JP2017186533A - 共役ジエン系ゴムの製造方法 - Google Patents

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直明 倉本
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Abstract

【課題】貯蔵安定性に優れる共役ジエン系ゴム製造方法の提供。【解決手段】不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る第1工程と、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、特定量の、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を添加し、反応させる第2工程と、錫含有カップリング剤および/またはケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、特定量のシロキサンを添加して、反応させる第3工程と、シロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、特定量のテトラメトキシシランを添加して、反応させる第4工程と、を備える共役ジエン系ゴムの製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系ゴムの製造方法に関し、より詳しくは、凝固操業性(重合体溶液から共役ジエン系ゴムを回収する際における、操業性)、および重合体溶液の状態で貯蔵した際における貯蔵安定性に優れたものとすることができ、しかも、得られる共役ジエン系ゴムを、低発熱性に優れたものとすることができる、共役ジエン系ゴムの製造方法に関する。
近年、省資源や環境対策が重視されるにつれて、低燃費性に優れる自動車タイヤに対する要求水準は、ますます高まっている。低燃費性に優れるタイヤを製造するためには、一般に、低発熱性に優れ、走行時に発熱し難い架橋ゴムを形成することができるゴム材料の使用が有効である。
低発熱性を改善するタイヤを形成するためのゴム組成物として、たとえば、特許文献1には、ゴム成分として、特定のポリオルガノシロキサンと反応させることにより、共役ジエン系重合体鎖がシロキサン構造を介して結合された構造を有している分岐状共役ジエン系ゴムと、分子内に特定の官能基を有する化合物を反応せしめた共役ジエン系ゴムとを特定量含む共役ジエン系ゴム組成物に、補強剤としてシリカを配合させ、架橋剤を加えたゴム組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1で得られる共役ジエン系ゴムは、製造条件によっては、共役ジエン系ゴムの製造時において、共役ジエン系重合体溶液から共役ジエン系ゴムをスチームストリッピング法で凝固することで回収する際、共役ジエン系ゴム凝固クラムが互着、肥大化して、凝固槽の壁面や攪拌翼に付着することがあり、凝固時の操業が不安定になるという問題があった。
特開2013−139504号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、凝固操業性(重合体溶液から共役ジエン系ゴムを回収する際における、操業性)、および重合体溶液の状態で貯蔵した際における貯蔵安定性に優れ、かつ、得られる共役ジエン系ゴムを、低発熱性に優れたものとすることができる、共役ジエン系ゴムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、特定量の、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を添加し、カップリング反応させた後、変性剤として、特定量のシロキサンを反応させ、これにより得られたシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖に、変性剤として、特定量のテトラメトキシシランをさらに反応させること、さらには、共役ジエン系ゴムを製造する際において、極性化合物の使用量を特定量以下に抑えることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る第1工程と、
前記第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を、前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基量として、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.03〜0.05モルに相当する量を添加し、反応させる第2工程と、
前記第2工程で得られる錫含有カップリング剤および/またはケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、シロキサン構造換算で0.25〜0.45モルのシロキサンを添加して、反応させる第3工程と、
前記第3工程で得られるシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、0.85〜1.15モルのテトラメトキシシランを添加して、反応させる第4工程と、を備える共役ジエン系ゴムの製造方法であって、
前記共役ジエン系ゴムを製造する際における、極性化合物の使用量を、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.10モル以下に調整することを特徴とする共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
本発明の共役ジエン系ゴムの製造方法において、前記シロキサンが、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
Figure 2017186533
(一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。)
また、本発明の共役ジエン系ゴムの製造方法において、前記極性化合物が、エーテル化合物、第3級アミン、およびホスフィン化合物から選択されれる少なくとも1種であることが好ましく、前記極性化合物が、テトラメチルエチレンジアミンであることがより好ましい。
さらに、本発明によれば、上記製造方法により得られる共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を配合する工程を備えるゴム組成物の製造方法が提供される。
本発明のゴム組成物の製造方法において、架橋剤を配合する工程をさらに備えることが好ましい。
また、本発明によれば、上記製造方法により得られるゴム組成物を架橋する工程を備えるゴム架橋物の製造方法、およびこのような製造方法により得られるゴム架橋物を用いるタイヤの製造方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、凝固操業性(重合体溶液から共役ジエン系ゴムを回収する際における、操業性)、および重合体溶液の状態で貯蔵した際における貯蔵安定性に優れたものとすることができ、しかも、得られる共役ジエン系ゴムを、低発熱性に優れたものとすることができる。
本発明の共役ジエン系ゴムの製造方法は、
不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る第1工程と、
前記第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を、前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基量として、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.03〜0.05モルに相当する量を添加し、反応させる第2工程と、
前記第2工程で得られる錫含有カップリング剤および/またはケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、シロキサン構造換算で0.25〜0.45モルのシロキサンを添加して、反応させる第3工程と、
前記第3工程で得られるシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、0.85〜1.15モルのテトラメトキシシランを添加して、反応させる第4工程と、を備える共役ジエン系ゴムの製造方法であって、
前記共役ジエン系ゴムを製造する際における、極性化合物の使用量を、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.10モル以下に調整することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、上記各工程を採用し、かつ、共役ジエン系ゴムを製造する際における、極性化合物の使用量を、第1工程で用いる重合開始剤1モルに対し、0.10モル以下に調整することで、凝固操業性(重合体溶液から共役ジエン系ゴムを回収する際における、操業性)、および重合体溶液の状態で貯蔵した際における貯蔵安定性に優れたものとすることができ、しかも、得られる共役ジエン系ゴムを、低発熱性に優れたものとすることができるものである。
本発明について詳細に説明する前に、本発明者等が、本発明を完成させるに至った経緯について、まず説明する。
上述した特許文献1(特開2013−139504号)など、ポリブタジエンに代表される共役ジエン系ゴムをシロキサンで変性させる技術においては、上述したように、製造条件によっては、共役ジエン系重合体溶液から共役ジエン系ゴムをスチームストリッピング法で凝固することで回収する際、共役ジエン系ゴム凝固クラムが互着、肥大化して、凝固槽の壁面や攪拌翼に付着することがあり、凝固時の操業が不安定になるという問題があった。
これに対し、本発明者等が鋭意検討を行ったところ、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に対して、まず、特定量の、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を、を反応させることで、カップリング反応(第2工程)させた後、変性剤として、特定量のシロキサンを反応させ(第3工程)、次いで、これにより得られたシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖に、変性剤として、特定量のテトラメトキシシランをさらに反応させる(第4工程)ことにより、共役ジエン系重合体溶液から共役ジエン系ゴムをスチームストリッピング法で凝固することで回収する際における、共役ジエン系ゴム凝固クラムの互着、肥大化が防止できること(凝固操業性が向上)を見出したものである。
