JP2018027041A - 餅状食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた成形適性、耐熱性および保存性を有し、歯切れがよく粘りつきにくい餅状食品を提供する。【解決手段】本発明に係る餅状食品は、もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種の澱粉類と、砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類と、水飴および還元水飴の少なくとも1種の水飴類と、増粘多糖類とを含み、糖度が50〜90度である。好ましくは、澱粉類100質量部に対して、糖類が150〜1500質量部、水飴類が100〜1000質量部、および増粘多糖類が4〜40質量部の割合で含まれる。【選択図】なし

Description

本発明は、澱粉類および糖類を主成分とする餅状食品に関する。
求肥または求肥類似物(以下、単に「求肥」と記載する場合がある)などの餅状食品は、餅米、白玉粉などの澱粉質を糊化し、さらに糖類(砂糖、水飴など)を加えて製造される。餅状食品は、適度な甘味、粘弾性、柔らかさ、伸びなどを有している。このような餅状食品は、例えば特許文献1〜3に記載されており、和菓子以外にもベーカリー製品(パン、パイなど)、菓子(どら焼きなど)、アイスクリームなどに使用されている。
求肥などの餅状食品は、澱粉類の糊化および糖類の粘性によって保形性が発揮される。そのため、餅状食品は温度変化に対して弱い。例えば、夏季など高温雰囲気下では餅状食品は柔らかくなり、さらなる高温雰囲気下に曝されると膨化あるいは溶解することもある。一方、冷蔵および冷凍のような低温雰囲気下では餅状食品は硬化(老化)しやすく、もちもちとした食感が損なわれやすくなる。このように、求肥などの餅状食品は保存性に乏しいという問題がある。
特開2015−173609号公報 特開2011−115157号公報 特開2003−225062号公報
本発明の課題は、優れた成形適性、耐熱性および保存性を有し、歯切れがよく粘りつきにくい餅状食品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種の澱粉類と、砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類と、水飴および還元水飴の少なくとも1種の水飴類と、増粘多糖類とを含み、糖度が50〜90度である餅状食品。
(2)澱粉類100質量部に対して、糖類が150〜1500質量部、前記水飴類が100〜1000質量部、および前記増粘多糖類が4〜40質量部の割合で含まれる、上記(1)に記載の餅状食品。
(3)増粘多糖類が、アルギン酸類、キサンタンガム、グルコマンナンおよびグアーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(1)または(2)に記載の餅状食品。
(4)求肥または求肥類似物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の餅状食品。
(5)もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種の澱粉類と、砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類と、水飴および還元水飴の少なくとも1種の水飴類と、増粘多糖類と、液状物との混合物を得る工程、混合物を加熱しながら混練して混練物を得る工程、および混練物の糖度を50〜90度に調整する工程を含む餅状食品の製造方法。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の餅状食品を含む飲食品。
本発明の餅状食品は、優れた成形適性、耐熱性および保存性を有しており、歯切れがよく粘りつきにくいという食感が得られる。さらに、本発明に係る餅状食品の製造方法によれば、優れた成形適性、耐熱性および保存性を有し、歯切れがよく粘りつきにくい餅状食品を提供することができる。
一実施形態に係る餅状食品は、澱粉類と、糖類と、水飴類と、増粘多糖類とを含み、50〜90度の糖度を有している。以下、これらの原料について詳細に説明する。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる澱粉類は、もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種である。もち米粉は特に限定されず、市販のもち米粉を用いてもよく、もち米を製粉機、石臼などで挽いて用いてもよい。もち米粉としては、もち米をアルファ化して粉末化(製粉)したアルファ化もち米粉が使用されてもよい。アルファ化とは、澱粉を蒸すなど加熱して糊化させることをいう。すなわち、アルファ化餅米粉は、餅米を蒸すなど加熱して糊化した後、製粉したものである。
