JP2020055772A - 硬化性ジェルネイル組成物、ジェルネイルベース層、ジェルネイル、及び、ジェルネイル組成物セット - Google Patents
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Abstract
Description
これらは、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜(硬化塗膜)を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
ジェルネイルは、一般的に、表面側に設けられ艶出しや保護のために設けられるトップジェル層、爪側に設けられ爪との密着性を確保するために設けられるベースジェル層、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられ発色のためのカラー層、の3層から構成されている。
このようなジェルネイルを構成する光硬化性人工爪組成物として、特許文献1〜特許文献5に記載されているようなものが知られている。
特許文献2には、人工爪形成用組成物であって、紫外線硬化型樹脂としてのウレタンアクリレートオリゴマー及び紫外線硬化型樹脂としてのヒドロキシエチルアクリレートを含有し、人体に安全なUVAにより短時間で十分に硬化させることができる、自爪に塗布する人工爪形成用組成物が開示されている。
特許文献3には、放射線硬化性ゲル状ネイルコーティング組成物であって、ジ−[ヒドロキシエチルメタクリリック]トリメチルヘキシルジカルバメート、メタクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及び溶剤をそれぞれ特定量比で含有し、さらに配合し得る成分としてポリウレタンアクリレートオリゴマーが例示される、哺乳類の爪に接触させて適用する放射線硬化性ゲル状ネイルコーティング組成物が開示されている。
特許文献4には、1分子内にラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物、およびチオール化合物を含有する光硬化性の人工爪原料組成物が開示されている。この光硬化性人工爪原料組成物は、光を遮蔽した室温下にて保管の問題を発生させず、硬化後においても、人工爪内に未硬化の組成物が残存しないものであるとされている。
特許文献5には、疎水性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー及び光重合開始剤を含有する自爪塗布用光硬化性人工爪組成物が開示されている。この自爪塗布用光硬化性人工爪組成物から得られた硬化塗膜は、耐水性が良好であり、密着性は悪くても硬化塗膜が若干欠損する程度であって、疎水性と密着性のバランスが取れた硬化塗膜であるとされており、爪へのベース層(ベースコート層・下地層)として使用することもできるものである。
本発明者は、時間の経過とともに発生する凹凸の発生原因が、ジェルネイルの内部に蓄積した水分によるものであること、この水分が爪呼吸により内部から蒸散した水分であること、そして、ジェルネイルを構成する各層間の界面等に、爪呼吸により内部から蒸散した水分が蓄積されることで、凹凸が発生することを見出し、特に、水分透過率が高いベースジェルを用いると、ベースジェル層―カラー層又はベースジェル層―トップ層との界面で水分が蓄積されて、凹凸(浮き)が発生するとの知見を得た。
本発明は、ジェルネイルにおいて、浮きの発生を抑制したジェルネイルを得ることを目的とする。
本発明は、爪の上にジェルネイルを設ける方法において、浮きの発生が抑制されたジェルネイルを構成するための方法を得ることを目的とする。
具体的には以下のとおりである。
(1)硬化塗膜の水分透過率が33%以下である硬化性ジェルネイル組成物。
(2)上記硬化性ジェルネイル組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートと、単官能モノマー及び/又は多官能モノマーと、を含む、上記(1)に記載の硬化性ジェルネイル組成物。
(3)ウレタン(メタ)アクリレートを硬化性ジェルネイル組成物中に20質量%以上含む、上記(1)又は(2)に記載の硬化性ジェルネイル組成物。
(4)爪の上に直接塗布されるジェルネイルベース層形成用である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性ジェルネイル組成物。
(5)硬化塗膜の水分透過率が33%以下であるジェルネイルベース層。
(6)爪の上に設けられる硬化塗膜の水分透過率を33%以下とする、爪の上にジェルネイルを設ける方法。
(7)爪の上に設けられるジェルネイルであって、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層、爪側に設けられるベースジェル層、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を有し、少なくともベースジェル層の水分透過率が33%以下である、ジェルネイル。
本発明のジェルネイルベース層によれば、硬化塗膜の水分透過率を33%以下とすることにより、経時での凹凸の発生がないジェルネイルを構成することができ、自爪表面への濡れ広がり性に優れ、自爪との密着性が高く、長期にわたって密着性に優れ持ちのよいジェルネイルを構成することのできるジェルネイルベース層が提供される。さらに、爪表面から硬化塗膜に浸透する水分によって、該塗膜が柔軟化したり、膨潤したりすることがなく、そして、臭いが少なく伸縮性に優れ、硬化塗膜透明度が高く黄変せず、艶を有し、高い硬度の硬化塗膜を形成できるジェルネイルベース層が提供される。
