JP2018024803A - セルロースアシレート、樹脂組成物、及び、樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超える場合に比べ、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなるセルロースアシレートを提供することである。【解決手段】レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm以上100μm以下である、セルロースアシレート。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースアシレート、樹脂組成物、樹脂成形体、及びセルロースアシレートの製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。例えば、家電製品、自動車等の各種部品、事務機器、電子電気機器等の筐体などに、熱可塑性樹脂が使用されている。
近年では、熱可塑性樹脂として植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロースアシレートがある。
例えば、特許文献1には、「下記の要件を満たすセルロースエステル
1)セルロースエステルに残存する総硫酸が硫酸に換算した量としてセルロースエステルに対する量として10ppm以上で160ppm以下でかつ、
2)カルシウムが含まれていないか、または含まれている場合であってもセルロースエステルに対する量として10ppm以下でかつ、
3)マグネシウムを含み、マグネシウム量がセルロースエステルに対する量として10〜60ppmである。」が開示されている。
また、特許文献2には、「セルロース繊維から形成され、該セルロース繊維が架橋剤により架橋されており、且つ微粒化されていることを特徴とする微小架橋セルロース粒子。」が開示されている。
特開2009−161701号公報 特開平9−302001号公報
本発明の課題は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超える場合に比べ、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなるセルロースアシレートを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm以上100μm以下である、セルロースアシレートである。
請求項2に係る発明は、
重合度が100以上350以下である、請求項1に記載のセルロースアシレートである。
請求項3に係る発明は、
置換度が2.1以上2.6以下である、請求項1又は2に記載のセルロースアシレートである。
請求項4に係る発明は、
アセチル基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートである。
請求項5に係る発明は、
硫酸の存在下でセルロースをアシル化するアシル化工程と、
極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程と、を有する
セルロースアシレートの製造方法である。
請求項6に係る発明は、
前記脱アシル化工程において、前記アシル化したセルロースの解重合を行う、請求項5に記載のセルロースアシレートの製造方法である。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートを含む樹脂組成物である。
請求項8に係る発明は、アジピン酸エステル含有化合物を含む、請求項7に記載の樹脂組成物である。
請求項9に係る発明は、
請求項7又は請求項8に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体である。
請求項10に係る発明は、
前記樹脂成形体が射出成形体である請求項9に記載の樹脂成形体である。
請求項1に係る発明によれば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したセルロースアシレートの体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超える場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、明度L*が高くなるセルロースアシレートが提供される。
請求項2に係る発明によれば、セルロースアシレートの平均重合度が350を超える場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、明度L*が高くなるセルロースアシレートが提供される。
請求項3に係る発明によれば、セルロースアシレートの置換度が2.1未満であるか、2.6を超える場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなるセルロースアシレートが提供される。
請求項4に係る発明によれば、セルロースアシレートがプロピオニル基を含む場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなるセルロースアシレートが提供される。
請求項5又は6に係る発明によれば、脱アシル化工程において脱アシル化溶媒として非極性溶媒のみを使用した場合に比べ、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなるセルロースアシレートの製造方法が提供される。
請求項7に係る発明によれば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したセルロースアシレートの体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超えるセルロースアシレートを適用した場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなる樹脂組成物が提供される。
請求項8に係る発明によれば、アジピン酸エステル含有化合物を含まない場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、樹脂成形体の明度L*が高くなる樹脂組成物が提供される。
請求項9に係る発明によれば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したセルロースアシレートの体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超える場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに、明度L*が高くなる樹脂成形体が提供される。
請求項10に係る発明によれば、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したセルロースアシレートの体積平均粒径D50が、10μm未満であるか、100μmを超える場合に比べ、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を射出成形で成形したときに、明度L*が高くなる樹脂成形体が提供される。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
(セルロースアシレート)
本実施形態に係るセルロースアシレートは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm以上100μm以下である。
