JP6205788B2 - 変性共役ジエン系ゴムの製造方法 - Google Patents

変性共役ジエン系ゴムの製造方法 Download PDF

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本発明は、変性共役ジエン系ゴムの製造方法に関し、より詳しくは、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法に関する。また、本発明は、この製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物およびそのゴム架橋物にも関する。
近年、環境問題や資源問題から、自動車用のタイヤにも低発熱性が強く求められており、さらに安全性の面からは優れたウェットグリップ性が求められている。シリカを配合したゴム組成物から得られるタイヤは、通常使用されるカーボンブラックを配合したゴム組成物から得られるタイヤに比べて低発熱性に優れるため、これを用いることにより低燃費なタイヤを製造することができる。
このようなゴム組成物においては、ゴムとシリカとの親和性を高めるために、ゴムの重合活性末端等にシラン化合物などの変性剤を反応させることにより、シリカに対する親和性の高い官能基を導入する技術が知られている。
たとえば、特許文献1には、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物とともに、所定のヘテロ原子含有官能基を有するビニル化合物を共重合してなる共役ジエン系重合体に、シリカおよびシランカップリング剤を配合してなるタイヤ用ゴム組成物が開示されている。しかしながら、上記特許文献1では、ヘテロ原子含有官能基を有するビニル化合物を共重合することで、共役ジエン系重合体のシリカに対する親和性の向上を図っているものの、上記特許文献1の技術では、ヘテロ原子含有官能基を有するビニル化合物を導入したことによる、シリカに対する親和性の向上効果は限定的なものであった。そのため、上記特許文献1の技術では、シリカに対する親和性を向上させることにより向上が期待される性能、具体的には、低発熱性およびウェットグリップ性が必ずしも十分なものではなかった。
特開2011−132411号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムを製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、重合開始剤を用いて、所定の保護基で保護された水酸基を備えるビニル化合物を重合することで、活性末端を有する、保護基で保護された水酸基を備えるビニル化合物の重合体ブロックを得て、該重合体ブロックの活性末端に、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合し、このようにして得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端と反応可能な官能基を有するシラン化合物を反応させることで、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、重合開始剤を用いて、下記一般式(1)で表される化合物を重合して、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを得る第1工程と、前記重合体ブロックの活性末端に、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第2工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端と反応可能な官能基を有するシラン化合物を反応させる第3工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法が提供される。
Figure 0006205788
(上記一般式(1)において、Xは、水酸基の保護基である。)
また、本発明によれば、上記の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムが提供される。
さらに、本発明によれば、上記変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなるゴム組成物が提供される。
本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有してなるものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤが提供される。
本発明によれば、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を与えることのできる変性共役ジエン系ゴム、該変性共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物、該ゴム組成物を架橋してなる、低発熱性およびウェットグリップ性を備えたゴム架橋物、および該ゴム架橋物を含んでなるタイヤを提供することができる。
<変性共役ジエン系ゴムの製造方法>
本発明の変性共役ジエン系ゴムの製造方法は、重合開始剤を用いて、後述する一般式(1)で表される化合物を重合して、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを得る第1工程と、前記重合体ブロックの活性末端に、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第2工程と、前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端と反応可能な官能基を有するシラン化合物を反応させる第3工程と、を備える。
<第1工程>
まず、本発明の製造方法における、第1工程について説明する。本発明の製造方法における、第1工程は、重合開始剤を用いて、下記一般式(1)で表される化合物を重合して、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを得る工程である。なお、第1工程で形成される、一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックは、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴム中において、シリカなどの充填剤に対して高い親和性を示すセグメントとして作用し、これにより、本発明によれば、シリカなどの充填剤に対する親和性を向上させることができる。
Figure 0006205788
上記一般式(1)中において、Xは、水酸基の保護基である。なお、このような水酸基の保護基としては、酸や塩基などにより脱保護可能であり、かつ、脱保護することにより水酸基を与える基であればよく、特に限定されない。このような水酸基の保護基の具体例としては、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
Figure 0006205788
上記一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基であり、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基である。
このような保護基としては、たとえば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基などのトリアルキルシリル基;tert−ブチルジフェニルシリル基などのモノアルキルジアリールシリル基;などが挙げられる。これらのなかでも、脱保護を行い易いという観点より、tert−ブチルジメチルシリル基が好ましい。