しかしその一方で、本発明者等が検討したところ、このようにして得られる共役ジエン系ゴムは、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるムーニー粘度の上昇がみられ、貯蔵安定性が十分でないことも見出された。なお、製造時においては、生産設備の関係上、重合体溶液の状態で貯蔵される場合があり、そのため、このような貯蔵安定性が優れていることが、通常、望まれている。
これに対し、本発明者等が検討を重ねたところ、上述した特許文献1(特開2013−139504号)など、ポリブタジエンに代表される共役ジエン系ゴムをシロキサンで変性させる技術において、通常、添加されるテトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物の使用量を特定量以下とすることにより、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるムーニー粘度の上昇が抑えられることを見出したものである。
ここで、上述した特許文献1(特開2013−139504号)など、共役ジエン系ゴムをシロキサンで変性させる技術、特に、ポリブタジエンをシロキサンで変性させる技術においては、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物を、通常、添加するものであるが、その理由は次の通りである。すなわち、ポリブタジエンをシロキサンで変性させると、重合体溶液中において、重合開始剤中に含まれるアルカリ金属が会合し、これにより、重合体溶液の粘度が上昇してしまい、操作性が極端に悪化してしまうという不具合が生じてしまうこととなる。これに対し、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物を添加することで、このようなアルカリ金属の会合を抑制することができ、重合体溶液の粘度上昇を抑制することができるものであり、そのため、このような理由より、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物が添加されているものである。
その一方で、本発明においては、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるムーニー粘度の上昇を抑えるために、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物の使用量を特定量以下に抑えるものであるが、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物の使用量を特定量以下に抑えてしまうと、上述したようなアルカリ金属の会合による重合体溶液の粘度上昇の問題が当然に懸念されることとなる。
しかしながら、本発明者等が検討した結果、次の知見を見出したものである。すなわち、上述した特許文献1(特開2013−139504号)など、共役ジエン系ゴムをシロキサンで変性させる技術、特に、ポリブタジエンをシロキサンで変性させる技術においては、変性剤としてのシロキサン部分にアルカリ金属が取り込まれた状態であるため、上記したようなアルカリ金属の会合の問題が起こること、これに対し、本発明においては、シロキサンを用いて変性を行った後、さらにテトラメトキシシランで変性することにより、テトラメトキシシランによる変性により、アルカリ金属を共役ジエン系ゴムから脱離させることができ、これにより、アルカリ金属の会合の問題がほとんど生じないこと、を見出したものである。
したがって、上記知見に基づき、本発明においては、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物の使用量を特定量以下に抑えた場合でも、これによる不具合(アルカリ金属の会合による重合体溶液の粘度上昇の問題)が発生せず、しかも、テトラメチルエチレンジアミンなどの極性化合物の使用量を特定量以下に抑えることで、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるムーニー粘度の上昇をも抑制できることを見出したものである。
そして、本発明者等は、このような知見の下、本発明を完成させるに至ったものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<第1工程>
本発明の製造方法の第1工程は、不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る工程である。
本発明の製造方法の第1工程において、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を得るために、単量体として用いる共役ジエン化合物としては、特に限定されないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどを挙げることができる。これらのなかでも、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。すなわち、本発明の製造方法においては、実質的に1,3−ブタジエン単位のみからなる(好ましくは、全単量体単位中、1,3−ブタジエン単位を95重量%以上の割合で含有する)ポリブタジエンを製造するものであることが好ましい。これらの共役ジエン化合物は、1種類を単独で使用しても2種類以上を組合せて用いてもよい。
また、本発明の製造方法の第1工程において、重合に用いる単量体として、共役ジエン化合物とともに芳香族ビニル化合物を用いてもよい。単量体として用いる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノメチルスチレン、ジエチルアミノエチルスチレン、シアノエチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのなかでも、スチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、1種類を単独で使用しても2種類以上を組合せて用いてもよい。
重合時に用いる共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との比率(共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物)は、(95〜100重量%)/(5〜0重量%)の範囲にあることが好ましく、(99〜100重量%)/(1〜0重量%)の範囲にあることがより好ましく、100重量%/0重量%の範囲にあることが特に好ましい。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との比率が上記範囲にあると、本発明の製造方法により得られる効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、本発明の製造方法の第1工程においては、共役ジエン化合物とともに、芳香族ビニル化合物以外の、共役ジエン化合物と共重合可能な化合物を用いてもよい。このような共役ジエン化合物と共重合可能な化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの共役ジエン化合物と共重合可能な化合物は、本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖中に、単量体単位として、5重量%以下とするのが好ましく、1重量%以下とするのがより好ましい。
重合に用いる不活性溶媒としては、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;などが挙げられる。これらの不活性溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、単量体濃度が、たとえば1〜50重量%となる量であり、好ましくは10〜40重量%となる量である。
重合に用いる重合開始剤としては、上記単量体を重合させて、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を与えることができるものであれば、特に制限なく使用できる。たとえば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、および主触媒としてランタノイドを用いる重合開始剤が好ましく使用されるが、有機アルカリ金属化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物が好ましく、n−ブチルリチウムがより好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目的とする共役ジエン系重合体鎖の分子量に応じて決定すればよいが、単量体1000g当り、通常1〜50ミリモル、好ましくは2〜20ミリモル、より好ましくは4〜15ミリモルの範囲である。
重合温度は、通常−80〜+150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などのいずれの様式をも採用できる。
また、共役ジエン化合物を含む単量体を重合するにあたり、得られる共役ジエン系重合体鎖における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を調節するために、極性化合物を使用してもよい。ただし、本発明の製造方法においては、重合開始剤中に含まれるアルカリ金属が会合することによる重合体溶液の粘度上昇の問題はほとんど生じないため、極性化合物については必ずしも使用する必要はなく、使用する場合でも、重合に用いる重合開始剤1モルに対して、0.10モル以下、好ましくは0.05モル以下、より好ましくは0.02モル以下とする。極性化合物の使用量が多すぎると、得られる共役ジエン化合物を重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるムーニー粘度の上昇が起こってしまい、貯蔵安定性に劣るものとなってしまう。
このような極性化合物としては、たとえば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミンなどの第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、テトラメチルエチレンジアミンが好適に使用される。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の製造方法において、第1工程以外の工程(たとえば、後述する第2〜第4工程)においても、必要に応じて、極性化合物を使用してもよいが、本発明においては、本発明の製造方法全体において使用する、極性化合物の使用量を上記範囲(すなわち、0.10モル以下、好ましくは0.05モル以下、より好ましくは0.02モル以下)とする。
