JPH0948801A - セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター - Google Patents

セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター

Info

Publication number
JPH0948801A
JPH0948801A JP20076595A JP20076595A JPH0948801A JP H0948801 A JPH0948801 A JP H0948801A JP 20076595 A JP20076595 A JP 20076595A JP 20076595 A JP20076595 A JP 20076595A JP H0948801 A JPH0948801 A JP H0948801A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose ester
water
filter
cellulose
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP20076595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3789959B2 (ja
Inventor
Hiroki Taniguchi
寛樹 谷口
Kyo Nishimura
協 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP20076595A priority Critical patent/JP3789959B2/ja
Publication of JPH0948801A publication Critical patent/JPH0948801A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3789959B2 publication Critical patent/JP3789959B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cigarettes, Filters, And Manufacturing Of Filters (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 可塑剤等の添加剤を必要とせず、水を添加す
るだけで成形可能なセルロースエステルの粉体及び繊維
のトウ、及びこの素材を用いて湿潤による崩壊性が高く
環境汚染を軽減できる煙草フィルターの製造法の提供。 【解決手段】 セルロースエステルの粉体及び繊維のト
ウの少なくとも表面の一部をアルカリ又は酸で加水分解
し、水を添加し成形後乾燥することにより容易に成形で
きる素材を得る。これを用いて製造したシート、錠剤、
不織布等は水の作用により速やかに形状が崩壊する。表
面が適度に加水分解されたセルロースエステル繊維のト
ウに水を添加し、巻紙により巻上げ、過剰の水を乾燥に
より除去し煙草フィルターを得る。又、セルロースエス
テル繊維のトウにアルカリまたは酸の溶液を添加し、巻
紙により巻上げ、過剰の水を乾燥により除去することに
より、巻上げ時に加水分解と繊維相互の接着を同時に進
行せしめることによって煙草フィルターを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たばこフィルター
をはじめとする各種フィルター類、各種不織布類、緩衝
材類、錠剤類などを製造するのに有用なセルロースエス
テルの粉体およびセルロースエステル繊維に関する。さ
らに、本発明は、喫煙後に環境中に廃棄されたとして
も、雨水などによって容易に崩壊または分散するたばこ
フィルターおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルの粉体は、長径が数
ミリ〜数センチ程度のペレット状、繊維状またはフレー
ク状のものから粒径が数十ミクロン程度の微粉末まで、
様々な大きさのものが市販されている。
【0003】このようなセルロースエステル粉体から、
たばこフィルターをはじめとする各種フィルター類、各
種不織布、緩衝材、錠剤などを成形する際に、粉体相互
の結合剤として、一般に、可塑剤例えば、トリアセチ
ン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレ
ングリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、
ジメトキシエチルフタレート、クエン酸トリエチルエス
テルなどが用いられる。
【0004】前記可塑剤を用いて成形した各種フィルタ
ー類、各種不織布、緩衝材および錠剤などは、可塑剤に
より粉体同士が部分的に融着している。すなわち、可塑
剤は、セルロースエステル粉体の接着部位で、ランダム
に結合するバインダーとしての機能を有する。そのた
め、使用後に廃棄すると、環境中で形状が崩壊するまで
長時間を要し、美観を損なうだけでなく、環境汚染の一
因となる。
【0005】セルロースエステル繊維の繊維束は、たば
こフィルターをはじめとする各種フィルター類、各種不
織布および緩衝材の製造に利用されている。このような