また、上記一般式(1)中において、−OXで表される基の導入位置は、パラ位、メタ位、およびオルト位のいずれであってもよいが、得られる変性共役ジエン系ゴムのシリカなどの充填剤に対する親和性をより高くすることができるという観点より、パラ位が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物を重合させる際に用いる重合開始剤としては、上記一般式(1)で表される化合物を重合させることにより、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを与えることができるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、およびランタン系列金属化合物などを主触媒とする重合開始剤が好ましく使用される。有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリス(リチオメチル)ベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレンなどの有機ナトリウム化合物;カリウムナフタレンなどの有機カリウム化合物;などが挙げられる。また、有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシルマグネシウム、ジエトキシカルシウム、ジステアリン酸カルシウム、ジ−t−ブトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジエチルメルカプトバリウム、ジ−t−ブトキシバリウム、ジフェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ジステアリン酸バリウム、ジケチルバリウムなどが挙げられる。ランタン系列金属化合物を主触媒とする重合開始剤としては、例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウムなどのランタン系列金属と、カルボン酸、およびリン含有有機酸などとからなるランタン系列金属の塩を主触媒とし、これと、アルキルアルミニウム化合物、有機アルミニウムハイドライド化合物、有機アルミニウムハライド化合物などの助触媒とからなる重合開始剤などが挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、有機モノリチウム化合物、および有機多価リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、予め、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、およびヘプタメチレンイミンなどの第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミド化合物として使用してもよい。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法の第1工程では、上記一般式(1)で表される化合物の重合反応は、リビング性を伴って進行するので、重合開始剤と上記一般式(1)で表される化合物との使用割合は、目的とする重合体ブロックの分子量に応じて決定すればよいが、上記一般式(1)で表される化合物1モルに対する、重合開始剤の使用量が、好ましくは0.01〜0.5モル、より好ましくは0.02〜0.5モル、特に好ましくは0.05〜0.5モルとなる範囲で選択される。重合開始剤の使用量が少なすぎると、得られる上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの分子量が高くなり過ぎてしまい、粘度が高くなり加工性が悪くなるおそれがある。一方、重合開始剤の使用量が多すぎると、得られる上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの分子量が低くなり過ぎてしまい、シリカなどの充填剤に対する親和性の向上効果が得難くなるおそれがある。
本発明の製造方法における、上記一般式(1)で表される化合物の重合様式は、溶液重合法を用いることが好ましい。
溶液重合法にて用いる溶媒は、溶液重合において通常使用されるものであり、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。不活性溶媒の具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;等が挙げられる。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
溶液重合法における重合溶液中の上記一般式(1)で表される化合物の濃度は、特に限定されないが、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜45重量%、より好ましくは1〜40重量%の範囲で選択される。溶液中の上記一般式(1)で表される化合物の濃度が低すぎると、生産性が悪くなるおそれがあり、濃度が高すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎて、その取り扱いが困難となる場合がある。また、重合温度にも特に制限はないが、通常−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜+180℃の範囲である。重合時間にも特に制限は無く、通常1分〜100時間の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などいずれの様式をも採用できる。
また、重合反応に際しては、重合反応を促進させる目的で、重合反応系に、極性化合物を添加してもよい。極性化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン等の第三級アミン;アルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物;等が挙げられる。これらの中でも、エーテル化合物、および第三級アミンが好ましく、特に、重合開始剤に含まれる金属とキレート構造を形成し得るという点より、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、およびテトラメチルエチレンジアミンが特に好ましい。これらの極性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。極性化合物の使用量は、特に限定されないが、重合開始剤1モルに対して、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.01〜10モルである。活性金属原子への配位能を有する化合物の使用量を上記範囲とすることにより、その添加効果をより好適なものとすることができる。
なお、本発明の製造方法の第1工程において、得られる活性末端を有する上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算の値として、好ましくは380〜60,000、より好ましくは380〜30,000、さらに好ましくは380〜12,000である。重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを導入したことによる、シリカなどの充填剤に対する親和性の向上効果が得難くなるおそれがあり、一方、重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、粘度が高くなり加工性が悪くなるおそれがある。
以上のようにして、本発明の製造方法における第1工程によれば、上記一般式(1)で表される化合物を重合することで、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを得ることができる。なお、本発明において、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックは、一般式(1)で表される化合物のみからなることが好ましいが、本発明の効果を本質的に損なわない範囲で、その他の化合物が共重合されているブロックを排除するものではない。
<第2工程>
次いで、本発明の製造方法における、第2工程について説明する。
本発明の製造方法における、第2工程は、上述した第1工程で得られた活性末端を有する上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの活性末端に、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。すなわち、本発明の製造方法の第2工程は、上述した第1工程で得られた活性末端を有する上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの活性末端を重合開始末端として、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合させて、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。
本発明の製造方法の第2工程においては、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体の重合反応は、リビング性を伴って進行するので、これにより得られる共役ジエン系重合体も活性末端を有するものとなる。また、第2工程において得られる共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる単量体の単位に加えて、上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックも含有することとなるが、本発明においては、このような第2工程で得られる重合体を「共役ジエン系重合体」と呼称するものとする。