本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖における共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量は、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは8〜15重量%である。共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を低発熱性により優れたものとすることができる。
本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有する共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、100,000〜1,000,000が好ましく、150,000〜700,000がより好ましく、150,000〜500,000が特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性に優れたものとすることができる。
また、本発明の製造方法の第1工程で得られる、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0〜3.0であり、より好ましくは1.0〜2.5である。活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあると、共役ジエン系ゴムの製造が容易となる。
<第2工程>
本発明の製造方法の第2工程は、第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/または共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤(以下、適宜、ケイ素含有カップリング剤と略記する。)を、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基量として、第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.03〜0.05モルに相当する量を添加し、反応させる工程である。
本発明の製造方法の第2工程においては、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を、第1工程で得られた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液中に添加することにより、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と、少なくとも一部の共役ジエン系重合体鎖の活性末端とが反応し、2以上の共役ジエン系重合体鎖が1つの錫含有カップリング剤の一部の構造を介して結合した錫カップリング構造、および/または、2以上の共役ジエン系重合体鎖がケイ素含有カップリング剤の一部の構造を介して結合したケイ素カップリング構造が形成される。
本発明の製造方法の第2工程で用いる錫含有カップリング剤としては、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する反応点を2以上有し、カップリング反応させることのできる錫化合物であればよく、特に限定されないが、四塩化錫、四臭化錫、モノメチルトリクロロ錫、モノエチルトリクロロ錫、モノブチルトリクロロ錫、モノヘキシルトリクロロ錫、ビストリクロロスタニルエタンなどのハロゲン化錫化合物;テトラメトキシ錫、テトラエトキシ錫、テトラブトキシ錫などのアルコキシ錫化合物;などが挙げられる。これらのなかでも、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖との反応性の観点より、ハロゲン化錫化合物が好ましく、四塩化錫がより好ましい。
また、本発明の製造方法の第2工程で用いるケイ素含有カップリング剤としては、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素化合物であればよく、特に限定されないが、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2017186533
上記一般式(2)中、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。一般式(2)で表わされる化合物において、ハロゲン原子の数および炭素数1〜20のアルコキシ基の数の合計は6以上である。pおよびqは、それぞれ、0〜3の整数である。tは、0〜20の整数であり、tが2以上の場合、−A−A−A−で表わされる複数の繰り返し単位は、相異なるものであってもよい。複数の、XまたはXが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよいが、XおよびXが、いずれもハロゲン原子であるかまたはいずれも炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましい。
ハロゲン原子としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を例示することができる。
アルコキシ基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等を挙げることができる。これらのうち、反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
およびR10は、それぞれ、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。RおよびR10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。複数の、RまたはR10が、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;フェニル基、1−ナフチル基,2−ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。なお、これらのアルキル基、アラルキル基およびアリール基は任意の位置に置換基を有していてもよい。
上記一般式(2)中、AおよびAは、それぞれ、単結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。AおよびAは、互いに同一であっても異なっていてもよい。複数の、AまたはAが、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基等の炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基;エチリデン基、イソプロピリデン基、ビニリデン基等の炭素数2〜20のアルキリデン基;イソプロピレン基等の炭素数3〜20の分岐状アルキレン基;シクロヘキシレン基等の炭素数3〜6のシクロアルキレン基;フェニレン基等の炭素数6〜20のアリーレン基;炭素数7〜20のアルキルアリーレン基;炭素数7〜20のアリールアルキレン基等が挙げられる。AおよびAは、単結合または炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基であることが好ましく、単結合または炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基であることがより好ましい。
上記一般式(2)中、Aは、下記一般式(3)、一般式(4)または一般式(5)で表わされる基である。複数のAが存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2017186533
上記一般式(3)中、Xは、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、XおよびXと同じものを挙げることができる。R11は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびR10と同じものを挙げることができる。複数の、XまたはR11が、存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。rは0〜2の整数であり、uは0〜20の整数である。uは、0〜10の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。uが2以上の場合、複数の上記繰り返し単位は、相異なるものであってもよい。なお、Aが上記一般式(3)で表わされる場合、(p+t×u×r+q)は、6以上の整数である。
Figure 2017186533
上記一般式(4)中、R12は、水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびR10と同じのものを挙げることができる。Aが上記一般式(4)で表わされるとき、(p+q)は、6である。
Figure 2017186533
上記一般式(5)中、Aは、単結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。炭素数1〜20の2価の炭化水素基の具体例としては、AおよびAと同じものを挙げることができる。Xは、ハロゲン原子または炭素数1〜20のアルコキシ基である。ハロゲン原子および炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、XおよびXと同じものを挙げることができる。R13は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、RおよびR10と同じものを挙げることができる。複数の、XまたはR13が存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。sは、0〜3の整数である。なお、Aが上記一般式(5)で表わされる場合、(p+t×s+q)は、6以上の整数である。
上記一般式(2)において、XおよびXが、いずれもハロゲン原子である場合は、Aは、上記一般式(3)で表されるものであることが好ましい。このとき、上記一般式(3)において、Xは、ハロゲン原子であることが好ましく、この場合には、上記一般式(2)で表されるカップリング剤は、ハロゲン化ケイ素化合物である。
上記一般式(2)で表される化合物がハロゲン化ケイ素化合物である場合は、得られる共役ジエン重合体の分岐の度合いを向上させ、これにより、架橋物とした場合の機械的強度および低発熱性をより高めることができるという点より、1分子中に6〜10個のハロゲン原子を有することが好ましく、1分子中に6〜9個のハロゲン原子を有することがさらに好ましく、1分子中に6個のハロゲン原子を有することが特に好ましい。また、上記一般式(2)で表される化合物に含まれるハロゲン原子は、同一であっても異なっていてもよいが、カップリング反応により副生する塩の処理を容易にする観点からは、全てのハロゲン原子が塩素原子であることが特に好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物の中でも、より好適に用いられるものとして、下記一般式(6)で表わされるハロゲン化ケイ素化合物を挙げることができる。
