JP2010000060A - 食品用ゼリー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】凍結解凍耐性(耐離水性)を有するとともに、従来にない耐熱性に優れた食品用ゼリーを調製可能な新規な食品用ゼリー組成物を提供すること。
【解決手段】 砂糖(ショ糖)からなる又は砂糖(ショ糖)を主体とする二糖類を体質材とし、水溶液を保持してゼリー(ゲル体)とする食品用ゼリー組成物。ゲル骨格剤(増粘多糖類)として汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)を必須とするとともに、ゲル化剤(架橋剤)として二価金属イオン供与剤を必須成分とする。ゲル骨格剤として、更にLMペクチン及び/又はカラギーナンを含む。そして、ゲル体としたとき、150℃×30分以上の耐熱性を示す。
【選択図】 なし
【解決手段】 砂糖(ショ糖)からなる又は砂糖(ショ糖)を主体とする二糖類を体質材とし、水溶液を保持してゼリー(ゲル体)とする食品用ゼリー組成物。ゲル骨格剤(増粘多糖類)として汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)を必須とするとともに、ゲル化剤(架橋剤)として二価金属イオン供与剤を必須成分とする。ゲル骨格剤として、更にLMペクチン及び/又はカラギーナンを含む。そして、ゲル体としたとき、150℃×30分以上の耐熱性を示す。
【選択図】 なし
Description
本発明は、食品用ゼリー組成物及び該食品用ゼリー組成物から調製される食品用ゼリーに関する。
特に、本発明は、パン(菓子)生地に包餡(充てん)したりトッピング乃至サンドイッチした後、オーブン等で焼いたり、蒸し器で蒸して製菓するのに好適なゼリーを調製することができる食品用ゼリー組成物に係るものである。
ここで、食品用ゼリーとは、そのまま製品(食品)とする場合はもちろん、他の製菓(洋菓子、和菓子)における材料として使用する場合も含む。また、ゼリー組成物とは、水を含ませてゼリー状としたものの他、ゼリーとする前の粉状原料からなるものも意味する。
本明細書で配合量(含有量)は、特に断らない限り、質量基準である。
ここでは、主としてパン生地に包餡する場合を例に採り説明する。
昨今、菓子パンにおいて、多様な菓子餡としてゼリーを使用したいとの業界要望がでてきている。
しかし、通常のゼリーでは、パン焼成に際して、70℃雰囲気温度で、ゼリーが、パンから溶け出し、ゼリー構成成分が水分とともにパン生地に移行してしまい、ゼリーの形態で包餡することは不可能視されていた。
他方、これらの菓子パンは流通又は家庭保存の過程で冷凍保存することが多い。そのような場合、解凍離水しないこと、すなわち凍結解凍耐性(耐離水性)が必要である。
しかし、通常のゼリーでは、冷凍後解凍すると、離水が発生する。
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、先行技術文献として、下記の特許文献1・2が存在する。
特許文献1には、ジェランガムをゼリーミックス全量に対して0.001〜1.0%を添加した食品用ゼリー組成物に係る発明が記載されている。そして、ゼリーミックスには、砂糖(非還元性二糖)が含まれているが、ゲル構成剤がゼラチン(水溶性蛋白質:コラーゲン)である。
特許文献2には、ジェランガムと単糖又はオリゴ糖(ショ糖、トレハロース等)を併用した経時安定性に優れた芳香ゲル組成物に係る発明が記載されている。しかし、オリゴ糖の配合量は、本発明と異なり、ゲル組成物(ゲル体)としたとき、
0.1〜3重量%であり、本発明の配合量とは異質である。
0.1〜3重量%であり、本発明の配合量とは異質である。
なお、ジェランガムを記載した先行技術刊行物として下記非特許文献1・2が存在する。
非特許文献1の表1・図5(本願添付図1・2参照)にはジェランガムの下記特性が示されている。