加工澱粉とは、澱粉に化学的、物理的または酵素的な加工を施し、澱粉の特性を改質・改善し、あるいは澱粉に機能性を付加したものである。具体的には、加工澱粉とは、澱粉分子に、アセチル基、ヒドロキシプロピル基、リン酸基などを導入したものや、架橋処理を施したものなどが挙げられる。
タピオカ由来の加工澱粉は、タピオカ澱粉に上記のような化学的、物理的または酵素的な加工を施したものである。タピオカ由来の加工澱粉としては、例えば、タピオカ由来アセチル化澱粉、タピオカ由来ヒドロキシプロピル化澱粉、およびこれらの架橋処理澱粉などが挙げられる。タピオカ由来の加工澱粉は、アルファ化されたものであってもよく、アルファ化されたものとアルファ化されていないものとの混合物であってもよい。特に、タピオカ由来の加工澱粉は、餅状食品に、もちもちとした食感を効果的に付与することができる。
とうもろこし由来の加工澱粉は、トウモロコシ(粳トウモロコシ)、ワキシーコーン(糯トウモロコシ)、ハイアミローストウモロコシなどに由来する澱粉に、上記のような化学的、物理的または酵素的な加工を施したものである。とうもろこし由来の加工澱粉としては、例えば、ワキシーコーン由来アセチル化澱粉、ワキシーコーン由来ヒドロキシプロピル化澱粉、およびこれらの架橋処理澱粉などが挙げられる。とうもろこし由来の加工澱粉は、アルファ化されたものであってもよく、アルファ化されたものとアルファ化されていないものとの混合物であってもよい。
馬鈴薯由来の加工澱粉は、馬鈴薯(ジャガイモ)澱粉に上記のような化学的、物理的または酵素的な加工を施したものである。馬鈴薯由来の加工澱粉としては、例えば、馬鈴薯由来アセチル化澱粉、馬鈴薯由来ヒドロキシプロピル化澱粉、およびこれらの架橋処理澱粉などが挙げられる。馬鈴薯由来の加工澱粉は、アルファ化されたものであってもよく、アルファ化されたものとアルファ化されていないものとの混合物であってもよい。
一実施形態に係る餅状食品には、澱粉類は1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。澱粉類は、もちもちとした食感を発揮させるだけでなく、例えば、上記のような加工澱粉を用いることによって、糊化性、保存性などが向上する。さらに、加工澱粉は膨潤しやすく優れた保水性を有するため、硬化(老化)の遅延にも効果的である。所望の餅状食品に応じて、澱粉類は適宜使用すればよく、例えば、もち米粉と加工澱粉とが併用されてもよい。もち米粉と加工澱粉とが併用される場合、もち米粉と加工澱粉との質量比は90:10〜10:90程度が好ましい。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる糖類は、砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種である。砂糖、麦芽糖およびトレハロースは特に限定されず、市販品を用いればよい。砂糖を用いる場合は、グラニュー糖、上白糖、氷砂糖、角砂糖などを用いてもよい。
麦芽糖およびトレハロースは、砂糖と比べて甘味度が低く、餅状食品の甘味を低減したい場合には、糖類として麦芽糖またはトレハロースを用いればよい。さらに、麦芽糖およびトレハロースは、澱粉類の老化を抑制する作用を有している。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる糖類の含有量は特に限定されない。糖類は、澱粉類100質量部に対して、好ましくは150〜1500質量部、より好ましくは200〜1200質量部の割合で含まれる。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる水飴類は、水飴および還元水飴の少なくとも1種である。水飴および還元水飴は特に限定されず、市販品を用いればよい。水飴類は、例えば、餅状食品に含まれる糖類(特に砂糖)の結晶化を抑制するために使用される。一実施形態に係る餅状食品に含まれる水飴類の含有量は特に限定されない。水飴類は、澱粉類100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部、より好ましくは120〜900質量部の割合で含まれる。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる増粘多糖類は、餅状食品を歯切れよく粘りつきにくくし、さらに餅状食品に優れた成形適性および耐熱性を付与するために用いられる。増粘多糖類としては特に限定されず、例えば、アルギン酸類、キサンタンガム、グルコマンナン(こんにゃく芋抽出物)、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、アラビアガムなどが挙げられる。