ここで、セルロースアシレートは、融解温度と分解温度が近いため、融解温度(融点)まで加熱すると同時に分解が起こることがある。このため、セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上に加熱する成形(例えば、射出成形等)によって、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を成形すると、セルロースアシレートの分解が起こり、得られる樹脂成形体が着色することがある。着色した樹脂成形体は、透明性を要する用途では透過率を損ない易い。また、透明性を必要としない用途においても、セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上の温度で保持される時間の違いで色差が変化してしまい、製品の色が安定し難い。このため、セルロースアシレートは、セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上に加熱する成形(例えば、射出成形等)用途で使用し難く、もっぱらキャストのような高温にしない成形用途に限られているのが現状である。
このように、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温(セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上)で成形(例えば、射出成形等)したときでも、樹脂成形体の着色を抑制することが望まれている。
それに対して、本実施形態に係るセルロースアシレートでは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均粒径D50を、10μm以上100μm以下とする。これにより、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温(セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上)で成形(例えば、射出成形等)したときに生じる、樹脂成形体の着色が抑制され、明度L*が高い樹脂成形体が得られる。その理由は、次のように推測している。
通常、セルロースのアシル化には硫酸が触媒として用いられるが、この硫酸が樹脂組成物中に残留することが、高温で成形したときに生じる樹脂成形体の着色の原因であると考えられる。セルロースアシレートの体積平均粒径D50を10μm以上100μm以下とすることにより、セルロースアシレートの合成後、洗浄時に水との衝突効率が向上し、例えばアシル化時の触媒として用いた硫酸が除去されやすいため、前記着色が抑制される。
また、セルロースアシレートの体積平均粒径D50を10μm以上100μm以下とすることにより、射出成型等の高温により成形するときに、溶解速度が速くなり、温度ムラがなくなり、局部的な加熱が防がれることにより、セルロースエステルの分解が抑制され、前記着色が抑制される。
<体積平均粒径D50>
本実施形態におけるセルロースアシレートの体積平均粒径D50は10μm以上100μm以下であり、10μm以上80μm以下がより好ましく、10μm以上60μm以下が更に好ましい。
前記体積平均粒径D50は、100μm以下であれば、小さければ小さいほど、セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温(セルロースアシレートの融解温度(融点)近い温度以上)で成形(例えば、射出成形等)したときでも、樹脂成形体の着色が抑制されるため好ましいが、セルロースアシレートの二次凝集を抑制する観点から、10μm以上であることが好ましい。
本実施形態におけるセルロースアシレートの体積平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製、Microtrack)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50として測定される。
以下、本実施形態に係るセルロースアシレートの詳細について説明する。
本実施形態に係るセルロースアシレートは、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部がアシル基により置換(アシル化)されたセルロース誘導体であり、具体的には、例えば、一般式(1)で表されるセルロース誘導体である。
一般式(1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はアシル基を表す。nは2以上の整数を表す。ただし、n個のR、n個のR、及びn個のRのうちの少なくとも一部はアシル基を表す。
なお、R、R、及びRで表されるアシル基は、炭素数1以上6以下のアシル基が好ましい。
一般式(1)中、nの範囲は特に制限されないが、40以上300以下が好ましく、100以上200以下がより好ましい。
nを40以上にすると、樹脂成形体の強度が高まりやすくなる。nを300以下にすると、樹脂成形体の柔軟性の低下が抑制されやすくなる。
本実施形態に係るセルロースアシレートは、水酸基の一部がアシル基(より好ましくは炭素数1以上6以下のアシル基)で置換されていることがよい。つまり、前記一般式(1)で表される構造を有するセルロース誘導体の場合、n個のR、n個のR、及びn個のRのうちの少なくとも一部がアシル基を表す。
したがって、一般式(1)で表されるセルロースアシレート中にn個あるRは、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。同様に、n個あるR、及びn個あるRも、それぞれ、全て同一でも一部同一でも互いに異なっていてもよい。そして、これらのうちの少なくとも一部がアシル基を表す。
なお、セルロースアシレートは、アシル基として、炭素数1以上6以下のアシル基を有することで、炭素数7以上のアシル基を有する場合に比べ、弾性率及び耐熱性が向上する。
アシル基は「−CO−RAC」の構造で表され、RACは、水素原子、又は炭化水素基(より好ましくは炭素数1以上5以下の炭化水素基)を表す。
ACで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状であることがより好ましい。
また、炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよいが、飽和炭化水素基であることがより好ましい。
また、炭化水素基は、炭素及び水素以外の他の原子(例えば酸素、窒素等)を有していてもよいが、炭素及び水素のみからなる炭化水素基であることがより好ましい。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基(ブタノイル基)、プロペノイル基、ヘキサノイル基等が挙げられる。
これらの中でもアシル基としては、樹脂組成物の成形性の向上の観点から、炭素数2以上4以下のアシル基がより好ましく、炭素数2以上3以下のアシル基がさらに好ましく、炭素数2のアシル基(アセチル基)が特に好ましい。つまり、セルロースアシレートは、アセチル基を有することが好ましい。
本実施形態に係るセルロースアシレートの重合度は、溶融温度の低減(成形性の向上)、得られる樹脂組成物の強度向上の観点から、重合度100以上350以下が好ましく、120以上330以下がより好ましく、150以上320以下がさらに好ましい。