セルロースエステル繊維の繊維束は、一般に、乾式紡糸
法で製造される。すなわち、セルロースエステルを溶剤
に溶解した溶液を紡糸口金の細孔から連続的に押出し乾
燥した繊維を数千〜数百万本束ねて製造される。
【0006】このようなセルロースエステル繊維の繊維
束からたばこフィルターをはじめとする各種フィルター
類、各種不織布および緩衝材を成形する際に、繊維相互
の結合剤として、一般に、可塑剤例えば、トリアセチ
ン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレ
ングリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、
ジメトキシエチルフタレート、クエン酸トリエチルエス
テルなどが用いられる。
【0007】前記可塑剤を用いて成形した各種フィルタ
ー類、各種不織布および緩衝材などは、可塑剤により繊
維同士が部分的に融着している。すなわち、可塑剤は、
セルロースエステル繊維の接着部位で、ランダムに結合
するバインダーとしての機能を有する。そのため、使用
後に廃棄すると、環境中で形状が崩壊するまで長時間を
要し、美観を損なうだけでなく、環境汚染の一因とな
る。
【0008】たばこ煙中のタール類を除去し、喫味を損
なわないため、セルロースエステルの繊維束で構成され
たたばこフィルターが広く使用されている。このような
たばこフィルターでは、フィルタープラグの形状を維持
し、かつフィルタープラグからフィルターチップを切断
するために必要な硬度を得るため、バインダーとして可
塑剤例えば、トリアセチン、トリエチレングリコールジ
アセテート、トリエチレングリコールジプロピオネー
ト、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレー
ト、クエン酸トリエチルエステルなどが用いられる。
【0009】前記可塑剤を用いて成形したフィルタープ
ラグは、可塑剤により繊維同士が部分的に融着してい
る。すなわち、可塑剤は、セルロースエステル繊維の接
着部位で、ランダムに結合するバインダーとしての機能
を有する。そのため、使用後に廃棄すると、環境中で形
状が崩壊するまで長時間を要し、美観を損なうだけでな
く、環境汚染の一因となる。
【0010】一方、クレープ状に加工した木材パルプを
原料とした紙製のたばこフィルターや再生セルロース繊
維束からなるたばこフィルターも知られている。これら
のフィルターは、セルロースエステルの繊維束からなる
フィルターと比較して、湿潤時の崩壊性が若干高く、環
境汚染をある程度軽減できる。しかし、たばこの喫味が
劣ると共に、フィルターとして必要なフェノール類の選
択除去性がセルロースエステルに比べて極端に低く、し
かも、同じ圧力損失においてフィルター硬度がセルロー
スエステルに比して低い。
【0011】特開昭56−24151号公報には、酢酸
セルロース繊維と、これらの繊維を交差点で熱融着させ
るための熱融着性繊維とを含むフィルターが開示されて
いる。熱融着性繊維としては、フィブリル化したポリオ
レフィン繊維などが使用され、その使用量は、酢酸セル
ロースに対し25〜50重量%である。このようなフィ
ルターは、熱融着繊維により、酢酸セルロース繊維が多
数の交点で三次元的に節接合しているため、水中で実質
的に崩壊性を示さない。
【0012】米国特許番号411117号に対応する特
開昭50−75223号公報には、高沸点のポリオール
と、ポリエステル、ポリアミドおよびポリエステルアミ
ドからなる群から選択され、前記ポリオールに可溶であ
るとともに水溶性または水分散性のポリマーとで構成さ
れた接着組成物を用い、セルロース繊維を接着させるこ
とにより、たばこフィルターを製造することが開示され
ている。
【0013】WO 93/24685には、セルロース
エステル繊維と光活性金属酸化物とで構成された生分解
性のたばこフィルターに関し、繊維が水溶性結合剤によ
り結合されたフィルター束と、このフィルター束部分を
巻紙で覆い、かつ固定するための水溶性接着剤とで構成
されたフィルターロッド(たばこフィルター)が開示さ
れている。
【0014】一方、フィルターロッドは、セルロースエ
ステル繊維の繊維束を、巻紙を用いて、例えば、400
m/分程度の高速で巻き上げることにより製造される。
そのため、フィルターロッドの製造には、繊維束を高速
で円滑に巻き上げるための高速作業適性が求められる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、湿潤時の崩壊性に優れ、環境汚染を軽減できるフィ
ルター類、不織布類、緩衝材類および錠剤などを容易に
製造できるセルロースエステル粉体およびセルロースエ
ステル繊維の繊維束を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、湿潤時の崩壊性に優
れ、環境汚染を軽減できるたばこフィルターおよびその
製造法を提供することにある。
【0017】本発明のさらに他の目的は、雨水などの水
によって、容易に崩壊または分散し、喫煙後に廃棄され
ても、環境の美観を損ねることのないたばこフィルター
およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、セルロースエステル粉