なお、本発明者らが検討したところによると、爪の上に設けられるジェルネイルとして、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層、爪側に設けられるベースジェル層、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を有し、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層の水分透過率の差が±10%以内である、ジェルネイルとすることで、爪表面に対し濡れ広がりやすく、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、持ちのよいジェルネイルを提供できることが判明した。
そして、爪の上にジェルネイルを設けるためのジェルネイル組成物セットとして、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層を形成するジェルネイル組成物、爪側に設けられるベースジェル層を形成するジェルネイル組成物、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を形成するジェルネイル組成物を有し、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層の水分透過率の差が±10%以内となるようにされている、ジェルネイル組成物セットとすることで、爪表面に対し濡れ広がりやすく、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、持ちのよいジェルネイルを容易に設けることができるジェルネイル組成物セットを提供できることが判明した。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物の硬化塗膜の水分透過率は33%以下であり、前記水分透過率の下限値については特に制限されない。水分透過率の範囲は目的等に応じて適宜設定することができ、通常1〜33%、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%である。
ここで、本明細書中の水分透過率は、実施例において記載されるように求められるものであって、具体的には、以下のように求められるものである。
(1)内径15mmの試験管にイオン交換水5.2gを入れ、試験管の開口部と合致する開口部が設けられたドーナツ盤状の両面粘着テープを用いて、厚さ75μmのジェルネイル塗膜を固定し、ジェルネイル塗膜上に、試験管開口部と合致するように開口部が設けられた円筒状ゴム栓を乗せて固定した。
(2)50℃の恒温槽に7日間放置した後に、試験管内に残った水の質量を測定し、以下の式により本発明の水分透過率とした。
水分透過率(%)=(試験前水分量−50℃恒温槽から取り出し後水分量)/試験前水分量×100
(2)分子量が大きいウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性ジェルネイル組成物。
(3)水酸基、リン原子含有基、アミノ基といった親水性基を含まないか含むとしても少量であるウレタン(メタ)アクリレート及び/又はモノマーを主たる成分として含む硬化性ジェルネイル組成物。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、単官能モノマー及び/又は多官能モノマー、重合開始剤、その他の配合成分を含むものが好ましい。
また、ジェルネイルを構成する各層の硬化塗膜の架橋密度について、ベース層の架橋密度と、カラー層及び/又はトップ層の架橋密度とを同程度にすることにより、浮きの発生が抑制されたジェルネイルを構成することができる。
以下、硬化性ジェルネイル組成物の構成成分について説明する。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオール(a1)、ポリイソシアネート(a2)、及び、水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(a3)を反応させて得られたものを用いることができる。
本発明では、これらの中でも、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールがより好ましい。
また、硬化塗膜の架橋密度を高めるためには、ウレタン(メタ)アクリレートが1分子中に有しているアクリレート基数を2以上にすることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの質量平均分子量が上記下限値以上であると、得られる硬化塗膜の3次元加工適性が良好となる傾向にある。ウレタン(メタ)アクリレートの質量平均分子量が上記上限値以下であると、硬化性ジェルネイル組成物から得られる硬化塗膜の耐汚染性が良好となる傾向にある。
これらのウレタン(メタ)アクリレートは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
硬化性ジェルネイル組成物におけるウレタン(メタ)アクリレートの配合量としては、硬化性ジェルネイル組成物中に20質量%以上、好ましくは50質量%以上となるように含有させることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートの配合量の上限は特に限定されないが、99質量%以下であり、好ましくは80質量%以下となるように含有させることができる。
99質量%よりも多く、場合によっては80質量%より多く含有すると、硬化時に収縮が発生しやすくなり、それに伴い硬化塗膜にしわやヒビが発生する可能性がある。
含有する量が20質量%よりも少ないと、硬化塗膜の水分透過率を33%以下とすることが困難となり、また、十分な硬度の硬化塗膜を形成させることができずに硬化塗膜の表面に傷が付きやすくなる。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物には、単官能モノマー及び/又は多官能モノマーを含有させることができる。
単官能モノマーとしては、硬化性ジェルネイル組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
そのような単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等があげられる。