重合に用いる共役ジエン化合物としては、特に限定されず、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどを挙げることができる。これらのなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンまたは1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の製造方法においては、第2工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、共役ジエン化合物に加えて芳香族ビニル化合物を共重合してなるものであることが好ましい。芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレンなどを挙げることができる。これらのなかでも、スチレン、α−メチルスチレン、または4−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。なお。これらの芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第2工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体の、共役ジエン化合物を含む重合体鎖(すなわち、上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを除く部分)中における、共役ジエン単量体単位および芳香族ビニル単量体単位の割合は、共役ジエン単量体単位が、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは55〜95重量%であり、また、芳香族ビニル単量体単位が、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは45〜5重量%である。
また、本発明の製造方法の第2工程においては、本発明の目的を損なわない範囲において、所望により、共役ジエン化合物、および芳香族ビニル化合物に加えて、これらと共重合可能な他の化合物を共重合してもよい。共重合可能な他の化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸または酸無水物;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエン;などを挙げることができる。また、これらに加えて、このような共重合可能な他の化合物として、上記一般式(1)で表される化合物を用いてもよい。これら共重合可能な他の化合物は、活性末端を有する共役ジエン系重合体の、共役ジエン化合物を含む重合体鎖(すなわち、上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを除く部分)中において、単量体単位として、10重量%以下とするのが好ましく、5重量%以下とするのがより好ましい。
本発明の製造方法の第2工程において、2種以上の単量体を用いて共重合体を得る場合の、共重合の様式は特に限定されず、ランダム状、ブロック状、テーパー状などのいずれであってもよいが、ランダム状の結合様式であることが好ましい。ランダム状にすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
本発明の製造方法の第2工程では、共役ジエン化合物を含んでなる単量体の重合反応は、リビング性を伴って進行するので、上述した第1工程において得られた活性末端を有する上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物を含んでなる単量体との使用割合は、目的とする共役ジエン系重合体の分子量に応じて決定すればよいが、共役ジエン化合物を含んでなる単量体1モルに対する、重合開始剤の使用量が、好ましくは0.05〜0.8ミリモル、より好ましくは0.07〜0.7ミリモル、特に好ましくは0.1〜0.6ミリモルとなる範囲で選択される。活性末端を有する上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの使用量が少なすぎると、得られる共役ジエン系重合体の分子量が高くなりすぎて取り扱いが困難となったり、重合反応が十分に進行しなかったりするおそれがある。一方、多すぎると、得られる共役ジエン系重合体の分子量が低くなりすぎて、ゴム材料としての特性に劣るものとなるおそれがある。
本発明の製造方法における、共役ジエン化合物を含んでなる単量体の重合様式は、溶液重合法を用いることが好ましい。
溶液重合法にて用いる溶媒としては、上述した第1工程と同様のものを用いることができ、重合の制御の観点より、共役ジエン化合物を含んでなる単量体が溶解している溶液中に、上述した第1工程において得られた活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを加えることが好ましい。
また、重合反応を行うに際しては、重合速度や得られる共役ジエン系重合体のミクロ構造、具体的には、ビニル結合含有量を調節するために、重合反応系に、上述した極性化合物を添加してもよい。ただし、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの調製時に、不活性溶媒に、共役ジエン系重合体のビニル結合含有量を調節するのに十分な量の極性化合物を添加している場合は、新たに極性化合物を添加しなくてもよい。極性化合物の使用量は、目的とするビニル結合含有量に応じて決定すればよく、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックの活性末端1モルに対して、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.01〜10モルである。極性化合物の使用量がこの範囲にあると、共役ジエン単量体単位中のビニル結合含有量の調節が容易であり、かつ活性末端の失活による不具合も発生し難い。
重合反応における重合溶液中の共役ジエン化合物を含んでなる単量体の濃度は、特に限定されないが、通常1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%の範囲で選択される。溶液中の共役ジエン化合物を含んでなる単量体の濃度が低すぎると、共役ジエン系重合体の生産性が悪くなるおそれがあり、濃度が高すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎて、その取り扱いが困難となる場合がある。また、重合温度にも特に制限はないが、通常−30℃〜+200℃、好ましくは0℃〜+180℃の範囲である。重合時間にも特に制限は無く、通常1分〜100時間の範囲である。重合様式としては、回分式、連続式などいずれの様式をも採用できるが、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させる場合は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位との結合のランダム性を制御しやすいという点より、回分式が好ましい。
本発明の製造方法の第2工程によれば、以上のようにして、上述した第1工程で得られた活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを用いて、共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。
上述した第2工程において得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定されるポリスチレン換算の値として、100,000〜1,000,000が好ましく、150,000〜700,000がより好ましく、150,000〜500,000が特に好ましい。活性末端を有する共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあるとき、得られるゴム架橋物は、強度と低発熱性とのバランスが良好となる。
なお、本発明においては、第1工程の後、第2工程の前、および/または、第2工程の後、第3工程の前において、共役ジエン化合物を含まない単量体のみを重合した場合でも、第2工程において製造する、活性末端を有する共役ジエン系重合体の、共役ジエン化合物を含む重合体鎖(すなわち、上記一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを除く部分)部分に含まれるものとする。
<第3工程>
次いで、本発明の製造方法における第3工程について説明する。本発明の製造方法における第3工程は、上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端と反応可能な官能基を有するシラン化合物(以下、単に「シラン化合物」とする。)を反応させることにより、変性共役ジエン系ゴムを得る工程である。すなわち、第3工程においては、共役ジエン系重合体の活性末端を、シラン化合物と反応させることで、活性末端を変性させ、これにより、変性共役ジエン系ゴムを得る。このようなシラン化合物により変性させることで、シリカなどの充填剤に対する親和性を向上させることができる。