これらの増粘多糖類の中でも、アルギン酸類を用いた場合に、餅状食品をより歯切れよく粘りつきにくくし、成形適性および耐熱性をより効果的に付与することができる。アルギン酸類としては、例えば、アルギン酸、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムなど)、アルギン酸エステル(PGA)などが挙げられる。アルギン酸類としてアルギン酸を用いる場合、通常、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを生じる塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)と一緒に使用される。
増粘多糖類としてアルギン酸類を用いる場合、カルシウムイオンを生じる塩(カルシウム塩)と一緒に用いてもよい。カルシウム塩を併用することによって、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩との架橋反応が進行し、ゲル化が進行する。その結果、餅状食品の食感(もちもち感、歯切れ、粘りつきなど)をより向上させることができ、より優れた成形適性および耐熱性を付与することもできる。カルシウム塩としては、水溶性のカルシウム塩を用いてもよく、難水溶性のカルシウム塩を用いてもよい。いずれのカルシウム塩を用いるかは、所望の餅状食品に応じて、適宜設定すればよい。例えば、水溶性のカルシウム塩を用いると、混練中にゲル化が速やかに進行する。一方、難水溶性のカルシウム塩を用いると、ゲル化の速度が穏やかになる。
一実施形態に係る餅状食品に含まれる増粘多糖類の含有量は特に限定されない。増粘多糖類は、澱粉類100質量部に対して、好ましくは4〜40質量部、より好ましくは6〜30質量部の割合で含まれる。
一実施形態に係る餅状食品には、効果を阻害しない範囲内で、抹茶、きな粉、食塩、乳製品、食用油脂、乾燥卵、酸味料、色素、香料、ナッツ類などの食品素材を添加してもよい。
一実施形態に係る餅状食品は、50〜90度の糖度を有している。このような糖度によって、一実施形態に係る餅状食品は優れた保存性を発揮することができる。すなわち、一実施形態に係る餅状食品は、50〜90度の糖度を有することによって、冷蔵および冷凍保存時の硬化が抑制され、さらに水分活性を低下させることができるため、カビ、酵母などの菌類の生育を抑制することができる。その結果、一実施形態に係る餅状食品は常温で長期保存、例えば6ヶ月以上の保存が可能となる。一実施形態に係る餅状食品は、好ましくは72〜85度の糖度を有している。
一実施形態に係る餅状食品の製造方法は、特に限定されない。例えば、上述の澱粉類、糖類、水飴類および増粘多糖類と液状物とを混合して、得られた混合物を加熱しながら糖度が50〜90度になるまで混練すればよい。液状物としては、食品に用いられる液体であれば特に限定されない。液状物としては、例えば、水、果汁、牛乳、練乳、生クリーム、卵(溶き卵)などが挙げられる。液状物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。液状物として果汁を用いると、果汁の風味が付与された餅状食品が得られる。
液状物の添加量は、上述の原料の混練が可能であれば特に限定されない。液状物は、例えば上述した原料の総量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部の割合で添加される。
混練する方法は特に限定されない。例えば、蒸練機を用いて水蒸気を吹き込みながら混練(蒸練)してもよく、撹拌機を用いて加熱しながら混練してもよい。あるいは、蒸練機を用いた蒸練と撹拌機を用いた加熱混練とを併用してもよい。
加熱温度は特に限定されず、澱粉類および糖類が十分に溶解する温度であればよい。加熱温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは92℃以上である。加熱温度の上限は限定されないが、焦げ付きなどを抑制する点で、108℃程度が好ましい。
このようにして得られた餅状食品は、好ましくは求肥または求肥類似物として使用される。通常、餅状食品は、所望の形状および大きさに成形される。一実施形態に係る餅状食品は、優れた成形適性を有しており、例えば、包餡機、団子製造機などのような成型機を用いても、餅状食品がくっつきにくい。