Figure 2017186533
上記一般式(6)中、XおよびXは、それぞれ、ハロゲン原子であり、複数の、XまたはXが存在するときは、それらは、それぞれ、異なるハロゲン原子であってもよい。Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。なかでも、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。vは0〜20の整数であり、0〜10の整数であることが好ましく、0〜6の整数であることがより好ましく、0〜2の整数であることが特に好ましい。pは、2または3であり、3であることがより好ましい。
上記一般式(6)で表されるハロゲン化ケイ素化合物の具体例としては、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,5−ビス(トリクロロシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン等が挙げられる。これらのなかでも、ヘキサクロロジシラン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタンまたは1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを用いることが好ましく、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンを用いることが特に好ましい。これらのハロゲン化ケイ素化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記一般式(2)において、XおよびXが、いずれも炭素数1〜20のアルコキシ基である場合は、Aは、上記一般式(3)、一般式(4)または一般式(5)で表わされる基であることが好ましい。このとき、一般式(3)において、Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましい。また、一般式(5)において、Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。これらの場合には、上記一般式(2)で表される化合物は、アルコキシシラン化合物となる。
上記一般式(4)で表される基の具体例としては、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、フェニルイミノ基、ベンジルイミノ基等を挙げることができる。
一般式(5)で表される基の具体例としては、トリメトキシシリルプロピルイミノ基、トリエトキシシリルプロピルイミノ基等を挙げることができる。
また、上記一般式(2)で表わされる化合物がアルコキシシラン化合物である場合は、得られる共役ジエン重合体の分岐の度合いを向上させ、これにより、架橋物とした場合の機械的強度および低発熱性をより高めることができるという点より、1分子中に6個以上のアルコキシ基を有することが好ましく、6〜10個のアルコキシ基を有することがより好ましく、6〜9個のアルコキシ基を有することがさらに好ましく、6個のアルコキシ基を有することが特に好ましい。
上記一般式(2)で表わされる化合物がアルコキシシラン化合物である場合には、下記一般式(7)、一般式(8)、または一般式(9)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2017186533
上記一般式(7)、一般式(8)、および一般式(9)中、X、XおよびXは、それぞれ、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、複数の、X、XまたはXが存在するときは、それらは、それぞれ、同一であっても異なるものであってもよい。RおよびR13は、それぞれ、炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。R12は炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。A〜A10は、それぞれ、単結合、炭素数1〜20のポリメチレン基((CH)、アリーレン基またはシクロアルキレン基である。A〜A10において、メチレン基の数wは、同一でも異なっていてもよい。wは、1〜8であることが好ましい。上記一般式(7)または一般式(8)において、pは、2または3であり、上記一般式(9)において、pおよびsは、それぞれ、0〜3の整数であり、(p+s)は、3〜6の整数である。
上記一般式(7)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘプタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリメトキシシリル)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)ノナン、ビス(トリメトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エタン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エタン等が挙げられる。
また、上記一般式(8)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン等が挙げられる。
さらに、上記一般式(9)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と反応させる、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の使用量は、第1工程において重合に使用した重合開始剤1モルに対し、共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の官能基のモル数(共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基のモル数)が、0.03〜0.05モルに相当する量であり、好ましくは0.035〜0.048モル、より好ましくは0.038〜0.045モルに相当する量である。錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の官能基量を上記範囲とすることにより、凝固操業性を適切に向上させることができる。一方、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の官能基量が、少なすぎると、得られる共役ジエン系ゴム中の錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応した重合体の割合が少なくなり、その結果、凝固操業性が著しく悪化するおそれがある。また、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の官能基量が、多すぎる場合、得られる共役ジエン系ゴムは、低発熱性に劣るものとなってしまう。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を添加する際には、カップリング反応を良好に制御する観点から、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を不活性有機溶媒に溶解して得られる溶液を、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含む溶液に添加することが好ましい。この錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を溶解した溶液の濃度は、1〜50重量%であることが好ましく、また、これに用いる不活性有機溶媒としては、重合に用いられるものと同様のものを用いることができる。
活性末端を有する共役ジエン重合体鎖と、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤とを反応させる条件は、特に限定されないが、反応温度は、通常、10〜150℃、好ましくは40〜130℃、より好ましくは50〜120℃の範囲である。反応温度が低すぎると、反応が完了しない場合がある。一方、反応温度が高すぎると、反応の制御性に劣る。反応時間は、通常、5〜60分、好ましくは10〜50分、より好ましくは10〜30分の範囲である。反応時間が短すぎると、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液への拡散時間が足りず、反応が完了しない場合がある。一方、反応時間が長すぎると、重合生産性に劣る。
活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を添加する時期は、特に限定されないが、重合反応が完結しておらず活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液が、100ppm以上(より好ましくは300〜50,000ppm)の単量体を含有している状態で、該溶液に錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を添加することが好ましい。錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖と、重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
<第3工程>
本発明の製造方法の第3工程は、第2工程で得られる錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、シロキサン構造換算で0.25〜0.45モルのシロキサンを添加して、反応させる工程である。
なお、本発明の製造方法の第3工程において用いる、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖とは、上述した第2工程を経たものであればよく、そのため、このような錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖には、上述したカップリング構造を形成しているものが含まれていればよく、カップリング構造を形成していない活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖をも含むものである。
本発明の製造方法の第3工程で用いるシロキサンとしては、シロキサン構造(−Si−O−)を主鎖として有するものであればよく、特に限定されないが、側鎖に有機基を有するオルガノシロキサンが好ましく、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンがより好ましい。
なお、本発明の製造方法の第3工程において、シロキサンは、第2工程で、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応しなかった残余の活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を変性させるための変性剤として作用する。
Figure 2017186533
一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。
一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、一般式(1)中のR〜R、XおよびXを構成し得る炭素数1〜6のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、たとえば、フェニル基およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
また、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得る炭素数1〜5のアルコキシ基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造の容易性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
さらに、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、XおよびXを構成し得るエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、たとえば、下記一般式(10)で表される基が挙げられる。
−Z−Z−E (10)
一般式(10)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基、またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。
一般式(10)で表される基としては、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数1〜3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
また、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、XおよびXとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基、または、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、Xとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましい。さらに、XおよびXが炭素数1〜6のアルキル基であり、Xがエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることがより好ましい。
また、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、X、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、下記一般式(11)で表される基が好ましい。
Figure 2017186533
一般式(11)中、αは2〜20の整数であり、Xは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R14は水素原子またはメチル基であり、X10は炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリールオキシ基である。これらの中でも、αが2〜8の整数であり、Xが炭素数3のアルキレン基であり、R14が水素原子であり、かつ、Xがメトキシ基であるものが好ましい。
一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、mは0〜200の整数、好ましくは20〜150の整数、より好ましくは30〜120の整数である。mが200以下であると、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造がより容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いもより容易となる。
また、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、nは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜120の整数である。kは0〜200の整数、好ましくは0〜150の整数、より好ましくは0〜130の整数である。m、nおよびkの合計数は1以上であり、1〜400であることが好ましく、20〜300であることがより好ましく、30〜250であることが特に好ましい。m、nおよびkの合計数が1以上であると、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンと活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖との反応が進行し易く、更に、m、nおよびkの合計数が400以下であると、一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン自体の製造が容易になると共に、その粘度が高くなりすぎず、取り扱いも容易となる。
本発明の製造方法の第3工程における、シロキサンの使用量は、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応しなかった残余の共役ジエン系重合体鎖の活性末端の量から、適宜調整することが好ましいが、上述した第1工程において重合に使用した重合開始剤1モルに対して、シロキサン中のシロキサン構造(−Si−O−)の繰り返し単位数に換算して、0.25〜0.45モルであり、好ましくは0.28〜0.42モル、より好ましくは0.3〜0.4モルである。シロキサンの使用量が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性を適切に高めることができる。
シロキサンと活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、シロキサンを添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、シロキサンは、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。反応温度は、特に限定されないが、通常10〜150℃、好ましくは40〜130℃、より好ましくは50〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常5〜60分、好ましくは10〜50分、より好ましくは10〜30分である。
本発明の製造方法の第3工程によれば、第2工程において、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応しなかった残余の活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖に、変性剤としてのシロキサンを反応させることで、少なくとも一部の共役ジエン系重合体鎖は、シロキサン構造中のケイ素原子と共役ジエン系重合体鎖の活性末端との間に新たな結合を形成し、共役ジエン系重合体鎖の末端に、シロキサン構造が導入されるとともに、シロキサン構造中の酸素原子と、共役ジエン系重合体鎖の活性末端を形成していた金属原子との間で、−O(Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または、ランタン系列金属)で表される活性末端が形成されることとなる。なお、本発明の製造方法の第3工程により得られる、反応後の共役ジエン系重合体鎖は、重合体鎖末端に、シロキサンによる変性構造が導入されたものを含むものであるが、これ以外にも、シロキサンによる変性がされていない未変性の共役ジエン系重合体鎖を含むものであってもよい。
<第4工程>
本発明の製造方法の第4工程は、第3工程で得られるシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.85〜1.15モルのテトラメトキシシランを添加して、反応させる工程である。
なお、本発明の製造方法の第4工程において用いる、シロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖とは、上述した第3工程を経たものであればよく、そのため、このようなシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖には、シロキサンによる変性構造が導入された活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含んでいればよく、シロキサンによる変性がされていない未変性の活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖をも含み得るものである。また、シロキサンによる変性がされていない未変性の活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖としては、上述した第2工程において、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応し、カップリング構造を形成しているものも含み得るものである。更には、シロキサンによる変性構造が導入された活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖の活性末端が加水分解され、活性末端が水酸基に変換された、シロキサンによる変性構造が導入された共役ジエン系重合体鎖をも含み得るものである。以下、第4工程の説明において、シロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を、適宜、「共役ジエン系重合体鎖」と略記する。