ネイティブジェランガムでは、乳酸カルシウム(二価金属有機酸塩)の添加量を増大させても、耐熱性(ゲル融解温度)はほとんど増大しない(100℃が限度)。これに対して、脱アシルジェランガム(以下、単に「汎用ジェランガム」という。)では、乳酸カルシウムを増大させた場合、耐熱性が大幅に増大する(汎用ジェランガム濃度0.2%で140℃近くまで)。
他方、同文献の「5-4.凍結解凍耐性」の項には、「ネイティブジェランガムは、非常に優れた凍結解凍耐性を有するのに対し、汎用ジェランガムは、カラギーナン、寒天等のゲル化剤(ゲル骨格剤)で得られたゲルを凍結解凍した場合は、激しい離水とともにゲルの凝集が生じる。」旨記載されている。
非特許文献2第159頁の「2.ジェランガム(2)ゲル化」の項では、汎用ジェランガムについて、「様々のカチオンによりそのゲル化形成能が異なるが、二価のカチオンによる影響が非常に大きい。それはジェランガム内のカルボキシル基の間で分子間架橋が形成するためと考えられる。一価のカチオンでもジェランガムはゲル化するが、二価イオンに比較すれば著しく弱いものである。ネイティブ型は硬いゲルを形成せず軟らかく弾力のあるゲルである。」と記載されている。
なお、同文献2には、本発明で使用する増粘多糖類にかかる各成分(ジェランガム、ペクチン、カラギーナン等)のゲル化機構についての記述がある(それぞれp159〜161、p65〜67、p104〜105)。
特開2001−218561号公報(請求項2等)
特開平9−13194号公報(請求項1・4)
FFIジャーナル(FEI Reports)「Products ジェランガムの基礎と食品への応用」[平成18年11月28日検索] <URL: HYPERLINK "http://www.sanneigenffi.co.jp/pdf/hyd04" www.sanneigenffi.co.jp/pdf/hyd04.pdf-198-html>
國崎他「食品多糖類」幸書房、2001.11.25、p159〜161、p65〜67、p104〜105
本発明は、上記にかんがみて、凍結解凍耐性(耐離水性)を有するとともに、従来にない耐熱性に優れた食品用ゼリーを調製可能な新規な食品用ゼリー組成物を提供することを目的とする。
本発明者(ら)は、上記課題を解決するために、耐熱性に相対的に優れた汎用ジェランガムをベースとして、更なる、耐熱性の向上(ゲル融解温度の上昇)とともに凍結解凍耐性(耐離水性)を付与すべく、鋭意開発に努力をした結果、それぞれ予期以上の耐熱性(ゲル融解温度が150℃×30分以上)及び凍結解凍耐性を示す下記構成のゼリー組成物に想到した。
砂糖(ショ糖)からなる又は砂糖(ショ糖)を主体とする二糖類を体質材とし、また、ゲル骨格剤(増粘多糖類)として汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)を必須とするとともに、ゲル化剤(架橋剤)として二価金属イオン供与剤を必須成分とし、水溶液を保持してゼリー(ゲル体)とする食品用ゼリー組成物であって、
ゲル骨格剤として、更にLMペクチン及び/又はカラギーナンを含み、
前記ゲル体としたとき、150℃×30分以上の耐熱性を示すとともに、凍結解凍耐性(耐離水性)を示すものである、ことを特徴とする。
ゲル骨格剤として、更にLMペクチン及び/又はカラギーナンを含み、
前記ゲル体としたとき、150℃×30分以上の耐熱性を示すとともに、凍結解凍耐性(耐離水性)を示すものである、ことを特徴とする。
上記構成において、更に、糖質安定剤(砂糖等の結晶化抑制剤)として、DE20〜100の澱粉加水分解物を含有させることができる。
上記構成において、更に、経時水分移行防止剤として、澱粉を含有させることができる。