さらに、一実施形態に係る餅状食品は、優れた耐熱性および保存性を有しており、歯切れがよく粘りつきにくいという食感が得られる。したがって、一実施形態に係る餅状食品は、加熱して食する飲食品、常温で食する飲食品、冷凍および冷蔵して食する飲食品のいずれにも添加して食することができる。一実施形態に係る餅状食品は、例えば、アイスクリーム、どら焼き、羊羹、饅頭、パイ、ケーキ、ゼリーなどの菓子類(和菓子および洋菓子)、パン、清涼飲料水、スムージーなどに好適に添加される。あるいは、一実施形態に係る餅状食品を、意匠性を有する形状に成形して、そのまま食してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記に示す原料と水とを混合して撹拌した。各原料の使用量は下記のとおりである。水は、原料の総量100質量部に対して、18.6質量部(9000g)使用した。加工澱粉としては、タピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(松谷ゆり8、松谷化学工業(株)製)を使用した。増粘多糖類としては、グルコマンナン製剤(レオレックスRS、清水化学(株)製)を使用した。
<原料>
澱粉類:100質量部
(もち米粉10000g)
(加工澱粉2500g)
糖類:171質量部
(砂糖10000g)
(麦芽糖7400g)
(トレハロース4000g)
水飴類:112質量部(水飴14000g)
増粘多糖類:4質量部(500g)
得られた混合物を蒸練機((株)飯田製作所製)に投入し、0.03MPaで15分間蒸練した。蒸練中に吹き込まれた水蒸気によって、9500g(原料の総量100質量部に対して19.6質量部)の水がさらに添加され、66900gの混合物(糖度66度)が得られた。得られた混合物をカイ式撹拌機((株)飯田製作所製)に投入し、混合物の温度が約80℃となるように加熱しながら30分間混練して、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約65度の糖度を有していた。次いで、得られた餅状食品を、小型団子製造機((株)飯田製作所製)を用いて、1粒4gの餅状食品に成形した。
(比較例1)
増粘多糖類を用いなかった以外は、実施例1と同様の手順で、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約65度の糖度を有していた。実施例1と同様に、得られた餅状食品を小型団子製造機で成形した。しかし、成形後の製品同士がくっついて球状に成形できなかった。そこで、製品同士がくっつかないように、馬鈴薯澱粉を打ち粉として用いて、手で1粒4gの餅状食品に成形した。
実施例1および比較例1で得られた成形直後の餅状食品を、男女合計30名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、下記の基準で評価してもらった。実施例1で得られた餅状食品は、60点(合計点)であった。一方、比較例1で得られた餅状食品は、6点(合計点)であった。
2点:歯切れがよく、粘りも生じていなかった場合。
1点:歯切れが悪いか、あるいは粘りが生じていた場合。
0点:歯切れが悪く、粘りも生じていた場合。
次いで、実施例1および比較例1で得られた餅状食品を20℃雰囲気下で1日保管し、保管後の餅状食品を、男女合計30名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、上記の基準で評価してもらった。実施例1で得られた餅状食品は、60点(合計点)であった。一方、比較例1で得られた餅状食品は、8点(合計点)であった。
上記のように、実施例1で得られた餅状食品は、成形直後および1日保管後のいずれも、歯切れがよく粘りも生じていないことがわかる。一方、比較例1で得られた餅状食品は、1日保管すると、少なくとも歯切れが悪いか、粘りが生じていることがわかる。
さらに、実施例1および比較例1で得られた餅状食品を−18℃で1日冷凍保存した。次いで、餅状食品を冷凍庫から出して直ぐに(1分後)、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の食感を下記の基準で評価してもらった。実施例1で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「+」評価であった。一方、比較例1で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「−」評価であった。
+:もちもちとした食感が得られ、硬化(老化)していなかった場合。
−:もちもちとした食感が損なわれており、硬化(老化)していた場合。