共役ジエン系重合体鎖の活性末端と反応可能な官能基としては、該活性末端と反応することができるものであれば特に限定されないが、活性末端に対する反応性の観点より、ハロゲン原子、2−ピロリドニル基、ビニル基、アルコキシ基、アミノ基およびエポキシ基からなる群より選ばれる官能基であることが好ましく、2−ピロリドニル基、エポキシ基およびアルコキシ基からなる群より選ばれる官能基であることがより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
本発明で用いられるシラン化合物としては、例えば、ポリオルガノシロキサンおよびヒドロカルビルオキシシラン化合物などが挙げられる。ポリオルガノシロキサンとしては、共役ジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基を有していれば特に限定されないが、その具体例としては、下記一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンなどを挙げることができる。また、ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、共役ジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基を有していれば特に限定されないが、その具体例としては、下記一般式(4)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのヘキサアルコキシシラン化合物;メチルトリエトキシシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン化合物;フェニルトリメトキシシランなどのアリールアルコキシシラン化合物;トリエトキシクロロシランなどのハロゲノアルコキシシラン化合物;3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシブチルプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−グリシドキシプロピル)ジメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィドなどの硫黄含有アルコキシシラン化合物;ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミンなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物;トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物;などを挙げることができる。その他、本発明で用いられるケイ素化合物としては、テトラクロロシランなどのテトラハロゲン化シラン化合物;などを挙げることができる。これらの中でも、下記一般式(3)で示されるポリオルガノシロキサン、および下記一般式(4)で示されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が好ましい。特に、下記一般式(3)で示されるポリオルガノシロキサンを用いることにより、得られるゴム架橋物を、低発熱性およびウェットグリップ性により優れたものとすることができる。
Figure 0006205788
(上記一般式(3)中、R〜R11は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。YおよびYは、それぞれ独立して、共役ジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。Yは、共役ジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基であり、複数あるYは互いに同一であっても相違していてもよい。Yは、2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基であり、Yが複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。pは3〜200の整数、qは0〜200の整数、rは0〜200の整数である。)
Figure 0006205788
(上記一般式(4)中、R12は、炭素数1〜12のアルキレン基であり、R12が複数あるときは、それらは互いに同一であっても相違していてもよい。R13〜R21は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。sは1〜10の整数、tは0〜2の整数である。)
上記一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R〜R11、Y、およびYを構成する炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、およびメチルフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、ポリオルガノシロキサン自体の製造容易性の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
上記一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、Y、Y、およびYを構成する共役ジエン系重合体の活性末端と反応可能な官能基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基、およびエポキシ基を含有する炭素数4〜12の基が好ましく、エポキシ基を含有する炭素4〜12の基がより好ましい。
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、およびブトキシ基などが挙げられる。これらの中でも、共役ジエン系重合体の活性末端との反応性の観点から、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
2−ピロリドニル基を含有する炭化水素基としては、例えば、下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006205788
(上記一般式(5)中、uは2〜10の整数であり、2であることが好ましい。)
エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基としては、例えば、下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。
−Z−Z−E・・・(6)
(上記一般式(6)中、Zは、炭素数1〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、Zはメチレン基、硫黄原子、または酸素原子であり、Eはエポキシ基を有する炭素数2〜10の炭化水素基である。これらの中でも、Zが酸素原子であるものが好ましく、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものがより好ましく、Zが炭素数3のアルキレン基であり、Zが酸素原子であり、かつ、Eがグリシジル基であるものが特に好ましい。
一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R〜R11としては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、YおよびYとしては、上記の中でも、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、Yとしては、上記の中でも、エポキシ基を含有する炭素数4〜12の基であることが好ましい。
一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、Y、すなわち2〜20のアルキレングリコールの繰返し単位を含有する基としては、例えば、下記一般式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006205788
(上記一般式(7)中、vは2〜20の整数であり、Pは炭素数2〜10のアルキレン基またはアルキルアリーレン基であり、R22は、水素原子またはメチル基であり、複数あるR22は互いに同一であっても相違していてもよい。Qは炭素数1〜10のアルコキシ基またはアリーロキシ基である。これらの中でも、vが2〜8の整数であり、Pが炭素数3のアルキレン基であり、R22が水素原子であり、かつQがメトキシ基であるものが好ましい。)
