JP2000314092A - 生分解性複合シートおよび成形体 - Google Patents

生分解性複合シートおよび成形体

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JP2000314092A
JP2000314092A JP11989399A JP11989399A JP2000314092A JP 2000314092 A JP2000314092 A JP 2000314092A JP 11989399 A JP11989399 A JP 11989399A JP 11989399 A JP11989399 A JP 11989399A JP 2000314092 A JP2000314092 A JP 2000314092A
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Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Mikiko Ishizaki
美紀子 石崎
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然環境での使用において優れた耐水性と湿
潤強度を示し、剛性が高く、使用後速やかに生分解され
る、安価な生分解性複合シートを提供することにある。 【解決手段】 生分解性セルロースエステル及び生分解
性可塑剤からなる平均粒径300μm以下の粉末とセル
ロース繊維から構成される生分解性複合シート。可塑剤
が15〜50重量%であることが望ましく、製法として
は、湿式抄紙により簡便に得られる。該複合シートを加
熱加圧処理して生分解性成形体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然環境での使用
において優れた耐水性と湿潤強度を示し、使用後速やか
に生分解される、生分解性複合シートおよびそれから得
られる成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護に向けた認識が深まるな
かでプラスチック廃棄物の処理問題が重要視され、溶融
成形方法でフィルム、シート、容器とし農業、園芸用途
向けに使用するものについては、自然界で容易に分解す
る生分解性樹脂を、あるいは溶融紡糸方法で繊維化した
不織布等の使い捨て用途向けに使用するものについて
は、コンポスト化が可能な生分解性樹脂を原料として用
いる気運が高まっている。こうした状況下、各種の生分
解性脂肪族ポリエステル樹脂が溶融成形、溶融紡糸のた
めの用途としても開発されているが、価格が高く普及す
るには至っていない。また、生分解性脂肪族ポリエステ
ル樹脂を用いた場合の問題点として、生分解速度が樹脂
の化学構造と成形方法に由来する高次構造の影響を受け
るため、生分解速度を制御することが難しく、環境中で
使用した場合、必要な期間物性を維持させて、その後速
やかに分解させるような生分解速度の調整ができないこ
とが挙げられる。一方、天然物を原料とする多糖類系
は、生分解性と安全性に加えて価格が安く原料が安定供
給可能なことから期待されているが、現在までのとこ
ろ、生分解性ポリエステル樹脂並みの溶融成形加工性、
物性を有するものが得られていない。
【0003】他方、印刷、出版用紙、包装紙等に広く用
いられている木材パルプは、セルラーゼによって生分解
が進むため、ほとんどすべての土壌中で優れた生分解性
を有することが知られているが、一般的には耐水性がな
く、自然環境で使用するためには、プラスチックや各種
耐水化剤等を用いて塗布、含浸或いは内添したりするこ
とが行われている。しかし、これら化合物には、一般的
には生分解性がなく、自然環境下で使用するのには適し
ているとはいえない。そのため、生分解性脂肪族ポリエ
ステルを繊維或いは粉末にして木材パルプ等からなる繊
維シートに組み合わせ、生分解性を維持しつつ耐水性、
成形性等を繊維シートに付与する提案がなされている。
例えば、特開平5−311600号公報にはポリカプロ
ラクトンを使用することが、また特開平6−34594
4号公報、特開平8−269888号公報には各種脂肪
族ポリエステルを使用することが提案されているが、脂
肪族ポリエステルは価格が高く、安価な紙素材に適用す
るには価格面から難しい。また、成形体シートの剛性と
いう点でも十分なものとは言えない。
【0004】一方、近年生分解性プラスチックとして知