次に、実施例1および比較例1で得られた餅状食品を、それぞれ100℃で30分間煮込んだ。餅状食品は、それぞれ10粒用いた。実施例1で得られた餅状食品は、30分間煮込んでも全く溶解しなかった。一方、比較例1で得られた餅状食品は、30分間煮込むと、ほとんど溶解した。
(実施例2)
下記に示す原料と水とを混合して撹拌した。各原料の使用量は下記のとおりである。水は、原料の総量100質量部に対して、24.9質量部(12000g)使用した。下記に示す原料を下記に示す割合で混合して撹拌した。加工澱粉としては、ワキシーコーン由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(マーガレット、松谷化学工業(株)製)を使用した。増粘多糖類としては、キサンタンガム(ウルトラキサンタンV7−T、伊那食品工業(株)製)を使用した。
<原料>
澱粉類:100質量部
(もち米粉9120g)
(加工澱粉1800g)
糖類:83質量部(砂糖(グラニュー糖)9060g)
水飴類:195質量部(水飴21300g)
増粘多糖類:5.5質量部(600g)
グレープ濃縮果汁(5倍濃縮):54質量部(5880g)
グレープ香料:0.055質量部(6g)
酒石酸:3.2質量部(350g)
得られた混合物を、横型加熱撹拌機(レオニーダー、梶原工業(株)製)に投入し、混合物の温度が約108℃となるように加熱しながら30分間混練して、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約66度の糖度を有していた。次いで、得られた餅状食品を、包餡機(ロボセブン、(株)コバード製)を用いて、1粒3.5gの餅状食品に成形した。
(比較例2)
増粘多糖類を用いなかった以外は、実施例2と同様の手順で、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約66度の糖度を有していた。実施例2と同様に、得られた餅状食品を包餡機で、1粒3.5gの餅状食品に成形した。
実施例2および比較例2で得られた成形直後の餅状食品を、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、上記の基準で評価してもらった。実施例2で得られた餅状食品は、50点(合計点)であった。一方、比較例2で得られた餅状食品は、4点(合計点)であった。
次いで、実施例2および比較例2で得られた餅状食品を20℃雰囲気下で1日保管し、保管後の餅状食品を、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、上記の基準で評価してもらった。実施例2で得られた餅状食品は、50点(合計点)であった。一方、比較例2で得られた餅状食品は、3点(合計点)であった。
上記のように、実施例2で得られた餅状食品は、成形直後および1日保管後のいずれも、歯切れがよく粘りも生じていないことがわかる。一方、比較例2で得られた餅状食品は、1日保管すると、少なくとも歯切れが悪いか、粘りが生じていることがわかる。
さらに、実施例2および比較例2で得られた餅状食品を−18℃で1日冷凍保存した。次いで、餅状食品を冷凍庫から出して直ぐに(1分後)、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の食感を下記の基準で評価してもらった。実施例2で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「+」評価であった。一方、比較例2で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「−」評価であった。
次に、実施例2および比較例2で得られた餅状食品を、それぞれ100℃で30分間煮込んだ。餅状食品は、それぞれ10粒用いた。実施例2で得られた餅状食品は、30分間煮込んでも全く溶解しなかった。一方、比較例2で得られた餅状食品は、30分間煮込むと、ほとんど溶解した。
(実施例3)
下記に示す原料と水とを混合して撹拌した。各原料の使用量は下記のとおりである。水は、原料の総量100質量部に対して、17.7質量部(11640g)使用した。加工澱粉としては、タピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(プリジェルVA−70T、松谷化学工業(株)製)を使用した。増粘多糖類としては、アルギン酸ナトリウムとカルシウム塩とを含む製剤(Nゲル、長岡香料(株)製)を使用した。
<原料>
澱粉類:100質量部
(もち米粉1920g)
(加工澱粉2520g)
糖類:480質量部(砂糖(グラニュー糖)21300g)
水飴類:643質量部
(水飴11520g)
(還元水飴17040g)
増粘多糖類:24質量部(1080g)