一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、pは3〜200、好ましくは3〜150、より好ましくは3〜120の整数である。pの数が上記範囲内にあると、得られるゴム架橋物の低発熱性をより向上させることができる。
一般式(3)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、qは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。rは0〜200、好ましくは0〜150、より好ましくは0〜120の整数である。p、q、およびrの合計数は、3〜400であることが好ましく、3〜300であることがより好ましく、3〜250であることが特に好ましい。p、q、およびrの合計数が多すぎると、反応中の重合溶液の粘度が高くなりすぎ、変性共役ジエン系ゴムの製造が困難となるおそれがある。
なお、一般式(3)で示されるポリオルガノシロキサンにおいて、ポリオルガノシロキサン中のエポキシ基が共役ジエン系重合体の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のエポキシ基が開環することにより、エポキシ基が開環した部分の炭素原子と共役ジエン系重合体の活性末端との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中のアルコキシ基が共役ジエン系重合体の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部のアルコキシ基が脱離することにより、ポリオルガノシロキサンが含有するケイ素原子と共役ジエン系重合体の活性末端との結合が形成されると考えられる。また、ポリオルガノシロキサン中の2−ピロリドニル基が共役ジエン系重合体の活性末端と反応する場合、ポリオルガノシロキサン中の少なくとも一部の2−ピロリドニル基を構成するカルボニル基の炭素―酸素結合が開裂して、その炭素原子と共役ジエン系重合体との結合が形成されると考えられる。
一般式(4)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物において、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基は、上記一般式(3)のポリオルガノシロキサンについて説明したものと同様である。
一般式(4)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物において、炭素数1〜12のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、およびプロピレン基などが挙げられる。これらの中でも、プロピレン基が好ましい。
一般式(4)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、およびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
シラン化合物の使用量は、特に限定されないが、上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対する、活性末端に対する反応性を有する基の量が、0.05〜5モルの範囲となる量とすることが好ましく、0.1〜3モルとなる量とすることがより好ましく、0.3〜1.5モルとなる量とすることが特に好ましい。シラン化合物の使用量を上記範囲とすることにより、その添加効果をより顕著なものとすることができる。なお、シラン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、シラン化合物を反応させる方法としては、特に限定されないが、活性末端を有する共役ジエン系重合体と、シラン化合物とを、これらを溶解可能な溶媒中で、混合する方法などが挙げられる。この際に用いる溶媒としては、上述した第1工程および第2工程に用いる溶媒として例示したものなどを用いることができる。また、この際においては、上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体を、その重合に用いた重合溶液のままの状態とし、ここにシラン化合物を添加する方法が簡便であり、好ましい。また、この際においては、シラン化合物は、上述した重合に用いる不活性溶媒に溶解して重合系内に添加することが好ましく、その溶液濃度は、1〜50重量%の範囲とすることが好ましい。変性反応における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜120℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、1分〜1時間である。
上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液に、シラン化合物を添加する時期は特に限定されないが、重合反応が完結しておらず、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が単量体をも含有している状態、より具体的には、活性末端を有する共役ジエン系重合体を含有する溶液が、100ppm以上、より好ましくは300〜50,000ppmの単量体を含有している状態で、この溶液にシラン化合物を添加することが望ましい。シラン化合物の添加をこのように行なうことにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体と重合系中に含まれる不純物等との副反応を抑制して、反応を良好に制御することが可能となる。
なお、第3工程の前後(上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体に、シラン化合物を反応させる前後)、好ましくは第3工程の前において、本発明の効果を阻害しない範囲で、共役ジエン系重合体の活性末端の一部を、従来から通常使用されている四塩化錫などのカップリング剤を重合系内に添加して、不活性化する工程を加えてもよい。
活性末端を有する共役ジエン系重合体に、シラン化合物やカップリング剤を反応させた後に、未反応の活性末端が残存している場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール又は水等の、重合停止剤を重合溶液に添加して、未反応の活性末端を失活させることが好ましい。
また、本発明の製造方法においては、上述した第2工程で得られた活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、シラン化合物やカップリング剤を反応させた後に、上述した第1工程で導入した一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックについて、一般式(1)中のXで示される水酸基の保護基を脱保護する脱保護反応を行うことが好ましい。脱保護反応としては、塩酸などの一般的な酸、あるいはフッ化テトラブチルアンモニウムなどの塩基を用いる方法を制限なく用いることができる。特に、このような脱保護反応を行うことにより、一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックに、水酸基を導入することができ、これにより、シリカなどの充填剤との親和性をより高めることができる。脱保護反応における反応温度は、特に限定されないが、通常、0〜120℃であり、反応時間は、特に限定されないが、通常、5分〜10時間である。
以上のようにして得られる変性共役ジエン系ゴムの溶液には、所望により、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などの老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤の添加量は、その種類などに応じて適宜決定すればよい。さらに、所望により、伸展油を配合して、変性共役ジエン系ゴムを油展ゴムとしてもよい。伸展油としては、たとえば、パラフィン系、芳香族系及びナフテン系の石油系軟化剤、植物系軟化剤、ならびに脂肪酸等が挙げられる。石油系軟化剤を用いる場合には、IP346の方法(英国のTHE INSTITUTE PETROLEUMの検査方法)により抽出される多環芳香族の含有量が3%未満であることが好ましい。伸展油を使用する場合、その使用量は、変性共役ジエン系ゴム100重量部に対して、通常5〜100重量部である。
そして、このようにして得られた変性反応後の変性共役ジエン系ゴムは、スチームストリッピングなどにより、溶媒を除去することにより、反応混合物から分離することで、固形状の変性共役ジエン系ゴムを得ることができる。