体または繊維の少なくとも表面の一部を、水に濡らして
から成形して乾燥することにより相互に接着力を発現す
るまで加水分解処理したセルロースエステル物質すなわ
ち粉体または繊維束を用いて、前記セルロースエステル
の可塑剤に代えて、水に濡らした後成形し乾燥すること
により調製した成形物が、水との接触により速やかに崩
壊することを見い出し、本発明を完成した。
【0019】すなわち、本発明のセルロースエステルの
粉体およびセルロースエステル繊維の繊維束は、常法に
従って得られるセルロースエステル粉体およびセルロー
スエステル繊維の繊維束を、水を作用させた後乾燥する
ことによって相互に接着力を発現するまで、少なくとも
繊維表面の一部を加水分解する事によって得ることがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】前記セルロースエステルとして
は、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレ
ート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステ
ル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートフタレー
ト、硝酸酢酸セルロースなどの混酸エステル;およびポ
リカプロラクトングラフト化セルロースエステルなどの
セルロースエステル誘導体などが例示される。これらの
セルロースエステルは単独でまたは二種以上混合して使
用できる。
【0021】セルロースエステルの平均重合度は、例え
ば50〜900、好ましくは200〜800程度であ
る。セルロースエステルの平均置換度は例えば、1.5
〜3.0程度である。
【0022】好ましいセルロースエステルには、有機酸
エステル(例えば、炭素数2〜4程度の有機酸エステ
ル)、特にセルロースアセテートが含まれる。セルロー
スアセテートの酢化度は、43%〜62%程度である場
合が多いが、酢化度30〜50%程度のセルロースエス
テルは生分解性にも優れている。そのため、セルロース
アセテートの酢化度は30〜62%程度の範囲で適当に
選択できる。
【0023】なお、前記セルロースエステルの粉体およ
び繊維は、種々の添加剤、例えば、カオリン、タルク、
ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸
化チタン、アルミナなどの無機粉末;カルシウム、マグ
ネシウムなどのアルカリ土類金属塩等の熱安定化剤;着
色剤;油剤;歩留り向上剤などを含んでいてもよい。ま
た、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの環境分解促進剤
(生分解促進剤)、アナターゼ型酸化チタンなどの光分
解促進剤などを含有させることにより粉体および繊維の
分解性を高めることが出来る。
【0024】また、セルロースエステル繊維は、白色度
改良剤、例えば、酸化チタン、好ましくはアナターゼ型
酸化チタンを含む場合が多い。酸化チタンの平均粒径
は、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5
μm程度である場合が多い。酸化チタンの含有量は、セ
ルロースエステル全体に対し、0.05〜2.0重量
%、好ましくは0.1〜1重量%、さらに好ましくは
0.2〜0.8重量%程度であり、0.4〜0.6重量
%程度である場合が多い。
【0025】セルロースエステル粉体の形状と大きさ
は、長径が数ミリ〜数センチ程度のペレット状、繊維状
またはフレーク状のものから粒径が数ミクロン程度の微
粉末まで、様々な大きさのものから、目的とする成形物
に好ましいものを選択できる。
【0026】セルロースエステル繊維の繊度は、1〜1
6デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ま
しくは2〜8デニール程度である。セルロースエステル
繊維は、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維である
のが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ
当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好
ましくは15〜50個程度である。繊維の捲縮度は、1
インチ当たり20〜50個程度である場合が多い。ま
た、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。たば
こフィルターに用いる場合、捲縮繊維を用いると、適度
な通気抵抗を有し、チャンネリングが抑制されたフィル
ターロッドを得ることができるとともに、加水分解の程
度が小さくても前記繊維を有効に接合できる。
【0027】セルロースエステル繊維の断面形状は、特
に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、
Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などの
いずれであってもよい。
【0028】セルロースエステル繊維で構成された繊維
