JP2017210457A - 疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー含有自爪塗布用光硬化性人工爪組成物 - Google Patents
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Description
特に最近、ウレタンアクリレート系オリゴマーとアクリル系モノマーを含むジェル状の爪被覆材料を爪に塗布し、紫外線を照射して硬化させる、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。
これらは、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
また、特許文献2に記載されているように、ウレタンアクリレートオリゴマー及びヒドロキシエチルアクリレートを含有し、人体に安全なUVAにより短時間で十分に硬化させることができる光硬化性人工爪組成物も公知である。
特許文献3には、ネイル用の除去可能なゲル硬化性の組成物であって、ジ−[ヒドロキシエチルメタクリリック]トリメチルヘキシルジカルバメート、メタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及び溶剤を含有する組成物であり、さらに配合し得る成分のうちの一種としてポリウレタンアクリレートオリゴマーも例示されている。
これらの文献に加えて、特許文献4に記載されるように、1分子内にラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物、およびチオール化合物を含有する光硬化性人工爪原料組成物とすることによって、光を遮蔽した室温下にて保管の問題を発生させず、硬化後においても、人工爪内に未硬化の組成物が残存しないようにすることが記載されている。
自爪表面に対する人工爪組成物の接着性を考慮して、人工爪組成物の主要成分が親水性を有することが通常であるため、上記の体内の水分に由来する水分が該人工爪にも浸透し、その結果、該人工爪組成物も水分を含有し、ひいては膨潤する結果となる。また、そのような人工爪組成物からなる被膜表面に、入浴時等における耐水性を付与する等を目的としてトップコート層を設ける必要があった。
そうすると、人工爪組成物は自爪に対して十分に強い力で密着することができず、何らかの拍子で自爪表面から人工爪組成物が剥離することになりかねない。
本発明は自爪内部及び外部からの水分を人工爪組成物による被膜が十分に吸収することなく、その結果として、自爪表面に形成させた人工爪組成物の被膜を長期的に高い密着性によって密着させること、さらに耐水性を付与することを目的として、さらに被覆層を設ける必要がない人工爪組成物の被膜層を得ることを課題とする。
具体的には以下の通りである。
1.疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び光重合開始剤を含有する自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
2.疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、分岐を含みC5以上の炭素鎖セグメントを分子内に有する1に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
3.(メタ)アクリル系モノマーが、イソボルニルアクリレートである1又は2に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
4.(メタ)アクリル系モノマーが、リン酸エステル系(メタ)アクリレートである1又は2に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
そして、従来の紫外線等により硬化されるラジカル重合性のマニキュア等と同様の設備、紫外線硬化用の設備を用いて爪表面を被覆するものである。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物は特にジェルネイルとして使用することもできる。その中でも使用者の爪に直接塗布されるベースコート、該ベースコートの上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコートのいずれにも使用され得るものである。
自爪表面に直に塗布するベースコートは、一般的には透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。
カラーコートはソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色されるコートである。
トップコートは、ベースコートと同様に、透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。最上層であるため、ジェルネイルの艶を発揮させる作用を有する。本発明の光硬化性人工爪組成物は被膜表面の光沢度に優れるので、特にトップコート用として使用することが好ましい。
硬化後にも酸素による重合阻害等を原因とする、仮に未重合の光硬化性成分が被膜内に存在するときには、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて拭き取る工程が必要である。但し、十分な硬化性を備えるときには、このような工程を要しない。
いずれの層に関しても硬化後少なくとも2週間、欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しない。
[疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明中の疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を付加反応させて得ることができる。なお、ここで、該イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基と反応するジオール化合物やジアミン化合物は、炭素鎖セグメントとして、炭素数が5以上のアルキル基、アルキレン基.不飽和結合を有する炭化水素基であって、直鎖構造又は分岐構造を有し、好ましくは炭素数6以上のアルキレン基を有することが必要である。
また、なかでも、平均アクリル当量が400〜10,000の疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであることが好ましい。また、平均アクリル当量が400〜10,000の疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、このようにして得られた各種の平均アクリル当量(場合により一部はアクリル当量が400未満又は10,000を超える)を有する複数種の疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを合計して、全体として平均アクリル当量が400〜10,000としてもよい。また、アクリロイル基に基づく官能基数は2〜6の範囲であることが好ましい。
なお、アクリル当量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量を、疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが有するアクリロイル基の数で除した値である。
このような疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することにより、硬化被膜も疎水性を有することになり、爪表面から被膜に浸透される水によって、該被膜が柔軟化したり、膨潤したりすることがない。また、臭いが少なく伸縮性に優れ、かつ被膜の透明度が高く黄変せず、艶を有する高い硬度に硬化した自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の被膜を得ることができる。そのため、場合によっては、トップコート用に適した光硬化性化合物とすることができる。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、(メタ)アクリレートモノマーの中でも単官能(メタ)アクリレートモノマーは、自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
そのような単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
また、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートを使用することもできる。
単官能アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド化合物等、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、2−オキセパノンホモポリマー、2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルエステル等の酸性の重合性モノマーも使用することができる。
また、リン酸メタクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸メタクリル酸プロパン酸ペンチル等の単官能のリン酸エステル系メタクリレートも使用することができる。
この単官能(メタ)アクリレートモノマーを配合しないこともでき、配合するときの配合比率としては、全自爪塗布用光硬化性人工爪組成物中に30.0重量%以下、好ましくは20.0重量%以下となるように含有させることができ、さらには含有しないことが好ましい。30.0重量%を超えて配合すると、硬化速度が減衰し、未硬化樹脂が残存する可能性がある。
なお、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び/又はイソボルニル(メタ)アクリレートを配合することが好ましく、このときに硬化後の被膜の硬度と屈曲性のバランスが良好になる。これらの化合物を配合する場合には、好ましくはその合計の配合量を20重量%以下とすることが好ましい。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、上記のモノマー以外の(メタ)アクリレートモノマーの中でも多官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ラジカル重合しうる不飽和基を1分子中に2以上有する化合物であって、本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物に配合できる化合物の1種である。ラジカル重合しうる不飽和基としては、炭素−炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基等を挙げることができる。
そしてこれらの多官能(メタ)アクリレートモノマーには、自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等のトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等のエリスリトール類の(メタ)アクリレート類、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを使用することができる。
また、リン酸ビス(メタクリル酸ヘキサン酸エチル)、リン酸ビス(メタクリル酸プロパン酸ペンチル)、リン酸トリ(メタクリル酸ヘキサン酸エチル)、リン酸トリ(メタクリル酸プロパン酸ペンチル)等の多官能のリン酸エステル系メタクリレートも使用することができる。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーは被膜の強度を調整するために配合することができ、配合するときの配合比率としては、0〜30.0重量%、好ましくは0〜25.0重量%である。30.0重量%を超えて配合すると、硬化時において被膜の収縮が大きくなる可能性がある。また、多官能(メタ)アクリレートモノマーを含まない場合においても、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの比率で補える可能性がある。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールが本来有する水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得たものが好ましい。
このような多官能チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
このような多官能チオール化合物を含有させることによって、自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の粘度を調節することに加え、硬化した自爪塗布用光硬化性人工爪組成物を拭き取って除去する際の拭き取り性を向上させることができる。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物において、多官能チオール化合物を全自爪塗布用光硬化性人工爪組成物中に含有させる場合には、好ましくは1.0〜50.0重量%、さらに好ましくは2.0〜20.0重量%、より好ましくは7.0〜18.0重量%となるように含有させることができる。50.0重量%よりも多く含有すると硬化時の硬化速度が速すぎて、爪表面への塗布や、硬化時の取り扱いが困難になる可能性があり、含有する量が1.0重量%よりも少ないと、硬化速度が低下して、硬化後においても未硬化成分を含有する可能性がある。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物に配合する光重合開始剤は、LEDを光源とした紫外線や365〜410nm付近の波長の光(可視光の一部)によっても十分に硬化することができ、硬化時の発熱量を抑制することができるものが好ましい。
そのような光重合開始剤として、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アシッドエステル類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類、を使用することができる。
これらの光重合開始剤として、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、フェニル酢酸、α−オキソ− オキシジ−2,1−エタンジイルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、又はオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル) −フェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノンなどが好適に用いられる。なかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドを使用することが好ましい。
これらの光重合開始剤は本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物中0.5〜20.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%となるように配合することができる。20.0重量%を超えると、過剰な量のラジカルが発生することになるので、ラジカル重合反応が多くの開始点からなされ、その結果、硬化後のポリマーの分子量が小さくなって硬化膜が脆くなり、膜を維持できない可能性がある。また、0.5重量%未満であると十分な量のラジカルが発生できないので、ラジカル重合反応が長時間に及ぶこととなり、硬化不良となる可能性が高い。
なお、本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物に重合禁止剤を配合する場合には、重合禁止剤として、メトキノン等のキノン化合物、α−トコフェロール等のトコフェロール化合物、サリチル酸ヒドラジドを採用することが好ましい。
自爪塗布用光硬化性人工爪組成物中の重合禁止剤の含有量としては、重量の割合で500〜5000ppmが好ましく、より好ましくは1000〜2500ppm、更に好ましくは1300〜2300ppmである。5000ppmより含有量が多いときには、自爪塗布用光硬化性人工爪組成物が黄変する可能性があり、500ppmよりも少ないときには、自爪塗布用光硬化性人工爪組成物が保管時において不用意に硬化してしまう可能性が高くなる。
また、本発明において、重合禁止剤は光重合開始剤による硬化を抑制する作用を有するので、光重合開始剤の含有量に対する重合禁止剤の含有量の比率を一定範囲とすることもできる。
このため、光重合開始剤1重量部に対して、好ましくは重合禁止剤を0.030〜0.100重量部、より好ましくは0.035〜0.080重量部の範囲とすることができる。
使用できる顔料及び染料の種類、及びそれらの含有量としては、紫外線の照射による硬化を阻害しない程度のものとすることが必要である。
本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物は、使用者自身の爪の表面にサンディングを施すことなく、爪表面に凹凸を形成させる必要がない他は、公知の紫外線硬化型の光硬化性人工爪組成物と同様の方法により爪表面に塗布することができる。また、爪へのベースコート層(下地層)として、あるいは中間層、さらにトップコート層として使用することができる。
そのため、本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物は筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。もちろん、爪表面に本発明の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を被膜表面に付着させることも可能である。
また、シートの片面に本発明の未硬化の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物からなり、かつ爪の形状を有する層を設けておき、この層を爪表面に重ねるようにして付着させ、この自爪塗布用光硬化性人工爪組成物からなる層からシートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化することもできる。このようなシート表面に予め自爪塗布用光硬化性人工爪組成物からなる層を設けておけば、使用時に筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能である。そして使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でも良い。
塗布後の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の硬化に関しても公知の紫外線硬化用の装置を用いて行うことができる。含有される化合物や顔料等の成分によって、硬化に必要な照射エネルギーは異なるものの、その光照射による照射エネルギー(積算光量)は、5mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下であるのが好ましく、10mJ/cm2以上800mJ/cm2以下であるのがより好ましい。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートが得られる。
光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。
その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザーダイオード(UV−LD)が好ましい。
<組成物の評価>
(耐水性)
厚さ100μmの自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の被膜を硬質塩ビ板上に形成し、この被膜に対して32WLED−UVライトで20秒間紫外線を照射して硬化させた。
次いで、硬化され得られた被膜を常温の水に浸漬し、20分放置した。
その後、ウッドスティックで被膜を削り、その欠損の程度によって、被膜の耐水性を目視で評価した。なお、市販の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物はこのような試験により欠損する。
評価5:被膜に変化がなかった。
3:被膜が僅かに欠損した。
1:被膜が著しく欠損した。
180Gのスポンジパフを用いて自爪表面を整え、自爪表面を消毒用エタノールで拭いた後、その自爪表面に自爪塗布用光硬化性人工爪組成物の被膜を形成し、この被膜に対して32WLED−UVライトで20秒間紫外線を照射して硬化させた。
次いで、市販のカラージェル、さらにトップジェルを塗布し、同条件で硬化させたものの、14日後の状態を観察した。
評価5:被膜に変化がなかった。
4:被膜が10本の指のうち1本以下で欠損が見られた。
3:被膜が10本の指のうち3本以下で欠損が見られた。
1:被膜が10本の指のうち4本以上欠損が見られた。
疎水性オリゴマーB:ネオペンチルグリコール及びオキセパノン構造を有するウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:15000、アクリロイル基に基づく官能基数2、アクリル当量:15000/2=7500)
親水性オリゴマーA:ポリプロピレン構造を有するウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:9000、アクリロイル基に基づく官能基数2、アクリル当量:9000/2=4500)
親水性オリゴマーB:ポリプロピレン構造を有するウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3500、アクリロイル基に基づく官能基数2、アクリル当量:3500/2=1750)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HPMA:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
BISGMA:イソプロピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)
PMA:リン酸メタクリル酸ヘキサン酸エチル
PMA2:リン酸ビス(メタクリル酸ヘキサン酸エチル)
光重合開始剤A:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
光重合開始剤B:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
これに対して、親水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた比較例1〜3によれば、被膜の耐水性に劣り、かつ密着性も不良であった。
Claims (4)
- 疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、及び光重合開始剤を含有する自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
- 疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが、分岐を含みC5以上の炭素鎖セグメントを分子内に有する請求項1に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
- (メタ)アクリル系モノマーが、イソボルニルアクリレートである請求項1又は2に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
- (メタ)アクリル系モノマーが、リン酸エステル系(メタ)アクリレートである請求項1又は2に記載の自爪塗布用光硬化性人工爪組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016106350A JP6763564B2 (ja) | 2016-05-27 | 2016-05-27 | 疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー含有自爪塗布用光硬化性人工爪組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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