Wのとき)
α(R,G,B)=(Max_W−Sum_W1)/(Sum_W2−Sum_W1)
・・・式(14)
上記式(14)において、Sum_W1は入力画像信号(R,G,B)に対して出力されるインク量Wの総和である。上記式(14)に従うことで、Sum_W2≦Max_Wの範囲では、α(R,G,B)=0となり、上記式(13)に示すαを用いるよりも粒状性に優れたインク量を得ることができる。また、W2>Max_Wのときには、インク総量がMax_Wと等しくなるように、αが設定されるため、上記式(13)に示すαを用いるよりも粒状性に優れることになる。
なお、LUT_w1とLUT_w2は、実施例1の図9のフローのステップ901〜ステップ909に従って作成することで取得してもよい。この場合、ステップ901においては、同一の仮想色材量LUT_iから仮想色材量を取得する。また、ステップ907では、インク総量制限としてMax_W1またはMax_W2をそれぞれ用いる。
以上のとおり本実施例では、予め異なるインク総量制限等に対して入力画像信号とインク量とを対応付けた色分解LUTを作成しておき、取得したインク総量制限に応じてそれら色分解LUTを合成することで、入力画像信号に対応するインク量を導出する。そして、合成時に各色分解LUTの重みづけ係数の和が1となるようにすることで、求めたインク量Wの仮想色材量換算量を、予め用意する各色分解LUTの作成に用いた仮想色材量と略一致させている。これにより、合成して得られるインク量W(新たな色分解LUT)が、入力画像信号に対して滑らかに変化する特性を持つようになる。
本実施例によれば、予め保持した複数の色分解LUTを用いた合成によって、入力画像信号に対応する出力値を求めることができるので、計算量を抑制することができる。
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
画像処理装置 100
色分解処理部 102
色分解LUT 111
画像形成装置 200

Claims (12)

  1. 入力画像の信号値を、画像形成装置が具備する実色材の出力値に変換する色分解処理装置であって、
    前記入力画像に対する印刷設定を取得する取得手段と、
    取得した前記印刷設定に応じて、前記入力画像の信号値を前記実色材の出力値に変換する変換手段と、
    を備え、
    前記変換手段は、前記入力画像の信号値と複数の仮想色材の出力値との関係を維持しつつ前記変換を行い、
    前記複数の仮想色材は、前記実色材の数よりも少なく、それぞれが前記実色材による出力にて再現される波長範囲を複数の波長帯に分割したときの各波長帯に対応する濃度を有し、
    前記複数の仮想色材の出力値は、前記各波長帯に対応する濃度に基づいて決定されており、
    前記関係は、単調増加で、かつ2次微分が負にならない関係である
    ことを特徴とする色分解処理装置。
  2. 前記変換手段は、前記複数の仮想色材の出力値に対する各実色材の重みを算出し、当該重みに基づき前記各実色材の出力値を決定し、
    前記各実色材の重みは、前記複数の仮想色材の出力値の比に基づいて決定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の色分解処理装置。
  3. 前記変換手段は、前記仮想色材の同一の出力値に基づいて、前記印刷設定に応じて異なる、単位面積当たりに吐出可能な実色材の総量制限に従って、前記実色材の出力値を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の色分解処理装置。
  4. 前記画像形成装置が同一色相を呈する複数の実色材を具備する場合、前記変換手段は、前記実色材の総量制限の値が小さいほど、前記複数の実色材のうち濃度が高い方の実色材が多く使用されるよう各実色材の出力値を決定することを特徴とする請求項3に記載の色分解処理装置。
  5. 前記変換手段は、前記印刷設定において特定の記録媒体が指定された場合、当該特定の記録媒体に対応づけられた前記実色材の単位量当たりにおける前記複数の仮想色材での換算値に基づき前記重みを変更して、前記各実色材の出力値を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の色分解処理装置。
  6. 前記変換手段は、前記各実色材の出力可能な残量に基づいて、前記各実色材の出力値を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の色分解処理装置。
  7. 前記変換手段は、前記入力画像の印刷処理に見込まれる前記各実色材の使用量を算出し、前記出力可能な残量が、算出した前記使用量に満たない実色材がある場合、当該実色材と略同一の発色を実現可能な1以上の他の実色材の出力値に変換することを特徴とする請求項6に記載の色分解処理装置。
  8. 前記変換手段は、第1の印刷設定に応じて規定された少なくとも2つの前記実色材の出力値を合成することで、前記第1の印刷設定とは異なる第2の印刷設定に応じた前記実色材の出力値を決定することを特徴とする請求項1に記載の色分解処理装置。
  9. 前記変換手段は、複数の印刷設定に応じて予め用意された前記入力画像の取り得る信号値と前記実色材の出力値とが対応付けられた複数の色分解LUTを参照して前記合成を行い、
    前記複数の色分解LUTは、前記入力画像の信号値と前記仮想色材の出力値との対応関係を規定した共通の仮想色材量LUTから作成される、
    ことを特徴とする請求項8に記載の色分解処理装置。
  10. 前記変換手段は、各色分解LUTに対する重みが正の値となるように前記合成を行うことを特徴とする請求項9に記載の色分解処理装置。
  11. 入力画像の信号値を、画像形成装置が具備する実色材の出力値に変換する色分解処理方法であって、
    前記入力画像に対する印刷設定を取得する取得ステップと、
    取得した前記印刷設定に応じて、前記入力画像の信号値を前記実色材の出力値に変換する変換ステップと、
    を含み、
    前記変換ステップでは、前記入力画像の信号値と複数の仮想色材の出力値との関係を維持しつつ前記変換を行い、
    前記複数の仮想色材は、前記実色材の数よりも少なく、それぞれが前記実色材による出力にて再現される波長範囲を複数の波長帯に分割したときの各波長帯に対応する濃度を有し、
    前記複数の仮想色材の出力値は、前記各波長帯に対応する濃度に基づいて決定されており、
    前記関係は、単調増加で、かつ2次微分が負にならない関係である
    ことを特徴とする色分解処理方法。
  12. コンピュータを、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の色分解処理装置として機能させるためのプログラム。
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