本発明の製造方法の第4工程においては、第3工程で得られるシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、テトラメトキシシランを、さらに添加することにより、テトラメトキシシランのメトキシ基と、シロキサンによる変性構造が導入された活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖のシロキサン反応部とが反応することで、さらに変性させることができる。
本発明の製造方法の第4工程における、テトラメトキシシランの使用量は、錫含有カップリング剤および/またケイ素含有カップリング剤と反応しなかった残余の共役ジエン系重合体鎖の活性末端の量から、適宜調整することが好ましいが、上述した第1工程において重合に使用した重合開始剤1モルに対して、0.85〜1.15モルであり、好ましくは0.9〜1.1モル、より好ましくは0.95〜1.05モルである。テトラメトキシシランの使用量を上記範囲とすることにより、凝固操業性および重合体溶液の状態で貯蔵した際における貯蔵安定性を向上させることができる。
テトラメトキシシランと共役ジエン系重合体鎖とを反応させる方法は、特に限定されないが、これらを、それぞれが溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程において用いる不活性溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、テトラメトキシシランを添加する方法が簡便であり好ましい。また、この際においては、テトラメトキシシランは、不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。反応温度は、特に限定されないが、通常10〜150℃、好ましくは40〜130℃、より好ましくは50〜120℃であり、反応時間も特に限定されないが、通常5〜60分、好ましくは10〜50分、より好ましくは10〜30分である。
そして、第4工程において、共役ジエン系重合体鎖に、テトラメトキシシランを反応させた後は、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコールまたは水などの、重合停止剤を添加して未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端を失活させた後、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤、クラム化剤、およびスケール防止剤などを重合体溶液に添加し、その後、スチームストリッピング法等を用いて、重合体溶液から重合溶媒を分離して、共役ジエン系ゴムを回収する。なお、重合体溶液から重合溶媒を分離する前に、重合体溶液に伸展油を混合し、共役ジエン系ゴムを油展ゴムとして回収してもよい。
本発明の製造方法においては、上記各工程を採用することにより、スチームストリッピング法で凝固して、共役ジエン系ゴムを回収する際における、共役ジエン系ゴム凝固クラムの互着を有効に防止することができるものであり(凝固操業性)、そのため、共役ジエン系ゴム凝固クラムが互着、肥大化して、凝固槽の壁面や攪拌翼に付着することによる、凝固時の操業が不安定になってしまうことを有効に防止できるものである。
共役ジエン系ゴムを油展ゴムとして回収する場合に用いる伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系およびナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸などが挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、共役ジエン系ゴム100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。
本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値で、好ましくは100,000〜3,000,000、より好ましくは150,000〜2,000,000、特に好ましくは200,000〜1,5000,000である。共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、共役ジエン系ゴムへのシリカの配合が容易となり、ゴム組成物の加工性をより高めることができ、さらには、得られるゴム架橋物の低発熱性をより高めることができる。
本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布は、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.2であることが特に好ましい。共役ジエン系ゴムの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることにより、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
また、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは20〜100、より好ましくは30〜80、特に好ましくは40〜60である。なお、共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記各工程を採用するとともに、共役ジエン系ゴムを製造する際における、極性化合物の使用量を、第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.10モル以下に調整するものであるため、製造工程において、共役ジエン系ゴムを重合体溶液の状態で、貯蔵した場合、具体的には、60℃、10時間の条件で貯蔵した場合におけるムーニー粘度(ML1+4,100℃)の上昇を、好ましくは2以下に抑えることができるものであり、そのため、製造安定性に優れるものである。また、ムーニー粘度の上昇を抑えることができることにより、充填剤および架橋剤などの配合剤を配合してゴム組成物とする際における、混練加工性を良好なものとすることできるものである。
このようにして本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムは、充填剤および架橋剤などの配合剤を添加した上で、種々の用途に好適に用いることができる。特に、充填剤としてシリカを配合した場合に、低発熱性に優れたゴム架橋物を得るために好適に用いられるゴム組成物を与えることができる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物の製造方法は、上述した本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を配合する工程を備える。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m/g、より好ましくは80〜220m/g、特に好ましくは100〜170m/gである。また、シリカのpHは、pH5〜6.9であることが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、低発熱性をより向上させるという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物の製造方法では、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法では、架橋剤をさらに配合することが好ましい。架橋剤としては、例えば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物の製造方法では、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物の製造方法では、上述した本発明の製造方法によって得られる共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した本発明の製造方法によって得られる共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法において、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性が向上されたゴム架橋物を得ることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法では、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分と共役ジエン系ゴムとを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分と共役ジエン系ゴムとの混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、好ましくは80〜120、より好ましくは85〜110である。コンパウンド・ムーニー粘度が上記の範囲であると、加工性に優れる。
<ゴム架橋物の製造方法>
本発明のゴム架橋物の製造方法は、上述した本発明の製造方法により得られるゴム組成物を架橋する工程を備えるものである。
本発明のゴム架橋物の製造方法では、本発明の製造方法により得られるゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
本発明の製造方法により得られるゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られる共役ジエン系ゴムを用いて得られるものであるため、低発熱性に優れるものである。そのため、本発明の製造方法により得られるゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。特に、本発明の製造方法により得られるゴム架橋物は、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、およびスタッドレスタイヤなどの各種タイヤにおいて、トレッド、カーカス、サイドウォール、およびビード部などのタイヤ各部位に好適に用いることができ、特に低発熱性に優れるので、低燃費タイヤのトレッド用として、特に好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔ムーニー粘度〕
貯蔵前の共役ジエン系ゴム、および貯蔵後の共役ジエン系ゴムポリマー・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)、およびゴム組成物のコンパウンド・ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に従い、ムーニー粘度計(島津製作所社製)を用いて測定した。
〔ゴム架橋物の低発熱性〕