本発明のゼリー組成物は、前記非特許文献1に記載の如く、砂糖をベースとするものにおいて、エステル化度50%以下のLM−ペクチン等を凍結解凍耐性に劣る汎用ジェランガムと併用し、特に汎用ジェランガムの含有率が少ない場合は、二価金属供与剤(乳酸カルシウム)の、汎用ジェランガムに対する比率を相対的に高くして、さらに、澱粉加水分解物(DE20〜100)及び/又は澱粉を併用することで、耐熱性とともに、凍結解凍耐性を付与可能となる。これらの知見は、本発明(者)らは、寡聞にして知らない。
A.本実施形態の食品用ゼリー組成物は、砂糖(ショ糖)からなる又は砂糖(ショ糖)を主体とする二糖類を体質材とするとともに、ゲル骨格剤(増粘多糖類)として汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)を必須とするとともに、ゲル化剤(架橋剤)として二価金属イオン供与剤を必須成分とし、水溶液を保持してゼリー(ゲル体)とする構成を基本(ベース)とする。
ここで、ショ糖(砂糖)を体質材乃至体質材の主体とするのは、他の二糖類(例えば、麦芽糖(マルトース))に比して、相対的に融点が高く、且つ、水和性が高くて、耐熱性の向上及び耐離水性の向上に寄与するためである。さらに、甘味料としての、汎用性が高く(安価である)、且つ、防腐・菌増殖抑制効果が高いことも採用理由である。ちなみに、麦芽糖は、融点が110〜125℃で、溶解度が20℃の水100gに3〜10gであるのに対し、ショ糖は、融点が185℃で、溶解度が0℃の水100gに179gである。さらに、砂糖は二価金属イオン(二価金属塩)の添加により、耐熱性の高いサッカラートが形成されることも期待できる。なお、昨今、食品用二糖類(甘味料)として脚光を浴びているトレハロースの融点は、230℃である。これらの融点及び水溶解性は、日本化学会編「化学便覧 基礎編」(昭41-9-25)丸善、「4.有機化合物の性質」から引用したものである。
そして、上記砂糖と組み合わせる(併用する)二糖類としては、麦芽糖(マルトース)等であってもよいが、トレハロースが望ましい。トレハロースは甘味料として砂糖の甘味を調節できるとともに、上記の如く融点が砂糖より高くて、形態保持性(ゲル強度)の向上にも寄与することが期待できる。
ここで、汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)とは、下記化学構造式(化1)で示されるもので、脱アシル化していない下記化学構造式(化2)ネイティブ型ジェランガムに対するものである。
これに対して、ネイティブジェランガム含有水溶液に乳酸カルシウムを添加した場合、ゲル化温度及びゲル融解温度ともほとんど差がない(80℃前後)(図1参照:同)。
しかし、非特許文献1の「5-4.凍結解凍耐性」の項に「ネイティブジェランガムの特徴の一つに非常に優れた凍結解凍耐性がある。脱アシル型ジェランガムやκ-カラギーナン、寒天等のゲル化剤で得られたゲルを凍結解凍した場合、激しい離水とともにゲルの凝集が生じてしまう。」旨の記載がある。
すなわち、本発明の如く、脱アシル型ジェランガムである汎用ジェランガムは、基本的に、凍結解凍耐性に欠けることが記載されている。
二価金属イオン供与剤としては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、鉄イオン等の各種食用に添加可能(望ましくは栄養機能成分にもなる。)な二価金属供与剤を使用可能である。これらは併用可能である。通常、カルシウムイオン供与剤を使用する。
カルシウムイオン供与剤としては、通常、乳酸カルシウム、グルコンサン酸カルシウム(グルコノデルタラクトン誘導体)等の有機酸カルシウム塩の形態で添加するが、リン酸二水素カルシウムや水酸化カルシウム等の無機カルシウム化合物と代替乃至適宜併用することもできる。
二価金属イオン供与剤(カルシウムイオン供与剤)は、ジェランガム、後述のゲル骨格剤(増粘多糖類)であるLMペクチン更にはカラギーナンと架橋反応して、ゲル化反応をするものと推定される。