束は、例えば、3,000〜1,000,000本、好
ましくは5,000〜1,000,000本程度のセル
ロースエステル繊維の単繊維を束ねることにより形成で
きる。繊維束は、3,000〜1,000,000本程
度の連続繊維を集束して構成する場合が多い。
【0029】本発明のセルロースエステル繊維の加水分
解の方法は特に限定されないが、無機、有機のアルカリ
または酸の溶液と接触させることによって容易に加水分
解することができる。
【0030】アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリ
ウム、トリエタノールアミン、酸として塩酸、硫酸、硝
酸、蟻酸、酢酸、リンゴ酸、グリコール酸などがあげら
れる。これらの酸およびアルカリは水溶液または水と親
水性有機溶剤の混合溶液の溶液として使用される。安全
性と扱いやすさの点で、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリ
ウムまたは炭酸水素ナトリウムを適当な濃度の水または
水と親水性有機溶剤の混合溶液の溶液として用いるのが
特に好ましい。
【0031】親水性有機溶剤としては、例えば、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、t
−ブタノールなどのアルコール類、1,2−プロパンン
ジオール、1,3−プロパンンジオール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、2,3−ブタンジオールなどの多価アル
コール類、セルソルブ類、ジオキサン、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類、これらの混合溶媒が使用でき
る。
【0032】加水分解の条件(使用するアルカリまたは
酸の濃度、温度、使用量、加水分解時間など)は用いる
アルカリまたは酸の種類によって異なるため、限定する
ことはできないが、加水分解後の繊維束に水を添加し、
成形、乾燥した後、成形物として十分な強度と水崩壊性
の両方が実現されるように調整すればよい。
【0033】使用するアルカリまたは酸の濃度は、例え
ば、0.01〜10Nの範囲が適当である。好ましく
は、0.1〜5Nの範囲が好ましい。濃度が濃すぎると
加水分解のコントロールが難しくなるし、薄すぎると十
分な効果が得られない。
【0034】前記のアルカリまたは酸の溶液に、セルロ
ースエステルの粉体またはセルロースエステル繊維を浸
漬し、加水分解を行い、洗浄、乾燥することにより、本
発明の水に濡らして乾燥することにより相互に接着力を
発現するセルロースエステルの粉体またはセルロースエ
ステル繊維を得ることができる。
【0035】また、前記のアルカリまたは酸の溶液をシ
ャワーリング、塗布等の方法により、セルロースエステ
ルの粉体またはセルロースエステル繊維に添加し、加水
分解を行い、洗浄、乾燥することによっても、本発明の
水に濡らして乾燥することにより相互に接着力を発現す
るセルロースエステルの粉体またはセルロースエステル
繊維を得ることができる。
【0036】前記のアルカリまたは酸の溶液による加水
分解処理は、セルロースエステル粉体またはセルロース
エステル繊維全体に均一に行ってもよいし、不均一に行
ってもよい。例えば、たばこフィルターに求められるセ
ルロースエステル本来のたばこ煙のろ過性能を出来る限
り損なわずに、水に濡らして乾燥することにより相互に
接着力を発現させるためには、加水分解処理は不均一に
行った方が有効であるといえる。
【0037】本発明のたばこフィルターは、前記のごと
く部分的に加水分解して得られた繊維束または粉体に水
を添加し、巻紙により巻き上げることにより調製でき
る。水の添加は、水単独で行ってもよいが、前記のよう
な親水性の有機溶剤との混合溶液として添加しても構わ
ない。
【0038】また、本発明のたばこフィルターは、本発
明の加水分解処理で処理されていない通常のセルロース
エステルの繊維束または粉体に、巻き上げ時に、前記の
アルカリまたは酸の水溶液または水と親水性有機溶剤の
溶液を添加し、引き続き連続して、巻紙により巻き上げ
ることにより、加水分解と巻き上げを同時に行って得る
こともできる。
【0039】たばこフィルターの製造に際し、水、水と
親水性有機溶剤の混合溶媒またはこれらとアルカリまた
は酸の溶液の添加方法は、セルロースエーテルの粉体ま
たはセルロースエーテルの繊維にこれらの溶媒または溶
液を付着できる限り特に制限されず、ディッピンしてか
ら脱液する方法、スプレーガンなどによる噴霧方法、コ
ーティング方法などにより、セルロースエーテルの粉体
またはセルロースエーテルの繊維に付着できる。このと
き、セルロースエーテルの繊維の繊維束の場合には、開
繊した状態で添加することが好ましい。
【0040】前記のたばこフィルターの製造に際し、
水、水と親水性有機溶剤の混合溶媒またはこれらとアル
カリまたは酸の溶液の添加は、セルロースエステルの粉
体またはセルロースエステル繊維の繊維束全体に均一に
行ってもよいし、不均一に行ってもよい。たばこフィル
ターに求められるセルロースエステル本来のたばこ煙の
ろ過性能を出来る限り損なわずに、水に濡らして乾燥す
ることにより相互に接着力を発現させるためには、加水
