JP2000351855A - 生分解性複合シートの製造方法 - Google Patents

生分解性複合シートの製造方法

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JP2000351855A
JP2000351855A JP16547499A JP16547499A JP2000351855A JP 2000351855 A JP2000351855 A JP 2000351855A JP 16547499 A JP16547499 A JP 16547499A JP 16547499 A JP16547499 A JP 16547499A JP 2000351855 A JP2000351855 A JP 2000351855A
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sheet
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composite sheet
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Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Mikiko Ishizaki
美紀子 石崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然環境での使用において優れた耐水性と湿
潤強度を示し、剛性が高く、使用後速やかに生分解され
る、安価な生分解性複合シートを提供する。 【解決手段】 生分解性樹脂を主成分とする粉末とセル
ロース繊維から構成されるシートを形成後、シート中の
該粉末を溶剤によって膨潤させ、その後加熱加圧処理す
る。粉末の量がセルロース繊維に対して10〜250重
量%、粉末の平均粒子径が300μm以下が良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自然環境での使用
において優れた耐水性と湿潤強度を示し、剛性が高く、
使用後速やかに生分解される、生分解性複合シートを得
るための、製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護に向けた認識が深まるな
かでプラスチック廃棄物の処理問題が重要視され、溶融
成形方法でフィルム、シート、容器とし農業、園芸用途
向けに使用するものについては、自然界で容易に分解す
る生分解性樹脂を、あるいは溶融紡糸方法で繊維化した
不織布等の使い捨て用途向けに使用するものについて
は、コンポスト化が可能な生分解性樹脂を原料として用
いる気運が高まっている。こうした状況下、各種の生分
解性脂肪族ポリエステル樹脂が溶融成形、溶融紡糸のた
めの用途としても開発されているが、価格が高く普及す
るには至っていない。また、生分解性脂肪族ポリエステ
ル樹脂を用いた場合の問題点として、生分解速度が樹脂
の化学構造と成形方法に由来する高次構造の影響を受け
るため、生分解速度を制御することが難しく、環境中で
使用した場合、必要な期間物性を維持させて、その後速
やかに分解させるような生分解速度の調整ができないこ
とが挙げられる。一方、天然物を原料とする多糖類系
は、生分解性と安全性に加えて価格が安く原料が安定供
給可能なことから期待されているが、現在までのとこ
ろ、生分解性ポリエステル樹脂並みの溶融成形加工性、
物性を有するものが得られていない。
【0003】他方、印刷、出版用紙、包装紙等に広く用
いられている木材パルプは、セルラーゼによって生分解
が進むため、ほとんどすべての土壌中で優れた生分解性
を有することが知られているが、一般的には耐水性がな
く、自然環境で使用するためには、プラスチックや各種
耐水化剤等を用いて塗布、含浸或いは内添したりするこ
とが行われている。しかし、これら化合物には、一般的
には生分解性がなく、自然環境下で使用するのには適し
ているとはいえない。そのため、生分解性脂肪族ポリエ
ステルを繊維或いは粉末にして木材パルプ等からなる繊
維シートに組み合わせ、生分解性を維持しつつ耐水性、
成形性等を繊維シートに付与する提案がなされている。
例えば、特開平5−311600号公報にはポリカプロ
ラクトンを使用することが、また特開平6−34594
4号公報、特開平8−269888号公報には各種脂肪
族ポリエステルを使用することが提案されているが、脂
肪族ポリエステルは価格が高く、安価な紙素材に適用す
