JP2017171633A - 光硬化性人工爪組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光により硬化させることによっても十分な硬化性を有し、皮膚への刺激性が低く、かつ、硬化後において未硬化のモノマー等の拭き取り性を向上させることによって、艶がある塗膜を得ると共に、使用者自身の爪表面に対してサンディングを行う必要がなく、かつ爪への密着性が高く、その表面にシワが発生することを防止する。【解決手段】重量平均分子量1,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び光重合開始剤を含有する光硬化性人工爪組成物。【選択図】なし

Description

本発明は光硬化性人工爪組成物に関する。
手や足の自爪に装飾を施したり、人工爪を接着してこれに装飾を施すというネイルアートの人気が高まっている。また、装飾や、外力による爪の割れ・剥がれを防止するための補強の目的で、いわゆるマニキュア、ペディキュア、スカルプチュアと呼ばれる樹脂含有の材料を爪に塗布することもなされている。
ここで、装飾又は補強のために使用される爪装飾材料としては、ニトロセルロース系のラッカーを有機溶剤に溶解し、これに各種色調の顔料を加えたものがある。これらは、爪や人工爪に塗布した後、有機溶剤を揮発させて、光沢に優れた被膜を形成するものである。そして、この被膜はアセトン等の有機溶剤を用いて容易に拭き取ることができる。
しかし、この種の爪装飾材料は、有機溶剤を含むため、使用時に揮発する有機溶剤を、使用者が直接吸引する恐れがある。また、形成される被膜は強靭な被膜とはなり得ず、擦れ、衝撃等の刺激により容易に剥離してしまう恐れがある。
特に最近、ウレタンアクリレート系オリゴマーとアクリル系モノマーを含むジェル状の爪被覆材料を爪に塗布し、紫外線を照射して硬化させる、ジェルネイルと呼ばれる光硬化性人工爪組成物が注目を集めている。
これらは、ラジカル重合反応により、架橋した高分子被膜を形成するため、爪から剥がれにくい強靱な被膜を形成できるとされている。
しかしながら、実際には、爪の表面にヤスリ等によって、サンディングを行って、爪の表面に細かい凹凸を形成させることが必要であって、これにより爪の表面に設けた凹凸に光硬化性人工爪組成物が馴染むことにより、アンカー効果を発揮して爪表面に硬化した光硬化性人工爪組成物が密着していた。そして、このときには、爪表面に凹凸を設けることを必要とするので、使用者自身の爪を傷つけることとなり、光硬化性人工爪組成物を取り除いた後の使用者自身の爪が薄く、ボロボロになることがある。
このような人工爪組成物として、特許文献1に記載されているように、該組成物中に紫外線の照射により重合可能な重量平均分子量3,000〜50,000のポリウレタンアクリレートやモノマー成分を含有する、爪への密着性や除去性に優れた人工爪組成物は公知である。
また、特許文献2に記載されているように、ウレタンアクリレートオリゴマー及びヒドロキシエチルアクリレートを含有し、人体に安全なUVAにより短時間で十分に硬化させることができる人工爪組成物も公知である。
特許文献3には、ネイル用の除去可能なゲル硬化性の組成物であって、ジ−[ヒドロキシエチルメタクリリック]トリメチルヘキシルジカルバメート、メタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート及び溶剤を含有する組成物であり、さらに配合し得る成分のうちの一種としてポリウレタンアクリレートオリゴマーも例示されているが、浸漬による除去性に関する具体的な結果は何ら示されていない。
しかし、これらの組成物の使用は、未だ硬化性が不十分であり、皮膚への刺激性を低くすると共に、未硬化のモノマーを拭き取ることで、艶と硬度を十分に有する人工爪の塗膜を得ることができなかった。加えて、人工爪を完全に除去する際の除去性に関しても考慮していなかった。
特開2011−229725号公報 特開2010−105967号公報 特許第5756604号公報
上記各特許文献には、重量平均分子量3,000〜50,000のポリウレタンアクリレートを含有する人工爪組成物や、分子量が不明なウレタンアクリレートオリゴマーとヒドロキシエチルメタクリレートを含有する人工爪組成物、及びヒドロキシエチルメタクリレート及び他の光重合性モノマーを含有することを基礎とし、さらに分子量が不明なウレタンアクリレートオリゴマー他多種の成分を配合し得る人工爪組成物が記載されているが、特に特許文献3に記載の発明は具体的データに裏付けられておらず、しかも浸漬による除去性であって、決して溶剤を用いた拭き取りによる除去を想定していないので、依然としてより簡便に人工爪組成物を除去でず、硬化された組成物は十分に耐屈曲性に優れるものではない。また、一般にジェルネイルは低出力の紫外線によって硬化されるので、空気中の酸素による硬化阻害によって残存する未硬化樹脂を紫外線の照射後に拭き取り除去する際に硬化された人工爪組成物が十分な架橋密度を有しないときには、表面に微細な凹凸が発生するので光沢度が低下することになる。
さらに、本発明は浸漬のように多量の溶媒を硬化された人工爪に含浸させることによる除去ではなく、少量の溶媒を用いた拭き取りを容易とし、加えて、十分に屈曲性に優れる人工爪を得る発明である。
本発明は光硬化性人工爪組成物において、紫外線により硬化させることによっても十分に強度を備えた硬化性を有し、皮膚への刺激性が低く、かつ、硬化後において未硬化のモノマー等の拭き取り性を向上させることによって、艶がある塗膜を得ると共に、使用者自身の爪表面に対してサンディングを行う必要がなく、かつ爪への密着性及び耐屈曲性が高く、その表面にシワが発生することを防止することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成物からなる光硬化性人工爪組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には以下の通りである。