また、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートを使用することもできる。
また、リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸(メタ)アクリロイルオキシプロピル、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メタクリル酸ヘキサン酸エチル、リン酸メタクリル酸プロパン酸ペンチル等の単官能のリン酸エステル系メタクリレートも使用することができる。
これらのなかでも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、硬化塗膜の硬度と屈曲性のバランスが良好になる。
これらの単官能モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
単官能モノマーは、硬化性ジェルネイル組成物の架橋密度を調整することや粘度を調整することで塗りやすくする等を目的として配合されるものであり、硬化性ジェルネイル組成物中に80質量%未満、好ましくは45質量%以下となるように含有させることができる。80質量%を超えて配合すると、硬化速度が減衰し、未硬化樹脂が残存する可能性がある。
多官能モノマーとしては、硬化性ジェルネイル組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備えることが必要である。
このような多官能モノマーとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等のトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等のエリスリトール類の(メタ)アクリレート類、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを使用することができる。
これらの多官能モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーは、硬化性ジェルネイル組成物の架橋密度を調整することや粘度を調整することで塗りやすくする等を目的として配合されるものであり、硬化性ジェルネイル組成物中に80質量%未満、好ましくは45質量%以下となるように含有させることができ、多官能モノマーを用いなくてもよい。80質量%を超えて配合すると、硬化速度が減衰し未硬化樹脂が残存したり、硬化塗膜の収縮が大きくなったりする可能性がある。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物に配合する重合開始剤は、硬化性爪組成物の重合を開始するものであればどのようなものでも使用できるが、LEDを光源とした紫外線や365〜410nm付近の波長の光(可視光の一部)によっても十分に硬化塗膜を形成することができ、硬化時の発熱量を抑制することができるものが好ましい。
そのような光重合開始剤として、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アシッドエステル類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類、を使用することができる。
これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、硬化性ジェルネイル組成物中0.5〜20.0質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%となるように配合することができる。20.0質量%を超えると、過剰な量のラジカルが発生することになるので、ラジカル重合反応が多くの開始点からなされ、その結果、硬化後のポリマーの分子量が小さくなって硬化膜が脆くなり、膜を維持できない可能性がある。また、0.5質量%未満であると十分な量のラジカルが発生できないので、ラジカル重合反応が長時間に及ぶこととなり、硬化不良となる可能性が高い。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物に配合してもよい多官能チオール化合物としては、1分子中にチオール基が2つ以上、好ましくは3つ以上存在する化合物であればどのようなものでも使用することができる。これらの多官能チオール化合物として、具体的には、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、エチレングリコールビス(チオグリコレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ジメルカプトジエチルスルフィド、1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリチオシアヌル酸、1,2−ベンゼンジメタン、チオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)ブタン、1,1−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)プロパン、ビス(2−(2−メルカプトプロポキシ)−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトプロポキシ)−3−t−ブチルフェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−(2−メルカプトプロポキシ)フェニル)エタン、ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)プロパン、トリス(4−(2−メルカプトブトキシ)フェニル)メタン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、のアルキルビニールエーテル付加物等があげられる。好ましくは、多官能チオール化合物として、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトールが本来有する水酸基に、チオール基又は反応してチオール基になる基を有する化合物が反応して得たものがあげられ、特に好ましくは、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)があげられる。
これら多官能チオール化合物としては、各種の市販品を用いてもよく、適宜合成してもよい。市販品としては、昭和電工社製の商品名カレンズとして知られているシリーズのもの等があげられる。
このような多官能チオール化合物を含有させることによって、光硬化性人工爪組成物の粘度を調節することに加え、硬化した光硬化性人工爪組成物を拭き取って除去する際の拭き取り性を向上させることができる。
本発明の光硬化性人工爪組成物において、多官能チオール化合物を全光硬化性人工爪組成物中に1.0〜50.0質量%、好ましくは1.0〜25.0質量%、さらに好ましくは1.0〜10.0質量%となるように含有させることができる。50.0質量%よりも多く含有すると硬化時の硬化速度が速すぎて、爪表面への塗布や、硬化時の取り扱いが困難になる可能性があり、また、保存安定性が悪化する可能性もあり、一方、含有する量が1.0質量%よりも少ないと、硬化速度が低下して、硬化後においても未硬化成分を含有する可能性があり、また、十分な接着性を確保することができなくなる可能性もある。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物には、光沢度、粘度や透明性、硬化性などに悪影響を与えない範囲で、各種のポリマー、他の各種のモノマー、各種の添加剤を配合することができる。
ポリマーとしては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、天然高分子があげられる。
他の各種のモノマーとしては、ビニルエーテル系モノマー等の単官能モノマー及び多官能モノマー以外のエチレン性不飽和基を1つ以上有する化合物があげられる。
添加剤としては、例えば、重合禁止剤、シランカップリング剤、色材、ポリオール類、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の体質顔料(充填剤)、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、湿潤剤、増粘剤、低応力化剤、抗菌剤、防腐剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤を1種以上配合することができる。
また、本発明において、重合禁止剤は重合開始剤による硬化を抑制する作用を有するので、重合開始剤の含有量に対する重合禁止剤の含有量の比率を一定範囲とすることもできる。
このため、重合開始剤1質量部に対して、好ましくは重合禁止剤を0.030〜0.100質量部、より好ましくは0.035〜0.080質量部の範囲とすることができる。
これらのシランカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物中のシランカップリング剤の含有量としては、通常、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%。さらに好ましくは0.5〜3質量%である。シランカップリング剤の含有量を0.05〜10質量%の範囲とすることで、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、持ちのよいジェルネイルを構成することができる。
無機顔料としては、金属酸化物系顔料や金属錯塩系顔料例えば、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、酸化コバルト、酸化亜鉛、マンガンバイオレット、群青、紺青、カーボンブラックを用いることができるが、これらに限定されない。
有機顔料としては、染料のレーキ顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、その他の有機顔料があげられ、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号−(1)、黄色202号−(2)、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号−(1)、黄色404号、黄色405号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号−(1)、赤色105号−(1)、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号−(1)、赤色230号−(2)、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号を用いることができるが、これらに限定されない。
光輝材としては、例えば、公知の天然及び合成雲母やそれらの雲母表面に金属や金属化合物を被覆してなるフレーク状顔料、表面がコーティングされていても良い金属粉、表面がコーティングされていても良い金属フレーク・箔、表面がコーティングされてもよいガラス等の無機化合物の粉やガラスフレーク、表面がコーティング・金属蒸着されていてもよい樹脂粉や樹脂片、各種貝殻粉末、その他のラメ素材を用いることができるが、これらに限定されない。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の光硬化性ジェルネイル組成物に配合できる装飾用材料等を色材として配合しておくことも可能である。
これらの色材は、1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。硬化性ジェルネイル組成物中の色材の含有量としては、紫外線照射等による硬化を阻害しない範囲において、所望の色彩を得るために任意に調整することができる。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物中の色材の含有量としては、通常、0.05〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%。さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物は、色材を添加しない場合や添加したとしても透明となる程度の量(透明カラーとなる量)、若しくは染料を添加することにより透明性がある光硬化性ジェルネイル組成物とすることもできる。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物は、公知の硬化性ジェルネイル組成物と同様の方法により爪の表面にジェルネイルを設ける際に、爪表面に直接設けられるベース層(ベースコート層・下地層)、中間層であるカラー層(カラーコート層)及び最表面のトップ層(トップコート層・表面層)のうちの少なくとも1層の硬化塗膜を形成するために用いることができるが、特に自爪の表面に直接塗布することで、ベース層を形成するために用いるのが好ましい。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物は、従来のラジカル重合性のマニキュア等と同様の設備、例えば、紫外線硬化用の照射設備を用いて爪表面を被覆する硬化塗膜を形成するものである。
ベース層を形成するために用いる際には、硬化塗膜が透明であってよく、また、僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することができる。
カラー層を形成するために用いる際には、ソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色することができる。
トップ層を形成するために用いる際には、ベース層と同様に、硬化塗膜が透明であってよく、また、僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することができ、硬化塗膜表面の光沢度に優れることから、ジェルネイルの艶を発揮させる作用も有する。
硬化後において、酸素による重合阻害等を原因とする未重合の光硬化性成分が仮に硬化塗膜中に存在するときには、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて拭き取る工程が必要である。但し、十分な硬化性を備えるときには、このような工程を要しない。
いずれの層に関しても硬化後少なくとも2週間欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しない。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物は、筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。もちろん、爪表面に本発明の硬化性ジェルネイル組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を硬化塗膜表面に付着させることも可能である。
本発明の硬化性ジェルネイル組成物により被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪や人工爪であってもよい。
紫外線硬化の際に必要な照射エネルギーは、含有される化合物や顔料等の成分によって異なるものの、積算エネルギー量として、5mJ/cm2〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、10mJ/cm2〜800mJ/cm2であるのがより好ましい。照射エネルギーの積算エネルギー量がこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートを得ることができる。
本発明の爪の上にジェルネイルを設ける第1の方法としては、爪の上に設けられる硬化塗膜の水分透過率が33%以下となるのであれば、爪の上に設けられる硬化塗膜を形成するために使用される材料は特に限定されない。このような材料としては、好ましくは、上記「1.硬化性ジェルネイル組成物」に詳述した硬化性ジェルネイル組成物を用いることができる。
前記水分透過率の下限値については特に制限されない。水分透過率の範囲は目的等に応じて適宜設定することができ、通常1〜33%、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%である。
塗布手段としては、筆等の塗布具を用いてもよく、その際には、爪表面にベースジェル形成材料を塗布後、小さな飾りや粉体等を塗膜表面に付着させることも可能である。
ベースジェル形成材料として硬化性ジェルネイル組成物を用いる場合、硬化性ジェルネイル組成物の硬化は、公知の硬化手段を採用することができる。硬化手段としては、紫外線、可視光、赤外線の照射装置が用いられ、好ましくは、紫外線照射装置による硬化手段を用いることができる。赤外線照射装置の光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等の公知の紫外線の光源があげられ、その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザーダイオード(UV−LD)を用いることが好ましい。
紫外線硬化の際に必要な照射エネルギーは、含有される化合物や顔料等の成分によって異なるものの、積算エネルギー量として、5mJ/cm2〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、10mJ/cm2〜800mJ/cm2であるのがより好ましい。照射エネルギーの積算エネルギー量がこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するジェルネイルを得ることができる。
本発明のジェルネイルは、爪の上に設けられるジェルネイルであって、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層、爪側に設けられるベースジェル層、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を有し、少なくともベースジェル層の水分透過率が33%以下である、ジェルネイルである。
前記水分透過率の下限値については特に制限されない。水分透過率の範囲は目的等に応じて適宜設定することができ、通常1〜33%、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%である。また、隣接する層の水分透過率差は、±10%以内であり、好ましくは±3%以内、より好ましくは±2%以内である。
このように、少なくとも、前記トップジェル層、前記ベースジェル層、及び、前記カラー層を有するジェルネイルにおいて、少なくともベースジェル層の水分透過率が33%以下であることにより、爪呼吸により内部から蒸散した水分が特定の層の間(ベースジェル層―カラー層又はベースジェル層―トップ層との界面)に蓄積されることがなくなり、凹凸(浮き)の発生を効果的に防止することができる。
このような、水分透過率が33%以下である前記ベースジェル層を形成するために使用される材料は特に限定されないが、好ましくは、上記「1.硬化性ジェルネイル組成物」に詳述した硬化性ジェルネイル組成物を用いることができる。
前記水分透過率が33%以下の層の水分透過率の下限値については特に制限されない。水分透過率の範囲は目的等に応じて適宜設定することができ、通常1〜33%、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%である。
そして、隣接する層の水分透過率の差は、±10%以内であり、好ましくは±5%以内、より好ましくは±3%以内、最も好ましくは±2%以内である。
このように、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層の水分透過率の差が±10%以内であることにより、爪呼吸により内部から蒸散した水分が、水分透過率の異なる2層の界面(例えば、ベースジェル層とカラー層との間、など)に蓄積されることがなくなり、また、ジェルネイル表面からの水分の透過をも抑えることができ、表面から内部に透過(浸透)した水分が、水分透過率の異なる2層の界面(例えば、トップジェル層とカラー層との間、など)に蓄積されることがなくなり、凹凸(浮き)の発生を効果的に防止することができ、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、持ちのよいジェルネイルを形成することができる。
前記ジェルネイルにおいて、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であれば、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層を形成するために使用される材料は特に限定されないが、各層を構成するための材料として、好ましくは、上記「1.硬化性ジェルネイル組成物」に詳述した硬化性ジェルネイル組成物を用いることができる。
本発明者らは、爪の上にジェルネイルを設けるためのジェルネイル組成物セットであって、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層を形成するジェルネイル組成物、爪側に設けられるベースジェル層を形成するジェルネイル組成物、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を形成するジェルネイル組成物を有し、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層の水分透過率の差が±10%以内となるようにされている、ジェルネイル組成物セットが非常に有用であるとの知見を得た。
前記水分透過率の下限値については特に制限されるものではなく、水分透過率の範囲は目的等に応じて適宜設定することができ、通常1〜33%、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜10%である。また、隣接する層の水分透過率の差は、±10%以内であり、好ましくは±5%以内、より好ましくは±3%以内、最も好ましくは±2%以内である。
このように、前記トップジェル層を形成するジェルネイル組成物、前記ベースジェル層を形成するジェルネイル組成物、及び、前記カラー層を形成するジェルネイル組成物を少なくとも有し、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層間の水分透過率の差が±10%以内となるように構成されたジェルネイル組成物セットは、それを用いてジェルネイルを形成した場合に、爪呼吸により内部から蒸散した水分が、水分透過率の異なる2層の界面(例えば、ベースジェル層とカラー層との間、など)に蓄積されることがなくなり、また、ジェルネイル表面からの水分の透過をも抑えることができ、表面から内部に透過(浸透)した水分が、水分透過率の異なる2層の界面(例えば、トップジェル層とカラー層との間、など)に蓄積されることがなくなり、凹凸(浮き)の発生を効果的に防止することができ、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、持ちのよいジェルネイルを形成することができる。
特に、このようなセットを用いることにより、熟練者でなくても、爪表面に対し濡れ広がりやすく、爪と硬化塗膜との密着性に優れ、容易に凹凸(浮き)の発生を効果的に防止することができ、「持ち」のよいジェルネイルを容易に設けることが可能となる。
前記ジェルネイルセットを構成する、前記トップジェル層を形成するジェルネイル組成物、前記ベースジェル層を形成するジェルネイル組成物、及び、前記カラー層を形成するジェルネイル組成物としては、前記トップジェル層、前記ベースジェル層及び前記カラー層の1以上の層の水分透過率が33%以下であり、少なくとも1つの隣接する層の水分透過率の差が±10%以内となるのであれば、すでに知られているジェルネイル組成物を制限なく用いることができるが、好ましくは、上記「1.硬化性ジェルネイル組成物」に詳述した硬化性ジェルネイル組成物を用いることができる。
(実施例1〜14、比較例1〜5)
表1に示す配合成分(表中数値は質量%)を容器内に投入し、50℃に加温しつつディゾルバーにより撹拌した。これらの工程を全て遮光下にて行った。
使用した成分は、以下のとおりである。
アートレジン UN−6303:ポリエーテル骨格を有し、質量平均分子量4,000の無黄変型ポリウレタン(メタ)アクリレート
アートレジン UN−9200A:ポリカーボネート骨格を有し、質量平均分子量15,000の無黄変型ポリウレタン(メタ)アクリレート
アートレジン UN−9000PEP:ポリカーボネート骨格を有し、質量平均分子量5,000の無黄変型ポリウレタン(メタ)アクリレート
ライトエステルHOP(N):2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
ライトエステルIB−X:イソボルニルメタクリレート
ライトエステル14EG:PEG#600ジメタクリレート
KAYAMER PM−21:リン酸エステル構造を持つ(メタ)アクリレート
ビスコート3PMA:リン原子含有多官能(メタ)アクリレート(大阪有機化学工業社製)
ビスコート#802:トリペンタエリスリトール(ポリ)アクリレート、モノ及びジペンタエリスリトール(ポリ)アクリレート、ポリペンタエリスリトール(ポリ)アクリレートの混合物
OMNIRAD 184:ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
OMNIRAD TPO:トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
<添加剤>
KBM−403:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
カレンズMT PE−1:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)
ステアラーTOC:α−トコフェロール(重合禁止剤)
ガラス板の上にジェルをドクターを用いて手動で塗布し、膜厚75μmの塗膜を設けた後に、36WのLED―UVライトにより紫外線を照射し硬化塗膜を形成し、この硬化塗膜の表面の水分透過率を、以下のとおり測定した。
(1)内径15mmの試験管にイオン交換水5.2gを入れ、試験管の開口部と合致する開口部が設けられたドーナツ盤状の両面粘着テープを用いて、厚さ75μmのジェルネイル塗膜を固定し、ジェルネイル塗膜上に、試験管開口部と合致するように開口部が設けられた円筒状ゴム栓を乗せて固定した。
(2)50℃の恒温槽に7日間放置した後に、試験管内に残った水の質量を測定し、以下の式により本発明の水分透過率とした。
水分透過率(%)=(試験前水分量−50℃恒温槽から取り出し後水分量)/試験前水分量×100
結果を表1に併せて記載する。
硬化性ジェルネイル組成物をモニター10人の爪上に塗布し、この塗膜に対してUVライトで紫外線を照射して厚さ75μmの硬化塗膜を形成した。次いで、市販のカラージェル、さらにトップジェルを塗布し、同条件で硬化してジェルネイルを形成した。
3週間後のジェルネイルの状態について目視で凹凸の有無を確認し評価を行った。
1つ以上凹凸がなかった場合は「無し」とし、その余の場合は「有り」とした。
結果を、表1に併せて記載する。
ナイロン板の表面に実施例1〜5、比較例1,2の硬化性ジェルネイル組成物を塗布し、下記のとおりテープ剥離試験を行い、残った碁盤目の個数を評価した。
結果を、表2に記載する。
(1)7cm×12cmのナイロン板を500番の紙やすりで磨き、水で洗い、溶剤で水分と油分を除去する。
(2)遮光し、ナイロン板に100μmのドクター型アプリケータで硬化性ジェルネイル組成物1000mgを塗布し、LED照射機(SHINY GEL(32W LEDランプ;30秒照射)で塗膜を硬化させる。
(3)溶剤を染み込ませたティッシュで塗膜を拭くことで、未硬化樹脂を除去する。
(4)素地に達する6本の切込みをカッターナイフにより2mm間隔で入れ、25個の碁盤目を作成する。
(5)1時間含水後クロスカット試験の場合は、塗膜を水道水に含浸して1時間放置後取り出し、水分を拭き取る。
(6)SEKISUI製粘着テープ(14mm幅以上)を碁盤目に貼り、500gの分銅で一定方向に10回擦る。
(7)テープの端を45°の角度で剥がし、碁盤目の残った数を数える。
(8)各塗膜についてのクロスカット試験を2回行い下記評価基準により評価した。
評価5:25個すべてが残る
評価4:18〜24個残る
評価3:12〜17個残る
評価2:6〜11個残る
評価1:0〜5個残る
Claims (7)
- 硬化塗膜の水分透過率が33%以下である硬化性ジェルネイル組成物。
- 上記硬化性ジェルネイル組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートと、単官能モノマー及び/又は多官能モノマーと、を含む、請求項1に記載の硬化性ジェルネイル組成物。
- ウレタン(メタ)アクリレートを硬化性ジェルネイル組成物中に20質量%以上含む、請求項1又は2に記載の硬化性ジェルネイル組成物。
- 爪の上に直接塗布されるジェルネイルベース層形成用である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性ジェルネイル組成物。
- 硬化塗膜の水分透過率が33%以下であるジェルネイルベース層。
- 爪の上に設けられる硬化塗膜の水分透過率を33%以下とする、爪の上にジェルネイルを設ける方法。
- 爪の上に設けられるジェルネイルであって、少なくとも、表面側に設けられるトップジェル層、爪側に設けられるベースジェル層、及び、トップジェル層とベースジェル層の間に設けられるカラー層を有し、少なくともベースジェル層の水分透過率が33%以下である、ジェルネイル。
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