られるようになった(C.M.Buchanan e
t.al.、J.Appl.Poly.Sci.、4
7、1709(1993)他)セルロースアセテート、
セルロースプロピオネートは、豊富な天然物であるセル
ロースをアセチル化、プロピオニル化することによって
合成されるので、生分解性樹脂としては安価であり、安
全性も高く、更にはアセチル基、プロピオニル基が生分
解の過程で加水分解されると木材パルプと本質的に同じ
になり、木材パルプと複合化するのには最適なものであ
るが、融点が熱分解温度に近接しているため溶融成形方
法による成型加工が困難で、溶剤に溶かして成形加工す
るか、あるいは可塑剤を添加した組成物として使用する
必要がある。
【0005】このうち、セルロースアセテートは、フタ
ル酸エステルを可塑剤に用いた熱可塑性樹脂として、射
出成形、押出シート成形等に使用されてきたが、フタル
酸エステルは生分解性ではないので、これらの樹脂は生
分解性樹脂の範疇にはいらない。また、セルロースアセ
テート繊維については、湿式紡糸法で得られるアセテー
ト繊維が古くから各種用途で用いられており、パルプ繊
維と複合化して耐水性を付与することも検討されたが
(例えば、化学繊維紙技術講演会講演集No4、8〜1
1(1965))、アセテート繊維はガラス転移温度が
200℃以上で熱分解温度に近く、また通常の過程で処
理するには処理温度が高くなり過ぎて実現するには到っ
ていない。最近になって生分解性を考慮したセルロース
アセテート繊維からなるシート(特開平6−21251
0号公報、6−299407号公報等)に関する提案も
なされているが、単独で用いられるので紙素材に比べて
高価なものになる。また、パルプ繊維表面を部分アセチ
ル化して寸法安定性、耐久性を向上させる検討も古くか
ら行われているが(特開昭52−72900号公報、特
開平9−221501号公報等)、加熱加圧処理で耐水
性、湿閏強度を向上させることを意図したものではな
い。したがって、紙素材に耐水性、湿潤強度を付与し自
然環境で使用するのに適したものにするために、生分解
性と十分な熱可塑性を有する安価で安全な樹脂を用いこ
とは、具現化するには到っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、自然環境での使用において優れた耐水性と湿潤強度
を示し、剛性が高く、使用後速やかに生分解される、安
価な生分解性複合シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に
鑑み、紙素材に耐水性、湿潤強度を付与するために、セ
ルロースを原料とするため安価で安全で、しかも可塑剤
を配合すると非晶質となり高次構造の影響の少ないセル
ロースエステル樹脂を適用することを考え、特に生分解
性可塑剤で十分に可塑化したセルロースアセテートにつ
いて、繊維、粉末、含浸、塗布等種々の形態で生分解性
複合シートとしての評価を行った。
【0008】その結果、生分解性可塑剤で十分に可塑化
したセルロースアセテート組成物を平均粒径300μm
以下の粉末にしてパルプ繊維に抄き込み、その後通常の
抄紙工程における加熱加圧条件で処理することで、自然
環境で使用するのに必要な耐水性、湿潤強度を有する成
形体ができることを見出した。更に、セルロース繊維よ
りも複合化に使用するセルロースアセテート組成物の生
分解性速度を遅らせるよう酢化度を制御することで、複
合シート全体の耐水性、湿潤強度を生分解がかなり進む
まで維持できることも見出し、生分解性脂肪族ポリエス
テルを用いたのでは得られない、新規な生分解性複合シ
ートを提供できることが明白になり、本発明を完成する
に到った。
【0009】即ち、本発明は、「生分解性セルロースエ
ステル及び生分解性可塑剤からなる平均粒径300μm
以下の粉末とセルロース繊維から構成される生分解性複
合シート」である。
【0010】上記発明において、生分解性セルロースエ
ステルと生分解性可塑剤の合計量に対して、可塑剤が1
5〜50重量%であることが望ましい。
【0011】また、上記発明のシートは、最も簡便に
は、通常の紙と同様に湿式抄紙により得られる。
【0012】本発明のもう一つの発明は、上記本発明の
生分解性複合シートを加熱加圧処理して得られる生分解
性成形体。成形体とは、シート状、皿状、カップ状など
の各種形態を含む。
【0013】また、本発明において、生分解性セルロー
スエステルとして、酢化度30〜56%のセルロースア
セテートを用いることが望ましい。更に、生分解性セル
ロースエステルと生分解性可塑剤混合物の流動開始温度
が、100〜180℃であることが望ましい。ここで流
動開始温度とは、フローテスター(ダイはL/D=1/
0.3)を使用して、10kg/cm2の荷重の下、ノ
ズルより試料が流出しはじめる温度をさす。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるセルロースエ
ステルとして、本質的生分解性を有する特定置換度の、
セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セ
ルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレ
ート、セルロースアセテートブチレート等を用いること
ができるが、価格、物性の面からは、セルロースアセテ
ートが特に好ましい。セルロースアセテートは、針葉樹
晒クラフトパルプや溶解パルプのようなパルプ或いはリ
ンターを酢酸によって予備処理した後、硫酸のような酸
性触媒の存在下無水酢酸を用いて酢化し、次いで中和と
熟成を行うという公知の方法で得られ、酢化度56%以
下の本質的生分解性が確認されているものが用いられ
る。セルロースアセテートの生分解は、アセチル基の加
水分解と主鎖の開裂という二つの機構を通じて進むが、
その生分解速度は、酢化度の低下とともに速くなり、5
1%以下になるとそれが顕著になり、更に酢化度が低下
するとセルロースとほぼ同程度まで速くなる。すなわ
ち、土壌によらずセルロースアセテートの生分解性速度
は、セルロースよりも遅いということになる。この点を
利用すると、セルロース繊維よりも複合化に使用するセ
ルロースアセテート系組成物の生分解性速度を遅らせる
よう酢化度を制御することで、複合シート全体の耐水
性、湿潤強度を生分解がかなり進むまで維持できること
を可能し、生分解性脂肪族ポリエステルを用いたのでは
得られない、必要強度の持続性を達成することができ
る。
【0015】また、可塑剤に用いる生分解性化合物の種
類によって生分解速度が変化する場合もあり、この効果
を利用することもできるが、可塑剤の配合量が低い場合
には、全体の生分解速度に与える影響は小さい。
【0016】一方、酢化度が30%未満では、熱可塑性
及び可塑剤との相溶性が低下するので実用に適さない。
したがって、本発明では酢化度30〜56%のものが用
いられる。また、生分解速度を調節する目的で、酢化度
の異なる2種類以上のセルロースアセテートを混合して
使用してもよい。酢化度の測定は、公知の中和滴定法に
従いNaOH量から求められる。セルロースアセテート
の平均重合度については、通常使用されている70〜2
50の範囲が好ましい。
【0017】セルロースアセテートの配合量に関して
は、セルロースアセテートおよび可塑剤の全重量当り5
0〜75重量%が好ましく、50重量%未満では相溶
性、強度が低下し、また75重量%を越えると、熱流動
性が低下し、加熱処理温度を高くしないと所望の耐水
性、湿潤強度が得られず、特殊な加熱装置が必要にな
り、好ましくない。
【0018】本発明に使用される可塑剤としては、セル
ロースアセテートの可塑化に使用され、生分解性が知ら
れる種々の可塑剤、例えばエチレングリコール、グリセ
リン等の多価アルコール、ジエチルアジペート、ジエチ
ルサクシネート、グリセリンジアセテート、グリセリン
トリアセテート等の脂肪族エステル、ポリエチレンアジ
ペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール等
の2塩基酸とグリコールからなり平均分子量400〜5
000の範囲のポリアルキレンアルカノエートポリオー
ル、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトン
トリオール等で平均分子量400〜5000のポリカプ
ロラクトンポリオール等が挙げられる。
【0019】本発明のセルロースアセテートと可塑剤か
らなる組成物に、物性を改良する目的で生分解性重合物
を配合することは可能である。この場合配合可能な重合
物として、脂肪族ポリエステルでは、ポリカプロラクト
ン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネー
ト等あるいはこれらの混合物またはコポリマー、また同
じく脂肪族ポリエステルとして、ポリエステル成分がポ
リカプロラクトンジオール、ポリエチレンアジペートジ
オール、ポリエチレンサクシネートジオール等あるいは
これらの混合物またはコポリマーを主成分とし、脂肪族
ジイソシアネートあるいは脂肪族ジエポキシド等で鎖延
長したもの等が挙げられる。多糖類系では、ヒドロキシ
エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セ
ルロース誘導体、アセチル澱粉、プロピオニル澱粉、ブ
チリル澱粉等澱粉誘導体等が挙げられる。一方、ポリビ
ニルアルコール系では、ポリビニルアルコール、ポリ酢
酸ビニルアルコール等が挙げられる。これら重合物の平
均分子量は、物性を改良する目的から1〜10万程度が
好ましい。配合量は、必要な物性を付与するために、前
記セルロースアセテートと可塑剤の合計重量100部に
対して5〜30重量部の範囲であることが好ましい。
【0020】本発明には必要に応じて要求される性能を
損なわない範囲内で熱劣化防止、熱着色防止用の安定剤
として弱有機酸、フェノール化合物、エポキシ化合物、
フォスファイト化合物、チオフォスファイト化合物等を
単独または2種類以上混合して添加してもよい。また、
その他酸化チタン等の無機系光分解促進剤、有機酸系の
生分解促進剤、滑剤、帯電防止剤、潤滑剤等の添加剤、
炭酸カルシウム、クレー、タルク等の無機顔料を配合す
ることは何らさしつかえない。
【0021】本発明では、セルロースアセテート以外に
も、セルロースプロピオネート、セルロースアセテート
プロピオネート、セルロースブチレート、セルロースア
セテートブチレート等をのセルロースエステル用いるこ
とが可能であり、セルロースアセテートに関してと同様
に用いることができる。
【0022】本発明で用いられるセルロースエステル、
可塑剤、生分解性重合物及び添加剤の混合に際して、ニ
ーダー、2軸混練機、ロールミル、バンバリーミキサー
等通常使用されているものなら特に制限はなく用いられ
る。なお、混合を容易にするために粉砕機により予めセ
ルロースエステルの粒子を50メッシュより細かく粉砕
しておくことが好ましい。また、混練物は粉末化し易く
するために、ストランドダイ等を用いてストランドと
し、その後ペレタイザーでペレットにしておくことが望
ましい。
【0023】ペレットにした生分解性セルロースエステ
ル系組成物は、機械粉砕法、凍結粉砕法、溶剤法(良溶
剤へ溶解した後、貧溶剤で沈殿させ、回収後乾燥)等こ
の分野で広く使用されている方法により、ペレット或い
は粗粒子形状態のものを平均粒径300μm以下の粉末
にすることができる。本発明に使用される生分解性セル
ロースエステル系組成物からなる粉末の平均粒径は、好
ましくは5〜300μmが、更に好ましくは10〜15
0μmの範囲である。平均粒径が300μmを越える
か、或いは5μm未満になると、耐水性、湿潤強度の改
善効果が低く好ましくない。
【0024】生分解性セルロースエステル系組成物から
なる粉末の流動開始温度は100〜180℃の範囲であ
ることが好ましい。流動開始温度が100℃未満である
と、ガラス転移温度が室温程度となりタッキーになるた
め粉体が扱いにくくなり、また180℃を越えると加熱
処理方法が限定されることに加えてセルロース繊維が劣
化するので好ましくない。また、本発明の生分解性セル
ロースエステル系組成物からなる粉末に、生分解性脂肪
族ポリエステル系粉末を混合して、製造条件或いは物性
を調整することは可能である。
【0025】生分解性セルロースエステル系組成物から
なる粉末のセルロース繊維シ−トへの添加量は、セルロ
ース繊維100重量部に対して10〜250重量部が好
ましい。250重量部を越えると生分解性複合シートの
生産性が低下し、10重量部未満であると所望の耐水
性、湿潤強度が得られず好ましくない。
【0026】本発明で使用されるセルロース繊維として
は、機械パルプ(MP)、熱機械パルプ(TMP)、針
葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフト
パルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NU
KP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の木
材パルプ、ケナフ、リンター、ワラ等の非木材パルプか
ら少なくとも1種類を選択することができる。
【0027】生分解性セルロースエステル系組成物から
なる粒径300μm以下の粉末とセルロース繊維からな
