JP2016106584A - 低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法 - Google Patents

低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糖類・小麦粉等の澱粉原料を使用した通常の菓子類と比較した場合にみられるエネルギー値や血糖値上昇を低減した菓子類の品質、工程安定性、冷凍耐性の欠陥・不具合を克服し、通常の大量生産工程で安定して生産可能な通常の菓子類と同等の品質・冷凍耐性を有するエネルギー値や血糖値上昇を低減した菓子類の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】菓子に使用される糖類を糖アルコールと高甘味度甘味料で全量置換し、さらに小麦粉等の澱粉原料をたんぱく質原料、不溶性食物繊維で置換した際にみられる品質、工程安定性、冷凍耐性の欠陥・不具合を、水溶性食物繊維を使用することで克服し、通常の菓子類と同等の品質、工程安定性、冷凍耐性を有するエネルギー値や血糖値上昇を低減した菓子類を製造することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造法に関する。
近年肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の増加に伴い、低エネルギー・低糖質の菓子類に対する要請は高くなっており、多くの低エネルギーの甘味料や低エネルギー・低糖質の菓子類の開発の試みがなされている。菓子類の高エネルギー・高GI化の大きな要因は、ショ糖をはじめとする糖類、小麦粉を中心とする炭水化物を多く含む原材料である。
菓子類において、多量に使用される糖類は甘味料として菓子の味質に大きな効果を有しているだけでなく、食感のソフトさや保湿性、起泡した生地の安定性などの工程安定性、さらには冷凍保存した際の乾燥や離水防止といった製品の保存性など菓子類の製造工程やその保存性に大きな役割を果たしており、菓子類の製造には糖類は必須のものと考えられている。
ショ糖の味質は甘味料の中でも特に優れており、ショ糖を代替しうる低エネルギーや血糖値上昇の少ない甘味料については種々開発が行われている。(たとえば特許文献1、2、3)しかしながらこれらの甘味料組成物を用いてショ糖を全量置換し菓子類を製造した場合、甘味の部分ではある程度の満足できる低エネルギーの菓子類を得ることは可能であるが、ショ糖を使用した菓子類に食感のソフトさや保湿性は失われ、本来しっとりソフトな食感であるはずのスポンジケーキやマフィンなどはボリュームが小さく硬くパサつきのある食感となりショ糖等の糖類を使用したものと比較して大きく品質の劣るものとなる。(非特許文献1、2、3)一方、部分的にショ糖をこれら甘味料で置換した場合は、エネルギーの低減や血糖値上昇抑制効果は限定的なものとなる。
また、全卵あるいは卵白に糖類を添加して起泡するという菓子に広く用いられる製法において、糖類を糖アルコールと高甘味度甘味料に全量置換すると、所望の状態にまで起泡するために時間を要するだけでなく、起泡した生地の安定性が低下し(非特許文献1、2)、特に大量生産においては生産効率が低下するだけでなく、生地の分割や焼成時に生地が分離し、焼成不良となる。
さらに糖類は製品の保存性にも大きな影響を及ぼし、糖類を糖アルコールと高甘味度甘味料で置換した場合、でんぷんの老化や水分の喪失など常温保存における品質の低下により賞味期限を短縮せざるを得ず、さらに近年広く用いられている製品の冷凍保存の際には、クリームや焼成した菓子類表面の乾燥が急激に進み、ひび割れや白化により商品価値が失われ、長期保存は不可能となる。特にエネルギーの低減率や血糖値上昇抑制効果を大きくするためエネルギーゼロのエリスリトールを主とした甘味料でショ糖を置換した場合、最終製品の硬化速度が大きくなる。(非特許文献4)
また、原材料の小麦粉等の炭水化物を多く含む原材料を、小麦ふすま等の不溶性食物繊維素材や大豆粉等のたんぱく質素材で置換し、血糖値上昇を抑制する菓子類の開発も行われているが(特許文献4、5、6)、この方法を用いて得られる製品群としては、クッキー、クラッカー、スナック、ビスケットといった比較的水分量が少なく硬い食感の菓子類であり、スポンジケーキ、マフィンといったしっとりとしてソフトで弾力のある食感を特徴とする製品群で、小麦粉を使用した製品と同等の品質を実現することはできていない。
特開2001−321114号公報 特表2001−523968号公報 特開2013−128433号公報 特開2010−279352号公報 特開2014−140364号公報 特開2014−3952号公報
和洋女子大学紀要Vol.24、p47−65(1983) 和洋女子大学紀要Vol.37、p71−85(1997) 日本家政学会誌Vol.47、p445−452(1996) 日本食品科学工学会誌Vol.44、p485−493(1997)
これまで代替甘味料によるショ糖の置換や小麦ふすまや大豆粉等で小麦粉を置換する手法により、エネルギーや血糖値上昇を低減した菓子類の開発が行われてきた。しかしながら、ソフトで弾力のある食感の菓子類ではショ糖や小麦粉を使用した製品と同等品質を有するエネルギーや血糖値上昇が少ない菓子類はいまだ実現することはできていない。特に工業的に大量生産に耐えうる生地の安定性や最終製品の保存性まで満足できる製品はなかった。
本発明は、エネルギーと血糖値上昇を少なくした菓子類でありながら、ショ糖や小麦粉を使用した一般的な菓子類と同等の品質を有するだけでなく、工業的生産に耐えうる生地安定性や最終製品の保存性を実現した菓子類ならびにその製造方法に関するものである。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意研究を重ね下記のとおり課題を解決するに至った。すなわち、菓子類のエネルギーおよび血糖値上昇を低減するために、ショ糖等の糖類を糖アルコールと高甘味度甘味料で全量置換し、その置換により生じる食感の変化、製品の保存性の低下、製造工程中の生地の不安定さを改善するために水溶性食物繊維を併用し、さらに小麦粉等の澱粉性原料由来の血糖値上昇を抑制するために不溶性食物繊維やたんぱく質原料で適宜置換することで、通常の菓子類と同等の品質を持ちながら、エネルギー・血糖値上昇を大幅に低減した菓子類の製造方法を開発するに至った。
