JP7019162B2 - 光硬化性人工爪組成物 - Google Patents

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Description

本発明は光硬化性人工爪組成物に関する。
近年、手や足の自爪に装飾を施したり、自爪に接着して用いる人工爪に装飾を施すというネイルアートの人気が高まっている。また、装飾や、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強の目的で、いわゆるマニキュア、ペディキュア、ジェルネイル、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料を爪に塗布することもなされている。
最近、アクリル基を有するウレタン系オリゴマーとアクリル系モノマーを含むジェル状の爪被覆材料を、人工爪上や自爪上に形成したネイル被覆層上に塗布し、紫外線を照射して硬化させる、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。
これらは、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、下地表面から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
このような人工爪組成物として、特許文献1に記載されているように、特定のモノマーとアクリル基を有するウレタンオリゴマーを含有することによって爪への接着耐久性を向上させたものは公知である。
特開2014-023590号公報
光硬化性人工爪組成物として、末端にアクリル基を有するウレタンオリゴマーを含有する組成物を採用し、この組成物からなる塗膜に紫外線等のエネルギー線を照射して硬化を行う場合には、硬化時において、無視できない硬化収縮を伴うことがある。
その収縮の程度は、体積が10~15%減少する収縮となることもあり、このような場合には、爪の上に形成した塗膜を硬化したときに、収縮による強い力や閉塞感を指先に感じることがある。また、塗膜の収縮によって、塗膜に割れ・ひびや皺が形成されることがある。
このような場合において、指先に人工爪塗膜を心地よく形成させておくことができず、使用時において不快感を生じることになる。
さらに、硬化した人工爪組成物を溶剤を用いて除去する際に、溶解性が高い芳香族炭化水素のような溶剤を使用することもできるが、臭気等の点において好ましくはなく、アセトン等の比較的臭気がない溶剤を使用した場合には、簡単かつ十分に除去することが困難であった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成物からなる光硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
1.a.(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタン
b.(メタ)アクリレートモノマー
c.光重合開始剤
を含有する光硬化性人工爪組成物。
2.a.の(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンが、分子の末端に(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンである1に記載の光硬化性人工爪組成物。
本発明によれば、爪表面等に塗布しエネルギー線を照射して硬化させる際に、硬化後の塗膜は伸び率が高いために、光硬化性人工爪組成物が収縮することなく、かつ塗膜に割れ・ひびや皺が発生することを防止できる。加えて、自爪表面上での塗膜の収縮によって、収縮による強い力や閉塞感を指先に感じることがないという効果を発揮することができる。
必要により、さらに硬化した塗膜を除去する際にアセトン等の溶剤を使用した場合においても、速やかにかつ綺麗に除去すること、つまり良好なソークオフ性(溶剤による剥離性)を有することができる。
本発明の光硬化性人工爪組成物は、自爪表面や人工爪表面に塗布することができる。加えていわゆる一般のマニキュアやペディキュア、スカルプチュア、ジェルネイルのように自爪や人工爪の表面に、ベースコート層、中間層であるカラーコート層、あるいはトップコート層として被覆を行うための組成物とすることもできる。
本発明の光硬化性人工爪組成物はベースコート用ジェルネイルとして使用することができる。また、該ベースコートの上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコートのいずれにも使用しても良い。
硬化後には酸素による重合阻害等を原因とした未重合の光硬化性成分は、本発明の光硬化性人工爪組成物中に存在するが、本発明の人工爪組成物によれば、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて拭き取り、艶を出すことができる。
以下に本発明の光硬化性人工爪組成物の具体的組成について説明する。
[(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタン]
本発明における(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンとしては、ポリウレタン及びウレタンオリゴマーを使用することができる。そのようなポリウレタンやウレタンオリゴマーとしては、分子内にエーテル結合及び/又はエステル結合を有するポリウレタン、ウレタンオリゴマー、エポキシウレタンオリゴマーを使用することができる。なかでもウレタンオリゴマーが好ましい。
このような(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンを使用することによって、硬化時に光硬化性人工爪組成物からなる層が収縮することがなく、割れ・ひびや皺が発生せず、使用者が不快感を感じることがなく、さらに、艶が優れ、透明で匂いが少なく、黄変しない塗膜を得ることができる。
このような(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンは、本発明の光硬化性人工爪組成物中1~80重量%となるように使用することができ、好ましくは5~60重量%、さらに好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~60重量%である。
1重量%未満のときには、下地との間で密着性が劣ることがある。80重量%を超えると、塗膜時の成膜性に劣る可能性がある。
また、10重量%未満であるときには、ソークオフ性に劣る可能性がある。
[(メタ)アクリレートモノマー]
(単官能(メタ)アクリレートモノマー)