本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定される値として、通常、100,000〜3,000,000、好ましくは120,000〜2,000,000、より好ましくは150,000〜1,500,000の範囲である。変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、変性共役ジエン系ゴムへのシリカなどの充填剤の配合が容易となり、ゴム組成物は加工性に優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わされる分子量分布も、特に限定されないが、好ましくは1.0〜5.0、特に好ましくは1.0〜3.0である。変性共役ジエン系ゴムの分子量分布を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性により優れたものとなる。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)も、特に限定されないが、通常、20〜200、好ましくは30〜150の範囲である。変性共役ジエン系ゴムのムーニー粘度を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなる。なお、変性共役ジエン系ゴムを油展ゴムとする場合は、その油展ゴムのムーニー粘度を上記の範囲とすることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムの共役ジエン単位部分におけるビニル結合含有量は、通常1〜80重量%であり、好ましくは5〜75重量%である。ビニル結合量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物は低発熱性に優れたものとなる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有してなる組成物である。
本発明で用いるシリカとしては、たとえば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらの中でも、含水ケイ酸を主成分とする湿式法ホワイトカーボンが好ましい。また、カーボンブラック表面にシリカを担持させたカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを用いてもよい。これらのシリカは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。用いるシリカの窒素吸着比表面積(ASTM D3037−81に準じBET法で測定される)は、好ましくは50〜300m/g、より好ましくは80〜220m/g、特に好ましくは100〜170m/gである。また、シリカのpHは、5〜10であることが好ましい。
本発明のゴム組成物におけるシリカの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、10〜200重量部であり、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。シリカの配合量を上記範囲とすることにより、ゴム組成物の加工性が優れたものとなり、得られるゴム架橋物のウェットグリップ性および低発熱性が優れたものとなる。
本発明のゴム組成物には、低発熱性をさらに改良するという観点より、さらにシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、たとえば、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−オクタチオ−1−プロピル−トリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、およびγ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、さらに、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、およびグラファイトなどのカーボンブラックを配合してもよい。これらのなかでも、ファーネスブラックが好ましい。これらのカーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。カーボンブラックの配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、通常、120重量部以下である。
なお、本発明の変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分に、シリカを添加する方法としては特に限定されず、固形のゴム成分に対して添加して混練する方法(乾式混練法)や変性共役ジエン系ゴムを含む溶液に対して添加して凝固・乾燥させる方法(湿式混練法)などを適用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、架橋剤をさらに含有していることが好ましい。架橋剤としては、たとえば、硫黄、ハロゲン化硫黄などの含硫黄化合物、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく使用される。架橋剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
さらに、本発明のゴム組成物には、上記成分以外に、常法に従って、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、充填剤(上記シリカおよびカーボンブラックを除く)、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
架橋剤として、硫黄または含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進剤および架橋活性化剤を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、スルフェンアミド系架橋促進剤;グアニジン系架橋促進剤;チオウレア系架橋促進剤;チアゾール系架橋促進剤;チウラム系架橋促進剤;ジチオカルバミン酸系架橋促進剤;キサントゲン酸系架橋促進剤;などが挙げられる。これらのなかでも、スルフェンアミド系架橋促進剤を含むものが好ましい。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋促進剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜4重量部である。
架橋活性化剤としては、たとえば、ステアリン酸などの高級脂肪酸;酸化亜鉛;などを挙げることができる。これらの架橋活性化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。架橋活性化剤の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、本発明のゴム組成物には、上述した本発明の製造方法によって得られる変性共役ジエン系ゴム以外のその他のゴムを配合してもよい。その他のゴムとしては、たとえば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどのうち、上述した変性共役ジエン系ゴム以外のものをいう。これらのなかでも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物において、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、ゴム組成物中のゴム成分の10〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることが特に好ましい。このような割合で、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムをゴム成分中に含めることにより、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたゴム架橋物を得ることができる。