本発明の菓子類は、エネルギーおよび血糖値上昇を低減しているにも関わらず、一般的な菓子類と同等の食感、製造工程における安定性、製品の常温ならびに冷凍での保存性を有している。そのため摂取エネルギーや血糖値のコントロールを望む消費者にストレスなく日々の生活の中で肥満や糖尿病等の生活習慣病の発症を予防する食生活を提供でき、また製造者にとっても通常の菓子類の製造と同じ工程で製造・保存管理できる。
本発明における菓子類とは、ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ等を含むスポンジケーキ類、パウンドケーキ、フルーツケーキ、バターケーキ、チーズケーキ、バウムクーヘン等を含むバターケーキ類、タルト、フラン等を含むフィュタージュ類、ワッフル類、パンケーキ、プディング、ババロア、ゼリー、ムース等を含むデザート菓子類、ビスケット、クラッカー、クッキー、プレッツエル等を含むビスケット類を言う。
本発明の菓子類は、エネルギーおよび血糖値上昇を低減しながらも通常の糖類・小麦粉等を使用した菓子類と同等の品質を有する菓子類であり、肥満や糖尿病等の生活習慣病の発症を予防する食生活をストレスなく継続できる利点がある。また、製造者にとっても通常の菓子類の製造と同じ工程・保存方法で製造できるため、新規の設備投資なく大量生産が可能となっており大きな利点がある。本発明の菓子について、以下詳細に記述する。
本発明の菓子は、糖アルコール及び高甘味度甘味料により通常の菓子で使用される糖類を全量置換したものである。
本発明に使用する糖アルコールは、エリスリトール、キシリトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、パラチニット、マルチトール、ラクチトールなどがあり、これらのうち少なくとも1種、又は2種以上の糖アルコールを使用することができる。本発明に使用する糖アルコールの種類に特に制限はないが、エネルギーおよび血糖値上昇抑制効果の大きいエリスリトールを使用することが望ましい。
本発明に使用できる高甘味度甘味料は、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、サッカリン、サッカリンナトリウム、甘草、羅漢果、ジヒドロカルコン、モネリン等が挙げられるが、これらのうち少なくとも1種、又は2種以上の高甘味度甘味料を使用することができる。本発明に使用する高甘味度甘味料に特に制限はないが、好ましくはアセスルファムKとスクラロース、あるいはアセスルファムKとネオテームの組み合わせがショ糖の甘味と類似した呈味でありショ糖を全量置換した場合の嗜好度が高くなる。
糖アルコール1質量部に対し、高甘味度甘味料を0.0001〜0.05の比率で用いるのが望ましく、より望ましくは糖アルコール1質量部に対して高甘味度甘味料を0.005〜0.02使用するとよりショ糖の甘味に近い呈味となり嗜好度が高くなる。
次に本発明で使用する水溶性食物繊維について説明する。本発明に使用できる水溶性食物繊維には、難消化性デキストリン、水溶性βグルカン、アラビアガム、寒天、グルコマンナン、イヌリン、水溶性大豆多糖類、アカシア食物繊維、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル、LMペクチン、HMペクチン、サイリウムシードガム、カードラン、キサンタンガム、グアーガム、グアーガム分解物、ジェランガム、デキストラン、タマリンドシードガム、ポリデキストロース、澱粉分解物などが挙げられる。これらののうち少なくとも1種、又は2種以上の水溶性食物繊維を使用することができる。本発明に使用する水溶性食物繊維に特に制限はないが、溶解度が高く水溶液の粘性が高くないものが望ましい。より望ましくは、難消化性デキストリン、グアーガム分解物、ポリデキストロース、澱粉分解物(デキストロース当量が10〜20)が菓子の製造工程において過度な粘性による起泡時の比重の低下不足を引き起こさずに生地を十分に安定化することができる。
次に本発明で使用するたんぱく質原料について説明する。本発明に使用できるたんぱく質原料について特に制限はないが、動物性たんぱく質、植物性たんぱく質、またはこれらを組み合わせて使用できるが、植物性たんぱく質を使用することが望ましい。
上記動物性たんぱく質に特に制限はなく、乳由来たんぱく質、卵由来たんぱく質、鶏卵由来たんぱく質、鶏由来たんぱく質、豚由来たんぱく質、牛由来たんぱく質等から1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記植物性たんぱく質に特に制限はなく、穀類由来たんぱく質、芋類由来たんぱく質から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。その中でも穀類由来たんぱく質の使用が望ましく、さらに小麦由来たんぱく質、大豆由来たんぱく質がより好ましい。
本発明で使用できる不溶性食物繊維について説明する。本発明に使用できる不溶性食物繊維について特に制限はないが、セルロース、ヘミセルロースのような植物由来のもの、キチン、キトサンのような動物性の食物繊維も使用可能である。具体的には、レジスタントスターチ、大豆食物繊維、ビートファイバー、小麦ふすま、エンドウファイバー、リンゴ食物繊維、シトラスファイバー、小麦ファイバー、オート麦ファイバー、サトウキビファイバー、ポテトファイバー、粉末セルロース、微結晶セルロース等の素材が使用可能であるが、素材の風味が少なく、粒径の小さい素材が製品の風味・食感への影響が小さいので好ましい。
本発明には上記記載の原材料の他、通常の菓子の製造に使用される原材料を使用することができる。例えば、小麦粉、でんぷん類、卵・加工卵、食塩、クリーム、チーズ等を含む乳製品、油脂類、くだもの・野菜の加工品、ナッツ類、チョコレート類、ココア、コーヒー、抹茶、マジパン、ゼラチン、寒天、スパイス、洋酒・リキュール類、その他乳化剤や膨張剤、ゲル化剤、香料、着色料、安定剤、増粘剤、起泡剤、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、水などの添加物や品質改良剤を適宜使用できる。
本発明における糖類の使用に関しては、血糖値上昇を最小限とするため必要最小限とすることが望ましいが、その種類は特に制限はない。
本発明に使用する小麦粉・澱粉等、血糖値上昇につながる炭水化物が主成分の原材料は、上記不溶性食物繊維・たんぱく質原料により置換し、適宜使用量を減じて用いることが望ましいが、その種類は特に制限はない。