分解処理は不均一に行った方が有効であるといえる。
【0041】セルロースエーテル繊維の繊維束に対する
溶媒、特に水の適用量は、繊維束の巻き上げを含めた生
産性に大きな影響を及ぼす。すなわち、繊維束に対する
溶媒の適用量が多いと、フィルターの強度および硬度が
著しく低下し、巻紙による巻き上げやカッターによる切
断が困難となる。また、フィルターの強度発現に時間を
要するだけでなく、乾燥に大きなエネルギーを必要とす
る。一方、水の適用量が少ないと、セルロースエステル
繊維を一体化するのが困難である。そのため、トウ10
0重量部に対する水の適用量は、25重量部以下、好ま
しくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜15
重量部、特に1〜10重量部である。繊維束に対する水
の適用量を上記のようにすることにより、繊維束の巻き
上げ速度が200〜800m/分、好ましくは300〜
800m/分程度であっても、フィルターロッド(たば
こフィルター)を円滑に製造できる。
【0042】とくに、本発明のセルロースエーテル繊維
の繊維束を用いる場合、前記の方法を採用することによ
り、たばこフィルターの製造装置に、水、水と親水性有
機溶剤の混合溶媒またはこれらとアルカリまたは酸の溶
液の添加装置と、必要に応じて、巻紙による巻き上げ工
程または巻き上げ後に水および/または溶剤を除去する
ための乾燥装置を装着するだけで、たばこフィルターを
容易に製造できる。
【0043】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0044】実施例1 アセチル置換度(以下DS)=2.54、重合度(以下
DP)=280、平均粒径=220μmのセルロースア
セテートの粉末100gを0.2Nの水酸化ナトリウム
水溶液1lに、撹拌しながら、60分間浸漬し、大量の
水で洗浄後、乾燥して、表面が加水分解されたセルロー
スアセテートの粉末を得た。
【0045】この粉末10重量部に対し5重量部の水を
噴霧器を用いて均一に添加することによって、ホットプ
レス装置を用いて容易にシート状に成形することが出来
た。このシートを水中に投入すると、速やかに粉末状に
崩壊した。
【0046】実施例2 実施例1と同じセルロースアセテートの粉末100gを
0.5Nの炭酸ナトリウム水溶液1lに、撹拌しなが
ら、180分間浸漬し、大量の水で洗浄後、乾燥して、
表面が加水分解されたセルロースアセテートの粉末を得
た。
【0047】この粉末10重量部に対し5重量部の水を
噴霧器を用いて均一に添加することによって、ホットプ
レス装置を用いて容易にシート状に成形することが出来
た。このシートを水中に投入すると、速やかに粉末状に
形状が崩壊した。
【0048】実施例3 セルロースアセテートの粉末の形状が、長径が約5m
m、短径が約1mmのフレーク状である以外は実施例1
と同様の方法で、表面が加水分解されたセルロースアセ
テートのフレーク状の粉末を得た。
【0049】この粉末10重量部に対し5重量部の水を
噴霧器を用いて均一に添加することによって、ホットプ
レス装置を用いて容易にシート状に成形することが出来
た。このシートを水中に投入すると、速やかにフレーク
状に崩壊した。
【0050】実施例4 断面形状Y型、4デニールのフィラメントを束ねたトー
タルデニール43000デニールのセルロースアセテー
トの捲縮繊維の繊維束(捲縮数26/25mm)100
gを0.2Nの水酸化ナトリウム水溶液1lに、60分
間浸漬し、大量の水で洗浄後、乾燥して、表面が加水分
解されたセルロースアセテート繊維の繊維束を得た。
【0051】この繊維束を開繊したもの2枚を、繊維方
向が直行するように重ね、繊維束10重量部に対し5重
量部の水を噴霧器を用いて均一に添加した後、ホットプ
レスすることにより容易に網目状のシートを得る事がで
きた。このシートを水中に投入すると、速やかに形状が
崩壊した。
【0052】実施例5 実施例4で得られた表面が加水分解されたセルロースア
セテート繊維の繊維束を幅25cmに開繊し、繊維束1
00重量部に対し15重量部の水をスプレーし、繊維束
を巻紙装置に送りフィルターを巻取紙で巻き上げ、過剰
の水分を加熱乾燥により除去した後、長さ25mmに切
断し、たばこフィルターチップを得た。
【0053】実施例6 実施例4で得られた表面が加水分解されたセルロースア
セテート繊維の繊維束を幅25mmに開繊し、繊維束1
00重量部に対し、1,2−プロパンジオールと水の混
合溶液(重量比=1:1)20重量部をスプレーし、繊
維束を巻紙装置に送りフィルターを巻取紙で巻き上げ、
過剰の水分を加熱乾燥により除去した後、長さ25mm
に切断し、たばこフィルターチップを得た。
【0054】実施例7 実施例4と同じセルロースアセテートの捲縮繊維束を幅
25mmに開繊し、繊維束100重量部に対し10重量
部の1Nの水酸化ナトリウム水溶液をスプレーし、繊維
束を巻紙装置に送りフィルターを巻取紙で巻き上げ、過
剰の水分を加熱乾燥により除去した後、長さ25mmに
切断し、たばこフィルターチップを得た 。 実施例8 実施例4と同じセルロースアセテートの捲縮繊維トウを
幅25mmに開繊し、繊維束100重量部に対し、1,
2−プロパンジオールと1Nの水酸化ナトリウム水溶液