るには価格面から難しい。また、成形体シートの剛性と
いう点でも十分なものとは言えない。
【0004】一方、近年生分解性プラスチックとして知
られるようになった(C.M.Buchanan e
t.al.、J.Appl.Poly.Sci.、4
7、1709(1993)他)セルロースアセテート、
セルロースプロピオネートは、豊富な天然物であるセル
ロースをアセチル化、プロピオニル化することによって
合成されるので、生分解性樹脂としては安価であり、安
全性も高く、更にはアセチル基、プロピオニル基が生分
解の過程で加水分解されると木材パルプと本質的に同じ
になり、木材パルプと複合化するのには最適なものであ
るが、融点が熱分解温度に近接しているため溶融成形方
法による成型加工が困難で、溶剤に溶かして成形加工す
るか、あるいは可塑剤を添加した組成物として使用する
必要がある。
【0005】このうち、セルロースアセテートは、フタ
ル酸エステルを可塑剤に用いた熱可塑性樹脂として、射
出成形、押出シート成形等に使用されてきたが、フタル
酸エステルは生分解性ではないので、これらの樹脂は生
分解性樹脂の範疇にはいらない。また、セルロースアセ
テート繊維については、湿式紡糸法で得られるアセテー
ト繊維が古くから各種用途で用いられており、パルプ繊
維と複合化して耐水性を付与することも検討されたが
(例えば、化学繊維紙技術講演会講演集No4、8〜1
1(1965))、アセテート繊維はガラス転移温度が
200℃以上で熱分解温度に近く、また通常の過程で処
理するには処理温度が高くなり過ぎて実現するには到っ
ていない。最近になって生分解性を考慮したセルロース
アセテート繊維からなるシート(特開平6−21251
0号公報、6−299407号公報等)に関する提案も
なされているが、単独で用いられるので紙素材に比べて
高価なものになる。また、パルプ繊維表面を部分アセチ
ル化して寸法安定性、耐久性を向上させる検討も古くか
ら行われているが(特開昭52−72900号公報、特
開平9−221501号公報等)、加熱加圧処理で耐水
性、湿閏強度を向上させることを意図したものではな
い。したがって、紙素材に耐水性、湿潤強度を付与し自
然環境で使用するのに適したものにするために、生分解
性有する安価で安全な樹脂を用いることは、具現化する
には到っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、自然環境での使用において優れた耐水性と湿潤強度
を示し、剛性が高く、使用後速やかに生分解される、安
価な生分解性複合シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に
鑑み、紙素材に耐水性、湿潤強度を付与するために、セ
ルロースを原料とするため安価で安全で、しかも可塑剤
を配合すると非晶質となり高次構造の影響の少ないセル
ロースエステル樹脂を適用することを考え、先に特許出
願した。しかし、セルロースエステル樹脂に十分な熱可
塑性を付与するためには、セルロースエステル粉末に可
塑剤を配合して混練し、その後再度粉末にする必要があ
り、必ずしも簡便に製造できるものとはいえない。ま
た、セルロースエステル樹脂に十分な熱流動性を付与す
る程度に可塑剤を配合すると、強度、剛性の低下が顕著
になり、用途によっては必ずしも満足のいくものではな
かった。
【0008】そこで、更に鋭意検討を行った結果、可塑
剤を配合する代わりに、セルロース誘導体樹脂粉末とセ
ルロース繊維からなるシートを形成した後、セルロース
誘導体樹脂粉末の良溶剤で粉末を膨潤させ、その後加熱
加圧処理することで、可塑剤を配合した場合と同等に粉
末とセルロース繊維を複合化できることを見出し本発明
を完成するに到った。
【0009】即ち、本発明は、「生分解性樹脂を主成分
とする粉末とセルロース繊維から構成されるシートを形
成後、シート中の該粉末を溶剤によって膨潤させ、その
後加熱加圧処理することを特徴とする生分解性複合シー
トの製造方法」である。
【0010】また、上記本発明において、該粉末の量
は、セルロース繊維に対して10〜250重量%である
ことが好ましい態様である。
【0011】該粉末の平均粒子径が300μm以下であ
ることが好ましい態様である。
【0012】更に、上記本発明において、該粉末は、酢
化度30〜56%のセルロースアセテートを主成分とす
ることが好ましい態様である。
【0013】上記本発明に使用する該粉末は、酢化度5
1〜56%のセルロースアセテートを主成分とする粉末