る生分解性複合シートのシート形成方法としては、通常
この分野で使用されている製紙技術を利用することがで
きるが、塗布技術、不織布製造技術も使用することが可
能である。このうち、製紙技術を用いてシートを形成す
る場合には、長網抄紙機や円網抄紙機等による湿式抄紙
により、シートにすることができるが、クレー、炭酸カ
ルシウム、二酸化チタン等の填料、顔料、分散剤、サイ
ズ剤、歩留まり向上剤、定着剤、湿潤紙力増強剤、乾燥
紙力増強剤、生分解性脂肪族ポリエステル系バインダー
繊維、ワックスエマルジョン等を適時配合することは好
ましい。
【0028】塗布技術の利用については、予め作製され
たセルロース繊維からなるシートの少なくとも片面に、
水を初めとする溶媒に分散された生分解性セルロースエ
ステル系組成物からなる粉末を塗布することによって行
うことができる。この場合、粉末は表面付近に多く存在
させることができるので、効率よく耐水性を実現するこ
とができる。塗布に使用されるコーターとしては、通常
この分野で使用されるバーコーター、ブレードコータ
ー、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、オ
フセットグラビアコーター等が挙げられる。
【0029】以上述べた各方法により得られたシートの
坪量は、好ましくは30〜500g/m2、さらに好ま
しくは50〜300g/m2である。
【0030】生分解性セルロースエステル系組成物から
なる粒径300μm以下の粉末とセルロース繊維を主成
分とするシートは、加熱加圧処理により複合化され耐水
性、湿潤強度が付与されることになるが、その機構は、
生分解性セルロースエステル組成物粉末が溶融し、セル
ロース繊維の絡み合っている部分を随所に点接着し全体
を物理的に補強するためと考えられる。この加熱加圧処
理は、シート製造工程の乾燥、カレンダー部分を使って
インラインで行ってもよいし、シート製造後オフライン
で行ってもよい。加熱加圧処理は、粉末が流動を開始す
る100〜180℃程度に加熱することのできる乾燥ゾ
ーンにシートを通過させる方法、上記方法で加熱後更に
適当な温度と圧力に設定されたロール間を通過させる方
法、或いは100〜180℃程度に加熱することができ
る加熱されたロール間を通過させる方法等が使用でき
る。また、オフラインで加熱加圧処理する場合は、真空
成形または圧空成形等の加熱圧縮成形方法を用いて、加
熱された型内で加熱処理とシート成形を同時に行うこと
も可能である。更に、本発明の成形体の片面または両面
に、生分解性樹脂フィルム層を形成することも可能であ
る。それにより、気体、液体の透過を防止することがで
きる。
【0031】生分解性は土壌中に埋設するか、或いはJ
IS−K−6950に準拠して、重量減少等から評価す
ることは可能であるが、この試験は易分解性試験方法な
ので、本質的生分解性を調べるにあたっては、ASTM
−D−5338あるいはセルロースエステル及び可塑剤
として使用されている化合物に馴化した微生物を含む土
壌、活性汚泥等の制御された環境を用いることもでき
る。本発明では、生分解性を有する複合シートを極めて
生産性が高い方法で得ることができ、従来オレフィン系
の成形品が使用されてきた機能包材等の包装分野、マル
チ等の農業資材分野、結露防止フィルム等の建材分野等
の環境中で使用される用途に適用できる。
【0032】
【実施例】以下実施例、比較例により本発明を更に詳し
く説明するが、これらに限定されるものではない。 <実施例1>絶乾全重量当たり針葉樹材からの溶解パル
プ13重量%、硫酸2重量%、無水酢酸35重量%及び
氷酢酸50重量%からなる混合物を、36℃で3時間ア
セチル化を行い、反応後反応物を酢酸カリウムで中和
し、その後60℃で3時間加水分解し、精製、乾燥して
酢化度51%、平均重合度120のセルロースアセテー
トフレークを得た。次に、これらセルロースアセテート
フレークのセルロースアセテートと可塑剤の全重量当り
60重量%を、トリアセチン40重量%とヘンシェルミ
キサーで混合した後、二軸混練機を用いて185℃で混
練した。混練された溶融物は、内径3mmのストランド
ダイを通してストランドとして吐出させ、冷却した後3
mmにカットしてペレットとした。これらペレットは、
液体窒素温度に冷やした後、粉砕機により平均粒径80
μmの粉末に調整した。
【0033】次に、カナダ標準フリーネス(以下CSF
と略す)で520mlに叩解したNBKP100重量部
に対して、平均粒径80μmに調整した粉末55重量部
を添加し、JIS−P−8209に準じて坪量58.5
gの本発明の複合シートを作製した。更に、上記で作製
したシートを、165℃に加熱した加熱プレス装置中
で、試料に200kg/cm2の荷重がかかる状態で、
5分間処理して本発明の生分解性成形体とした。生分解
性セルロースアセテート組成物の流動開始温度、得られ
た複合シートの引張強度、湿潤引張強度、引裂強度及び
生分解性は以下に示す方法で評価した。
【0034】<評価方法> (1)流動開始温度 フローテスター(島津製作所(株)製、商標:CFT5
00、ダイはL/D=1/0.3)を使用して、10k
g/cm2の荷重の下、ノズルより試料が流出しはじめ
る開始温度とした。 (2)強度、引張強度、湿潤引張強度(5分水に浸漬)
は、JIS−K−7113に準拠して、破断強度を測定
した。また、引裂強度は、JIS−P−8116に準拠
して測定した。 (3)生分解性複合シートは、縦横10cm巾にカット
した後、東京都江東区の野外の土中(東京都江東区東雲
1丁目10番6号、王子製紙(株)敷地内)25cmの
深さに埋設し、1、3、6、9、12ヶ月経過後に取り
出し、形態変化、重量変化から3段階に評価した(○:
形態変化、重量減少とも著しい、△:形態変化、重量変
化が認められる、×:形態変化、重量変化が認められな
い)。
【0035】<実施例2>CSFで520mlに叩解し
たNBKP100重量部に対して、実施例1と同様に調
整した平均粒径150μmの粉末60重量部を添加し、
坪量56.3gのシートを作製した。作製したシート
は、165℃に加熱した加熱装置中で処理して複合シー
トとした。
【0036】<比較例1>実施例1において使用したC
SFで520mlに叩解したNBKP100重量%のみ
からなる坪量59.5gのシートを作製し、評価した。
【0037】<比較例2>CSFで520mlに叩解し
たNBKP100重量部に対して、実施例1と同様に調
整した平均粒径500μmの粉末55重量部を添加し、
坪量56.6gのシートを作製した。作製したシート
は、165℃に加熱した加熱装置中で処理して複合シー
トとした。
【0038】<比較例3>CSFで520mlに叩解し
たNBKP100重量部に対して、可塑剤を配合せずに
酢化度51%、平均重合度120のセルロースアセテー
トフレークをそのまま粉砕して調整した平均粒径200
μmの粉末55重量部を添加し、坪量58.5gのシー
トを作製した。作製したシートは、270℃に加熱した
加熱装置中で処理して複合シートとした。実施例、比較
例に用いたセルロースアセテート組成物の酢化度、配合
量、可塑剤の種類、配合量、組成物の流動開始温度、複
合シート作製に用いた粉末、パルプの配合量、粉末の平
均粒径、加熱処理温度並びに得られた複合シートの強
度、生分解性を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明は、本発明は、自然環境での使用
において優れた耐水性と湿潤強度を示し、使用後速やか
に生分解される生分解性複合シートを提供するという効
果を奏する。本発明の実施例1、2は自然環境下での使
用に耐えうる十分な湿式強度を有しているが、粉末を含
まない比較例1は、湿式強度がほとんどなく、粉末粒径
の大きい比較例2は、湿式強度が劣り好ましくない。ま
た粉末に可塑剤を入れずセルロースアセテート単独に用
いると、加熱処理温度が非常に高くなり、通常の乾燥機
は使用できず、また複合シートが黄変し劣化していたの
で適当ではない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性セルロースエステル及び生分解
    性可塑剤からなる平均粒径300μm以下の粉末とセル
    ロース繊維から構成される生分解性複合シート。
  2. 【請求項2】 生分解性セルロースエステルと生分解性
    可塑剤の合計量に対して、可塑剤が15〜50重量%で
    ある請求項1記載の生分解性複合シート。
  3. 【請求項3】 湿式抄紙により得られることを特徴とす
    る請求項1記載の生分解性複合シート。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の生分解性複合シートを
    加熱加圧処理して得られる生分解性成形体。
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