また、砂糖の一部が水難溶性のサッカライトに変換することによるゲル体の耐熱性の向上に寄与する可能性も有する。
そして、本発明では、ゲル骨格剤(増粘多糖類)として、上記汎用ジェランガム(脱アシル型ジェランガム)とともに、LMペクチン及び/又はカラギーナンを含有させる。このLMペクチン及び/又はカラギーナンがゲル骨格剤としてジェランガムとともに存在し、更に、上記カルシウムイオン等の二価金属イオンの存在により、耐熱性が向上するとともに耐離水性(凍結解凍耐性)も向上する。
ここでLMペクチンとは、メトキシル基が7%以下でカルシウムがなければゲル化しないペクチンをいい、約55%以上の糖、pH3.5以下で熱不可逆性のゲルを形成するHMペクチンに対する用語である。ここで、LMペクチンは、カルボキシル基の含有率がHMペクチンに比して高く、二価金属イオンと反応した場合は架橋密度の増大により耐熱性の向上に寄与し、他方、二価金属イオンと反応しない場合は親水性の増大により耐離水性(凍結解凍耐性)の向上に寄与する。ちなみに、カルボキシル基や硫酸基は、その共鳴構造により、水酸基より格段に水との親和性を有する。
カラギーナンは、硫酸基含有量が25%以上の紅藻類起源の硫酸多糖類であり、カルボキシル基と同様水親和性の高い硫酸基の含有率が高く、LMペクチンと同様、二価金属イオンと反応した場合は架橋密度の増大により耐熱性の向上に寄与し、他方、二価金属イオンと反応しない場合は親水性の増大により耐離水性(凍結解凍耐性)の向上に寄与する。
なお、前述の如く、非特許文献1の「5-4.凍結解凍耐性」の項には、カラギーナンは凍結解凍耐性を全く示さないことが記載されている。
澱粉及びDE(dextrose equivalent)20〜50の澱粉加水分解物は、耐熱性向上補助剤として添加するものである。
なお、ゲル骨格剤として、上記以外に、多用されている他の増粘多糖類、例えば、寒天、アルギン酸類等の海草由来物、ガラクトマンナン、タマリンド種子ガム等の植物由来物、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム等の植物性樹液由来物、更には、増粘多糖類ではないゼラチン等も、テクスチャー改善のために適宜併用できる。
これらのうちで寒天が、ゼリーの外観につや(光沢)を与えゼリー形態保持性も改善することを本発明者らは確認している。寒天は、カラギーナンと似た構造を有するが、硫酸基の含有率がカラギーナン(25%以上)に比して低い(10%未満)。このため、カルシウム等のアルカリ土類金属塩に対する反応性が小さく、カルシウム塩の存在により、濁りが発生することがない。
澱粉としては、汎用の澱粉を使用でき、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉及びサゴ澱粉等、特に限定されない。特に、これらの化工澱粉である分別アミロース(老化型)が望ましい。
また、DE20〜100の澱粉加水分解物としては、水飴(麦芽水飴、酸化水飴)、粉飴、デキストリン及びそれらの誘導体を使用できる。
そして、上記各成分に加えて、下記各成分を併用することが望ましい。
1)キレート剤:pH安定化作用を奏することにより、ジェランガムの溶解性を安定させる。
ここでキレート剤としては、汎用のEDTA(ethylene diamine tetraacetic acid)であってよいが、通常、食品添加物として汎用されているクエン酸やフィチン酸及びそれらの誘導体を使用する。
2)味覚・風味付与剤:種々の果汁粉末(柑橘類、ブドウ、りんご、もも、ブルーベリー、レモン等)や野菜ジュース粉末(トマト、にんじん、キャベツ、セロリ等)を、単独又は複数種、組み合わせて使用する。適宜、クエン酸、香料等を添加することもできる。
上記各成分の配合割合(組成率:含有率)は、前記ゼリー体としたとき、150℃×30分(望ましくは180℃×40分)以上の耐熱性を示すとともに、凍結解凍耐性(耐離水性)を示すような組成とする。