本発明のゴム組成物を得るためには、常法に従って各成分を混練すればよく、たとえば、架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとを混練後、その混練物に架橋剤や架橋促進剤などの熱に不安定な成分を混合して目的の組成物を得ることができる。熱に不安定な成分を除く成分と変性共役ジエン系ゴムとの混練温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは120〜180℃であり、その混練時間は、好ましくは30秒〜30分である。また、その混練物と熱に不安定な成分との混合は、通常100℃以下、好ましくは80℃以下まで冷却した後に行われる。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られるものであるため、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたものである。特に、本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムは、重合体鎖の重合開始末端側に、一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを備え、重合停止側末端に、シラン化合物を用いた変性反応による変性基を備えるものであるため、シリカなどの充填剤に対する親和性が高いものである。特に、本発明の製造方法においては、好ましくは一般式(1)で表される化合物を単独で重合させて、一般式(1)で表される化合物を重合体ブロックの形態で導入することにより、シリカなどの充填剤に対する親和性をより有効に高めることができるものである。したがって、このような本発明の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを用いて得られる、本発明のゴム架橋物は、変性共役ジエン系ゴムと充填剤としてのシリカとの親和性が高く、そのため、低発熱性およびウェットグリップ性に優れたものとなる。
そして、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、たとえば、タイヤにおいて、キャップトレッド、ベーストレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部などのタイヤ各部位の材料;ホース、ベルト、マット、防振ゴム、その他の各種工業用品の材料;樹脂の耐衝撃性改良剤;樹脂フィルム緩衝剤;靴底;ゴム靴;ゴルフボール;玩具;などの各種用途に用いることができる。とりわけ、本発明のゴム架橋物は、低発熱性およびウェットグリップ性に優れることから、タイヤの材料、特に低燃費タイヤの材料として好適に用いることができ、トレッド用途に最適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
〔ゴムの分子量〕
ゴムの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算分子量として求めた。具体的な測定条件は、以下のとおりとした。
測定器:高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC−8220」)
カラム:東ソー社製、商品名「GMH−HR−H」を二本直列に連結したものを用いた。
検出器:示差屈折計(東ソー社製、商品名「RI−8220」)
溶離液:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
〔ゴムのミクロ構造〕
H−NMRにより測定した。
測定器:JEOL社製、商品名「JNM−ECA−400WB」
測定溶媒:重クロロホルム
〔脱保護率〕
変性共役ジエン系ゴムの脱保護率は、脱保護反応前後の変性共役ジエン系ゴムの重クロロホルム溶液を用いてH−NMRにより測定した。具体的には、0.2ppm付近のケイ素に結合したメチル基由来のピークと、4.5〜6.0ppmのビニル構造由来のピークとの強度比の変化から脱保護率を求めた。
〔低発熱性〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片について、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、製品名「ARES」)を用い、動的歪み2.5%、周波数10Hzの条件で60℃におけるtanδを測定した。この特性については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が低いものほど、低発熱性に優れる。
〔ウェットグリップ性〕
長さ50mm、幅12.7mm、厚さ2mmの試験片を、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、製品名「ARES」)を用い、動的歪み0.5%、10Hzの条件で0℃におけるtanδを測定した。この特性については、比較例1の測定値を100とする指数で示した。この指数が高いものほど、ウェットグリップ性に優れる。
〔製造例1:上記一般式(1)で表される化合物の合成〕
温度計を備えた3つ口反応器に窒素気流中、4−アセトキシスチレン50g(0.31mol)を20%の水酸化カリウム水溶液519gに加えた。この溶液を室温にて16時間攪拌した。反応終了後、1規定の塩酸水溶液をpHが8になるまで加えた。その後、この水溶液を酢酸エチル500mlで2回抽出し、次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮を行うことで、淡黄色固体としての下記式(8)で示す中間体Aを34g得た(収率:91.3%)。得られた中間体Aについては、精製は行わず、そのまま次の反応に用いた。
Figure 0006205788
次いで、温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、上記にて合成した中間体A 30g(0.25mol)、イミダゾール20.4g(0.30mol)を仕込み、N,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解させた。そして、得られた溶液を氷浴にて冷却し、冷却下にて、tert−ブチルジメチルシリルクロライド45.2g(0.30mol)を溶解させたN,N−ジメチルホルムアミド溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷浴を取り外して室温に戻した後、そのまま4時間室温下にて反応を行った。反応終了後、反応液に重曹水を加えて酢酸エチル500mlで2回抽出した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮を行うことで、淡黄色液体を得た。そして、得られた淡黄色液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:100%)により精製を行い、次いで、得られた無色液体を減圧蒸留することで、無色透明液体として下記式(9)で示す化合物(上記一般式(1)中、Xがtert−ブチルジメチルシリル基である化合物)48gを得た(収率:82.0%)。
Figure 0006205788
また、得られた化合物について、H−NMR測定を行ったところ、結果は以下の通りであった。
H−NMR(500MHz、テトラヒドロフラン−d8、TMS、δppm):7.41(d、2H、J=8.5Hz)、6.91(d、2H、J=8.5Hz)、6.76(dd、1H、J=11.0Hz、17.5Hz)、5.72(dd、1H、J=1.0Hz、17.5Hz)、5.18(dd、1H、J=1.0Hz、11.0Hz)、1.12(s、9H)、0.33(s、6H)。
〔実施例1〕
〔変性共役ジエン系ゴム1の調製〕
窒素置換された100mlアンプル瓶に、シクロヘキサン22.7g、およびテトラメチルエチレンジアミン1.44mmolを添加し、さらに、n−ブチルリチウム0.8mmolを添加した。次いで、製造例1にて得られた式(9)で示す化合物0.94gを、撹拌下でゆっくりと添加し、室温で30分反応させることにより、式(9)で示す化合物の重合体ブロック(式(9)で示す化合物の重合体ブロックの末端に、活性末端として、ヒドロカルビルリチウムが導入された重合体)を得た。式(9)で示す化合物の重合体ブロックは、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)が1,450であった。
次いで、オートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン760g、1,3−ブタジエン94.8g、およびスチレン25.2gを仕込んだ後、上記にて得られた式(9)で示す化合物の重合体ブロックを全量加え、60℃で重合を開始した。60分間重合反応を継続し、重合転化率が95〜100%の範囲になったことを確認してから、四塩化錫0.04mmolを20%濃度のシクロヘキサン溶液の状態にて添加し、10分間反応させた。次いで、下記式(10)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基が、使用したn−ブチルリチウムの0.6倍モルに相当する量となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態にて添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加することで、変性共役ジエン系ゴム1Pを含む溶液を得た。
Figure 0006205788