ゴム架橋物の低発熱性については、長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、ティー・エイ・インツルメント社製ARES−G2を用い、動的歪み2%、10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定することにより評価した。このtanδの値については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が小さいものほど、低発熱性に優れる。
〔実施例1〕
〔共役ジエン系ゴム組成物Iの製造〕
攪拌機付きオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン5670g、および1,3−ブタジエン700gを仕込んだ後、n−ブチルリチウムをシクロヘキサンと1,3−ブタジエンとに含まれる重合を阻害する不純物の中和に必要な量を添加し、さらに、n−ブチルリチウムを重合反応に用いる分として8.33mmolを加え、50℃で重合を開始した。重合を開始してから20分経過後、1,3−ブタジエン300gを30分間かけて連続的に添加した。重合反応中の最高温度は80℃であった。連続添加終了後、さらに15分間重合反応を継続し、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認してから、重合体溶液に、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.333mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.04モルに相当)を40重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。さらに、その後、下記式(12)で表されるポリオルガノシロキサン(式中、mとkの数値は平均値)2.92mmol(シロキサン構造換算で、重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.35モルに相当)を20重量%キシレン溶液の状態で添加し、30分間反応させ、次いでテトラメトキシシランを8.33mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、1モルに相当)を25重量%シクロヘキサン溶液の状態で添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、2モルに相当する量のメタノールを添加して、共役ジエン系ゴムを含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液に、ゴム成分100部あたり、老化防止剤として2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール0.3部を添加した。
そして、得られたこの重合体溶液の一部をサンプリングしてスチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の貯蔵前の共役ジエン系ゴムIを得た。
また、残りの重合体溶液については、温度60℃で10時間保持した後に、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥することで、固形状の貯蔵後の共役ジエン系ゴムIを得た。
そして、得られた貯蔵前の共役ジエン系ゴムIおよび貯蔵後の共役ジエン系ゴムIについて、上記方法にしたがって、ムーニー粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2017186533
〔ゴム組成物I、ゴム架橋物Iの製造〕
容量250mlのバンバリーミキサーを用いて、上記にて得られた貯蔵前の共役ジエン系ゴムI 100部を30秒素練りし、次いでシリカ(商品名「Zeosil 1115MP」、ローディア社製;BET比表面積=112m/g)50部、シランカップリング剤(ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、商品名「Si69」、デグッサ社製)6.0部、およびプロセスオイル(t‐DAE;JX日鉱日石エネルギー社製)20部を添加して、80℃を開始温度として1.5分間混練した。この混練物に、シリカ(商品名「Zeosil 1115MP」、ローディア社製;BET比表面積=112m/g)20部、酸化亜鉛3部、ステアリン酸2部、および老化防止剤(商品名「ノクラック6C」、大内新興化学工業社製)2部を添加し、さらに2.5分間混練し、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。混練終了時のゴム混練物の温度は150℃であった。このゴム混練物を、室温まで冷却した後、再度バンバリーミキサー中で、3分間混練した後、バンバリーミキサーからゴム混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールを用いて、得られたゴム混練物と、硫黄1.6部、および架橋促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド1.4部と1,3−ジフェニルグアニジン1.4部との混合物)とを混練した後、シート状のゴム組成物Iを取り出した。
そして、得られたゴム組成物Iについて、上記方法にしたがって、配合物ムーニー粘度を測定した。結果を表1に示す。さらに、このゴム組成物Iを、160℃で15分間プレス架橋して試験片(ゴム架橋物I)を作製し、この試験片について、低燃費性の評価を行なった。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
〔共役ジエン系ゴムIIの製造〕
シクロヘキサンおよび1,3−ブタジエンを仕込んだ後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン0.17mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.02モルに相当)をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムIIを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物II、ゴム架橋物IIの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムIIを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物IIおよびゴム架橋物IIを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
〔共役ジエン系ゴムIIIの製造〕
シクロヘキサンおよび1,3−ブタジエンを仕込んだ後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン0.42mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.05モルに相当)をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムIIIを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物III、ゴム架橋物IIIの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムIIIを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物IIIおよびゴム架橋物IIIを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
〔共役ジエン系ゴムIVの製造〕
シクロヘキサンおよび1,3−ブタジエンを仕込んだ後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン0.17mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.02モルに相当)をさらに添加するとともに、テトラメトキシシランの使用量を7.08mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.85モルに相当)に変更した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムIVを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物IV、ゴム架橋物IVの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムIVを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物IVおよびゴム架橋物IVを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
〔共役ジエン系ゴムiの製造〕
重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認した重合体溶液に、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.333mmolを添加し、30分間反応させた後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン2.5mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.3モルに相当)をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムiを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物i、ゴム架橋物iの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムiを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物iおよびゴム架橋物iを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
〔共役ジエン系ゴムiiの製造〕
重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認した重合体溶液に1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.333mmolを添加し、30分間反応させた後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン1.25mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.15モルに相当)をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムiiを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物ii、ゴム架橋物iiの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムiiを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物iiおよびゴム架橋物iiを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
〔共役ジエン系ゴムiiiの製造〕
テトラメトキシシランの使用量を4.17mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.5モルに相当)に変更した以外は、実施例2と同様にして、共役ジエン系ゴムiiiを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物iii、ゴム架橋物iiiの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムiiiを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物iiiおよびゴム架橋物iiiを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
〔共役ジエン系ゴムivの製造〕
テトラメトキシシランの使用量を4.17mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.5モルに相当)に変更するとともに、重合転化率が95%から100%の範囲になったことを確認した重合体溶液に1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサン0.333mmolを添加し、30分間反応させた後に、極性化合物としてテトラメチルエチレンジアミン2.5mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.3モルに相当)をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、共役ジエン系ゴムivを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物iv、ゴム架橋物ivの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムivを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物ivおよびゴム架橋物ivを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
〔共役ジエン系ゴムvの製造〕
1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンの使用量を0.500mmol(重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.06モルに相当)に変更した以外は、実施例2と同様にして、共役ジエン系ゴムvを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物v、ゴム架橋物vの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムvを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物vおよびゴム架橋物vを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
〔共役ジエン系ゴムviの製造〕
ポリオルガノシロキサンの使用量を1.666mmol(シロキサン構造換算で、重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対し、0.2モルに相当)に変更した以外は、実施例2と同様にして、共役ジエン系ゴムviを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物vi、ゴム架橋物viの製造〕
共役ジエン系ゴムIに代えて、上記にて得られた共役ジエン系ゴムviを同量用いた以外は、実施例1と同様の方法でゴム組成物viおよびゴム架橋物viを作製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017186533
表1より、以下のことがわかる。
すなわち、本発明の製造方法により製造された実施例1〜4の共役ジエン系ゴムは、貯蔵前と貯蔵後とのムーニー粘度の差が2以内であり、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるポリマームーニー粘度の上昇が抑制されたものであった。また、実施例1〜4の共役ジエン系ゴムを用いて得られるゴム組成物は、配合物ムーニー粘度が低く、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れるものであった。さらに、実施例1〜4の共役ジエン系ゴムについて、スチームストリッピングにより溶媒を除去した際における、凝固クラムの互着の有無について観察したところ、凝固クラムの互着は全く確認されず、凝固操業性に優れたものであった。
一方、極性化合物としてのテトラメチルエチレンジアミンの使用量が多すぎる比較例1,2,4、および、テトラメトキシシラン化合物の使用量が少なすぎる比較例3においては、いずれも、貯蔵前と貯蔵後とのムーニー粘度の差が大きく、重合体溶液の状態で貯蔵した際におけるポリマームーニー粘度の上昇が顕著であった。
また、1,6−ビス(トリクロロシリル)ヘキサンの使用量が多すぎる比較例5、および、ポリオルガノシロキサンの使用量が少なすぎる比較例6においては、得られるゴム架橋物は、低発熱性に劣るものであった。

Claims (8)

  1. 不活性溶媒中で、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を含む単量体を重合し、活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液を得る第1工程と、
    前記第1工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、錫含有カップリング剤および/または前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な反応点を6以上有するケイ素含有カップリング剤を、前記共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応する官能基量として、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.03〜0.05モルに相当する量を添加し、反応させる第2工程と、
    前記第2工程で得られる錫含有カップリング剤および/またはケイ素含有カップリング剤を反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、シロキサン構造換算で0.25〜0.45モルのシロキサンを添加して、反応させる第3工程と、
    前記第3工程で得られるシロキサンを反応させた共役ジエン系重合体鎖を含有する溶液に、前記第1工程で用いた前記重合開始剤1モルに対し、0.85〜1.15モルのテトラメトキシシランを添加して、反応させる第4工程と、を備える共役ジエン系ゴムの製造方法であって、
    前記共役ジエン系ゴムを製造する際における、極性化合物の使用量を、前記第1工程で用いた重合開始剤1モルに対し、0.10モル以下に調整することを特徴とする共役ジエン系ゴムの製造方法。
  2. 前記シロキサンが、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサンである請求項1に記載の共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 2017186533
    (一般式(1)中、R〜Rは、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。XおよびXは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、および、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基からなる群より選ばれるいずれかの基であり、これらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、炭素数1〜5のアルコキシ基、またはエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。Xは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Xが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。mは0〜200の整数、nは0〜200の整数、kは0〜200の整数であり、m+n+kは1以上である。)
  3. 前記極性化合物が、エーテル化合物、第3級アミン、およびホスフィン化合物から選択されれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の共役ジエン系ゴムの製造方法。
  4. 前記極性化合物が、テトラメチルエチレンジアミンである請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系ゴムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法により得られる共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を配合する工程を備えるゴム組成物の製造方法。
  6. 架橋剤を配合する工程をさらに備える請求項5に記載のゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法により得られるゴム組成物を架橋する工程を備えるゴム架橋物の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により得られるゴム架橋物を用いるタイヤの製造方法。
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