を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム又はこれらの混合物の水溶液で表面層を脱アセチル化
して製造することも可能である。
【0014】また、該粉末は、平均粒径300μm以下
に調整したパルプ粉末の表面層をエステル化及び/又は
エーテル化して製造することも可能である。さらに、該
粉末に、キチン、キトサン、アルギン酸、ペクチン、澱
粉類、カゼイン、天然ガム類、セルロース類から選択さ
れる少なくとも1種類の粉末をブレンドすることも可能
である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性複合シートは、
生分解性樹脂を主成分とする粉末とセルロース繊維によ
って構成され、シート化した後粉末を溶剤によって膨潤
させ、その後加熱加圧処理によって複合化される。した
がって、本発明で使用される粉末の原料である樹脂とし
ては、生分解性を有し、かつ、それを膨潤させ得る良溶
剤を有する生分解性樹脂であれば特に限定されるもので
はない。
【0016】本発明に使用できる生分解性樹脂として
は、多糖類系では、本質的生分解性を有する特定置換度
の、セルロースアセテート、セルロースプロピオネー
ト、セルロースアセテートプロピオネート、セルロース
ブチレート、セルロースアセテートブチレート、メチル
セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース
誘導体、アセチル澱粉、プロピオニル澱粉、ブチリル澱
粉、メチル澱粉、エチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、
ヒドロキシプロピル澱粉、酸化澱粉等の澱粉誘導体など
が挙げられる。
【0017】その他としては、キチン、キトサン、アル
ギン酸、ペクチン、澱粉、カゼイン、天然ガム類等の天
然高分子、ポリビニルアルコール系では、ポリビニルア
ルコール、ポリ酢酸ビニルアルコール等、また脂肪族ポ
リエステル系では、ポリアルキレンアルカノエート、ポ
リα−ヒドロキシ酸、ポリβ−ヒドロキシアルカノエー
ト、ポリω−ヒドロキシアルカノエート等の脂肪族ポリ
エステル等が挙げられる。
【0018】これらを単独もしくはブレンドして用いる
ことができるが、価格、物性の面からは、多糖類系が好
ましく、セルロースアセテートが特に好ましい。セルロ
ースアセテートは、針葉樹晒クラフトパルプや溶解パル
プのようなパルプ或いはリンターを酢酸によって予備処
理した後、硫酸のような酸性触媒の存在下無水酢酸を用
いて酢化し、次いで中和と熟成を行うという公知の方法
で得られ、酢化度56%以下の本質的生分解性が確認さ
れているものが用いられる。
【0019】セルロースアセテートの生分解は、アセチ
ル基の加水分解と主鎖の開裂という二つの機構を通じて
進むが、その生分解速度は、酢化度の低下とともに速く
なり、51%以下になるとそれが顕著になり、更に酢化
度が低下するとセルロースとほぼ同程度まで速くなる。
そのため、生分解速度を調節する目的で、酢化度の異な
る2種類以上のセルロースアセテートを混合して使用し
てもよい。酢化度の測定は、公知の中和滴定法に従いN
aOH量から求められる。セルロースアセテートの平均
重合度については、通常使用されている70〜250の
範囲が好ましい。
【0020】また、生分解性樹脂を主成分とする粉末の
生分解性、熱物性を調整するために可塑剤を配合するこ
とも可能である。この場合使用できる可塑剤としては、
生分解性であれば特に制限がなく、例えばエチレングリ
コール、グリセリン等の多価アルコール、ジエチルアジ
ペート、ジエチルサクシネート、グリセリンジアセテー
ト、グリセリントリアセテート等の脂肪族エステル、ポ
リエチレンアジペートジオール、ポリエチレンサクシネ
ートジオール等の2塩基酸とグリコールからなり平均分
子量400〜5000の範囲のポリアルキレンアルカノ
エートポリオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ
カプロラクトントリオール等で平均分子量400〜50
00のポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
可塑剤の配合量に関しては、生分解性複合シートの剛性
を損なわない範囲が好ましい。可塑剤の配合量として
は、生分解性樹脂と可塑剤の合計重量に対して30重量
%以下、好ましくは、20重量%以下である。
【0021】セルロースアセテート粉末の生分解性を促
進するために、酢化度51〜56%のセルロースアセテ
ート粉末を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム又はこれらの混合物の水溶液を用いて、表面
層を適当量脱アセチル化することは、有効な手段であ
る。この場合の表面層の酢化度は30〜50%が好まし
い。酢化度が30%未満では、水溶性を帯びるので適用
ではない。
【0022】一方、針葉樹晒クラフトパルプや溶解パル
プのようなパルプ或いはリンターから得られるセルロー
ス粉末を、予め平均粒径300μm以下に調整し、生分
解性を有する範囲内で表面層をエステル及び/又はエー
テル化して本目的の生分解性複合シートを構成する粉末
として用いることもできる。アセチル、プロピオニル、
ブチリル化等のエステル化、メチル、エチル等のエーテ
ル化は、公知の方法のうち不均一系で行われるものが、
セルロース粉末の表面層を選択的に反応させるのに適し
ている。
【0023】さらに、上記生分解性樹脂からなる粉末に
加えて、生分解性の調整を目的に、キチン、キトサン、
アルギン酸、ペクチン、澱粉類、カゼイン、天然ガム類
及びセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセル
ロース類からなる粉末を配合することは、生分解性複合
シートの複合化を妨げない範囲内で可能である。上記し
た種々の形態、化学構造を有する粉末は、単独で使用し
ても混合して使用してもよいし、複数の化合物から構成
される粉末として用いることもできる。
【0024】本発明の生分解性樹脂を主成分とする粉末
に、特定の物性を改良する目的で熱劣化防止、熱着色防
止用の安定剤として弱有機酸、フェノール化合物、エポ
キシ化合物、フォスファイト化合物、チオフォスファイ
ト化合物等を単独または2種類以上混合して添加しても
よい。また、その他酸化チタン等の無機系光分解促進
剤、有機酸系の生分解促進剤、滑剤、帯電防止剤、潤滑
剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の無
機顔料、生分解性の繊維を配合することは何らさしつか
えない。
【0025】本発明の粉末を構成する生分解性樹脂、或
いは可塑剤、各種添加剤の混合に際して、ニーダー、2
軸混練機、ロールミル、バンバリーミキサー等通常使用
されているものなら乾式、湿式、加熱式を問わず特に制
限はなく用いられる。なお、混練物は、ストランドダイ
等を用いてストランドとし、その後ペレタイザーでペレ
ットにしておくこととが好ましいこともある。
【0026】均一に混合した生分解性樹脂は、機械粉砕
法、凍結粉砕法、溶剤法(良溶剤へ溶解した後、貧溶剤
で沈殿させ、回収後乾燥)等この分野で広く使用されて
いる方法により、ペレット或いは粗粒子形状態のものを
粉末にすることができる。本発明に使用される粉末の平
均粒径(直径)は、好ましくは5〜300μm、更に好
ましくは10〜150μmの範囲である。平均粒径が3
00μmを越えるか、或いは5μm未満になると、複合
化を十分に行うことができず、耐水性、湿潤強度の改善
効果が低く好ましくない。
【0027】生分解性樹脂からなる粉末のセルロース繊
維シ−トへの添加量は、セルロース繊維100重量部に
対して10〜250重量部が好ましい。250重量部を
越えると生分解性複合シートの生産性が低下し、10重
量部未満であると所望の耐水性、湿潤強度が得られず好
ましくない。
【0028】本発明で使用されるセルロース繊維として
は、機械パルプ(MP)、熱機械パルプ(TMP)、針
葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフト
パルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NU
KP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、古紙
パルプ等の木材パルプ、ケナフ、リンター、ワラ等の非
木材パルプから少なくとも1種類を選択することができ
る。パルプは通常の紙・板紙と同様のものが使用でき、
カナダ標準フリーネスで250cc〜600cc程度に
叩解して使用される。
【0029】生分解性樹脂を主成分とする粉末とセルロ
ース繊維からなる生分解性複合シートのシート形成方法
としては、通常この分野で使用されている製紙技術を利
用することができるが、塗布技術、不織布製造技術も使
用することが可能である。このうち、製紙技術を用いて
シートを形成する場合には、長網抄紙機や円網抄紙機等
による湿式抄紙により、シートにすることができるが、
クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の填料、顔
料、分散剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、定着剤、湿潤
紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、生分解性脂肪族ポリエス
テル系バインダー繊維、ワックスエマルジョン等を適時
配合することは好ましい。このようにして得られたシー
トの坪量は、好ましくは30〜500g/m2、さらに
好ましくは50〜300g/m2である。
【0030】塗布技術の利用については、予め作製され
たセルロース繊維からなるシートの少なくとも片面に、
水を初めとする溶媒に分散された生分解性樹脂からなる
粉末を塗布することによって行うことができる。この場
合、粉末は表面付近に多く存在させることができるの
で、効率よく耐水性を実現することができる。塗布に使
用されるコーターとしては、通常この分野で使用される
バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、
マイクログラビアコーター、オフセットグラビアコータ
ー等が挙げられる。
【0031】生分解性樹脂を主成分とする粉末とセルロ
ース繊維で構成されるシートは、シート形成後粉末を良
溶剤によって膨潤させ、その後加熱加圧処理により複合
化され耐水性、湿潤強度が付与されることになる。その
複合化は、粉末の表面層が溶剤によって膨潤している状
態において加熱加圧させることで、粉末間及び粉末とセ
ルロース繊維間が接着し、セルロース繊維の絡み合を加
えたシート全体の一体化されている状態を示す。粉末を
溶剤によって膨潤させる方法は、シートを溶剤中に浸漬
させても良いし、溶剤をシートに塗布させても良い。粉
末を膨潤させるために使用される溶剤は、粉末を効率良
く膨潤させるため、良溶剤であることが好ましい。
【0032】溶剤は、粉末を構成する生分解性樹脂によ
ってことなるが、該粉末を構成する生分解性樹脂を膨潤
させ得る良溶媒である必要がある。例えばメタノール、
エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレン
グリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノ
アルキルエーテル、プロピレングリコール、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル等のグリコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等
の炭化水素類、水等を使用することができる。粉末の主
成分として、酢化度30〜56%のセルロースアセテー
トを用いた場合の良溶剤としては、アセトン、アセトン
/水、エタノール、エタノール/水等が挙げられる。ま
た、複合化を調節するために、溶剤中に生分解性樹脂、
可塑剤等を溶解させることも可能である。
【0033】シートは、粉末を溶剤で膨潤させた後、加
熱加圧処理されるが、膨潤させるのに使用された溶剤
は、加熱加圧処理の前に、適当量を除去しておくことが
望ましい。加熱加圧処理は、シート製造工程の乾燥、カ
レンダー部分を使ってインラインで行ってもよいし、シ
ート製造後オフラインで行ってもよい。加熱加圧処理
は、50〜180℃程度に加熱することのできる乾燥ゾ
ーンにシートを通過させる方法、上記方法で加熱後更に
適当な温度と圧力に設定されたロール間を通過させる方
法、或いは50〜180℃程度に加熱することができる
加熱されたロール間を通過させる方法等が使用できる。
また、オフラインで加熱加圧処理する場合は、真空成形
または圧空成形等の加熱圧縮成形方法を用いて、加熱さ
れた型内で加熱処理とシート成形を同時に行うことも可
能である。加熱温度としては、更に好ましくは、70〜
150℃程度であり、使用した溶剤の沸点以上である
と、残留溶剤を確実に少なくできるので好ましい。な
お、残留溶剤は1000ppm以下とすることが望まし
い。更に、本発明の成形体の片面または両面に、生分解
性樹脂フィルム層を形成することも可能である。それに
より、気体、液体の透過を防止することができる。
【0034】生分解性は土壌中に埋設するか、或いはJ
IS−K−6950に準拠して、重量減少等から評価す
ることは可能であるが、この試験は易分解性試験方法な
ので、本質的生分解性を調べるにあたっては、ASTM
−D−5338あるいは生分解性樹脂として使用されて
いる化合物に馴化した微生物を含む土壌、活性汚泥等の
制御された環境を用いることもできる。本発明では、生
分解性を有する複合シートを極めて生産性が高い方法で
得ることができ、従来オレフィン系の成形品が使用され
てきた機能包材等の包装分野、マルチ等の農業資材分
野、結露防止フィルム等の建材分野、野外ポスター、広
告等の印刷基材分野等の環境中で使用される用途に主に
適用できる。
【0035】
【実施例】以下実施例、比較例により本発明を更に詳し
く説明するが、これらに限定されるものではない。 <実施例1>絶乾全重量当たり針葉樹材からの溶解パル
プ13重量%、硫酸2重量%、無水酢酸35重量%及び
氷酢酸50重量%からなる混合物を、36℃で3時間ア
セチル化を行い、反応後反応物を酢酸カリウムで中和
し、その後60℃で3時間加水分解し、精製、乾燥して
酢化度51%、平均重合度120のセルロースアセテー
トフレークを得た。次に、このセルロースアセテートフ
レークを液体窒素温度に冷やした後、粉砕機により平均
粒径50μmの粉末に調整した。
【0036】次に、カナダ標準フリーネス(以下CSF
と略す)で520mlに叩解したNBKP100重量部
に対して、平均粒径50μmに調整した粉末150重量
部を添加し、JIS−P−8209に準じて坪量68.
5g/m2の本発明のシートを作製した。更に、上記で
作製したシートを、アセトン中に1秒間浸漬させ、80
℃に加熱したオーブンで1分間乾燥させ大部分のアセト
ンを除去した後、80℃に加熱した加熱プレス装置中
で、試料に200kg/cm2の荷重がかかる状態で、
30秒間加圧処理して本発明の生分解性複合シートとし
た。得られた複合シートの引張強度、湿潤引張強度、引
裂強度、曲げ剛性及び生分解性は以下に示す方法で評価
した。
【0037】<評価方法> (1)強度、引張強度、湿潤引張強度(5分水に浸漬)
は、JIS−K−7113に準拠して、破断強度を測定
した。引裂強度は、JIS−P−8116に準拠して測
定した。また、曲げ剛性は、ハンドルオメーターを用い
て測定した。 (2)生分解性複合シートは、縦横10cm巾にカット
した後、東京都江東区の野外の土中(東京都江東区東雲
1丁目10番6号、王子製紙(株)敷地内)25cmの
深さに埋設し、1、3、6、9、12ヶ月経過後に取り
出し、形態変化、重量変化から3段階に評価した(○:
形態変化、重量減少とも著しい、△:形態変化、重量変
化が認められる、×:形態変化、重量変化が認められな
い)。
【0038】<実施例2>CSFで520mlに叩解し
たNBKP100重量部に対して、実施例1と同様に調
整した平均粒径80μmの粉末120重量部を添加し、
坪量62.5g/m2のシートを作製した。作製したシ
ートは、実施例1と同様に処理して複合シートとした。
【0039】<比較例1>実施例1において使用したC
SFで520mlに叩解したNBKP100重量%のみ
からなる坪量59.5g/m2のシートを作製し、評価
した。
【0040】<比較例2>実施例1のセルロースアセテ
ートのセルロースアセテートと可塑剤の全重量当り70
重量%を、トリアセチン30重量%とヘンシェルミキサ
ーで混合した後、二軸混練機を用いて205℃で混練し
た。混練された溶融物は、内径3mmのストランドダイ
を通してストランドとして吐出させ、冷却した後3mm
にカットしてペレットとした。これらペレットは、液体
窒素温度に冷やした後、粉砕機により平均粒径80μm
の粉末を調整した。次にCSFで520mlに叩解した
NBKP100重量部に対して、平均粒径80μmに調
整した粉末100重量部を添加し、坪量72.5g/m
2のシートを作製した。作製したシートは、アセトンに
は浸漬させずに、170℃に加熱した加熱プレス装置中
で、試料に200kg/cm2の荷重がかかる状態で、
60秒間加圧処理して複合シートとした。
【0041】<比較例3>CSFで520mlに叩解し
たNBKP100重量部に対して、実施例1と同様に調
整した平均粒径80μmの粉末120重量部を添加し、
坪量68.3gのシートを作製した。作製したシート
は、アセトンに浸漬させずに240℃に加熱した加熱プ
レス装置中で、試料に200kg/cm2の荷重がかか
る状態で、60秒間加圧処理して本発明の複合シートと
した。実施例、比較例に用いたセルロースアセテート組
成物の酢化度、配合量、可塑剤の種類、配合量、複合シ
ート作製に用いた粉末、パルプの配合量、粉末の平均粒
径、加熱処理温度並びに得られた複合シートの強度、剛
性、生分解性を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明は、自然環境での使用において優
れた耐水性と湿潤強度を示し、剛性が高く、使用後速や
かに生分解される生分解性複合シートを提供するという
効果を奏する。本発明の実施例1、2は、可塑剤を配合
する必要がないので、混練の手間がなく、また低い温度
における処理でも自然環境下での使用に耐えうる十分な
湿式強度、高い剛性を付与することができる。これに対
して、粉末を含まない比較例1は、湿式強度がほとんど
なく、粉末に可塑剤を配合した比較例2は、混練の手間
に加えて、加熱処理条件を厳しくする必要があるにも拘
わらず実施例に比べて剛性が低い。一方、アセトンによ
る浸漬を行わないと、複合化する際の加熱処理温度が非
常に高くなり、通常の乾燥機は使用できず、また複合シ
ートが黄変し劣化していたので適当ではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1/02 C08L 1/02 1/12 1/12 101/16 ZAB 101/16 ZAB D21H 17/27 D21H 17/27 25/04 25/04 // B29K 701:00 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA08 AB03 AB31 AD01 AD08 AD37 AE11 AF13 AF14 AF24 AF25 AF26 AK05 AK14 AL01 AL17 4F073 AA13 BA03 BB01 EA03 EA23 HA02 HA05 HA09 4J002 AA00W AB01X AB02W AB03W AB04W AB05W AD02W BE02W BF02W CF18W FA01W GA01 GG02 GL00 4L055 AF09 AG46 AG96 AH01 BE02 BE20 EA15 EA29 EA32 FA11 FA13 FA19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性樹脂を主成分とする粉末とセル
    ロース繊維から構成されるシートを形成後、シート中の
    該粉末を溶剤によって膨潤させ、その後加熱加圧処理す
    ることを特徴とする生分解性複合シートの製造方法。
  2. 【請求項2】 該粉末の量がセルロース繊維に対して1
    0〜250重量%である請求項1に記載の生分解性複合
    シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 該粉末の平均粒子径が300μm以下で
    ある、請求項1に記載の生分解性複合シートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 該粉末が、酢化度30〜56%のセルロ
    ースアセテートを主成分とすることを特徴とする請求項
    1に記載の生分解性複合シートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006208982A (ja) * 2005-01-31 2006-08-10 Kyoto Univ 低熱膨張性光導波路フィルム
US7691473B2 (en) 2003-07-31 2010-04-06 Rohm Co., Ltd. Fiber-reinforced composite material, method for manufacturing the same, and applications thereof
JP2016532015A (ja) * 2013-07-26 2016-10-13 パク,チャン−オ セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品

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JP2016532015A (ja) * 2013-07-26 2016-10-13 パク,チャン−オ セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品

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