〔実施例1〕
以下に、代表的な実施例を比較例と共に挙げて本発明を説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
本発明におけるスポンジケーキの調製方法は、卵白及び全卵合わせて400質量部に対し、エリスリトール60質量部、高甘味度甘味料0.8質量部、水溶性食物繊維40質量部、起泡性油脂35質量部を加えて比重0.3付近まで起泡し、ここに大豆たんぱく40質量部、不溶性食物繊維60質量部、必要に応じて香料等を加えて均一になるまでミキシングを行う。上記スポンジ生地を天板、もしくは適当な焼き型に流し、180℃のオーブンにて焼成を行う。
得られたスポンジの100g当りのエネルギーは145kcal、血糖値上昇に関わる糖質は4.8gであり、それぞれ日本食品標準成分表2010に収載されたスポンジケーキ100g当りのエネルギー298kcalの約1/2、血糖値上昇に関わる糖質53.0gの1/10である。
得られたスポンジは、通常の小麦粉やショ糖を使用して調整したスポンジと同じ大量生産工程で製造が可能であり、かつ3か月以上冷凍保存においても表面の乾燥等が抑制され良好な品質が保持されていた。
また、上記スポンジケーキの原材料に適宜、抹茶、ココア、コーヒー、フルーツ等のピューレ等の原材料を添加することで、種々のスポンジケーキを製造することが可能であり、添加する原材料に特に制限はない。

〔比較例1〕
上記スポンジケーキの比較例を示す。スポンジケーキの調整において、卵白及び全卵合わせて400質量部に対し、エリスリトール60質量部、高甘味度甘味料0.8質量部、起泡性油脂35質量部を加えて比重0.3付近まで起泡し、ここに大豆たんぱく40質量部、不溶性食物繊維60質量部、必要に応じて香料等を加えて均一になるまでミキシングを行う。上記スポンジ生地を天板に流し、180℃のオーブンにて焼成を行った。
焼成後のスポンジ上部は十分に火抜けがしているが下部は水分が多く焼成不良となった。これは起泡後の生地に大豆たんぱく質・不溶性食物繊維を加えてミキシングをした後、生地の安定性がなく分割・焼成時に生地が分離したために引き起こされた減少である。店舗等小ロットでの調整においては、本比較例による調整であっても通常品に近い品質を実現することは可能であるが、工場で大量生産を行う際には安定した品質の製品を得ることは困難であった。

〔実施例2〕
本発明におけるクリームの調整は、クリーム120質量部にエリスリトール10質量部、高甘味度甘味料0.3質量部、水溶性食物繊維10質量部、香料、洋酒を適宜加えて起泡を行う。得られたクリームはショ糖等の糖類を添加して調整したクリームと同等の起泡安定性、保型性を有しており、冷凍保存においても乾燥が抑制されており、且つ解凍後の離水も認められず、保型性も維持していた。
得られたクリーム100g当りのエネルギーは331kcalで、血糖値上昇に関わる糖質は5.6gで、同じクリームを使用し糖類を添加して調整したクリーム100g当りのエネルギー377kcal、血糖値上昇に関わる糖質は20.7gで、それぞれ45kcal、15.1g低減されていた。
また、上記クリームに適宜、抹茶、ココア、コーヒー、フルーツ等のピューレ等の原材料を添加することで、種々のクリームを製造することが可能であり、添加する原材料に特に制限はない。
また上記クリームにゼラチン等の一般的に使用されているゲル化剤を適宜使用し、ムースとすることも可能である。

〔実施例3〕
本発明におけるクリームの調整において、上記クリーム配合の水溶性食物繊維の種類を検討した。下記の表1に示す配合例によりクリームを調整し、その保型性、食感、冷凍耐性を評価した。
Figure 2016106584
〔比較例2〕
上記クリームの比較例として、クリーム120質量部にエリスリトール10質量部、高甘味度甘味料0.3質量部、香料、洋酒を適宜加えて起泡を行う。得られたクリームは起泡性、起泡安定性、保型性にておいて実施例に比べて劣り、冷凍保存時のクリーム表面の乾燥著しく、且つ解凍後の離水が見られ、絞りの保型性の低下がみられた。
上記実施例で示したスポンジとクリーム、さらに使用する原材料には特に制限はなくフルーツ、ソース、チョコレート等の原材料を組み合わせてロールケーキ、デコレーションケーキ等の製品とすることができる。

〔実施例4〕
次に本発明のマフィンの調整方法について説明する。卵白・全卵170質量部に対し、エリスリトール70質量部、高甘味度甘味料0.7質量部、水溶性食物繊維30質量部、起泡性油脂35質量部、液油45質量部を加えて起泡する。ここに大豆たんぱく質40質量部と不溶性食物繊維60質量部、膨張剤3質量部を加えて均一になるまでミキシングを行う。生地を180℃のオーブンで12分焼成し製品を得る。得られたマフィンの100g当りのエネルギー値は240kcal、血糖値上昇に関わる糖質は5.7gであり、通常の小麦粉、糖類を使用した同等のマフィンの100g当りのエネルギー値442kcal、血糖値上昇に関わる糖質46.2gに比較して、それぞれ45%、87%低減されていた。
得られた製品は十分な窯伸びがあり、表面には通常の小麦粉と糖類を用いた製品と同様にメイラード反応によって生じる焼き色がついていた。このマフィンは、通常のマフィンと同じ大量生産工程で製造が可能であり、かつ3か月以上冷凍保存においても表面の乾燥等が抑制され良好な品質が保持されていた。

〔比較例3〕
上記マフィンの比較例を示す。卵白・全卵170質量部に対し、エリスリトール70質量部、高甘味度甘味料0.7質量部、起泡性油脂35質量部、液油45質量部を加えて起泡する。ここに大豆たんぱく質40質量部と不溶性食物繊維60質量部、膨張剤3質量部を加えて均一になるまでミキシングを行う。生地を180℃に予熱したオーブンで12分焼成し製品を得たが、実施例2に比較して窯伸びが少なく製品の体積は小さく、内相は詰まって硬い食感である。また小麦粉や糖類を用いて調整したものにみられるメイラード反応による焼き色とそれに伴う香ばしい香りがなく、商品価値の低いものとなっていた。さらにこの製品を冷凍で保管すると表面からの水分喪失が大きく短期間で乾燥による硬化・白化が起こり商品価値は失われていた。