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートを使用することもできる。さらに、モノペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、テトラペンタエリスリトールアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートや、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有メタ)アクリレートを使用することもできる。
さらに、(メタ)アクリロキシエチルフォスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)フォスフェート、(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート、(メタ)アクリロキシエチルヘキサノエートフォスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチルヘキサノエート)フォスフェート、(メタ)アクリル酸やマレイン酸等のα,β不飽和カルボン酸の(メタ)アクリル酸エステル化合物、4-ビニル安息香酸のビニル芳香環化合物、11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1ウンデカンジカルボン酸、(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸、4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等の水酸基を有する酸性(メタ)アクリレートも使用することができる。
これらの中でも(メタ)アクリロキシエチルヘキサノエートフォスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチルヘキサノエート)フォスフェート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
このような単官能(メタ)アクリレートモノマーを配合することによって、光硬化性人工爪組成物の粘度を調整でき、臭いが少なく、爪への密着性に優れかつ低刺激性の光硬化性人工爪組成物とすることができる。そして単官能(メタ)アクリレートモノマーは、本発明の光硬化性人工爪組成物中1~99重量%となるように使用することができ、好ましくは3~60重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。1~99重量%の範囲とすることによって、硬化後の臭いが少なく、適度な重合性を備え、硬化塗膜を収縮させることがなく低刺激性とすることができる。
1重量%未満のときには、硬化後の塗膜の硬度が低くなる可能性が高くなり、かつ十分な密着性を備えた塗膜が形成されず、また使用時の拭き取り性が悪化する可能性があり、99重量%を超えると硬化した塗膜が脆くなり、硬化膜が剥がれ易くなったり、傷が付きやすくなったりする可能性がある。
(二官能(メタ)アクリレートモノマー)
二官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、イソプロピリデンジフェニルビス((メタ)アクリル酸オキシヒドロキシプロピル)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。
これらの中でもプロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが、特に人工爪組成物の硬化後の硬度の調節の点において好ましい。
このような二官能(メタ)アクリレートモノマーを配合することによって、人工爪組成物の硬化後の硬度の調節ができる。そして二官能(メタ)アクリレートモノマーは、本発明の光硬化性人工爪組成物中1~99重量%となるように使用することができ、好ましくは3~60重量%、さらに好ましくは10~40重量%である。1~99重量%の範囲とすることによって、人工爪組成物の硬化後の硬度を調節することができる。
1重量%未満のときには、硬化後の塗膜の硬度が低くなる可能性が高くなり、かつ十分な密着性を備えた塗膜が形成されず、また使用時の拭き取り性が悪化する可能性があり、99重量%を超えると硬化した塗膜が脆くなり、硬化膜が剥がれ易くなったり、傷が付きやすくなったりする可能性がある。
(多官能(メタ)アクリレートモノマー)
多官能(メタ)アクリレートモノマー(三官能以上)としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;その他、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールオクタアクリレート等のポリペンタエリスリトールポリアクリレート類が挙げられる。
これらの中でも、ポリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリペンタエリスリトールオクタアクリレート等のポリペンタエリスリトールのテトラ以上の(メタ)アクリレートエステルが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーを配合することによって、特に硬化膜の硬度を調節することができる。
そして多官能(メタ)アクリレートモノマーは、自爪上の光硬化性人工爪組成物塗布層の硬化性と硬化膜の硬さや脆さのバランスを考慮して、本発明の光硬化性人工爪組成物中1~99重量%となるように使用することができ、好ましくは3~60重量%、さらに好ましくは10~25重量%である。
1重量%未満のときには、硬化後の塗膜の硬度が低くなる可能性が高くなり、かつ十分な密着性を備えた塗膜が形成されず、また使用時の拭き取り性が悪化する可能性があり、99重量%を超えると硬化した塗膜が脆くなり、硬化膜が剥がれ易くなったり、傷が付きやすくなったりする可能性がある。
((メタ)アクリレートオリゴマー)
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、分子内にエーテル結合及び/又はエステル結合を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)ウレタンアクリレートオリゴマーを使用することができる。なかでもウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーを使用することによって、硬化後の臭いが少なく、伸縮性や艶が優れた塗膜を得ることができる。
これらの(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の光硬化性人工爪組成物中0~85重量%となるように使用することができ、好ましくは20~70重量%である。85重量%を超えると、塗膜形成後において剥離しやすくなる可能性がある。但し、(メタ)アクリレートオリゴマーが(メタ)アクリロイル基を有する場合には、その(メタ)アクリレートオリゴマーの光硬化性人工爪組成物中の濃度は、下記の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンの濃度と合わせて50重量%未満とする必要がある。
