JP2013150597A - デンプン含有飲食品用ゲル化剤 - Google Patents

デンプン含有飲食品用ゲル化剤 Download PDF

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Abstract

【課題】
デンプンを含有する飲食品に簡便にゲル化性を付与可能なゲル化剤を提供する。
具体的には、0〜70℃の温度帯のデンプン含有飲食品と混合し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に当該飲食品をゲル化可能なゲル化剤を提供する。
【解決手段】
下記(1)〜(3)を必須成分とするゲル化剤を用いる。より好ましくは(4)ガティガム及び/又はアラビアガムを併用する。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
【選択図】なし

Description

本発明は、インスタントゲル化剤として利用可能なデンプン含有飲食品用のゲル化剤に関する。詳細には、0〜70℃の温度帯のデンプン含有飲食品と混合し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に当該飲食品にゲル化性を付与できるゲル化剤に関する。
本発明はまた、ゲル状のデンプン含有飲食品を簡便に製造する方法に関する。
飲食品にゲル化性を付与する(ゲル化させる)ゲル化剤として、寒天、ゼラチン、カラギナン及びジェランガムなどの各種ゲル化剤が用いられている。しかし、飲食品を凝固させるゲル化機能を発揮させるためには、ゲル化剤を含有した飲食品を、一旦80℃以上に加熱後、ゲル化温度まで冷却する必要があり、ゲル状飲食品の調製に通常1〜3時間程の時間を要していた。特に、ゼラチンでは、冷却に一晩かかる場合があった。
上記常法は、工業規模でゲル状飲食品を製造する場合に有効な手段である。しかし、家庭や病院内で手軽にゲル状飲食品を調製したい場合に、製造方法が煩雑である、喫食可能となるまでに長時間を要し、その場で直ぐに喫食できないといった問題を抱えていた。
例えば、食物を噛み砕き、飲み込むという一連の動作に障害をもつ、いわゆる咀嚼・嚥下困難者の誤嚥防止を目的として、飲食品を増粘・ゲル化させる技術が用いられるが、喫食毎に上記調理工程をとることは咀嚼・嚥下困難者本人やその介護者にかかる負担が非常に大きい。更に、調理時に火傷の恐れがあるなど、使い勝手が悪いものであった。
当該従来技術に鑑み、撹拌により飲食品にゲル化性を付与する技術が特許文献1及び2に開示されている。
具体的には、キサンタンガム2〜40重量部に対し、グルコマンナン98〜60重量部の割合で粉体混合した混合物をゲル化剤として用い、5000rpm以上の撹拌で飲食品にゲル化性を付与する技術(特許文献1)、及びキサンタンガム1〜50%、ジェランガム90〜10%、グァーガム50〜1%の配合比のゲル化剤をデンプン含有食品に添加し、4500rpm以上の撹拌で飲食品を半固形化する技術(特許文献2)が開示されている。
特許文献1に開示された技術は水やお茶のような単純系の飲食品を、特許文献2に開示された技術はデンプンを含有する飲食品をゲル化させることができる。しかし、特許文献1に開示されたゲル化剤を用いて調製されたゲル状飲食品は、付着性が強く、喫食した際に咽頭にへばりつきやすいという課題を抱えていた。特に、咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、付着性が大きい食品はスムースに咽頭相を通過させることができず、咀嚼・嚥下困難者用のゲル化剤として不十分であった。また、特許文献2に開示された技術は、酵素を含むため、食品本来の味を損ねてしまう、デンプン含有食品以外の飲食品をゲル化させることができず、汎用性が低いといった課題を抱えていた。
特開2008−301775号公報 特開2011−167142号公報
上記従来技術に鑑み、本発明ではデンプンを含有する飲食品に簡便にゲル化性を付与可能なゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。
具体的には、0〜70℃の温度帯のデンプン含有飲食品とゲル化剤を混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に当該飲食品をゲル化可能なゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。かかる点、本発明の目的は、利便性の高いインスタントゲル化剤を提供することにもある。
更に、本発明では咀嚼・嚥下困難者の喫食に適したゲル状飲食品を調製可能なゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたデンプン含有ゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。具体的には咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすいような良好な食塊形成性を有し、また、口腔及び咽頭への付着が小さいデンプン含有ゲル状飲食品を調製可能なゲル化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、0〜70℃のデンプン含有飲食品と下記(1)〜(3)を必須成分とするゲル化剤を混合し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便にデンプン含有飲食品にゲル化性を付与できること、及び咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感とレオロジー特性を付与できることを見出して本発明に至った;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
本発明は、以下の態様を有する、デンプン含有飲食品用のゲル化剤に関する;
(I-1).以下の(1)〜(3)を必須成分として含有し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌で飲食品にゲル化性を付与することを特徴とする、デンプン含有飲食品用のゲル化剤;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム、
(I-2).上記ゲル化剤が(1)キサンタンガムを3〜65質量%の割合で含有するものである、(I-1)記載のゲル化剤。
(I-3).(1)キサンタンガム100質量部に対して、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを総量で10質量部以上150質量部未満の割合で含有する、(I-1)または(I-2)記載のゲル化剤。
(I-4).(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガムを総量で5〜300質量部の割合で含有する、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するゲル化剤。
(I-5).更にガティガム及び/又はアラビアガムを含有する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載するゲル化剤。
(I-6).(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、アラビアガム及び/又はガティガムを総量で5質量部以上200質量部以下の割合で含有する、(I-5)に記載するゲル化剤。
(I-7).粉末状または顆粒状である、(I-1)乃至(I-6)のいずれかに記載するゲル化剤
(I-8).デンプン含有飲食品がお粥、うどん又はパンである、(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載のゲル化剤。
(I-9).デンプン含有ゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%となるように、デンプン含有飲食品に用いられる(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載のゲル化剤。
また本発明は、以下の態様を有するデンプン含有ゲル状飲食品の製造方法に関する;
(II-1).デンプン含有飲食品と下記の(1)〜(3)またはこれらを含有する(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載のゲル化剤とを混合し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことを特徴とする、デンプン含有ゲル状飲食品の製造方法;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
(II-2)更にガティガム及び/又はアラビアガムを併用する、(II-1)に記載するデンプン含有ゲル状飲食品の製造方法。
(II-3).デンプン含有飲食品がお粥、うどんまたはパンである、(II-1)又は(II-2)に記載する製造方法。
(II-4).デンプン含有ゲル状飲食品100質量%中の(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%となるように、(1)〜(3)またはこれらを含有する(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載のゲル化剤を用いる、(II-1)乃至(II-3)に記載するデンプン含有ゲル状飲食品の製造方法。
第一の効果として、本発明のゲル化剤を用いることで、加熱及び冷却工程をとることなく、短時間で簡便にデンプン含有ゲル状飲食品を調製することができる。具体的には、本発明のゲル化剤を0〜70℃の温度帯のデンプン含有飲食品に添加するか、または当該デンプン含有飲食品を本発明のゲル化剤に添加する等により両者を混合した後、水存在下、家庭用のミキサーやフードプロセッサーを用いて回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、デンプン含有飲食品にゲル化性を付与することができる。
本発明のゲル化剤を用いる第二の効果として、デンプンを含有する飲食品に対して、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感やレオロジー特性を付与することができる。
具体的には、咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすいような良好な食塊形成性を有し、また、口腔及び咽頭への付着性が小さいデンプン含有ゲル状飲食品を調製することができる。
実施例1−1で調製されたゲル状の全粥の写真を示す。 実施例2−1で調製されたゲル状の全粥の写真を示す。 実施例3−1で調製されたゲル状飲食品(うどんを、だし汁とゲル化剤とと もにミキサーにかけてゲル化させた飲食品[ゲル状うどん])の写真を示す。
(I)デンプン含有飲食品用のゲル化剤
本発明は、デンプン含有飲食品用のゲル化剤に関する発明である。