ここで、重合度は、以下の手順で重量平均分子量から求める。
まず、セルロースアシレートの重量平均分子量を、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム=90/10溶液を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。
次いで、セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることで、セルロースアシレートの重合度を求める。なお、例えば、セルロースアシレートの置換基がアセチル基の場合、構成単位分子量は、置換度が2.4のとき263、置換度が2.9のとき287となる
本実施形態に係るセルロースアシレートの置換度は、溶融温度の低減(成形性の向上)、得られる樹脂組成物の強度向上の観点から、置換度2.1以上2.6以下が好ましく、2.2以上2.5以下がより好ましく、2.2以上2.45以下がさらに好ましい。
ここで、置換度とは、セルロースが有する水酸基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、セルロースアシレートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
そして、置換度は、H−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から測定する。
(セルロースアシレートの製造方法)
本実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法は、硫酸の存在下でセルロースをアシル化するアシル化工程と、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程と、を有するセルロースアシレートの製造方法であることが好ましい。
ここで、本実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法では、脱アシル化工程を極性溶媒中で行うことにより、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm以上100μm以下である、セルロースアシレートが得られる。
脱アシル化工程において用いられる極性溶媒は、セルロースアシレートを溶解するが、セルロースアシレートの置換度や分子量により溶解度が異なるため、脱アシル化工程中にセルロースアシレートが溶解分と不溶分に分かれ、前記脱アシル化工程後に、不溶分を濾過により取り除くことにより、溶解分の再沈殿後の粒径が10μm以上100μm以下となり、置換度分布及び分子量分布が狭いセルロースアシレートが得られ、前記セルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに生じる、樹脂成形体の着色が抑制される。
(セルロースアシレートの製造方法)
以下、本実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法の詳細について説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法は、例えば、
硫酸の存在下でセルロースをアシル化するアシル化工程(以下「第1アシル化工程」とも称する)と、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程(以下「第1脱アシル化工程」とも称する)と、を有し、
前記脱アシル化工程において、前記アシル化したセルロースの解重合を行う。
〔第1アシル化工程〕
第1アシル化工程では、硫酸の存在下でセルロースをアシル化する。
具体的には、第1アシル化工程では、例えば、硫酸、アシル化剤、及びアシル化溶媒を含む溶液にセルロースを浸漬又は分散させた状態で、撹拌しながら、セルロースをアシル化する。なお、硫酸、アシル化剤、及びアシル化溶媒を含む溶液にセルロースを浸漬又は分散させてもよいし、アシル化溶媒にセルロースを浸漬又は分散させた溶液に、硫酸及びアシル化剤を添加してもよい。
−セルロース−
アシル化の対象となるセルロースとしては、高分子量のセルロース(例えば重合度1,000以上1万以下のセルロース)である。高分子量のセルロースとしては、例えば、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、コットンリンターパルプ等の種々の原料セルロースを使用する。また、高分子量のセルロースとしては、市販のセルロースを使用してもよい。高分子量のセルロースの市販品としては、例えば、日本製紙社製のKCフロックW50、W100、W200、W300G、W400G、W−100F、W60MG、W−50GK、W−100GK、NDPT、NDPS、LNDP、NSPP−HR等が挙げられる。
なお、アシル化の対象となるセルロースには、通常、原料(パルプ)を由来とするヘミセルロース等の異成分も含むことがある。このため、本願明細書では、用語「セルロース」は、ヘミセルロース等の異成分を含むことも意味する。
アシル化の対象となるセルロースには、活性化処理を施してもよい。活性化処理は、例えば、水を含む活性化剤を用いて、セルロースを処理する方法(活性化剤をセルロースに噴霧する方法、セルロースを活性化剤に浸漬する方法等)である。活性化剤はアシル化溶媒を使用してもよい。具体的には、活性化処理としては、1)セルロースと水とを混合し、セルロースを濾過した後、セルロースとアシル化溶媒とを混合し、セルロースを濾過する方法、2)水及びセルロースの混合液(例えば水量が0超え50質量%以下の混合液)とセルロースとを混合し、セルロースを濾過する方法等が挙げられる。
なお、活性化処理の温度は、例えば、0℃以上100℃以下(好ましくは10℃以上40℃以下)である。
活性化処理の時間(2回処理するときは合計の時間)は、例えば、0.1時間以上20時間以下(好ましくは1時間以上15時間以下)である。
−アシル化触媒−
アシル化触媒としては、硫酸が適用される。アシル化触媒としては、その他、蟻酸、硝酸、塩酸などを併用してもよい。
アシル化触媒としての硫酸量は、樹脂成形体の着色抑制の観点から、セルロースに対する質量比で、1質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上12質量%以下がより好ましい。
−アシル化剤−
アシル化剤としては、アシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、アシル化剤としては、アルキルカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数2以上6以下のアルキルカルボン酸無水物)、有機酸ハライド(例えば、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライド等)が好適に挙げられる。ただし、通常、アシル化剤としては、アルキルカルボン酸無水物を使用する。
アシル化剤としては、アシル化で得たいセルロースアシレートの種類に応じて選択される。例えば、セルロースアセテートを得る場合は、アシル化剤として無水酢酸を適用する。また、セルロースアセテートプロピオネートを得る場合は、アシル化剤として、無水酢酸および無水プロピオン酸の2種を適用する。