さらに、1分子あたり官能基数が2~4のウレタンアクリレートオリゴマーを選択することにより、さらに高い硬化性を発揮できる。
またウレタンアクリレートオリゴマーの分子量(重量平均分子量)は2,000~5,000の範囲であることが硬化性の点において好ましい。
[光重合開始剤]
本発明の光硬化性人工爪組成物に配合される光重合開始剤は、LEDを光源とした紫外線や365~410nm付近の波長の光(可視光の一部)によっても十分に硬化することができ、硬化時の発熱量を抑制することができるものが好ましい。
そのような光重合開始剤として、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アシッドエステル類、α-アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等を使用することができる。
これらの光重合開始剤として、具体的には、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、フェニル酢酸、オキシジ-2,1-エタンジイルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド、2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、又はオキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル) -フェニルフォスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド、1,2-オクタンジオン、1-(4-(フェニルチオ)-2,2-(O-ベンゾイルオキシム))、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、および1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノンなどが好適に用いられる。中でも特に1-ヒドロキシシクロヘキシルジフェニルフォスフィンオキシド、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが好ましい。
これらの光重合開始剤は、染料、顔料や重合性化合物の光吸収によってもラジカル生成反応が阻害されず、またラジカル発生効率が高く、光硬化性人工爪組成物の硬化性を高めることができる点で好ましい。
これらの光重合開始剤は合計で本発明の光硬化性人工爪組成物中0.5~20.0重量%、好ましくは5~15.0重量%となるように配合することができる。20.0重量%を超えると、過剰な量のラジカルが発生することになるので、ラジカル重合反応が多くの開始点からなされ、その結果、硬化後のポリマーの分子量が小さくなって硬化塗膜が脆くなり、膜を維持できない可能性がある。また、0.5重量%未満であると十分な量のラジカルが発生できないので、ラジカル重合反応が長時間に及ぶこととなり、硬化不良となる可能性が高い。
本発明の光硬化性人工爪組成物は、硬化時において、実質的に硬化収縮を伴わない。そのため、爪の上に形成した塗膜を硬化したときに、収縮による強い力や閉塞感を感じることがなく、使用時において不快感を生じない。
また、本発明の光硬化性人工爪組成物は、各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、ポリオール類、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、着色剤、顔料、低応力化剤、抗菌剤、重合禁止剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤を配合することができる。
上記のポリオール類には、希釈剤としての機能に加え、本発明の組成物において接着性を向上させる働きもある。例えばアルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールが好ましく、特にポリエーテルポリオールが好ましい。接着性を向上させるために用いるときは、ポリオール類を除いた樹脂成分100重量部に対してポリオール類を0.1~40重量部、好ましくは2~15重量部で配合する。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,4-ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100~100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100~100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100~100,000が好ましい。
着色剤としては、公知の顔料、光輝材、染料を使用することができ、特に爪被覆用として使用されている無機顔料、光輝材有機顔料や染料を使用することができる。また、硬化前の光硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の光硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
使用できる顔料及び染料の種類、及びそれらの含有量としては、紫外線の照射による硬化を阻害しない程度のものとすることが必要である。但し、本発明の人工爪組成物は黒色であることから他に着色剤を添加することによる呈色上での効果は希薄である。
なお、本発明の光硬化性人工爪組成物は、(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンを配合することが必須であり、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンを含有しないことが好ましいが、本発明による効果を阻害しない範囲の量で、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンを配合することができる。
その場合の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンの含有量としては、(メタ)アクリレートオリゴマーの濃度と合わせて、光硬化性人工爪組成物中50重量%未満に留まる。
[光硬化性人工爪組成物による被覆方法]
本発明の光硬化性人工爪組成物は、使用者自身の爪の表面にサンディングを施して爪表面に凹凸を形成させる必要がない他は、公知の紫外線硬化型の光硬化性人工爪組成物と同様の方法により爪表面に塗布することができる。また、爪への下地層として、あるいは中間層、さらにトップコート層、模様を描くために部分的に形成する層として使用することができる。自爪への接着性に優れるという性質からみて、爪表面に直接塗布するために使用することが最も好ましい。