本発明において、ゲル化する対象のデンプン含有飲食品は、デンプンを含有する飲食品であればよく、具体的には、穀類、野菜類(いも類を含む)、豆類、及び果実類等などデンプンを含有する飲食品及びこれらの加工飲食品を例示することができる。また、穀類を含有する食品またはその加工品の例示として、お粥等の米飯食品、うどん等の麺類、パンの加工品を挙げることができる。
デンプンを含有する飲食品は、水やお茶等の飲食品と異なり、固形分含量が高く、増粘多糖類が水和・膨潤しにくく、デンプンによってゲルの形成が阻害されるため、均一なゲルを形成させることが困難であり、形成されたゲルも付着性が非常に大きく飲み込みにくい食感となる。しかし、本発明のゲル化剤を用いた場合は、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌するという極めて簡便な操作を行うことで、デンプン含有飲食品の組成に関係なく容易にゲル化性を付与することができる。
デンプンとしては、米デンプン、小麦デンプン、豆由来デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等が挙げられ、デンプンの由来により限定されるものではない。また本発明が対象とするデンプンには、加工デンプンも含まれる。かかる加工デンプンとしては、α化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどに代表される加工デンプン(アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン)等が挙げられる。
デンプン含有飲食品の形状は特に制限なく、固形状、半固形状(半流動状)、及び流動状などの形状を有するものが含まれる。但し、ゲル状飲食品を製造するためには、飲食品の水分含量を所定量以上に調整することが好ましい。かかる水分含量としては、制限されないが、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上を例示することができる。例えば、デンプン含有飲食品が半固形状(半流動状)または流動状の形状を有し、水分含量が所定量以上である場合は、そのままゲル状飲食品の製造に使用することができるが、デンプン含有飲食品が固形状または半固形状(半流動状)の形状を有し、水分含量が所定量よりも低い場合は、回転速度4000rpm以上の撹拌を行なう前、好ましくはゲル化剤と混合する前に、別途水分を添加して水分含量が所定量以上になるように調整することが好ましい。
デンプン含有飲食品中のデンプン含量としては、デンプン含有ゲル状飲食品を製造する直前の飲食物、つまり、デンプン含有飲食品の水分含量が所定量に満たない場合は、水分含量を調整した後の飲食物中のデンプン含量として、5質量%以上、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%を例示することができる。当該デンプン含量は、調製されたデンプン含有ゲル状組成物中のデンプン含量に相当する。
本発明のゲル化剤は、下記の3種を必須成分として用いることを特徴とする。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
キサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する多糖類であり、D−マンノース、D−グルコース、D−グルクロン酸で構成されている。主鎖はβ−1,4結合しているD−グルコースからなり、側鎖は主鎖のD−グルコース残基1つおきにD−マンノース2分子とD−グルクロン酸が結合している。側鎖の末端にあるD−マンノースはピルビン酸塩となっている場合がある。また、主鎖に結合したD−マンノースのC−6位はアセチル化されている場合がある。なお、キサンタンガムの分子量は大きく、制限されないものの、一般的に300万付近とされている。キサンタンガムは冷水に溶解し、他の多糖類に比べて低濃度で高い粘度を示す。キサンタンガムは単独ではゲルを形成しないが、本発明では、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガムを併用することで、デンプン含有飲食品に簡便にゲル化性を付与することができる。
商業上入手可能なキサンタンガム製剤として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
製の「サンエース[登録商標]」を例示することができる。
ゲル化剤中、キサンタンガムは3〜65質量%、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%含有することが望ましい。
本発明で用いるグルコマンナンは、コンニャク芋に含まれる多糖類であり、制限はされないものの、一般的にD−グルコースとD−マンノースがほぼ、1:1.6のモル比で、β−1,4結合により重合した難消化性の多糖類であり、その分子量は約100万〜200万とされている。
ローカストビーンガムは、β−D−マンノースの主鎖がβ−1,4結合、α−D−ガラクトースの側鎖がα−1,6結合した多糖類であり、制限はされないものの、一般的にマンノースとガラクトースの比率が約4:1であるとされている。
本発明のゲル化剤は、キサンタンガム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上150質量部未満のグルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、更に好ましくは50〜140質量部のグルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを併用できる。