なお、アシル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アシル化剤量は、アシル化で得たいセルロースアシレートの置換度に応じて選択される。通常、第1アシル化工程では、置換度3のセルロースアシレート(セルローストリアシレート)を得ることが多い。この場合、アシル化剤量は、セルロースの水酸基に対するモル比で、1倍以上5倍以下が好ましく、1.5倍以上4倍以下がより好ましい。
−アシル化溶媒−
アシル化溶媒としては、アルキルカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数1以上6以下のアルキルカルボン酸)が好適に挙げられる。
これらの中でも、樹脂成形体の着色抑制の観点から、アシル化溶媒としては、ギ酸、酢酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
なお、アシル化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
アシル化溶媒量は、反応性を高め、後の溶媒除去工程を簡素化する観点から、セルロースに対する質量比で、3倍以上20倍以下が好ましく、5倍以上15倍以下がより好ましい
アシル化溶媒は、アルキルカルボン酸と共に水も併用してもよい。ただし、水量は、アルキルカルボン酸に対して50質量%以下とする。
−第1アシル化工程の条件−
第1アシル化工程の好適な条件としては、例えば、次の通りである。
温度:例えば、10℃以上80℃以下(好ましくは15℃以上40℃以下)
時間:例えば、1時間以上12時間以下(好ましくは2時間以上8時間以下)である。
第1アシル化工程後、アシル化したセルロースを含む溶液と多量の水とを混合することにより、アシル化したセルロースを析出、濾過した後、必要に応じて洗浄、乾燥等を行うことにより、アシル化したセルロースアシレートが得られる。
〔第1脱アシル化工程〕
第1脱アシル化工程では、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロース(以下「一次セルロースアシレート」とも称する)を脱アシル化及び解重合する。第1脱アシル化工程は、脱アシル化(加水分解又はケン化)により、一次セルロースアシレートの置換度を調整すると共に、解重合により一次セルロースアシレートの低分子量化を行い、目的とする置換度及び重合度のセルロースアシレート(以下「二次セルロースアシレート」とも称する)を得る工程である。
具体的には、第1脱アシル化工程では、例えば、第1アシル化工程を経た一次セルロースアシレートに、極性溶媒及び酢酸を加えた後、撹拌する。なお、極性溶媒及び酢酸を含む溶液に粉末状の一次セルロースアシレートを溶解させてもよいし、極性溶媒に粉末状の一次セルロースアシレートを溶解させた溶液に、酢酸を添加してもよい。
−極性溶媒−
極性溶媒としては、一次セルロースアシレートを溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに生じる、樹脂成形体の着色を抑制する観点から、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが好ましく挙げられ、テトラヒドロフランがより好ましく挙げられる。
上記極性溶媒は、一次セルロースアシレートの全質量に対し、100質量%以上500質量%以下となるように加えることが好ましく、150質量%以上300質量%以下となるように加えることがより好ましい。
−酢酸−
第1脱アシル化工程においては、脱アシル化触媒として酢酸を使用する。
第1脱アシル化工程において、酢酸量は、一次セルロースアシレートに対する質量比で、30質量%以上500質量%以下が好ましく、80質量%以上150質量%以下がより好ましい。
第1脱アシル化工程の好適な条件としては、得たい二次セルロースアシレートの置換度及び重合度に応じて選択されるが、例えば、次の通りである。
温度:例えば、40℃以上100℃以下(好ましくは50℃以上90℃以下)
時間:例えば、 1 時間以上15時間以下(好ましくは2時間以上12時間以下)である。
第1脱アシル化工程後、二次セルロースアシレートを含む溶液と多量の水とを混合することにより、アシル化したセルロースを析出、濾過した後、必要に応じて洗浄、乾燥等を行うことにより、粉末状のアシル化したセルロースアシレートが得られる。
また、濾過した二次セルロースアシレートを中和処理する工程、中和処理した二次セルロースアシレートを水等で洗浄する工程等を実施した後、乾燥して、目的とする粉末状のセルロースアシレートを得ることがよい。
ここで、中和処理は、例えば、アルキルカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数1以上6以下のアルキルカルボン酸)の金属塩(Na等の周期律表第1族元素、Ca等の周期律表第2族元素等の金属塩)を用いて実施することがよい。
<第2実施形態>
第2実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法は、例えば、硫酸の存在下で重合度が100以上350以下であるセルロースをアシル化するアシル化工程(以下、「第2アシル化工程」ともいう。)と、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程(以下、「第2脱アシル化工程」ともいう。)と、を有する。
〔第2アシル化工程〕
第2実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法では、セルロースとして重合度が100以上350以下のセルロースをアシル化する以外は、第2アシル化工程を第1実施形態の第1アシル化工程と同様に実施する。
なお、第2アシル化工程後、セルロースアシレートを含む溶液に水を加え、セルロースアシレートを析出、濾過した後、乾燥することにより、目的とするセルロースアシレートが得られる。
ここで、第2実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法では、必要に応じて、第2アシル化工程前に、塩酸の存在下で、高分子量のセルロース、重合度が100以上350以下のセルロースを得る工程(以下「解重合工程」とも称する)等を実施してもよい。
〔解重合工程〕
解重合工程は、解重合により高分子量のセルロースを低分子量化し、目的とする分子量のセルロース(重合度が100以上350以下のセルロース)を得る工程である。
具体的には、解重合工程では、例えば、塩酸、溶媒(水、ギ酸、酢酸等の溶媒)を含む溶液に高分子量のセルロースを浸漬又は分散させた状態で、撹拌しながら、高分子量のセルロースを解重合する。なお、塩酸及び溶媒を含む溶液(例えば塩酸水溶液)にセルロースを浸漬又は分散させてもよいし、溶媒を含む溶液にセルロースを浸漬又は分散させた後、塩酸水溶液を添加してもよい。
高分子量のセルロースは、例えば、重合度1,000以上1万以下のセルロースであり、第1実施形態の第1アシル化工程で説明したセルロースが挙げられる。
解重合工程において、塩酸量は、分子量分布の広がり抑制の観点から、高分子量のセルロースに対する質量比で、10質量%以上200質量%以下が好ましく、30質量%以上150質量%以下がより好ましい。
解重合工程の好適な条件としては、得たいセルロースの重合度に応じて選択されるが、例えば、次の通りである。
温度:例えば、18℃以上100℃以下(好ましくは20℃以上80℃以下)
時間:例えば、0.5時間以上30時間以下(好ましくは1時間以上25時間以下)である。