例えば、ゼリー(体)としたとき(水を加えた組成)において、下記組成とする。なお、括弧内はより普通の組成である。また、各数値範囲は、臨界的な意義を有する絶対的なものではなく、商業上(実用上)可能な範囲を暫定的に示すものである。この数値範囲を若干外れた組成も、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の技術的範囲に属する。
1)体質材
砂糖(ショ糖):約5〜50%(約8〜40%)、トレハロース:約5〜30%(約8〜25%)、であって、砂糖・トレハロース合計:約10〜70%(約15〜60%)でトレハロース/砂糖(混合比):約1/5〜1/0.8(約1/3〜1/1)とする。
砂糖(ショ糖):約5〜50%(約8〜40%)、トレハロース:約5〜30%(約8〜25%)、であって、砂糖・トレハロース合計:約10〜70%(約15〜60%)でトレハロース/砂糖(混合比):約1/5〜1/0.8(約1/3〜1/1)とする。
2)反応性増粘多糖類(ゲル骨格剤)/カルシウムイオン供与剤
汎用ジェランガム:約0.01〜0.5%(約0.02〜0.3%)
LMペクチン及び/又はカラギーナン(合計):
約0.3〜1.5%(約0.5〜1.2%)
カラギーナン/LMペクチン(混合比)=0.01〜1.5(より普通には、約0.05〜1.0)
乳酸カルシウム/汎用ジェランガム(混合比)
=約0.2〜1.5(より普通には、約0.3〜1.2)
ここで、乳酸カルシウムの汎用ジェランガムの混合比率が少ないと、一次的なジェランガムによる耐熱性向上効果を得難い。汎用ジェランガムのみにより耐熱性を得ようとする場合は、上限は、上記範囲とする。
汎用ジェランガム:約0.01〜0.5%(約0.02〜0.3%)
LMペクチン及び/又はカラギーナン(合計):
約0.3〜1.5%(約0.5〜1.2%)
カラギーナン/LMペクチン(混合比)=0.01〜1.5(より普通には、約0.05〜1.0)
乳酸カルシウム/汎用ジェランガム(混合比)
=約0.2〜1.5(より普通には、約0.3〜1.2)
ここで、乳酸カルシウムの汎用ジェランガムの混合比率が少ないと、一次的なジェランガムによる耐熱性向上効果を得難い。汎用ジェランガムのみにより耐熱性を得ようとする場合は、上限は、上記範囲とする。
ただし、ジェランガムさらには体質材(砂糖・トレハロース)の組成率(含有率)が少なくて(ジェランガム:0.1%未満、体質材:25%未満)、それらのみでは十分な耐熱性を得難いと考えられる場合は、カルシウムイオン供与剤(乳酸カルシウム乃至他のカルシウム塩)を添加して、耐熱性の増大を図る。その場合の乳酸カルシウム/汎用ジェランガムの比率の上限は、約1.5〜20倍、より普通には、約2〜15倍とする。カルシウム塩(二価金属イオン供与剤)の組成率が高くなりすぎると、LM−ペクチン及びカラギーナンがカルシウム(アルカリ土類金属)イオンと反応して、保水性が低下するおそれがあるとともに、ゼリー体の風味及び食感を低下させるおそれがある。
この様に乳酸カルシウムをジェランガムに対して過剰に配合した場合は、LMペクチン及び/又はカラギーナンとカルシウムイオンが反応して、架橋構造を形成して、耐熱性の増大に寄与すると推定される。
なお、本発明の水成分を含む成分組成における総固形分%(いわゆる「Brix」)は、食品用ゼリーに要求される特性に応じて、30〜65%となるようにする。なお、Brixの計算は、例えば、実配合量に、水飴は、0.75倍、5倍濃縮果汁は、0.5倍をそれぞれ掛けた%で求める。
3)その他
本実施形態では、パン包餡用ゼリーを予定しているため、少量の澱粉と水飴を含有させることが望ましい。
本実施形態では、パン包餡用ゼリーを予定しているため、少量の澱粉と水飴を含有させることが望ましい。
澱粉は、製品化(パン焼き)後において、ゼリー内の水分が経時的にパン生地に移行するのを阻止する。
また、糖質安定化のために、DE20〜100の澱粉加水分解物を添加することが望ましい。澱粉が少ないと澱粉添加効果を奏しがたく、澱粉が多いとゼリー感触ではなくジャム感触となる。
上記澱粉の配合量は、ゼリー体としたときにおいて、約0.2〜1.5%、望ましくは、約0.3〜1.0%とする。
上記澱粉加水分解物としては、通常、水飴を使用する。また、水飴(固形分75%のもの)の添加量は、約5〜30%とする。
B.次に、上記組成物を使用してのゼリー包餡パンの製造方法の一例を図3に示す。
なお、本発明のゼリー組成物は、ゼリー包餡パンばかりでなく、パン焼成前のトッピング材、更には、焼成前の各種ケーキのトッピング材、サンドイッチ材としても使用可能である。
表1に示す組成処方混合物を、図3に示す処方に従ってゼリー包餡パンを調製した。
こうして調製した各ゼリー包餡パン(3個ずつ)について、熱いうちに餡パンを割って目視観察したが、実施例1〜4のいずれもゼリーの形態を維持し、かつ、食感もゼリー食感であった。
また、各ゼリー包餡パン(3個ずつ)について、1週間冷凍後、トースターで焼いて解凍したが、上記と同様、実施例1〜4のいずれもゼリーの形態を維持し、かつ、食感もゼリー食感であった。
目視観察及び食感は、5名のパネラーにより行い、中間の3名の評価によった。
ここで、ゼリー食感とは、ジャム食感や寒天食感と異なり、容易に噛み砕くことができるが弾性体的感触が得られるものをいう。
Claims (9)
- 砂糖(ショ糖)からなる又は砂糖(ショ糖)を主体とする二糖類を体質材とし、また、ゲル骨格剤(増粘多糖類)として汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム)を必須とするとともに、ゲル化剤(架橋剤)として二価金属イオン供与剤を必須成分とし、水溶液を保持してゼリー(ゲル体)とする食品用ゼリー組成物であって、
前記ゲル骨格剤として、更にLMペクチン及び/又はカラギーナンを含み、
前記ゲル体としたとき、150℃×30分以上の耐熱性を示すとともに、凍結解凍耐性(耐離水性)を示すものである、
ことを特徴とする食品用ゼリー組成物。 - 前記砂糖と組み合わせる二糖類がトレハロースであることを特徴とする請求項1記載の食品用ゼリー組成物。
- 前記ゲル骨格剤として、更に、寒天を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の食品用ゼリー組成物。
- 前記二価金属イオン供与剤がカルシウムイオン供与剤であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の食品用ゼリー組成物。
- 更に、糖質安定化剤として、DE20〜100の澱粉加水分解物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載の食品用ゼリー組成物。
- 前記澱粉加水分解物が水飴であることを特徴とする請求項5に記載の食品用ゼリー組成物。
- 更に、経時水分移行防止剤として、澱粉を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一記載の食品用ゼリー組成物。
- ゼリー(ゲル体)としたときにおいて、
砂糖(ショ糖):5〜50質量%、トレハロース:5〜30質量%であって
トレハロース/砂糖(混合比):1/5〜1/0.8であり、
汎用ジェランガム(脱アシルジェランガム):0.01〜0.5質量%、LMペクチン及び/又はカラギーナン(合計):0.3〜1.5質量%を含有するとともに、乳酸カルシウムを、汎用ジェランガムと、LMペクチン及びカラギーナンの合計量の0.01〜1.5質量倍含有させることを特徴とする食品用ゼリー組成物。 - 請求項1〜8のいずれか一記載の食品用ゼリー組成物を用いて調製されてなる食品用ゼリー。
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