上記割合でキサンタンガムとグルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを併用することで、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適したゲル状のデンプン含有飲食品、特には付着性が低減され、飲み込みやすいゲル状のデンプン含有飲食品を提供できる。
本発明のゲル化剤は、上記(1)及び(2)に加えて、更に(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガムを併用することを特徴とする。
ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類である。D−グルコース、D−グルクロン酸、D−グルコースとL−ラムノースの4つの糖からなるモノマーが重合したものであり、1→3結合したグルコースのC−6位にアセチル基(1/2残基)が、C−2位にグリセリル基が結合しているネイティブ型のジェランガムと、これらのアシル基が脱エステル化した脱アシル型ジェランガムが存在する。本発明ではネイティブ型ジェランガムを用いることを特徴とする。商業上入手可能なネイティブ型ジェランガム製剤として、「ケルコゲル[CPケルコ社登録商標]LT100」を例示することができる。
タマリンドシードガムは、マメ科のタマリンドの木の種子の内胚乳から得られる多糖類であり、主鎖がD−グルコースで、D−キシロース、D−ガラクトースを側鎖に持つキシログルカンである。側鎖が多く、冷水に容易に溶解するグレードもある。制限されないものの、一般的に分子量は約65万とされている。
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガムの添加量は、対象飲食品のデンプン含量に応じて適宜調整することが可能であるが、具体的には、ゲル化剤に含まれる(1)キサンタンガムと、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム(両方使用する場合は、両方の総量を意味する。以下、同じ。)が5〜300質量部、好ましくは10〜250質量部、更に好ましくは10〜200質量部となるように添加することが望ましい。
本発明のゲル化剤は、更に(4)ガティガム及び/又はアラビアガムを含有することが好ましい。ガティガム及び/又はアラビアガムを併用することで、デンプン含有ゲル状飲食品の付着性を一層低減させ、更に食塊形成性を向上させることができる。
ガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするガム質である。
アラビアガムは、マメ科アカシア属の植物の幹や枝から得られるゴム状の滲出液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするガム質である。
ガティガム及び/又はアラビアガムの添加量は、対象飲食品のデンプン含量に応じて適宜調整することが可能であるが、具体的には、ゲル化剤に含まれる(1)キサンタンガムと、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(4)ガティガム及び/又はアラビアガムの総量が5質量部以上200質量部以下、好ましくは5質量部以上200質量部未満、より好ましくは5質量部以上150質量部以下となるように添加することが望ましい。
本発明のゲル化剤は、下記(1)〜(3)の多糖類、または下記(1)〜(4)の多糖類にデキストリン等の賦形剤を粉体混合して調製可能である。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム、
(4)ガティガム及び/又はアラビアガム。
なお、本発明のゲル化剤は造粒により顆粒化されていることが望ましい。例えば上記粉体混合物を、任意のバインダー液(例えば、イオン交換水や、デキストリン、ガム質、金属塩を含有する水溶液)を用いて造粒する方法が挙げられる。造粒方法としては、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、圧縮造粒、押出し造粒等の造粒機械を用いて実施できる。また、粉末状のゲル化剤、若しくは前記方法によって得られる造粒物(顆粒状のゲル化剤)を各種打錠機により打錠して、錠剤化することもできる。以上のように、本発明のゲル化剤は、粉末状、顆粒状、または錠剤状を有することができる。
かくして得られた本発明のゲル化剤は、ゲル化する対象のデンプン含有飲食品と混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌する工程を有する、デンプン含有ゲル状飲食品の製造に用いられることを特徴とする。混合工程は、デンプン含有飲食品にゲル化剤を添加する工程、ゲル化剤にデンプン含有飲食品を添加する工程等をとることができる。デンプン含有飲食品に対する本発明のゲル化剤の配合割合は、ゲル状飲食品に求められる食感やレオロジー特性によって適宜調整することができ、制限されないものの、最終的に調製されるデンプン含有ゲル状飲食品100質量%中の含有割合に換算して、通常、(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、更に好ましくは0.25〜1.5質量%となるような割合を挙げることができる。