解重合工程後、目的とする重合度のセルロースを含む溶液に、析出及び濾過して(必要に応じて、洗浄、乾燥等も実施して)得た、粉末状のセルロースを得る。
(第2脱アシル化工程)
第2脱アシル化工程では、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロース(以下「一次セルロースアシレート」とも称する)を脱アシル化及び解重合する。第2脱アシル化工程は、脱アシル化(加水分解又はケン化)により、一次セルロースアシレートの置換度を調整し、目的とする置換度及び重合度のセルロースアシレート(以下「二次セルロースアシレート」とも称する)を得る工程である。
このため、第2実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法でも、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに生じる、樹脂成形体の着色が抑制される。
具体的には、第2脱アシル化工程では、酢酸、及び極性溶媒を含む溶液に一次セルロースアシレートを溶解させた状態で、一次セルロースアシレートを脱アシル化する。なお、酢酸、及び、極性溶媒を含む溶液に一次セルロースアシレートを溶解させてもよいし、極性溶媒に一次セルロースアシレートを溶解させた溶液に、酢酸を添加してもよい。
ここで、一次セルロースアシレートは、第2アシル化工程を経た溶液(一次セルロースアシレート、アシル化触媒、アシル化剤、及びアシル化溶媒を含む溶液)から、一次セルロースアシレートを析出及び濾過して得た(必要に応じて、洗浄、乾燥等も実施して得た)、一次セルロースアシレートを使用する。
−極性溶媒−
また、極性溶媒は、第1脱アシル化工程で使用する極性溶媒と同じ溶媒が挙げられる。つまり、極性溶媒としては、得られるセルロースアシレートを含む樹脂組成物を高温で成形したときに生じる、樹脂成形体の着色が抑制される観点から、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが好ましく挙げられ、テトラヒドロフランがより好ましく挙げられる。
上記極性溶媒は、一次セルロースアシレートの全質量に対し、100質量%以上500質量%以下となるように加えることが好ましく、120質量%以上300質量%以下となるように加えることがより好ましい。
−酢酸−
第2脱アシル化工程において、酢酸量は、反応性と粒度の観点から、一次セルロースアシレート(第2アシル化工程でアシル化したセルロース)に対する質量比で、50質量%以上500質量%以下が好ましく、80質量%以上200質量%以下がより好ましい。
第2脱アシル化工程の好適な条件としては、得たい二次セルロースアシレートの置換度に応じて選択されるが、例えば、次の通りである。
温度:例えば、20℃以上100℃以下(好ましくは30℃以上70℃以下)
時間:例えば、0.5時間以上20時間以下(好ましくは2時間以上8時間以下)である。
第2脱アシル化工程後、二次セルロースアシレートを含む溶液に水を加え、二次セルロースアシレートを析出、濾過した後、必要に応じて洗浄や乾燥を行うことにより、目的とする粉末状のセルロースアシレートが得られる。
なお、濾過した二次セルロースアシレートを中和処理する工程、中和処理した二次セルロースアシレートを水等で洗浄する工程等を実施した後、乾燥して、目的とする粉末状のセルロースアシレートを得ることがよい。
以上説明した本実施形態に係るセルロースアシレートの製造方法では、アシル化剤の種類に応じて、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の種々のセルロースアシレートが得られる。
(樹脂組成物)
以下、本実施形態に係るセルロースアシレートを使用した樹脂組成物(以下「本実施形態に係る樹脂組成物」とも称する)について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施形態に係るセルロースアシレートを含む。
本実施形態に係るセルロースアシレートの含有量は、樹脂成形体の着色を抑制する観点から、樹脂組成物の全質量に対し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。前記含有量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等を含んでもよい。
なお、可塑剤の含有量は、樹脂組成物全体に占めるセルロースアシレートの比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。より具体的には、樹脂組成物全体に占める可塑剤の比率は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。可塑剤の比率が上記範囲であることにより、得られる樹脂成形体の色相変化が抑制され、弾性率がより高くなり、耐熱性もより高くなる。また、可塑剤のブリード(可塑剤が析出する現象)も抑制される。
<可塑剤>
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物、セバシン酸エステル化合物、グリコールエステル化合物、酢酸エステル、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、アジピン酸エステル含有化合物、ポリエーテルエステル化合物が好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がより好ましい。
〔アジピン酸エステル含有化合物〕
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。但し、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエステル、アジピン酸ポリエステルが挙げられる。具体的には、下記一般式(AE−1)で示されるアジピン酸ジエステル、及び下記一般式(AE−2)で示されるアジピン酸ポリエステル等が挙げられる。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2は、それぞれ独立に、アルキル基、又はポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1](但し、RA1はアルキル基を、xは1以上10以下の整数を、yは1以上10以下の整数を、表す。)を表す。
AE3は、アルキレン基を表す。
m1は、1以上20以下の整数を表す。
m2は、1以上10以下の整数を表す。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、又は、環状のいずれでもよいが、直鎖状、又は、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(C2X−O)−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、又は、環状のいずれでもよいが、直鎖状、又は、分岐状が好ましい。
一般式(AE−2)中、RAE3が表すアルキレン基は、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキレン基がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状、分岐状、又は、環状のいずれでもよいが、直鎖状、又は、分岐状が好ましい。