そのため、本発明の光硬化性人工爪組成物は筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。もちろん、爪表面に本発明の光硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を被膜表面に付着させることも可能である。
また、シートの片面に本発明の未硬化の光硬化性人工爪組成物からなり、かつ爪の形状を有する層を設けておき、この層を爪表面に重ねるようにして付着させ、この光硬化性人工爪組成物からなる層からシートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化することもできる。このようなシート表面に予め光硬化性人工爪組成物からなる層を設けておけば、使用時に筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能である。そして使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でも良い。
塗布後の光硬化性人工爪組成物の硬化に関しても公知の紫外線硬化用の装置を用いて行うことができる。含有される化合物や顔料等の成分によって、硬化に必要な照射エネルギーは異なるものの、その光照射による照射エネルギー(積算光量)は、5mJ/cm以上1000mJ/cm以下であるのが好ましく、10mJ/cm以上800mJ/cm以下であるのがより好ましい。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートが得られる。
光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。
その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV-LED)および紫外線レーザーダイオード(UV-LD)が好ましい。
オリゴマーA:ウレタンアクリレートオリゴマー
(1分子あたりの官能基数2、分子量4,300)
オリゴマーB:ウレタンメタクリレートオリゴマー
(1分子あたりの官能基数2、分子量5,000)
IBXA :アクリル酸イソボルニル
IBXMA :メタクリル酸イソボルニル
開始剤A :1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
開始剤B :2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
ポリマーA :ポリウレタン(1分子あたりの官能基数0、分子量23,000)
<伸び率>
PP板に組成物を75μmの厚みになるように塗布し、30W LED-UVライトで硬化させ、1cm幅に切り、長さ8cmの硬化膜をゆっくり左右に引っ張り、千切れた時の伸びた長さを計測し、元の長さに対して何倍まで伸びたかを評価した。
<ソークオフ性>
硬質塩ビ板に組成物を75μmの厚みになるように塗布し、30W LED-UVライトで硬化させ、硬化膜の上に0.5mLのアセトンを染み込ませたコットンを置き、5分間静置後の塗膜の状態を観察および金属棒でプッシュした。
評価
5:硬化膜が硬質塩ビ板から浮いている
4:硬化膜の一部が硬質塩ビ板から浮いている
3:金属棒でプッシュすると大きく削れる
2:金属棒でプッシュすると小さく削れる
1:金属棒でプッシュしてもほとんど削れない
Figure 0007019162000001
実施例1~3によれば、十分に優れたソークオフ性を有し、かつ、得られた効果塗膜は十分に高い伸び率を有しており、硬化後の塗膜が収縮せず、その表面にひびや割れが発生することが無かった。比較例1及び2による硬化後の塗膜は、不十分なソークオフ性を有すると共に、伸び率が小さいので、硬化後の塗膜に割れやひび等の収縮した痕跡が見られた。

Claims (3)

  1. a.(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタン
    b.単官能(メタ)アクリレートモノマー
    c.1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びアシルホスフィンオキシドを含む光重合開始剤
    d.重量平均分子量が2,000~5,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、
    を含有し、
    a.(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンの含有量が光硬化性人工爪組成物中10~60重量%であり、
    b.単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が光硬化性人工爪組成物中10~60重量%であり、
    c.光重合開始剤の含有量が光硬化性人工爪組成物中0.5~15.0重量%であり、
    d.重量平均分子量が2,000~5,000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が光硬化性人工爪組成物中12~70重量%であり、
    厚さ75μm、幅1cm、長さ8cmの硬化膜を長手方向に引張りちぎれた時の伸びが元の長さの100~220%である、
    光硬化性人工爪組成物。
  2. a.(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタン
    b.単官能(メタ)アクリレートモノマー
    c.光重合開始剤
    を含有し、
    (i)N,N-ジメチルアクリルアミド及びメタクリル酸イソデシルを含有せず、及び
    (ii)メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸を含有せず、
    a.(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンの含有量が光硬化性人工爪組成物中20~60重量%であり、
    b.単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が光硬化性人工爪組成物中10~60重量%であり、
    c.光重合開始剤の含有量が光硬化性人工爪組成物中0.5~20.0重量%であり、
    厚さ75μm、幅1cm、長さ8cmの硬化膜を長手方向に引張りちぎれた時の伸びが元の長さの50~260%である、
    光硬化性人工爪組成物。
  3. a.の(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンが、分子の末端に(メタ)アクリロイル基を有しないポリウレタンである請求項1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。
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