0〜70℃の温度帯のデンプン含有飲食品にゲル化性を付与する撹拌条件としては、具体的には、4000rpmの回転速度で1分間程度以上、またはそれに相当する撹拌条件を挙げることができる。4000rpmの回転速度で1分間程度以上の条件に相当する撹拌条件としては、制限されないが、10000rpmの回転速度では10秒程度以上、好ましくは30秒程度以上の撹拌を例示することができる。なお、撹拌時間の上限は、ゲル化性付与という目的が達成できる限り、特に制限されないが、手軽にゲル化性を付与できるという本発明の目的から、5分程度以内、好ましくは3分程度以内を例示することができる。一般的には、家庭用ミキサー、フードプロセッサー、ハンドミキサー、ブレンダー、クッキングカッター、プロペラ撹拌機等の機器を用いて撹拌することで実現できる。
また本発明において「水存在下・・・撹拌する」とは、飲食物に最初から含まれている水分、またはゲル状飲食品を調製するために飲食品に別途添加した水分の存在下で、飲食品を撹拌することを意味する。水分含有量としては、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上を例示することができる。
本発明のゲル化剤は、0〜70℃、好ましくは4〜60℃の温度帯のデンプン含有飲食品に簡便にゲル化性を付与できる(ゲル化できる)という利点を有する。通常、飲食品にゲル化性を付与するためには、ゲル化剤を含有する飲食品を80℃以上に加熱後、ゲル化温度まで冷却する必要があったが、本発明では、0〜70℃の通常ゲルを形成しない温度帯の飲食品であっても、対象飲食品に簡便にゲル化性を付与することが可能である。具体的には、本発明のゲル化剤は、30〜70℃、好ましくは30〜60℃の温度帯で用いても冷却工程を経ることなく、対象飲食品にゲル化性を付与することができる。また、4〜45℃、更には4〜25℃と低温帯の飲食品であっても簡便にゲル化性を付与することができる。なお、デンプン含有飲食品が70℃を超える場合でも、本発明のゲル化剤は使用可能である。
本発明において「ゲル化」または「ゲル化性」とは、静置状態において、自重で流動しない状態または性質をいう。この意味で、本発明において「ゲル化性を付与する」とは、「保形性を付与する」と言い換えることもできる。
咀嚼・嚥下困難者用飲食品は、咀嚼・嚥下困難者やその介護者がベットサイドや家庭内で対象飲食品に増粘剤やゲル化剤を添加し、汎用の調理機器を用いて調製される場合が多い。かかる点、本発明のゲル化剤は、家庭用ミキサーやブレンダーを用いて実施でき、特別な加熱設備や冷却設備が不要であるため、ベットサイドや家庭で容易に咀嚼・嚥下困難者用飲食品を調製できるという利点を有する。
なお、本発明のゲル化剤はデンプン含有飲食品と混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上で撹拌することでゲル化効果を奏する。一方で、手撹拌のような弱い撹拌では、所望のゲルを調製することができない。
本発明のゲル化剤は、特に咀嚼・嚥下困難者用のゲル化剤として有用性が高い。
ゲル状飲食品が咀嚼・嚥下困難者用食品として適用される際は、以下の食感やレオロジー特性が求められる。1)適度なかたさを有すること、2)食塊形成性(咀嚼後の食品のまとまりやすさ)に優れること、3)口腔及び咽頭への付着性が小さいこと、及び4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)。特に、咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、口腔・咽頭相において食塊がばらばらにならないこと(食塊形成性)や、スムースに咽頭相を通過することが可能な付着性の小ささが飲み込みやすさの重要な要素となる。かかる点、本発明のゲル化剤を用いることで、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感やレオロジー特性を有するゲル状のデンプン含有飲食品を提供できる。
上記の1)に関して、ユニバーサルデザインフード(UDF)では、かたさによって以下の区分に分類されている。
区分1:容易にかめる / かたさ500000N/m以下
区分2:歯ぐきでつぶせる / かたさ50000N/m以下
区分3:舌でつぶせる / かたさ20000N/m以下
区分4:かまなくてよい / かたさ5000N/m以下
ユニバーサルデザインフード(UDF)は、日本介護食品協議会が、利用者が選択する際の目安として、食品を「かたさ」や「粘度」に応じて4段階に区分したものである。区分選択の目安は、ユバーサルデザインフード自主規格 第2版(日本介護食品協議会)を参照することができる。本発明では、ゲル化剤の添加量を適宜調整することで、各区分に応じた「かたさ」を対象飲食品に付与することができる。
本発明のゲル化剤は、特に、お粥、うどん又はパン向けのゲル化剤として好適である。
お粥やうどん、パンなどは、咀嚼・嚥下困難者用の主食として毎日摂食されるが、デンプンを多く含むため、付着性が大きく、飲みこみやすい食感に調整することが非常に困難である。かかるお粥、うどん又はパンであっても、本発明のゲル化剤を用いることで、加熱及び冷却工程を必要とせず、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌するといった簡便な工程のみで、ゲル状のお粥、うどん又はパンを提供できる利点を有する。なお、これらの食品は、必要に応じて、ゲル化する前に水分を添加して水分含量を調製することができる。水分含量は、制限されないが、前述するように50質量%以上になるように調整することが好ましい。
(II)デンプン含有飲食品の製造方法
本発明は、簡便にゲル状のデンプン含有飲食品を製造する方法にも関する。具体的には、デンプン含有飲食品と下記(1)〜(3)、又はデンプン含有飲食品と下記(1)〜(4)を混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌することを特徴とする、ゲル状のデンプン含有飲食品の製造方法に関する。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム、
(4)ガティガム及び/又はアラビアガム。
上記デンプン含有ゲル状飲食品の製造は、上記(1)〜(3)又は(1)〜(4)の成分を含有するゲル化剤(合剤)、好ましくは(I)の欄で説明した本発明のゲル化剤を使用することで簡便に実施することができる。本発明では、かかる製造工程において、デンプン含有飲食品と上記(1)〜(3)の成分、又はデンプン含有飲食品と上記(1)〜(4)の成分を混合後の加熱工程が不要であるという利点を有する。
デンプン含有飲食品に対する(1)〜(4)成分の添加量は、求められる食感やレオロジー特性によって適宜調整することができるが、具体的には、最終的に調製されるデンプン含有ゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が、0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、更に好ましくは0.25〜1.5質量%となるように添加することが望ましい。また、上記成分を含む組成物として前述する本発明のゲル化剤を使用する場合も、同様に、デンプン含有ゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、更に好ましくは0.25〜1.5質量%となるように、本発明のゲル化剤を添加することが望ましい。
成分(3)の添加量は、(1)キサンタンガムと、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム(両方使用する場合は、両方の総量を意味する。以下、同じ。)が5〜300質量部、好ましくは10〜250質量部、更に好ましくは10〜200質量部となるように添加することが望ましい。
同様にして、成分(4)の添加量は、(1)キサンタンガムと、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、ガティガム及び/又はアラビアガムの総量が5質量部以上200質量部以下、好ましくは5質量部以上200質量部未満、より好ましくは5質量部以上150質量部以下となるように添加することが望ましい。
デンプン含有飲食品のゲル化をより効率的に行うためには、ゲル化する前にデンプン含有飲食品の水分含量を50質量%以上に調整することが望ましい。
例えば、お粥、うどん又はパン等のデンプン含有飲食品の水分含量が50質量%未満の場合は、本発明のゲル化剤を添加する際に、別途水分を添加することで、デンプン含有飲食品の水分含量を50質量%以上に調整することが可能である。ここで本発明がゲル化する対象のデンプン含有飲食品は(I)の欄で前述した通りである。例えばデンプン含有飲食品のデンプン含量は、水分含量を調整した後の飲食品、つまりゲル化する直前の飲食品中のデンプン含量に換算して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜50質量%である。当該デンプン含量は、調製されるデンプン含有ゲル状飲食品中のデンプン含量に相当する。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、文中の「UDF」とは、ユニバーサルデザインフードの略称である。
実験例1 デンプン含有飲食品のゲル化(1)
全粥(デンプン含量16質量%、水分含量83質量%)に対するゲル化試験を行った。
20℃に調温した全粥100g及び各種ゲル化剤(表1:実施例1−1〜1−3、比較例1−1〜1−4)をミキサー(ジュースミキサー/TESCOM社製)に投入し、回転速度10000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。結果を表2に示す。
評価項目
(ゲル化の有無):ミキサーで撹拌後、試料を高さ60mmの花形容器に35mmまで充填し、室温で30分間静置後のゲル化の状態を目視観察した。ゲル化したもの(静置状態において自重で流動しないもの)を○、ゲルを形成するが、保形性が不十分であるもの(容器からゲル状飲食品を取り出した際に容易に形状が変化し、崩れやすいもの)を△、ゲル化しなかったもの(静置状態において自重で流動するもの)を×とした。
(かたさ):ミキサーで撹拌後の試料を直径40mm、高さ15mmのステンレスシャーレに満量充填し、テクスチャーアナライザーを使用して、直径20mm、高さ8mm樹脂製のプランジャーを用い、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで一軸圧縮測定した。圧縮時の最大応力をかたさとした。ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料を測定した。
(付着性):ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料について、喫食した際の喉へのはりつきを官能評価した。