一般式(AE−1)及び(AE−2)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
アジピン酸エステルの分子量(又は重量平均分子量)は、200以上5,000以下が好ましく、300以上2,000以下がより好ましい。なお、重量平均分子量は、前述のセルロースアシレートの重量平均分子量の測定方法に準拠して測定された値である。
以下、アジピン酸エステル含有化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
−ポリエーテルエステル化合物−
ポリエーテルエステル化合物として具体的には、例えば、一般式(EE)で表されるポリエーテルエステル化合物が挙げられる。
一般式(EE)中、REE1、及びREE2は、それぞれ独立に、炭素数2以上10以下のアルキレン基を表す。AEE1、及びAEE2はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数6以上12以下のアリール基、又は炭素数7以上18以下のアラルキル基を表す。mは、1以上の整数を表す。
一般式(EE)中、REE1が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE1が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、又は、環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
EE1が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE1が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE1が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE1が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE1が表すアルキレン基は、n−ヘキシレン基(−(CH−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE1としてn−ヘキシレン基(−(CH−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、REE2が表すアルキレン基としては、炭素数3以上10以下のアルキレン基が好ましく、炭素数3以上6以下のアルキレン基がより好ましい。REE2が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
EE2が表すアルキレン基の炭素数を3以上にすると、樹脂組成物の流動性の低下が抑制され、熱可塑性が発現しやすくなる。REE2が表すアルキレン基の炭素数を10以下又はREE2が表すアルキレン基を直鎖状にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、REE2が表すアルキレン基を直鎖状とし、且つ炭素数を上記範囲とすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
これら観点から、特に、REE2が表すアルキレン基は、n−ブチレン基(−(CH−)が好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、REE2としてn−ブチレン基(−(CH−)を表す化合物であることが好ましい。
一般式(EE)中、AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基であり、炭素数2以上4以下のアルキル基がより好ましい。AEE1、及びAEE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環式のいずれであってもよいが、分岐状が好ましい。
EE1、及びAEE2が表すアリール基は、炭素数6以上12以下のアリール基であり、フェニル基、ナフチル基等の無置換アリール基、又はt−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基等の置換フェニル基が挙げられる。
EE1、及びAEE2が表すアラルキル基としては、−R−Phで示される基である。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上4以下)のアルキレン基を表す。Phは、無置換フェニル基、又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数1以上6以下(好ましくは炭素数2以上6以下)のアルキル基で置換された置換フェニル基を表す。アラルキル基として具体的には、例えば、ベンジル基、フェニルメチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等の無置換アラルキル基、又はメチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メチルフェネチル基等の置換アラルキル基が挙げられる。
EE1、及びAEE2の少なくとも一方は、アリール基又はアラルキル基を表すことが好ましい。つまり、ポリエーテルエステル化合物は、AEE1、及びAEE2の少なくとも一方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましく、AEE1、及びAEE2の双方としてアリール基(好ましくはフェニル基)又はアラルキル基を表す化合物であることが好ましい。
次に、ポリエーテルエステル化合物の特性について説明する。
ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、450以上650以下が好ましく、500以上600以下がより好ましい。
重量平均分子量(Mw)を450以上にすると、ブリード(析出する現象)し難くなる。重量平均分子量(Mw)を650以下にすると、セルロースアシレートとの親和性が高まりやすくなる。このため、重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、ポリエーテルエステル化合物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HPLC1100を用い、東ソー製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエーテルエステル化合物の25℃における粘度は、35mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、40mPa・s以上45mPa・s以下がより好ましい。
粘度を35mPa・s以上にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。粘度を50mPa・s以下にすると、ポリエーテルエステル化合物の分散の異方性が出現し難くなる。このため、粘度を上記範囲にすると、樹脂組成物の成形性が向上する。
なお、粘度は、E型粘度計により測定される値である。
ポリエーテルエステル化合物の溶解度パラメータ(SP値)が、9.5以上9.9以下が好ましく、9.6以上9.8以下がより好ましい。
溶解度パラメータ(SP値)を9.5以上9.9以下にすると、セルロースアシレートへの分散性が向上しやすくなる。
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorの方法により算出された値である、具体的には、溶解度パラメータ(SP値)は、例えば、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、単位として(cal/cm1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し、無次元で表記する。
以下、ポリエーテルエステル化合物の具体例を示すが、これに限られるわけではない。
〔その他の成分〕
その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。これらの成分の含有量は、樹脂組成物全体に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
〔他の樹脂〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記セルロースアシレート以外の他の樹脂を含有していてもよい。但し、他の樹脂は、樹脂組成物全体に占めるセルロースアシレートの比率が前述の範囲となる量とすることが好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、及びシアン化ビニル化合物よりなる群から選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体樹脂;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体樹脂;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体樹脂;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、セルロースアシレートと、必要に応じて、可塑剤、その他の成分等と、を少なくとも含む混合物を溶融混練することにより製造される。ほかに、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
なお、混練の際の温度は、使用するセルロースアシレートの溶融温度に応じて決定すればよいが、熱分解と流動性の点から、例えば、140℃以上240℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。
(樹脂成形体)
以下、本実施形態に係る樹脂組成物を使用した樹脂成形体(以下「本実施形態に係る樹脂成形体」とも称する)について説明する。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
具体的には、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などを適用してよい。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、形状の自由度が高い点で、射出成形が好ましい。すなわち、本実施形態に係る樹脂成形体は射出成形体であることが好ましい。射出成形については、樹脂組成物を加熱溶融し、金型に流し込み、固化させることで成形体が得られる。射出圧縮成形によって成形してもよい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば140℃以上240℃以下であり、好ましくは150℃以上220℃以下であり、より好ましくは160℃以上200℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば30℃以上120℃以下であり、40℃以上80℃以下がより好ましい。射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、日精樹脂工業製NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子機器、・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、エンジンカバー、車体、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子・電気機器や家電製品の筐体;電子機器、・電気機器や家電製品の各種部品;自動車の内装部品;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「質量部」を表す。
(セルロースアシレートの合成)
<セルロースアセテート(CA1)の合成>
〔アシル化工程〕
セルロース粉末(日本製紙ケミカル社製、KCフロックW50、重合度=1020)3kg、濃硫酸156g(硫酸量=150g)、酢酸30kg、無水酢酸6kgを50L反応容器に入れ、20℃で4時間攪拌した。これにより、セルローストリアセテートを生成した。
〔脱アシル化工程〕
得られた白色沈殿(セルローストリアセテート)と6kgの酢酸を10Lのテトラヒドロフラン中に入れ、50℃に過熱して、8時間撹拌した。これにより、セルローストリアセテートの脱アシル化と共に解重合を進行させた。この溶液を2時間かけて30Lの純水中に滴下し、白色沈殿(セルロースジアセテート)を得て、濾過でこれを分離した。
〔洗浄工程〕
得られた白色粉末(セルロースジアセテート)を、フィルタープレス(栗田機械社製、SF(PP))を用い、純水にて電導度が50μS以下になるまで洗浄後、乾燥した。
−後処理工程−
乾燥後の白色粉末3kgに200gの酢酸カルシウムと30Lの純水を加え、25℃で2時間攪拌した後、ろ過し、得られた粉末を60℃で72時間乾燥し、セルロースアセテート(CA1)を2.5kg得た。
<セルロースアセテート(CA2)の合成>
脱アシル化工程における反応溶液の純水への滴下時間2時間を30分とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA2)を得た。
<セルロースアセテート(CA3)の合成>
脱アシル化工程における反応溶液の純水への滴下時間2時間を3時間とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA3)を得た。
<セルロースアセテート(CA4)の合成>
脱アシル化工程における50℃での反応時間8時間を3時間とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA4)を得た。
<セルロースアセテート(CA5)の合成>
脱アシル化工程における50℃での反応時間8時間を4時間とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA5)を得た。
<セルロースアセテート(CA6)の合成>
脱アシル化工程における50℃での反応時間8時間を10時間とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA6)を得た。
<セルロースアセテート(CA7)の合成>
脱アシル化工程における50℃での反応時間8時間を12時間とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA7)を得た。
<セルロースアセテート(CA8)の合成>
脱アシル化工程における反応温度50℃を30℃とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA8)を得た。
<セルロースアセテート(CA9)の合成>
脱アシル化工程における反応温度50℃を40℃とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA9)を得た。
<セルロースアセテート(CA10)の合成>
脱アシル化工程における反応温度50℃を55℃とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA10)を得た。
<セルロースアセテート(CA11)の合成>
脱アシル化工程における反応温度50℃を60℃とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA11)を得た。
<セルロースプロピオネート(CP1)の合成>
アシル化工程において、無水酢酸6kgを用いたところを、無水プロピオン酸12.5kgと変更した以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にして、セルロースプロピオネート(CP1)を得た。
<セルロースアセテート(CA12)の合成>
脱アシル化工程における反応溶液の純水への滴下時間2時間を15分とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA12)を得た。
<セルロースアセテート(CA13)の合成>
脱アシル化工程における反応溶液の純水への滴下時間を2時間を3時間30分とした以外は、セルロースアセテート(CA1)と同様にしてセルロースアセテート(CA13)を得た。
<セルロースアセテート(CA13−1)の合成>
脱アシル化工程において10Lのテトラヒドロフランを用いる代わりに、9kgのジメチルスルホキシドを用いた以外は(CA1)と同様にして(CA13−1)を得た。
<セルロースアセテート(CA13−2)の合成>
脱アシル化工程において10Lのテトラヒドロフランを用いる代わりに、10Lの純水を用いた以外は(CA1)と同様にして(CA13−2)を得た。
<セルロースアセテート(CA14〜CA16)の準備>
下記市販のセルロースアセテートをCA14〜CA16として準備した。
CA14:(株)ダイセル製、L50
CA15:イーストマンケミカル社製、CA398−3
CA16:(株)ダイセル製、LT−55
<セルロースアセテート(CA17〜18)の合成>
特開2009−161701の実施例1および実施例7に記載の合成方法で、それぞれセルロースアセテート(CA17)〜(CA18)を合成した。
<セルロースアシレートの物性>
得られた各セルロースアシレートの物性(重合度、置換度、体積平均粒径)について、既述の方法に従って測定した。その結果を表3に示す。
<アジピン酸エステル含有化合物の準備>
市販のアジピン酸エステル含有化合物(大八化学社製、Daifatty101)を化合物AE1として準備した。
(実施例、比較例)
表4に示す仕込み組成比で、シリンダ温度を調整し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、射出ピーク圧力が180MPaを越えないシリンダ温度で、D1及びD2試験片(測定部寸法:幅60×60mm/厚さ1mmのD1試験片及び幅60×60mm/厚さ2mmのD2試験片)を成形した。シリンダ温度については表4に示した。
なお、アジピン酸エステル含有化合物を含有しない樹脂組成物を使用した実施例又は比較例については、表4中のアジピン酸エステル含有化合物の欄に「−」と記載した。
<射出成形後の着色評価>
下記の方法により全光線透過率の測定及び色相評価を行い、着色の評価とした。評価結果を表4に示す。
得られたD1及びD2試験片の全光線透過率を分光ヘイズメーター(日本電色工業社製、SH7000)にて測定した。
また、得られたD2試験片の色相を明度L*値を代表値として色彩色差計(CR410、コニカミノルタ社製)により行った。
以下、実施例及び比較例の詳細について、表3及び表4に一覧にして示す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、高温の射出成形を行っても、試験片の全光線透過率が高く、着色が抑制されていることがわかる。
本発明は、セルロースアシレート、樹脂組成物、及び、樹脂成形体に関する。
請求項1に係る発明は、以下の通りである。
レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、72μm以上100μm以下であり、重合度が131以上350以下であり、置換度が2.1以上2.6以下である、セルロースアシレート。
請求項2に係る発明は、以下の通りである。
重合度が221以上335以下である、請求項1に記載のセルロースアシレート。
請求項3に係る発明は、以下の通りである。
置換度が2.2以上2.5以下である、請求項1又は2に記載のセルロースアシレート。
請求項4に係る発明は、以下の通りである。
重量平均分子量が34,000以上90,000以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセルロースアシレート。
請求項5に係る発明は、以下の通りである。
アセチル基を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセルロースアシレート。
請求項6に係る発明は、以下の通りである。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートを含む
樹脂組成物。
請求項7に係る発明は、以下の通りである。
アジピン酸エステル含有化合物を含む、請求項6に記載の樹脂組成物。
請求項8に係る発明は、以下の通りである。
請求項6又は請求項7に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
請求項9に係る発明は、以下の通りである。
前記樹脂成形体が射出成形体である請求項8に記載の樹脂成形体。

Claims (10)

  1. レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、10μm以上100μm以下である、セルロースアシレート。
  2. 重合度が100以上350以下である、請求項1に記載のセルロースアシレート。
  3. 置換度が2.1以上2.6以下である、請求項1又は2に記載のセルロースアシレート。
  4. アセチル基を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセルロースアシレート。
  5. 硫酸の存在下でセルロースをアシル化するアシル化工程と、
    極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程と、を有する
    セルロースアシレートの製造方法。
  6. 前記脱アシル化工程において、前記アシル化したセルロースの解重合を行う、請求項5に記載のセルロースアシレートの製造方法。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートを含む
    樹脂組成物。
  8. アジピン酸エステル含有化合物を含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の樹脂組成物を含有する樹脂成形体。
  10. 前記樹脂成形体が射出成形体である請求項9に記載の樹脂成形体。
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