1.重量平均分子量1,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ヒドロキシプロピルメタクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び光重合開始剤を含有する光硬化性人工爪組成物。
2.水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルフォリンから選ばれた少なくとも1つである1に記載の光硬化性人工爪組成物。
3.光重合開始剤がヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び/又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンである1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。
4.重量平均分子量1,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子中の(メタ)アクリロイル基が2つである1〜3のいずれかに記載の光硬化性人工爪組成物。
5.さらに多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有する1〜4のいずれかに記載の光硬化性人工爪組成物。
本発明によれば、紫外線等による硬化後に残存する未硬化成分を拭き取り除去しても、残存する硬化皮膜の表面に微細な凹凸を発生させることがないので、十分に優れた艶を有する皮膜を形成させることができる。
また、有機溶媒を使用することなく、装飾や補強の目的でも爪表面を長期にわたり、確実に被覆することができる。
そして、硬度を十分に有し、硬化後において未硬化のモノマー等の拭き取り性を向上させることによって、艶がある塗膜を得ると共に、使用者自身の爪表面に対してサンディングを行う必要がなく、かつ爪への密着性が高く、その表面にシワが発生することを防止できるという効果を有する。
本発明の光硬化性人工爪組成物は、いわゆる一般のマニキュアやペディキュア、ジェルネイルのように爪の表面に、ベースコート層、中間層であるカラーコート層、あるいはトップコート層として被覆を行うための組成物であり、使用者自身の爪の表面をサンディングする等して凹凸がある表面とする必要がなく、従来の紫外線等により硬化されるラジカル重合性のマニキュア等と同様の設備、紫外線硬化用の設備を用いて爪表面を被覆するものである。さらに、硬化後の表面にシワが発生することを防止でき、かつ未硬化の成分を除去した後に硬化された表面に微細な凹凸を発生させることがない。
本発明の光硬化性人工爪組成物は特にジェルネイルとして使用することができる。その中でも使用者の爪に直接塗布されるベースコート、該ベースコートの上に塗布されるカラーコート、さらにその上に塗布されるトップコートのいずれにも使用されるものである。
ベースコートは一般的には透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。
カラーコートはソリッドカラーやラメ調、金属光沢調、暗色や明色等多彩に着色されるコートである。
トップコートは、ベースコートと同様に、透明又は僅かに黄色、場合により微量の紫や青の色素を配合して、経時劣化による色調の変化を防止することがある。最上層であるため、ジェルネイルの艶を発揮させる作用を有する。本発明の光硬化性人工爪組成物は塗膜表面の光沢度に優れるので、特にトップコート用として使用することが好ましい。
硬化後には酸素による重合阻害等を原因として未重合の光重合性成分が本発明の人工爪組成物中に存在するが、本発明の人工爪組成物の組成によって、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルやアセトン等の溶剤、特にエタノールを用いて拭き取り、艶を出すことができる。
いずれの層に関しても硬化後少なくとも2週間、欠けることなく、剥がれず、また下層や使用者の爪に対して浮きが発生しない。
以下に本発明の光硬化性人工爪組成物の具体的組成について説明する。
[(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明の光硬化性人工爪組成物には、多官能のラジカル重合性不飽和基含有化合物のなかでも、重量平均分子量1,000以下の(メタ)アクリレートオリゴマーを配合させる。そのような(メタ)アクリレート含有オリゴマーとしてはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーやエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられ、特に好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。中でも、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーやジ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルトリメチルヘキシルジカルバメートを使用することが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに、水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を加えて、前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基総数の10%以上のイソシアネート基に、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物により付加反応させて得ることができる。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することにより、臭いが少なく伸縮性に優れ、かつ被膜の透明度が高く黄変せず、艶を有する高い硬度の硬化した光硬化性人工爪組成物の被膜を得ることができる。そのため、トップコート用に適した光重合性化合物とすることができる。
光硬化性人工爪組成物中の(メタ)アクリレートオリゴマーの配合比率は、10〜99重量%、好ましくは30〜70重量%である。99重量%を超えて配合すると、硬化時の被膜の収縮が大きくなる可能性がある。また10重量%未満であると塗膜が形成されにくくなったり、傷が付きやすくなったりする可能性がある。
なお、被膜の架橋密度を過度に低下させない範囲、及び上記重量平均分子量1,000以下の(メタ)アクリレートオリゴマーを配合させることによる効果を毀損しない範囲で、重量平均分子量が1,000を超える(メタ)アクリレートオリゴマーを配合させることもできる。このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、上記の重量平均分子量1,000以下の(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量を大きくしたものを採用できる。
[水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー]
本発明において使用される水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等を採用することができる。中でも、ヒドロキシエチルメタアクリレート及びアクリロイルモルフォリンを使用することが好ましい。なお、ヒドロキシプロピルメタクリレートを配合することはない。ヒドロキシプロピルメタクリレートを配合した場合には、硬化後の被膜において、アルコールにて拭き取るときの拭き取り性が十分でなかったり、十分な水溶性を有しない恐れがある。
このような水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーを含有させることにより、光硬化性人工爪組成物は硬化前後において臭いが少なく、透明であって、低刺激臭であり、硬化後の被膜においても、適度な水溶性を示し、黄変することがない。加えて、光硬化性人工爪組成物の粘度を被膜形成のために適切な範囲とすることができ、硬化後の被膜の拭き取り性を向上させることができる。
光硬化性人工爪組成物中の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーの配合比率は、5.0〜50.0重量%、好ましくは5.0〜35.0重量%である。50.0重量%を超えて配合すると、硬化後の被膜が脆くなり被膜を維持できなくなる可能性がある。また5.0重量%未満であると光硬化性人工爪組成物を塗布する基材等の表面との間の密着性が低くなり、かつ拭き取り性に劣る可能性がある。
[単官能(メタ)アクリレートモノマー]
本発明の光硬化性人工爪組成物にさらに含有させることが可能な、上記のモノマー以外の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物である(メタ)アクリレートが挙げられる。中でもイソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートを含有させることが好ましい。
このようなテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは本発明の光硬化性人工爪組成物の粘度を調整するために配合することができる。
この単官能(メタ)アクリレートモノマーを配合しないことが好ましいが、配合するときの配合比率としては、10.0重量%以下である。10.0重量%を超えて配合すると、拭き取り性が悪くなり、十分な艶を得ることができなくなる。
[多官能(メタ)アクリレートモノマー]
多官能の(メタ)アクリレートモノマーは、ラジカル重合しうる不飽和基を1分子中に2以上有する化合物であって、本発明の光硬化性人工爪組成物に配合できる化合物の1種である。ラジカル重合しうる不飽和基としては、炭素−炭素間二重結合をもつ官能基であり(重合性二重結合ともいう)、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニルエーテル基、アリル基等を挙げることができる。
そしてこれらの化合物を使用した場合には、光硬化性人工爪組成物の臭いを少なくし、透明であって、低刺激性であり、反応性に優れ、黄変しない性質を備え、さらに硬化後の被膜強度を調整することができる。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、等のトリ(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等のエリスリトール類の(メタ)アクリレート類、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを使用することができる。
これらの多官能(メタ)アクリレートモノマーの中でもジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートモノマーは被膜の強度を調整するために配合することができ、配合するときの配合比率としては、0〜30.0重量%、好ましくは0〜25.0重量%である。30.0重量%を超えて配合すると、硬化時において被膜の収縮が大きくなる可能性がある。また、含まない場合においても、分子量1,000以下のウレタンアクリレートオリゴマーが含まれている場合、十分な塗膜の強度を得ることができる。
[光重合開始剤]
本発明の光硬化性人工爪組成物に配合される光重合開始剤は、LEDを光源とした紫外線や365〜410nm付近の波長の光(可視光の一部)によっても十分に硬化することができ、硬化時の発熱量を抑制することができるものが好ましい。
そのような光重合開始剤として、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アシッドエステル類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキシド類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チタノセン類等を使用することができる。
これらの光重合開始剤として、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、フェニル酢酸、α-オキソ-, オキシジ−2,1−エタンジイルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、又はオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル) −フェニルフォスフィンオキシド、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノンなどが好適に用いられる。なかでも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドを使用することが好ましい。
これらの光重合開始剤は、染料、顔料や重合性化合物の光吸収によってもラジカル生成反応が阻害されず、またラジカル発生効率が高く、光硬化性人工爪組成物の硬化性を高めることができる点で好ましい。
これらの光重合開始剤は本発明の光硬化性人工爪組成物中0.5〜20.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%となるように配合することができる。20.0重量%を超えると、過剰な量のラジカルが発生することになるので、ラジカル重合反応が多くの開始点からなされ、その結果、硬化後のポリマーの分子量が小さくなって硬化膜が脆くなり、膜を維持できない可能性がある。また、0.5重量%未満であると十分な量のラジカルが発生できないので、ラジカル重合反応が長時間に及ぶこととなり、硬化不良となる可能性が高い。
[その他の重合性化合物]
本発明の光硬化性人工爪組成物に配合できるその他の重合性化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ラジカル重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレートを使用することもできる。
また、単官能アクリルアミド化合物としては、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド化合物等、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、2−オキセパノンホモポリマー、2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチルエステル等の酸性の重合性モノマーも使用することができる。
本発明の光硬化性人工爪組成物には、光沢度、粘度や透明性、硬化性などに悪影響を与えない範囲で各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、ポリオール類、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、充填剤、表面張力調整剤、難燃剤、酸化防止剤、イオン吸着体、着色剤、顔料、低応力化剤、抗菌剤、重合禁止剤、可撓性付与剤、ワックス類、ハロゲントラップ剤、レベリング剤、濡れ改良剤等の各種の添加剤を配合することができる。
上記のポリオール類には、希釈剤としての機能に加えて本発明の組成物において接着性を向上させる働きもある。例えばアルキルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノリックポリオール等が挙げられる。中でも、アルキルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールが好ましく、特にポリエーテルポリオールが好ましい。接着性を向上させるために用いるときは、ポリオールを除いたその他のエポキシ樹脂成分100重量部に対してポリオールを0.1〜40重量部、好ましくは2〜15重量部で配合する。
アルキルポリオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコール等のジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸等の有機多塩基酸との縮合反応によって得られ、分子量は100〜100,000が好ましい。付加重合ポリエステルポリオールとしては、ポリカプロラクトンが挙げられ、分子量は100〜100,000が好ましい。ポリカーボネートポリオールはポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成され、分子量は100〜100,000が好ましい。
着色剤としては公知の顔料、光輝材、染料を使用することができ、特に爪被覆用として使用されている無機顔料、光輝材有機顔料や染料を使用することができる。また、これらの着色剤を添加しない場合や透明となる程度の量、若しくは染料を添加することにより透明性がある光硬化性人工爪組成物とすることもできる。また、硬化前の光硬化性人工爪組成物には、顔料等のみではなく樹脂粒子や、公知の光硬化性人工爪組成物に配合できる装飾用材料等を配合しておくことも可能である。
使用できる顔料及び染料の種類、及びそれらの含有量としては、紫外線の照射による硬化を阻害しない程度のものとすることが必要である。
[光硬化性人工爪組成物による被覆方法]
本発明の光硬化性人工爪組成物は、使用者自身の爪の表面にサンディングを施すことなく、爪表面に凹凸を形成させる必要がない他は、公知の紫外線硬化型の光硬化性人工爪組成物と同様の方法により爪表面に塗布することができる。また、爪への下地層として、あるいは中間層、さらにトップコート層として使用することができる。
そのため、本発明の光硬化性人工爪組成物は筆等の塗布具によって十分に塗布することができる程度の粘度を有すればよい。もちろん、爪表面に本発明の光硬化性人工爪組成物を塗布後、硬化前に小さな飾りや粉体等を被膜表面に付着させることも可能である。
また、シートの片面に本発明の未硬化の光硬化性人工爪組成物からなり、かつ爪の形状を有する層を設けておき、この層を爪表面に重ねるようにして付着させ、この光硬化性人工爪組成物からなる層からシートを剥離するか又は剥離せずに、紫外線を照射して硬化することもできる。このようなシート表面に予め光硬化性人工爪組成物からなる層を設けておけば、使用時に筆等の塗布具を使用することなく、爪の表面に均一かつ正確な模様を被覆することが可能である。そして使用後においても該塗布具を洗浄等する必要がない。
被覆される爪は、人の手の爪と足の爪のいずれでもよく、犬や猫などの動物の爪でも良い。
塗布後の光硬化性人工爪組成物の硬化に関しても公知の紫外線硬化用の装置を用いて行うことができる。含有される化合物や顔料等の成分によって、硬化に必要な照射エネルギーは異なるものの、その光照射による照射エネルギー(積算光量)は、5mJ/cm以上1000mJ/cm以下であるのが好ましく、10mJ/cm以上800mJ/cm以下であるのがより好ましい。照射エネルギーがこの範囲内であれば、十分な密着性および耐擦性を有するネイルアートが得られる。
光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザーダイオード(UV−LD)等の公知の紫外線の光源を用いることができる。
その中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザーダイオード(UV−LD)が好ましい。
全配合成分を容器内に投入し、ディゾルバーにより撹拌しつつ80℃まで加温し1時間撹拌した。撹拌後80℃で2時間静置し脱泡した。
<組成物の評価>
(光沢度)
硬質塩化ビニル板上に一定膜厚で作成した塗膜に、32W LED-UV(405nm)で20秒照射し硬化させた。得られた硬化後の塗膜に対して、70%エタノール水溶液、又は一部の塗膜に対しては水を用いて拭くことにより未硬化の成分を除去した。その後、硬質塩化ビニル板を黒画用紙上に乗せて、目視により艶を評価した。
評価
5:優れた光沢
3:若干光沢あり
1:光沢なし
UA:ウレタンアクリレートオリゴマー
Di−HEMA TMHDC:ジメタクリル酸ヒドロキシエチルヘキシルトリメチルヘキシルカルバメート
Di−HEA TMHDC:ジアクリル酸ヒドロキシエチルヘキシルトリメチルヘキシルカルバメート
Bis−GMA:イソプロピリデンジフェニルビス(メタクリル酸オキシヒドロキシプロピル)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート
ACMO:アクリロイルモルフォリン
IBXA:イソボルニルアクリレート
184:ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
TPO:トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
Figure 2017171633
上記の実施例1〜6の結果によると、実施例1〜6は全ての未硬化樹脂が完全に除去されて良好な艶を有する塗膜が得られたが、比較例1〜3は未硬化樹脂を完全に除去できず、艶及び透明性にも劣っていた。
一方、水での拭き取りは実施例・比較例共に完全に拭き取ることはできなかった。

Claims (5)

  1. 重量平均分子量1,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ヒドロキシプロピルメタクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー及び光重合開始剤を含有する光硬化性人工爪組成物。
  2. 水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルフォリンから選ばれた少なくとも1つである請求項1に記載の光硬化性人工爪組成物。
  3. 光重合開始剤がヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び/又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンである請求項1又は2に記載の光硬化性人工爪組成物。
  4. 重量平均分子量1,000以下のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの1分子中の(メタ)アクリロイル基が2つである請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性人工爪組成物。
  5. さらに多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性人工爪組成物。
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