(食塊形成性):ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料について、喫食した際の口腔内でのまとまり感(形の保持力)を評価した。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)ネイティブ型ジェランガムを含有する、本発明のゲル化剤(実施例1−1〜1−3)は、20℃の全粥であっても、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作で全粥にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、付着性が小さく、かつ良好な食塊形成性を有し、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例1−1〜1−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図1に実施例1−1で調製されたゲル状飲食品(ゲル状全粥)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。
比較例1−1は、実施例1−1からネイティブ型ジェランガムを除いた例である。ゲル化(固形化)はするものの、保形性が不十分であり、容器からゲル状飲食品を取り出した際に容易に形状が変化し、崩れやすい性質であった。また、表2から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、容器からの型離れも悪かった。
比較例1−2は、実施例1−2からネイティブ型ジェランガムを除いた例であるが、比較例1−1と同様に、ゲル化(固形化)はするものの、保形性が不十分であり、容器からゲル状飲食品を取り出した際に容易に形状が変化し、崩れやすい性質であった。また、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、容器からの型離れも悪かった。
比較例1−3は、特許文献2に開示された咀嚼・嚥下補助剤を用いた例である。本咀嚼・嚥下補助剤を用いた場合であっても、表2から明らかなように、全粥にゲル化性を付与することは到底できなかった。
比較例1−4は、特許文献1に開示された咀嚼・嚥下補助剤を用いた例である。本咀嚼・嚥下補助剤を用いた場合であっても、ゲル化(固形化)はするものの、保形性が不十分であり、容器からゲル状飲食品を取り出した際に容易に形状が変化し、崩れやすい性質であった。また、表2から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、容器からの型離れも悪かった。
実施例2 デンプン含有飲食品のゲル化(2)
全粥(デンプン含量16質量%、水分含量83質量%)に対するゲル化試験を行った。
40℃に調温した全粥100g及び表3に記載の粉体混合物を造粒した顆粒品をミキサー(Oster Blender/Oster社製)に投入し、回転速度6000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表4に示す。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)ネイティブ型ジェランガムを含有する、実施例2−1に示すゲル化剤は、40℃の全粥であっても、加熱及び冷却工程をとることなく、回転速度10000rpmよりも低い撹拌で全粥にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、付着性が小さく、かつ良好な食塊形成性を有し、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例2−1で得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図2に実施例2−1で調製されたゲル状飲食品(ゲル状全粥)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。
実験例3 デンプン含有飲食品のゲル化(3)
うどん(デンプン含量15.3質量%、水分含量82.5質量%)に対するゲル化試験を行った。
60℃に調温したうどん(麺)50g、だし汁50g及び各種ゲル化剤(表5)をミキサー(ジュースミキサー/TESCOM社製)に投入し、回転速度10000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表6に示す。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)タマリンドシードガムを含有する、本発明のゲル化剤(実施例3−1〜3−3)は、60℃のうどんであっても、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作でうどんにゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、付着性が小さく、かつ良好な食塊形成性を有し、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例3−1〜3−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図3に実施例3−1で調製されたゲル状飲食品(ゲル状うどん)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。
比較例3−1は、実施例3−1からタマリンドシードガムを除いた例である。ゲル化(固形化)はするものの、表6から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。
比較例3−2は、実施例3−2からタマリンドシードガムを除いた例であるが、比較例3−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。
実験例4 デンプン含有飲食品のゲル化(4)
全粥(デンプン含量16質量%、水分含量83質量%)に対するゲル化試験を行った。
50℃に調温した全粥100g及び表7に記載の粉体混合物を造粒した顆粒品をミキサー(Oster Blender/Oster社製)に投入し、回転速度8000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、レオロジー特性(かたさ、付着性)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。また、食感に関しては、実施例4−1を基準として評価を行った。結果を表8に示す。
注1)(付着性):ミキサーで撹拌後の試料を直径40mm、高さ15mmのステンレスシャーレに満量充填し、テクスチャーアナライザーを使用して、直径20mm、高さ8mm樹脂製のプランジャーを用い、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで2回連続圧縮測定した。2回連続圧縮した際に得られる応力―距離曲線より、第一バイトの圧縮後に現れる負の応力値と移動距離の積により求められる面積を付着性とした。ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料を測定した。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及びローカストビーンガム、(3)ネイティブ型ジェランガム、並びに(4)ガティガムを含有する、実施例4−2〜4−5に示すゲル化剤は、50℃の全粥であっても、加熱及び冷却工程をとることなく、回転速度10000rpmよりも低い撹拌で全粥にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、ガティガムを含有することで付着性がより一層小さく、かつより一層良好な食塊形成性を有し、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例4−2〜4−5で得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
特に実施例4−2〜4−4で得られたゲル状飲食品は、デンプンを含有するにも関わらず、付着性が非常に小さく、更には優れた食塊形成性を有し、格段に優れた物性を有していた。
実験例5 デンプン含有飲食品のゲル化(5)
全粥(デンプン含量16質量%、水分含量83質量%)に対するゲル化試験を行った。
30℃に調温した全粥100g及び表9に記載の粉体混合物を造粒した顆粒品をミキサー(Oster Blender/Oster社製)に投入し、回転速度12000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、レオロジー特性(かたさ、付着性)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。また、食感に関しては、実施例5−1を基準として評価を行った。結果を表10に示す。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及びローカストビーンガム、(3)ネイティブ型ジェランガム、並びに(4)アラビアガムを含有する、実施例5−2〜5−4に示すゲル化剤は、30℃の全粥であっても、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作で全粥にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、アラビアガムを含有することで付着性がより一層小さく、かつより一層良好な食塊形成性を有し、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例5−2〜5−4で得られたゲル状飲食品(ゲル状全粥)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。

Claims (5)

  1. 以下の(1)〜(3)を必須成分として含有し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌でデンプン含有飲食品にゲル化性を付与することを特徴とする、デンプン含有飲食品用のゲル化剤;
    (1)キサンタンガム、
    (2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
    (3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
  2. デンプン含有飲食品がお粥、うどん又はパンである、請求項1に記載のゲル化剤。
  3. 更にガティガム及び/又はアラビアガムを含有する、請求項1又は2に記載のゲル化剤。
  4. デンプン含有飲食品と下記(1)〜(3)に示す成分を混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことを特徴とする、デンプン含有ゲル状飲食品の製造方法;
    (1)キサンタンガム、
    (2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
    (3)ネイティブ型ジェランガム及び/又はタマリンドシードガム。
  5. 前記(1)〜(3)に示す成分に加え、更に(4)ガティガム及び/又はアラビアガムを併用する、請求項4に記載のデンプン含有ゲル状飲食品の製造方法。
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