得られた混合物を上記の蒸練機に投入し、0.03MPaで15分間蒸練した。蒸練中に吹き込まれた水蒸気によって、2940g(原料の総量100質量部に対して4.5質量部)の水がさらに添加された。
得られた混合物を上記のカイ式撹拌機に投入し、混合物の温度が約95℃となるように加熱しながら30分間混練して、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約80度の糖度を有していた。次いで、得られた餅状食品を、上記の包餡機を用いて、1粒1.6gの餅状食品に成形した。
(比較例3)
増粘多糖類を用いなかった以外は、実施例3と同様の手順で、餅状食品(求肥)を得た。得られた餅状食品は、約80度の糖度を有していた。実施例3と同様に、得られた餅状食品を包餡機で、1粒1.6gの餅状食品に成形した。
実施例3および比較例3で得られた成形直後の餅状食品を、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、上記の基準で評価してもらった。実施例3で得られた餅状食品は、50点(合計点)であった。一方、比較例3で得られた餅状食品は、6点(合計点)であった。
次いで、実施例3および比較例3で得られた餅状食品を20℃雰囲気下で1日保管し、保管後の餅状食品を、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の歯切れおよび粘りについて、上記の基準で評価してもらった。実施例3で得られた餅状食品は、50点(合計点)であった。一方、比較例3で得られた餅状食品は、6点(合計点)であった。
上記のように、実施例3で得られた餅状食品は、成形直後および1日保管後のいずれも、歯切れがよく粘りも生じていないことがわかる。一方、比較例3で得られた餅状食品は、1日保管すると、少なくとも歯切れが悪いか、粘りが生じていることがわかる。
さらに、実施例3および比較例3で得られた餅状食品を−18℃で1日冷凍保存した。次いで、餅状食品を冷凍庫から出して直ぐに(1分後)、男女合計25名のパネラーに試食してもらった。試食後、餅状食品の食感を下記の基準で評価してもらった。実施例3で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「+」評価であった。一方、比較例3で得られた餅状食品に対しては、パネラー全員が「−」評価であった。
次に、実施例3および比較例3で得られた餅状食品を、それぞれ100℃で30分間煮込んだ。餅状食品は、それぞれ10粒用いた。実施例3で得られた餅状食品は、30分間煮込んでも全く溶解しなかった。一方、比較例3で得られた餅状食品は、30分間煮込むと、ほとんど溶解した。
実施例1〜3および比較例1〜3の評価結果から、本開示の餅状食品は、優れた成形適性、耐熱性および保存性を有しており、歯切れがよく粘りつきにくいという食感が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種の澱粉類と、
    砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類と、
    水飴および還元水飴の少なくとも1種の水飴類と、
    増粘多糖類と、
    を含み、
    糖度が50〜90度である餅状食品。
  2. 前記澱粉類100質量部に対して、前記糖類が150〜1500質量部、前記水飴類が100〜1000質量部、および前記増粘多糖類が4〜40質量部の割合で含まれる、請求項1に記載の餅状食品。
  3. 前記増粘多糖類が、アルギン酸類、キサンタンガム、グルコマンナンおよびグアーガムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の餅状食品。
  4. 求肥または求肥類似物である、請求項1〜3のいずれかに記載の餅状食品。
  5. もち米粉、タピオカ由来の加工澱粉、とうもろこし由来の加工澱粉および馬鈴薯由来の加工澱粉からなる群より選択される少なくとも1種の澱粉類と、砂糖、麦芽糖およびトレハロースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類と、水飴および還元水飴の少なくとも1種の水飴類と、増粘多糖類と、液状物との混合物を得る工程、
    混合物を加熱しながら混練して混練物を得る工程、および
    混練物の糖度を50〜90度に調整する工程、
    を含む餅状食品の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の餅状食品を含む飲食品。
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