の混合溶液(重量比=1:1)20重量部をスプレー
し、繊維束を巻紙装置に送りフィルターを巻取紙で巻き
上げ、過剰の水分を加熱乾燥により除去した後、長さ2
5mmに切断し、たばこフィルターチップを得た。
【0055】比較例1〜3 1Nの水酸化ナトリウム水溶液の代わりにバインダーと
して、セルロースアセテートの可塑剤であるトリアセチ
ン(比較例1)、トリエチレングリコールジアセテート
(比較例2)、トリエチレングリコールプロピオネート
(比較例3)を用いる以外は、実施例7と同様にして、
たばこフィルターチップを得た。
【0056】実施例5〜8および比較例1〜3で得られ
たたばこフィルターチップのフィルター硬度および水中
崩壊性を評価したところ、表1に示す結果をえた。なお
供試サンプルは、温度20°C、相対湿度65%の雰囲
気中で24時間放置することにより、調湿し、試験に供
した。
【0057】[フィルター硬度]長さ90mmのフィル
ター上に、直径12mm、重さ300gの円柱状のおも
りにより荷重をかけ、10秒後のフィルターのへこみ量
を0.1mmを1として評価した。上記測定方法におけ
るフィルター硬度の実用的な値は、10.0以下であ
る。
【0058】[水中崩壊性試験]25mmに切断したフ
ィルターチップを、ビーカー内の水500mlに投入
し、渦中心部の高さが最も高い液面の3/4の高さとな
るように、マグネチックスターラーで撹拌し、10分後
のフィルターチップの形状を目視で観察し、下記の基準
で崩壊性を判断した。
【0059】優:速やかに綿状に崩壊する。
【0060】良:部分的に綿状に崩壊する。
【0061】不可:崩壊せず当初の形状を維持する。
【0062】[表1]
【0063】
【発明の効果】本発明によるセルロースエステル粉体お
よびセルロースエステル繊維は、可塑剤や接着剤などを
用いないで、単に水で湿らせた後、成形し乾燥すること
によって、容易にたばこフィルターをはじめとするフィ
ルター類、不織布類、緩衝材類、錠剤類などの成形物を
得ることができる。また、得られた成形物は、水崩壊性
に優れるため、使用後あやまって環境中に捨てられて
も、雨水などの作用により、速やかに繊維状に崩壊し、
環境の美観の保全に有効である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水で濡らして成形したのち乾燥すること
    により相互に接着力を発現するまで、少なくとも表面の
    一部を加水分解処理してなるセルロースエステル物質。
  2. 【請求項2】 セルロ−スエステル物質が粉末である請
    求項1記載のセルロースエステル物質。
  3. 【請求項3】 セルロースエステル物質が繊維である請
    求項1記載のセルロースエステル物質。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のセルロースエステル
    からなるたばこフィルター。
  5. 【請求項5】 加水分解処理をアルカリ又は酸で行うこ
    とを特徴とする請求項1〜3記載のセルロースエステル
    物質の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3記載のセルロースエステル
    物質に水を添加する工程と該セルロースエステル物質を
    フィルターロッドに成形する工程とフィルターロッドか
    ら水を除去する工程を含むことを特徴とするたばこフィ
    ルターの製造方法。
  7. 【請求項7】 セルロースエステルを水で濡らして成形
    したのち乾燥することにより相互に接着力を発現するま
    で、少なくとも表面の一部を加水分解処理する工程と該
    セルロースエステル物質をフィルターロッドに成形する
    工程とフィルターロッドから水を除去する工程を含むこ
    とを特徴とするたばこフィルターの製造方法。
JP20076595A 1995-08-07 1995-08-07 セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター Expired - Fee Related JP3789959B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20076595A JP3789959B2 (ja) 1995-08-07 1995-08-07 セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20076595A JP3789959B2 (ja) 1995-08-07 1995-08-07 セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0948801A true JPH0948801A (ja) 1997-02-18
JP3789959B2 JP3789959B2 (ja) 2006-06-28

Family