続いて、得られた変性共役ジエン系ゴム1Pを含む溶液の入ったオートクレーブにテトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン溶液(Stream Chemicals社製)20.0mmolを添加して、60℃で100分間脱保護反応を行うことで、変性共役ジエン系ゴム1Dを含有する溶液を得た。この溶液に、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、得られた変性共役ジエン系ゴム1D 100部に対して0.2部添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥することで、固形状の変性共役ジエン系ゴム1Dを得た。
そして、得られた変性共役ジエン系ゴム1Dについて、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、スチレン単位含有量、およびビニル結合含有量を測定した。結果を表1に示す。
〔ゴム組成物、ゴム架橋物の調製〕
容量250mlのブラベンダータイプミキサー中で、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム1D 100部を30秒素練りし、次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1165MP」)50部、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T−DAE」)25部、およびシランカップリング剤:ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)6.4部を添加して、110℃を開始温度として1.5分間混練後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1165MP」)30部、酸化亜鉛3.0部、ステアリン酸2.0部および老化防止剤N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアン(大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」)2.0部を添加し、更に2.5分間混練し、ミキサーから混練物を排出させた。混錬終了時の混練物の温度は150℃であった。次いで、得られた混練物を、室温まで冷却した後、再度ブラベンダータイプミキサー中で、110℃を開始温度として2分間混練した後、ミキサーから混練物を排出させた。次いで、50℃のオープンロールで、得られた混練物と、硫黄1.7部および架橋促進剤(N−シクロヘキシル-2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(商品名「ノクセラーCZ−G」、大内新興化学工業社製)1.8部とジフェニルグアニジン(商品名「ノクセラーD」、大内新興化学工業社製)1.1部)とを混練した後、シート状のゴム組成物を取り出した。そして、得られたゴム組成物を、160℃で25分間プレス架橋してゴム架橋物(試験片)を作製し、この試験片を用いて、低発熱性、およびウェットグリップ性の評価を行なった。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
オートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン760g、1,3−ブタジエン94.8g、およびスチレン25.2gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.8mmolを加え、60℃で重合を開始した。60分間重合反応を継続し、重合転化率が95〜100%の範囲になったことを確認してから、四塩化錫0.04mmolを20%濃度のシクロヘキサン溶液の状態にて添加し、10分間反応させた。次いで、上記式(10)で表されるポリオルガノシロキサンを、エポキシ基が、使用したn−ブチルリチウムの0.6倍モルに相当する量となるように、20%濃度のキシレン溶液の状態にて添加し、30分間反応させた。その後、重合停止剤として、使用したn−ブチルリチウムの2倍モルに相当する量のメタノールを添加して、変性共役ジエン系ゴム2を含有する溶液を得た。
続いて、得られた変性共役ジエン系ゴム2を含有する溶液の入ったオートクレーブに、老化防止剤として、イルガノックス1520L(チバスペシャリティーケミカルズ社製)を、変性共役ジエン系ゴム2 100部に対して0.2部添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、60℃で24時間真空乾燥して、固形状の変性共役ジエン系ゴム2を得た。
そして、得られた変性共役ジエン系ゴム2について、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、スチレン単位含有量、およびビニル結合含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、変性共役ジエン系ゴム1Dの代わりに、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム2を用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物、ゴム架橋物(試験片)を得て、同様に、低発熱性およびウェットグリップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例1にて得られた式(9)で示す化合物の添加量を、0.94gから0.56gに変更し、上記式(10)で表されるポリオルガノシロキサンの代わりにN−フェニルピロリドン0.692mmol用いた以外は、実施例1と同様にして、変性共役ジエン系ゴム3Dを得た。
そして、得られた変性共役ジエン系ゴム3Dについて、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、スチレン単位含有量、およびビニル結合含有量を測定した。結果を表1に示す。
また、変性共役ジエン系ゴム1Dの代わりに、上記にて得られた変性共役ジエン系ゴム3Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物、ゴム架橋物(試験片)を得て、同様に、低発熱性およびウェットグリップ性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006205788
表1より、本発明の製造方法により得られた変性共役ジエン系ゴムから得られるゴム架橋物は、低発熱性およびウェットグリップ性に優れるものであった(実施例1)。
一方、本発明の第1工程を経ずに得られた変性共役ジエン系ゴムから得られるゴム架橋物は、低発熱性およびウェットグリップ性のいずれにも劣るものであった(比較例1)。
さらに、本発明の第3工程を経ずに、本発明の範囲外である変性剤を用いて得られた変性共役ジエン系ゴムから得られるゴム架橋物は、低発熱性およびウェットグリップ性のいずれにも極めて劣るものであった(比較例2)。

Claims (5)

  1. 重合開始剤を用いて、下記一般式(1)で表される化合物を重合して、活性末端を有する一般式(1)で表される化合物の重合体ブロックを得る第1工程と、
    前記重合体ブロックの活性末端に、少なくとも共役ジエン化合物を含んでなる単量体を重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る第2工程と、
    前記活性末端を有する共役ジエン系重合体の活性末端に、該活性末端と反応可能な官能基を有するシラン化合物を反応させる第3工程と、を備える変性共役ジエン系ゴムの製造方法。
    Figure 0006205788
    (上記一般式(1)において、Xは、下記一般式(2)で表される基である。)
    Figure 0006205788
    (上記一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基である。)
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られる変性共役ジエン系ゴムを含むゴム成分100重量部に対して、シリカ10〜200重量部を含有するゴム組成物を製造する方法であって、
    前記変性共役ジエン系ゴムに含まれるOX基(Xは、前記一般式(2)で表される基)のうち少なくとも一部を、水酸基に変換する工程を備えるゴム組成物の製造方法。
  3. 架橋剤をさらに含有する請求項2に記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 請求項3に記載の製造方法により得られるゴム組成物を架橋する工程を備えるゴム架橋物の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られるゴム架橋物を含むタイヤの製造方法。
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