〔実施例5〕
次に本発明のクッキーの調整方法について説明する。油脂120質量部にエリスリトール50質量部、高甘味度甘味料0.1質量部、水溶性食物繊維20質量部を加えて十分にすりまぜ、大豆たんぱく質50質量部、不溶性食物繊維50質量部、アーモンドプードル50質量部を加えて均一になるまでミキシングを行う。得られた生地を冷蔵庫で冷やし固めた後、所望の重量に分割・成形し、オーブンで焼成することで製品を得る。
この製品は保型性や口どけも通常の製品と同等の品質を有していた。この製品の100g当りのエネルギー値は475kcal、血糖値上昇に関わる糖質は6.6gであった。上記クッキーを通常製品の小麦粉、糖類を使用して製造した場合、100g当りのエネルギーは575kcal、血糖値上昇に関わる糖質は50.2gであり、それぞれ100kcal、43.6g低減されていた。

〔実施例6〕
次に本発明のベイクドチーズケーキの調整方法について説明する。室温に戻したクリームチーズ100質量部をなめらかになるまでミキシングし、エリスリトール15質量部、高甘味度甘味料0.15質量部、水溶性食物繊維35質量部、でんぷん5質量部、サワークリーム15質量部、香料適宜、調整豆乳粉末25質量部を順次加え、均一になるまでミキシングする。さらに牛乳23質量部、全卵40質量部を順次加えながら均一になるまでミキシングを行う。この生地を170℃のオーブンで35分焼成し、製品を得る。
得られた製品は、糖類を使用して製造した製品と食感、風味ともに遜色なく、冷凍保存した際の乾燥、内部の離水等も見られず長期保存が可能であった。得られた製品100g当りのエネルギー値は273kcal、血糖値上昇に関わる糖質は5.5gであり、糖類を使用して製造した同等の製品の100g当りのエネルギー値338kcal、血糖値上昇に関わる糖質20.7gに比べて、それぞれ65kcal、15.2g低減されていた。

〔実施例7〕
次に本発明のチーズムースの調整方法について説明する。室温に戻したクリームチーズ320質量部をなめらかになるまでミキシングし、エリスリトール40質量部、高甘味度甘味料0.5質量部、水溶性食物繊維60質量部、ヨーグルト80質量部、卵黄120質量部、さらにレモン汁、リキュール適宜を順次加え、均一になるまでミキシングする。これと予め起泡した生クリームを加え、最後にゼラチン等のゲル化剤を加えて均一になるまでミキシングを行い、容器等に流し込みゲル化させる。
得られた製品は、糖類を使用して製造した製品と食感、風味ともに遜色なく、冷凍保存した際の分離や内部の離水等も見られず長期保存が可能であった。得られた製品100g当りのエネルギー値は257kcal、血糖値上昇に関わる糖質は3.5gであり、糖類を使用して製造した同等の製品の100g当りのエネルギー値289kcal、血糖値上昇に関わる糖質12.7gに比べて、それぞれ32kcal、9.2g低減されていた。
本発明による上記スポンジ、ムース、チーズムース等を組み合わせて、種々のデコレーションケーキの調整も可能である。
本発明は、エネルギーと血糖値上昇を低減した菓子類を、通常の製品を製造する設備・工程で大量生産することを可能にし、かつ通常製品と同等の冷凍保存性を可能にしたことで、安価に安定した品質の当該機能を有する製品を供給可能とした。

Claims (7)

  1. 糖類を使用した菓子類において、糖アルコール、高甘味度甘味料により前記糖類を全量置換した、
    ことを特徴とする低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  2. 前記低エネルギー、低糖質の菓子類は、水溶性食物繊維を含有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  3. 前記低エネルギー、低糖質の菓子類は、たんぱく質原料を含有する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  4. 前記低エネルギー、低糖質の菓子類は、不溶性食物繊維を含有する、
    ことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  5. 前記糖アルコールがエリスリトールである、
    ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  6. 前記水溶性食物繊維が難消化性デキストリン、澱粉分解物、イヌリン、ポリデキストロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
    ことを特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
  7. 前記たんぱく質原料が大豆由来たんぱく質である請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の低エネルギー、低糖質の菓子類及びその製造方法。
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