ID=16429805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20076595A Expired - Fee Related JP3789959B2 (ja) 1995-08-07 1995-08-07 セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3789959B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100588056B1 (ko) * 2004-10-07 2006-06-09 주식회사 케이티앤지 담배 필터
JP6187653B1 (ja) * 2016-08-12 2017-08-30 富士ゼロックス株式会社 セルロースアシレート、樹脂組成物、及び、樹脂成形体
JPWO2022118418A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09
WO2022118419A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09 日本たばこ産業株式会社 フィルターセグメント及びたばこ製品

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100588056B1 (ko) * 2004-10-07 2006-06-09 주식회사 케이티앤지 담배 필터
JP6187653B1 (ja) * 2016-08-12 2017-08-30 富士ゼロックス株式会社 セルロースアシレート、樹脂組成物、及び、樹脂成形体
JP2018024803A (ja) * 2016-08-12 2018-02-15 富士ゼロックス株式会社 セルロースアシレート、樹脂組成物、及び、樹脂成形体
JPWO2022118418A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09
WO2022118418A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09 日本たばこ産業株式会社 フィルターセグメント及びたばこ製品
WO2022118419A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09 日本たばこ産業株式会社 フィルターセグメント及びたばこ製品
JPWO2022118419A1 (ja) * 2020-12-03 2022-06-09

Also Published As

Publication number Publication date
JP3789959B2 (ja) 2006-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3779945B2 (ja) たばこ煙用フィルター素材、繊維状セルロースエステル短繊維及びその製造方法
JP3420359B2 (ja) たばこ煙用フィルター素材、繊維状セルロースエステル及びその製造方法
KR100205265B1 (ko) 담배 필터 및 그의 제조방법
US5856006A (en) Tobacco filter material and a method for producing the same
US5690126A (en) Tobacco filter materials and tobacco filter as produced by using the same
ES2532147T3 (es) Haz de filamentos biodegradables para filtros de cigarrillos y su proceso de fabricación
JP4937104B2 (ja) たばこフィルター用素材及びたばこフィルター
EP0766929B1 (en) Tobacco filters and production process thereof
JP4959342B2 (ja) たばこフィルター用素材及びたばこフィルター
EP2170110A2 (en) Degradable cigarette filters
NZ518131A (en) High performance cigarette filter with mechanical disintegratability based on cellulose ester, in particular cellulose acetate, fibres or filaments
JP3316309B2 (ja) たばこフィルターおよびその製造方法
JP3802960B2 (ja) タバコフィルターおよびその製造方法
JP3789959B2 (ja) セルロースエステル物質及びその製造方法及びそれを使用したたばこフィルター
JP3939823B2 (ja) フィルター素材およびたばこ煙用フィルター
JP3675523B2 (ja) タバコフィルター
JP3814010B2 (ja) たばこフィルターの製造方法
JPH02269852A (ja) セルロースアセテート繊維束成形用可塑剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060328

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060330

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees